2023/09/30

🟧乳がんの再発リスクを調べる遺伝子検査「オンコタイプDX」、9月から公的医療保険の対象に

 乳がん患者一人ひとりの再発リスクを数値で示す遺伝子検査「オンコタイプDX」が9月、公的医療保険で認められました。脱毛などの副作用がある抗がん剤治療が、手術後に必要かどうかの判断材料となります。検査はこれまで、約45万円かかる自費診療でした。保険適用で費用負担が軽減され、望む患者が受けやすくなりました。

 乳がんは日本の女性に最も多いがんで、2019年には新たに9万7142人が診断されました。女性の9人に1人が生涯にかかるとされています。

 治療の基本は手術となります。さらに、再発予防のため薬物治療を行います。

 どの薬を選ぶかは、がんのタイプで異なります。女性ホルモンと、「 HER2(ハーツー )」と呼ばれるタンパク質が、それぞれがんの増殖にかかわる「陽性」かどうかで、大きく4つに分かれます。

 ただ、その分類だけでは選択しづらいこともあります。特に、ホルモン陽性でHER2陰性の場合は悩む例が多いです。

 このタイプは、ホルモン療法のみか、抗がん剤を併用するかを選びます。抗がん剤は脱毛や吐き気などの副作用があります。このため、再発を防ぐ効果があると見込まれる患者にのみ併用するのが望ましいですが、その見極めが難しい患者が少なからずいます。

 新たに保険適用になった遺伝子検査「オンコタイプDX」は、このタイプのうち、わきの下のリンパ節転移が0~3個の患者が対象です。がん組織を調べて、再発に関わる21種類の遺伝子を解析、結果は0~100の数値「再発スコア」で示されます。点数が高いほど再発しやすく、抗がん剤の併用が勧められます。25以下は抗がん剤の効果はないため、原則、併用の必要性は低いと判定されます。

 検査費(公定価格)は43万5000円。3割負担だと13万500円です。所得によっては、医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度が適用され、さらに負担が抑えられます。製造販売元のエグザクトサイエンス(東京都千代田区)は、乳がん患者の約半数がこの検査の対象になるとみています。

 相良病院(鹿児島市)院長の大野真司さんは検査について、「再発のリスクや抗がん剤の効果を予測するものです。再発するかが確実にわかるわけではありませんが、病理検査と組み合わせて、より正確に抗がん剤治療の必要性を判断できます」と話しています。

 2023年9月30日(土)

🟧さいたま市、すべての市立中学校の校門にAEDを新たに設置へ

 12年前、小学6年生の女の子が心臓発作で死亡した事故を切っ掛けに自動体外式除細動器(AED)の普及を進めているさいたま市は、すべての市立中学校58校の校門にAEDを新たに設置することになりました。

 30日はさいたま市北区の日進中学校で市内の中学校に設置されるAEDの贈呈式が行われ、市内の酒造会社から清水勇人市長にAEDが手渡されました。

 30日は市立日進小6年だった12年前に駅伝選考会中に心臓発作で倒れて亡くなった桐田明日香さんの命日で、明日香さんが通うはずだった私立日進中学校で行われた贈呈式には母親の寿子さんも出席しました。

 この事故を切っ掛けにさいたま市は学校の校内へのAEDの普及を進めてきましたが、30日に寄贈されたAEDはすべての市立中学校の校門に設置する予定です。

 学校の屋外に屋外型収納ボックスに無施錠で入れたAEDを設置しておくことで、地域の人が夜間や休日も使えるようになるため24時間救命措置が可能になるということです。

 収納ボックスを開けると、本体の遠隔監視システムが作動し、位置情報などがさいたま市教育委員会に伝わるため故障や盗難などへの対応も可能。今後は詳細な利用マニュアルを定めるとしています。

 AEDを寄贈した西区の「小山本家酒造」の小山景市会長は、「地域に貢献したい思いで寄贈しました。同じような事故が起きないようにしてほしい」と話していました。

 明日香さんの母親の寿子さんは、「長年の願いだった24時間、誰もが使えるAEDの設置が決まり非常にうれしく思います。こうした取り組みを全国に広げてもらいたいです」と話しています。

 2023年9月30日(土)

🟧バングラデシュでデング熱が大流行 死者900人超で過去最悪

 バングラデシュでは、デング熱が大流行していて、亡くなった患者は900人を超えるなど過去最悪となっています。世界保健機関(WHO)は、気候変動を背景にデング熱のような蚊を媒介とする感染症が拡大していると警告しています。

 デング熱は蚊が媒介する感染症で、高熱や激しい頭痛、それに筋肉痛や関節痛などの症状が出ます。

 現地の保健当局によりますと、バングラデシュでは毎年、デング熱が流行しますが、今年は例年より早く4月下旬からデング熱が流行し、8月12日には一日で最多の約1万人が入院。9月18日までに過去最多となる計17万768人の感染、839人の死亡が確認されました。感染者の19%、死者の12%が15歳以下の子供といいます。

 この感染者数は、約6万2000人だった昨年の3倍近くで、過去最多の10万人超が感染し、164人が死亡した2019年を早くも上回っています。

 さらにWHOの9月24日時点の最新の統計などによりますと、死者数は過去最悪の909人となり、感染はバングラデシュ全国に広がり大流行しているということです。

 現地からの映像では、首都ダッカの病院に子供たちが多く入院し、母親とみられる女性が心配そうに寄り添っている姿も見られます。 

 バングラデシュの日本大使館も複数の日本人が感染したと連絡を受けているということで、肌の露出を少なくするなど感染予防を徹底するよう、注意喚起を出しています。

 WHOの専門家は、気温上昇など気候変動がもたらす影響によって、デング熱の流行が今後、世界規模で、感染者数が記録的な規模になる恐れがあると警告しています。

 WHOのデング熱対策の責任者であるラマン・ベラユダン博士は、今年7月の会見で「世界人口の約半数がデング熱の危険性にさらされ、感染が約129か国に広まっている可能性がある」と説明しました。

 さらに博士は、気候変動に加えて、人や物の移動、都市化や衛生環境の悪化などによりデング熱の流行が広がっているとしています。

 デング熱は、デングウイルスを持つ蚊に刺されることで発症する感染症で、初めての感染では重症化は多くないということですが、再び感染した場合などに重症化することもあり、早期に適切な治療を行うことが必要です。

 また、デング熱を媒介する蚊は降雨量が多い時だけでなく、干ばつの時でも繁殖することが可能で、感染を拡大させる恐れがあると指摘しました。

 2023年9月30日(土)

🟧マイナ保険証、医療費自己負担割合の誤表示5695件 厚労省が公表

 医療機関を受診した際に患者が窓口で支払う医療費の自己負担の割合について、医療機関用のシステムに誤って表示されるトラブルが全国で5700件近く確認されたことが、厚生労働省の調査でわかりました。

 マイナンバーカードと保険証を一体にしたマイナ保険証に合わせて整備が進められている医療機関用のシステムに、医療費の自己負担割合などが誤って表示されるトラブルが相次いだことから、厚労省は、健康保険を運営するすべての「保険者」を対象に調査を行いました。

 その結果、こうしたトラブルが全国で5695件確認されたということで、29日開かれた社会保障審議会・医療保険部会に報告されました。

 それによりますと、データの入力作業のミスなどが原因のケースが4000件余りで、残りはシステムに問題があったということです。

 各保険者が把握している正確な情報に基づき、データはすでに修正されているということで、窓口で本来より多く医療費を支払っていた場合も、すでに正しい負担割合で精算されているということです。

 厚労省は、再発防止に向けて入力作業のマニュアルをわかりやすくしたり、負担割合が正しく表示されているか定期的に確認できる仕組みを導入したりする方針です。

 厚労省は、再発防止に向けて入力作業のマニュアルを改定し、正しい手順を踏むよう保険者に要請します。保険者が把握する正確な情報とマイナ保険証で受診した際に表示される情報を照合し、チェックする仕組みも導入します。2024年夏までの対応を目指します。

 患者の不安に応えるための相談体制も整えます。患者が加入する保険者に氏名や生年月日、受診した医療機関と受診日を伝えれば、情報を確認します。過払いがあった場合は返金などの対応をとります。

 医療機関を受診した際の自己負担は、年齢や所得に応じて1〜3割に設定されています。

 2023年9月30日(土)

🟧研究者のチフス菌感染は実験室内 国立感染症研究所が調査結果を発表

 8月中旬、国立感染症研究所の研究者がチフス菌に感染した問題について、研究所は29日に、感染は実験室で起きたとみられると発表しました。研究所は、実験室での病原体の扱いについて、緊急の点検を行うなどして再発防止に努めるとしています。

 国立感染症研究所は、チフス菌の検査などの業務に当たっていた研究者が、8月11日に医療機関を受診して入院し、15日に腸チフスと診断された問題について、29日に感染の経路などを安全監視委員会が調査した報告書を発表しました。安全監視委員会は外部有識者らで構成され、問題発覚後、研究所に立ち入り調査しました。

 報告書によりますと、研究者から検出されたチフス菌と、研究所で取り扱っていたチフス菌の遺伝子を比較した結果などから、施設が原因の可能性は低く、感染は実験室内で起きたとみられるとしています。

 感染した原因は特定できなかったとしていますが、感染を防ぐための防護服の脱着や除染についてのマニュアルが作成されていなかったことや、病原体を取り扱う区域と、それ以外の区域が明確に分けられていなかったことなどが、感染につながったと考えられるとしています。

 研究者は20年以上病原体を扱うベテランだといい、報告書は「そのような者が無意識のうちに発症した事実は極めて深刻だ」と指摘しました。研究者は回復しつつあるが、今も入院中。

 チフス菌などを扱うレベルの実験室は、研究所自身や外部による監査の対象となっていないということで、研究所は、実験室での病原体の扱い方について緊急の点検を行うとともに、実験室の使用マニュアルを作成するなどして、再発防止を図ることにしています。

 国立感染症研究所の脇田隆字所長は、「感染研の近隣住民を始め、国民からの信頼を損ないかねない極めて重大な事故である。病原体等を取り扱うすべての職員が、再発防止策の迅速な実施に最大限努力する」とコメントしています。

 2023年9月30日(土)

2023/09/29

🟧新型コロナ感染、ピーク越えた可能性 前週比0・63倍、全国で減少

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、9月24日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が11・01人で、前の週の0・63倍となっています。

 厚生労働省は、「3週連続で前の週から減少しているほか、今回はすべての都道府県で減少していてピークアウトの可能性がある。今後も感染対策を続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、9月24日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から3万2164人減って5万4346人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は11・01人で前の週の0・63倍となりました。前の週から減少が続くのは3週連続で、すべての都道府県で減少しました。

 都道府県別では多い順に、愛知県が16・61人、岐阜県が15・24人、茨城県が14・53人、千葉県が14・43人、熊本県が12・74人などとなっています。少なかったのは山形県7・30人、香川県7・83人、福井県8・23人。

 このほか、9月24日までの1週間に新たに入院した人は全国で7685人で、前の週と比べて2288人の減少となりました。

 また、厚労省は29日、死亡診断書を基に集計した7月の新型コロナ関連死者数が2460人だったと明らかにしました。6月よりも800人以上増えました。担当者は「感染者数の増加に伴い、同じような割合で死者も増えた」と説明しています。

 2023年9月29日(金)

🟧八戸市の駅弁食中毒、29都道府県497人に増加

 青森県八戸市保健所は29日、同市の駅弁製造会社「吉田屋」の弁当を原因とする食中毒で、28日時点で29都道府県の497人の患者を確認したと発表しました。27日時点では489人でした。

 市保健所によると、都道府県別で長野県が加わったほか、各地で新たな患者が判明しました。埼玉県、東京都、福岡県、熊本県で過去の報告分からそれぞれ1人を取り下げました。重複集計があったとしています。

 吉田屋は23日から営業禁止処分中。患者が食べた弁当数は28日時点で21種類に上りました。

 2023年9月29日(金)

🟧せき止め薬の最少日数の処方を要請 供給不足受け厚労省

 新型コロナウイルスやインフルエンザの感染拡大で、せき止め薬と去痰薬が供給不足になっているとして、厚生労働省は29日、医師が必要と判断した患者に最少日数分を適切に処方することなどを医療機関や薬局に要請するよう依頼する事務連絡を都道府県に出しました。

 事務連絡では、主要なせき止め薬はコロナ流行前の約85%まで生産量が低下し、メーカーで増産対応を取っていると説明。適切な処方のほか、残薬を有効活用することや、過剰な発注を控えるよう呼び掛けました。対象品目は例示せず、医師らの判断に委ねます。

 解熱鎮痛薬はコロナ禍前の出荷数を上回っており、不足は生じていないと説明しています。

 武見敬三厚労相は事務連絡に先立って開いた閣議後の記者会見で、せき止めや去痰薬について「医師が必要と判断した患者に、最少日数での処方に努めていただく」との考えを示し、「国民に必要な医薬品が確実に届けられるよう、しっかり対応していく」と述べました。

 2023年9月29日(金)

🟧インフルエンザ感染、9月では異例の高水準続く 沖縄県が全国最多

 厚生労働省は29日、全国約5000の定点医療機関から18~24日の1週間に新たに報告されたインフルエンザの感染者数は3万5021人だったと発表しました。1医療機関当たりの平均は7・09人で、このデータを基に推計される、この1週間の全国の感染者数は約25万8000人。前週比1・01倍でほぼ横ばいですが、9月としては異例の高水準が続いています。

 23都府県で増加しました。医療機関当たりの感染者数が最も多かったのは沖縄県22・46人で、続いて千葉県15・14人、愛媛県14・07人、宮崎県14・00人、大分県が13・79人でした。少なかったのは青森県0・33人、岩手県0・89人など。流行の「注意報」レベルの10人を超えたのは9都県。

 休校や学級閉鎖などになったのは、全国で計1569施設でした。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「感染者の数は、前の週までは毎週、2倍近いペースで増えていたが、今回、横ばいとなった。爆発的な感染拡大の兆候はまだ見られていないが、季節外れの流行が起きないか推移を注視する必要がある」と話しています。

 一方、沖縄県は29日、インフルエンザの定点把握状況を発表。18〜24日の1週間に報告された1定点医療機関当たりのインフルエンザ患者数は22.・46人。同じ期間の全国平均は7・09人で、沖縄県が47都道府県で最も多く流行しています。県はインフルエンザ流行注意報を発表中で、感染拡大による学級閉鎖も広がっています。

 保健所管内別で最も流行しているのは八重山で39・33人、次いで那覇市で31・25人、宮古23・25人、中部19・94人、南部18・93人、北部8・60人。八重山と那覇市は「流行警報」発表水準の30人を超え、急拡大しています。

 沖縄県教育委員会によると、県内の公立小中高で17〜23日の1週間にインフルエンザ感染拡大のため学級閉鎖したのは小学校9学級、中学校10学級、高校10学級の計29学級。学年閉鎖は小学校6学年、中学校2学年の計8学年。学校閉鎖も高校で1校ありました。

 2023年9月29日(金)

🟧赤ちゃんポスト、東京都内の病院が導入準備 内密出産も実施へ

 親が育てられない乳幼児を匿名で預かる、いわゆる「赤ちゃんポスト」について東京都墨田区の病院が来年度の設置に向けて準備を進めていることがわかりました。今後、東京都や墨田区と具体的な協議を進めていくとしています。

 東京都墨田区の社会福祉法人「賛育会」は、産科などがある区内の「賛育会病院」にいわゆる「赤ちゃんポスト」を設置する方針を明らかにしました。

 運用の開始は来年度中を目指していて、妊婦が医療機関だけに名前や連絡先などを明かして出産する「内密出産」などの事業も実施したいとしています。

 貧困や虐待などを背景に予期しない妊娠や孤立出産の悩みを抱える女性が増え、赤ちゃんを遺棄する事件が相次いでいることなどを受け、数年前から検討を重ねてきたとして、今後、東京都や墨田区と具体的な協議を進めていくとしています。

 賛育会によりますと、設置が実現すれば医療機関としては熊本市の慈恵病院に続き、全国で2例目になるということです。

 賛育会は、「全国で痛ましい事件が相次いでおり、母親と赤ちゃんを守るセーフティーネットにならなければいけないと決断しました。このプロジェクトは行政の援助がなければできません。来年度中の開始に向けて今後も粛々と準備を継続してまいります」としています。

 東京都によりますと、今年5月に墨田区の賛育会病院側から区を通して連絡があり、これまでに数回、都や区、それに病院の担当者が参加して打ち合わせが行われたということです。

 この打ち合わせに際しては、病院側から来年度中に「赤ちゃんポスト」や「内密出産」などの事業を実施したいという考えや、行政との連携について相談したいという意向が示されたということです。

 都は、子供の戸籍の作成や、生活場所の確保などが課題になると病院側に伝えたということです。

 都の担当者は、「都は人口が集中しているため利用規模も大きくなる可能性があり慎重な検討が必要」とした上で、「病院側から具体的な事業計画が提出されれば、対応を考えていく」としています。

 いわゆる「赤ちゃんポスト」は、親が育てられない子供を匿名で受け入れるもので、日本では、16年前の2007年に、熊本市の「慈恵病院」に、「こうのとりのゆりかご」という名前で設置されました。

 医療機関が設置するものとしては現在も国内では唯一の「赤ちゃんポスト」となっていて、昨年度までの16年間で合わせて170人が預けられたとされています。

 一方、北海道では当別町の女性が昨年5月に「赤ちゃんポスト」の設置を公表していますが、道は医療提供体制が不十分だとして運用をやめるよう要請しています。

 都内でも、江東区の医療法人社団「モルゲンロート」は来年秋を目指し、区内に産婦人科を新たに開設した上で、施設にいわゆる「赤ちゃんポスト」を設置したいとしています。

 医療法人は現在、用地の取得を目指していて、江東区によりますと、今年5月、区長にあてて区内での用地取得に向けた支援を求める要望書が届いたものの、区は「一民間事業者の事業に直接的な支援を行うことは困難だ」と回答したということです。

 その後、「赤ちゃんポスト」の設置に向けた具体的な協議には至っていないということです。

 東京都の小池百合子知事は記者会見で、「子供の命が失われるということはなくさなければならない。東京は人が集まるところで困っているいろいろな人が東京を目指すことも想定して準備もしなければならないのではないか」と述べました。

 その上で、「墨田区とも連携して、預かる赤ちゃんを守っていく体制をしっかり整えないといけなくなるのではないか。現在、賛育会病院に詳細な説明を求めているところだ」と述べました。

 一方、小池知事は「『赤ちゃんポスト』という名称も少し考えたほうがいいのではないか。何かちょっと安易だが、『子殺し』につながるよりはいいと思う。どれがいいか悪いかも超えて、命を守るという点で重みも必要なのではないか」と述べました。

 東京と墨田区の「賛育会」は、東京都や長野県、それに静岡県で病院や特別養護老人ホーム、それに保育園などを運営する社会福祉法人です。

 墨田区にある「賛育会病院」は病床数199で、産科や婦人科、小児科などがあり、東京都の地域周産期母子医療センターにも指定されています。

 賛育会は、数年前から勉強会を開くなど検討を進め、昨年11月に正式に方針を決め、プロジェクトチームをつくり、準備を本格化させてきました。

 プロジェクトはいわゆる「赤ちゃんポスト」のほか、「内密出産」や妊娠SOS相談といった3つの事業が計画されていて、いずれも来年度中の運用開始を目指しているということです。

 東京都で事業を行う意義について賛育会は、現在「赤ちゃんポスト」を設置している、熊本市の「慈恵病院」には関東地方から訪れる人も多いため必要性は高いとしています。

 一方で、実施に向けた課題もあります。預けられた子供の養育を将来どうするかや戸籍の作成、さらに出産前後の母親の支援体制をどうするかなど、行政側との連携が不可欠です。

また、子供自身の「出自を知る権利」も課題とされています。

 熊本市の「慈恵病院」ではいわゆる「赤ちゃんポスト」に加え、2019年に「内密出産」を独自に導入していますが、預けられたり「内密出産」で生まれたりした子供の出自情報の開示をどのようにしていくか、熊本市と共同で検討を進めています。

 2023年9月29日(金)

2023/09/28

🟧水俣病訴訟、救済法対象外の原告全員を水俣病と認定 大阪地裁

 水俣病の未認定患者に一時金などを支給する水俣病被害者救済法で救済されないのは不当だとして、近畿など13府県に住む熊本県と鹿児島県出身の50~80歳代の128人が、国と熊本県、原因企業のチッソに1人当たり450万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地方裁判所でありました。

 達野ゆき裁判長は、原告全員の請求を認めて水俣病と認定し、国などに1人当たり275万円、合わせて約3億5000万円の賠償を命じました。このうち6人については、国と熊本県に責任が生じる1960年1月より前にメチル水銀を摂取していたとして、チッソにのみ賠償を命じました。

 救済法で対象外とされた未認定患者らの集団訴訟は熊本地裁で約1400人、東京地裁で約80人、新潟地裁(原因企業は昭和電工)で約150人が係争中。大阪地裁の判決が初の司法判断となりました。原告らを幅広く水俣病と認め、救済法の運用見直しを迫る形となりました。

 水俣病は1956年に公式確認された公害病で、熊本県水俣市のチッソ水俣工場から海に排出されたメチル水銀に汚染された魚介類を食べた住民らが発症しました。その後、進められた被害者の救済について、最終解決を図る目的で2009年に施行されたのが救済法です。

 救済法では、手足の感覚障害など一定の症状が認められた上、水俣湾を中心とする「熊本、鹿児島県の9市町」に居住歴があり、メチル水銀の排出が停止された翌年の1969年11月末までに生まれた人を対象としました。一時金210万円や医療費が支給され、申請は2012年7月末で締め切られました。

 大阪訴訟では、申請から漏れたり、期限を知らずに申請できなかったりした人が2014年9月以降、順次提訴しました。中学や高校卒業まで熊本県か鹿児島県で暮らし、汚染された魚介類を食べて感覚障害を発症したとし、精神的苦痛を受けたと主張しました。

 訴訟では、救済法が線引きする居住歴と年齢の妥当性のほか、不法行為から20年の経過で損害賠償の請求権が消滅する「除斥期間」が適用されるかどうかが争われました。

 2023年9月28日(木)

