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2022/07/18

☪野兎病

野ウサギなどとの接触で引き起こされる感染病

野兎(やと)病とは、グラム陰性菌の野兎病菌によって引き起こされる感染症。日本では野ウサギとの接触で感染することが多いために野兎病と名付けられていて、ツラレミア 、大原病とも呼ばれます。

世界的には北アメリカ、北ヨーロッパ、北アジアに広くみられ、日本では北海道、東北、関東地方で多くみられ、野兎病菌に感染した野ウサギ、モグラ、リス、ネズミ、ハムスターなどの齧歯(げっし)類に触ることで、主に感染が起こります。

冬場の感染症はほとんどが野ウサギとの接触によって起こり、特にその皮をはぐ時に起こります。夏場は、野兎病菌を持ったカやアブ、ダニに刺されて起こります。

まれに、火が十分に通っていない齧歯類の肉を食べたり、野兎病菌に汚染された水を飲んだり、野兎病菌に汚染された干し草を扱ったり、齧歯類の食肉解体中や芝刈り機で動物をひいて空気中に舞い上がった菌を吸い込んだりすることでも起こります。この野兎病菌は、傷のない皮膚からも侵入することができるのが特徴。

猟師、食肉処理業者、農業従事者、毛皮製造業者、検査技師に多くみられ、散発的に起こりますが、時に流行を示すことがあります。過去、スウェーデン、フィンランド、アメリカでは、カの媒介による流行がありました。

野兎病菌は10〜50個の菌だけでも感染、発症する可能性があり、重症の疾患を起こし死者も出すことがあることから、生物兵器として使われる可能性が心配されています。人から人への感染例は、報告されていません。

日本では、第二次世界大戦前は年平均13.8件の発生がありましたが、戦後は食糧難のために野ウサギを捕獲、解体する機会が増加し1955年まで年間50~80例と急増しました。その後減少傾向を示し、1999年、2008年の千葉県での各1例の発生以降、感染例の報告はありません。

野兎病には、4種類の型があります。最もよくみられるのが潰瘍(かいよう)リンパ節型で、手や指に潰瘍ができ、感染部位と同じ側のリンパ節がはれます。2番目の眼リンパ節型では、目に充血やはれが生じ、リンパ節もはれます。この型は、感染した指や細菌のついた指で目に触れたり、感染部位の体液が目に入ることで起こると考えられます。

3番目は扁桃(へんとう)リンパ節型で、リンパ節がはれるだけで潰瘍はできないことから、食物を通して体内に入った細菌が原因と思われます。4番目はチフス型で、高熱、腹痛、激しい消耗がみられ、リンパ節のはれはみられません。

野兎病を引き起こす細菌を吸いこんだ場合には、肺炎を起こすこともあります。

菌と接触してから1〜10日後、通常は2〜4日後に突然症状が現れます。まず、頭痛、悪寒、吐き気、嘔吐(おうと)、約40度に達する熱、激しい疲労感が起こり、続いて、極度の脱力感、悪寒の繰り返し、大量の発汗が起こります。

扁桃リンパ節型とチフス型の野兎病を除き、24〜48時間以内に指、腕、目、口蓋(こうがい)などの感染部に炎症性の水疱(すいほう)が現れます。水疱にはすぐに膿(うみ)がたまり、破れて潰瘍になります。腕や脚には単独でできますが、目や口の中にはいくつもできます。

潰瘍周囲のリンパ節ははれて膿を持ち、膿はやがて排出されます。発疹(はっしん)は疾患の経過中、いつでも現れることがあります。

肺炎が起こることもあるものの、空せきや胸の中心部に焼けるような痛みが起こるだけで、あまり重い症状は現れません。ただし、中にはせん妄を起こすケースもあります。

野兎病の検査と診断と治療

カやアブ、ダニに刺されたり、ウサギやリスなどの野生動物と少しでも接触したりした後で、急な発熱、リンパ節のはれ、特徴的な潰瘍がみられた場合に、野兎病と診断されます。

検査技師が感染した場合は、リンパ節や肺のみに限った感染のことが多いので、診断するのは難しく、野兎病菌は特別の培地で培養することになります。

野兎病の治療では、抗生物質のストレプトマイシンを7〜14日間注射します。潰瘍には湿性包帯を当て、頻繁に取り替えます。包帯をすることによって、感染の広がりを防ぐことができます。まれに、大きな膿のかたまりである膿瘍ができて、切開して膿を吸い出さなくてはならなくなります。

