中国の中南大学を中心とする国際共同研究チームは、「オプジーボ」や「キイトルーダ」といったがん免疫薬の投与は、午前中など早い時間帯に始めると効果が高いとする結果をまとめた。午後3時以降に投与した場合より、がんの増殖を抑えられていたという。他の研究でも同じ結果が得られれば、医療費を抑えながら治療効果を高められる可能性がある。
研究成果をイギリスの科学誌「ネイチャー・メディシン」に発表した。
患者自身の免疫細胞を活性化させてがんを治療するオプジーボなどのがん免疫薬は「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる。がん細胞によってブレーキをかけられた免疫の機能を解除し、強力な免疫細胞を覚醒させる。ただ非常に高い治療効果が出る患者がいる一方で、効果がみられない患者も多い。より多くの患者に効果が出るよう改良することが課題とされる。
研究チームは標準的な化学療法とがん免疫薬を併用する肺がん患者210人に対して、午前7時から午後2時までにがん免疫薬を投与する患者群と、午後3時から午後9時までの間に投与する患者群を無作為に振り分けた。約2年半にわたって治療効果などを追跡したところ、早い時間帯にがん免疫薬を投与する群のほうが、がんの増殖が抑えられ、患者の生存期間が長い傾向がみられた。
がんの増殖や進行を抑えられた期間は、早い時間帯に投与した患者群がおおむね11・3カ月程度、遅い時間帯に投与した患者群では同5・7カ月だった。がんが縮小した患者の割合も早い時間帯に投与した患者のほうが多かった。
患者の免疫細胞の状態を調べると、午前7時から午後2時までに治療を始めた患者では、がん細胞を攻撃する「キラーT細胞」が活性化している割合が高かった。他の研究でも、がん免疫薬の治療効果が高い患者では、血液中にキラーT細胞の数が多いことが知られている。
午前中に治療を開始するには病院の治療体制を整える必要があるが、研究チームは「医療システムに追加の負荷をかけず、簡単に治療効果を高められる可能性がある」としている。
ただ今回は中国内の患者を対象にした臨床試験のため、欧米や日本でも同様の結果が得られるか検証する必要もある。
免疫の活動が時間帯によって異なることはよく知られている。インフルエンザワクチンでは、午前にワクチンを接種したほうが午後に接種した場合よりも強い免疫がつきやすいという報告があるほか、花粉症やぜんそくなどのアレルギー症状も時間帯によって変わるとされる。
2026年2月4日(水)