🟧悪性度高い大腸がん、転移促進するタンパク質解明 京都大などの研究チーム

 治療が難しく、転移しやすい高悪性度の大腸がんでは、がん細胞の周辺に多く含まれる特定のタンパク質が転移を促進していることを、京都大などの研究チームが突き止めました。このタンパク質は、骨髄で作られて腫瘍に集まる免疫細胞から多く分泌されていることも判明。このタンパク質の発生を抑えられれば、がんの転移を効果的に抑制する可能性があるとしています。論文は25日、イギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に掲載されました。

 このタンパク質は、悪性度の高い大腸がんのうち、がん細胞以外の「腫瘍間質」に多く含まれる「トロンボスポンジン1」(THBS1)。遺伝子操作でTHBS1を分泌しないようにしたマウスの大腸に、研究チームががん細胞を移植したところ、免疫細胞が活性化して転移が抑制され、生存期間が延びました。

 このマウスに、正常なマウスの骨髄細胞を移植したところ、THBS1が分泌されるようになり、再び転移が見られるようになりました。

 THBS1を作るのは骨髄でできる免疫細胞の一種で、大腸がんを取り巻く組織から出るケモカインという物質に反応して集まってくる一方で、がんを攻撃せず、逆に保護する動きをすることも判明。ケモカインの働きを抑える化合物を大腸がんのマウスに投与するとTHBS1が減り、がんの転移は大幅に抑えられました。

 研究チームの京都大大学院医学研究科、中西祐貴助教は、「大腸がんは転移すると生存率が低下する。THBS1を標的にした大腸がん治療法の開発だけでなく、ほかのがんの転移抑制にもつなげたい」と話しています。 

 大腸がんは国内では年間約15万人が新たに発症しています。内視鏡検査などで早期発見して取り除けば高い確率で治癒するものの、大腸がんの約2割は転移しやすいタイプとされ、治療の妨げになっています。

 2023年9月28日(木)

🟧東京都、新型コロナ感染者数が前週から半減 診療日数減少が影響か

 東京都の新型コロナの感染者数は、1医療機関当たり8・89人で、前の週の約55%とほぼ半数に減少したものの、専門家は「祝日に伴い医療機関の診療日数が減り、低めの数値となっている可能性がある」として、基本的な感染対策の継続を呼び掛けました。

 都は28日、都内の新型コロナの感染状況について、モニタリング項目を発表しました。それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、415カ所から報告があり、9月24日までの1週間の感染者数は合わせて3688人で、1医療機関当たり8・89人でした。

 これは前の週の16・04人の約55%となり、大きく減少しました。感染者報告数が減少するのは3週連続です。年代別にみると、10歳代以下が大きく減少し、前の週の半分以下となっています。

 また、9月25日時点での入院患者数は1769人で、前の週より483人減りました。

 専門家は、「先週は月曜と土曜が祝日で休診のところもあり、低めの数値となっている可能性があり注意が必要だ。インフルエンザなどの受診者が増加してきており、医療提供体制への負担が長期化している」などと指摘し、基本的な感染対策の継続を呼び掛けました。

 2023年9月28日(木)

🟧介護費用、最多の11兆1912億円 サービス利用者も最多、2022年度

 介護保険制度で2022年度にかかった介護費用(介護給付費と自己負担)の総額は11兆1912億円となり、過去最多を更新しました。前年度より約1621億円(1・5%)増えました。厚生労働省が26日に発表しました。

 介護保険制度は2000年に始まったものの、介護費用の総額は増加傾向にあり、2018年度に10兆円、2021年度に11兆円を突破。2022年度は、2001年度(4兆3783億円)の約2・6倍となりました。

 サービスの利用者も前年度に比べて14万2700人多い652万4400人となり、過去最多でした。うち介護度の軽い要支援1、2の人が受ける介護予防サービスの利用者は約118万4700人(前年度比4万400人増)、必要な介護の度合いが高い人(要介護1~5)が受ける介護サービスの利用者は約559万1600人(前年度比12万3000人増)でした。サービス別で見ると、施設サービスよりも、訪問介護や短期入所といった居宅サービスの増加率が大きくなりました。

 受給者1人当たりの費用は17万5500円(2023年4月分)で、前年比2700円増えました。

 2023年9月28日(木)

🟧認知症新薬「レカネマブ」、12月保険適用へ 年間市場規模は1500億円超

 アルツハイマー病の原因物質に直接働き掛ける新薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」が正式に承認されたことを受けて、中央社会保険医療協議会(中医協)は、12月下旬までに公的医療保険を適用することを目指し、価格の算定を進める方針を確認しました。

 日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、認知症の原因の1つアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」について、中医協は27日の総会で、保険適用と価格の算定を巡る議論を始めました。

 アメリカでは年間の価格が1人当たりの平均で約390万円に設定されていて、厚生労働省は、患者の数などによっては、年間の市場規模が1500億円を超える可能性があるなどと説明しました。

 これに対して委員からは、薬の効果への期待が大きいとして、安全性を担保した上で保険の適用を求める意見が出された一方、「保険財政への負担が極めて大きいため、対象となる患者や、投与の期間などを適切にすべきだ」といった意見も出されました。

 そして、25日の正式承認から90日となる12月24日までに保険適用にすることを目指し、価格の算定を進めていく方針を確認しました。

 アルツハイマー病の新たな治療薬を巡っては、このほか、アメリカの製薬大手「イーライリリー」が26日、開発中のアルツハイマー病の新薬「ドナネマブ」について、日本国内での承認を求める申請を行ったことを明らかにしています。

 2023年9月28日(木)

🟧厚労省、薬の審査機関をアメリカに開設へ 「ドラッグロス」解消を目指す

 厚生労働省は2024年度中に、薬の承認審査を担う「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」の海外戦略を強化し、アメリカに拠点を開設する方針を固めました。現地の創薬ベンチャーに日本での開発を働き掛け、承認申請の相談などに無料で応じます。アメリカ食品医薬品局(FDA)とも緊密に連携し、欧米で承認された薬が日本で開発されず使えない「ドラッグロス」の解消を目指します。

 PMDAは、厚労省所管の独立行政法人で、開設するアメリカ事務所の候補地には、首都ワシントンが挙がっています。日本人職員に現地スタッフを加えて、数人置く予定です。

 アメリカ事務所は、日本での申請や開発が難しいといった誤解を解くため、創薬ベンチャーの経営者らが集まる商談会や学会に参加し、英語で情報発信します。日本の魅力として、承認までに必要な臨床試験や手続きにアメリカと共通点が多いことや、効果が高い薬を迅速に承認する制度が整備されていることなどをPRします。

 日本でも薬の承認を得ることを希望する場合、安全性や有効性を確かめる治験の進め方などについて相談に応じます。日本からアメリカに職員を派遣したり、オンラインで対応したりします。

 厚労省は2024年度予算の概算要求に6600万円の関連予算を盛り込みました。

 厚労省などによると、近年、欧米で承認されていても日本では承認されていない薬が増えています。欧米で2016~2020年に承認されたものでは、がんや難病などの分野で86品目(今年3月時点)に上り、このうち創薬ベンチャーの製品が56%(48品目)を占めています。

 創薬ベンチャーは、アメリカやヨーロッパでの承認取得にとどまるケースが多く、アメリカ、中国に次ぐ約10兆円の市場規模がある日本に進出しない背景として、「言葉の壁」などが指摘されています。

 厚労省は、アメリカ事務所を拠点に、国として現地企業との関係づくりを進め、日本での医薬品開発を積極的に促していく考えで、承認申請に至るまで「伴走者」として支援します。

 PMDAの海外拠点は2024年度中にアジアにも開設することが検討されており、タイ・バンコクが想定されています。

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、 厚生労働省から委託を受け、医薬品や医療機器、再生医療製品の承認審査などを担う機関。治験の内容や承認申請に関する助言も企業や大学・研究機関に行います。2004年に設立され、2023年4月時点で職員数は1044人、うち審査部門は623人。

 2023年9月28日(木)

2023/09/27

🟧八戸市の駅弁食中毒、26都道県394人に拡大 10人入院、重症者なし

 青森県八戸市保健所は26日、同市の駅弁製造会社「吉田屋」の弁当を原因とする食中毒で、25日時点で26都道県394人の患者を確認したと発表しました。23日に発表した21都県270人から北海道、岩手、愛知、徳島、熊本の5道県が加わったほか、各都県で新たに患者が判明しました。

 394人のうち入院者は10人で、9人はすでに退院ずみ。残る1人も27日に退院予定。重症者の報告はないといいます。

 また、食中毒が出た15日製造分の米飯約700キログラム(約3000食相当)を岩手県の業者から搬入した際、吉田屋の担当者が「いつもより熱く、45度だった」と話していることも保健所の聞き取りで判明しました。

 吉田屋では米飯を30度まで冷ましてから弁当に盛り付けることになっており、担当者は真空冷却機で中心温度を45度から30度まで冷ましてから盛り付けを始めたといいます。

 保健所によると、45度は菌が繁殖しやすい温度で、今後、米飯の温度と食中毒の因果関係を調査します。

 一方、保健所は岩手県の業者の施設について、衛生管理に問題はなかったと明らかにしています。

 2023年9月27日(水)

🟧プール熱の患者数、過去10年間で最多を更新 5週連続増加

 子供がかかりやすく、高熱や結膜炎などの症状が出る、いわゆる「プール熱」の患者が、過去10年間で最も多くなったことがわかりました。 

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は子供を中心に高熱やのどの痛み、結膜炎などの症状を起こすアデノウイルスによる感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、プールでの接触やタオルの共用を介して感染することもあります。

 国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関で、9月17日までの1週間に報告された患者は、前の週から570人余り増えて4539人で、前の週から5週連続で増えました。1医療機関当たりの患者数は1・45人で、過去10年間で最も多くなった前の週の1・26人をさらに上回りました。

 都道府県別でみると、1医療機関当たりの患者が最も多いのは福岡県で4・65人、次いで大阪府が4・09人で、警報レベルとされる「3・0人」を超えていて、京都府が2・95人、奈良県が2・88人などとなっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「この感染症は5歳未満の子が感染することが多いが、今年はこの3年間でウイルスに感染してこなかった上の年齢の子にも広がっている。症状がある時は登園や登校を避け、手洗いやマスクの着用など対策を心掛けてほしい」と話しています。

 2023年9月27日(水)

🟧沖縄県の玉城知事、県庁のPFAS流出を陳謝 発生から3カ月以上未公表

 沖縄県庁(那覇市泉崎)の地下駐車場で6月に有害な有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を含む泡消火剤が放出され、庁舎外にも流出した問題で、玉城デニー知事は27日未明、開会中の県議会本会議で流出の経緯を説明し、事案発生から3カ月以上公表していなかったことについて「県民に多大な不安を与えたこと、報告が遅れたことについておわび申し上げる」と陳謝しました。 

 県管財課によると、6月18日早朝、県庁地下2階駐車場で消火設備のスプリンクラーが老朽化で誤作動し、PFASの一種のPFOS(ピーフォス)などを含む泡消火剤約900リットルが放出されました。一部は回収したものの、残りは地下2階の貯水槽に流れ込みました。

 担当課は、貯水槽内の水は庁舎外に排出されないと判断し、設備の点検業者と処分先や回収方法を検討していました。しかし、9月12日に貯水槽内を確認したところ、水位が低下しており、泡消火剤を含む水が庁舎外に流出したことが判明しました。台風などの大雨の流入で自動排水機能が作動したことが原因とみられます。

  9月19日に貯水槽内の水を採取してPFASの濃度を分析したところ、国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を大幅に上回る1リットル当たり2万4000ナノグラムの高濃度で検出されました。庁舎外の排水溝の水からも、1リットル当たり6600ナノグラムの高濃度で検出されました。一方、近くを流れる久茂地(くもじ)川の水は1リットル当たり34ナノグラムで、暫定目標値は下回りました。

 県によると、消火設備の容器内は2010年にPFOSなどを含まない泡消火剤に交換していたものの、配管内にPFOSを含む泡消火剤が残留していました。宮城力総務部長は27日午後に記者会見し、「6月の段階で公表すべきだったと反省している」と話しました。

 県議会で知事の説明を聞いた自民県議は、「アメリカ軍基地で(PFASの流出が)起きた時に、いの一番に抗議し、原因究明を求めてきたのが知事のスタンスだ。足元の県庁で起きたことについて隠蔽(いんぺい)に近いやり方をするのは言語道断だ」と批判しました。

 県議会は26日午前に9月定例会が開会しましたが、県政野党の自民がPFAS流出について玉城知事からの説明を求め、調整に時間がかかりました。その間に、県政与党会派の一部県議と退勤した県職員が県議会内の会派室で酒の提供を伴う会合を開いていたことが発覚。事実関係の確認のため空転し、玉城知事の説明は27日未明にずれ込みました。

 2023年9月27日(水)

🟧埼玉県、新型コロナ感染者が前週の約半分に減少

 埼玉県内の新型コロナウイルスの新たな感染者の数は、1医療機関当たり12・62人で前の週のおよそ半分に減少しました。

 埼玉県が27日発表した新型コロナの感染状況によりますと、9月18日から24日までの1週間に定点把握の対象となっている261の医療機関から報告のあった新たな感染者数は3268人でした。

 1医療機関当たりでは12・62人で、24・98人だった前の週と比べておよそ半分に減少しました。

 世代別にみると、10歳代が844人と最も多く、10歳未満が521人と続いていますが、すべての世代で前の週よりも減少したということです。

 県は感染者数が減少傾向に転じているものの、高齢者や基礎疾患がある人にとっては重症化リスクが高いとして、体調が悪い時は外出を控えるなど引き続き感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2023年9月27日(水)

🟧調査委が検証結果公表、早期治療で「救命の可能性」 愛知県愛西市でコロナワクチン接種直後に女性死亡

 昨年11月、愛知県で新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた女性が、接種直後に死亡した問題で、専門家による調査委員会は、女性は重いアレルギー反応を起こしていた可能性が高く、早期に治療薬を投与していれば、救命できた可能性は否定できないなどとする検証結果を公表しました。

 昨年11月5日、愛知県愛西市の集団接種会場で、新型コロナワクチンの4回目の接種を受けた飯岡綾乃さん(当時42)が接種直後、息苦しさを訴えた後、容体が急変し、死亡しました。

 これを受けて、愛西市は、専門家による「医療事故調査委員会」で原因の調査を進め、26日に報告書を公表しました。

 報告書では、当時の飯岡さんの状態について、接種後の経過観察中にせきが出始め、その後、息苦しさを強く訴え、症状が出始めてから10分後に心停止となっていることから、重いアレルギー反応の「アナフィラキシーを起こしていた可能性が高い」としています。

 そして、当時、医師がアナフィラキシーの治療薬のアドレナリンを投与しなかったことは標準的ではないと指摘した上で、「早期にアドレナリンが投与された場合、救命できた可能性を否定できず、投与されなかったことの影響は大きい」としています。

 また、接種会場の体制について、接種を始める前に、医師と看護師が集まって、急変時の対応の確認などが行われず、救命のためのチームワークが十分実行されなかったと指摘しています。

 調査委員会では、再発防止策として、接種後に呼吸困難を訴えた場合は、アナフィラキシーを想定して直ちにアドレナリンを注射することや、接種開始前に医師や看護師らがあらかじめ情報を共有する時間を確保し、アナフィラキシーへの対応を確認しておくことなどを提言しています。

 2023年9月27日(水)

2023/09/26

🟧北朝鮮が外国人の入国を許可、「外貨」目的に再開か 中国中央テレビ報道

 新型コロナウイルスの感染拡大の後、厳しく制限されてきた北朝鮮への入国を巡り、中国の国営テレビは、北朝鮮が25日から外国人の入国を許可したと伝えました。

 これは、国営の中国中央テレビが北朝鮮当局の情報として25日伝えたもので、入国後には、2日間の隔離が義務付けられるとしています。

 北朝鮮は、新型コロナの感染対策として2020年1月に国境管理を厳しくし、外交官を含む外国人や自国民の入国を厳しく制限してきましたが、国境を越えた人の往来を段階的に再開していて、中国で開かれているアジア大会には、200人近い選手団を派遣しています。

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、最高人民会議(国会)常任委員会は8月30日、観光法に関する政令を採択しました。外国人観光客の受け入れ再開への布石だったとみられます。新型コロナ禍前の2018年に北朝鮮を訪れた外国人観光客は約20万人で、9割以上が中国人でした。

 中国外務省によると、王亜軍(ワンヤージュン)駐北朝鮮大使が9月21日、北朝鮮の国家観光総局長と会談し、中朝間の人的往来の早期正常化を期待するとともに、観光交流や協力を強める考えを示していました。

 また、北朝鮮は、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が今月、4年ぶりに訪問したロシアとの間でも経済協力を拡大する方針を強調しています。

 北朝鮮としては、後ろ盾の中ロ両国を中心に外国との人の往来を活発化させることで、長引く経済制裁などで打撃を受ける経済の立て直しや、外貨の獲得を図る狙いがあるとみられます。

 2023年9月26日(火)

🟧イギリス・ロンドン近郊の空港で管制官が相次ぎコロナ感染 164便が欠航へ

 イギリスのロンドン近郊にあるガトウィック空港で、管制官らが相次いで新型コロナウイルスに感染するなどして勤務できなくなり、10月1日までの発着便のうち160便余りが欠航することになりました。

 ガトウィック空港が25日に発表したところによりますと、管制に携わる職員の約3割が新型コロナウイルスに感染するなどして体調を崩し、勤務できない状態となりました。

 その結果、発着便の数を1日800便に制限することになり、10月1日までに合わせて164便の欠航が決まったということです。

 声明の中で空港側は謝罪した上で「困難な決断だったが、航空会社は信頼できる計画に基づいて運航し、乗客は出発直前に便が欠航する事態に直面しなくてすむようになる」と説明しています。

 また、イギリス国内の航空管制を担っている全国航空管制サービスは、「夏の繁忙期が終われば状況は改善される」として、今後は管制官の増員に向け育成に当たるとしています。

 ガトウィック空港では、日本との直行便は運航していないものの、ヨーロッパ各国と結ぶ格安航空会社の便が多く運航され、年間の乗降客数は国内で2番目に多くなっています。

 イギリス政府によりますと、イングランドでは一時1日に200人程度にまで減っていた新型コロナの新規の感染者数が、9月は連日1000人を超えるようになっています。

 2023年9月26日(火)

🟧第三者の卵子提供で出産、10年で12人 NPO法人「出自を知る権利」整備を

 卵子がないことが原因の不妊症の女性に、国内の第三者からの無償の卵子提供を仲介するNPO法人「OD―NET」(神戸市)は25日、提供卵子による体外受精が過去10年で15人に行われ、計12人の子供が生まれたと発表しました。日本では法整備が進まず、生まれてきた子供の「出自を知る権利」の保障などが課題になっています。

 若いころに月経がなくなるなどして、医師に卵子がないと診断された32~44歳の15人に対して、提供された卵子と夫の精子を体外受精させて子宮に戻しました。12人が出産し、1人が妊娠継続中だといいます。生まれた子供は全員健康だといいます。最初の出産のケースは2017年に発表していました。

 OD―NETは2013年に提供者(ドナー)の募集を開始。今年9月までに464人から問い合わせがあり、35歳未満などの条件を満たした累計数十人が卵子のドナーとして登録したといいます。

 生まれた子供が18歳になり、その子が望めば、氏名、生年月日、提供当時の住所などドナーの情報を伝えるといいます。ドナーに対しては、検査や採卵、カウンセリングなどのための交通費や仕事を休んだ場合の補償を支払うものの、提供そのものは無償で行います。提供を受けることを望む人に対して、ドナーの数が少なく、現在は新規の受け入れは停止しているといいます。

 国内での第三者からの卵子提供については、国の制度や法律の整備が十分に進んでいないことが課題となっています。

 OD―NETの岸本佐智子理事長は、「海外では卵子ドナーは多いと聞いているが、日本ではドナーが少ない状況だ。提供を受けたい患者は多いが対応しきれていない。早く安心して医療を受けられる体制づくりを進めてほしい」と話しています。

 2023年9月26日(火)

🟧国内初のRSウイルス感染症のワクチン承認、厚労省 60歳以上が対象

 乳幼児や高齢者が感染すると重い肺炎になることもある、RSウイルス感染症。そのRSウイルス感染症の発症や重症化を防ぐ効果が期待される、60歳以上が対象のワクチンの製造販売について25日、日本で初めて承認されたと、製薬メーカー、グラクソ・スミスクラインが発表しました。

 25日、日本での製造販売が認められたのは、イギリスに本社を置く製薬会社、グラクソ・スミスクラインのRSウイルス感染症ワクチン「アレックスビー」です。

 接種の対象は60歳以上で、今年5月には世界で初めてアメリカで、その後、ヨーロッパ、イギリス、カナダですでに承認されています。

 ワクチンはウイルスの一部を基に作った「組み換えタンパクワクチン」と呼ばれるタイプで、筋肉注射することで、RSウイルスによる感染症の発症や重症化を予防します。

 治験では、ワクチンを接種した人の94・1%が重症化が低減し、全体的なワクチンの有効性は82・6%と、重症化予防や発症予防が期待されています。

 一方、副反応は、注射部位の痛みや疲労、筋肉痛、頭痛が多くみられたとのことです。

 RSウイルス感染症はRSウイルスの感染による呼吸器の感染症で、飛沫感染や接触感染により感染し、主に2歳になるまでに一般的には一回はかかるといわれています。症状は発熱やせきといった呼吸器症状が多くみられます。

 飛沫感染や接触感染により感染します。感染者の多くは軽症ながら、生後間もない乳児や高齢者、基礎疾患がある人が感染した場合は、重症化する恐れもあります。肺炎のリスクもあり、発熱が持続する、せきやたんといった呼吸器症状が悪化傾向にある、息苦しいといった症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが望まれます。

 グラクソ・スミスクラインによると、国内の60歳以上における1年間の入院者数は約6万3000人。また、そのうちのおよそ4000人が死亡していると推定されるということです。

 2023年9月26日(火)

🟧新型コロナ、成人1~2割に「後遺症」 厚労省研究班が5万3642人調査

 新型コロナウイルスのいわゆる「後遺症」について厚生労働省の研究班が3つの自治体で19万人余りを対象に行ったアンケート調査の結果、成人の11・7~23・4%がせきやけん怠感など何らかの症状が感染から2カ月以上続いたと答えたことがわかりました。

