2023/11/30

🟩新型コロナワクチン接種直後に女性死亡、遺族が市を相手取り4500万円の賠償求め提訴 愛知県愛西市

 2022年、愛知県愛西市で新型コロナワクチンの接種後に女性が死亡した問題で、女性の夫らが、愛西市に対し約4500万円の損害賠償を求め提訴しました。

 30日午後、弁護士とともに名古屋地方裁判所を訪れたのは飯岡英治さん。飯岡さんの妻、綾乃さん(当時42歳)は2022年11月、愛西市の新型コロナワクチンの集団接種会場で、4回目の接種直後に体調が急変し、死亡しました。

 その後、公表された市の調査委員会の報告書では、綾乃さんの亡くなった原因は重いアレルギー反応である「アナフィラキシーが関与していた可能性が高い」と指摘し、早い段階で、アナフィラキシーを抑えるためのアドレナリンが投与されていた場合、「生存確率を示すことは難しい」ものの、「救命できていた可能性を否定できない」と結論付けました。

 30日飯岡さんと綾乃さんの両親が提出した訴状によりますと、現場の医師がアナフィラキシーを疑わず、アドレナリンを投与しなかったことや看護師が容体の変化について正確な情報を医師に報告しなかったことは注意義務違反であり、それらの過失と綾乃さんの死亡には相当な因果関係があるとしています。

 そして、医師らが業務に当たった集団接種会場を設置した愛西市に対し、綾乃さんの逸失利益や死亡慰謝料などとして、約4500万円の損害賠償を求めています。

 飯岡さんは30日の提訴後の会見で、「愛西市からの謝罪と、僕ら遺族に対する謝罪と、もちろん妻に対する謝罪はこれからも求めていきたいと思っている。関係者全員からどういうことがあったのかの(直接の)説明もこれからもちゃんと求めていきたいと思っている」と述べています。

 提訴について愛西市は、「訴状が届いていないので、コメントを差し控えさせていただきます」としています。

 2023年11月30日(木)

🟩「腫瘍やアトピーに効く」とうたって飲料水を違法販売 医療機器販売会社社長ら4人逮捕

 一般的な飲料水を「腫瘍やアトピーに効く」とうたって販売したとして、警視庁生活環境課は30日、医療機器販売会社の社長ら4人を医薬品医療機器法違反(無許可販売など)の疑いで逮捕したと発表しました。2017年5月から約6年間で47都道府県の延べ1365人に販売し、約3200万円を売り上げていたとみられます。

 逮捕されたのは、東京都港区の医療機器販売会社「エムオーシー」の社長、杉山公一容疑者(82)と、専務の杉山知彰容疑者(53)、それに、健康食品の販売会社「Craftsman」の社長、杉山陽介容疑者(45)ら4人です。

 逮捕容疑は2023年3月10日~7月31日、東京、埼玉、長野、秋田など1都4県の20~50歳代の男女9人に、医薬品のような効能や効果があるとうたって飲料水「エレメントアクア」計53箱を約23万2000円で販売したなどとしています。いずれも容疑を認めているといいます。

 生活環境課によると、警視庁が商品を押収して調べたところ、成分は一般的な飲料水と変わりませんでした。杉山容疑者らは自社のホームページで「熊本県阿蘇郡の地下水に海洋ミネラル成分を混ぜており、腫瘍やアトピーなどの予防効果がある」などと宣伝。「がんが治った」とする顧客の声も掲載していました。

 2023年11月30日(木)

🟩小中高生の裸眼視力「1・0未満」過去最高 デジタル化推進に課題

 文部科学省は28日、幼稚園児から高校生までの発育や健康の状態を調べる2022年度の学校保健統計調査の結果を発表しました。

 小中高校生のいずれも、裸眼視力1・0未満の割合が過去最高となりました。子供たちが授業でタブレット端末を使う機会も増えており、デジタル化による教育効果を維持しつつ、目を傷めないように配慮する対策強化が急務となっています。

 調査は、全国の幼稚園と小中高校(5~17歳)の健康診断結果を一部抽出して集計。例年は4~6月に行う健診を基にするものの、2020年度以降はコロナ禍で健診を通年で実施しており、文科省は過去の数値との単純比較は難しいとしています。

 調査結果によると、裸眼視力1・0未満の割合は、幼稚園児24・95%、小学生37・88%、中学生61・23%、高校生71・56%。いずれも、この20年で10ポイント以上増加し、調査を始めた1979年以降で最も高くなっています。

 新型コロナウイルス禍以降、端末配備が進むなどデジタル化が本格化しており、文科省は要因の特定は困難としつつも「学校や家庭で端末や携帯電話の利用時間が増加していることなどが考えられる」としています。

 また、肥満傾向の子供の割合が、2022年度は小中学生の多くの学年で最も高くなったことがわかり、調査した文科省は新型コロナの影響による運動量の減少などが要因にあるとみています。

 肥満傾向の子供の割合は、男子では、小学5年生が15・1%、中学3年生が11・3%と、小学5年から中学3年までの学年でいずれも、現在の算出方法になった2006年以降最も高くなりました。

 女子では、小学6年生が10・5%など、小学生では2年生を除くすべての学年で2006年以降最も高くなりました。

 やせすぎに当たる「痩身(そうしん)傾向児」の割合も、男女ともに前年度を上回った学年が多くなりました。最高は高1男子(15歳)の4・43%でした。

 一方、虫歯の割合は幼稚園児24・93%、小学生37・02%、中学生28・24%、高校生38・30%となり、いずれも過去最低となりました。

 2023年11月30日(木)

🟩大麻類似HHCH含有疑い、麻薬取締部が販売停止命令 岡山市の店舗

 厚生労働省中国四国厚生局麻薬取締部は29日、岡山市内の店舗を28日に立ち入り検査し、大麻類似の合成化合物HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)を含む疑いがある商品を見付けたと明らかにしました。検査のため提出を命じる検査命令と、成分分析結果が出るまでの販売停止命令を出しました。

 麻薬取締部によると、同市内6店舗に立ち入り検査し、うち1店舗から液体状の「リキッド」と呼ばれる製品が見付かりました。今後成分を鑑定し、HHCHを含むことがわかれば、廃棄処分します。

 HHCHはこれまで規制対象でなかったものの、成分を含むグミの健康被害が相次ぎ、厚生労働省が22日、医薬品医療機器法に基づき指定薬物に指定しました。、12月2日以降、医療などの用途以外の製造・輸入・販売・所持・使用が禁止されます。違反すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

 2023年11月30日(木)

2023/11/29

🟩フランス、ビーチや学校周辺での喫煙を禁止へ 来年初めに法制化、関連死防止

 フランスのオレリアン・ルソー保健相は28日、政府のたばこ関連政策の発表会見で、「今後は禁煙区域が標準となる」と述べ、公園やビーチ、学校周辺での喫煙を禁止する方針を明らかにしました。たばこの値上げも実施します。国内で年間7万5000人ともいわれる関連死を防ぐ狙い。フランスメディアによると、来年初めに法制化される予定。

 2027年までの「たばこ規制計画」の一環。屋内が全面的に禁煙となっているフランスでは、喫煙者は自動的に屋外に集まっているものの、標識で示される屋外の禁煙エリアを公園やビーチ、学校周辺、森林などに拡大します。違反の際に罰金を科すことも検討しているといいます。多くの銘柄のたばこが20本入り11ユーロ(約1780円)で販売されており、これを2025年に12ユーロ、2027年初めまでに13ユーロに値上げする方針。

 2023年11月29日(水)

🟩新タイプmRNAワクチン「レプリコンワクチン」国内承認 従来型対応、供給は来年以降

 明治ホールディングス傘下のMeiji Seika ファルマ(東京都中央区)は28日、厚生労働省から新型コロナウイルスワクチンの製造販売承認を得たと発表しました。従来型ウイルス対応のため、現在の接種では使われません。引き続き開発を進め、来年度以降に新しい変異型に対応したワクチンの供給を目指します。

 承認を得たのはアメリカのバイオ企業アークトゥルス・セラピューティクスが開発した次世代型のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン「コスタイベ」。投与後に体内でmRNAを自己複製する「レプリコンワクチン」と呼ばれる型で、承認されるのは世界で初めて。Meiji Seika ファルマが日本での供給・販売権を取得し、臨床試験(治験)を進めていました。

 既存のmRNAワクチンと比べて少量の投与ですみ、より効果が持続するとされ、同社は今後オミクロン型でも申請し、新しい変異型が出現した際に早期にワクチンを供給できるようにします。

 同日記者会見した小林大吉郎社長は、「今後、変異ウイルスに対応させる必要はあるが、世界に先駆けて新世代のワクチンの実用化の道が開けたと考えている。来年の秋冬接種での供給に向けて準備を進める」と語りました。

 製造は医薬品受託製造会社のアルカリス(福島県南相馬市)と連携し、同社から原薬を調達します。今後国内に新しい製造棟を建設し、2027年にも約1億回接種分のワクチンを一貫して生産できる体制を目指します。

 明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス(熊本市)も、「不活化ワクチン」と呼ばれるタイプを小児向けに開発しています。12月からオミクロン型変異型の「XBB」向けで、小児5000人を組み入れる治験を開始する予定です。

 2023年11月29日(水)

🟩梅毒の感染者数が3年連続で過去最多を更新

 全国から報告された性感染症の梅毒の感染者数は、11月19日の時点で1万3251人となり、昨年1年間の1万3228人を上回って、現在の調査方法で統計を取り始めた1999年以降で、最も多くなりました。感染者数は3年連続で過去最多を更新しており、専門家は「リスクのある性行動をとった場合は、感染しているかもしれないと考えて検査を受けてほしい」と呼び掛けています。

 国立感染症研究所のまとめによりますと、今年、全国から報告された梅毒の感染者数は11月19日の時点で1万3251人と、昨年の同じ時期より約1900人多くなりました。

 これは、現在の方法で統計を取り始めて以来、最も多かった昨年1年間の1万3228人を上回り、3年続けて過去最多を更新しました。

 都道府県別では、東京都が3244人、大阪府が1760人、福岡県が829人、北海道が607人などと大都市圏で多くなっているほか、長崎県が124人と昨年の同じ時期の2・82倍、鳥取県が26人で2・.17倍などと大都市圏以外の地域でも急増しているところがあります。

 梅毒は主に性的接触により、梅毒トレポネーマという細菌が原因で発症す感染症で、抗菌薬(抗生物質)の服用や注射で治療できますが、放置すると重大な症状を引き起こす可能性があるほか、感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」を引き起こすこともあります。先天梅毒と診断された子供も、10月4日の時点で32人と1999年以降で最多となっています。

 梅毒感染者は2011年ごろから増加傾向にありましたが、2019年と2020年に減少。だが、7978人を数えた2021年以降再び増加に転じ、2022年には1万3228人となりました。近年は男性が20~50歳代、女性が20歳代に多くなっています。

 日本大学医学部の川名敬主任教授は、「感染していても医療機関を受診せず報告されていない人が水面下に多くいる可能性があり、そうした人が感染を広げることで増加が今後も続くことを懸念している。過去にリスクのある性行動があった場合は、症状がなくても感染しているかもしれない。自分事として捉えて検査を受けてほしい」と話しています。

 2023年11月29日(水)

🟩プール熱の患者数、過去10年で最多の状況が続く A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数も過去10年で最多に

 子供を中心に流行が続く咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の患者数が過去10年間で最も多い状況が続いています。また、発熱やのどの痛みなどの症状が出る溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数も過去10年間で最も多くなっていて、専門家は「本格的な冬を迎えるに当たり感染対策に注意してほしい」と話しています。

 咽頭結膜熱は子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルや、プールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、11月19日までの1週間に全国およそ3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は、前の週より195人多い1万368人となりました。

 1医療機関当たりでは前の週を0・07人上回って3・3人となり、5週連続で過去10年間で最も多くなっています。

 都道府県別では、北海道が6・88人、福岡県が6・58人、富山県が5・41人、佐賀県が5・26人、奈良県が5・26人、沖縄県が5・13人などとなっていて、合わせて23の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。

 また、主に子供が感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者も増加しています。

 11月19日までの1週間に報告された患者数は、前の週から1370人増えて全国で合わせて1万1893人、1医療機関当たりでは3・79人となっていて、過去10年間で最も多くなりました。

 都道府県別では、鳥取県が国の警報レベルの基準となる「8」人を超えていて、次いで宮崎県が6・92人、石川県が6・83人となっています。

 咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とも感染者数の増加時期が例年より早く、厚生労働省は手洗いやうがい、マスクの着用など基本的な感染防止対策を呼び掛けています。

 2023年11月29日(水)

🟩海外での臓器移植あっせんで初判決、NPO理事長に懲役8カ月の実刑 東京地裁

 海外での臓器移植を国の許可なくあっせんしたとして、臓器移植法違反(無許可あっせん)の罪に問われたNPO法人「難病患者支援の会」(東京)法人「難病患者支援の会」(東京都目黒区)理事長、菊池仁達被告(63)の判決が28日、東京地裁でありました。馬場嘉郎裁判長は同被告に懲役8月(求刑懲役1年、罰金100万円)、法人に求刑通り罰金100万円をそれぞれ言い渡しました。

 臓器移植法は脳死を含む死体からの移植について、国の許可なくあっせんすることを禁じる一方、海外での移植を制限していません。菊池被告は無罪を主張し、同被告の活動が同法が規制するあっせん行為に該当するかどうかが主な争点でした。

 判決は、国外手術のあっせんには▽移植を受ける機会の公平性が損なわれる▽医療上の安全が脅かされる▽移植後の継続的な医療に支障を来す―といった恐れがあると指摘。こうした事態が生じかねない以上、行為の一部でも国内で行われれば同法が適用されるとの解釈を示し、日本での許可は必要ないとの弁護側の主張を退けました。

 その上で、日本国内で希望者を募ってベラルーシの医療機関に紹介するなどし、実際に手術を受けさせた菊池被告の行為は、同法上のあっせんに当たると判断。同法違反罪が成立すると認めました。

 判決は、国内での臓器あっせんの実現に長期間を要する現状にも着目しました。菊池被告が数カ月以内に手術を受けることを可能にしたことで、「移植手術を受ける機会の公平性が大きく損なわれたことは明らかだ」と強調。違法性を認識する可能性も十分にあったなどとして、「実刑は免れない」と結論付けました。

 判決によると、菊池被告は2021〜2022年、NPO法人のホームページで臓器移植の希望者を募り、患者2人に海外での移植を提案。ベラルーシでの腎臓や肝臓の移植費用などとして、計約5150万円を受け取りました。

 警視庁が2023年2月、菊池被告を臓器移植法違反容疑で逮捕しました。海外での臓器移植について、無許可のあっせん容疑を適用して立件したのは初めてでした。

 菊池被告は、判決の言い渡しを聞いた後、法廷で「控訴します」と話していました。

 2023年11月29日(水)

2023/11/28

🟩RSウイルス感染症、妊婦向けのワクチン承認 厚労省専門家部会

 主に子供が感染し、6カ月未満の赤ちゃんがかかると肺炎を起こして重症化することもあるRSウイルス感染症の妊婦向けのワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は使用することを了承しました。今後、厚労省の正式な承認を経て、妊婦向けのRSウイルス感染症のワクチンの製造・販売が国内で初めて行われます。

 使用が了承されたのは、アメリカの製薬会社ファイザーが開発したRSウイルス感染症のワクチン「アブリスボ」です。

 RSウイルス感染症は、主に子供が感染し、発熱やせきなど風邪のような症状が出る病気で、生後6カ月未満の赤ちゃんや先天性の心臓の病気がある子供などは肺炎を起こして重症化することもあります。

 今回のワクチンは妊婦が接種することで、生まれてきた子供が重い症状になるのを防ぐ効果が期待されているということです。

 ファイザーが今年2月に厚労省に承認申請を行い、27日夜開かれた厚労省の専門家部会は有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

 厚労省によりますと、RSウイルス感染症のワクチンは、今年9月、イギリスの製薬会社が開発した60歳以上を対象としたワクチンが承認されていますが、妊婦向けのワクチンが了承されるのは今回が初めてで、今後、厚労省の正式な承認を経て、ワクチンの製造・販売ができるようになります。

 現在、RSウイルス感染症に特効薬はなく、重症化した場合は酸素を投与して呼吸を助けたり、点滴をしたりといった対症療法で回復を待つしかなく、ワクチンの実用化が期待されていました。

 流行の時期はこれまで秋から冬とされていましたが、ここ数年は春から夏にかけて感染者が増える傾向がみられています。

 子供の感染症に詳しい新潟大学の齋藤昭彦教授は、「妊婦がこのワクチンを接種すると、抗体が胎盤を通じて赤ちゃんにも届くので、生まれてから半年くらいまでRSウイルスへの感染や重症化から守ることができる。小児科医にとっては非常に期待の持てるワクチンだ」としています。

 その上で、「ワクチンの安全性を気にする妊婦の方は多いと思うが、これまでの研究で安全性については問題ないとされている。接種する際には医師と十分相談して、納得した上で接種してほしい」と話していました。

 2023年11月28日(火)

🟩介護施設での療養、報酬手厚く 厚労省、新感染症への対応で

 厚生労働省は27日、新たな感染症が流行して介護施設に入居する高齢者が感染し、施設内で療養を続けた場合、介護事業者が受け取る報酬を手厚くする方針を固めました。事業者の介助負担が通常より増えることに対応します。医療機関のベッドを空け、より重症の患者が入院できる環境を確保する狙いもあります。2024年度の介護報酬改定で実施します。

 同日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で案を示しました。対象となる感染症は発生状況に応じて国が指定します。新型コロナウイルスの感染拡大時は病床逼迫で入院できず、介護施設で療養せざるを得ない事態が相次ぎ、事業者には補助金を支給して対応していました。

 報酬を手厚くする対象は特別養護老人ホーム(特養)や認知症グループホームなど。適切な感染対策を講じているといった要件も設けます。

 平常時から介護施設と医療機関との連携を強化。都道府県が新興感染症の治療に関して協定を結んだ医療機関との間で、施設入居中の高齢者が感染した場合の対応を事前に決めておくことを努力義務にします。

 2023年11月28日(火)

🟩国産の新型コロナ「XBB」対応ワクチン、初承認 12月の無料接種で使用へ

 製薬大手の「第一三共」が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は、使用することを了承しました。厚労省の正式な承認を経て、早ければ12月上旬から自治体に配送され、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

 使用が了承されたのは、製薬大手の「第一三共」が開発した、新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応するワクチンで、今年9月、厚労省に承認申請が行われました。

 27日に開かれた厚労省の専門家部会では、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

 厚労省によりますと、国内の新型コロナウイルスのワクチン接種は、これまで海外の製薬メーカーのものが使われ、国産のワクチンとしては、今年8月に、「第一三共」が開発した従来型のワクチンが承認されましたが、実際の接種では使われていませんでした。

 今回の「XBB」系統対応ワクチンについて、厚労省は製造・販売を承認した後に140万回分を購入することで第一三共と合意したと、先日発表しています。

 承認後、「特例臨時接種」の対象となり、早ければ12月上旬から自治体に配送されるということで、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

 販売名は「ダイチロナ」で、国内の製薬会社が開発したものとしては、初めてのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンです。

 mRNAはタンパク質の「設計図」に当たる遺伝情報で、ワクチンを体内に投与すると、体内で新型コロナウイルスが感染する際の足掛かりとなるスパイクタンパク質が作られ、これに対する免疫の働きで抗体が作られます。

 ファイザーやモデルナが開発したmRNAワクチンは、ウイルスのスパイクタンパク質全体が作られますが、第一三共のワクチンは、スパイクタンパク質の中でも、人の細胞と結合する受容体結合ドメイン(RBD)という部分だけが作られるため、設計図となるmRNAの長さがより短くなっています。