症状が出た目には温湿布を当て、サングラスをかけるといくらか楽になります。激しい頭痛がある場合は、コデインのようなオピオイド系鎮痛薬を使います。

放置すると約3人に1人は死亡しますが、治療すればほぼ全員が助かります。死亡するのは感染が手に負えないほど広がった場合や、肺炎、髄膜炎、腹膜炎などを起こした場合です。再発はまれなものの、治療が不適切だと起こります。野兎病にかかると免疫ができます。

野兎病菌は、水や土、齧歯類の死体や皮の中で何週間も生存可能です。ただし、熱には弱く、55度で10分の加熱で不活化します。野兎病菌で飲用水の水源地が汚染されても、塩素殺菌などの通常の処理で、飲用水による感染は防げると考えられています。

一般の場で野兎病菌で汚染されたものの表面の消毒の一つの方法としては、まず、0.5パーセントの次亜塩素酸ナトリウム溶液をスプレーします。10分後に今度は70パーセントのアルコールを使用します。アルコールはよく燃えますので、火気に注意する必要があります。次亜塩素酸ナトリウム溶液についても塩素ガスを発生したり、脱色作用があったりします。薬品の使用に当たっては、注意が必要です。

☮夜尿症

5〜6歳を過ぎても夜間のお漏らしがある状態

夜尿症とは、肉体的にも知能的にも正常なのに、5〜6歳を過ぎても継続的に夜間のお漏らしがある状態。排泄(はいせつ)障害の1つで、遺尿症とも呼ばれます。

睡眠中に無意識に排尿してしまうのは、膀胱(ぼうこう)に尿がいっぱいになったのが自覚できなかったり、膀胱に尿が十分にたまっていないのに我慢できないために起こります。

乳児のお漏らしは当たり前のことで、成長するに連れて夜尿の回数は減っていき、ほとんど5〜6歳までにはなくなります。しかし、その年齢にはかなり個人差があり、5歳を過ぎて夜尿があっても、必ずしも病的というわけではありません。経過をみて、次第に回数が減ってくるようであれば、夜尿症として大騒ぎすることはありません。

一説では、5〜6歳児では約20パーセント、小学校低学年では約10パーセント、小学校高学年では約5パーセントに夜尿症がみられるとされています。男女別では、児童・学童では男子のほうが多く、成人では女性のほうに多いとされ、遺伝する傾向も指摘されています。

原因としては、いくつかのことが考えられています。一つには、排尿のメカニズムに関係する自律神経の緊張状態が考えられます。自律神経の一つである副交感神経が過敏で、排尿を促す信号をすぐに出してしまう状態です。二つ目は、普通は尿は夜間に作られる量が減るはずですが、ホルモンの調節が未熟で脳下垂体から出る抗利尿ホルモンが少ないため、夜中にもたくさんの尿ができるのも一つの原因と考えられています。

さらに、先天的に膀胱の容量が小さいことも、夜尿症の原因になります。これらの原因が発症者個人について、必ずしも明確にわかるわけではありません。

以上の原因のほかに、夜尿が尿路感染症や尿崩症の症状としてみられる場合があります。夜尿症の治療を希望する場合は、小児科の専門医を受診します。

夜尿症の検査と診断と治療

医師はまず、尿路感染症や尿崩症などの基礎疾患がないことを確かめた上で、夜尿症の治療に取り掛かります。

医師による治療では、原因を想定して、順次それに応じた対策を試みていくことになります。副交感神経が過敏なためと考えられる場合は、緊張状態を解くために三環系抗うつ剤や抗コリン剤、精神安定剤を試します。三環系抗うつ剤の有効率は40〜50パーセント程度で、飲んでいる時は尿意で起きたり、朝まで尿を我慢できるようになりますが、中止すると元に戻ることが多い薬です。

抗利尿ホルモンの分泌が少ないためと考えられる場合は、夜の就寝前に抗利尿ホルモンを投与します。これには点鼻薬があり、寝る前に鼻にスプレーするだけなので簡単に治療を行うことができます。有効率は40〜50パーセント程度で、尿量を減らす薬なので使用している時は夜尿は減りますが、短期間で中止すると元に戻ることも多い薬です。また、使用時に水分を取りすぎると水中毒という合併症を起こすため、使用2〜3時間前から次の朝まで水分を制限し、コップ一杯程度にする必要があります。

膀胱の容量が小さいためと考えられる場合は、昼間たくさん水を飲ませて、できるだけ排尿を我慢させる方法がとられます。また、排尿時に一時的に排尿をストップさせることにより、排尿をコントロールする訓練も行われます。