 調査は厚労省の研究班が東京都品川区、大阪府八尾市、札幌市のコロナ感染者と非感染者、計19万5420人(成人8万6476人、小児10万8944人)を対象にオンラインと紙でアンケートを実施。計5万3642人(成人2万5736人、小児2万7906人)から得た回答を、各市区ごとに分析しました。

 この中で、昨年9月までに新型コロナに感染し、せきやけん怠感などが2カ月以上続く、いわゆる「後遺症」とみられる症状があると答えた人の割合は、成人では、札幌市で23・4%、大阪府八尾市で15・0%、東京都品川区で11・7%となりました。

 一方、5歳から17歳の小児を調査した札幌市と八尾市ではいずれも6・3%と、成人より低い割合となりました。

 また、感染前にワクチンを接種した人は接種していない人に比べて、成人と小児のいずれも症状が続いた人の割合が約25%から55%低かったということです。

 研究に参加した国立国際医療研究センターの磯博康医師は、「感染した人の多くが長引く症状に苦しんでいることが大規模調査で裏付けられた。症状が長く続くことで生活に影響が出ている人もいるとみられる。継続的な治療に加え、時間の経過とともに症状がどう変化するのか、さらに研究を進める」と話していました。

 2023年9月26日(火)

🟧アメリカのイーライ・リリーの認知症新薬「ドナネマブ」、厚労省に承認申請完了 実用化は来年か

 アメリカの製薬企業イーライリリーの日本法人は26日、アルツハイマー病の新薬「ドナネマブ」について、厚生労働省への薬事承認申請を完了したと発表しました。来日中のアメリカのイーライリリーのデイビッド・リックス会長兼最高経営責任者(CEO)は東京都内で開いた記者会見で、日本での実用化は来年になるとの見通しを示しました。

 国内では25日に、製薬大手エーザイとアメリカの医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」(商品名レケンビ)が薬事承認されたばかりで、年内にも実用化される見通しです。ドナネマブもレカネマブと同じく「疾患修飾薬」(病気の進行を遅らせる薬)という位置付けで、承認されれば2例目となります。ドナネマブはアメリカでも薬事審査中で、年末までに正式承認の可否判断が出る見通しといいます。

 ドナネマブは、患者の脳内に蓄積する異常なタンパク質「アミロイドβ」の塊(プラーク)を除去することで、症状の悪化を遅らせることが期待されています。

 イーライリリーは最終段階の臨床試験(治験)を、アルツハイマー病の進行の度合いによって患者を複数のグループに分けて実施。認知機能などを1年半にわたって評価しました。

 同社によると、アルツハイマー病の初期段階の患者(1182人)を対象とした治験では、ドナネマブを投与した患者は、偽薬(プラセボ)の投与を受けた患者に比べて、認知機能の低下を35%程度抑えられたとしています。

 一方で、ドナネマブを投与した患者の36・8%に脳の微小出血や浮腫がみられました。大半の患者は軽症なものの、副作用の影響を受けて3人が死亡した可能性があるといいます。

 リックス会長は記者会見に先立つイベントで、「(アルツハイマー病の)治療に関していろいろなコンビネーションも必要だ」と述べ、治療の選択肢を広げる必要性を強調。「日本で(ドナネマブの)治療を実現することで、新しい認知症のケアの時代に入っていきたい」と早期の実用化に期待を示しました。

 2023年9月26日(火)

2023/09/25

🟧アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を正式承認 厚生労働省、年内実用化へ

 厚生労働省は25日、製薬大手エーザイとアメリカの医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」(商品名・レケンビ)を正式承認しました。早期のアルツハイマー病患者を対象にした治療薬で、病状の進行を抑制します。

 薬の価格は、すでに7月に承認されているアメリカでは1人当たり平均で年間2万6500ドル(約390万円)に設定されていますが、日本ではまだ決まっていません。今後、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)で、公的医療保険の適用と薬の価格について結論が出され、早ければ年内に医療現場での使用が始まります。

 エーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は、「アルツハイマー病治療の歴史に新たなページを開くことができた」とのコメントを発表しました。

 レカネマブは、アルツハイマー病の原因とされるタンパク質「アミロイドβ(ベータ)」を脳内から除去することで、症状の進行を遅らせる効果が期待されます。臨床試験(治験)では、投与開始から1年半後の時点で、投与しなかった患者と比べて認知機能の低下を27%抑制。これについて、エーザイは病状の進行を約7カ月半遅らせる効果に相当すると説明しています。

 進行を遅らせる効果は認められたものの、病状を戻したり、根治したりといったことは期待できません。脳のむくみや、出血などの副作用も報告されました。

 添付文書では、検査などの体制が整備された医療機関でリスク管理ができる医師の下で使用するよう明記。副作用のリスクについて十分な情報提供をした上で患者や家族らの同意が必要とされました。投与開始前に脳のむくみや一定程度の微小出血がある人は使えません。

 2023年9月25日(月)

🟧新型コロナ後遺症が長期化した女性に初の傷病補償年金支給 感染から2年以上症状続く

 新型コロナウイルスの感染した後に症状が長引く後遺症を巡り、東京都内の女性に「傷病補償年金」の支給が認定されました。支援するNPO法人東京労働安全衛生センターによりますと、コロナの感染でこの年金が支給されるのは初めてとみられ、後遺症に苦しむ人たちの救済につながると期待されています。

 22日、厚生労働省で東京都内に住む55歳の女性が記者会見を開きました。

 女性は2021年1月、東京都福生市の有料老人ホームで事務員として働いていた際に、施設でクラスター(集団感染)が発生し、自身も新型コロナに感染して症状が悪化し、救急搬送されました。CT(コンピューター断層撮影)検査で両肺が真っ白に映るほどの重度の肺炎を起こしていたということです。1カ月ほどで退院しましたが休職し、その後も呼吸困難の症状が収まらず、7月に労災認定を受けました。

 その後も息苦しさなどは改善せず、自宅で酸素療法を続ける生活を2年以上続けていたところ、今年5月に労働基準監督署から傷病補償年金の支給が決まったと通知されたということです。

 傷病補償年金はこれまでじん肺などで療養を始めてから1年半が経過した、症状が重い人が対象となっていましたが、NPO法人東京労働安全衛生センターによりますと、コロナで支給されたのは初めてとみられるということです。

 女性は「毎日酸素を2リットル使う生活で、元気に動ける日が少なく不自由な生活になった。時間がかかったけど、支給が認められてほっとしています」と話していました。

 NPO法人東京労働安全衛生センターの飯田勝泰事務局長は、「コロナの後遺症に苦しむ人たちの治療と補償が課題になっている中で、国は傷病補償年金を支給し多くの人たちの救済につなげてほしい」と話していました。

 労働問題に詳しい東洋大学の鎌田耕一名誉教授は、「新型コロナの後遺症が労災認定されるのは、そもそもハードルが高いといわれている。そうした中で後遺症が長期化した人に傷病補償年金の支給を認めたことは重要な判断だ。コロナの後遺症は企業によっては理解が進んでおらず、症状が続く人が『いつまで仕事を休むのか』といわれるようなケースが少なくないため、こうした人たちへの支援をどう進めていくか、考えていく必要がある」と話しています。

 厚労省の研究班は、成人の新型コロナ感染者のうち11・7%から23・4%に後遺症があったとの調査結果を公表しています。

 2023年9月25日(月)

2023/09/24

🟧アイリスオーヤマ「もち麦ごはん」回収、160万個に拡大 当初対象外の製品にも変色や液状化

 アイリスオーヤマが製造し、グループ会社のアイリスフーズを通じて販売した電子レンジで温めるごはんについて、会社側は9月19日に自主回収すると発表しましたが、23日この対象をこれまでの5倍以上に相当する約160万個に拡大すると明らかにしました。

 発表によりますと、自主回収の対象となるのは、アイリスオーヤマが製造し、アイリスフーズを通じて販売した電子レンジで温めるごはん「もち麦ごはん」で、特定のロット番号で賞味期限が来年(2024年)4月から9月までの商品となります。

 これらは自社ブランドのほか、通販サイトのアマゾンとスーパーのライフ、セブン‐イレブンで、それぞれのプライベートブランドとしても販売されたということです。

 会社側は9月19日に30万個あまりの自主回収を発表しましたが、この際に対象となった商品以外にも、同じようにごはんが変色して液状化している商品があることが消費者からの指摘でわかりました。

 このため回収の対象をこれまでの5倍以上に当たる約160万個に拡大することを決めたということです。

 会社側によりますと、これまでのところ健康への被害は確認されていないということです。

 販売したアイリスフーズは、「度重なるお知らせとなり、お客様にはお手数とご迷惑をおかけしますことを深くおわび申し上げます」とコメントしています。対象製品の生産を当面見合わせるといいます。

 問い合わせ先の電話番号は、フリーダイヤル0800-888-6060で、午前9時から午後5時まで受け付けています。(土日祝日は午後0時から1時を除く)

 2023年9月24日(日)

🟧多摩地域の全市町村、住民からPFAS検出 市民団体が血液検査

 一部で有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」について、専門家と市民団体は、東京都の多摩地域の住民を対象にした血液検査の平均で、国の調査の約2・3倍の血中濃度が検出されたとする結果を公表しました。

 「PFAS(ピーファス)」は、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、このうち「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」と呼ばれる2つの物質は、アメリカの研究などで有害性が指摘されています。

 沖縄県のアメリカ軍基地周辺で国の暫定的な目標値を超える値が相次いで検出され、多摩地域の水道水からも検出されたことを受け、京都大学大学院の原田浩二准教授と市民団体は、これまでに横田基地のある多摩地域の住民789人の血液検査を行い、21日、立川市で開いた記者会見で結果を公表しました。

 それによりますと、すべての市町村の住民からPFASが検出され、検出したPFOSとPFOAを合わせた平均値は13・9ナノグラムで、これは国が一昨年、全国の3地点で行った調査の平均値の約2・3倍に相当するということです。

 多摩地域の30市町村でそれぞれ10人以上検査を行い、自治体別でみると国分寺市で23ナノグラム、立川市で19ナノグラムなどと北部地域の値が高い傾向だったということです。一方で、八王子市や町田市、奥多摩町などでは値が低くなっています。

 オンラインで参加した原田准教授は、「都は水道水などの調査で濃度が高い場所の取水を停止しているが、効果が出るのが遅いのか、土壌などほかの要因が考えられるのか調べるべきだ」と指摘し、「国分寺市の値は全国的にみても高く、PFASの検出が問題となっている沖縄県と比べても高い状況だ。健康への影響は無視できずアメリカの指針値を参考にした対応を考える必要がある」としています。

 市民団体は原因究明のため、多摩地域の井戸や河川などで行っている水質調査の結果も近いうちに発表する方針です。 

 2023年9月24日(日)

🟧熊本県の70歳代男性、日本脳炎に感染 2023年で全国初の確認 

 熊本県は22日、玉名郡の70歳代男性が日本脳炎に感染したと発表しました。男性は意識障害などがあり、有明保健所管内の医療機関に入院中。今年に入り感染者が確認されたのは全国で初めて。

 県健康危機管理課によると、男性は4日に発熱やろれつが回らなくなるなどの構音障害の症状があり、医療機関を受診。呼吸状態も悪化し、21日に検査で陽性が確認されました。

 日本脳炎は蚊の「コガタアカイエカ」が媒介するウイルスによる感染症。ウイルスに感染して日本脳炎を発症するのは100~1000人に1人で、発症すると高熱やけいれんなどの症状が出るほか、子供や高齢者が感染した場合には死亡するケースもありますが、人から人へ感染することはないということです。

 昨年は全国で日本脳炎の患者5人を確認。うち3人は熊本県内で、70歳代の女性1人が死亡しました。

 同課は7月27日から県内全域に日本脳炎注意報を発令中。蚊に刺されないよう長袖、長ズボンの着用や虫よけ剤の使用を心掛け、蚊の発生源となる水たまりをなくすなどの対策を呼び掛けています。

 2023年9月24日(日)

🟧吉田屋、営業禁止処分に 駅弁が原因の食中毒と八戸市保健所が断定

 青森県八戸市の駅弁製造販売会社「吉田屋」の弁当を食べた人が、相次いで体調不良を訴えている問題で、八戸市保健所は、弁当が原因の食中毒と断定し、食品衛生法に基づき、23日付けで「吉田屋」を営業禁止の処分にしました。

 青森県の八戸市保健所によりますと、「吉田屋」が作った消費期限が9月16日と17日の弁当を食べた人が、下痢やおう吐などの体調不良を訴えました。

 この問題で、八戸市保健所は23日に記者会見し、症状を訴えた人に共通する食事が、この弁当に限られていることや、症状を訴えた人と弁当から食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌とセレウス菌が検出されたことなどから、弁当が原因の食中毒と断定したことを明らかにしました。このため、23日付けで「吉田屋」を営業禁止処分としました。

 21日までに全国で270人が食中毒であることが判明したとしていますが、これまでに300人余りが体調不良を訴えていることから、さらに増えるものとみられるということです。

 保健所は、施設と設備の清掃や消毒を徹底することや、衛生管理の実施記録を毎日つけて保存することなどを指示したということです。

 八戸市保健所の石井敦子副所長兼衛生課長は、「今回2つの原因物質が判明したが、施設内がどういう状況で、どういった衛生管理をしていたのかわからないので、今後は原因究明のための指導を行っていきたい」と述べました。

 八戸市保健所が「吉田屋」の弁当が原因の食中毒と断定し、営業禁止処分にしたことを受けて「吉田屋」の吉田広城社長が、会社のホームページでコメントを発表しました。

 それによりますと、「食中毒の被害に遭われた方、商品を購入したお客様に改めておわび申し上げます」と謝罪した上で、「一部の食材を県外の委託業者から仕入れて製造しましたが、食材の受け入れに当たって必要とされる作業を十分に行うことができず、その結果、食材に付着した菌が増殖するなどして商品に含まれることになったと考えています。どのような原因でこれらの菌が製造された商品に含まれたかは保健所の指導を受けて引き続き調査を行ってまいります。皆様の信頼を裏切る結果になり、誠に申し訳なくざんきに堪えません」などとコメントしています。

 青森県の八戸市保健所は、23日の会見で21日までに全国各地の保健所から合わせて270人が食中毒と確認されたことを明らかにしました。

 内訳は、青森県で1人、宮城県で21人、山形県で1人、福島県で34人、茨城県で5人、栃木県で1人、埼玉県で32人、千葉県で7人、東京都で23人、神奈川県で8人、静岡県で81人、三重県で1人、兵庫県で5人、島根県で9人、岡山県で1人、広島県で1人、山口県で5人、香川県で1人、福岡県で25人、佐賀県で5人、大分県で3人と、1都20県におよんでいます。

 また、患者がこれまでに食べた弁当は、いずれも八戸市で今月15日と16日に作られた「函館わっぱめし海鮮ミックス」、「海女のうに弁当」、「北海道産特選いくらの贅沢丼」、「こぼれイクラととろサーモンハラス焼き弁当」、「函館海宝煌めくイクラと大玉ほたて弁当」、「函館うにの箱めし」、「焼き鯖の赤酢ずし」、「たらば蟹とサーモンの北国函館寿し」、「極うにかにいくら弁当」、「三陸産煮穴子めし」、「函館市場寿し」「穴子と三種の海鮮弁当」の合わせて12種類となっています。

 八戸市保健所は、今後も各地の保健所から報告が見込まれることから、患者数や弁当の種類が増える可能性もあるとしています。

 2023年9月24日(日)

2023/09/22

🟧八戸市の「吉田屋」の弁当、33都道府県に2万2184個流通

 青森県八戸市の駅弁メーカー「吉田屋」の弁当を食べた人が相次いで体調不良を訴えている問題で、八戸市保健所は、原因とみられる消費期限が9月16日と17日の弁当が33の都道府県に流通していたと発表しました。

 青森県の八戸市保健所によりますと、八戸市にある駅弁メーカー「吉田屋」が作った、消費期限が9月16日と17日の弁当を食べ下痢やおう吐などの体調不良を訴えている人の数は、22日午前9時の時点で301人となり、21日より3人増えました。

 八戸市保健所によりますと、この問題の原因とみられている9月16日と17日が消費期限の弁当は、それぞれ前日に製造されていました。

 弁当の材料は県内外から仕入れられ、調理から包装まで「吉田屋」で行われたということで、2日間で製造された合わせて59種類、2万2184個の弁当が1都1道1府30県の1080店舗に流通し、7割ほどがスーパーのフェアなどで販売されたということです。

 また、保健所によりますと、吉田屋に対して食べた人などから問い合わせや苦情があったのは59種類のうち12種類の弁当で、吉田屋はこの12種類について自主回収を行ったということです。

 八戸市保健所は、9月17日に行った立ち入り検査などの結果がわかると見込まれる来週にも、詳しい原因などを公表するとしています。

 2023年9月22日(金)

🟧熱中症で3万4835人を救急搬送、8月では過去3番目の多さ 北日本を中心に大幅に増加

 危険な暑さが続いた8月、熱中症で救急搬送された人は全国で3万4000人余りと、8月としては過去3番目に多くなったことが、総務省消防庁のまとめでわかりました。

 総務省消防庁によりますと8月に、熱中症で病院に救急搬送された人は全国で3万4835人と、昨年8月(2万252人)の1・7倍となり、8月としては統計を取り始めた2008年以降、3番目に多くなりました。

 このうち、死亡したのは48人で、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて1万1176人、「軽症」が2万3456人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が1万9158人と半数以上を占めました。また、18歳以上65歳未満が1万2393人、7歳以上18歳未満が3097人、7歳未満が187人となっています。

 場所別では、住居が1万4602人と最も多く、次いで、道路が5378人、屋外の競技場や駐車場が4386人などとなっています。

 都道府県別では、東京都が2277人と最も多く、次いで、大阪府が2233人、北海道が1847人などとなっていて、高知県を除く46都道府県で昨年8月を上回りました

 気象庁によると、8月の平均気温は平年と比べ、北日本で3・9度、東日本で2・1度それぞれ高く、1946年の統計開始以降、8月として最も高くなりました。

 特に北日本の気温の高さが際立ち、青森県で初めて38度を上回り弘前市では39・3度に達したほか、札幌市では気象庁が統計を取り始めた1876年以降最も暑い36・3度を観測しました。

 これに伴い熱中症の搬送も北日本を中心に昨年より大幅に増え、北海道と秋田県では約10倍、青森県で7・3倍、岩手県で5・7倍、山形県で4・3倍、新潟県で3・2倍などとなっています。

 気象庁によりますと、この先2週間は全国的に暖かい空気に覆われやすく平年よりもかなり気温が高くなる見込みで、総務省消防庁は「エアコンを使ったりこまめに水分をとったりするなど熱中症への対策を続けてほしい」と呼び掛けています。

 2023年9月22日(金)

🟧インフルエンザが異例の9月流行 沖縄、千葉など7都県で「注意報」レベル

 季節性インフルエンザについて、厚生労働省は22日、9月11日から17日の患者数を発表しました。全国約5000の定点医療機関から1週間に報告された新規感染者数は計3万4665人、1医療機関当たり7・03人で、前週(9月4~10日)の4・48人を上回りました。昨年同時期は0・02人で、9月に流行する異例の状況が続いています。

 厚労省は、全国約5000の医療機関を受診した1週間ごとの患者数に基づき、流行状況を公表しています。都道府県別では、沖縄県(20・85人)が最も多く、千葉県(14・54人)、愛媛県(12・07人)、佐賀県(11・95人)、東京都(11・37人)、埼玉県(11・07人)、徳島県(10・35人)の計7都県で注意報レベルとされる10人を超えました。少なかったのは順に青森県(0・38人)、岩手県(0・60人)、山形県(0・74人)でした。この週に休校、学年閉鎖、学級閉鎖となった保育所、小中高校などは1625施設に上りました。

 例年は、12月初めぐらいから流行が始まります。インフルエンザに詳しい菅谷憲夫・慶応大客員教授は、「子供だけでなく高齢者の入院患者も出始めており、感染は全世代に広がりつつある。今後大きな流行になると考えられる」と警告しています。

 その理由として、日本では2020~2021年、2021~2022年の2シーズン中は流行がなく、インフルエンザの免疫を持つ人が少ないことを挙げます。欧米では2021~2022年に小規模な流行があり、翌2022~2023年に大流行が起きました。日本は1年遅れで2022~2023年に小規模な流行があり、欧米同様に、その翌シーズに当たる今年から来年にかけて大規模な流行になる恐れがあるといいます。

 厚労省の8月時点の見込みでは、9月末までに年度内に供給されるワクチンの半数以上の量が出荷されます。菅谷教授は、「特に高齢者は、新型コロナワクチンとともにインフルエンザのワクチンも早めに接種してほしい」とし、手洗いや屋内でのマスク着用、換気などの励行も呼び掛けます。  

 2023年9月22日(金)

🟧新型コロナ、宮城県の新規感染者2072人 沖縄県の新規感染者2960人

 新型コロナウイルスの宮城県内の感染状況について、9月11日から17日までの1週間で、1医療機関当たりの感染者数は平均で22・77人と前の週と比べて減少しました。一方で、インフルエンザの感染者数は前の週より増加しました。

 新型コロナウイルスの感染者数について、県は毎週木曜日に、指定された県内91の医療機関からの報告をもとに公表しています。

 それによりますと、9月17日までの1週間に報告された感染者数は2072人(前週2955人)で、1医療機関当たりの平均は22・77人(前週32・47人)でした。

 保健所別では、仙台が741人で16・84人、塩釜が423人で26・44人、大崎が301人で30・1人、石巻が294人で29・4人、仙南が256人で36・57人、気仙沼が57人で14・25人とすべての保健所で前の週を下回りました。

 一方で、宮城県内のインフルエンザの感染者数は779人(前週668人)、1医療機関当たりの感染者数は8・56人(前週7・34人)で、前の週と比べて増加しました。

 感染者のうち、10歳未満と10歳代の若い世代が83・6%を占めていて、県は9月14日、県内全域にインフルエンザ注意報を出していて、引き続き注意を呼び掛けています。

 県疾病・感染症対策課は、「インフルエンザの感染者数は増加し、コロナの感染者数も依然として高い状況にある。室内の換気や手洗いなど、1人1人ができる基本的な感染対策を引き続き徹底してほしい」と話しています。