 第一三共によりますと、mRNAの長さが短いため、製造工程で品質を管理しやすいほか、変異ウイルスに対応してmRNAを作り直す作業が進めやすいといった利点があるということです。

 2023年11月28日(火)

🟩岩手県産「ナンブコムギ」から「かび毒」検出 製粉会社が自主回収に動く

 JA全農いわてが販売した岩手県産の小麦「ナンブコムギ」からおう吐などを起こす恐れがある「かび毒」が検出され、この小麦を使っていた菓子店などで製品の自主回収や廃棄が進められています。JAなどによりますと、これまでのところ健康への被害の訴えは確認されていないということです。

 JA全農いわてによりますと、かび毒が検出されたのは昨年・2022年産の県産小麦「ナンブコムギ」で、11月9日、販売先の東京都の製粉会社からかび毒が検出されたという連絡があり、JAがこの小麦を回収して検査したところ、11月17日、基準値の3倍から4倍のかび毒が検出されたということです。

 なお、販売前のJAの検査では、基準値を超えるかび毒は検出されていなかったということです。

 内閣府の食品安全委員会によりますと、赤カビによるかび毒は一度に大量に食べた場合、おう吐や食欲不振、それに下痢などの症状が出る恐れがあり、熱に強く、加工や調理をしても毒性はほとんど減らないということです。

 また、別の製粉会社を通じて昨年・2022年産の県産小麦「ナンブコムギ」を購入している盛岡市にある老舗の南部せんべい店「白沢せんべい店」では、27日昼すぎから臨時休業して製品の自主回収や廃棄作業に当たっているということです。

 岩手県も、流通状況などの情報を収集しながら自主回収が進むよう業者を支援する考えです。

 JAや「ナンブコムギ」を購入した店舗によりますと、これまでのところ健康への被害の訴えは確認されていないということです。

 JA全農いわての担当者は、「産地や収穫時期、販売数量など正確な情報について確認を進め、速やかに公表したい」としています。

 2023年11月28日(火)

🟩肥満学会、新薬「ウゴービ」で適正使用を提言 美容やダイエット目的に警鐘

 日本肥満学会は27日、デンマークの製薬大手ノボノルディスクの新たな肥満症治療薬「ウゴービ」が保険適用されたことを受け、適正な使用を訴える提言を公表しました。「美容やダイエットなどの目的で用いる薬剤ではない」と注意喚起しています。メーカーは来年2月22日に日本での販売開始を予定しており、肥満症の新薬登場は約30年ぶりとなります。

 ウゴービは皮下注射で投与する治療薬。提言では、対象患者は肥満症と診断され、高血圧位や脂質異常症、2型糖尿病といった持病があり、食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られないなどの場合に限ると説明。肥満の状態だけでは投与対象にならないことや、低血糖や急性膵炎(すいえん)などの副作用にも注意すべきだと指摘しました。

 厚生労働省も専門医の指導による処方を求めています。

 2023年11月28日(火)

🟩緊急避妊薬の試験販売、今日から全国145の薬局で開始 処方箋なしで購入可能に

 意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬(アフターピル)」について、医師の処方箋がなくても薬局の店頭で適正に販売できるか調べる試験販売が、28日から全国145の薬局で始まりました。

 「緊急避妊薬」は、避妊の失敗や、性暴力などによる意図しない妊娠を防ぐための薬で、性行為から72時間以内に服用すれば、妊娠を一定程度防ぐことができます。

 現在は医師の処方箋が必要ですが、厚生労働省の検討会が医師の処方箋がなくても適正に販売できるか、一部の薬局で試験的に販売する調査研究を行うことを決め、日本薬剤師会が28日から全国145の薬局で試験的に販売を始めました。

 購入できるのは、調査研究への参加に同意した16歳以上の人で、16歳以上18歳未満の人は保護者の同意が必要になります。

 また、16歳未満の人に対しては薬局が産婦人科医などを紹介するということです。

 販売価格は、7000円から9000円程度を想定しているということです。

 試験販売を行っている薬局の情報は、日本薬剤師会のホームページなどからアクセスできる専用サイトで確認できます。

 薬局は、研修を受けた薬剤師がいて、夜間や土日、祝日なども対応が可能、近隣の産婦人科と服薬後に連携できて、個室があるなどプライバシーを確保できる、などの条件を満たした店舗が選定されているということです。

 購入した人にはアンケートに答えてもらい、検証に活用するということです。

 緊急避妊薬を医師の処方箋がなくても購入できるようにする「一般販売」については、2017年にも厚労省が専門家の会議で検討しましたが、乱用・悪用される懸念があるとの意見や薬剤師の知識不足などを理由に、判断が見送られました。

 一方、世界保健機関(WHO)は、2018年に「意図しない妊娠のリスクに直面するすべての女性と少女は緊急避妊の手段にアクセスする権利がある」として、各国に対応するよう勧告し、2020年4月には、緊急避妊薬へのアクセスを確保するよう提言しました。

 こうした流れを受けて、国内では2020年に男女共同参画基本計画で処方箋がなくても購入できるよう検討することが明記され、厚生労働省は2021年から専門家による検討会で導入の課題について議論を再開しました。

 昨年12月末から行ったパブリックコメント(意見公募)では4万件あまりの意見が寄せられ、賛成の意見が9割以上を占めました。

 一方で、薬の悪用や産婦人科との連携などを懸念する意見も寄せられ、専門家からは、一部の地域の薬局で試験的に販売を始め、データを分析するなどして対応を判断すべきだとする意見が挙がっていました。

 武見敬三厚労相は閣議の後、記者団に対し、「必要な方が適切にアクセス可能となるよう周知を図っていく。性交同意年齢に満たない16歳未満の人に対しては、産婦人科医や性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの紹介などの対応をとることが適切と考えている。対象年齢については調査研究の結果を踏まえつつ検討していく」と述べました。

 また、今回の試験的な販売が来年3月末で終了する予定となっていることについて、武見厚労相は予算が確保できれば、それ以降も継続していく考えを示しました。

 2023年11月28日(火)

2023/11/27

🟩人工妊娠中絶、2022年度は12万件超 総数は減少も20歳未満は増加

 2022年度に国内で実施された人工妊娠中絶件数は12万2725件で、前年度より3449件減少したことが、厚生労働省の調査で判明しました。単純に日割り計算すると「1日336件」のペースで行われたことになります。総数は減少傾向にある一方、20歳未満は9569件で、前年度より476件増加しました。

 調査は10月下旬、厚労省の「令和4年度衛生行政報告例の概況」で公表されました。

 人工妊娠中絶件数は68年前の1955年の117万143件をピークに右肩下がりの傾向にあるものの、今回の調査では、20歳未満の若年層の増加が目立ちました。

 特に19歳が最も多く4620件。19歳は2021年度(4051件)、2020年度(4581件)と比較しても多い結果となりました。

 調査を所管するこども家庭庁の担当者は、若年層が増加した背景について、「複数の要因が考えられ、これが理由と明確にするのはむずかしい」とした上で、「予期せぬ妊娠への対策は重要。都道府県などと連携し、性と健康に関する相談事業を推進していきたい」としています。

 来年度以降の調査では、今年4月に経口中絶薬が承認されたことを受け、人工妊娠中絶の全体件数に加え、薬による中絶の内訳も公表する方針です。

 母体保護法では、人工妊娠中絶は身体的、経済的理由で妊娠の継続が母体の健康を著しく害する恐れがある場合や、暴行脅迫を受けて妊娠した際に行うことができるとされ、妊娠22週未満に実施されます。

 2023年11月27日(月)

🟩島津製作所子会社、新生児検査向けPCR試薬を販売

 島津製作所傘下の島津ダイアグノスティクス(旧・日水製薬、東京都台東区)は、新生児の疾病の発症可能性を調べる「スクリーニング検査」で使うPCR試薬キット「TKSneoFinder」を国内の受託検査機関向けに、22日から発売しました。

 試薬キットを使い、新生児の血液から希少難病の重症複合免疫不全症(SCID)とB細胞欠損症(BCD)、脊髄性筋萎縮症(SMA)の可能性を発見でき、発症前の診断や治療開始につなげやすくなります。

 価格は1キットで16万5600円。1つのキットで92人分の検査に対応し、1年間で480キットの販売を目指します。

 同キットの販売に伴い、島津製作所子会社の島津テクノリサーチ(京都市)が、新生児スクリーニング検査の受託検査事業を2023年度内に開始する予定です。

 2023年11月27日(月)

🟩中国北部で増加の呼吸器疾患「インフルエンザが中心」 保健当局が通常の疾患と説明

 中国の保健当局は、中国北部で増加している呼吸器の疾患について「インフルエンザが中心だ」とする見方を示し、マスクの着用など感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 中国北部では10月中旬以降、呼吸器の疾患が増加しています。これについて、中国の保健当局、国家衛生健康委員会は26日の記者会見で「インフルエンザが中心だ」と説明しました。

 その一方で、インフルエンザ以外の病原体による疾患も確認されたとして、1歳から4歳では通常の風邪のウイルスの「ライノウイルス」が、5歳から14歳では発熱やせきなどの症状が特徴の「マイコプラズマ肺炎」が、15歳から59歳では新型コロナウイルスなどが、それぞれ一定程度みられるとしています。

 保健当局は、こうした複数の病原体が呼吸器疾患の増加にかかわっているとして、医療体制の整備を進めるとともに、国民に対しワクチンの接種やマスクの着用など感染対策の徹底を呼び掛けています。

 一方、台湾の保健当局、台湾疾病管制署は25日、中国北部で子供の肺炎感染が急増しているとして、空港や港湾の検疫で警戒を強化していると発表しました。中国からの旅客に、症状がないかどうか注意するよう呼び掛けています。

 中国へ渡航する台湾人に対しては、インフルエンザや新型コロナウイルスのワクチンを接種するよう促しました。中央通信社によると、今後、医療関係者らに対しても、流行状況を注視するよう通知します。

 世界保健機関(WHO)によると、中国北部で10月半ばから、過去3年間の同時期に比べ、インフルエンザのような疾患が増加しています。

 2023年11月27日(月)

🟩コンゴ民主共和国のエムポックス感染、過去最多に WHO発表

 世界保健機関(WHO)は25日、今年に入って12日までのコンゴ民主共和国におけるエムポックス(サル痘)の疑い例を感染が1万2569件と、1970年に同国で初感染が確認されて以来、最多となったと発表しました。そのうち581人が死亡したといいます。

 WHOによると、同国全26州のうち22州で疑い例を含む感染が報告されました。「これまでなかったキンシャサ特別州、ルアラバ州、南キブ州などでも新たな報告があった」としています。

 WHOは変異による感染拡大に懸念を示すとともに、コンゴ保健・衛生・予防省と協力して状況を評価しているとしています。

 WHOは昨年7月、欧米でのエムポックス感染拡大を受け、最高度の警告である「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言。今年5月11日には終了したものの、引き続き警戒を呼び掛けています。

 WHOによれば、昨年1月から今年10月末までの116カ国・地域の感染確認件数は累計9万1788件に上ります。

 2023年11月27日(月)

2023/11/26

🟩孤立や貧困抱える特定妊婦、11年間で8倍に増加 住居や食事など支援拠点を全国整備へ

 こども家庭庁は2024年度から、孤立や貧困などの問題を抱える「特定妊婦」の生活支援を行うため、全国で拠点整備に乗り出します。一時的な住まいや食事を提供するほか、妊娠や養育の悩みに関する相談にも応じます。妊娠中から産後までサポートする窓口の一元化を図り、育児放棄や虐待の防止につなげる狙いです。

 生活支援は基本的に、都道府県や政令市などが来年度以降に開設する妊産婦向けの「生活援助事業所」が担うものの、民間事業者が運営することもできます。来年度については、政府は1施設当たり最大2800万円程度の運営費の補助を想定しており、全国各地で整備を促す考えです。

 事業所には、看護師や助産師の資格を持つ職員を配置し、それぞれの家庭環境などを踏まえ、経済的な自立を含めた支援計画を策定します。医療機関受診や行政手続きに同行するほか、児童相談所など関係機関とも緊密に連携します。自ら育児をすることがむずかしい事情がある場合は、里親や特別養子縁組の制度も紹介します。

 特定妊婦は、自治体が「特に支援が必要」と判断した妊婦で、2009年施行の改正児童福祉法に明記されました。厚生労働省によると、自治体が特定妊婦として認定したのは2020年度で8327人に上り、11年前の2009年度と比べて8倍に増えました。

 自治体に妊娠届を提出する際のやりとりや、医療機関からの連絡など限られた情報をもとに判断しており、「把握している人数よりも実態はさらに多い」(こども家庭庁幹部)とみられ、育児放棄や虐待を防ぐ観点からも対策が急務となっています。

 特定妊婦に対する支援を巡っては、地域によって取り組みにばらつきがあることに加え、支援内容によって相談窓口が異なるケースも多くみられました。当事者からは「一元的な窓口を設置してほしい」との声が上がっていました。

 2023年11月26日(日)

🟩低体重で生まれると生活習慣病リスク高い 国立成育医療研究センター調査

 国立成育医療研究センターの研究チームが出生時の体重と大人になってからの病気の関係について調査を行ったところ、低体重で生まれると、生活習慣病のリスクが高くなるなどとする調査結果をまとめました。

 低出生体重が生活習慣病のリスク因子になることは、ヨーロッパなどの疫学研究で指摘されていましたが、日本人対象の大規模調査で明らかになったのは、初めてということです。

 調査を行ったのは国立成育医療研究センター社会医学研究部の森崎菜穂部長らの研究チームです。

 研究チームでは、秋田県、岩手県、茨城県、長野県、高知県、愛媛県、長崎県に住む40歳から74歳までのおよそ11万人を対象に、出生時の体重と生活習慣病の状況についてアンケート調査を行いました。

 研究チームが統計学的な手法で分析したところ、心筋梗塞などの「心血管疾患」のリスクは出生時の体重が3キロ台だった人と比べると、2・5キロ以上3キロ未満では1・07倍、1・5キロ以上2・5キロ未満では1・25倍、1・5キロ未満では1・76倍と、出生時の体重が軽いほどリスクが高くなっていたということです。

 「高血圧」では、出生時3キロ台の人に比べて、出生体重2・5キロ以上3キロ未満で1・06倍、出生体重1・5キロ以上2・5キロ未満で1・08倍、出生体重1・5キロ未満で1・29倍と、リスクが高くなりました。

 「糖尿病」では、出生時3キロ台の人に比べて、2・5キロ以上3キロ未満で1・08倍、出生体重1・5キロ以上2・5キロ未満で1・26倍、出生体重1・5キロ未満で1・53倍と、リスクが高くなりました、

 研究チームによりますと、出生時に低体重でも食生活や運動習慣などに気を付けることでリスクを減らすことができるということで、調査を行った森崎部長は「小さく産まれた場合は大人になってからも野菜や魚中心の食事にしたり、運動の時間や睡眠を適切にとったりして生活習慣に気を配ってほしい」と話しています。

 2023年11月26日(日)

🟩看護師が人工呼吸器具を誤操作し、30歳代患者が死亡 高松赤十字病院

 高松赤十字病院(高松市)は、2021年に入院中だった当時30歳代の患者について、看護師が人工呼吸の器具の操作方法などを誤ったため死亡していたと発表しました。

 発表によりますと、2021年11月、入院していた急性リンパ性白血病の30歳代の患者を別の部屋に移動させようとした際、看護師が酸素吸入に必要な人工呼吸の器具を誤って操作したため、患者は容体が急変しその日のうちに死亡したということです。

 この器具は「ジャクソンリース」というもので、使用する際には患者の肺に過剰な圧力がかからないよう排気するためのバルブを開き圧力を調整する必要がありますが、看護師が手順を誤解しバルブを閉じた状態で使用していたということです。

 今回、この器具は患者を集中治療室(ICU)から高度治療室(HCU)に移動させるため用意されていて、当初は移動が予定されていたものの、その後は移動が中止となったため使用する必要はありませんでしたが、そのことが看護師には伝わっていなかったということです。

 高松赤十字病院によりますと、患者の遺族との和解はすでに成立しているということです。

 高松赤十字病院の西村和修院長は、「患者のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に多大なる苦痛を与え、事実報告までに時間を要したことを、改めて深くお詫び申し上げます」とするコメントを発表しました。

 その上で、医師や看護師の間での情報伝達を徹底するほか、ジャクソンリースの使用方法についての再教育を行うなど再発防止に努めるとしています。

 2023年11月26日(日)

🟩一般病院・診療所、コロナ補助金で黒字 2022年度厚労省調査

 厚生労働省は24日、医療機関の経営状況を調べた「医療経済実態調査」を公表しました。病床数が20床以上の「一般病院」は収入から支出を引いて算出する損益率が2022年度に1・4%の黒字でした。水道光熱費などを含む経費が前年度比で11・9%増えたものの、新型コロナウイルス対策の病床確保料などの補助金の効果が大きくなりました。

 補助金を除くと6・7%の赤字でした。新型コロナウイルスによる受診控えの影響があった2020年度は6・9%の赤字で、2022年度も同水準でした。

 コロナ対策の支援は2023年度から縮小しています。厚労省は2023年度には物価高騰などの影響で損益率がマイナス10・3%になると予測しました。

 病床数が19床以下の「診療所」の2022年度の損益率は新型コロナの補助金を含めると13・4%の黒字でした。新型コロナの報酬特例やワクチン接種などが収益を押し上げました。

 2024年度の診療報酬改定を巡っては、医療界が物価高騰や賃上げを背景に大幅なプラス改定を求めています。財務省は独自調査の結果、2022年度の診療所の経常利益率は平均で8・8%としています。中小企業平均の3%超より高いとして、マイナス改定を訴えています。

 武見敬三厚生労働相は24日の閣議後の記者会見で、診療所の利益率について「新型コロナの特例(的な財政支援)の影響を除いた2022年度までの3年間の平均は、コロナ前3年間の平均を下回っている」と述べました。

 コロナ禍で医療機関の収益が増えたとの指摘を巡り、「医療関係者の献身的なコロナ対応を国としても財政支援してきた経緯を踏まえる必要がある」との認識を示しました。

 2023年11月26日(日)

2023/11/25

🟩「死にたい」と感じている子供、コロナ禍前の1・6倍に

 コロナ禍が子供の心に与えた影響について国立成育医療研究センターなどの研究チームが調査したところ、全国の医療機関を受診した10歳代までの患者のうち、「死にたい」と感じている患者の数がコロナ禍前から1・6倍に増えていることがわかりました。

 この調査は国立成育医療研究センターなど子供の心の診療に当たっている全国31の医療機関を対象に行われたもので、新型コロナウイルスの流行前と後で変化があるかを調べました。

 その結果、昨年度に初診できた10歳代までの患者のうち、本人が「死にたい」と感じている状態だと医師が診断した患者は214人で、新型コロナウイルスが流行する前の2019年度の135人から約1・6倍に増えていたということです。

 男女別では、女性が166人、男性が48人で、7割以上が女性でした。

 また、自殺を図って受診した患者も2019年度が63人だったのに対し、2022年度は110人で約1・7倍に増えていたということです。

 調査に当たった小枝達也副院長は、「新型コロナによる行動制限で子供同士のコミュニケーションにも制限が加わったことが影響しているのではないか。自殺願望がある子供が広がっている恐れがあり、子供たちにとって居心地のいい環境作りを社会全体で進める必要がある」と話していました。

 2023年11月25日(土)

🟩北海道の新型コロナ感染者、1医療機関当たり5・98人 神奈川県は1医療機関当たり1・24人

 北海道は24日、道内の定点医療機関における11月13〜19日の新型コロナウイルス感染者数が1施設当たり5・98人だったと発表しました。前の週から0・11人増加しました。全定点医療機関の合計感染者数は24人多い1351人でした。

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に移行したことに伴い、道は指定した医療機関からの週1回の報告をもとにした「定点把握」の集計結果を毎週木曜日に公表しています。今週は23日が祝日だったことから、24日、公表されました。