眠った後に無理やり起こして排尿させる方法は、目が覚めない状態で排尿するというパターンが身に着いてしまうといわれ、今は行われていません。尿が少し漏れるとアラームが鳴る夜尿アラームという装置が開発されており、有効であることがわかっています。夜尿アラームは睡眠中の膀胱容量を増やし、尿意により起きやすくする効果がある方法で、少なくとも3カ月間行い、有効率は約60パーセントです。ただし、アラームでは患児本人は起きないことがほとんどのため、家族が起こす必要があり、毎日行うとかなりの負担になります。

夜尿症が精神的、心理的原因で起きるという考え方は、今ではあまりいわれなくなりました。従って、育児に問題があるとか、何か心理的要因があるというふうに考える必要はありません。夜尿症は膀胱や排尿にかかわるメカニズムが未熟なために生じていることで、体の発育とともにいずれは治るのだという考え方が大切です。お漏らしをしたからといって子供をしからず、本人に引け目を感じさせないようにします。親や子供が神経質になって、治るものも治りにくくすることがあるので、注意が必要です。

☦藪チフス

ダニ類のツツガムシの幼虫に刺され、引き起こされる感染症

薮(やぶ)チフスとは、細菌のリケッチアを保有するダニ類のツツガムシの幼虫に刺されることによって、引き起こされる感染症。一般にはツツガムシ病と呼ばれます。

日本海側の河川領域にいるネズミに寄生するアカツツガムシの幼虫、日本海側の山林にいるネズミに寄生するフトゲツツガムシの幼虫、太平洋側の山林にいるネズミに寄生するタテツツガムシの幼虫に刺されることによって、薮チフスは引き起こされます。

かつては秋田県の雄物川、山形県の最上川、新潟県の阿賀野川、信濃川などの河川敷で、夏季にアシ原に多くみられるアカツツガムシの幼虫に刺されて感染する風土病(古典型薮チフス)でしたが、戦後はフトゲツツガムシ、タテツツガムシの幼虫に刺されて感染する新型薮チフスの出現により、北海道、沖縄県など一部の地域を除いて、全国で発症がみられるようになりました。

感染しやすい時期は、フトゲツツガムシの活動する春から初夏と、タテツツガムシおよびフトゲツツガムシの活動する秋から初冬の2つの時期で、近年は毎年500人程度の報告があります。1950年に伝染病予防法による薮チフス(ツツガムシ病)の届け出が始まり、1999年4月からは感染症法により4類感染症全数把握疾患として届け出が継続されています。

ツツガムシの生息場所は、草むら、藪、林の土の中。ツツガムシの幼虫は成長過程で一度地表に出て、アカネズミ、ハタネズミといった野ネズミなどの動物に吸着して組織液を吸います。その後は、土壌中で昆虫の卵などを摂食して生活します。

人間は、リケッチアを保有するツツガムシの幼虫に刺され、吸着されると、皮膚から感染します。潜伏期間は、5~14日で、人から人への感染はありません。

よく刺される部位は、頭髪部、わきの下、腰など。刺し口は、刺されてから2~3日で赤くはれ、4~5日で水疱(すいほう)、その後潰瘍(かいよう)となり、10日目ごろには周囲が赤い陥没した黒いかさぶたとなります。

刺されてから10日目前後から、全身の倦怠(けんたい)感、手足の痛み、頭痛を伴う発熱が起こります。高熱は1~2週間続き、発疹(はっしん)は2~5日間に現れます。径5mm前後、紅斑性、丘疹性で全身に出現しますが、胸、腹部、背部に多くみられます。7日程度で、発疹は消退に向かいます。

刺し口近くのリンパ節のはれは、ほとんどでみられ圧痛を伴います。全身のリンパ節のはれも、約半数にみられます。肝臓が大きくなる肝腫大と脾(ひ)臓が大きくなる脾腫大は通常、軽度です。

重症例では、播種(はしゅ)性血管内血液凝固症候群(DIC)による出血傾向、髄膜刺激症状、昏睡(こんすい)やけいれんなどの中枢神経症状、肝障害による黄疸(おうだん)、末梢(まっしょう)血管抵抗の弱まりや心筋障害による血圧低下、間質性肺炎や胸膜炎などを合併します。

重症例で治療が遅れると、多臓器不全で死亡することもあります。

発熱、刺し口、発疹があって、感染する可能性のある場所への立ち入り、発症した時期から薮チフスの可能性を疑ったら、直ちに治療を受けるべきです。発症後7日以後になると重症化の傾向が高いので、早期診断、早期治療が重要となるからです。