 一方、沖縄県は21日、新型コロナウイルス感染者数の定点把握状況を発表しました。9月11日から17日の1週間に県内54定点医療機関から報告された患者数は630人。1定点当たり11・67人と前週(12・26人)に比べて4・81%減少したものの、インフルエンザでは「注意報」発表水準となる「10人」を依然として超えています。

 県全体の新型コロナウイルス感染者数の推計値は2960人(前週3110人)となり、5週ぶりに減少しました。

 保健所別の1定点当たりの患者数は、多い順に八重山16・33人、南部12・43人、那覇市12・17人、宮古8・75人、北部8・20人でした。八重山は前週(66・00人)に比べ倍以上に増えました。

 入院者数は17日時点で316人。重症者は8人。確保病床使用率は28・0%でした。

 2023年9月22日(金)

🟧新型コロナワクチン、政府が8630万回分を廃棄へ 購入単価は公表せず

 新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は19日、政府が保管する従来型や変異型のオミクロン型に対応したアメリカのファイザー製とアメリカのモデルナ製計約8630万回分を順次廃棄すると発表しました。

 20日から全世代を対象に、新系統「XBB・1・5」に対応したワクチンの接種が始まるのに伴い、従来型に対応したワクチンなどは使用を終了するためです。

 廃棄されるのは、モデルナ製が多く、オミクロン型対応では国内に供給された約7000万回分のうち約5150万回分(74%)に上ります。ファイザー製は、従来型対応が約2億7480万回分のうち約830万回分(3%)、オミクロン型対応では約1億2510万回分のうち約2650万回分(21%)。

 厚労省はワクチン1回分当たりの購入単価を公表していません。

 2023年9月22日(金)

2023/09/21

🟧「トロピカーナ」を自主回収 キリン、香料の分量ミスで計5万2000本

 キリンビバレッジは21日、紙パック飲料「トロピカーナ100%まるごと果実感」シリーズの「アップル」(900ミリ・リットル)と「パインアップル」(900ミリ・リットル)で、添加している香料の分量などが誤っていたと発表しました。計約5万2000本を自主回収します。飲んでも健康上の問題はないといいます。

 自主回収の対象は、アップルが賞味期限2023年10月1、3日の商品。パインアップルが2023年10月1日の商品。

 アップルは、アップルの香料に加えパインアップルの香料も誤って使用。パインアップルは、香料の使用量が少なかったといいます。購入者から「味が違う」との指摘を受けて判明しました。

 インターネット上の登録フォームに入力すれば業者が回収します。着払いで商品の送付も可能。問い合わせ先は同社「トロピカーナ」商品係(0120)635553。

 2023年9月21日(木)

🟧沖縄県で3例目のエムポックス感染を確認 今年4月以来

 沖縄県は20日、県内で3例目となるウイルス感染症「エムポックス(サル痘)」の患者を確認したと発表しました。県内での患者確認は今年4月以来。県内に住む40歳代の男性で、発熱のほか、皮膚粘膜病変、発疹の症状があり、状態は安定しています。

 県は感染経路を調査中で、県外からの感染の可能性が高いとしています。

 県の担当者は、「全国で今春をピークに感染報告が減少傾向だったが、夏休みで人の動きが活発になったことで、また増える可能性もある」と注意喚起しました。

 感染に不安がある場合は最寄りの保健所に相談し、手指消毒やマスク着用などの基本的な感染対策をするよう呼び掛けています。

 今回は県内の医療機関から管轄保健所にエムポックス感染の疑いがある患者の報告があり、県衛生環境研究所にて検査した結果、エムポックスの陽性が判明し、15日に医療機関から管轄保健所に発生届がありました。40歳代男性に海外渡航歴はありません。

 エムポックスは、患者の体液や血液との接触(性的接触含む)などで感染します。長時間の飛沫(ひまつ)にさらされた場合でも、感染する可能性があります。国内では2022年7月25日に1例目が確認され、今年9月15日までに198例が報告されています。沖縄県では、2023年4月7日に1例目、4 月12日に2例目となる患者が報告されています。

 潜伏期間は通常6~13日(最大5~21日)で、発熱や頭痛などの1~3日後に発疹がみられます。多くは自然治癒するものの、子供や基礎疾患がある人の場合に重症化することがあります。

 2023年9月21日(木)

🟧東京都、史上最速のインフルエンザ「流行注意報」発令 感染者数は1医療機関当たり11・37人

 東京都は今後、さらに流行が拡大する可能性もあるとして21日、インフルエンザの「流行注意報」を出しました。9月に流行注意報が出されるのは、統計を取り始めた1999年以降、2回目で、これまでで最も早く、都は基本的な感染防止対策を呼び掛けています。

 先週、都が公表した9月10日までの1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は1医療機関当たり5・95人と、この時期としては過去最多となりました。

 都によりますと、17日までの感染者数は1医療機関当たり11・37人で、前の週の約2倍となったほか、流行注意報を出す基準の10・0人を超えました。

 都は今後、さらに流行が拡大する可能性もあるとして21日、流行注意報を発令しました。

 9月に注意報が出されるのは、統計を取り始めた1999年以降、新型インフルエンザが流行した2009年9月25日に次いで2回目で、これまでで最も早いということです。

 また、9月17日までの2週間で、幼稚園3校、小学校138校、中学校45校、高校21校の合わせて207校で、学級閉鎖などの臨時の休みになったということです。

 都はインフルエンザの予防のために、こまめな手洗いや、せきエチケットなど基本的な感染防止対策を呼び掛けています。

 関東では、20日に埼玉県と千葉県がそれぞれ初めて9月に流行注意報を出しています。

 2023年9月21日(木)

🟧セブン-イレブンがおにぎり初の「機能性表示食品」を発売 もち麦を使用

 セブン-イレブン・ジャパンは20日、食後の血糖値上昇を緩やかにする効果が期待されるおにぎりや弁当を発売したと発表しました。もち麦を使った機能性表示食品として、一部エリアを除く全国の店舗で販売します。機能性表示食品のおにぎりや弁当を出すのは国内初。

 発売したのは「もち麦もっちり!梅こんぶおむすび」(税別130円)、「もち麦もっちり!ごま鮭おむすび」(税別150円)、「混ぜて食べる温玉ビビンバ」(税別580円)の3品。食物繊維が豊富なもち麦に含まれる「β―グルカン」に着目し、もち麦の使用量を増やしました。β―グルカンの含有量を1・4倍にしたことで、機能性表示食品をうたえるようになったといいます。

 セブン-イレブン・ジャパンの青山誠一取締役常務執行役員は20日開いた商品政策会で、「新たなおにぎりの販売数量は従来品の2倍を目指す」と語りました。食を通じて健康維持を図る人は増えており、「新商品を当社の店舗を訪れる一つの切っ掛けにしたい」と述べました。

 同社は今後、国産小麦を使った麺類やパンの品ぞろえを拡充します。物価高が続く中、買い求めやすい価格の弁当を出すほか、付加価値を付けた冷凍食品も発売します。物流の「2024年問題」への対応として、配送回数を減らすなどの取り組みも進めます。

 2023年9月21日(木)

🟧コロナワクチン接種で生活に支障、国や製薬会社などを提訴 神奈川県に住む40歳代女性など

 新型コロナウイルスのワクチンを接種したことでどうきや息切れが続き生活に支障が出ていると主張して、神奈川県に住む40歳代の女性などが、国と自治体、製薬会社に6000万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしました。

 20日、東京地方裁判所に訴えを起こしたのは、神奈川県に住む40歳代の女性とその夫です。訴状によりますと、女性は2021年9月、新型コロナのワクチンを接種した直後にどうきや息切れの症状が出て救急搬送されました。

 今も30分以上立ち続けて料理ができないなど、ワクチン接種の後遺症によって生活に支障が出ていると主張して国と製造元のファイザー、それに集団接種を行った自治体に合わせて約6100万円の賠償を求めています。

 女性は今年5月、ワクチンの接種がどうきなどの原因になった可能性が否定できないとして、予防接種法に基づく国の健康被害救済制度の認定を受け、医療費などの支給を受けています。

 女性は記者会見で、「救済制度の認定を受けるまで2年近くかかったが、認められた以外の症状も出ている。これまでの苦悩の日々を慰謝料として請求すべきだと思った」と話しています。

 厚生労働省は、「現時点で訴状を受け取っておらず、詳細を把握していないが、いずれにしても係争中の案件についてはコメントを差し控えたい」としています。ファイザーは、「訴状が届いていないためコメントを差し控える」としています。

 2023年9月21日(木)

2023/09/20

🟧青森県の駅弁メーカー製弁当で体調不良1都23県の295人に 東北から九州のスーパーの開催イベントで販売

 青森県八戸市の駅弁メーカー「吉田屋」の弁当を食べた人が相次いで体調不良を訴えている問題で、八戸市保健所は、20日午前9時の時点で、体調不良を訴えている人は、東北や関東地方など1都23県の295人に上ることを明らかにしました。今後も増える可能性があるとして、保健所は引き続き詳しい症状や原因などについて調べています。

 八戸市保健所によりますと、吉田屋が作った消費期限が9月16日と17日までの弁当を食べた人が、これまでに下痢やおう吐などの体調不良を訴えているのが確認されています。症状が重い人は確認できていないとしています。

 弁当は9月16日、東北や関東地方のスーパーで開催された弁当のイベントで販売されており、これらのスーパーを展開する企業によりますと、弁当を購入した人から体調不良の情報が相次いで寄せられているということです。

 このため保健所は、症状を訴える人の数は今後も増える可能性があるとしています。

 また、保健所は食中毒の疑いがあるとみて、9月17日に「吉田屋」に立ち入り検査をしていますが、原因の特定には1週間以上かかるということで、引き続き詳しい症状や原因などについて調べています。

 福島県内を中心にスーパーを展開する「ヨークベニマル」によりますと、9月16日、東北や関東地方の240の店舗で開催したイベントで吉田屋の海鮮弁当1000個余りを販売し、これまでに39人から「ごはんが糸を引いている」や「変なにおいがする」といった申し出があったということです。

 また、埼玉県を中心にスーパーを展開する「ヤオコー」では9月16日、関東の180の店舗で開催したイベントで海鮮弁当を1200個余り販売し、これまでに21人から体調不良の情報が寄せられたということです。

 宮城県と仙台市によりますと、宮城県内でも少なくとも19人がこの駅弁メーカーの弁当を食べて体調不良を訴え、食中毒の疑いがあることがわかりました。

 仙台市によりますと、問題となった弁当は仙台駅の売店と、市内26カ所のスーパー「ヨークベニマル」で合わせて100個あまり販売され、これまでに6人が市の保健所に体調不良を訴えたということです。

 このうち6歳の男の子と94歳の女性が入院し、男の子はすでに退院したということです。

 また、県によりますと、仙台市以外でも13人が下痢やおう吐などの症状を訴えていて、このうち1人が入院してすでに退院したということです。

 この問題で、静岡県などによりますと、この駅弁メーカーの弁当を9月16日に購入して食べた人のうち、下痢やおう吐などの症状を訴えた人が、20日午後4時までに85人いたことがわかりました。

 静岡県などによりますと、販売が確認されたのは、浜松市に本社があるドラッグストア「杏林堂薬局」の複数の店舗で販売された「海女のうに弁当」と「こぼれイクラととろサーモンハラス焼き弁当」、それに静岡市に本社がある「タカラ・エムシー」が経営する複数のスーパーなどで販売された「極うにかにいくら弁当」です。

 広島市によりますと、19日午前、広島市に本社があり商業施設「ゆめタウン」などを展開する「イズミ」から、「弁当の購入者の中に体調不良を訴えている人がいる」と連絡があったということです。

 それによりますと、イズミは9月16日と17日に開催した北海道の弁当の催事で、吉田屋が作った「北海道産特選いくらの贅沢丼」を広島市内の6つの店舗で合計119個を販売しましたが、弁当を購入した複数の人から、下痢やおう吐などの被害の訴えが相次いでいるということです。

 イズミによりますと、9月16日と17日に中国地方だけでなく、九州と四国、それに関西の合わせて72の店舗で北海道の弁当の催事を行い、吉田屋が作った弁当を販売したということです。

 イズミは「多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。保健所の調査に全面的に協力するとともに今回の事態を厳粛に受け止め、再発防止に努めていきます」とコメントしています。

 山口県によりますと、9月16日と17日に県内に11店舗ある「ゆめタウン」などで吉田家の弁当が販売され、このうち10人程度が体調不良を訴えているということです。

 対象となっている商品は「北海道産特選いくらの贅沢丼」で、県内では2日間で238個が販売されたということです。

 被害を訴えている人がどの店舗で購入したかはわかっていませんが、これまでのところ県内で重症者はいないということです。

 2023年9月20日(水)

🟧熱中症で搬送、全国で2949人 17日までの1週間、この時期としては最多

 厳しい残暑が続いた9月11日から17日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は全国で約3000人と、前の1週間と比べて600人余り増え、統計を取り始めた2008年以降、この時期としては最も多かったことが、総務省消防庁のまとめでわかりました。

 総務省消防庁によりますと、9月17日までの1週間に熱中症で病院に救急搬送された人は、全国で合わせて2949人でした。

 前の1週間より654人多くなっており、昨年の同じ時期と比べても837人多く、統計を取り始めた2008年以降、この時期としては最多となりました。

 このうち、死亡したのは3人で、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて758人、「軽症」が2149人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が1354人と最も多く、18歳以上65歳未満が1172人、7歳以上18歳未満が390人、0歳から7歳未満が33人でした。

 都道府県別では、大阪府が286人と最も多く、次いで、愛知県が229人、埼玉県が210人、東京都が206人、千葉県が141人、神奈川県で130人などとなっています。

 また、場所別では、住居が800人と最も多く、次いで、屋外の競技場や駐車場、道路がいずれも536人となっています。

 総務省消防庁は、「まだまだ暑い日が続いているので、天気予報をみて気温が高い日には外出を控えるなど、油断せず熱中症への対策をしてほしい」と呼び掛けています。

 2023年9月20日(水)

🟧埼玉県と千葉県がインフルエンザ注意報を発令 9月発表はいずれも初

 埼玉県と千葉県は今後、大きな流行が発生する恐れがあるとして、それぞれインフルエンザ流行の「注意報」を出しました。

 現在の形で統計を取り始めて以降9月に発表するのはいずれも初めてで、換気や手洗いなどを徹底するよう呼び掛けています。

 埼玉県によりますと、9月17日までの1週間に県内261の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者は1医療機関あたり11・07人となり、3週連続でおおむね2倍のペースで増えているということです。 保健所管内別での1定点医療機関当たり報告数は、川口市保健所(18・55人)、幸手保健所(18・00人)、南部保健所(17・00人)の順となっています。

 また千葉県によりますと、9月17日までの1週間に県内200の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は合わせて2907人に上り、1医療機関当たりの患者数は14・54人となりました。

 いずれも基準値を超え埼玉県と千葉県は、今後大きな流行が起きる恐れがあるとして20日、インフルエンザ流行の「注意報」を発令しました。

 インフルエンザは例年、秋の終わりから冬にかけてが感染のピークで、いずれの自治体も1999年に現在の形で統計を取り始めて以降、9月に「注意報」を出すのは初めてだとしています。

 インフルエンザは子供ではまれに急性脳症となったり、高齢者や免疫の低下している人は重症になったりすることがあるとして、各自治体は換気や手洗い、うがいなどの対策を徹底するよう呼び掛けています。埼玉県は、「咳エチケット、手洗いの励行、適度な湿度の保持、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取」がポイントです、としています。

 2023年9月20日(水)

🟧新型コロナワクチンの秋接種開始 無料、来年度は自己負担も検討

 新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「XBB・1・5」に対応した改良型ワクチンの無料の秋接種が20日、始まりました。生後6カ月以上の初回接種を終えたすべての人が対象で、高齢者や基礎疾患のある高リスク者は接種が推奨されます。期間は来年3月31日まで。厚生労働省は4月以降の体制を巡り、自己負担が生じる可能性がある「定期接種」への切り替えも検討しています。

 秋接種では、大規模接種会場は減り、病院などが中心となります。20日朝、東京都港区のクリニックにはワクチンを打つ人が続々と訪れました。

 通常は事前予約が必要。原則として自治体から受け取る接種券を持参します。ファイザーとモデルナのワクチンが主に使われ、ファイザー製は生後6カ月以上、モデルナ製は6歳以上が対象で、インフルエンザワクチンも同時接種できます。

 これまで接種したことがない人も、秋接種とは別の枠組みで、本年度中は無料でXBB対応ワクチンを打てます。

 厚労省は予防接種法の「特例臨時接種」に位置付け、全額公費負担としてきました。だがウイルスの性質の変化や、免疫の獲得、抗ウイルス薬の普及に伴い重症者が減ったため、来年3月末に終了する方針です。65歳以上の高齢者ら高リスク者を対象に、秋から冬にかけて年1回とする方向で議論を進めています。

 2023年9月20日(水)

2023/09/19

🟧便が硬い便秘気味の人は将来の認知症リスクが高い 国立がん研究センター調査

 排便の回数が少なく、便が硬い便秘気味の人ほど、将来、認知症になるリスクが高いことが、国立がん研究センターなどの調査でわかりました。排便習慣が将来の認知症の発症に関連することを示した初の研究といいます。同センターで行っている多目的コホート研究班が国際専門誌に発表しました。

 研究班は、秋田県横手、長野県佐久、茨城県水戸市、高知県中央東福祉、沖縄県中部の5つの保健所管内に住む人を通じて、生活習慣と病気の関連を調べています。今回は、2000~2003年に排便習慣についてアンケートに回答した50~79歳の男性1万9396人と女性2万2659人を2016年まで追跡調査。要介護認定の情報から、男性1889人(9・7%)、女性2685人(11・7%)が平均約10年後に認知症と診断されたことがわかりました。

 排便習慣と発症との関係を分析したところ、毎日1回排便する人に対して、週3、4回の人は男性で1・48倍、女性で1・16倍、認知症リスクが高くなりました。週3回未満の人は男性で1・79倍、女性で1・2倍とさらに高くなりました。

 便の硬さについては、「普通」と答えた人に対して「硬い」と答えた人は男性で1・30倍、女性で1・15倍、「特に硬い」と答えた人は男性で2・18倍、女性で1・84倍、認知症のリスクが高くなりました。

 便秘気味の人は腸のぜん動運動が鈍く、便の通過に時間がかかります。それには腸内細菌が産生する「短鎖脂肪酸」の減少が関与しており、便秘が慢性化すると、抗炎症作用や抗酸化作用を発揮している短鎖脂肪酸がますます減少し、全身性の炎症を介して認知症リスクを押し上げると推測されます。

 同センターの澤田典絵コホート研究部長は、「中年期から排便の回数や便の硬さを改善しておくことが、認知症の予防に重要だと考えられる」と話しています。

 短鎖脂肪酸を産む腸内細菌叢を増やすには、ビフィズス菌や酪酸菌入りのサプリメントをとり、菌のエサとなる水溶性の食物繊維を含む海藻類や豆類、野菜・果物類を意識してとることです。

 2023年9月19日(火)

🟧ゾコーバ、重症化リスクの高い患者にも効果 塩野義製薬のコロナ薬、対象拡大も

 塩野義製薬は19日、同社の新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」が、重症化リスクの高い患者に対しても有効であることを確認したと発表しました。ゾコーバは軽症や中等症の患者に対し経口投与する治療薬で、重症化の抑制効果は示されていませんでした。別の薬で十分な効果が得られなかった患者に投与すると、67%の患者でウイルス量が基準値以下まで下がったといいます。

 重症化リスクのある患者に対しては、アメリカのギリアド・サイエンシズの「ベクルリー」やアメリカのファイザーの「パキロビッド」が優先的に使われてきました。今後、ゾコーバの使用対象となる患者層が広がる可能性があります。

 大阪府内の病院に入院し、ベクルリーを3日以上投与してもウイルス量が十分に下がらなかった患者21人を対象に臨床研究を実施しました。患者の平均年齢は78歳で、多くががんや腎不全などを患うなどの重症化リスクを抱えていました。

 ゾコーバを1日1回5日間投与したところ、患者14人のウイルス量が基準値以下に下がりました。

 6日目までにすべての患者の症状が改善し、重症化したり死亡したりした患者はいなかったといいます。

 別の臨床試験(治験)で、息切れ、集中力や思考力の低下といったコロナ後遺症を1年にわたり抑える効果があることも確認したと発表しました。発症120時間以内にゾコーバを1日1回5日間投与すると、プラセボ(偽薬)を投与した患者群に比べ、後遺症が出る人の割合を25〜26%下げる効果があったといいます。これまで、投与後6カ月後について後遺症を抑える効果があると発表していました。

 2023年9月19日(火)

🟧プール熱の流行拡大、過去10年で最多の患者報告数に 大阪府と福岡県で警報レベル

 足元で、のどの炎症や結膜炎などの症状が出る「咽頭結膜熱」、いわゆるプール熱の流行が拡大しています。国立感染症研究所がまとめた4日から10日までの1週間(第36週)の定点医療機関当たりの報告数は、過去10年間で最も多くなっています。患者が増加傾向の自治体では、手洗いなどの感染予防の徹底を求めています。

 国立感染症研究所によりますと、9月10日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者の数は、前の週から900人余り増え、3964人でした。

 1医療機関当たりの患者数は1・26人と、前の週よりも0・29人増え、過去10年で最も多くなっています。

 都道府県別では、大阪府が3・92人で最も多く、福岡県(3・72人)、沖縄県(2・65人)、奈良県(2・59人)、茨城県(2・53人)、京都府、愛媛県(ともに2・49人)、佐賀県(2・17人)、兵庫県(2・12人)、大分県(1・81人)などが続きました。

 大阪府では2週連続で警報基準値(3・0人)を上回りました。福岡では3週連続で増加し、第36週に警報基準値を超過しました。福岡県感染症情報センターは週報で、手洗いやうがいをしたり、感染した人との密接な接触(タオルなどは別に使う)を避けたりするといった感染予防を呼び掛けています。

 咽頭結膜熱は、アデノウイルスによる急性ウイルス性感染症で、のどの炎症や発熱、結膜炎の症状が出ます。プールでの感染も多いことから「プール熱」とも呼ばれ、主に夏場に流行します。感染経路は主に接触感染や飛沫感染で、タオルやドアの取っ手、エレベーターのボタンなど患者が触れたものを介してうつり、保育園、幼稚園、小学校などで小児の集団発生も少なくありません。