 それによりますと、11月19日までの1週間に指定された道内226の医療機関から報告された患者数は1351人で前の週に比べて24人増加しました。

 保健所ごとにみますと、最も多いのが倶知安保健所で18・25人、次いで帯広保健所で13・00人、富良野保健所で9・00人となっています。

 一方、新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は24日、県内360カ所で報告された感染者数を公表しました。11月13~19日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は1・24人(前週比0・08人増)で、10週ぶりに増加しました。

 報告された患者数は全県で445人。定点医療機関当たりでは、横浜市が1・17人、川崎市が1・18人、相模原市が1・42人、政令市以外の県域が1・28人でした。22日時点の入院者数は208人(前週比30人増)で、うち重症者は4人(前週比3人減)でした。

 2023年11月25日(土)

🟩合成化合物「HHCH」含むグミ、大分県の2店舗にも立ち入り検査

 大麻に似た成分が含まれるグミを食べ、体調不良を訴える人が相次いでいる問題で、厚生労働省九州厚生局麻薬取締部と大分県は22日、医薬品医療機器法に基づき、大分市と同県日田市の計2店舗に立ち入り検査を行いました。

 麻薬取締部によると、大分市の店舗ではワックスやグミなど27品目、日田市の店舗では植物片や液体7品目で、大麻成分に似ているとされる合成化合物「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」が含まれている恐れがあると確認されました。検査のため商品の提出を命じる検査命令と、成分分析結果が出るまでの販売停止命令を出しました。

 厚労省は22日、HHCHを医薬品医療機器法の指定薬物とし、12月2日以降、医療などの用途以外の製造・輸入・販売・所持・使用が禁止されます。違反すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

 2023年11月25日(土)

🟩徳島県、大麻類似品の疑いで販売停止命令 「HHCH」規制対象追加で

 厚生労働省四国厚生支局麻薬取締部と徳島県が徳島市内の店舗を22日に立ち入り検査し、大麻類似の合成化合物HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)を含む疑いがある商品4種類を見付け、検査のため提出を命じる検査命令と、成分分析結果が出るまでの販売停止命令を出したことが25日、わかりました。

 HHCHはこれまで規制対象でなかったものの、成分を含むグミの健康被害が相次ぎ、厚生労働省が22日、医薬品医療機器法に基づき指定薬物に指定。徳島市の店舗からはグミは見付からなかったものの、植物片や電子たばこ用リキッドに成分が含まれている疑いがあるといいます。

 HHCHは12月2日から規制対象になり、所持や使用、流通が禁止されます。

 2023年11月25日(土)

2023/11/24

🟩学校を休んだ病気療養児、コロナ禍で増加 中高生は「心の病」が理由の半数

 2022年度に病気や障害で長期間学校を休んだ「病気療養児」は、国公私立の小中高校(特別支援学校を除く)で6544人いたことが文部科学省の調査でわかりました。新型コロナウイルス流行前の2017年度調査より1544人増えました。中高生では、うつや摂食障害といった「心の病気」が療養理由の半数を占めました。

 専門家は「コロナ禍の閉塞感から心に不調を来し、回復できずにいる子供は多い」と指摘しています。

 病気療養児は医師の診断がある病気や障害などにより年間30日以上欠席した児童生徒で、「不登校」とは異なります。2022年度は小学生2277人、中学生2542人、高校生1725人でした。

 療養理由は初めて調べました。中学生では摂食障害など「心身症」が683人、うつなど「精神疾患」が559人。高校生ではそれぞれ301人と542人。専門家はこれらを合わせて「心の病気」としており、中高生の療養理由の49%となります。小学生は、がんなどの悪性新生物が最も多い理由でした。

 病気療養児に詳しい日本大の高橋智教授は、心の病気は数年後に発症する場合も多いとして、「カウンセラーの増員など場当たり的な対策ではなく、教員がじっくり子供に向き合えるように学級の規模を小さくするなど抜本的な予防策が必要だ」と述べました。

 2023年11月24日(金)

🟩インフルエンザ患者数、1医療機関当たり21・66人 今シーズン最多に

 全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、11月19日までの1週間で1医療機関当たり21・66人と前の週から増加し、今シーズンで最も多くなりました。

 国立感染症研究所などによりますと、11月19日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は10万6940人で、1医療機関当たりでは前の週から4・31人多い21・66人となりました。

 患者数は、前の週の報告で約3カ月ぶりに減少に転じていましたが再び増加し、今シーズンで最も多くなりました。

 都道府県別にみますと、佐賀県が47・26人、北海道が39・21人、長野県が35・59人、宮城県が31・86人と「警報レベル」とされる30人を超えたほか、残る43の都府県すべてで「注意報レベル」の10人を超えています。

 また、43の都道府県で前の週より患者の数が増加していて、全国的な拡大傾向となっています。

 休校や学年・学級閉鎖は全国で計3954校で、前週の3668校から約1・08倍に増えました。

 日本感染症学会のインフルエンザ委員会で委員長を務める倉敷中央病院の石田直副院長は、インフルエンザの流行状況について「まだピークとはいえない。抗インフルエンザ薬を処方された患者の数は今週にかけても増えていて、今後さらに増えるのではないか。これまで若い人を中心に広がっていたが、私たちの病院でも先週あたりからインフルエンザで入院する高齢者のほうが少しずつ出てきていて、今後、高齢者にも流行が広がる可能性を懸念している。リスクのある方でワクチンを接種していない人はできるだけ早く接種したほうがいいと思うし、手洗いやせきがあればマスクをするといった感染予防は続けてほしい」と話しています。

 2023年11月24日(金)

🟩全国の新型コロナ感染者、5類移行後最少を更新 1定点医療機関当たり1・95人 

 厚生労働省は24日、全国に約5000ある定点医療機関に11月13日~19日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は計9648人で、1定点当たり1・95人だったと発表しました。前週(2・01人)の約0・97倍で11週連続で減少、5月に感染症法上の位置付けが5類に移行した後の最低を3週連続で更新しました。

 都道府県別の最多は北海道の5・98人で、長野県4・97人、秋田県3・12人と続きます。少なかったのは島根県1・03人、三重県1・14人、大分県1・16人。東京都1・17人、愛知県2・37人、大阪府1・41人、福岡県1・30人でした。28都府県で減少しました。

 11月19日までの1週間に定点医療機関に報告された新規入院患者数は784人で、前週の818人から34人減少。集中治療室(ICU)に入院している患者数は34人で、前週の45人から11人減りました。

 入院者数と重症者数の週1回の報告は、すべての医療機関からではなく、全国約500カ所(ベッド数300床以上)の医療機関からの「基幹定点報告」に切り替わっています。原則として季節性インフルエンザと同じ医療機関からの報告となります。

 2023年11月24日(金)

🟩東京都のプール熱感染者、引き続き警報基準超

 東京都内の感染症について、都は24日、11月19日までの1週間の1医療機関当たりの感染者数を公表しました。

 それによりますと、子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱が3・51人と前の週の3・48人とほぼ同じ水準で、引き続き警報の基準を超えています。

 一方、インフルエンザは12・25人と前の週の1・07倍で、引き続き注意報の基準を超えています。

 また、新型コロナは1・17人で、11週続けて減少しています。

 都は、換気や場面に応じたマスクの着用、せっけんでの手洗いなどの感染対策を呼び掛けています。

 2023年11月24日(金)

2023/11/23

🟩飲酒リスク、初ガイドラインで周知へ 男性40グラム、女性20グラム以上はリスク

 飲酒ガイドラインについて議論する厚生労働省の有識者検討会は22日、国内初のガイドラインの案をまとめました。参考となる飲酒量の数値として、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム以上、女性20グラム以上」と示しました。

 一方、近年は少量の飲酒でも高血圧やがんなどのリスクが上がるとの研究結果が出ていることもあり、ガイドラインは「飲酒量をできるだけ少なくすることが重要」と指摘しました。

 厚労省は今後、パブリックコメント(意見公募)をするなどして、今年度中に最終決定します。

 飲酒ガイドラインは、飲酒の健康影響や飲み方の注意点などを示すもの。国のアルコール対策の第2期基本計画(2021~2025年)に作成の方針が盛り込まれました。これを受け、2022年から有識者検討会が議論してきました。

 ガイドライン案では、飲酒の影響が年代や性別、体質によって異なることを示しました。過度の飲酒でアルコール依存症や生活習慣病、がんなどを発症しやすくなることも記載しました。

 また、お酒に含まれる純アルコール量に着目。世界保健機関(WHO)などが、純アルコール量が少ないほどがんなどのリスクが少なくなると報告しているとし、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などでは、少量の飲酒でも発症リスクを上げる可能性があると指摘しました。

 大腸がんでは、1日当たりの純アルコール量約20グラム以上の飲酒を続けると発症のリスクが上がるという研究結果も紹介しています。

 純アルコール量は、飲んだ酒の量とアルコール度数などを掛け合わせて計算でき、例えばアルコール度数5%のビールでは、中瓶1本やロング缶に当たる500ミリリットル飲むと、純アルコール量は20グラムに当たります。7%の酎ハイは350ミリリットル、12%のワインは小さいグラス2杯分の200ミリリットル、15%の日本酒は1合弱、25%の焼酎は100ミリリットル、43%のウィスキーはダブルに当たる60ミリリットルです。

 これらを踏まえ、厚労省は「自分の普段の飲酒量を把握し、あらかじめ飲む量を決めることが重要」としました。

 厚労省は今後、国民向けのリーフレットを作成し、普及を図ります。

 2023年11月23日(木)

🟩中国で子供の肺炎が増加しクラスターが発生 WHO、詳細情報の報告を要請

 世界保健機関(WHO)は、中国の子供たちの間で肺炎が増加し、クラスター(感染者集団)が発生しているとして、中国に詳細な情報提供を要請しました。一方、中国当局は、発熱やせきなどの症状が特徴の「マイコプラズマ肺炎」が流行しているなどとして、注意を呼び掛けています。

 WHOは22日、中国北部で10月中旬以降、インフルエンザのような症状の患者が過去3年間の同じ時期と比べて増加しているなどとする声明を発表しました。

 それによりますと、国際感染症学会が21日に子供たちの間で肺炎が増加しクラスターの発生を報告したとしています。

 一方、中国の保健当局、国家衛生健康委員会は11月13日に記者会見を開き、「今年は北部を中心に発熱やせきなどの症状が特徴の『マイコプラズマ肺炎』が流行し、3歳以下の子供が感染するなど低年齢化の傾向がある」と注意を呼び掛けていました。

 また、インフルエンザの感染も広がっているとして、中国当局は新型コロナウイルスなどとともに監視を強めると強調しています。

 こうした状況を受けて、WHOは中国に対し、呼吸器疾患の増加や子供のクラスターに関する情報提供を要請するとともに、中国国民に対し、各種予防接種、患者との距離の確保、不調の際の自宅待機、日常的な手洗い、適切なマスク着用といった予防措置を呼び掛けています。

 2023年11月23日(木)

2023/11/22

🟩新型コロナのワクチン接種費用、64歳以下は原則自己負担 2024年度から

 厚生労働省は新型コロナウイルスのワクチン接種の全額公費接種を2023年度で終了します。2024年4月以降は公費支援の対象を65歳以上の高齢者らに絞ります。64歳以下は任意接種とし、原則自己負担とします。

 厚生科学審議会(厚労相の諮問機関)が22日に開いた予防接種・ワクチン分科会で支援の縮小を決めました。季節性インフルエンザと同じ「定期接種」に位置付けることに伴う措置です。

 新型コロナワクチン接種は現在、予防接種法上の「特例臨時接種」に定められています。接種費用は全額、国が負担しています。

 定期接種には結核など集団予防に重点をおく「A類」と、季節性インフルエンザなど個人予防に重点をおく「B類」があります。A類は国の補助額が高く、原則無料で接種を受けられます。B類は補助額が少なく、一部の定期接種対象者には自己負担が生じます。

 今回の変更で、新型コロナワクチンについてはB類に位置付けとなります。

 定期接種は65歳以上の高齢者と一定の基礎疾患を有する60歳〜64歳が対象で、年1回、秋冬の時期に実施します。対象者には自治体からの補助があり、地域によって自己負担額は異なります。低所得者などは無料で接種できます。

 予防接種の価格はワクチンを製造する企業が設定します。厚労省は2023年度中におおよその価格を把握する予定です。アメリカではモデルナが商用販売への移行後の価格を1回当たり130ドル(およそ1万9000円)に引き上げるとしています。

 2023年11月22日(水)

🟩犬を飼う高齢者、認知症の発症リスク低い 東京都健康長寿医療センターの調査

 犬を飼っている高齢者は、飼っていない高齢者に比べて認知症の発症リスクが低いという研究結果を、東京都健康長寿医療センターのチームが22日までに国際科学誌「予防医学レポート」に発表しました。ペット飼育と認知症との関連を明らかにしたのは初めてとしています。

 調査は、東京都の65歳以上の男女1万1194人を対象に、2016年から2020年までのデータを分析。対象者の平均年齢は74・2歳、女性の割合は51・5%でした。2020年までの介護保険情報に基づく要介護認知症の新規発症率は5・0%で、犬を飼っている人は飼っていない人に比べ、認知症になるリスクが40%低くなりました。

 さらに犬を飼っている人のうち、運動習慣がある人や、社会的に孤立していない人のほうが発症リスクが低い傾向にあることもわかりました。猫の場合は、飼育の有無で発症リスクに差はありませんでした。犬の飼育率は8・6%、猫の飼育率は6・3%でした。

 同センター協力研究員で国立環境研究所の谷口優主任研究員は、「犬特有の散歩を介した運動や、知人の輪の広がりが飼い主へのよい効果をもたらしている」と指摘。犬の飼育によって認知症予防や健康維持が期待できるとしています。

 チームはこれまで、犬を飼う高齢者は介護や死亡のリスクが低いとの研究もまとめています。

 2023年11月22日(水)

🟩大阪市の会社製造グミの検出成分、22日付で指定薬物に追加 流通禁止へ、厚労省

 大麻に近い成分を含むグミを食べた人が体調を崩して相次ぎ搬送された問題で、厚生労働省の指定薬物部会は21日、東京都内のグミ販売店で見付かった製品から検出された合成化合物HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)を指定薬物に指定することを了承しました。

 22日に指定薬物に追加し、10日後の12月2日から所持や使用、流通が禁止される見通し。

 厚労省はHHCHに似た別の成分が新たに流通する可能性があるとして、構造が似た成分をまとめて禁止する「包括指定」も検討しています。

 HHCHは、大麻由来の違法成分で幻覚や意識障害を引き起こすTHC(テトラヒドロカンナビノール)と構造が似ているものの、規制対象にはなっていませんでした。

 THCに似た成分を含む製品の流通が近年続き、厚労省は医薬品医療機器法に基づいて指定薬物への追加を進めています。昨年3月にHHC(ヘキサヒドロカンナビノール)、今年8月にはTHCH(テトラヒドロカンナビヘキソール)を規制対象に追加しました。

 厚労省麻薬取締部はグミの製造会社「WWE」(大阪市)と東京都や大阪市の販売店などに立ち入り検査を実施。見付かったグミの鑑定を進め、一部からはすでにHHCHが検出されています。

 健康被害が多く報告されているのを受け、武見敬三厚労相は「重大な保健衛生上の問題だ」として速やかに指定薬物に指定する意向を示していました。

 2023年11月22日(水)

2023/11/21

🟩炭水化物と脂質の極端な摂取や制限で死亡リスク増 名古屋大が調査

 近年、炭水化物や脂質の摂取制限が体重減少や血糖値の改善を促し健康的だともてはやされているものの、極端な摂取制限は死亡リスクを高めるとの研究結果を、名古屋大の田村高志講師(予防医学)らの研究チームがアメリカの専門誌に発表しました。男性の低炭水化物摂取と女性の高炭水化物摂取は死亡リスクを高めることがわかったといいます。

 研究チームは、日本人でがんや心臓血管系の病気のない男性約3万5000人と女性約4万6000人を追跡したところ、平均約9年間で男女計2783人が死亡しました。食事のアンケートに基づき、炭水化物や脂質の摂取量と死亡リスクとの関係を分析し、喫煙や飲酒は影響がないよう統計的に調整しました。

 その結果、男性では全エネルギーに対する炭水化物の摂取割合が50%以上55%未満の人を基準にして、40%未満の人は、すべての原因による死亡リスクが1・59倍、がんによる死亡リスクに限ると1・48倍になりました。循環器病の死亡リスクは45%以上50%未満と、基準よりやや少ないだけで2・32倍となりました。脂質は摂取割合が20%以上25%未満の基準と比べて、35%以上の人は、がんの死亡リスクが1・79倍となりました。

 女性については、炭水化物の摂取割合が65%以上と多めの人は5年以上の追跡で、全死亡リスクが1・71倍となりました。45%以上50%未満と少なめの人は5年未満の追跡で、循環器病による死亡リスクが4・04倍、60%以上と多い人は3・46倍となり、多すぎても少なすぎてもリスクが大きく高まりました。また、脂質摂取量が増えるほど死亡リスクが減少する傾向がみられました。

 田村講師は「男女とも一律にローカーボ食(低炭水化物食)がよい、あるいは脂質摂取は控えるほうがよいとする食事習慣は見直しが必要だ。将来の死亡リスクを考える上では、食事のバランスが重要であるといえる 」と話しています。

 2023年11月21日(火)

🟩梅毒の感染者1万2965人、3年連続で過去最多を更新するペース

 国立感染症研究所のまとめによりますと、11月12日までに全国から報告された梅毒の感染者数は1万2965人と、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最も多かった昨年の同じ時期を上回り、3年連続で過去最多を更新するペースとなっています。

 都道府県別にみますと、東京都が3173人、大阪府が1726人など人口の多い地域で患者数が多くなっていますが、佐賀県、長崎県、石川県など人口の少ない地域でも昨年から大幅に増加しているところがあります。

 性感染症の梅毒は放置すると深刻な症状につながることがあるほか、女性の場合は妊娠中に胎児に感染する「先天梅毒」を引き起こすこともありますが、抗菌薬の投与や注射で治療できる病気です。

 性感染症に詳しいプライベートケアクリニック東京の尾上泰彦院長は、「診療の現場では20歳代の女性のほか、男性も30歳代から50歳代の幅広い年代での増加を実感している。不特定の人とのコンドームを着用しない性行為といった感染リスクの高い行動をして、不安に感じている場合、症状がなくても専門の医療機関で検査してほしい」と話しています。

 梅毒の感染者の急増に伴い、梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」の報告も急増しています。

 国立感染症研究所によりますと、「先天梅毒」の報告は今年は10月4日の時点で32人と、現在の方法で統計を取り始めてから最も多かった2019年1年間の23人をすでに超えています。

 先天梅毒は治療した経験のある医師が少ないということで、日本小児感染症学会は検査や治療の方針をまとめた「診療の手引き」を作成し、21日、ウェブサイトで公表しました。

 それによりますと、通常、妊婦の健診では梅毒の検査を行いますが、妊娠中に感染したり健診を受けていなかったりするケースがあるため、手引きでは、生まれた子供に皮膚の異常など先天梅毒の症状がなくても出産の前後に母親が梅毒に感染していることがわかった場合や、過去に感染したことがあるものの治療したかどうかがはっきりしない場合なども検査や治療を行うことを推奨しています。

 また、先天梅毒は、成長するにつれて発達の遅れや難聴といった症状が出ることもあるため、定期的に診察して様子を確認するべきだとしています。

 手引きを取りまとめた愛知医科大学の伊藤嘉規教授は、「知識を医師の間で共有することで先天梅毒の増加に備えるとともに、妊婦の方にも先天梅毒のリスクや、妊娠前の検査について知ってもらいたい」と話しています。

 2023年11月21日(火)