薮チフスの検査と診断と治療

内科、感染症内科、皮膚科の医師による診断では、一般検査で、細菌などに感染すると血液中で一気に増えるCRP(C反応性タンパク)強陽性、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)およびALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)などの肝酵素の上昇がほとんどの例にみられます。

確定診断は、主に間接蛍光抗体法または間接免疫ペルオキシダーゼ法という方法によって、リケッチアに対する血清抗体価の4倍以上の上昇、またはIgM(免疫グロブリンM)抗体の有意の上昇を測定することで行われます。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法などによって、リケッチアの遺伝子の検出も行うこともあります。検査所見は日本紅斑熱のものと類似するため、鑑別が必要となります。

内科、感染症内科、皮膚科の医師による治療では、テトラサイクリン系の抗菌薬(抗生物質)を第一選択として、点滴静脈内注射か内服で使用します。そのほか、クロラムフェニコールも使用されます。通常1~2日で速やかに解熱し、症状も軽快します。ただし、薬剤の投与は7~10日継続します。

細胞壁がペプチドグリカンを持たないというリケッチアの生物学的特性のため、ペニシリンを始めとするβ—ラクタム系抗菌薬は無効です。

薮チフス(ツツガムシ病)の予防ワクチンはないため、ダニ類のツツガムシの幼虫に刺されないことが、唯一の感染予防法です。

そのポイントは、レジャーや作業などで、草むらや藪などツツガムシの幼虫が多く生息する場所に入る時は、肌をできるだけ出さないように、長袖、長ズボン、手袋、足を完全に覆う靴などを着用することです。また、肌が出る部分には、人用の防虫スプレーを噴霧し、地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりしないように、敷物を敷きます。山野などから帰宅後は衣類を家の外で脱ぎ、すぐに入浴し体をよく洗って、新しい服に着替えます。

ツツガムシの幼虫に刺され、吸着された時は、つぶしたり無理に引き抜こうとせず、できるだけ病院で処理してもらうことです。

☪やぶにらみ

注視点に向かう両目の視線がずれている状態

やぶにらみとは、両目が見ようとする目標に向かわず、一方の目は目標に向いているのに、片方の目はよそを向いている状態。斜視とも呼ばれます。

よそを向く方向によって、内やぶにらみ、外やぶにらみ、上やぶにらみ、下やぶにらみ、回旋やぶにらみなどに区別されます。内やぶにらみでは、 右目または左目だけが内側(中心)を向いています。外やぶにらみでは、 右目または左目だけが外側を向いています。上やぶにらみでは、 右目または左目だけが上を向いています。下やぶにらみでは、 右目または左目だけが下を向いています。回旋やぶにらみでは、視野が時計回りか反時計回りかに回るようなずれ方をします。人間の目には、回転する円盤のような物を見た時にも視野をぶれなくする仕組みがあり、それに対応したやぶにらみが回旋やぶにらみです。どちらの目がよそを向くかは、人によってさまざまです。

また、やぶにらみの状態によって、恒常性やぶにらみ、間欠性やぶにらみ、隔日性やぶにらみに区別されます。恒常性やぶにらみでは、 常にやぶにらみの状態にあります。間欠性やぶにらみでは、時々視線がずれます。隔日性やぶにらみでは、やぶにらみの日とそうでない日が交互に現れます。

さらに、やぶにらみには両目で見ている時、明らかに視線がずれているやぶにらみと、ある種の検査によって初めてずれがわかる斜位(潜在性やぶにらみ)とがあります。

やぶにらみの自覚症状としては、その独特の目の動きのほか、物が二重に見える復視、眼精疲労、距離感がつかみにくいっといった空間知覚の異常、目の違和感、頭痛など、さまざまなものがあります。

一般に、やぶにらみは子供に多くみられます。特に、生後6カ月以内に発症した乳児内やぶにらみは、目の寄り方が大きく、目が外へ向かずに上を向いている上斜位を伴っていたり、やぶにらみになったほうの目が使われないので弱視になりやすいという特徴があります。その他、調節性内やぶにらみといい、遠視が強いために物を見ようと努力することによって、内やぶにらみになっているものがあります。

早期に治療を開始したほうがよく、早期発見のために母親などの十分な注意が必要となります。子供が物を見る時、顔を傾けて見る、あごを上げて見る、あごを下げて見る、片目をつぶって見るといったような、何らかの見づらそうな行動をとった時は要注意です。