 子供の感染症に詳しい、国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「夏休みの時期にウイルスが全国に広がり、その後学校が再開したことで急増しているとみられる。流行はしばらく続く可能性があり、おう吐や強い頭痛の症状や、食事や水分がとれないなどの様子がある場合は医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2023年9月19日(火)

🟧アイリスフーズ、パック入り「もち麦ごはん」30万食を自主回収 材料に菌が残っている恐れ

 アイリスオーヤマのグループ会社「アイリスフーズ」(仙台市)は19日、製造・販売しているパックご飯「もち麦ごはん」約30万食を自主回収すると発表しました。 

 対象商品は「国産もち麦ごはん」「ビオラル 新潟県産コシヒカリと国産もち麦のごはん」「もち麦ごはん」「セブンプレミアム 国産もち麦使用もち麦ごはん」の4品目。

 回収対象は賞味期限が2024年6月で、ロット番号の右端の記号が以下の製品。「国産もち麦ごはん 150グラム」は記号「BE」、「ビオラル 新潟県産コシヒカリと国産もち麦のごはん 150グラム」と「もち麦ごはん 150グラム」は記号「BD」、「セブンプレミアム 国産もち麦使用もち麦ごはん 150グラム」は記号「BH」が該当します。

 現時点で健康被害の報告はないといいます。 取引先から「商品が液状化し変色している」と問い合わせがあり、発覚しました。

 原料のもち麦由来の菌が残っている可能性があることが確認されたといいます。 詳細な結果が判明する9月末までは対象商品の製造は中止します。

 アイリスフーズは、「お客様にはお手数とご迷惑をお掛けしますことを深くお詫び申し上げますとともに、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。再発防止に努めてまいります。」としています。 

 問い合わせ先 アイリスフーズコール 0800ー888ー6060(通話料無料) 受付時間 平日:9:00~17:00 土・日・祝:9:00~12:00/13:00~17:00 

 2023年9月19日(火)

2023/09/18

🟧男性でも乳がんの可能性、2019年は全国で748人が罹患

 日本で活動する男性歌手・テレビタレントのブラザー・コーンさん(67)が、自身のSNSで乳がんを公表しました。早期に発見できたため命に別状はないと医師から告げられているということですが、治療に専念するため年内は活動を休止するということです。

 女性の乳がんは乳房にある乳腺にできますが、福井赤十字病院(福井県)の外科部長で、がん診療センター副センター長の田中文恵医師は「男性にも乳頭の奥に乳腺のもとがあり、誰でも乳がんになる可能性はある」と説明。症状として乳頭近くの痛みを伴わないしこりを挙げ、自覚した時は早期に受診するように呼び掛けています。

 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)によると、2019年の男性の乳がん(上皮内がん含む)の罹患(りかん)者は全国で748人、福井県内では4人でした。田中医師によると一般的に50~70歳代の患者が多く、なりやすい年齢は女性よりもやや高めといわれています。

 早期発見のためには、乳頭付近を触ってしこりがないかをチェックすることが勧められ、女性のように乳房がないため、小さなしこりでも発見できるケースがあるといいます。田中医師は「乳がんのしこりはできても痛くない。痛くない時こそ放置せず、しっかり調べたほうがいい」と訴えています。

 男性乳がんの治療法は女性の場合とほぼ同じ。外科手術やホルモン治療、抗がん剤治療などを腫瘍の状態に応じて選択します。男性だからといって予後が悪いということはありません。

 気になる症状があれば乳腺外科を受診します。同科の受診者は女性が多いため、抵抗のある人はまず、かかりつけ医に相談してみます。田中医師は「可能性は低いが男性でも乳がんになることを知っておいてほしい。乳がんに限らず、自分の体に関心を持ち、変化に気付くことが大事」と呼び掛けました。

 国立がん研究センター中央病院、腫瘍内科の米盛勧科長によりますと、国内では、年間およそ10万人が乳がんと診断され、このうち男性は年間およそ600人と全体の1%未満だということです。

 男性では、60歳代から70歳代で見付かることが多いということで、胸や脇にしこりを感じたり、乳頭の出血や皮膚の潰瘍などに気が付いたりして、医療機関を受診するケースが多いということです。

 ただ、男性は乳がんの検査を受ける機会が少ないため、女性に比べるとやや進行した状態で見付かることが多いという報告があるということです。

 早期発見のためには、男性でも時々、入浴の際などに鏡で自分の胸の形を見たり、柔らかさに異常がないかなどを、確認してみることが大切だとしています。

 米盛医師は、「男性の乳がんは非常に少なく、女性より見つけるのが遅れる傾向がある。早期であれば治る可能性は十分あるので、胸や脇にしこりが触れたり、乳頭からの出血や皮膚の変色などの異常を認めたりした場合には、速やかに医療機関に相談してほしい」と話しています。

 2023年9月18日(月)

🟧45・5%の人が睡眠6時間未満、理想と差があると「うつ」増加傾向 「過労死等防止対策白書」概要判明

 過労死や労働実態を検証した政府の2023年版「過労死等防止対策白書」の概要が17日、判明しました。理想の睡眠時間を6時間以上とした人の合計が91・4%を占めた一方、実際に6時間以上確保できた人は全体の計54・4%しかいませんでした。6時間未満の人は計45・5%に上りました。

 白書は、労働時間が増えるほど睡眠の不足感が増えるとの分析結果から、深い眠りにつく時間を十分に確保する必要性を訴えました。白書は2016年から毎年まとめているもので、10月にも閣議決定されます。

 2022年度に認定された民間の労災件数は、脳・心臓疾患による件数が194件(前年度比22件増)で6年ぶりに増え、精神障害による件数は710件(同81件増)で4年連続で増加しました。

 白書では、労働安全衛生総合研究所が行った全国の自営業者や会社役員を含む就業者9852人への調査を分析。理想の睡眠時間より実際に確保できた時間が全体的に少ない傾向がありました。1週間に働く時間が20時間未満の人は、理想の睡眠時間よりも「1時間不足している」か「2時間不足している」と計53・4%が回答。この割合は労働時間が多い人ほど増加し、週60時間以上では計62・3%でした。

 また、分析結果では、働く時間が長いほど前日の疲労を翌朝に持ち越す頻度が増え、疲労を持ち越す頻度が増えるほど、うつ病や不安を感じる人の割合が増える傾向も出ました。

 白書は、企業で社員の健康管理を行う産業医の視点から、「過労の症状で一番危険なのは睡眠がとれなくなること」として睡眠の質向上を求めました。

 このほか白書では、総務省の労働力調査などを基に、労働時間や心の健康対策などの現状についても分析しました。週労働時間が60時間以上の雇用者が全雇用者に占める割合は、2022年は5・1%で、2012年の9・1%に比べて4・0ポイント低下しました。2021年の年次有給休暇の取得率は58・3%と、7年連続で上昇しました。

 2023年9月18日(月)

🟧東北地方、新型コロナ感染者高止まり 宮城県と岩手県が全国ワースト1、2位

 新型コロナウイルス感染症の定点把握で、1医療機関当たりの感染者数は9月4~10日の週で宮城県が32・47人、岩手県が29・87人となり、都道府県でワースト1、2位を占めました。東北では7月から患者数が増え始め、高止まりが続いています。若者を中心に感染が広がり、小中学校や高校の学級閉鎖に加え、入院や面会の制限に踏み切る病院も。専門家は屋内でのマスク着用など感染対策の継続を訴えています。

 東北各県では福島県で24・13人、秋田県で23・88人などとなっていて、山形県を除いては全国平均(20・19人)を上回っています。

 宮城県の保健所別では、仙南(57・57人)、大崎(42・70人)、石巻(42・30人)が突出しています。県医師会の佐藤和宏会長は12日の記者会見で、「仙南地方の基幹病院で入院を制限するなど、医療逼迫(ひっぱく)が深刻化している」と危機感を示しました。

 関係者が懸念するのが若年層の感染拡大。厚生労働省によると、4~10日の週は、全国の感染者数のうち19歳以下が全体の47・9%を占めました。

 学校現場にも影響が及んでいて、宮城県内の県立高校では8月28日~9月1日の週に3校、4~8日の週に8校が学年閉鎖や学級閉鎖の措置を講じました。

 石巻保健所管内の小中学校では、夏休み明けから9月15日までに石巻市で3校、登米市で8校、東松島市で2校が休校や学級閉鎖になりました。石巻市ではインフルエンザによる学年閉鎖も3校あり、うち1校はコロナでも学年閉鎖を余儀なくされました。

 石巻赤十字病院(石巻市)は9月7日から入院患者との面会の制限を厳格化し、当面は18歳以下による面会を不可としました。呼吸器内科が専門の矢内勝院長補佐は「院内感染のリスクを減らし、病院機能を維持するために実施した。状況が落ち着くまで、不要不急の面会を控えるようお願いしたい」と協力を求めます。

 現在の流行第9波について、矢内氏は「これまでと比べて今回は最大規模だとの認識を地域の各医療機関と共有している」と指摘。「重症化しづらいものの、感染が切っ掛けで誤嚥(ごえん)性肺炎や脱水などになった高齢者の入院が目立つ」と説明しています。

 新型コロナに関する厚労省参与の小坂健東北大大学院歯学研究科長(公衆衛生学)は「東京都のデータでは10歳代の感染拡大が家庭内感染の増加を招いており、東北も似た状況だろう。夏休み中に若者の交流が活発化し、学校の再開でさらに感染が広がった」と解説しています。

 「猛暑で換気の少ない室内の滞在時間が増えた影響もあるが、多くの人が『新型コロナは終わった』と考え、行動した影響が大きい」と小坂氏。屋内でのマスク着用や換気など、空気中を漂う微粒子「エアロゾル」対策の必要性を訴えます。

 一方、岩手県は1医療機関当たりの患者数が前の週まで2週連続で全国最多でしたが、9月4~10日の週は32・47人の宮城県に次いで全国2番目となっています。 

 9月10日までの1週間に岩手県内で報告された新型コロナウイルスの新規患者数は1医療機関当たり29・87人で、前の週を5・37ポイント下回っています。

 岩手県の医療政策室では県内では依然多くの患者が確認されているとして、場面に応じた適切な感染対策をするよう呼び掛けています。

 2023年9月18日(月)

🟧65歳以上の就業者912万人、1968年以降過去最多 全就業者の7人に1人が高齢者

 18日の敬老の日を前に総務省が17日発表した統計によると、2022年の65歳以上の就業者数は2021年より3万人増えて912万人でした。1968年以降で過去最多を更新しました。少子高齢化で生産年齢人口が減り、高齢者の働き手が人手不足を補っています。

 就業者数に占める働く高齢者の割合は2021年比0・1ポイント上昇の13・6%で、過去最高になりました。就業者の7人に1人を高齢者が占めます。

 65歳以上の就業率は25・2%でした。年齢別では65〜69歳は50・8%、70〜74歳は33・5%と上昇を続けています。

 定年延長や継続雇用などの雇用制度が充実し、高齢者が働きやすい環境が整ってきたことが影響しています。年齢別の就業率はこの10年間で、65〜69歳は13・7ポイント、70〜74歳は10・5ポイント、75歳以上は2・6ポイントそれぞれ上がりました。

 15日時点の人口推計によると、65歳以上の高齢者は3623万人で2022年に比べて1万人減りました。1950年以降で初めて減少に転じました。総人口に占める割合は29・1%と0・1ポイント高まり、過去最高を記録しました。

 1947〜49年生まれの「団塊の世代」が70歳代半ばに差し掛かり、後期高齢者の75歳以上は2005万人と初めて2000万人を超えました。総人口の16・1%を占めます。80歳以上は1259万人で10・1%となり、10人に1人の割合。

 日本は総人口に占める高齢者の割合が世界で最も高くなっています。人口10万人以上の200カ国・地域で比べると、日本は1位の29・1%、次いでイタリアの24・5%、フィンランドの23・6%と続きます。

 2023年9月18日(月)

2023/09/17

🟧コロナ感染が不安な父親はうつ病のリスク2倍に パートナーが出産前後の男性調査

 パートナーの女性が出産前後の男性が新型コロナウイルス感染症に強い不安を感じていたり、家族や周囲のサポート体制が不足していたりする場合、うつ病のリスクが約2倍に高まるとの調査結果を国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)などの研究チームが発表した。

 同センター社会医学研究部の帯包エリカ研究員は、「父親は支援を求めにくい傾向がある。父親もメンタルに不調が出やすいことを認識して予防や対策に役立ててほしい」と述べました。

 研究チームは新型コロナ流行中の2021年8月、パートナーの女性が出産前後の男性約1700人に調査。産前産後ともに「新型コロナへの強い不安」があると最も高リスクで、強い不安がない人と比べて発症リスクが2倍超でした。また、困った時に家族の助けが得られにくい「家族機能の低さ」があると2倍弱でした。

 産前は医療や行政などの「ソーシャルサポートの低さ」があると約2倍、「子供時代の困難な体験」があると約1・6倍などが、高リスクでした。産前産後ともにうつ病既往歴がある男性も、高リスクでした。

 父親の産前産後のうつ病発症率は約10%前後といわれ、母親と同様な頻度で起こり、自身や子供の健康に影響を与える重要な問題ですが、父親に関する要因については明確になっていないことが多くあります。

 2023年9月17日(日)

🟧65歳以上の高齢者が推計3623万人に 1950年以降で初の減少、総人口に占める割合は過去最高

 総務省は17日、敬老の日の18日に合わせ、65歳以上の高齢者の推計人口(15日現在)が3623万人で、前年比1万人減だったと発表しました。比較可能な1950年以降で初めて減少したものの、総人口に占める割合は前年比0・1ポイント増の29・1%と過去最高となりました。

 高齢者人口の減少は、第1次ベビーブーム(1947~49年)世代が70歳代半ばを迎え、死亡者が増えていることなどが要因だといいます。一方、総人口(1億2442万人)も前年から54万人減ったことから、高齢者の割合は上昇しました。

 高齢者人口が横ばい傾向なのは、一時的だとみられています。国立社会保障・人口問題研究所は、第2次ベビーブーム(1971~74年)世代が65歳以上となる2040年には、高齢者が総人口の34・8%、3928万人に上ると推計しています。

 男女別では、男性が1572万人で、男性人口での割合は26・0%。女性は男性より479万人多い2051万人で、女性人口の32・1%を占めました。

 年代別でみると、75歳以上の人口は前年比72万人増の2005万人で、初めて2000万人を超え、総人口の16・1%を占めました。第1次ベビーブーム世代が2022年から75歳を迎え始めたためです。80歳以上は1259万人で、総人口に占める割合は前年比0・2ポイント増の10・1%と初めて10%を超え、10人に1人は80歳以上となりました。単身で暮らす人も多く、生活サポートの充実が課題です。

 国連の推計によると、日本の高齢者人口の割合(29・1%)は、人口10万人以上の200の国・地域の中で最も高くなっています。2位はイタリア(24・5%)、3位はフィンランド(23・6%)の順でした。

 一方、総務省の労働力調査によると、仕事をしている高齢者は19年連続で増加し、2022年は912万人と、過去最多を更新しました。就業者全体に占める割合は13・6%で、仕事をしている人のおよそ7人に1人は高齢者となっています。

 2023年9月17日(日)

2023/09/16

🟧東京都、10月以降の新型コロナ医療体制を見直し 入院調整や宿泊療養施設は終了

 東京都は14日、感染症対策連絡会議を開き、新型コロナウイルスを巡る10月以降の対応方針を確認しました。重症化リスクの高い高齢者らを受け入れる医療支援型施設の運用は継続する一方で、保健所や都の入院調整本部による入院調整、利用が少なくなっている宿泊療養施設の運営は終了します。

 外来や救急医療の逼迫(ひっぱく)を避けるため、最大750回線の新型コロナ相談センターの運営は続け、高齢者施設などの職員に対する集中的検査や検査キットの備蓄、専門家による感染状況の分析なども継続します。

 維持してきた酸素・医療提供ステーションについては、高齢者らの医療支援型施設に機能を集約して終了します。

 上田哲郎・医療体制戦略監は、「幅広い医療機関での患者受け入れを促進するなど、通常体制への移行を着実に進めていきたい」と述べました。

 新型コロナとインフルエンザの同時流行も懸念されていることから、小池百合子知事は「冬の感染拡大から都民の命と健康を守るため必要な体制はしっかりと確保していく」としています。

 2023年9月16日(土)

🟧入院補助を月1万円に減額、高額薬に自己負担導入 新型コロナの患者支援を10月から縮小

 厚生労働省は15日、新型コロナウイルス患者への支援を10月から縮小すると正式に発表しました。現在は最大で月2万円の入院費の補助を半額の最大1万円に減額します。現在は全額公費で支援している新型コロナの高額薬に自己負担も導入します。10月に現行の支援を縮小して平時の対応に大きく近付け、2024年4月にすべてを廃止する方向で調整します。

 新型コロナは2023年5月8日に、季節性インフルエンザと同じ感染症法上の5類に分類を変更しました。現行の支援策は9月末が期限で、今夏の感染状況を見極めた上で10月以降の方針を決めるとしていました。

 新型コロナの治療薬は患者の窓口負担割合に応じて、自己負担の金額を定めます。3割負担の人は9000円、2割の人は6000円、1割の人は3000円で一律とします。

 コロナ治療薬は高額で、重症化リスクがある人を対象にした「パキロビッドパック」は治療1回につき9万9000円かかります。負担を嫌がって受診を控えることで患者の重症化を招かないよう、急激な負担増を避けました。

 医療機関への支援も縮小します。コロナ患者向けの病床を確保した医療機関に支払う病床確保料をこれまでの8割の額に減らします。感染者数がピーク時の3分の1を超えるなど流行期のみ支給し、対象も重症と一部の中等症の入院患者に絞ります。コロナ患者を診た場合の診療報酬の特例上乗せも、大幅に減額します。

 コロナ感染は足元で予断を許さない状況にあります。厚労省の発表によると、10日までの1週間に定点医療機関1カ当たりで確認された感染者数の平均は前週比0・98倍の20・19人と横ばいでした。九州では8月に感染のピークを迎えて現在は減少傾向にあるものの、関東では感染拡大が続きます。

 東邦大学の舘田一博教授は今回の支援策の見直しについて、「重症化リスクの高い高齢者らを守る視点が重要で、政府には状況を見ながら柔軟な対応をとってもらいたい」と語っています。

 2023年9月16日(土)

🟧全国で早くもインフルエンザが異例の拡大 沖縄県は夏季で4年ぶりの注意報発令

 全国でインフルエンザ感染が異例のスピードで拡大しています。沖縄県は夏季では4年ぶりとなる注意報を発令し、例年より2~3カ月程度早く9月に流行期に入った自治体も続出しています。免疫力の低下や、今年5月からの新型コロナウイルスの5類移行による人流の活発化などが、背景にあるとみられます。

 厚生労働省の統計によると、コロナ禍で外出自粛などが行われた2020年、2021年はインフルエンザの流行は収まっていたものの、昨年12月から状況が変化。全国の定点医療機関から報告された1機関当たりのインフルエンザの患者数は、流行の目安とされる1人を超える状況が続いています。

 今年9月10日までの1週間は、前週比75%増の4・48人に上りました。都道府県別で最も多いのは沖縄県で、13・43人。基準値とされる10人を超えたことから、県は14日に「インフルエンザ注意報」を発令しました。

 インフルエンザの型の内訳は、「A型」が最も多く630人、「B型」が3人、「不明」が92人となっています。また、年齢別でみますと、5歳から9歳が最も多く189人、次いで10歳から14歳が183人などとなっていて、10歳代以下の感染が全体の8割近くを占めています。

 福井県では1・41人の患者が報告されました。前週の倍近くに増え、流行期に入りました。9月に流行期に入るのは6年ぶりで、例年より2カ月早いといいます。

 高知県も前週の5倍超の3・11人に急増し、流行期入り。県内の乳幼児施設では園児など10人が感染し、集団発生が確認されました。

 東邦大学の舘田一博教授(感染症学)は、「インフルエンザにかからずに免疫力が低下していることに加え、人の動きが活発化して感染リスクが高まっている」と指摘。「コロナとインフルエンザを同時に検査できるようになって、インフルエンザの流行が見えやすくなった」とも語ります。その上で、手洗いやうがいなどの基礎的な予防対策を呼び掛け、「発熱したら医療機関を受診し、投与薬を活用してほしい」としています。

 2023年9月16日(土)

🟧東京都、卵子凍結保存に最大30万円を助成へ 今月25日から受け付け開始

 将来、妊娠を望む人を支援しようと、東京都は健康な女性などが卵子の凍結保存を行う際の支援策を取りまとめ、最大30万円を助成することとなりました。

 1人の女性が産む子供の数の指標となる昨年の東京都の出生率は全国で最も低い1・04で、都は、今年度、少子化対策の充実に向けて妊娠や子育てなどを切れ目なくサポートする取り組みを進めています。

 この一環として、将来、妊娠を望む人を支援しようと、健康な女性などが卵子の凍結保存を行う際の支援策について検討を進めてきましたが、このほど、具体的な内容をまとめました。

 それによりますと、都が指定する医療機関で卵子の凍結保存を行った場合、最大30万円を助成します。

 対象は18歳から39歳までの都民で、助成を受けるには、卵子凍結のメリットとデメリットを理解するため、都が実施する説明会に参加するとともに、都の調査に対し継続的に協力する必要があるということです。

 また、夫婦で43歳未満の妻が凍結した卵子での妊娠に向けて治療を受ける場合、1回につき25万円を上限に最大6回までが助成されるということです。

 さらに、卵子凍結を行うための通院などで女性が仕事を休む場合に備え、休暇制度などを整備した企業にも20万円の助成を行います。

 都は9月25日から説明会の受け付けを始め、10月中旬に指定の医療機関の一覧を公表する予定です。

 東京都の小池百合子知事は記者会見で、「子供を持ちたい希望を持っているが、一生懸命働いていると、すぐに年月がたってしまい、『私はどうしよう』と迷う女性はとても多い。そういう中で、1つの選択肢としてバックアップしていこうというものだ。人生の選択を、いろいろな形でできるように後押しをしていきたい」と述べました。

 2023年9月16日(土)