🟩プール熱、4週連続で過去最多更新 過去10年で最多状態が続く

 子供を中心に流行が続く咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の11月6日から12日までの1週間の患者数は、前の週からさらに増えて過去10年間で最も多い状態が続いています。

 また、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種も感染者が増加しており、専門家は「引き続き手洗いなどの基本的な感染対策を取ってもらいたい」と話しています。

 咽頭結膜熱は、子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルやプールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、11月12日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は前の週より2455人多い、1万173人となりました。

 1医療機関当たりでは、前の週を0・78人上回って3・23人となり、4週連続で過去10年間で最も多くなっています。

 都道府県別では、福岡県が7・41人、奈良県が6・41人、佐賀県が6・3人、北海道が5・73人、富山県が5・52人、沖縄県が5・03人、福井県が4・84人、石川県が4・38人、長崎県が4・05人などとなっていて、合わせて25の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。

 このほか、主に子供が感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の感染者も増加傾向です。

 11月6日から12日までの1週間に報告された患者数は全国で合わせて1万523人、1医療機関当たりでは3・34人となっており、この時期としては過去100年間で最も多くなっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「引き続き手洗いなどの基本的な感染対策を取ってもらいたい。溶連菌感染症はきちんと治療をしないと急性腎炎やリウマチ熱などの合併症が起こることがある。急に高い熱が出て、鼻水があまりなくてのどが痛い場合は、早めに医療機関を受診してほしい」と話していました。

 2023年11月21日(火)

🟩2022年の世界の温室ガス効果排出、過去最多 気温上昇1・5度実現「確率14%」

 世界の2022年の温室効果ガス排出量は前年から1・2%増えて過去最多となり、二酸化炭素(CO2)換算で574億トンに上ったとの報告書を国連環境計画(UNEP)が20日、公表しました。このままでは、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えるパリ協定の目標が達成できる可能性が低く、確率は最大14%しかないと指摘しました。対策が遅れれば3度近い上昇になるとしています。

 インダー・アンダーセン事務局長は、今年が観測史上最も暑い年になる見通しに言及し「人類は気候変動に関し誤った記録を塗り替えており、軌道修正すべきだ」と早期の脱炭素を訴えました。先進国が排出削減をより強化し、発展途上国に資金や技術を支援する必要性も強調しました。

 報告書は、各国が掲げている削減数値を基にすると、世界の排出量は2030年時点で520億トン、2035年時点で510億トンになると予測しました。「1・5度目標」を50%の確率で達成するには、それぞれ330億トンと250億トンまで急激に減らす必要があるとしています。

 2023年11月21日(火)

2023/11/20

🟩プール熱の感染拡大、東京都の定点医療機関当たり患者数が初の3人超え

 東京都では、子供を中心に流行する咽頭結膜熱(プール熱)の感染拡大が続いています。直近1週間(11月6~12日)では、定点医療機関当たりの患者報告数が3・48人となりました。患者報告数が3人を超えるのは、1999年の調査開始以降初めて。

 プール熱はアデノウイルスが原因となる感染症で、発熱や目の充血、咽頭炎などの症状が出ます。例年は7、8月に感染のピークを迎えます。

 感染の流行を示す「警報基準」は、患者報告数が3・0人を超えた場合と、患者報告数が3・0人を超える保健所管内の人口が全体の約3割超となった場合と定められています。

 今年は8月から患者が増え始め、10月12日には、台東や江戸川、江東区など、患者報告数が3・0人を上回った保健所管内の人口が全体の約3割を超えたため、都は警報基準に達したと発表しています。警報基準に達したのも、1999年の調査開始以降初めてでした。

 17日の定例会見で小池百合子知事は、「アルコール消毒が効きにくい。流水での手洗いなど、感染対策を心掛けてほしい」と呼び掛けました。

 2023年11月20日(月)

🟩エボラ出血熱治療薬、動物実験で有効性調査へ 感染症研究所、流入に備え国内初

 国立感染症研究所が村山庁舎(東京都武蔵村山市)のBSL4(バイオセーフティーレベル4)施設で、海外で承認されている薬などからエボラ出血熱の治療薬を探し出すための動物実験を近く始めることが19日、明らかになりました。エボラ出血熱は感染症法で危険性が最も高い1類に指定されており、ウイルスを使って薬の有効性を調べる動物実験は国内初となります。

 主にアフリカで発生する感染症ですが、海外からの観光客が増え国内に流入する懸念があることから、感染者の発生時に迅速に治療できる体制づくりを目指します。

 実験で扱うのは、エボラ出血熱のほか、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病の4つの原因ウイルスで、いずれも1類。発症すると発熱や頭痛の症状が出て、粘膜などが出血することもあり、致死率が高くなっています。

 海外では薬の実用化が進んでいるものの、国内で承認された薬やワクチンはありません。感染症研究所は11月上旬に村山庁舎の地元住民に説明し、実験に向けた準備に着手しました。

 村山庁舎にある、危険な病原体が漏出しないよう厳重な対策を施したBSL4の施設で実験します。マウスや小型サルの一種マーモセットにウイルスを感染させ、海外で承認されているエボラ出血熱の治療薬や、新型コロナなど別の感染症の薬を投与して、有効性を調べます。候補薬が見付かれば臨床研究などを検討します。

 感染症研究所の海老原秀喜・ウイルス第一部長は、「人の往来が再び活発になり、感染症が国内に入ってくるリスクが高まっている。患者が発生したらすぐに有効な薬を投与して治療を開始できるよう、科学的根拠を集めて将来の治療体制の確立に貢献したい」と話しています。

 感染症研究所は2019年、南米出血熱を含む計5種類のウイルスを海外の研究機関から初めて輸入し、患者を速やかに診断できる検査体制の整備を進めていました。

 2023年11月20日(月)

2023/11/19

🟩iPS細胞から免疫細胞を作製し子宮頸がん治療の治験へ 順天堂大など

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した免疫細胞で子宮頸(けい)がんを治療する治験を、順天堂大学などの研究チームが計画していることが、明らかになりました。チームは来年度にも患者に細胞を投与することを目指しています。

 治験を計画しているのは、順天堂大学の安藤美樹主任教授らのチームです。

 安藤教授らのチームは、健康な人の血液から、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した細胞を狙って攻撃する「キラーT細胞」という免疫細胞を取り出し、この細胞からiPS細胞を作りました。

 そのiPS細胞から再びキラーT細胞を作ると、HPVに感染した細胞を攻撃する機能が高くなるほか、ゲノム編集技術を使うことで拒絶反応が起きにくくすることができたということです。HPVを攻撃する免疫細胞は血液中からわずかしか作れず、増やすこともむずかしいため、一度iPS細胞にすることで大量作製を可能にしました。

 チームではこうして作り出したキラーT細胞を、子宮頸がんが再発し治療がむずかしいとされる患者9人に投与する治験を計画しています。

 治験はまず少ない量から始め、安全性を中心に確認するということです。

 国内では年間約3000人が子宮頸がんで死亡しています。がんが再発した場合、治療がむずかしいことがあり、新たな治療法の開発が期待されているということです。

 チームは、今年度中に学内の審査委員会に申請して審査を受け、来年度には1人目の患者に投与したいとしています。

 安藤主任教授は、「安全性を確認した上で投与量を増やし、有効性を確認したい。子宮頸がんに苦しむ多くの女性の希望になるよう着実に進めたい」と話しています。

 2023年11月19日(日)

🟩新型コロナワクチン、定期接種に 費用の一部、自己負担も

 来年度からの新型コロナウイルスのワクチン接種について、厚生労働省は季節性インフルエンザなどと同様に、接種を受ける人に原則、費用の一部の自己負担を求める方針を固めたことがわかりました。来週、専門家の意見を聞いた上で正式に決めることにしています。

 新型コロナのワクチン接種は来年3月までは「特例臨時接種」となっており、接種費用を全額公費で負担して行われることが決まっています。

 来年度以降の接種費用負担について、厚労省は季節性インフルエンザなどと同様に原則、費用の一部自己負担を求める「定期接種」とする方針を固めました。

 具体的には、65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人について、国の地方交付税で接種費用の3割程度を補助した上で、接種を受ける人に原則、費用の一部自己負担を求める方針です。

 また、接種の時期は年に1回、秋から冬の間に行う予定です。

 65歳未満で重症化リスクが高くない人については国の補助がなく、全額自己負担や自治体からの補助を受けて接種する「任意接種」とする方針です。

 さらに、新型コロナは流行する型が次々と変異することから、インフルエンザと同様に当面の間、使用するワクチンの型を毎年見直すこととしています。

 新型コロナワクチンの定期接種は、はしかのワクチンなどのように集団の予防を目的にするものではなく、高齢世代の季節性インフルエンザワクチンと同様に、個人の予防を目的にするものとなる方向です。

 厚労省は来週開かれる部会で専門家の意見を聞いた上で、正式に決めることにしています。

 2023年11月19日(日)

🟩東京都、梅毒感染者数が最多ペースを更新 先天梅毒も過去最多に

 東京都内の今年の梅毒患者報告数が、過去最多だった昨年を上回る勢いで増えています。感染は性風俗関係以外の幅広い層にも広がっている上、感染した母親から胎内で感染する「先天梅毒」も過去最多に上ります。都や医師会は、早期の検査や治療を呼び掛けています。

 梅毒は主に性的接触でうつる感染症。全身の発疹などの症状が出る例が多く、脳などに合併症が出る恐れもあります。母子感染する先天梅毒では、流産や死産の可能性が高まるほか、生まれた子供に骨や神経の異常、難聴が見付かるケースもあります。

 都によると、都内の患者数は11月6~12日に報告された時点で累計3209人で、昨年同期の3151人を超えています。年代別では女性は20歳代、男性は20~50歳代が中心。患者のうち先天梅毒の子供は過去最多の8人に達しています。

 感染者数は、2016~2020年が横ばい傾向だったものの、2021年から増加に転じ、感染者

は2451人に上りました。2022年の感染者3677人のうち、性風俗業従事者は2割にとどまっています。

 14日に開かれた都医師会の定例会見で、川上一恵理事は「風俗産業の病気だと思われているかもしれないが、性風俗関係ではない仕事の方や主婦、学生など、検査が行われない中で広がっている」と危機感をあらわにしました。

 川上理事は先天梅毒についても触れ、「生まれながらにこの病気で苦しむ赤ちゃんがいないように、不安な性交渉をした場合には検査をしてほしい」と呼び掛けました。

 都は、12月15日までエイズなどの性感染症の予防月間として、各区の保健所などで実施している検査回数を増やしています。検査日時の詳細や申し込み方法は、「都HIV検査情報WEB」で検索できます。

 2023年11月19日(日)

2023/11/17

🟩グミで相次ぐ体調不良、製造会社「未成年者の使用は控えるよう注意書きをしている」 厚労省麻薬取締部が東京都内販売店立ち入り

 大阪市の会社が製造したグミを食べた人が体調不良を訴えるケースが東京都や大阪府で相次いでいることを受けて、会社が記者会見を開き、グミには法律で規制されていない大麻に近い成分が含まれているとした上で、「会社のホームページでは未成年者などの使用は控えるよう注意書きをしている。このようなことが起きたのは遺憾だ」と述べました。

 一方、厚生労働省の麻薬取締部はこれらのグミに法律で規制された指定薬物と同じような毒性がある疑いがあるとして、東京都豊島区の販売店に立ち入り検査を始めました。

 東京都や大阪府では、今年に入ってから大阪市の会社が製造している同じグミを食べた人が病院に搬送されるなど体調不良を訴えるケースが相次いでおり、警視庁や大阪府警によりますと、これまでに合わせて20数人に上っています。

 グミの袋には「HHCH」(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)と、法律で規制されていない大麻に近い成分の名前が書かれていて、警視庁などが鑑定を進めています。

 これを受けて、グミを製造した会社が17日、大阪市内で記者会見を開き、販売の経緯などを説明しました。会社によりますと、グミは気分の向上やリラックス効果などを目的に今年4月から製造を始め、インターネットや一部の店舗で販売しているということです。

 グミには「HHCH」という成分が含まれていて、会社は厚労省の許可を得て輸入している業者から、仕入れたものだと説明しています。販売する際は、20歳以上であることを確認しているということです。

 一方、会社にはグミを食べた人が気分が悪くなり、おう吐するなどの報告が今年4月以降、合わせて10件前後寄せられているということです。

 会見で、松本大輔代表取締役は「会社のホームページでは未成年者などの使用は控えるよう注意書きをしている。それにもかかわらずこのようなことが起きたのは遺憾だ」と述べました。

 その上で、「今回、未成年者に配布されるなどしたことは許される行為ではなく、これまで以上に、業界全体で注意喚起をしていく」と話していました。

 会社のホームページによりますと、グミの価格は10粒7000円で、「HHCH」が1粒当たり30ミリグラム含まれているとされています。

 一方、武見敬三厚労相が、成分が特定されれば類似するものも含めて、指定薬物として流通させることや所持することを禁止する方向で検討する考えを示したことについては、「愚策だと思う。規制すればするほど新しい成分が開発されるので、私としては反対だ」と述べました。

 一方、大麻に近い成分の名前が表示されているグミを食べた人が相次いで体調不良を訴えている問題で、厚労省の麻薬取締部はこれらのグミに法律で規制された指定薬物と同じような毒性がある疑いがあるとして、東京都豊島区東池袋の販売店に医薬品医療機器法に基づく立ち入り検査を始めました。

 麻薬取締部は幻覚などの健康被害を引き起こす成分がグミに含まれていないかを調べ、販売停止の命令を出すかどうか検討することにしています。

 販売店の関係者は、「外国人や海外で大麻を経験した日本人が大麻に近い成分を求めて買う人が多い」とか「20歳代から50歳代まで幅広い世代が買っていく。ほかの大麻由来の成分よりも刺激を求める人が買っている印象がある」と話していました。

 2023年11月17日(金)

🟩「エムポックス」感染、岡山県で初確認 30歳代男性、海外渡航歴なし

 岡山県は17日、県内在住の30歳代の男性がかつて「サル痘」と呼ばれていた「エムポックス」に感染したと発表しました。県内でエムポックスの感染が確認されたのは、初めてです。

 エムポックスは主にアフリカで流行しているウイルスで、発疹、発熱、倦怠感などの症状がみられます。多くは2~4週間で自然に治るものの、まれに重症化します。

 岡山県によりますと、感染したのは県内に住む30歳代の男性で10月20日、発熱や発疹、咽頭痛などの症状が出たため医療機関を受診、その後、11月6日に陽性が確認されました。

 男性に海外渡航歴はなく、自宅療養して症状は回復しているということです。エムポックスは2022年5月以降、北米やヨーロッパを中心に感染が拡大し、国内でも2022年7月に1例目が確認され、今年11月10日までに218例報告されています。

 厚生労働省によりますと、人から人への感染はまれで、感染した人や動物の体液や、血液に触れた場合などに感染するということです。

 岡山県健康推進課は、「感染を疑う症状がある場合、医療機関や保健所に相談してほしい。受診の際はマスクを着用し、発疹を覆うなど対策を」としています。

 2023年11月17日(金)

🟩第一三共開発の新型コロナワクチン購入で合意 承認後140万回分、厚労省

 製薬大手の「第一三共」が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省は今後、製造・販売を承認した後に、140万回分を購入することで会社と合意したと発表しました。早ければ12月上旬から自治体に配送され、新型コロナウイルスの国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

 製薬大手の「第一三共」は、今年9月に新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応するワクチンの承認申請を行い、厚労省は、11月に開かれる専門家部会での議論を経た上で正式に承認する方針です。

 このワクチンについて、厚労省は承認後に、140万回分を購入することで会社と合意したと発表しました。

 国内の新型コロナウイルスのワクチン接種では、これまで海外の製薬メーカーのものが使われ、国産のワクチンとしては、今年8月に「第一三共」が開発した「従来型」のワクチンの製造・販売が承認されましたが、実際の接種では使われていませんでした。

 今回の「XBB」系統対応ワクチンが承認されれば、早ければ12月上旬から自治体に配送され、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

 厚労省によると、合意したワクチンはアメリカのファイザー製、モデルナ製と同じメッセンジャーRNAワクチンで、「XBB・1・5」に対応。追加接種用で、12歳以上が対象となります。

 武見敬三厚労相は閣議後会見で、「ようやくできた。もっと早くほしかったというのが正直な感想」と述べました。購入額は明らかにしていません。

 2023年11月17日(金)

🟩インフルエンザ新規感染者、前週より減少 厚労省「引き続き高水準」 

 厚生労働省は17日、全国約5000の定点医療機関から6~12日に報告されたインフルエンザの新規感染者数は計8万5766人で、1医療機関当たり17・35人だったと発表しました。前週比は0・82倍。前週まで11週連続で増加していたものの、減少に転じました。厚労省の担当者は、「この時期としては高い水準で、引き続き注意してほしい」と話しています。

 国立感染症研究所の推計では、全国の患者数は約63万5000人でした。

 厚労省によると、31都府県で減少しました。都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が多かったのは、佐賀県36・13人、山梨県29・78人、長野県27・78人。少なかったのは福井県7・87人、青森県8・58人。

 一方、インフルエンザの1医療機関当たりの感染報告者数が前週に全国一となった山梨県は、16日の県感染症対策グループ(CDC)の発表によれば、11月6日から12日までの週では、減少に転じました。流行の中心であった19歳以下の感染者が減ったためであり、20歳以上の成人では一部の年齢層で増加しており、全体としては流行が収まっている状況ではないと分析しています。

 1医療機関当たりの感染者数では富士吉田市、都留市などの富士・東部保健所管内では増加したものの、それ以外の保健所管内では減少しています。県全体でも10月30日から11月5日までの39・63人が、29・78人へと減りました。

 県CDCによると、学級・学年閉鎖など19歳以下向けの対策によって流行状況は改善しつつあるとみています。ただ、成人でも特に小・中・高校生の親世代での感染が増加傾向にあるとみられ、現時点ではインフルエンザの流行期がピークになったとはいい難いとしています。

 2023年11月17日(金)

2023/11/16

🟩グミを食べ体調不良、東京都板橋区でも2人搬送 大麻由来成分含むか

 15日夜遅く、東京都板橋区で果汁などをゼラチンで固めた菓子の一種、グミを食べた男女2人が体調不良を訴えて病院に搬送されました。東京都内では大阪市の会社が製造したグミを食べた人が体調不要を訴えるケースが相次いでおり、警視庁志村署は大麻由来の成分が含まれている可能性があるとみて鑑定などを進めています。

 15日午後11時半ごろ、東京都板橋区で「グミを食べたあと体調不良になり苦しい」などと消防に通報がありました。

 捜査関係者によりますと、通報したのは20歳代の男女2人で、豊島区内の店舗で購入したグミを午後10時ごろに1粒ずつ食べた直後に、手足のしびれや吐き気などの体調不良を訴えたということです。

 グミの袋には「HHCH」(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)と、法律で規制されていない大麻由来成分に似た合成化合物の記載がありました。

 都内では11月、都立武蔵野公園であった祭りで4日、来場した男性が配ったグミを食べた5人が病院に搬送され、3日には押上駅でグミを食べた4人が搬送される事案がありました。

 捜査関係者によると、この2件のグミはいずれも大阪市の同じ業者が製造したものとみられ、袋には同様にHHCHの記載がありました。警視庁が成分鑑定を進めています。

 厚生労働省によると、HHCHは、大麻由来の成分のTHC(テトラヒドロカンナビノール)などと構造が似ており、THCなどと同様に、幻覚や記憶障害などを生じさせる可能性があります。THCは法律で規制されているものの、HHCHは現時点で規制されていません。

 2023年11月16日(木)

🟩緊急避妊薬、全国約150の薬局で試験的に販売 11月28日から

 意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」について、医師の処方がなくても薬局の店頭で適正に販売できるか調査研究を行うため、日本薬剤師会が11月28日から全国の約150の薬局で試験的に販売することになりました。