斜位(潜在性やぶにらみ)は、左右の眼筋の均衡がとれていないために、眼球を正しい位置に保つのに努力がいる状態です。この斜位が軽度の場合は無症状のことが多いのですが、強度の人や軽度であっても神経質な人は、読書時の疲労や頭痛、時には、めまい、吐き気などを生じることがあります。

やぶにらみのようにみえても、眼科的にはやぶにらみではないものを偽やぶにらみといいます。特に、子供のころには、内やぶにらみにみえても実際には内やぶにらみではないものが多いようです。小さな子供で目頭に余分な皮膚がある状態があると、目の鼻寄りの白目の部分が皮膚で覆われるために、目が寄っているようにみえ、本当のやぶにらみか偽やぶにらみかわかりにくいことがあります。この場合、光の反射像が両目同じ位置にあればやぶにらみです。

やぶにらみの検査と診断と治療

子供の目に異変を感じたら、できるだけ早く専門医の診断を受けることが勧められます。

やぶにらみ(斜視)の治療では、まず眼鏡による屈折矯正が行われます。屈折矯正だけで治ることもありますが、症状によっては手術が必要になってくることもあります。手術の時期については、疾患の状態によって異なるものの、乳幼児やぶにらみでは2歳頃までの早期手術が勧められています。

手術では、目の筋肉のバランスを整えることでやぶにらみを治療します。例えば、外に目が向いている場合は、外についている筋肉を弱める、または内についている筋肉を強めれば、目の位置が正常に戻ります。子供の場合は全身麻酔が必要ですが、大人なら局所麻酔で入院なしに手術を行うことができます。手術では、1つの筋肉で30分程度を要します。術後は目が赤くなりますが、10~14日ほどで赤みは次第に消えていきます。

なお、成長期にある子供の場合には、内やぶにらみの手術後数年で外やぶにらみになることもありますし、外やぶにらみの手術後数年で内やぶにらみになってしまうこともありますので、再手術が必要になる可能性があることも考慮すべきです。

ボツリヌス毒素注射療法といって、ボツリヌス菌が出すボツリヌス毒素を注射して、筋肉の収縮を抑制させ、バランスをとってやぶにらみを治療する方法もあります。例えば、内やぶにらみの内直筋に注射すると、外側に目が動きます。治療効果が永続的でないため、繰り返し行う必要があります。

遠視が原因でやぶにらみが起こっている調節性内やぶにらみの場合は、まず遠視の眼鏡で矯正します。眼鏡で治らない部分については、手術を行います。

斜視のずれがわずかな斜位(潜在性やぶにらみ)が軽度の場合は、自覚症状がなければ治療の必要はありません。プリズム眼鏡と呼ばれる光線を曲げる眼鏡をかけることで、物が二重に見えるのを治療できることもあります。

2022/07/16

🇦🇫夜盲症

夜盲(やもう)症とは、夜間や暗い場所での視力、視野が著しく衰え、目がよく見えなくなる病気。俗に、鳥目(とりめ)と呼ばれます。

先天性では、幼児期より徐々に発症するものと、発症しても生涯進行しないものがあります。後天性では、ビタミンAの欠乏によって発症します。網膜にあって、夜間の視覚を担当するロドプシンという物質が、ビタミンAと補体から形成されているため、ビタミンA不足は夜間視力の低下につながるのです。

ビタミンA欠乏性の夜盲症以外の場合、治療法が確立しておらず、光刺激を防ぐ対策を必要とします。遮光眼鏡を使用したり、屋外での作業を控えるなどです。

ビタミンA欠乏性では、ビタミンAを多く含む食品を適度に取ること。ビタミンAには、レバーやウナギなど動物性のものに含まれるレチノールと、主に緑黄色野菜などの植物性食品に含まれβ-カロチンの2種類があります。ただし、過度に摂取するのは、ビタミンA中毒を引き起こすのでよくありません。

なお、鳥類はすべて鳥目と誤解されやすいようですが、ニワトリなどを除いて、夜間も視力を持つ鳥類は多いもの。フクロウ、ヨタカ、ゴイサギなど、夕方や夜に活動する鳥類も少なくありません。

🟧「酒のエナジードリンク割りは危険」、農水省が注意喚起 過去には中毒死も

 酒とエナジードリンクを一緒に飲むとカフェインの過剰摂取による健康被害につながりかねないとして、農林水産省が注意喚起しています。5月8日に問い合わせが相次いだことを受けての対応で、同省は直前に人気ユーチューバーが酒とエナジードリンクを一緒に飲む動画を投稿した影響とみています。 ...