🟧東京都、コロナとインフルエンザが同時に流行 コロナ患者数は「第8波」ピーク時の8割に

 東京都は14日、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が進んでいると、感染症対策連絡会議で明らかにしました。新型コロナの患者報告数は、第8波のピーク時の8割近くに達し、オミクロン型から派生した変異型「EG・5(通称・エリス)」が主流となりつつあります。一方、インフルエンザは季節外れの流行で、この時期としては過去最多の報告数になりました。専門家は手洗いなど基本的な対策を講じるよう呼び掛けています。

 都によると、新型コロナの直近1週間(4~10日)の1定点医療機関当たりの患者報告数は16・36人。感染症法上の5類移行後で最多だった前週は17・01人で、専門家は「横ばい」と評価しました。

 昨年末から今年初めにかけての第8波では、医療機関当たりの報告数の最多は19・78人で、1日当たりの感染者数の最多が2万2063人に達しました。東京都医師会の尾崎治夫会長は12日の会見で、現在の感染者数が「1万5000人規模と想定される」と懸念を表明していました。

 ゲノム解析結果では、変異型「エリス」が前週から4・8ポイント増加し、39・8%と主流になっています。エリスは感染力がこれまでの型より高いものの、重症化リスクは低いとみられます。

 インフルエンザは直近1週間の患者報告数が5・95人で、流行開始の目安となる1・0人を大幅に超えました。冬場に流行することが多く、9月のこの週の報告数としては1999年の統計開始以来過去最多となりました。

 都内では直近1週間で計53の小中高校で学級閉鎖などの臨時休業になり、東京感染症対策センターの賀来満夫所長は「換気や手洗いなどの基本的な感染対策を心掛けて」と訴えました。

 このほか、救急隊が5つの医療機関から患者受け入れを断られるか、20分以上搬送先が決まらない「東京ルール」の適用件数(7日間平均)は、150・4件と高水準。都病院協会の猪口正孝会長は、「救急医療が逼迫(ひっぱく)する事態も一部で生じている」と述べました。

 2023年9月16日(土)

2023/09/15

🟧100歳以上の高齢者、9万2139人 53年連続で過去最多を更新、女性が88・5%

 全国の100歳以上の高齢者は9万2000人余りで、53年連続で過去最多を更新しました。

 厚生労働省は、9月1日時点の住民基本台帳をもとに、国内に住む100歳以上の高齢者の数を公表しました。

 それによりますと、老人福祉法で「老人の日」と定めた15日までに100歳以上になった人は、全国で合わせて9万2139人で、昨年から1613人(男性185人、女性1428人)増えました。1970年(昭和45年)の310人から53年連続で最多を更新しています。

 性別では男性が1万550人、女性が8万1589人で、全体の88・5%を女性が占めています。

 国内の最高齢は大阪府柏原市に住む女性の巽フサさんで、1907年(明治40年)4月25日生まれの116歳です。また、男性の最高齢は千葉県館山市に住む薗部儀三郎さんで、1911年(明治44年)11月6日生まれの111歳です。

 また、人口10万人当たりの100歳以上の高齢者数は73・74人。都道府県別では、島根県が155・17人と11年連続で最も多く、次いで、高知県が146・01人、鳥取県が126・29人でした。一方、最も少なかったのは、34年連続で埼玉県で44・79人、次いで、愛知県が47.69人、千葉県が50・22人でした。

 今年度中に100歳を迎える人は、海外に住む日本人や国内に永住する在日外国人も含めると、4万7107人(前年度比1966人増)で、厚生労働省は長寿を祝って記念品を送ることにしています。

 2023年9月15日(金)

🟧新型コロナ感染状況、前週の0・98倍 ほぼ横ばいも感染対策徹底を

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、9月10日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が20・19人で、前の週の0・98倍となっています。

 厚生労働省は、「緩やかな増加傾向が続いていて、前の週からは減少したもののほぼ横ばいだといえる。引き続き感染対策を徹底してほしい」としています。

 厚生労働省によりますと、9月4日から10日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1545人減って9万9744人となりました。また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は20・19人で、前の週の0・98倍となりました。

 都道府県別では、多い順に宮城県が32・47人、岩手県が29・87人、千葉県が27・45人、埼玉県が26・95人、石川県が25・65人、栃木県が25・51人、茨城県が25・43人、岐阜県が24・24人、福島県が24・13人、秋田県が23・88人、愛知県が23・84人、静岡県が23・83人、新潟県が23・53人、富山県が22・13人、長野県が21・74人、神奈川県が21・43人、宮崎県が21・03人などとなっていて、25の府県で前の週より増加しています。少ないのは沖縄県が12・26人、香川県が13・09人、大阪府が14・62人、和歌山県が14・96人、広島県が15・02人。

 このほか、9月10日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万1566人で、前の週と比べて1744人の減少となりました。

 厚生労働省は全国の流行状況について、「新型コロナの5類移行後、緩やかな増加傾向が続いていて、前の週からは減少したもののほぼ横ばいだといえる。年齢別では20歳未満が増加している一方でそれ以外は減少していて、学校再開などの影響が続いているとみられる。引き続き、感染対策を徹底してほしい」としています。

 2023年9月15日(金)

2023/09/14

🟧「レプトスピラ症」が集団発生、沖縄・西表島の河川でカヌーの10歳代男性4人 過去に死亡例も

 沖縄県は12日、西表島の河川で8月にカヌーをした石垣市在住の10歳代男性5人のうち4人から、重症化すると腎機能障害などで死亡するリスクもある、レプトスピラ症の集団発生が確認されたと発表しました。 

 沖縄県ワクチン・検査推進課によると、男性らが8月21日にカヌーをした際、遊泳したり河川の水が口に入ったりしたといいます。その後、発熱や頭痛、腎不全などを発症したため入院。2人は現在も治療が続いています。

  細菌の病原性レプトスピラは、ネズミやマングースなどの野生生物の腎臓に潜み、排せつされた土壌や水に触れた皮膚の傷や粘膜を通して感染します。3日から2週間程度の潜伏期間を経た後、高熱や頭痛、筋肉痛などの症状が出るほか、重症化すると腎機能障害などで死に至るリスクもあります。

 沖縄県内では、レプトスピラ症で昨年70歳代の男性が発熱や腎不全などの症状が出て死亡したほか、一昨年は感染者が11人確認されています。

 県は、傷がある場合は河川での遊泳を控える、河川や滝の生水は飲まない、河川に入ったり、土壌に触れたりする時は肌を露出しないなどを呼び掛けています。

 また、初期の症状が風邪に似ていることから、数日の間に川などに行った経験があれば、受診する際に医師に話して早期の治療につなげてほしいとしています。

 2023年9月14日(木)

🟧埼玉県、新たな新型コロナ感染者7033人 20歳未満の若い世代で感染拡大

 埼玉県では新型コロナウイルスの感染が若い世代を中心に広がっており、大野元裕知事は「場面に応じてマスクをするなどして、感染を広げないようにしてほしい」と述べて、感染対策を呼び掛けました。

 13日、埼玉県の新型コロナの専門家会議が開かれ、大野知事は新型コロナに感染したことが確認されたため、オンラインで出席しました。

 この中で9月4日から10日までの1週間の新規感染者数について、定点把握の対象となっている県内261の医療機関から報告のあった新たな感染者数は7033人でした。1医療機関当たりの平均は26・95人となり、前の週より1・22人増えて15週連続で増加しています

 年代別では、10歳未満が1695人、次いで10歳代が1661人と20歳未満が半分近くを占め、若い世代で感染が急速に広がっているということです。また、50歳代が704人、40歳代が701人などなっています。

 また、県立高校で文化祭などの行事の後に複数の生徒や教職員の集団感染が確認されるケースが相次いでおり、9月7日に5校が学校閉鎖になったほか、13日、新たに久喜市と越谷市の合わせて2校が学校閉鎖となったということです。

 会議の後、大野知事はリモートで取材に応じて、「重症化リスクが高い人と会う時はマスクをするなど、場面に応じて感染対策をしていただきたい。換気や手洗いをして、人が多く集まるイベントで感染を広げないようにしてほしい」と述べ、引き続き県民に感染対策を呼び掛けました。

 2023年9月14日(木)

2023/09/13

🟧厚労省、モデルナの「XBB」対応コロナワクチン承認 20日から始まる秋接種で使用

 厚生労働省は12日、新型コロナウイルスのオミクロン型の亜系統「XBB」に対応するアメリカのモデルナ社製のワクチンを承認したと発表しました。すでに承認されている生後6カ月以上が対象のアメリカのファイザー社製のワクチンとともに、全世代を対象に20日から始まる無料の秋接種で使われます。同社は25日の週から各自治体に配送を始めます。

 モデルナ社製のXBB対応ワクチンの対象年齢は6歳以上。追加接種用で、前回の接種から少なくとも3カ月空ける必要があります。同社は、XBB対応ワクチンについて、現在流行している「EG・5・1」系統や、東京都で9月に初めて確認された「BA・2・86」系統に対して細胞への感染を防ぐ力を示す「中和活性」を確認したと発表しています。

  20日からの接種は6カ月以上の全世代が対象ですが、予防接種法上の「努力義務」や「接種勧奨」は高齢者や基礎疾患のある人に限られます。費用は引き続き全額公費負担となります。

 国産では、第一三共がXBB対応ワクチンの承認を申請しています。

 2023年9月13日(木)

🟧中国、豚体内で「人の腎臓」の培養に成功 世界初、提供臓器の不足緩和に希望

 アメリカで発行される国際学術誌「セル・ステム・セル」は7日、豚体内で人由来の中期腎臓の培養に成功したことを紹介する中国の科学研究チームによる論文を掲載しました。人とは異なる動物の体内で人由来の機能する臓器が培養されたことが報告されたのは、世界で初めてです。

 中国科学院広州生物医薬および健康研究院の頼良学研究員は同件について、「提供臓器の深刻な不足によって臨床上の臓器移植の広範な応用が制限されている。幹細胞に基づく器官の異種動物の体内での培養は将来、この問題を解決する理想的な道になる可能性がある」と説明しました。

 頼研究員はさらに、「この方法で得られる人由来の臓器は、より包括的な細胞タイプやより完全な臓器の構造と機能を有するだけでなく、使用した細胞は患者自身のものなので、異種動物の臓器または別人の臓器の移植で生じる免疫上の拒否反応などの問題を有効に回避することができる」と説明しました。

 これまでは、人由来の細胞を用いた異種動物の体内での臓器培養には技術上の多くの障害があり、豚の体内で人の臓器を培養する構想は成功していませんでした。

 今回の研究は、分化の潜在力が高く、強い競争力と抗アポトーシス能力を持つ新たなiPS細胞(人工多能性幹細胞)を利用して、最適化された胚補償技術体系と結び合わせることで、腎臓の欠陥を持つ豚の体内で人由来の腎臓の培養を実現したものです。

 中国の科学研究チームは、人由来の細胞を豚の胚に注射し、その胚を代理母豚に移植しました。その過程で使用された豚の胚は遺伝子操作により、腎臓の発育に必要な遺伝子が欠落していたので、移植された人細胞の増殖の余地が出現していました。

 研究者によると、この成果によって、幹細胞と胚補償技術に基づいて、異なる種の動物体内で機能を有する人由来の実質臓器を培養することが可能と初めて証明され、動物を利用して臓器の異種動物体内での培養の実現に向け、重要な第一歩を踏み出したことから、人から提供される臓器の深刻な不足問題の解決にとって重要な意義を持つものとのことです。

 2023年9月13日(水)

🟧ピーナツが原料のジーマーミ豆腐でアレルギー反応、観光客の搬送増加 沖縄県が注意呼び掛け

 沖縄の伝統的な食品で、ピーナツが主な原料の「ジーマーミ豆腐」を食べた観光客などがアレルギー反応を起こして救急搬送されるケースが相次いでいるとして、沖縄県が注意を呼び掛けています。

 沖縄県などによりますと、県内を訪れた観光客などが「ジーマーミ豆腐」の主な原料がピーナツだと知らずに食べてアレルギー反応を起こし、病院に救急搬送されるケースが、この夏から相次いでいるということです。

 これを受けて県や観光団体は、9月8日に沖縄観光コンベンションビューローを通じて注意喚起を行いました。

 具体的には観光客向けの情報を集めたホームページ「おきなわ物語」で、ジーマーミが沖縄の言葉でピーナツを指すことを紹介し、「豆腐」とあるものの大豆やにがりは使用しておらず、ピーナツのしぼり汁に芋クズのデンプンなどを加えて作るため、商品名からは含有成分を想像できない人も多いとみられ、食べる際には十分な注意が必要だとしています。 

 また、飲食店などに対しては、「メニューや店内での掲示でピーナツが原料であることを案内したり、注文を受ける際も確認したりしてほしい」と注意喚起を促しています。 

 アレルギーに詳しい沖縄市の中頭(なかがみ)病院の宮城俊雅医師は、「ピーナツを食べて重いアレルギー反応を起こし搬送されるケースは沖縄は全国に比べて多い。呼吸状態が悪くなったり血圧が下がったりして命にかかわる可能性がある。事業者側は慎重に提供し、アレルギーのある人や家族も注文する際に注意してほしい」と話しています。

 沖縄観光コンベンションビューローによると、特に小さな子供の事例が増えているといいます。離島で発症した場合は、沖縄本島への救急搬送が必要となる事例もあります。 

 2023年9月13日(水)

🟧東京都医師会、新型コロナは「第9波に入っている」 感染対策の実施を呼び掛け

 新型コロナウイルスの患者数の増加傾向が続いていることを踏まえ、東京都医師会の尾崎治夫会長は記者会見で、「第9波に入っている」として、場面に応じたマスクの着用やワクチンの接種など、基本的な感染対策の実施を呼び掛けました。

 この中で東京都医師会の尾崎会長は都内では感染者の増加傾向が続き医療がひっ迫しているとして、「5類への移行でもう終わったように思っている人もいるが、今は都内だけで毎日、新たに1万5000人ほどが感染しているような状況だ。第9波に入っており、2万人超だった第8波(昨年末~今年初め)のピークに近付きつつある」と述べました。

 そして、「重症化する人は減っており、以前のように規制をかける必要はないが、コロナとの闘いはまだまだ続いている」とした上で、「新たな変異型にも効果があるとされるワクチンの接種が来週20日から始まるので、できるだけ接種してほしい」と述べ、基本的な感染対策の実施を呼び掛けました。

 2023年9月13日(水)

2023/09/12

🟧新型コロナウイルスの新変異型「ピロラ」、国内で初確認 東京都で1件

 新型コロナウイルスのオミクロン型の新たな変異型が、国内で初めて確認されました。 

 東京都は7日、オミクロン型の新たな変異型「BA・2・86」が国内で初めて確認されたと発表しました。都内の医療機関で8月24日にPCR検査を行った検体1件をゲノム解析した結果、「BA・2・86」だったといいます。感染した人は軽症だということです。

 新たな変異型の通称は「ピロラ」。海外メディアによりますと、国際的な科学者たちが常緑の植物の名前が由来の星にちなんで名付けたといいます。

 「BA・2・86」はオミクロン型「BA・2」の下位変異で、スパイクたんぱく質の突然変異数が「BA・2」より30余個多くなっています。

 スパイクたんぱく質は新型コロナウイルスが人体の細胞に浸透するのに核心的な役割を果たしており、もし突然変異によりスパイクたんぱく質が細胞に浸透するのに容易な構造へと変化すれば、より感染しやすくなる恐れがあります。

 「BA・2・86」はデンマークで今年7月に初めて発見され、9月6日までに、スウェーデン、アメリカ、イギリス、フランス、タイ、韓国などで42件の感染確認が報告されていて、アメリカの疾病対策センター(CDC)は病原性や感染力などは不明だとしています。 

  東京都のいとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長は、「ピロラに関しては症状の情報が少なくて、今のところ検出されている人の症状は比較的、軽症であるというところまでの情報。恐らく熱や喉の痛みやせきや関節痛・筋肉痛・倦怠(けんたい)感、吐き気や嘔吐(おうと)、あるいは味覚障害・嗅覚障害など今までの症状が複数、強烈ではない状態で出る」と話しています。

 2023年9月12日(火)

🟧アメリカFDA、新系統「XBB」対応ワクチン承認 類似変異型にも効果期待

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は11日、新型コロナウイルスのオミクロン型「XBB・1・5」に対応するアメリカ製薬大手ファイザーとモデルナのワクチンを承認しました。アメリカ疾病対策センター(CDC)が12日開催予定の追加接種に関する諮問委員会で推奨すれば、接種を開始できます。

 ファイザーとモデルナの新たなワクチンは12歳以上の人を対象に正式承認しました。6カ月から11歳の子供の利用については、FDAが暫定的な緊急使用許可を出しました。昨年承認した2社のコロナワクチンは使えなくなります。早ければ数日後には接種を開始できるといいます。

 FDAのバイオ医薬品評価研究センターのディレクター、ピーター・マークス氏は声明で、「新型コロナによる入院や死亡を防ぐためには継続的な予防接種が不可欠だ。承認した新しいワクチンの接種を強く推奨する」と強調し、ワクチン接種を呼び掛けました。

 CDCのデータによると、現在流行しているのは「EG・5(通称エリス)」と「FL・1・5・1(通称フォルナックス)」で、感染の36%を占めます。ファイザーとモデルナは「XBB・1・5」対応のワクチンでも現在流行中の類似変異型に効果があると証明する調査結果を出しています。

 CDCによると、9月2日までの1週間で、新型コロナによる全米の新規入院者数は前週比約9%増の約1万9000人で、増加が続いています。

 一方、コロナワクチンの中で「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術を使わないノババックスのワクチンの承認について、FDAはまだ決断を下していません。ノババックスは声明で、「CDCの12日の諮問委員会で新たなデータを発表する」と明らかにしました。

 2023年9月12日(火)

🟧性感染症の梅毒患者、1万人を超える 過去最多の昨年より2カ月早いペースで増加

 国立感染症研究所は12日、性感染症の梅毒と診断された患者が、今年に入り1万人を超えたと発表しました。現在の調査方法となった1999年以降、初めて1万人を超えた2022年より、約2カ月早いペースとなります。

 感染症研究所が週ごとに公表する感染症発生動向調査(速報値)によると、3日までの患者数は1万110人に上ります。2022年の同時期は8155人でした。

 都道府県別では東京都が2490人と最多で、大阪府1365人、愛知県590人、福岡県588と続き、都市部で多くなりました。

 梅毒の患者数は増加傾向にあります。2021年は7978人、2022年は1万3228人(速報値)で、過去最多の更新が続いています。

 梅毒は主に性的な接触によって広がる細菌性の性感染症で、治療せずに放置すると深刻な症状を引き起こすことがあります。また、妊婦が感染すると、死産や流産につながるリスクがあるほか、子供が「先天梅毒」になり皮膚の異常や難聴といった症状が出る恐れもあります。

 2023年9月12日(火)

2023/09/11

🟧CO2を回収し地中深くにためる「CCS」技術の事業化目指す 東邦ガスなど4社

 東邦ガスなど4社は、工場などから排出された二酸化炭素を回収して地中深くにためる「CCS(二酸化炭素=CO2回収・貯留)」と呼ばれる技術の事業化を目指すと発表しました。中部地方で出た二酸化炭素をオーストラリアまで運んで埋める計画です。

 これは東邦ガス、住友商事、川崎汽船、オーストラリアの大手エネルギー会社「ウッドサイドエナジー」が7日、共同で発表したものです。

 それによりますと、4社は脱炭素社会の実現に向け、工場などから排出された二酸化炭素を回収し、地中深くにためる「CCS」と呼ばれる技術の事業化を目指すとしています。

 具体的には、中部地方の工場などから出た二酸化炭素を回収して液体化し、船でオーストラリアに運んで地中に埋める計画です。

 東邦ガスによりますと、年間100万トンから500万トンの二酸化炭素を回収して地中にためることを目標として、2024年6月までに事業性調査を実施し、2030年までの事業開始を目指すということです。

 東海地方では、中部電力も今年2月、イギリスの大手石油会社と協定を結び、二酸化炭素を回収して地中に埋めたり再利用したりする技術の導入を目指すと発表しています。

 2023年9月11日(月)

🟧新型コロナ患者増加、新変異型「エリス」の割合が拡大

 新型コロナウイルスの患者数が増えています。東京都内にある病院では、感染力が強いとされる新たな変異型、通称「エリス」の割合が増えて、一般の医療にも影響が出ています。

 全国約5000の定点医療機関から8月28日~9月3日の1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者数は計10万1289人に上り、1医療機関当たり20・50人で、法的な位置付けが5月8日に「5類」に引き下げられて以降、最も多くなっています。

 現在、感染が広まっているのは世界保健機関(WHO)が8月、注目すべき変異型に指定したオミクロン型の新たな変異型「EG・5」、通称「エリス」とみられています。

 東京都品川区にある昭和大学病院では、8月に入ってEG・5の割合が増え、コロナ患者を解析した結果、約6割がEG・5だということです。現在、コロナ病床12床に対し44人が入院していて、5類移行後最多です。一般病床も使って対応に当たり、通常の医療にも影響が出始めています。

 昭和大学病院の相良博典院長は、「(入院患者の)7割ぐらいが高齢者かなと思います。通常の医療業務に関してもかなり影響が出てきている。恐らく、かなり市中感染は増えているだろうと思います。まだまだ、もうちょっと増えていくだろうと思います」と話しています。 

 感染力がやや強いとされるEG・5の特徴については、「ほとんどが中等症から軽症。重症はそれほど多くない。今、流行しているEG・5に関しては、従来、我々が接種してきたワクチンは効きにくいと思いますので今度、認められた新たなワクチン、それを早めに接種する必要性があろうかと思います」 と話し、高齢者など重症化リスクの高い人に感染を広げないよう、場面に応じた感染対策を取るよう呼び掛けています。

 2023年9月11日(月)

🟧日本調剤と料理宅配ウォルト、処方薬宅配サービスを開始 最短30分で配送

 全国47都道府県で調剤薬局を展開する日本調剤(東京都千代田区)と、料理宅配サービス「Wolt(ウォルト)」を展開するウォルトジャパン(東京都渋谷区)は、処方薬を最短30分で届ける宅配サービスを9月11日から始めました。

 配送の対象は日本調剤の窓口やオンラインで服薬指導した処方薬で、患者は薬剤師に配送の希望を伝えるとウォルトの配達パートナーが自宅に届けるといいます。配送時間は30分後から1週間程度まで指定できます。