 「緊急避妊薬」は避妊の失敗や、性暴力などによる意図しない妊娠を防ぐために使われていて、性行為から72時間以内に服用すれば、妊娠を一定程度防ぐことができます。

 国内では現在、医師の処方が必要ですが、厚生労働省の検討会は今年6月、医師の処方がなくても適正に販売できるか検証するため、一部の薬局で試験的に販売する調査研究を行うことを決めました。

 これを受けて、日本薬剤師会が11月28日から全国約150の薬局で試験的に販売することになりました。

 日本薬剤師会によりますと、購入できるのは調査研究への参加に同意した16歳以上の人で、16歳以上18歳未満の人は保護者の同意が必要になるということです。

 販売価格は7000円から9000円までを想定しているということです。

 また、16歳未満の人に対しては薬局が産婦人科医などを紹介するということです。

 これらの薬局は、研修を受けた薬剤師がいて、夜間や土日、祝日も対応が可能、近隣の産婦人科と服薬後に連携できて、個室があるなどプライバシーを確保できる、といった条件を満たしたところを地域ごとに選定したということです。

 購入した人にはアンケートも行い、検証に役立てることにしています。

 2023年11月16日(木)

🟩金沢大、乳がん幹細胞を弱らせ死滅に成功 心不全薬、再発予防期待

 金沢大などの研究チームは、乳がん再発の原因細胞を特定し、既存薬で死滅できる可能性があることがわかったと発表しました。乳がんの再発予防や撲滅への貢献が期待できるとしています。研究成果は15日付のアメリカの医学誌電子版に掲載されました。

 乳がんは日本人女性の9人に1人がかかるとされ、死亡者数も増加傾向にあります。医療技術の向上で治癒が見込める症例が増える一方、治療効果が期待できる分子標的薬がないタイプがあります。

 研究チームはこのタイプについて、手術前の抗がん剤治療後も残り、再発や転移が起きやすいことが知られるがん細胞に注目。患者由来のものを濃縮して詳しく調べると、乳がんの元となる細胞に近い性質があり、特定のタンパク質を多く持つものを見付け「祖先がん幹細胞」と名付けました。

 人の祖先がん幹細胞をマウスに移植し、このタンパク質の働きを抑える既存の心不全治療薬と、がんの標準治療で使われる抗がん剤を組み合わせて与えた結果、同幹細胞が消えたといいます。研究チームは、「抗がん剤で消えないがん細胞を選択的に攻撃できたのは画期的だ。ほかにどんな組み合わせが可能か調べたい」としています。 

 2023年11月16日(木)

🟩妊婦に使用できない新型コロナ治療薬、「慎重に判断を」 32人が服用後に妊娠判明

 妊婦には使用できない新型コロナウイルスの治療薬が、妊娠に気が付く前に処方されてしまうケースが相次いでいるとして、日本感染症学会などが医療機関に注意を呼び掛ける声明を発表しました。

 この声明は、日本感染症学会と日本産科婦人科学会、日本化学療法学会の3つの学会と日本医師会、日本薬剤師会が14日に合同で発表しました。

 新型コロナの治療薬のうち「ゾコーバ」や「ラゲブリオ」などは、胎児に影響がある恐れがあるとして、妊婦には使用できませんが、厚生労働省によりますと、このうち「ゾコーバ」については、10月15日までに投与後に妊娠が判明したケースが32件報告されているということです。

 声明では、妊婦に処方された事例の多くが、医師の問診や薬剤師の聞き取り、それにチェックリストなどでの確認が行われ、問題ないとされたケースだったことから、患者本人が妊娠の可能性はないと話していても、可能性を完全には排除できないと指摘しました。

 その上で、医師や薬剤師に対し、妊娠が可能な年齢の女性に処方や調剤を行う際には丁寧に説明し、処方するかどうか慎重に判断するよう求めました。

 また、女性の患者に向けた文書も併せて発表し、新型コロナの治療薬を内服する前に、もう一度、最近数カ月間のことをよく思い出し、妊娠の可能性に思い当たる節がある場合には内服を控えるよう注意を呼び掛けました。

 ゾコーバは、軽症や中等症の患者を対象とし、昨年11月に緊急承認されました。動物実験では胎児の奇形が認められていました。製造販売元の塩野義製薬によると、今年10月までに妊婦への投与が計32例確認されています。

 2023年11月16日(木)

2023/11/15

🟩世界の気温2度上昇なら、今世紀半ばに暑さ関連で死ぬ人が4・7倍に WHOなど報告書

 世界の気温が産業革命前に比べて2度上昇すると、今世紀半ばに暑さに関連する年間死亡者数は近年の4・7倍に増えるとする報告書を、世界保健機関(WHO)などの国際研究チームが15日、医学誌「ランセット」に発表しました。温室効果ガスの迅速な排出削減で気温上昇を抑えなければ、人類の健康が深刻な危機に陥ると警告しています。

 30日にアラブ首長国連邦(UAE)で開幕する国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に向け、WHOなどの専門家らが報告書をまとめました。

 報告書によると、2022年までの10年間で暑さに関連して死亡した65歳以上の人は、2000年までの10年間と比較して85%増加しました。気温上昇がない場合に予測された38%増を大幅に上回りました。気温が2度上昇すると、暑さに関連した死者が、今世紀半ばには1995~2014年の水準よりもさらに370%増えると推計しました。

 また、2度上昇で、2041~2060年までに中程度から深刻な食料不足に直面する人が約5億2500万人増加し、栄養失調のリスクが高まります。温暖化で蚊の生息域が拡大し、デング熱の感染リスクも37%高まると予測しました。

 国立環境研究所の岡和孝主幹研究員(気候変動適応)は、「暑さによる直接的な影響や渇水、食料不足への影響も懸念される。気候変動による健康への影響を改めて認識する結果だ」と話しています。

 一方、国連の気候変動枠組み条約事務局は14日、各国が掲げる最新の温室効果ガスの排出削減目標が達成できた場合、世界全体の排出量が2020年代に減少に転じる可能性が高いと分析した報告書を公表しました。一方で今世紀末の気温上昇を1・5度に抑えるパリ協定の目標に必要な削減量には遠くおよばないと指摘しました。

 アントニオ・グテレス国連事務総長は、「世界は気候危機への対処に失敗しつつある」とコメント。11月末からアラブ首長国連邦(UAE)で始まるCOP28は世界の対策の進捗評価が主要議題となる予定で、今回の報告書などが議論に反映される見込み。各国の削減目標の引き上げにつながる成果が出せるかどうかが注目されています。

 2023年11月15日(水)

🟩若年がん患者8割が女性、乳がんや子宮頸がん多く 小児・AYA世代調査

 国立がん研究センターと国立成育医療研究センターは15日、2018~2019年の2年間に、がん治療を始めたAYA(アヤ)世代(15~39歳)の患者が5万8062人で、8割が女性だったと発表しました。特に乳がんや子宮頸(けい)がんが多く、4年前の初回調査と同じ傾向でした。

 AYAは「思春期・若年成人」を示す英語(Adolescent and Young Adult)の頭文字。国内ではこの世代で、毎年約2万人が新たにがんを発症するとみられています。

 調査は、がん診療連携拠点病院など全国860医療機関で2018年1月~2019年12月に治療を始めた40歳未満の患者のデータを解析しました。

 20歳をすぎると女性の割合が増え、AYA世代のがんは77%を占めました。一方、15歳未満の小児がん(4688人)は男児の割合が55%で、女児を上回りました。

 AYA世代の女性のがんを種類別にみると、乳がんが約5800人と最多で、子宮頸がんの3081人、甲状腺がんの2430人、脳・脊髄腫瘍の1459人が続きました。小児がんは白血病の1423人、脳腫瘍の1077人の順に多くなりました。

 AYA世代は、進学や就職、妊娠・出産など多くの人生の節目がある中で、治療の副作用や、再発・転移への不安に向き合うことになります。国は、がん対策推進基本計画に、この世代に特化した取り組みの推進を盛り込み、妊娠・出産の可能性を残すために卵子や精子を保存する費用の助成などを進めています。

 2023年11月15日(水)

2023/11/14

🟩日本で初めてHPVワクチンの子宮頸がん予防効果を報告 昭和大などの研究チーム

 日本でヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種対象となった世代では子宮頸(けい)がんが減少しているとの研究結果を、昭和大などの研究チームが国際科学誌「キャンサー・サイエンス」オンライン版に発表しました。 

 日本では、前がん病変についてのワクチンの予防効果に関する報告はあったものの、子宮頸がんへの効果を明らかにしたのは初めてだとしています。

 同大学の小貫麻美子講師(産婦人科)、松本光司教授(同)らは、全国がん登録データと日本産科婦人科学会の腫瘍登録データから子宮頸がんを年齢層別に解析。2011年以降は、20歳代の登録だけが減少に転じていました。

 子宮頸がん検診の効果や性行動の変化など別の要因が影響したとも考えられるため、最近約10年間、全国24の医療機関で新規に診断された40歳未満の子宮頸がんの中で、ワクチンで予防可能なHPV16型、18型の割合を調べたところ、20歳代だけで2017年以降、割合が減少していることが判明。ワクチンの一定の効果が認められると結論付けました。この2つの型は子宮頸がんの約7割を占めるとされます。

 2020年以降、国による接種プログラムがあるスウェーデン、イギリス、デンマークなどから同様の報告が続いています。

 国内では年間1万人以上が子宮頸がんと診断され、約2900人が死亡するとされます。HPVワクチンは2009年12月に日本で販売開始。2013年4月に予防接種法に基づく定期接種になったものの、副反応報告が相次いだことで2013年6月に接種の積極的勧奨を中止。有効性や安全性が確認されたとして2022年4月、勧奨を再開しました。

 2023年11月14日(火)

🟩大麻取締法改正案、衆院通過 成分含む医薬品が使用可能に

 大麻草から抽出した成分を含む医薬品で、安全性と有効性が確認されたものは国内での使用を可能にする大麻取締法などの改正案が14日、衆院本会議で与党などの賛成多数により可決され、衆院を通過しました。薬物乱用対策として、大麻も麻薬取締法の対象にして他の規制薬物と同様に使用罪が適用できるようにします。

 現行法では、国内で大麻草から製造された医薬品は適切な実施計画に基づき治験をすることはできるものの、使用禁止規定があり医療現場で使えません。

 欧米では大麻由来成分カンナビジオール(CBD)を含む難治性てんかん治療薬がすでに薬事承認されており、日本の患者団体などは、海外で使えるのに国内で使えない「ドラッグラグ」を解消するよう要望していました。

 改正案では、大麻草を原料にした医薬品で、安全性と有効性が確認されたものは国内での使用を認めるほか、繊維や種子の採取、研究目的にのみ認められている大麻草の栽培を、医薬品などの原料を採取する目的でも認めます。

 一方、若者などが大麻を乱用するのを防ぐため、新たに「麻薬及び向精神薬取締法」で規制する「麻薬」に、大麻と有害な大麻由来成分テトラヒドロカンナビノール(THC)を位置付け、すでに禁止されている「所持」や「譲渡」などに加え、「使用」を禁止することも盛り込んでいます。

 厚生労働省によりますと、難治性てんかん治療などに使用するための大麻草を原料にした医薬品は、すでに国内での治験が始まっており、使用が可能になれば2万人から4万人が対象になると見込まれています。

 2023年11月14日(火)

🟩プール熱、3週連続で過去10年最多を更新 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の感染者も増加傾向

 11月5日までの1週間に全国から報告された咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の患者数は、前の週からさらに増加し、過去10年間で最も多い状態が続いています。

 また、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種の感染者も増加傾向で、専門家は「人が集まるところではマスクをするといった対策をしてほしい」と話しています。

 咽頭結膜熱は、子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルやプールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、10月30日から11月5日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は7718人で、前の週から83人増えました。

 1医療機関当たりでは2・45人で、前の週を0・02人上回り、過去10年間で最も多くなりました。

 都道府県別にみますと、福岡県が6・51人、奈良県が5・62人、佐賀県が4・74人、沖縄県が4・65人、北海道が4・02人、富山県が3・9人、三重県が3・51人、長崎県が3・41人、福井県が3・32人、大阪府が3・31人、京都府が3・04人と、11の道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。27都道県で前週を上回っています。

 このほか、主に子供が感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の感染者も増加傾向です。

 例年は冬から初夏にかけて患者が増えますが、今年は11月5日までの1週間で報告された患者数が9568人、1医療機関当たりでは3・04人と、過去10年間の同じ時期で最も多くなっています。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、主に感染している人の口から出るせきやくしゃみなどを浴びることによって感染する「飛まつ感染」や、おもちゃやドアノブなどに付着している病原体に触れた手で口や目などから感染する「接触感染」、そして食品を介して「経口感染」する場合もあります。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長、「冬になり気温が下がると、免疫の反応が落ちのどなどの感染症が増えてくる。人が集まるところではマスクを着用する、換気を十分に行うといった対策をしてほしい」と話しています。

 2023年11月14日(火)

🟩流山市の医療機関、インフルエンザ希望者にコロナワクチン誤接種 10月に接種したばかりの80歳代の男性に 

 千葉県流山市は13日、市内の医療機関が誤って、インフルエンザワクチンを接種しにきた80歳代の市内在住の男性に新型コロナワクチンを接種したと発表しました。男性は10月にコロナワクチンを接種したばかりでした。現時点で健康被害は確認されていないといいます。

 市健康増進課によると、男性は1日午前10時50分ごろ、インフルエンザワクチン接種のため同医療機関に来院。院長の指示を受けた看護師が誤って、オミクロン型対応のコロナワクチン(ファイザー社製)を打ちました。冷蔵庫からワクチン入りの瓶を取り出す際、間違ってコロナワクチン用の瓶を取り出していました。接種後に瓶のラベルを見て誤接種に気付いたといいます。

 2023年11月14日(火)

2023/11/13

🟩ブラジル熱帯林の消失が2割減少 2018年以来1万平方キロ下回る

 ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)は9日、2022年8月から1年間の国内のアマゾン地域熱帯林消失面積が推定約9000平方キロだったと発表しました。前年同期比で消失面積は約22・3%減少。ルラ・ダシルバ政権は「世界の肺」と呼ばれるアマゾンの保護強化を掲げており、消失面積が1万平方キロを下回ったのは2018年以来。

 ブラジルはアマゾン熱帯林の約6割を抱えています。アマゾン保護に後ろ向きだったジャイル・ボルソナロ前大統領が就任した2019年から2022年まで年間1万平方キロを上回る消失が続いていました。

 今年1月に就任したルラ大統領は2030年までにアマゾンの伐採の実質ゼロを公約に掲げ、保護の強化に転じました。2025年の国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)を、アマゾンを抱えるブラジル北部パラ州ベレンで開催することも決まっています。

 2023年11月13日(月)

🟩東京都武蔵村山市の国立感染症研究所、エボラウイルスなど「1類感染症」動物実験を開始へ

 国立感染症研究所は、村山庁舎(東京都武蔵村山市)のBSL4(バイオセーフティーレベル4)施設で、エボラ出血熱など致死率の高い病気の原因ウイルスを動物に感染させる実験を今後進めます。8日、地元住民らに担当者が方針を説明しました。治療薬の効果を確かめることが目的で、国内で感染事例が発生した場合に備え、治療体制の整備を急ぎます。

 対象として扱う病原体は、致死率が高いため感染症法で最も危険度が高い「1類」に指定されているエボラ出血熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱の各ウイルス。エボラ出血熱については、海外で使用されている治療薬があるものの、国内ではまだ承認されていません。

 同庁舎のBSL4施設で11月以降、病原体を培養細胞やマウス、サルに感染させ、治療薬の効果を確認したり、既存の抗ウイルス薬を転用できないか評価したりする実験を行います。消毒液の効果や、検査方法の改良も進めます。

 1類感染症は、感染が疑われる患者が出た場合、指定の医療機関に入院させ、同庁舎などで検体に含まれる病原体を調べることになっています。感染症研究所は2019年、南米出血熱を含む計5種類の病原体を海外の研究機関から初めて輸入し、検査方法の確認を進めてきました。

 感染症研究所の海老原秀喜・ウイルス第一部長は、「人の往来が再び活発になり、感染症が国内に入ってくるリスクが高まっている。患者の命を守るための仕組みを作っていきたい」と話しています。

 2023年11月13日(月)

🟩手術に欠かせない抗菌薬、30年ぶりに国産化 政府の助成で中国依存の脱却図る

 中国に依存している抗菌薬の原薬製造に、国内の製薬企業が約30年ぶりに乗り出します。手術に欠かせない抗菌薬が、経済安全保障推進法における特定重要物資に位置付けられたことを受けた対応です。政府は今夏、2つの企業グループに対して製造設備への助成を決めており、2024年までに製造を開始し、2030年までに自給体制を整えることを目指します。

 抗菌薬は、細菌を死滅させたり増殖を抑制したりする医薬品で、抗生物質とも呼ばれます。手術では、臓器などに細菌が感染し増殖して命にかかわる恐れがあるため、点滴や注射で用いる抗菌薬が欠かせません。

 抗菌薬の原薬は、特定のカビ菌による発酵で作った原材料を化学合成するなどして作ります。国内企業は1990年代まで原薬を製造していたものの、薬価の下落を受けて、製造コストを低く抑えられる中国への技術移転を進めました。現在は、ペニシリン系などの抗菌薬で、原材料のほぼ1000%を中国から輸入しています。

 2019年には中国にある工場の操業停止などで、日本の医療機関が抗菌薬を入手しにくくなり、手術延期など大きな影響が出ました。

 2022年5月に成立した経済安全保障推進法で抗菌薬が特定重要物資に位置付けられたことを受けて、厚生労働省は約550億円の予算を確保。基金を設置して、ペニシリン系などの抗菌薬の原薬製造に必要な培養タンクや精製装置の設置費用などを支援する仕組みを整えました。今年7月には「Meiji Seika ファルマ」(東京都中央区)と、塩野義製薬の子会社シオノギファーマ(大阪府摂津市)を中核とする2つの企業グループを支援先に選びました。

 原薬の確保は海外でも課題となっています。アメリカのジョー・バイデン政権は医薬品の中国依存を問題視し、医療現場で必要性が高い医薬品について、抗菌薬など86品目をリスト化。原薬の国産化を進めるとともに、日本など同盟国から調達する考えを示しています。

 厚労省幹部は、「助かる命を救えなくなる事態を避けなければならない」として、国内で消えかけた原薬の生産力を取り戻したい考えです。

 成川衛・北里大学教授(医薬開発学)は、「原薬確保のため、製造設備への支援は重要だが、企業が利益を確保できなければ、製造は再び止まってしまう。抗菌薬が国産であることを明示する方法や、一定の価格で取引される仕組みなどを検討する必要がある」と指摘しています。

 2023年11月13日(月)

🟩明治「ブルガリアヨーグルト」、11万7618個を自主回収 動物用医薬品成分混入の可能性

 明治は13日、牛の感染症予防などに使用される動物用医薬品成分が微量含まれている可能性があるとして、大阪府の工場で製造した「明治ブルガリアヨーグルト LB81 プレーン」(400グラム)11万7618個を自主回収すると発表しました。食べても健康への影響はないといいます。

 対象は、賞味期限が11月16~18日の商品で、愛知、岐阜、三重、静岡、富山、石川、福井、大阪、京都、滋賀、奈良、和歌山、兵庫の2府11県のスーパーなどに出荷されたもの。健康被害は報告されていません。

 含有の可能性があるのは「スルファモノメトキシン」。明治の商品を巡っては10日にも、宅配専用の瓶容器入りの「明治牛乳」(180ミリ・リットル)からスルファモノメトキシンが検出されたとして、大阪府が同社に約4万5000本の回収を命じていた。

 明治は、ヨーグルトの原乳が対象の牛乳と同じだったため回収が必要と判断しました。容器を回収し、クオカードで代金相当を返します。

 問い合わせは通話料無料の明治商品回収係、電話(0120)232518。

 2023年11月13日(月)

2023/11/12

🟩強度近視から長期的に失明など視覚障害となるかAIで高精度予測 東京医科歯科大が開発

 東京医科歯科大は9日、失明リスクのある「強度近視」の患者の長期的な視力低下や視覚障害のリスクを高い精度で予測する方法を人工知能(AI)を使って開発したと発表しました。失明予防の治療などにつながる可能性があります。論文は同日までに、海外の眼科関連の学術誌に掲載されました。

 強度近親は、近親よりも眼球の長さが伸び、視力低下などを引き起こします。網膜剥離や緑内障などの合併症を発症して、失明につながることもあります。近視の人は世界的に増加しており、海外の研究グループによると、2050年には全世界の人口の約半数が近親となり、強度近視は約1割にまで増加すると推計されています。

 東京医科歯科大の大野京子教授(近視、網膜疾患)らのチームは、同大で診察を受け、初診時は正常な視力だった症例計813例の診察時の情報や眼底写真などのデータをAIに学習させました。

 その結果、86・8%の正答率で、眼鏡などで矯正しても5年後に視力が0・5未満になるリスクを判断できました。また、別の症例を学習させたモデルでは、3年後と5年後の矯正後の視力をそれぞれ68%、66%の精度で予測できたといいます。

 大野教授は、「強度近視の患者は、今は視力がよくてもいつか合併症を発症して失明するのではとの不安を抱えている」と指摘。「障害のリスクや将来的な視力を予測することで、患者の不安軽減にもつながるのではないか」と話しました。

 2023年11月12日(日)

🟩すい臓の自律神経刺激でインスリン増加 マウスの糖尿病改善、東北大

 すい臓につながる神経を刺激すると、血糖値の調節に必要なすい臓の細胞が体内で増えることを、東北大学のチームがマウスを使った実験で突き止めたと発表しました。糖尿病の新たな治療法などの開発につながる成果として、注目されています。

 この研究は東北大学大学院医学系研究科の今井淳太准教授たちのチームが、10日付の国際的な科学雑誌「ネイチャー バイオメディカルエンジニアリング」で発表しました。

 血糖値を下げるインスリンはすい臓にある「β細胞」と呼ばれる細胞から分泌されますが、この細胞が減少すると血糖値の調節ができなくなって、糖尿病を発症することが知られています。

 チームではすい臓にある自律神経の1つ「迷走神経」とβ細胞の関係に注目し、マウスのすい臓でこの神経を刺激すると血液中のインスリンの量が増加し、β細胞の働きがよくなることを突き止めました。

 さらに、糖尿病の状態にしたマウスのすい臓でこの刺激を3週間ほど続けたところ、体内でβ細胞の数が2倍以上に増えていて、血糖値が上がるのを抑えられることも確認できたということです。

 チームでは今回の成果を応用することで今後、糖尿病の新たな治療法や予防法の開発につながることが期待されるとしています。

 2023年11月12日(日)

🟩「エクソソーム」を美容目的などに使う自由診療が拡大 「将来的に規制を」再生医療学会が提言

 細胞が分泌する「エクソソーム」と呼ばれる物質を美容目的などで使う自由診療が拡大しているとして、日本再生医療学会は、将来的に何らかの規制のもとに置くことを求める提言をまとめました。

 この提言は、日本再生医療学会がまとめ、学会の理事長を務める慶応大学の岡野栄之教授が、10日に開かれた厚生労働省の再生医療に関する部会で報告しました。

 エクソソームは、細胞から分泌される組織の再生を促す物質などが含まれた微少な粒子で、病気の治療への応用を目指した研究が進められています。

 提言によりますと、現在、エクソソームをアンチエイジングなどの美容目的で自由診療で投与するクリニックなどが広がっているということです。

 エクソソームは細胞そのものではないため再生医療の安全に関する法律の対象外となっていますが、管理が不十分な場合などには敗血症などの細胞加工物と類似の重篤な事故が起こる可能性があり、海外でもクリニックなどでの安易な使用にはリスクがあるとする指摘が出ているということです。

 このため学会ではエクソソームを治療に応用する際のガイドラインの作成が急務だとし、製造過程などを含めて、将来的には何らかの形で規制のもとに置くことが望ましいと提言しました。

 2023年11月12日(日)

🟩チクングニア熱に初ワクチン、アメリカが承認 蚊媒介の感染症

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は9日、蚊が媒介するウイルス感染症「チクングニア熱」に対する初のワクチンを迅速承認しました。フランスの企業バルネバが開発し、臨床試験では防御効果を期待できる免疫反応が得られました。今後、実際に病気を防げることが示されれば本承認となります。

 チクングニア熱はアメリカのほか、アフリカや東南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域を中心に110カ国以上で発生。蚊に刺されて4~7日で、激しい関節痛や発熱の症状が現れます。死に至ることはまれですが、関節の痛みが月単位、年単位で続くことがあります。

 病名は初確認されたアフリカ・タンザニアの言葉で、痛みによって「かがんで歩く」が由来。特効薬はなく、予防法は虫よけのみでした。

 2023年11月12日(日)

🟩新型コロナの危険度、高齢者らは「高」から「中」に改定 WHO新治療指針

 世界保健機関(WHO)は10日、新型コロナウイルス感染症の治療指針を改定し、重症化して入院する危険度をこれまで「高」としてきた65歳以上の高齢者や、糖尿病やがん患者、腎臓や肝臓の疾患を抱えた人らを、新設した「中」の危険度に分類し直しました。これにより危険度が「高」となるのは、免疫不全の人に限定されることになりました。

 WHOは危険度が「高」と「中」の患者への治療薬として、経口抗ウイルス薬パクスロビド(日本ではパキロビッド)を「最善の選択肢」として強く推奨。パクスロビドが入手できない場合、「高」の患者には経口抗ウイルス薬モルヌピラビル、もしくは抗ウイルス薬のレムデシビルを使うよう勧めています。

 危険度が「中」の患者については、モルヌピラビルとレムデシビルは、得られる効果よりも害を及ぼす可能性が高いとして使わないよう求めました。

 抗寄生虫薬イベルメクチンは、重症患者に対する臨床試験でのみ使用されるべきだとし、軽症患者への投与には「強く反対」しています。

 入院率は危険度「高」では6%、「中」は3%で、これら以外の「低」に該当する人たちは0・5%。WHOは「低」の患者にはいかなる抗ウイルス薬の使用も勧めないとしており、熱や痛みなどの症状は鎮痛薬での対処で十分だとしています。

 2023年11月12日(日)

2023/11/11

🟩宅配専用「明治牛乳」から動物用医薬品の成分を検出、福井県など2府23県で流通 4万4577本を回収

 大手食品メーカー「明治」の大阪府の工場で製造された瓶詰の牛乳から、牛の感染症予防などに使用される医薬品が検出されたとして、大阪府は会社に対して4万4000本余りの回収を命じました。これまでに健康被害の報告はないということです。

 回収を命じられたのは大手食品メーカー「明治」の大阪府貝塚市にある工場で製造された、180ミリリットル入りの瓶詰の牛乳「明治牛乳」。

 大阪府によりますと、11月6日に行った保健所による定期検査で、この牛乳から動物用の医薬品「スルファモノメトキシン」が0・02ppmの濃度で検出されたということです。

 このため大阪府は食品衛生法に基づき、会社に対して賞味期限が11月13日の製品、4万4577本の回収を命じました。

 大阪府によりますと、検出された成分は微量で、健康に影響はないとみられるということです。

 「スルファモノメトキシン」は牛などの感染症予防や治療に使用される抗菌剤で、食品衛生法では、成分の混入を防ぐため搾乳する72時間以内の使用が禁止されています。

 回収対象の製品は主に西日本エリアの個人宅などを中心に、福井県など2府23県で流通したとみられるということですが、これまでに健康被害の報告はないということです。

 大阪府は成分が混入したいきさつや流通先の確認を進めています。

 商品回収は、フリーダイヤルのほか、ホームページの商品回収窓口の登録フォームで受け付けます。登録フォームに必要事項を入力し送信すると、明治指定の配送会社が回収にきます。商品のフタのみを返送するよう求めていて、現金かクオカードで代金相当を返します。未開封の場合は牛乳の廃棄を求めています。

 問い合わせは株式会社明治商品回収係 商品回収窓口 フリーダイヤル 0120-233-112

受付時間 午前9時から午後5時(土日祝祭日除く)(11月11、12 日の午前9時~午後5時は受け付けます)

 2023年11月11日(土)

🟩特許切れ先発医薬品、患者負担額引き上げへ 後発医薬品との差額、保険外に

 厚生労働省は価格の安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)への置き換えをさらに進めるため、特許が切れている先発医薬品について患者の負担額を引き上げる方針で、年末までに具体策をまとめたいとしています。

 厚労省は医療費の増加を抑制し、新薬の開発を後押しする財源を捻出するため、医療機関で処方される薬の患者の負担額について検討を進めてきました。

 こうした中、9日開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で厚労省は、価格の安い後発医薬品への置き換えをさらに進めるため、効能が同じで特許が切れている先発医薬品について、患者の負担額を引き上げる方針を示しました。

 現在の患者の負担額は薬の価格の1割から3割になっていますが、先発医薬品を選んだ場合は、後発医薬品との差額の一部を保険適用対象から外し、自己負担額に上乗せする方向です。

 部会の委員からは、一部の後発医薬品は供給不足が生じていることから、生産体制にも配慮しながら検討を進めるべきだという指摘が出されたものの、おおむね異論はなく、厚労省は来年度の薬価改定も念頭に、年末までに具体策をまとめたいとしています。

 2023年11月11日(土)

🟩介護事業者の経営、特別養護老人ホームなどが赤字に 厚労省調査

 介護事業者の経営状況について厚生労働省が調べたところ、光熱費の高騰でコストがかさんだ影響などで、2022年度は特別養護老人ホームなど、施設で介護サービスを提供する事業者の利益率が統計開始以降初めて赤字になりました。

 調査は厚労省が3年ごとに行っていて、全国約1万6000の事業者から回答を得て施設や在宅などの種類ごとに収入から支出を差し引いた利益率を調べました。

 それによりますと、昨年度のすべての介護サービスの平均の利益率は2・4%の黒字で、前回3年前と同じ数字で横ばいでした。

 サービス別の利益率では、施設で介護サービスを提供する事業者の経営が厳しく、特別養護老人ホームがマイナス1%、介護老人保健施設がマイナス1・1%、地域密着型の特別養護老人ホームもマイナス1・1%で、前回調査からそれぞれ2から3ポイント余り下がり、統計を取り始めた2001年以降、初めて赤字となりました。

 厚労省は、「光熱費や水道代の高騰でコストがかさんだ影響で、介護施設の経営が厳しくなっている」と分析しています。

 介護事業者に支払われる来年度以降の介護報酬については、改定に向けた議論が進められており、厚労省は今回の調査も踏まえて決めることにしています。

 また、人材流出をどう防ぐかが議論の焦点の1つとなっており、国は介護職員に対して来年2月から月額6000円程度の賃上げを行うことを決めています。

 厚労省によると、一般企業など全産業の平均利益率(2022年度)は6・2%で、介護事業者とは大きな開きがある。

 2023年11月11日(土)

🟩新型コロナ、1医療機関当たりの患者数が5類移行後最少 厚労省は冬の拡大を懸念

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、11月5日までの1週間では、1つの医療機関当たりの平均の患者数が2・44人で、前の週の0・85倍となっています。

 厚生労働省は、「医療機関当たりの平均の患者数は、5類へ移行後最も少なくなったが、冬には感染拡大が懸念されるので、今後も対策を続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、10月30日から11月5日までの1週間に、全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から2060人減って、1万2065人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は2・44人で、前の週の0・85倍となりました。前の週から減少が続くのは9週連続となり、新型コロナの法的な取り扱いが5類に移行後、患者数は最少になっています。

 都道府県別では、多い順に北海道が6・.51人、長野県が5・84人、山梨県が4・78人、岐阜県が4・28人、愛知県が3・51人などとなっていて、青森県、山梨県、岐阜県、滋賀県、島根県以外の42の都道府県で前の週より減少しています。少なかったのは福井県1・26人、長崎県1・36人、神奈川県1・41人、大分県1・43人、東京都1・.46人、大阪府1・54人など

 11月5日までの1週間に、全国約500の定点医療機関から報告された、新たに入院した患者の数は1074人で、前の週と比べて4人の減少でした。

 2023年11月11日(土)

🟩インフルエンザ患者数、山梨県が1医療機関当たり全国最多 39・63人で全国平均のほぼ倍

 山梨県が1定点医療機関当たりのインフルエンザ患者数で全国最多となったことを受け、県の感染症対策センター(CDC)は10日、緊急会見を開き、医療提供体制の状況を説明すると同時に、高齢者施設向けに注意喚起を発出したと、公表しました。

 CDCの藤井充総長は、「現時点では県内の医療提供態勢は逼迫(ひっぱく)はしていないが、年末年始の新型コロナの感染拡大の恐れもあり、ワクチン接種の検討を求めたい」と語りました。

 厚生労働省が10日に発表した10月30日から11月5日までの都道府県別インフルエンザ発生状況では、山梨県が前週比34%増の39・63人で首位。全国平均の21・13人のほぼ倍のレベルとなっています。県内では5保健所のうち、3保健所管内で同30人以上の警報レベル入りしているほか、富士吉田市、都留市などの富士・東部保健所でも28・00と警報レベル寸前です。

 CDCによると、過去10年で最も早くインフルエンザの流行入りしており、定点データでは19歳未満の患者が全体の8割を占める状況で、学級・学年閉鎖措置は59に上り、現時点では若年層の感染が中心です」。

 今後、子供から親世代、さらに高齢者への感染拡大の懸念もあるため、県内約2000の介護施設などにインフルエンザの感染拡大防止の注意喚起を伝えたといいます。

 その一方で、CDCでは「抗インフルエンザ薬、ワクチンなどは昨シーズンを上回る供給があり、不足は生じてはいない」と説明しています。

 2023年11月11日(土)

2023/11/10

🟩イーライ・リリーの肥満症治療薬、アメリカFDAが承認 減量効果に期待

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は8日、アメリカのイーライ・リリーの肥満症治療薬「ゼプバウンド」(一般名:チルゼパチド)を新薬として承認しました。この薬はアメリカで2型糖尿病の治療薬として承認を受け、「マンジャロ」の商品名で販売しています。減量への効果から、肥満症向けに適用外で使用する例が増えていました。今回、肥満症薬として正式に承認されたことで、利用がさらに広がりそうです。

 ゼプバウンドはホルモンに働き掛けてインスリンの分泌を促す新しいタイプの肥満症薬です。アメリカで2021年に承認されたデンマークのノボ・ノルディスクの「ウゴービ」と似た仕組みで、血糖値を下げたり、食欲を抑えたりする作用があります。

 ゼプバウンドは週1回の注射で投与します。高血圧、2型糖尿病、高コレステロールなど少なくとも1つの体重関連疾患を有する肥満または過体重の人を適用対象としています。

 イーライ・リリーの発表によると、肥満または過体重の患者2539人(平均体重105キログラム)が参加したゼプバウンドの後期臨床試験(治験)で、食事療法や運動と組み合わせた72週間の治療の結果、最も多い用量(15ミリグラム)を投与したグループでは平均21・8キログラムの減量効果がありました。

 最も少ない用量(5ミリグラム)を投与したグループでも、平均15キログラムの減量効果がありました。偽薬(プラセボ)のグループでは体重の減少は平均で3キログラム程度でした。

 FDAによると、ゼプバウンドの既知の副作用には、吐き気、下痢、嘔吐(おうと)、便秘、腹部の不快感や痛み、注入部位反応、倦怠(けんたい)感、アレルギー反応、げっぷ、脱毛、胃食道逆流症などがあります。

 イーライ・リリーはゼプバウンドの薬価を1回の投与につき1059・87ドル(約16万円)と設定しました。6種類の用量を提供します。

 成人の約70%が肥満か過体重に相当するアメリカでは、減量効果が高い新しいタイプの治療薬の需要が急拡大しています。ウゴービやマンジャロは発売以来、供給が追い付かず、品不足の問題がたびたび報告されてきました。アメリカのモルガン・スタンレー・リサーチは同薬の世界市場が2030年に770億ドルに達すると予想しています。

 イーライ・リリーが11月に発表した2023年1〜9月期決算では、マンジャロの売上高は29億5800万ドルと前年同期の2億300万ドルから急増しました。

 2023年11月10日(金)

🟩気象庁、エルニーニョ現象は来春まで継続 強さ過去5番目、暖冬予想

 気象庁は10日、南米ペルー沖の海面水温が高くなる「エルニーニョ現象」が、少なくとも来春にかけて続く可能性が高いと発表しました。今年春に発生し、海面水温の平年差は10月にプラス2・2度となっており、過去5番目の強さ。エルニーニョ現象の影響によって、暖冬になると予想しています。

 エルニーニョ現象は、世界的な気温上昇や異常気象の原因になるとされます。

 気象庁によると、エルニーニョ現象の発生確率は12月まで100%、来年1、2月は90%、3月は80%。海面水温の平年差は今年5月にプラス1・1度だったのが、8月にプラス2・2度まで上がり10月まで続いています。来年1月ごろまでは同程度の強さを維持するとみています。

 2023年11月10日(金)

🟩「先天梅毒」の子供、過去最多に 10月4日時点で32人

 梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」と診断された子供の数は10月4日の時点で32人と、現在の形で統計を取り始めてから最も多くなっていることが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。

 梅毒は主に性的な接触で広がる細菌性の感染症で、治療せずに放置すると深刻な症状を引き起こすことがあるほか、感染した妊婦から胎児に母子感染すると、流産、死産となったり、子供が梅毒にかかった状態で生まれる先天梅毒となることがあり、視力・聴力の低下、骨格異常などの長期的な合併症を引き起こす恐れがあります。

 国立感染症研究所が発表した今年第3四半期までのまとめによりますと、10月4日までに先天梅毒と診断された子供の数は全国で32人でした。

 これは現在の形で統計を取り始めてから最も多かった2019年1年間での23人をすでに上回り、これまでで最も多くなっています。

 梅毒の感染者数はここ数年増加が続き、今年も10月29日の時点で1万2434人と、これまでで最も多かった昨年の同じ時期を上回るペースとなっていることから、梅毒に詳しい日本大学医学部の川名敬主任教授は、先天梅毒の子供の報告も今後、さらに増える可能性があると指摘しています。

 川名主任教授は、「過去に感染したものの、気付かないまま治療を受けずに妊娠すると、先天梅毒につながるリスクがより高く、そのような人が年々増えていると思われる。妊婦健診で気付いて治療しても先天梅毒になる可能性があり、妊娠前に治療することが大切だ。梅毒を疑う症状やリスクのある性行為があった場合は、男女ともに検査を受けてほしい」と話しています。

 2023年11月10日(金)

🟩インフルエンザ患者数、引き続き増加 1医療機関当たり21・13人

 国立感染症研究所などによりますと、5日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は10万4359人で、1医療機関当たりでは前の週から1・45人増え、21・13人となりました。

 このデータをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は、前の週から5万9000人多い約73万3000人となっており、今年9月4日以降の累積の患者数は約364万8000人と推計されています。

 都道府県別では、山梨県が39・63人、埼玉県が34・84人、愛知県が34・62人、長野県が32・89人、福島県が32・66人、愛媛県が30・62人と、6つの県で「警報レベル」とされる30人を超えたほか、37の都道府県で「注意報レベル」とされる10人を超えました。