 料金は1回800円。まずは日本調剤の東京都と神奈川県の18店舗からサービスを始め、11月には首都圏の120店舗まで対象を広げます。また、来年以降は順次対応店舗を全国に広げていく計画です。

 このサービスが可能になった背景として、電子処方箋の制度が今年1月にスタートし、オンラインでの処方薬の取り扱いが認められたことがあります。しかし電子処方箋の導入は緩やかで、システム導入コストが障壁となっています。

 日本調剤は、電子処方箋が中長期的には定着し、処方薬の自宅配送も普及すると見込んでいます。自社の店舗網を生かした配送サービスが、制度の利用を後押しすることが期待されます。一方、ウォルトにとっては新規事業の柱となり得ます。

 処方薬を受け取れるサービスは、大手ドラッグストアやコンビニエンスストアが普及に取り組んでおり、関連銘柄に注目が集まりそうです。

 2023年9月11日(月)

2023/09/10

🟧新型コロナワクチン接種、来年度からは高齢者などに年1回で調整

 来年度からの新型コロナウイルスのワクチン接種について、厚生労働省は65歳以上の高齢者や重症化リスクのある人を対象に、年に1回、秋から冬の間に行う方向で調整していることがわかりました。今後、専門家などの意見を踏まえ最終的に決定することにしています。

 新型コロナワクチンの接種については、「まん延予防上緊急の必要がある」として接種費用を全額公費で負担する「特例臨時接種」で行われ、今年5月に感染症法上の位置付けが5類に変更された後も、無料での接種が続けられています。

 一方、「特例臨時接種」は来年3月末が期限となっていて、厚労省は来年度以降の接種の対象者や費用負担の在り方などについて検討を進めています。

 こうした中、厚労省が、来年度以降の接種について、年に1回、秋から冬の間に行う方向で調整していることがわかりました。

 接種を受ける対象者については、65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人とする方向で検討しており、今後、専門家などからの意見を聞いた上で決定することにしています。

 また、接種の費用負担の在り方についても、季節性インフルエンザなどと同様に一部自己負担となるケースもある「定期接種」に変更するかどうかなどについて今後検討を進め、今年中にも最終的な方針を取りまとめることにしています。

 2023年9月10日(日)

🟧立ったまま撮影できるCT公開、疾患見付けやすく 愛知県の藤田医科大学病院で導入、国内臨床で初

 愛知県豊明市の藤田医科大学病院は9日、立ったまま撮影できる「立位CT(コンピューター断層撮影)」を報道陣に公開しました。今年5月に運用を始め、臨床現場では国内初の導入。

 内臓や脂肪、血管の位置などは重力の影響で変動するため、寝台に仰向け寝る従来のCTではわからなかった、患者が立った時に症状が出る痛みなどの原因の特定につながることが期待されています。

 患者が装置の中央に立つと、筒状の部分が上下に動いて体内の画像を撮影します。座ったままで、頭や首の内部の撮影も可能。運用開始以降、膝関節などの運動器や呼吸器、消化器など幅広い分野の診断に用いられています。キヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)が慶応大学と共同開発しました。

 現在は、副作用による転倒の可能性を考え、造影剤を用いた撮影はしていません。大野良治教授(放射線診断学)は、「気を失っても転倒しないような独自の装具を数年以内に開発し、立位CTを世界に普及させていきたい」と話しました。

 2023年9月10日(日)

🟧宿泊施設でレジオネラ属菌を検出、宮崎市が1年超指導せず 職員が報告を見落とし

 宮崎市は、1年余り前に市内の宿泊施設の浴槽から国の基準値を超えるレジオネラ属菌が検出されたという報告を受けたものの、消毒などを指導せず、再び基準の10倍以上の菌が検出されたとして謝罪しました。

 これまでに健康被害は確認されていないということです。

 これは、宮崎市が9日会見を開いて明らかにしました。

 市によりますと昨年7月29日、保健衛生課の職員が市内の観光地、青島にある「AOSHIMA SUIKOEN」から、浴槽の水質検査で国の基準値を超えるレジオネラ属菌が検出されたという報告をファックスで受け取った際に見落とし、消毒などを指導していなかったということです。

 その後、今年8月28日になって別の職員が2022年度分の報告書を確認していた際、見落としに気付いたのを切っ掛けに、宿泊施設に浴場の使用停止を依頼して立ち入り調査を実施し、水質検査の結果、男湯と女湯の浴槽などから基準の10倍から13倍のレジオネラ属菌が検出されました。

 宿泊施設側は最初に問題がわかって以降、浴槽などを消毒したものの、再検査は行っていなかったということです。

 毎月、平均で延べ800人から1000人の宿泊者がいましたが、これまでに健康被害は確認されていないということです。

 宿泊施設では現在、市の要請や指導に基づいて大浴場の利用を停止して浴槽や配管の洗浄などを行っています。

 宮崎市健康管理部の袈裟丸未央部長は会見で、「市民の皆様に不安と心配をおかけして大変申し訳ありません」と謝罪しました。市は報告書を担当者以外にも確認させるなどの再発防止策をとるといいます。

 2023年9月10日(日)

2023/09/09

🟧iPS細胞の心筋球移植で心臓の収縮機能倍増 2年後に実用化へ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉(心筋)の細胞約1千個を球状に加工した「心筋球」計約5万個を、重い心不全患者の心臓に移植する世界初の治験を進めている慶応大学発の医療ベンチャー、ハートシード(東京都新宿区)が、手術を行った患者2人について顕著な症状改善効果を確認したことが9日、わかりました。心筋梗塞で硬化し収縮しづらくなった心臓の収縮機能が倍増。2年後の2025年の実用化を目指すといいます。

 治験の対象は、心臓の血管が詰まって心筋が壊死(えし)し、心臓の筋肉組織が硬くなって柔軟性が失われ、血液を送る力が衰えた「虚血性心筋症」という心不全の患者。息切れやむくみが起こり、悪化すると歩行ができなくなり生命の危険も生じます。

 すでに4手術を実施。そのうち昨年12月に1例目、今年2月に3例目の手術を、いずれも60歳代男性に対して実施した共同研究機関の東京女子医科大学病院(東京都新宿区)が、術後半年を経過したことから、治療の効果について取りまとめました。

 2人とも重篤な副作用はなく、細胞のがん化もありませんでした。心筋球は約30倍の大きさに成長して心臓と一体化し、筋肉組織は柔軟さを取り戻し機能が改善しました。生命にかかわる不整脈もなく、患者は退院し歩行のリハビリテーションも始めたといいます。

 手術から半年後の分析では、心臓が血液を送り出す力を示す収縮率(健常者は平均約65%)が、1例目が26%から28%に改善。3例目は、17%から38%に倍増しました。また、心筋梗塞を起こした心筋細胞数の指標となる物質も、1例目が血液1ミリリットル当たり1万1471ピコグラム(ピコは1兆分の1)から5733ピコグラムに急減。その後も減少が続いています。3例目は、5225ピコグラムから817ピコグラムに大幅減少し、重篤な心不全の基準となる900ピコグラム以下に改善しました。

 ハートシードの社長を務める福田恵一・慶応大学名誉教授は、「入念な準備を重ねた結果、大きな問題は起こっておらず、iPS心筋球移植の安全性と有効性を立証できた。日本発の新たな心不全治療法を世界に広げたい。今後は世界規模の最終段階の共同治験を行い、2025年ごろの実用化を目指している」と説明しています。

 今回の成果は、9日に開かれた日本心臓病学会学術集会で発表されました。

 2023年9月9日(土)

🟧インフルエンザの感染者、1万2638人に増加 学校の学級閉鎖も

 インフルエンザや新型コロナウイルスによる学級閉鎖が、夏休み明けから増加しています。財団法人の日本学校保健会は、全国にある保育園や幼稚園、学校などのうち、登録のあった約4万の施設の学級閉鎖などの状況を集計しています。

 それによりますと、多くの学校で2学期が始まった8月25日の時点で学級閉鎖となったのは、新型コロナで11クラス、インフルエンザで1クラスでしたが、1週間前の9月1日では、新型コロナで205クラス、インフルエンザで42クラスに、8日午後3時の時点では、新型コロナで515クラス、インフルエンザで186クラスに増えています。

 全国のインフルエンザの患者数は9月3日までの1週間で1医療機関当たり2・56人となり、前の週より増加しました。流行の目安とされる「1人」を超える状態が続いています。

 厚生労働省によりますと、9月3日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週から5700人余り増えて1万2638人でした。1医療機関当たりでは、前の週の1・40人から2・56人に増えました。

 地域ごとでは、いずれも1医療機関当たりで沖縄県で9・41人、宮崎県で4・95人、三重県で4・42人、千葉県で4・20人、福岡県で4・16人などとなっています。

 インフルエンザは、全国で1医療機関当たり1人を超えると「流行期入り」の目安とされていていますが、昨年の12月25日までの1週間に「1・24人」となって以降、1人を上回る状態が続いています。

 厚労省によりますと、この時期まで1人を上回る状態が続くのは、現在の集計方法となった1999年以降で初めてだということです。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「コロナ禍の感染対策が行われていた時期はインフルエンザは感染拡大が抑えられていたため、免疫を持たない人が増えたことが影響していると考えられる」と話しています。

 2023年9月9日(土)

🟧新型コロ治療薬、患者負担9000円 10月以降、低所得者は軽減

 政府が検討する新型コロナウイルス感染症の医療支援見直し案がわかりました。現在は全額公費で賄っている高額治療薬は10月以降、9000円を基本として患者に自己負担を求めます。所得に応じて6000円や3000円に軽減します。最大2万円の入院費補助は10月以降、1万円程度に減額します。

 新型コロナの感染症法上の位置付けが5月8日に「5類」になり、政府は医療支援の来春の廃止を検討。段階的な廃止に向け、今年10月以降、補助額を縮小します。この夏の感染状況とその対応を踏まえ、関係団体などの意見を聞いた上で最終判断する見込み。

 感染者の約1割が、高額な治療薬を使っており、ラゲブリオやパキロビッドなどの抗ウイルス薬は1人当たりの薬価が9万円台とされます。10月以降は、1割程度を自己負担してもらう考え。来年4月以降は通常の病気やけがと同様に、原則1~3割の負担とする方向です。

 現在の入院費は、1カ月の医療費が上限額を超えた場合に支給する「高額療養費制度」を適用した上で、さらに最大2万円を補助しています。

 2023年9月9日(土)

2023/09/08

🟧新型コロナ新派生型「BA・2・86系統」を初確認 東京都が警戒呼び掛け

 東京都は7日、新型コロナウイルスのオミクロン型の新たな派生型「BA・2・86」系統を1例確認したと発表しました。都によると、海外では南アメリカやデンマーク、アメリカなどで計42件(6日時点)の報告があるものの、国内では初めて。

 病原性や感染力は不明といいます。患者は軽症で、海外渡航歴はありません。

 国立感染症研究所の斎藤智也感染症危機管理研究センター長によると、ウイルスが細胞に侵入するためのタンパク質に多数の変異が見付かっています。

 免疫を逃れる性質は、現在主流の「XBB」系統よりも強いか同程度だと考えられているといいます。「感染者や重症者の動向を注視し、流行に応じた感染対策をしてほしい」と語りました。

 「XBB」系統と「BA・2・86」」系統の差について、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、「デルタ型とオミクロン型くらいの違いがあり、BA・2・86は免疫をすり抜ける力が高い可能性がある」と指摘します。

 国内では、9月20日に秋接種が始まります。使われるワクチンは「XBB・1・5」系統に対応しますが、「もしBA・2・86が今後広がれば、秋接種のワクチンがあまり効かない可能性はある」と警戒します。

 ただ、重症化の予防効果は期待できるといい、「まずは現在の流行を抑えるためにも、ワクチン接種を検討してほしい」と呼び掛けています。

 2023年9月8日(金)

🟧東京都の新型コロナ患者、1医療機関当たり17・01人 5類移行後で最多を更新

 東京都は7日、8月28日~9月3日の直近1週間の新型コロナウイルスの定点医療機関当たりの患者報告数を17・01人と発表しました。前の週の14・53人からおよそ1・17倍に増加し、新型コロナの感染症法上の5類移行後、最多を更新しました。

 5類移行後初の公表となった5月8~14日分の患者報告数は、2・4人でした。その後じわりと増加を続け、7月末には10人を超えていました。

 東京都が感染状況の分析を依頼する専門家は、「すべての年代で前週より増加している。重症化リスクの高い高齢者などの感染拡大を警戒する必要がある」とコメントしました。

 一方、「入院患者数」や「外来の逼迫(ひっぱく)状況」など4項目について、都は国に準じて感染拡大の注意喚起を促す目安を示しています。7日時点でこの目安を超えたのは「入院患者数」の2782人(目安は2230人以上)と「確保病床使用率」の50・4%(目安は50%超)。都の担当者は、「目安は超えたものの、確保病床以外の幅広い医療機関での入院受け入れは進んでいるが、それに伴う一般医療への影響が危惧される」としています。 

 2023年9月8日(金)

🟧新型コロナ定点感染者10万人超、5類移行後で初 前週比1・07倍

 厚生労働省は8日、全国約5000の定点医療機関から8月28日~9月3日の1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者数は計10万1289人に上り、1医療機関当たり20・50人だったと発表しました。前週比は1・07倍で、3週連続の増加。報告感染者数10万人超、1医療機関当たり20人超はいずれも、法的な位置付けが5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行して以降初めて。

 厚労省が明らかにしている5類移行前の参考値と比べると、流行「第8波」だった1月前半ごろの感染者数と同じ水準となります。お盆期間後も増加しており、厚労省の担当者は「基本的な感染対策を続けてほしい」と呼び掛けました。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が多いのは岩手県35・24人、宮城県32・54人、秋田県30・61人。少ないのは沖縄県11・80人、福井県12・67人、兵庫県14・19人。37都道府県で増えました。

 全国の新たな入院者数は1万2842人で、前週比0・92倍でした。

 2023年9月8日(金)

2023/09/07

🟧WHO、新型コロナへの警戒訴え 中東、アジアの一部で死者増

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は6日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症について、中東やアジアの一部で死者数が増加していると指摘しました。北半球で冬を迎えるのを前に「懸念される傾向が続いている」とし、警戒を怠らないよう呼び掛けました。

 テドロス事務局長は、WHOに死者数を報告しているのは43カ国のみで、「データは限られている」と説明しました。入院に関する情報提供は20カ国にとどまりますが、WHOの担当者は「現在、数十万人がコロナで入院している」と推定しました。

 テドロス事務局長は世界中で支配的な変異型はないとする一方、オミクロン型の派生型「EG・5」(通称エリス)が増加傾向にあると述べました。

 2023年9月7日(木)

🟧東北地方の離島で複数の南方系マダニ類の生息を確認 致死率高い新興感染症を媒介

  山形大学農学部の小峰浩隆助教(33)=生態学=らの研究チームは東北地方の離島で、致死率の高い新興感染症を媒介する複数の南方系マダニ類の生息を確認しました。従来知られていた地域より北方だった種もおり、地球温暖化などを背景に東北地方に進出しつつある状況がわかりました。この離島にはマダニの主な宿主とされる大型哺乳類はほとんどおらず、鳥類を介して分布が拡大している可能性も示唆されました。

 南方系のマダニ類はもともと東南アジアや南アジアにおり、近年は西日本でも見付かっています。日本紅斑熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)といった新興感染症を媒介するとして拡大が懸念されているものの、その拡大状況やメカニズムの実態は不明な点が多くあります。

 国立感染症研究所によると、SFTSの報告数は近年、全国で増加傾向にあり、今年は8月27日までに108人となり、昨年の同時期を上回っています。山形県の場合、1999年の調査開始以降、SFTSの感染例は確認されていません。

 今回、南方系マダニの生息が見付かった離島は風評被害の懸念から公表していません。  2021年6~8月に草むらなどから9種類145匹を捕まえ、南方系は5種類を発見しました。このうちヤマアラシチマダニとツノチマダニは新潟県、タカサゴチマダニは静岡県、カクマダニ属の種(和名未確定)は埼玉県が北限でした。

 離島内にはマダニの重要な宿主とされるシカやイノシシはおらず、陸上からの移入も考えにくい状況です。畜産による人為的な動物の移動もないため、300種類超の渡り鳥が立ち寄った際に持ち込んだとみられます。ただ、マダニの幼虫はほとんど見付かっておらず、離島内で繁殖している可能性は低いといいます。

 小峰助教は、「西日本に比べて南方系マダニ類の個体数は少なく、感染症のリスクは高くないと思われる」と説明。「今後はどの鳥がどこからマダニを持ち込んだかなど基礎情報を集め、将来的には感染症のリスク低減に役立てたい」と話しました。

 森林研究・整備機構森林総合研究所(茨城県つくば市)との共同研究で、成果はダニに関する国際学術誌の7月27日付に掲載されました。

 2023年9月7日(木)

🟧2023年は人類史上最も暑い年になる可能性が高い EU気象情報機関が発表

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は6日、今年6~8月の世界平均気温が観測史上最高を記録したとし、また2023年は人類史上最も暑い年になる可能性が高いと発表しました。

 C3Sは同日公開した報告書で、北半球が夏となる6~8月の今年の世界の平均気温は16・77度で、1940年からの観測史上最高だった2019年の16・48度を上回ったと明らかにしました。今年8月の世界の平均気温も、同月としては史上最高を記録しました。

 C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、「前月までの3カ月は、過去約12万年間、いい換えれば人類史上で最も高温だった」と述べました。

 ここ3カ月には熱波、干ばつ、山火事がアジア、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカを襲い、経済や生態系、人々の健康に甚大な影響を与えました。

 2023年9月7日(木)

🟧メキシコ最高裁、全土で人工妊娠中絶の権利認める判断 禁止は「女性の人権侵害」

 メキシコの最高裁判所は6日、全土において、人工妊娠中絶を合法とする判断を示しました。

 メキシコではかつて全土において人工妊娠中絶が禁止されていましたが、2007年のメキシコ市を皮切りに、これまでに32州中12州で合法化されています。今回の判断は32州すべてに適用されます。

 メキシコ最高裁は2021年9月、北部コアウイラ州が中絶に刑事罰を科すのは違憲との判断を全員一致で示していましたが、各州と連邦政府による現行の刑法の無効化のプロセスは遅々として進んでいませんでした。

 最高裁は、中絶の可能性を否定することは、女性の人権侵害に当たると指摘しました。

 アルトゥーロ・サルディバル最高裁長官は、「レイプの場合、いかなる少女も、州や親、保護者から母親になることを強制されることはない」「この場合の女性の権利侵害は、被害者としての立場からだけでなく年齢からみても、より深刻であり、未成年者の最大の利益の観点から、問題を分析する必要がある」と述べました。

 この判断を受け、連邦医療機関が中絶手術を行う道が開かれました。女性の権利団体も歓迎しています。

 一方、メキシコはキリスト教カトリック教会の信者がラテンアメリカで2番目に多く、今回の司法判断は、保守派の政治家やカトリック教会の怒りを買う可能性があります。

 ただ、教会の影響力は近年低下しており、メキシコ政府は自分たちは世俗主義的だととらえています。

 ラテンアメリカでは、「緑の波」と呼ばれる中絶規制緩和の流れがみられます。コロンビア、キューバ、ウルグアイ、アルゼンチンでは選択的中絶が合法ながら、10月に実施されるアルゼンチン大統領選挙の有力候補ハビエル・ミレイ氏は中絶を禁止したい考えです。

 レイプや、健康上のリスクがある場合の中絶を認めている国もあります。一方、エルサルヴァドルやホンジュラス、ニカラグア、ハイチ、ドミニカ共和国では全面的に禁止されています。

 メキシコなどラテンアメリカ諸国でのこうした動きは、アメリカの最高裁判所が昨年、中絶の権利を認めた判決を覆す判断を示したのとは対照的です。

 2023年9月7日(木)

2023/09/06

🟧大麻成分「THCH」含む食品で救急搬送4件 国民生活センターが注意喚起

 今年8月から「指定薬物」として規制されている大麻に含まれる成分の1つ「THCH」を含む食品やカプセルを摂取して病院に救急搬送される事例が寄せられているとして、国民生活センターが注意を呼び掛けています。

 「THCH」は、大麻に含まれる「カンナビノイド」という化学物質の1つで、幻覚作用や記憶への影響、薬物依存などの健康被害が懸念されるなどとして、国内では今年8月4日から「指定薬物」として輸入や製造、販売のほか、所持や使用などが禁止されています。

 国民生活センターによりますと、今年7月末までの1年間に「THCH」を含む食品などを摂取して救急搬送された事例が、全国の消費生活センターや医療機関などから合わせて4件寄せられたということです。

 このうち、通販サイトで購入した「THCH」の成分を含むカプセルを飲んだ40歳代の女性が上半身と顔がしびれて激しいめまいを感じた後に救急搬送され、そのまま2日間、意識不明となった事例や、20歳代の女性がグミを食べた後に気分が悪くなり、「幻覚が見える」などと訴えて救急搬送された事例などが報告されているということです。

 国民生活センターによりますと、規制の前はリラックス効果をうたった「THCH」を含むグミやクッキーなどの商品が大手通販サイトでも販売され、また、現在も一部のネットのフリーマーケットなどで取り引きされている実態があるということです。

 国民生活センターは、「THCH」を含む商品には絶対に手を出さないよう注意を呼び掛けています。

 2023年9月6日(水)

🟧中外製薬の希少血液疾患治療薬「クロバリマブ」、アメリカ当局が申請を受理

 中外製薬は6日、血液の希少疾患である「発作性夜間ヘモグロビン尿症」の治療薬「クロバリマブ」について、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認申請を受理したと発表しました。既存薬は点滴による2週間に1回の静脈注射のみが認められており、クロバリマブが承認されれば、新たに皮下注射が可能となります。患者が在宅で自己投与することができ、治療の選択肢が広がります。

 発作性夜間ヘモグロビン尿症は、赤血球が体の免疫系の一部である補体系によって破壊され、貧血や疲労、血栓、腎疾患などの症状が出ます。中外製薬によると、世界で約2万人が罹患(りかん)しているといいます。

 クロバリマブは補体系に作用する抗体医薬で、4週間に1回皮下投与します。同社はクロバリマブについて日本、中国、ヨーロッパでも当局に承認申請が受理されており、他国の規制当局に対する申請も進行中。

 2023年9月6日(水)