 一方で、愛媛県や神奈川県、東京都など、10の都県で前の週より患者の数が減少しています。

 また、年齢別では、患者全体の6割近くが14歳以下の子供だということです。

 分析を担当している国立感染症研究所感染症疫学センターは、「患者の増え方はこれまでのところ、2009年のシーズンの動向に似ているが、流行がどこまで大きくなるかはさまざまなな要因で変化するため、推定することは難しい。引き続き、発生動向について注意深く監視を続けていく」としています。

 2023年11月10日(金)

2023/11/09

🟩エルニーニョ現象は来春まで継続、さらに高温も 世界気象機関が警戒

 世界気象機関(WMO)は8日、南米ペルー沖の海面水温が上がる「エルニーニョ現象」が少なくとも来年4月までは続くとの見通しを公表しました。エルニーニョ現象は世界的な気温上昇を招くことが多く、観測史上最も暑い年になることが確実視されている今年よりも、2024年がさらに高温になる可能性があるとして、WMOは警戒しています。

 WMOは今年7月に、7年ぶりにエルニーニョ現象が発生したと発表。エルニーニョ現象は2~7年おきに発生し、通常は9~12カ月は継続します。過去最も暑い年だった2016年も、エルニーニョ現象の影響を強く受けていました。

 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「エルニーニョは、発生翌年に世界の気温への影響を及ぼすことが通例だ」と指摘。「2023年は観測史上最も暑い年になることが見込まれており、来年はさらに暑くなる可能性がある」と述べ、温室効果ガスの濃度が高止まりしている現状に懸念を示しました。

 2023年11月9日(木)

🟩アメリカの「先天梅毒」の新生児、年3761人 10年で11倍に急増

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は7日、アメリカの先天梅毒の新生児が過去10年で11倍に急増していると警鐘を鳴らしました。同国では性感染症が全般的に増加しています。

 CDCによれば、2022年の先天梅毒の新生児は3761人に上り、2012年の11倍となりました。10例中9例は、母親が妊娠中に適切な時期に検査・治療を受けていれば感染を防げたはずだとCDCは指摘しています。

 母親が梅毒に感染して治療を受けていない場合、胎盤を通じて胎児にも感染するリスクがあります。流産や死産を招くか、新生児に関しては視力・聴力の低下、骨格異常などの長期的な合併症を引き起こす恐れがあります。

 CDCのデブラ・ホウリ最高医学責任者は、「アメリカで先天梅毒の危機が悲惨なペースで広がっている」と指摘。「アメリカでは性感染症が拡大し続けている」「生殖可能年齢の女性とその性的パートナーを含め、全年齢層で梅毒が増加している」と述べました。

 特に感染者が多いのは、人種的マイノリティーの人々で、検査や治療を受ける割合は白人を下回っています。

 CDCは、2021年では黒人、アメリカ先住民、ヒスパニックの新生児が先天梅毒になるリスクは、母親が白人のケースに比べると最大8倍も高かったと指摘し、最も脆弱(ぜいじゃく)なグループに合わせた戦略を求めました。

 CDCで社会的感染症予防の最高責任者を務めるローラ・バックマン氏は、人種的マイノリティーの人々の障壁には「継続的な健康保険がないために医療や妊産婦ケアを受けられず、交通手段も限られている問題や、物質使用障害や不安定な居住状態、貧困、人種差別などが含まれる」と説明しています。

 国立感染症研究所によると、日本での先天梅毒の報告は年20人前後。

 2023年11月9日(木)

🟩東京都のプール熱感染者数が前週に続き警報の基準超える

 東京都内の感染症について、都は9日、10月30日から11月5日までの1週間の動向を公表しました。

 それによりますと、1医療機関当たりの感染者数は、子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱が2・73人で前の週の1・04倍に増え、引き続き警報の基準を超えています。

 一方、インフルエンザは16・99人で、前の週の0・85倍と減少しましたが、引き続き注意報の基準を超えています。

 新型コロナは1・46人で、前の週の1・84人からさらに減少しました。減少は9週連続で、5月に新型コロナが5類に移行して以降、最も低くなりました。

 一方、6日時点の入院患者数は570人で、前の週から約90人増加しました。

 専門家は、「現時点では医療提供体制への大きな負荷はみられない」と分析しています。

 都は、換気や場面に応じたマスクの着用、せっけんでの手洗いなどの感染対策を呼び掛けています。

 2023年11月9日(木)

🟩運動不足で年5万人死亡 中等度の強度で毎週2回以上計150分以上の運動がお勧め

 運動不足になると、糖尿病や高血圧、肥満など生活習慣病になるリスクが上がります。その結果、長期的には心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気になりやすく、死亡リスクも上昇します。最近では、運動不足は心筋梗塞や脳卒中だけでなく、がんや認知症リスクも高めるといわれています。

 日本では運動不足による死亡者数は喫煙、高血圧に次ぎ3位で、年間約5万人が運動不足で亡くなっていると推定されています。

 では、どの程度の運動を何時間、週に何回やれば、生活習慣病やがんにならずにすみ、健康寿命を延ばせるのかといえば、1日数回10分ほど、早歩き程度の運動を続けても健康に効果があります。週末だけでも1日8000歩以上歩くと一定の健康増進効果が期待でき、死亡リスクが下がります。

 ただし、ほとんどの研究で、その効果が出るのに10年ぐらいかかります。三日坊主ではなく、数年以上続けないと、病気のリスクを下げたり寿命を延ばしたりすることはできないでしょう。

 少し前の調査では、日常的に健康維持や増進のために意識的に運動をしている人の割合は、男性も女性も5割ほどいます。しかし、1回30分以上「少し息が弾む」程度の運動(中等度の運動)を週2回以上かつ1年以上続けている運動習慣のある人に限ると、男女ともに3~4人に1人です。

 現在推奨されている運動は、中等度の強度で毎週2回以上、計150分以上行うことです。このような運動をしている人は、長期的に心筋梗塞のリスクが2割減少し、死亡リスクも2割ほど低下します。より運動強度の高い有酸素運動を週に75分行っても同程度の効果があります。

 運動時間を増やすと追加効果が期待でき、さらに生活習慣病や死亡のリスクが下がります。ただ、やりすぎは禁物で、過度に長い時間運動したり、より高負荷の運動を続けたりすると、運動による追加的健康効果がなくなるばかりか、逆に死亡リスクを上げます。

 健康寿命を延ばす運動は、テニスでもジョギングでも、ゴルフや水泳でもよく、要は、少し汗ばむ程度の運動負荷を身体にかけ、脈拍が100~120/分になる有酸素運動であれば効果が期待できます。これを週に2~3時間するのがよいといわれています。

 目標とする運動時間や負荷は、年齢により異なります。30歳代や40歳代の人は脈拍が130/分ほどになる運動を週3時間程度するのがよく、60歳代の人は脈拍が110/分ほどになる運動を週2時間ほどすれば十分でしょう。

 このような運動で健康は増進されます。一方、脳の健康や認知症の予防には、もう少し工夫が必要です。運動する時に、左右の足を非対称に動かしたり、手足を別々に動かしたりするほか、簡単な計算や仲間と楽しくしり取りをすると、同時に脳も使うため、効果があるとされています。

 2023年11月9日(木)

2023/11/08

🟩マイナンバーカード、救急搬送時に医療情報閲覧システム導入へ

  救急搬送を迅速に行うためとして、総務省消防庁は、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを救急隊が現場で読み取り、通院歴などの情報を閲覧できるシステムを導入する方針を固めました。必要な費用を今年度の補正予算案に盛り込むことにしています。

 救急搬送の要請を受けた救急隊は、現場で患者や関係者から通院している医療機関などを聞き取って搬送先を決める参考にしていますが、患者本人が話ができない場合は正確な情報を得られず、現場で迅速な措置ができないケースもあるということです。

 こうしたことから総務省消防庁は、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを患者が持っている場合に、救急隊が専用のタブレットを使って現場でカードを読み取り、医療情報を閲覧できるシステムを導入する方針を固めました。

 導入すれば、氏名や生年月日に加えて、通院歴がある医療機関や処方された薬などの情報が閲覧でき、現場での救命措置や、搬送する医療機関の選定に役立てられるということです。

 カードの読み取りには患者本人の同意が必要ですが、意識がない場合などは、救急隊の判断で閲覧できるようにすることも検討することにしています。

 総務省消防庁は、来年度、全国の約50の消防本部で実証事業を行うことにしており、必要な費用3億7000万円を、今年度の補正予算案に盛り込むことにしています。

 2023年11月8日(水)

🟩今年の10月は「観測史上最も暑い10月」 5カ月連続で記録更新

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)は8日、今年の10月は1940年からの観測史上最も暑い10月だったと発表しました。世界の平均気温は6月から5カ月連続で記録を更新しており、2023年は史上最も暑い年になる見込み。

 C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、「世界の気温の記録が4カ月連続で破られた後の2023年10月は特に異常な気温となった」と述べました。

 「2023年は、ほぼ確実に観測史上最も暑い年になるといえる。現時点で(今年の気温は)産業革命前の平均より1・43度高い。野心的な気候変動対策を求める切迫感がこれまでになく高まった状態で、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦で30日から始まる」と述べました。

 C3Sによると、今年の10月の平均気温は15・3度で、これまで最も高かった2019年を0・4度上回り10月の記録を更新。産業革命前の10月の推定平均気温を1・7度上回りました。北緯60度から南緯60度の海域を対象にした平均海面水温も20・79度で、10月としては最高でした。

 また、C3Sは、1~10月の世界平均気温も1940年からの観測史上、過去最高だったと発表しました。1991~2020年の同期間の平均気温を0・55度上回り、これまで最高だった2016年を超えました。

 正式な観測記録以外では、木の年輪や氷床コアなどのデータから、今年の気温は人類史上類をみない高さで、過去10万年で最も暑かった可能性があるとされます。

 今年はアジアや北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカが熱波に見舞われ、カナダやギリシャ、スペインなどで山火事が相次ぎました。

 2023年11月8日(水)

🟩北海道大、ウイルス増殖抑制の化合物発見 新型コロナ、デング熱の新薬期待

 北海道大学の前仲勝実教授と松田彰名誉教授らは、新型コロナやデング熱などのウイルス増殖を抑える化合物を新たに発見しました。細胞には強い毒性を持たず、デングウイルスなど複数のウイルス種に対して強力な抗ウイルス活性を示す化合物を同定しました。

 ウイルスのリボ核酸(RNA)の合成伸長を阻害し、投与によりウイルス感染マウスの生存率が向上しました。デング熱など有効な治療薬のない新興・再興ウイルス感染症に対する抗ウイルス薬開発が期待されます。

 北大創薬科学研究教育センターの化合物ライブラリーを用いてスクリーニングし、デングウイルス感染モデルで薬効評価した結果、「2―Thiouridine(s2U)」という化合物が強力な抗ウイルス活性を持つことを見いだしました。

 s2Uは、デングウイルスだけでなく、人に重篤な疾患を引き起こすジカ、黄熱、日本脳炎ウイルスやオミクロン型を含む複数の新型コロナウイルスなどプラス鎖RNAをゲノムに持つ多数のウイルスにおいて、その複製を強力に抑制しました。

 デングウイルスなどのRNAウイルスは、自身のゲノム複製時にRNA依存性RNAポリメラーゼという酵素を介して核酸合成します。s2Uはこの酵素に作用し、酵素によるウイルスRNAの合成伸長を妨げることでウイルス増殖を抑えます。

 実際にデングウイルスと新型コロナウイルスの感染マウスでの試験において、投与量に応じて体内のウイルス量が減少し、致死抑制効果を認めました。

 前仲教授は、「将来起きうるパンデミック(世界的大流行)にいち早く対応できる新薬の開発につながる可能性がある」と述べています。

 2023年11月8日(水)

🟩ピーナッツなし版の「柿の種」にピーナッツ混入 亀田製菓が2万8000パック自主回収

 亀田製菓(新潟市江南区)は7日、米菓「135g亀田の柿の種ピーナッツなし6袋詰」約2万8000パックを自主回収すると発表しました。パッケージに記載のないアレルギー物質のピーナッツ(落花生)が混入していました。

 亀田製菓によると、製造工程で本来とは違う作業が行われ、一部の該当商品にピーナッツが混入しました。購入者からの指摘で6日に把握しました。

 同社は「お客様には多大なご迷惑をおかけいたしますこと深くお詫び申し上げます。落花生にアレルギーのある方は、発症する恐れがあるのでお召し上がりにならないようお願いいたします」とし、「特定の日におけるヒューマンエラーによるもので、被害の拡大性はない」と説明しています。

 回収対象は、賞味期限が2024年4月6日の商品。亀田製菓は該当商品を着払いで返品すれば、商品相当額のクオカードを送るとしています。

 問い合わせ先の電話番号は0120-956-382。受付時間は平日の午前9時から午後5時まで。11日、12日の土日は問い合わせを受け付けるといいます。

 2023年11月8日(水)

2023/11/07

🟩糖尿病の治療薬が不足、「ダイエット目的の不適切使用」で必要な患者に届かず

 医療現場で糖尿病の治療薬が不足しているとして、医師や患者らで作る日本糖尿病協会(清野裕理事長)などが6日、安定供給対策を求める要望書を、厚生労働省に提出しました。糖尿病患者以外に、ダイエット目的で不適切に使われているとの指摘もあります。同協会は「命にかかわる糖尿病患者に確実に届ける仕組みを作ってほしい」としています。

 不足しているのは、「GLP―1受容体作動薬」というタイプの注射薬です。体内でインスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きがあるほか、食欲を抑え体重を減らす効果があり、国内外で需要が増加。国内では使えない患者が増加しています。

 要望は、同協会と日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会が行いました。これ以外の治療薬でも供給が不安定だとして対策を求めました。

 患者で同協会業務執行理事の中園徳斗士(のりとし)さんは、「患者の声を聞きながら、対策を進めてほしい」と訴えました。

 日本医師会が10月に公表した医薬品不足に関する緊急調査でも、せき止め薬などと並んで、GLP―1受容体作動薬の不足が目立ちました。その一つである「トルリシティ皮下注0・75mgアテオス」は、不足を訴えた医療機関が4番目に多くなりました。

 日本医師会は、「美容クリニックなどで、やせ薬として不適切に使用されている実態を憂えている」と述べ、「不適切な使用で薬が不足する事態が続いている」と指摘しました。

 その上で、「糖尿病の患者がしっかり使えるよう、不適切な使用は控えてほしいし、ダイエット目的の場合、副作用の被害救済制度の対象外となり、非常に大きな問題だ」としています。

 2023年11月7日(火)

🟩せき止め薬、たん切り薬の増産、24社に要請 武見厚労相「まだ足りない」

 供給不足が続くせき止め薬やたんを切る去痰(きょたん)薬について、厚生労働省は7日、製薬企業24社に増産を要請しました。武見敬三厚労相は製薬企業の幹部と省内で面会し、今冬の感染症の流行に備え、安定供給に向けた「あらゆる手立てを講じていただくことを改めてお願いしたい」と要請しました。

 厚労省は10月にも、不足している薬を製造する主要メーカー8社に対し、増産を要請。ほかの医薬品の製造ラインからの融通や在庫の放出により、9月末時点から1割以上の供給増となる見込みです。しかし、医療現場などから「薬がまだ足りない」との声が寄せられており、今冬に新型コロナや季節性インフルエンザなどの流行が拡大する恐れがあることから、幅広い企業を対象に改めて増産を要請しました。

 企業側からは「医薬品供給の責任を果たすために、要請を踏まえできる限りの増産を検討する」「行政からの支援もお願いしたい」との意見が出たといいます。

 政府が2日に閣議決定した総合経済対策では、さらなる増産に対応する企業への支援や、来年度の薬価改定での対応を検討することが盛り込まれました。

 2023年11月6日(月)

🟩プール熱の1週間の患者数、過去10年間で最多の状態続く

 流行が続く咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の10月29日までの1週間の患者数は、前の週からさらに増え、過去10年間で最も多い状態が続いています。

 専門家は、「流行の地域差が大きく、今後、まだ患者が多くない地域で感染が広がる可能性がある」としています。

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は、子供を中心にのどの炎症や高熱、結膜炎などの症状が出るアデノウイルスによる急性ウイルス性感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで主に感染するほか、ウイルスが付着したタオルや、プールでの接触などを介しても感染します。ドアの取っ手、エレベーターのボタンなど患者が触れたものを介してもうつり、保育園、幼稚園、小学校などでの小児の集団発生も少なくありません。

 国立感染症研究所によりますと、10月29日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は7635人で、前の週から840人増えました。

 1医療機関当たりでは2・43人で、過去10年で最も多かった前の週からさらに増加し、最も多い状態が続いています。

 都道府県別にみますと、福岡県が6・94人、沖縄県が5・81人、佐賀県が5・22人、奈良県が5・09人、福井県が4・8人、大阪府が3・86人、三重県が3・64人、京都府が3・49人、北海道が3・15人、和歌山県が3人と、10の道府県で国の警報レベルの目安となる「3人」を超えています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「これまでにみられたことのない季節外れの流行だ。流行状況を細かくみると地域差がかなりあり、今後、まだ患者が多くない地域で感染が広がる可能性がある」と話しています。

 2023年11月6日(月)

2023/11/06

🟩肥満症薬の販売がアメリカを中心に世界で急増 美容目的の「やせ薬」として使われる例も 

 糖尿病や肥満症の治療に使われる新型薬の売り上げが、アメリカを中心に世界で急増しています。美容目的の「やせ薬」として使われる例もあり、適正な使用が課題となっている中、品不足も起きています。食欲を抑える効果があるとされることから、食品業界などにも波紋が広がっています。

 薬は「GLP―1受容体作動薬」と呼ばれ、体内でインスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きがあります。もともと2型糖尿病の治療薬として開発されました。一昨年、デンマークの製薬大手ノボ・ノルディスクの「ウゴービ」が肥満症薬としてアメリカで承認されたことで、食欲を抑え体重を減らす効果が注目を集めました。

 2日にノボ・ノルディスクが発表した決算で、ウゴービの1~9月の売り上げは日本円換算で約4600億円と、前年同期の5倍に急増。同様の成分の糖尿病治療薬「オゼンピック」は約1・4兆円と、1・6倍に増えました。

 アメリカの製薬大手イーライ・リリーが昨年発売した糖尿病治療薬「マンジャロ」も、1~9月の売り上げが4500億円近くに達しました。マンジャロや開発中の同様の薬への期待から、同社の株価は今年に入って6割ほど上昇。企業価値を示す時価総額は製薬会社として世界一となりました。

 3つとも注射薬で、日本ではウゴービが近く発売される見通しで、ほかの2つはすでに販売されています。

 アメリカを中心に売り上げが伸びているのは、糖尿病や肥満症の患者が多いことが主因です。品不足も起きており、製薬会社側は増産に取り組んでいます。

 2023年11月6日(月)

🟩インフルエンザの患者数、1医療機関当たり19・68人 10週連続増、愛媛県で51・46人

 インフルエンザの流行が続いています。10月29日までの1週間に全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関当たり19・68人で前の週から増加しました。

 国立感染症研究所などによりますと、10月23日から29日までの1週間に、全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、9万7292人で、1医療機関当たりでは前の週から3・3人増え、19・68人となりました。前週比1・20倍。10週連続で増加し、3週連続で自治体の「注意報レベル」の基準となっている「10人」を超えました。

 このデータをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は、前の週から13万人多い約67万4000人となっており、今年9月4日以降の累積の患者数は約291万5000人と推計されています。

 都道府県別では、愛媛県が51・46人、埼玉県が33・08人と、2つの県で「警報レベル」とされる「30人」を超えたほか、山梨県が29・56人、千葉県が29・25人、福島県が28・93人、愛知県が26・35人など、40の都道府県で「注意報レベル」の「10人」を超えました。少なかったのは福井県3・95人など。