🟧市販薬を過剰摂取する若者が急増 救急搬送の8割は女性

 市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)で救急搬送された患者100人余りを調べたところ、平均年齢は25・8歳で8割近くが女性だったことが、国の研究班の調査でわかりました。

 多くの人は家族などと同居していて、研究班は「周囲とつながりがあっても、いいだせないような悩みや生きづらさを抱えているとみられ、周りの人は目を配ってほしい」と話しています。

 この調査は埼玉医科大学病院などが参加する厚生労働省の研究班が実施したもので、2021年5月から2022年12月までの1年8カ月間に、解熱鎮痛剤などの市販薬を過剰に摂取して全国7救急医療機関に救急搬送された122人について調べました。

 その結果、年代は20歳代の50人(41・0%)、10歳代の43人(35・2%)が多く、平均年齢は25・8歳で最年少は12歳だったほか、男女別では女性が79・5%、男性が20・5%でした。

 職業別では、最も多いのが学生で33・6%、次いでフルタイムで働く人が26・2%などとなっており、8割以上の人が家族やパートナーと同居していました。

 122人は、吐き気や意識障害、錯乱などの症状で搬送されました。死亡例はありませんでした。使われた市販薬は189品目で、解熱鎮痛剤47(24・9%)、せき止め35(18・5%)、風邪薬34(18・0%)など。

 また、救急搬送された人のほとんどが入院したほか、集中治療が行われた人は半数を超え、後遺症で通院が必要になった人もいたということです。

 研究班の埼玉医科大学臨床中毒センターの喜屋武玲子医師は、「家族と同居したり働いたりしていて周囲とつながりがあっても、いいだせないような悩みや生きづらさを抱えているとみられ、周りの人はそのことを知って目を配ってほしい。身体的な治療だけでなく、過剰摂取の背景に何があるのか、考える必要がある」と話していました。

 新宿・歌舞伎町で若者に話を聞くと、市販薬の過剰摂取を「OD(オーディー)」と呼び、自分や友人が経験したことがあると話しました。

 神奈川県の15歳の女性は、「ODやったことあります。人間関係に悩んで市販の風邪薬を30錠くらい飲んでしまいました。薬を飲むと考えたくないことを考えなくてよくなります。病んでしまったらすぐにODをしてしまうので、これまで何回やったか覚えていないです」と話していました。

 埼玉県の18歳の女性は、「友達6人くらいはODしています。若い人が多くて中高生もやっています。リストカットと違って痛くないので、思い詰めてしまった時にやってしまうのだと思います」と話していました。

 SNSにも、「OD」を巡る投稿が相次いでいます。

 「ODする時みんな何を使っている?」、「ODってどんな感じなのだろうか?」などと参考情報を求める投稿のほか、「負けました。オーバードーズした」などと使用済みの市販薬のケースの写真とともに投稿されたものもあります。

 そして「オーバードーズして死ぬところだった」とか、「肝臓にも負荷がかかるしやめる」など、過剰摂取の危険性を感じている投稿もあります。

 国立精神・神経医療研究センターは、全国の入院施設がある精神科の医療機関と連携し、薬物依存の患者の実態について調査を行っています。

 薬物の依存や乱用で治療を受けている10歳代の患者が、主にどういった薬物を使用していたかを調べたところ、せき止めや風邪薬などの「市販薬」が占める割合は、2014年にはゼロでしたが、その後急増し、2022年は65%と突出して多くなっています。

 厚労省はエフェドリン、ブロムワリレル尿素、プソイドエフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンの6つの成分を含む製剤を「乱用などの恐れがある医薬品」に指定しています。

 これらの成分が含まれる医薬品を、高校生以下の若者が購入したり、譲り受けようとする場合は、学生証などで名前や年齢、使用状況の確認を求めているほか、購入者が同じ薬をほかの店で買っていないかなどの確認も求めており、複数の購入を希望している場合は、その理由や使用状況を確認し、適正と判断した場合に限って販売するよう求めています。

 2023年9月6日(水)

🟧埼玉県で今季初、公立2校インフル休業に 群馬県でも今季初、4校で学年・学級閉鎖

 埼玉県教育局は4日、県内の公立小学校と県立高校でインフルエンザや体調不良による欠席者が複数いたため、それぞれ学級閉鎖と学年閉鎖を行ったと発表しました。同日から始まったインフルエンザ統計における新シーズンでは、初めてといいます。

 越谷市の小学校では6人が欠席し、4~5日を学級閉鎖としました。県南部の県立高校では58人が欠席し、4~8日を学年閉鎖としました。この高校では、3日に文化祭を実施していたといいます。

 一方、通常は冬に猛威を振るうインフルエンザが、群馬県内で早くも流行の兆しをみせ始めています。県は5日、小学校と高校の計4校で今季初の学年・学級閉鎖が報告されたと発表しました。県によると、インフルエンザによる学校の臨時休業は過去10年で最も早い発生となりました。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行した後、インフルエンザは全国で再拡大。夏場も収束しないまま異例の流行が続いており、群馬県内も夏休み明けから再び広がっています。

 県感染症・がん疾病対策課によると、学級閉鎖となったのは新島学園高(安中市)の2年生1学級、藤岡中央高(藤岡市)の2年生1学級、藤岡小野小の2年生1学級。インフルエンザと診断されたか同様の症状があると学校が判断した欠席者は、各校で11~16人いました。学年閉鎖は藤岡美九里東小の4年生(18人)で、欠席者は4人。

 過去10年では、2019年9月30日に前橋市の幼稚園1学級で報告されたのが最も早く、今回はそれを大幅に上回る早さといいます。

 県内87カ所の定点医療機関から週ごとに報告される患者数は、1機関当たり「1人」を超えると流行期の目安とされます。8月28日~9月3日は1・77人。例年、流行は春ごろに収まるものの、今年は新型コロナが5類に移行した5月以降、感染対策が緩和されたことなどを背景に再拡大しました。6月中旬にいったん「1人」を下回ったものの、8月下旬に再び超える例年にない広がりをみせています。

 一方、全国では、夏場も「1人」を超える流行期が続いています。県感染症・がん疾病対策課は、「コロナ下では流行がなく、春以降も大きな感染拡大にはなっていないので免疫が低下している人が多い。全国的に流行が途切れない中、夏休みで人の交流が増え、学校が再開して広がった可能性がある」とみています。

 2023年9月6日(水)

2023/09/05

🟧マダニが媒介するSFTSの感染者が過去最多ペース 北日本に分布拡大

 マダニが媒介する感染症の患者が増加しています。かまれて感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の2023年の報告は8月下旬までに100人を超え、過去最多だった2022年の同時期を上回りました。ウイルスを持つマダニの分布が北日本に拡大しているとの研究もあります。専門家は山や草むらで肌を露出しないよう注意を呼び掛けています。

 SFTSの潜伏期間は6〜14日間ほどで、発熱や全身のだるさ、下痢といった症状が出ます。重症化すると意識障害や出血症状が起き、死亡することもあります。現時点で有効な薬やワクチンはなく、治療は対症療法が中心。

 国立感染症研究所によると、8月20日までに108人の感染が報告されました。2022年の同じ期間と比べて約3割多く、通年(116人)に迫る水準となっています。感染したネコやイヌを診療した時などに獣医師らがうつったとみられる事例もあります。

 福岡県では8月に、マダニにかまれた80歳代女性が死亡しました。久留米市保健所によると、1日に農作業中に足をかまれて受診。発熱や下痢が続き、転院先で13日に亡くなりました。県の研究機関による検査で、SFTSへの感染が確認されました。

 SFTSは2013年に、海外渡航歴のない人の感染が国内で初めて報告されました。感染症研究所によると、同年から2023年7月末までに確認された患者900人のうち、少なくとも101人が死亡しました。患者数は2022年まで2年連続で、過去最多を更新しました。

 背景について、札幌市医務・健康衛生担当局長を務める西條政幸・感染症研究所名誉所員は、「認知が進み、診断につながるケースが増えたことが大きい」と分析します。マダニが吸血するシカやイノシシといった野生動物が人の生活圏で確認される頻度が高まっていることも一因とみています。

 マダニの分布は拡大しているとみられます。山形大学と森林研究・整備機構は8月下旬、東北地方の離島で複数の南方系マダニ類の生息を確認したと発表しました。この離島には哺乳類がほぼ生息しておらず、渡り鳥に付いて離島を経由するなどして北方に生息を広げている可能性があります。

 見付かった南方系マダニ類の中にはSFTSを媒介する種もいました。研究を率いた山形大の小峰浩隆助教は、「気候変動に伴い、南方系マダニ類の生息に適した環境が北に広がりつつあることが考えられる」と説明しています。

 マダニが媒介する感染症はSFTSのほかに、日本紅斑熱などがあります。分布の拡大で、こうした感染症の発生地域の北方への拡大も懸念されます。

 マダニから身を守るには、肌の露出を減らすことが重要。感染症研究所は長袖、長ズボンの着用に加え、タオルを巻いて首を覆う、ズボンの裾を靴下の中に入れるといった対策を挙げています。

 かまれた場合に無理に取り除こうとすると、マダニの口が皮膚に残って化膿(かのう)する恐れがあります。皮膚科など医療機関で処置を受け、数週間は発熱など体調の変化に注意する必要があります。

 2023年9月5日(火)

🟧熱中症で救急搬送、全国で4195人 前年同期比3倍に上る

 危険な暑さが相次ぐなど厳しい残暑となった3日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は全国で4100人余りと、前の週と比べ減少しましたが、昨年の同じ時期と比べて3倍に上っていることが、総務省消防庁のまとめでわかりました。

 総務省消防庁によりますと、8月28日から9月3日までの1週間に熱中症の疑いで病院に救急搬送された人は、全国で合わせて4195人でした。

 前の1週間より3229人少なくなったものの、昨年の同じ時期と比べて3倍余りに上っています。

 このうち死亡したのは3人で、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて1335人、「軽症」が2813人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が2402人と最も多く半数余りを占めたほか、18歳以上65歳未満が1357人、7歳以上18歳未満が413人、0歳から7歳未満が23人でした。

 都道府県別では、東京都が335人と最も多く、次いで埼玉県が308人、愛知県が260人、大阪府が240人、千葉県が207人などとなっています。

 このほか、記録的な残暑となった北海道と東北の6県を合わせると596人で、昨年の同じ時期と比べると約10倍となっています。

 また、場所別では、住居が1611人と最も多く、次いで道路が742人、屋外の競技場や駐車場が512人などとなっています。

 総務省消防庁は、「搬送者数は高止まりの状態から減少に転じたとはいえ、例年と比べると、まだまだ多い状況となっている。だんだん涼しくなっていくとはいえ、残暑が続くとされているので、油断せず熱中症への対策をしてほしい」と呼び掛けています。

 2023年9月5日(火)

🟧高齢者のてんかんに注意を 70歳以上での発症多数

 脳の神経細胞の過剰な活動により、けいれんや体の硬直などの発作が起きる「てんかん」の人口当たり有病率や発症率が70歳以上で特に高いというデータを、厚生労働省研究班が初の全国規模の調査で明らかにしました。発作が起きても認知症など別の病気と診断されている可能性もあり、てんかんであることも想定して治療を考える必要があると指摘しています。

 「有病率」はある時点でその病気になっている人の割合を指し、「発症率」は一定の期間に新たにその病気を発症した人の割合を指します。病気の実態を把握し、保健医療の施策を考えるために重要なデータですが、てんかんでは全国規模で調べられてきませんでした。

 研究班は、2012~2019年に全国の健康保険組合加入者で74歳以下の約990万人から、診断名や使用している薬の情報を手掛かりに約7万7000人のてんかん患者を見付けました。

 有病率は、2012年から2019年にかけて人口1000人当たり5・4人から6・0人とわずかに増えていました。ほかの先進国と同水準だといいます。特に有病率が高いのは70~74歳で、10歳代がそれに続きました。

 発症率は、1年間に人口10万人当たり72・1人でした。男性より女性で少し高く、世代別では0歳と70~74歳が特に高くなりました。

 調査に中心的にかかわった広島大学病院てんかんセンターの飯田幸治センター長は、「子供の病気と考えられがちだが、高齢者が脳卒中や認知症などの神経疾患と合併して発症するケースが多い」とし、高齢化により発症率が高まる可能性を指摘。「てんかんと認知症の症状は似ており、てんかんの薬を使うなど適切な治療で回復が見込めるかもしれない」と話しています。 

 2023年9月5日(火)

2023/09/04

🟧解毒剤に国未承認の「美白」効能広告 名古屋市が薬局チェーンに行政指導

 名古屋市は1日までに、医療用医薬品のインターネット広告で国に承認されていない効能をうたい、医薬品医療機器法に違反したとして関東、中部、関西で「おだいじに薬局」「セルフケア薬局」など約40店舗を展開する「GOOD AID(グッドエイド)」(名古屋市)に広告を取り下げるなど改善を行政指導しました。

 市によると、同社は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で登録した顧客に対し、解毒剤成分「グルタチオン」を含む医薬品の広告で、国から未承認の「美白・日焼け予防」「アンチエイジング作用」の効能をうたっていました。また、特定の整腸剤の広告で、「太りにくい体質になりたい人向け」などと宣伝する文章を日常的に送信していました。

 医療用医薬品を一般向けに宣伝することを禁じた「医薬品等適正広告基準」にも抵触していました。

 2023年9月4日(月)

🟧遺体保管中のドライアイスによる中毒死事故、5年間に4件発生 換気の重要性強調

 遺体の腐敗防止を目的に使われるドライアイスが気化した二酸化炭素を吸い込んで中毒死したとみられる事故が、2018年以降の5年間に少なくとも4件発生していることがわかりました。いずれもひつぎに納められた遺体に寄り添うなどしていました。全日本葬祭業協同組合連合会(東京都港区、全葬連)は、遺体の安置時は換気に注意するよう呼び掛けています。

 全葬連と消費者庁によると、遺体保存用のドライアイスが原因で二酸化炭素中毒となり死亡したとみられる事故は、2018年に青森県の住宅で1件、2020年に沖縄県の住宅で1件、2021年に宮城、宮崎両県の葬祭施設で1件ずつの計4件ありました。

 亡くなったのは40~70歳代の親族ら。ドライアイスで冷やされた遺体を納めたひつぎにもたれかかったり、近くで横たわったりした状態で見付かりました。故人の顔を見ようとしてひつぎに近寄った際、ドライアイスが気化した二酸化炭素を吸い込んだとみられます。

 ドライアイスは、二酸化炭素を冷却して固体にしたもので、常温常圧では気体になります。二酸化炭素は無色無臭で、空気中に約0・03%の濃度で存在しています。濃度が3~4%を超えると、頭痛やめまいを引き起こします。10%になると、視覚障害や耳鳴りを引き起こし、1分程度で死に至ります。

 臨床中毒に詳しい、元筑波大教授で茨城県西部医療機構理事長の水谷太郎さんは、「二酸化炭素は空気より重く、低い方に滞留する性質がある。ひつぎのような閉鎖環境では、ふたが開いていてもたまりやすく、ドライアイスの量などによって、近付いた際に二酸化炭素中毒になる危険性は十分にある」と指摘しています。

 全葬連によると、故人の体格や火葬するまでの時間などによって使用する量は異なるものの、遺体の保管にドライアイスは欠かせないため、今年8月に会員企業に同種事故の有無などを確認するとともに、遺体安置時は換気に十分配慮することや遺族らに注意喚起を行うことなどを求めました。

 水谷さんは、「注意すれば防げる事故。ひつぎに納められた遺体との対面は、換気の行き届いた場所で、複数人で手短に行うことが大事だ」と話しています。

 2023年9月4日(月)

🟧高齢者の電動車いす事故、過去10年で最多ペース 新型コロナ後の久しぶりの操作原因か

 製品評価技術基盤機構(NITE)は8月31日、65歳以上の高齢者による電動車いすの事故が今年1~7月に8件発生し、過去10年で最多だった2018年と2020年の年間発生件数に並んだと発表しました。新型コロナウイルスの「5類」移行で外出機会が増える中、久しぶりの車いす操作に不慣れなことが原因とみています。

 被害状況別では、死亡6件、重傷1件、製品破損1件。事故内容別では電車との接触3件、転倒3件、転落2件でした。

 NITEによると、2013年~2023年7月に発生した高齢者の電動車いすの事故は52件で、死亡(26件)と重傷(16件)で約8割を占めます。

 NITEは、「乗車前に十分に練習し、利用する道路などの状況を介護者とよく確認してほしい」としています。

 2023年9月4日(月)

2023/09/03

🟧訪問介護事業所220カ所が休廃止 市区町村の社協で運営、5年間で13%減

 社会福祉法に基づき全市区町村にある社会福祉協議会(社協)で運営する訪問介護事業所が過去5年間に少なくとも約220カ所、廃止や休止されたことが2日、マスコミの調査で明らかになりました。5年間で約13%減り、現在は約1300カ所。都市部で一般の民間事業者との競合を理由に撤退するケースもあるものの、多くはヘルパーの高齢化や人手不足、事業の収支悪化などが響いています。

 公的な性格を持つ社協が事業をやめると、採算面などで民間事業者が受けたがらない利用者にサービスがゆき届かなくなる恐れがあります。政府は「住み慣れた地域で最期まで暮らせるように」という理念を掲げていますが、厳しい現実が浮き彫りとなりました。

 調査は、都道府県が所有する介護保険の事業所データから社協の訪問介護を抽出。2018年と2023年(一部は期間が異なる)を比較し、2023年データに載っていない事業所について各社協に廃止や休止かどうか尋ねました。

 社協の訪問介護は2023年現在、全国に1302カ所(休止中は除く)。5年間に44都道府県で218カ所が廃止(統廃合を含む)や休止となっていました。

 都道府県別で訪問介護事業所の減少率が高いのは、鳥取県53・3%(減少数8)、次いで大分県38・5%(同10)、千葉県30・4%(同7)、茨城県28・6%(同10)、栃木県27・8%(同5)の順でした。

 2023年9月3日(日)

🟧目の遺伝子治療薬「ルクスターナ」、国内で初発売 薬価は両目で1億円

 スイス製薬大手ノバルティスの日本法人ノバルティスファーマは8月30日、網膜の異常で目が見えにくくなる難病「遺伝性網膜ジストロフィー」の遺伝子治療薬「ルクスターナ」を発売したと発表しました。薬価は片目当たり4960万226円で、両目では約1億円。国内では2番目に高額となります。

 国内では眼科領域で初の遺伝子治療薬。遺伝性網膜ジストロフィーは、視力障害や視野が狭まったり、暗いところで見えにくいなどの症状があります。ほぼすべての患者が最終的に失明するとされ、これまで治療法がありませんでした。

 ルクスターナは、網膜で光を感じる働きにかかわる「RPE65遺伝子」に変異がある患者が対象となります。正常なRPE65遺伝子を患者に導入し、視覚機能の回復を図る遺伝子補充療法です。片目1回ずつの注射で治療が完了します。海外の臨床試験では、投与1年後の患者の光の感度が約100倍改善したといいます。

 ピーク時の2028年の売上高は患者5人で5億円と予測しています。ノバルティスファーマは、全身の筋力が低下する難病「脊髄性筋萎縮症」の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」も販売しており、薬価は1億6707万円と国内で最高額。ルクスターナはこれに次いで、2番目に高い医薬品となります。

 ノバルティスファーマのレオ・リー社長は、「対象患者は非常に少数だが、日本では眼科疾患で初めての遺伝子補充療法を提供できてうれしく思う。これまで治療法がなく、失明の不安を抱えながら生活している患者の人生を変えられる可能性がある」とコメントしました。

 2023年9月3日(日)

2023/09/02

🟧直近1週間の新型コロナ感染、岩手県が全国最多 青森県が2位で流行の中心は東北地方に

 新型コロナウイルスについて、厚生労働省は9月1日、国内の最新の感染状況を発表しました。岩手県の患者数は、1医療機関当たりでみると全国で最も多くなりました。

 岩手県内で8月21日から8月27日までの1週間に、県が指定している定点医療機関から報告された新型コロナウイルスの新規患者数は1966人で、1医療機関当たりでみると31・71人でした。全国平均は19・07人で、岩手県は全国で最も多くなっています。

 東北各県では青森県が31・30人と岩手県に次いで多く、宮城県が29・54人(全国3位)、秋田県が26・73人(同5位)、福島県が25・87人(同6位)など高い水準にあります。

  岩手県は、「流行の波が西日本から東日本に移ってきていると思う。県内ではクラスター(感染者集団)も増えてきているので体調が悪い場合は療養するなど、場面に応じた感染対策を引き続きお願いしたい」と呼び掛けています。

 一方、青森県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師は、夏祭りや帰省シーズンで人の移動が活発だったことなどを背景に、青森県の感染拡大の規模は「定点医療機関で把握していないぶんも含めると、過去最大とみられる」との見解を改めて示しました。

 青森県の千田昭裕新型コロナウイルス感染症対策監は、「沖縄から始まった流行が九州、西日本と移り、今は北日本にピークがきている状況」と説明。前週から今週にかけ、10歳未満の感染者の割合が高まっており、夏休み明けの学校での感染拡大も影響しているとみられます。

 青森県の推計によると、2022年夏の第7波では、青森県のピーク時の感染者数は55・71人、2022年冬の第8波ピーク時は42・48人。直近の集計値は、それぞれのピークを下回っているものの、大西医師は「集計方法が変わり、定点以外の医療機関を受診する人、発症しても受診しない人もいる。医療機関からの話を総合すると、今が一番多い時ではないか」と解説しました。

 現状の感染の広がり具合については、「周囲に当たり前のように感染者がいる。誰もが感染者と接触しているのではと想定し、発熱などの症状が出たら真っ先にコロナを疑う状況」との見方を示しました。

 重症化リスクが高い人、息苦しさを覚えるなど症状が重い人は医療機関の受診が必要としつつ、「発熱した人が全員医療機関へ押し寄せると、負担が大きく増える。軽症の人は自己検査や自分で薬を用意するなどの対応が大事になる」と話しました。

 2023年9月2日(土)

🟧RSウイルス感染症が「流行入り」 静岡県が注意呼び掛け

 静岡県は26日、直近1週間(15~21日)のデータから「RSウイルス感染症が流行入りしている」と発表しました。定点医療機関となっている小児科1カ所当たりの患者数は1・64人で、県が流行入りの目安としている「1人」を大きく上回りました。前週の0・9人よりも8割増加し、急拡大が懸...