 東京都と千葉県、沖縄県を除く、44道府県で前の週より患者の数が増加しています。

 また、年齢別では、患者全体の6割が14歳以下の子供だということです。

 インフルエンザの分析を担当している国立感染症研究所感染症疫学センターでは、「感染者の増加のスピードは最近になって上がっている。過去の流行では2009年のシーズンの動向に似ていて、このシーズンと同じような流行となる場合、ピークの時期が早まる可能性は考えられる。手洗いやマスクの適宜着用などの基本的な感染対策は個人個人が取り組める重要な対策だ」としています。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授はインフルエンザの流行状況について、「全国的に増加傾向がみられ、警報レベルを超えたり、その水準に近付いたりしている地域が増えている。中には愛媛県のように、例年のピークと同じ程度の数の患者が報告された地域もあり、流行が前倒しで起きている状況が明らかになってきた。また、通常のシーズンのように、ここから年明けにかけて、さらに患者が増え、大きな波を作る可能性もあるので、今後の患者の増え方により注意し、その兆候をとらえる必要がある」と話しています。

 今後の注意点については、「感染を広げないためマスクや手指消毒、それに換気の徹底など、これまでの感染対策を継続してもらうこと、風邪のような症状が出たら、インフルエンザやコロナの可能性を疑って、できるだけ外出を控えて、早めに医療機関を受診することが大事だ。また、インフルエンザのワクチンも接種を希望する人は早めに接種してほしい」と話しています。

 2023年11月6日(月)

🟩新型コロナ感染者、8週連続で減少 前週比0・88倍

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、10月29日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が2・86人で、前の週の0・88倍となっています。

 厚生労働省は「8週連続で減少しているものの、引き続き感染対策は徹底してほしい」としています。

 厚労省によりますと、10月29日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から1950人減って、1万4125人となりました。

 また、1つの定点医療機関当たりの平均の患者数は2・86人で、前の週の0・88倍となりました。前の週から減少が続くのは、8週連続となります。

 都道府県別では多い順に、北海道が7・08人、長野県が6・39人、山梨県が4・56人、石川県が4・38人、愛媛県が4・3人、福島県が4・16人、群馬県が4・03人などとなっています。少なかったのは島根県1・.55人、神奈川県1・67人、三重県1・68人、大阪府1・82人、東京都1・84人など。35の都府県で前の週より減少しています。

 10月29日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1074人で、前の週と比べて71人減少し、前週比0・94倍となっています。

 厚生労働省は全国の流行状況について、「8週連続で減少しているが、これまで冬になると、コロナの感染は拡大する傾向にある。引き続き、感染対策は徹底してほしい」としています。

 2023年11月6日(月)

🟩厚労省が骨粗しょう症啓発サイト開設 若者にも「骨活」を呼び掛け 

 骨量が減り軽い転倒などで骨折しやすくなる「骨粗しょう症」の対策に関するインターネット啓発サイト「骨粗しょう症予防 骨活のすすめ」を厚生労働省が6日までに開設しました。高齢者だけでなく若い世代も症状が出る可能性があるとして、食生活や運動で骨の健康を保つ「骨活」を意識するよう呼び掛けています。

 骨粗しょう症は加齢などに伴い、古い骨を壊す細胞と新しい骨をつくる細胞のバランスが崩れることが主要因で起こります。骨粗鬆症財団によると、患者数は女性1180万人、男性410万人の計1590万人に上ると推計され、増加傾向にあります。女性は閉経後のホルモン減少も影響し、患者数が多いとされます。

 啓発サイトでは、横浜市立大の善方裕美客員准教授が病気の基礎的な内容や、年代ごとの注意点についてクイズを交えながら説明する動画、詳しい解説を用意しています。例えば「10代編」では、骨の土台を作る大切な時期だとして、バランスのよい食事や十分な睡眠が必要だと指摘しています。

 骨粗しょう症では、骨がもろくなり、つぶれたり、割れるように骨折します。気が付かないうちに骨折し、背中が曲がったり、背が縮んだり腰痛になることもあるので注意が必要です。つまずく程度の転倒で骨折することもあります。歩けなくなったり、介護が必要な状態になることもあるので要注意です。

 2023年11月6日(月)

2023/11/05

🟩市販薬の2・3類を統合へ、薬の説明は「努力義務」に 厚労省検討会で合意

 医師の処方箋(せん)なしで薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品(市販薬)の分類について、厚生労働省の有識者検討会は10月30日、現行の第2類と第3類を統合することで合意しました。第3類は販売時に薬の説明が不要でしたが、統合により2類と同じ努力義務が課されます。年内をめどに報告書をまとめ、別の専門家部会の議論をへて、医薬品医療機器法(薬機法)の改正を目指します。

 市販薬は、副作用などのリスクの高い順に第1類から第3類に分けられます。

 一部の胃薬など第1類は薬剤師のみが販売でき、薬の使用方法や注意事項を説明することが義務付けられています。

 第2類、第3類は薬剤師のほか、薬に関する知識があり資格を有する登録販売者も販売できます。その際の説明は、風邪薬や鎮痛薬、胃薬などの第2類では努力義務、ビタミン剤や保湿剤などの第3類は不要となっています。

 しかし、第2類と第3類の販売に薬剤師らがかかわっていないケースがあることや、「現行の分類が複雑すぎる」といった指摘が出ていました。

 リスクに応じ、薬剤師らがかかわり、必要な情報提供をするために、厚労省は現行の第1類を「薬剤師が販売する医薬品」、第2類と第3類を統合して「薬剤師または登録販売者が販売する医薬品」とする案を、検討会で示しました。第3類に新たに努力義務を課す一方、薬剤師らの関与が不要な医薬品は医薬部外品に移します。

 また、販売時に薬剤師らが購入者の状況を確認できるような店内の動線やネット販売のシステムなどの構築も促すほか、購入者が薬について相談しやすい環境の整備も求めます。

 2023年11月5日(日)

🟩花粉症の症状が目にすぐ出る原因に特殊メカニズム 順天堂大が仕組み解明

 粘膜に守られているはずの目に花粉症の症状がすぐに出るのは、花粉の殻に反応して迅速にアレルギー物質を取り込む特殊なメカニズムが原因とみられることを順天堂大学の研究チームがマウスを使った実験で突き止め、花粉症の新たな治療法の開発につながる成果として注目を集めています。

 この研究は順天堂大学の安藤智暁准教授らのチームが国際的な学術誌で発表しました。

花粉症は、花粉の殻の中にあるアレルギーの原因物質が体の中に取り込まれることで起こりますが、粘膜に守られているはずの目の表面から体内に取り込まれるメカニズムは詳しくわかっていませんでした。

 チームでは、花粉を殻と中の原因物質に分けた上で、マウスの目に殻と原因物質の両方を付着させ、反応を顕微鏡で詳しく観察しました。

 その結果、目の表面にある「杯細胞」と呼ばれる細胞が花粉の殻に反応して大量の原因物質を素早く取り込み、免疫細胞に受け渡している様子が観察できたということです。免疫細胞がアレルギーの原因物質に反応すると花粉症の発症につながります。

 一方、アレルギーの原因物質だけを目に付着させても体内にはほぼ取り込まれませんでした。

 これまでは、目の表面にある上皮細胞などが傷付くと、アレルギーの原因物質が内部に侵入しやすくなり、花粉症を発症すると考えられていました。ただ花粉が体に付いてから早くて数分で症状が出る詳しい仕組みが不明でした。今回見付かった新しい仕組みは体の細胞が積極的にアレルギーの原因物質を取り込む点が特徴的で、短時間での発症にかかわっているとみられます。

 目の表面にあって触覚などにかかわる「三叉(さんさ)神経」を花粉の殻が刺激すると、杯細胞がアレルギーの原因物質を取り込みやすくなることもわかりました。

 三叉神経から杯細胞への作用を防ぐ仕組みを開発できれば、花粉症の予防や治療に応用できる可能性があります。

 安藤准教授は、「この仕組みをさらに詳しく調べることで花粉症の新たな治療法の開発につながるはずだ」と話しています。

 2023年11月5日(日)

🟩小児がん全ゲノム解析へ、今月から全国約20病院で 診断や治療法見付け出す

 診断が困難な小児がん患者に最適な治療法を見付けるため、すべての遺伝情報(ゲノム)を網羅的に調べる「全ゲノム解析」を行い、精度の高い診断や有効な治療につなげる東大病院などのチームの研究が、全国約20の医療機関で11月中に始まります。来年3月までに患者100人に協力依頼し、有効性を検証する予定。

 小児がんは年間2000人から2500人が新たに診断されます。希少がんや血液がんが多く、種類が多様なため正確な診断や治療選択が難しいことがあります。

 研究は東大病院のほか、京大病院など小児がんを重点的に診療する病院が参加。病院で採取したがん組織や血液などの検体を国立成育医療研究センターに集め、品質確認した後、民間の検査会社が全ゲノム解析します。

 解析結果を基に国立がん研究センターでデータを分析。小児がんやゲノムの専門家らで構成する会議で診断や有効な治療について協議し、結果を主治医から患者家族に説明するという仕組みです。

 加藤元博東大教授は、「小児がんはゲノム変異が成人よりも少なく、そのぶん診断に直結する」と話しています。

 2023年11月5日(日)

2023/11/04

🟩「病院給食」の価格、引き上げの見通し 物価高騰を受けて約25年ぶり

 入院患者の「病院給食」の価格が、約25年ぶりに引き上げられる見通しになりました。国が定める公定価格を改定し、患者負担を1食あたり30円引き上げる案が出ています。物価高騰などによる医療機関の負担軽減が狙いで、政府は2日に決定した経済対策に改定までの間の支援措置を盛り込みました。

 保険診療で入院する患者に提供される食事代は公定価格で、原則1食640円。うち患者負担は460円で、残りは公的医療保険で賄われます。関係者によると、引き上げについて、来年6月の診療報酬改定に合わせて公定価格を30円値上げし、患者負担に上乗せする案を軸に検討するといいます。

 食事代の価格は1998年に1日あたり1920円(現在は1食あたり640円で計算)と設定。それ以降、据え置かれてきました。医療機関側からは、物価高騰などの影響で必要経費が公定価格を上回り、赤字状態だという声が上がっていました。

 2023年11月4日(土)

🟩提供精子での体外受精を再開 東京都の医院、再発防止徹底

 東京都渋谷区の不妊治療施設「はらメディカルクリニック」で今春、夫の死亡を医師に伏せて第三者の提供精子による体外受精を受けた女性が妊娠した問題を巡り、同クリニックは新規実施を停止していた提供精子による体外受精の再開を2日までに決めました。複数の対策を導入し、再発防止を徹底するとしています。

 今回の問題は6月の女性との妊娠後面談で発覚。治療時に夫が死亡していたため子供と父子関係が成立せず、精子ドナーが父として子供の認知を求められる可能性があることから、ドナーの法的保護が生殖補助医療の法制化の課題として指摘されます。

 2023年11月4日(土)

🟩駅弁で集団食中毒、「吉田屋」の営業禁止処分を解除 29都道府県で554人の患者確認

 全国で500人以上の患者が確認された駅弁による集団食中毒で営業禁止処分となっていた青森県八戸市の駅弁製造会社「吉田屋」の処分が4日、解除されました。吉田屋は6日から51日ぶりに営業を再開するとしています。

 八戸市保健所は4日、食品衛生上の危害を除去するまでの期間を予測することができないとして、9月23日に営業禁止処分としていた吉田屋の処分を解除したと明らかにしました。

 この処分に先立ち、吉田屋は9月17日から営業を自粛していましたが、11月6日から営業を再開すると明らかにしました。営業再開は51日ぶりです。

 八戸市は営業禁止処分を解除するにあたり、吉田屋から10月30日に衛生改善報告書の提出を受け、11月1日に市保健所が立ち入り検査を実施し、改善状況を確認していました。

 この問題では、吉田家が9月15、16日に製造・納品した約2万2000個の駅弁が全国のスーパーなどで販売され、各地で食中毒症状を訴える人が相次ぎました。八戸市保健所は駅弁を原因とする食中毒と断定し、9月23日に同社を営業禁止処分としました。その後の調査で、同社が岩手県の業者に発注した米飯を、指定した温度を超えた状態で受け入れたことで、原因菌が増殖した可能性があると判明していました。

 八戸市に提出した衛生改善報告書では、岩手県の業者に製造委託し食中毒の原因の1つとされた米飯について、従来はなかった受け入れ手順や確認項目を新たに設けました。駅弁販売店への連絡に時間がかかり回収が遅れた問題については、製造前から連絡網を作ることで対処します。作業員の衛生管理も担当者を置いて確実に行うとしました。

 吉田屋が製造した駅弁を巡っては、全国29都道府県で11月3日現在、554人の食中毒患者が確認されています。

 2023年11月4日(土)

2023/11/03

🟩埼玉県、インフルエンザ警報を過去最速で発令 2019年1月以来5シーズンぶり

 埼玉県は1日、インフルエンザの感染者数が増加しているとして「流行警報」を発令しました。県の感染症対策課によりますと、10月23日から29日までの1週間に、県内261の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者は前の週より1218人多い8633人でした。

 1医療機関当たりの患者数は33・08人で、国が定める基準値の30人を超えたため、県は、インフルエンザの「流行警報」を発令しました。警報の発令は2019年1月以来5シーズンぶり。

 インフルエンザは例年12月から2月にかけて流行しますが、今年は9月から急増していて、今回の警報の発令時期は1999年の統計開始以来、最も早くなりました。県感染症対策課によると、統計開始後で最も報告数が多かったのは2019年1月21~27日(84・09人)でした。

 1定点医療機関当たりの報告数では、幸手保健所(56・93人)、南部保健所(50.・0人)、鴻巣保健所(45・32人)の順。

 大野元裕知事は1日の定例会見で、「時として既往症を持つ方にとっては深刻となる」として、日ごろからのマスクの着用や手洗いなど、基本的な感染防止対策の徹底を呼び掛けました。

 2023年11月3日(金)

🟩サイゼリヤ3店舗でサラダに「カエル」混入 運営会社謝罪

 イタリア料理のファミリーレストランを全国で展開する「サイゼリヤ」(埼玉県吉川市)は、神奈川県と東京都内の計3店舗で客に提供したメニューにカエルが混入していたと3日に公表し、謝罪しました。今年、スーパーなどで販売されたサラダ類に「カエル」が混入するケースが相次ぎ話題になりましたが、専門家は「暖かい日が続いているので葉物野菜にくっ付くことは十分あり得る」などとして、落ち着いた行動を呼び掛けています。

 サイゼリヤは3日、ホームページに「お詫びとお知らせ」を発表。それによりますと、10月21日に東京都内の店舗で販売したサラダにカエルが混入していると客から申し出があり、調査した結果、小田原ダイヤ街店(神奈川県・10月18日)、川崎日航ホテル店(神奈川県・10月19日)、阿佐ヶ谷駅南口パール商店街店(東京都・10月21日)の計3店舗で同様の事例が発生していたということです。

 10月21日に阿佐ヶ谷駅南口パール商店街店を利用した女性は、「サラダを食べていたらカエルが飛び出してきて、大変驚いた。胃腸の不調が続き病院も受診した。サイゼリヤ側は食の安全を軽視している」と憤りました。

 保健所による店舗調査を受け、自社でも原因調査を行った結果、店舗で混入したものではなく、自社工場で加工しているレタス原材料への混入の可能性が高いと判断したということです。

 対象工場は神奈川工場で、関東、東北、東海等の740店舗に供給しているということです。

 サイゼリヤは再発防止策として、10月25日から「原料レタスの下処理作業を行う際に、従来の目視点検に加え、展開葉(外側の葉部分)を1枚ずつ剥がして裏表を、確実に点検を実施する」「産地に対しては上記の情報をフィードバックし、展開葉をなるべく剥がしてから出荷する」といった対策を実施しているとしています。

 サラダへのカエル混入は今年5月、長野県内のスーパーでも発生。原材料の野菜に「二ホンアマガエル」が混ざり込んでいたとみられています。

 また同じく5月には丸亀製麺が、「丸亀シェイクうどん」にカエルが混入する事案が発生したと発表。一時、一部メニューの販売を休止するなどしました。

 2023年11月3日(金)

🟩鹿児島県のペッパーランチで食中毒、2日間の営業停止 ハンバーグ食べた6歳男児からO157、他店客にも体調不良者

 鹿児島県は2日、ホットパレット(東京都江東区)が運営する飲食チェーン「ペッパーランチ」のイオンタウン姶良(あいら)店で食中毒があったと断定し、4日まで2日間の営業停止処分としたと発表しました。

 県によると、10月14日に同店でハンバーグを食べた宮崎県在住の6歳男児から腸管出血性大腸菌O157が検出されました。男児は17日におう吐や下痢の症状を訴え、現在も入院しています。

 断定した理由として、(1)男児から検出されたO157の遺伝子型が、山口県、大分市の2店舗で症状を訴えた客計5人と一致(2)共通食が「ペッパーランチ」で提供されたもの-などとしています。店は、31日から営業を自粛しています。

 県内では、鹿児島市の「ペッパーランチ」のオプシアミスミ鹿児島店の客2人にも体調不良者が出ています。市保健所は、O157の感染については「調査中」としています。

 ホットパレットは1日、山口県、大分市の各1店舗の客計6人からO157が検出されたと公表。いずれの店舗も、管轄する保健所から営業停止の行政処分を受けました。

 鹿児島県内では、鹿児島市の「ペッパーランチ」のオプシアミスミ鹿児島店の客2人にも体調不良者が出ています。市保健所は、O157の感染については「調査中」としています。

 2023年11月3日(金)

2023/11/02

🟩中国の海洋プラスチック汚染対策「ブルーサイクル」、国連環境計画の「地球大賞」を受賞

 国際連合総会の補助機関である国連環境計画(UNEP)が10月30日、ケニアのナイロビで発表した環境に関する最高栄誉「2023年地球大賞」では、中国南東部沿岸の浙江省が着手した海洋プラスチック廃棄物管理モデル「ブルーサイクル(藍色循環)」が選出されました。「ブルーサイクル」は、世界2500のプロジェクトの中でこの賞を獲得しました。

  「ブルーサイクル」プロジェクトは2020年に浙江省で始まった持続可能な海洋プラスチック汚染対策モデルで、IoT(モノのインターネット)とブロックチェーン技術を組み合わせることにより、海洋プラスチック廃棄物の収集から保管、輸送、再生、製造までの全プロセスを可視化するクローズドループ管理システムを構築し、海洋プラスチック廃棄物の発生抑制、低炭素リサイクル、高付加価値利用を実現するものです。

  この手法に基づき、浙江省では台州、舟山、寧波などの沿岸都市に海洋廃棄物回収スポット80カ所が設置されました。対象は1万隻以上の漁船や商船で、開始以来1万トン以上の海洋廃棄物が回収され、うち2000トン以上がプラスチック廃棄物でした。

 地球大賞は国連環境計画が2005年から毎年発表している賞で、環境を変革する影響を与えた個人、団体、機関を表彰するものです。今年の地球大賞は「プラスチック汚染に対する持続可能な解決策の発見」をテーマに募集し、2500の個人、団体、機関がノミネートされ、うち5個人、団体、機関が受賞。「ブルーサイクル」は地球大賞の「企業ビジョン部門」を受賞しました。

 国連環境計画のインガー・アンダーセン事務局長は、「私たちの健康と地球環境のために、プラスチック汚染を終わらせなければならない。そのためにはプラスチックの生産量を削減し、プラスチックの使い捨てをやめることを徹底し、繰り返し利用できる仕組みや代替品に切り替えることで、プラスチック汚染による環境や社会への悪影響を回避することが不可欠だ」と語り、今年の受賞者については「革新的な環境ガバナンスが確かに効果的であることを示し、人間とプラスチックとの関係を見直すヒントを与えてくれた」と述べました。

 2023年11月2日(木)

🟩ブタからの心臓移植2例目の患者、6週間で死亡 アメリカ・メリーランド大学

 

 世界で2例目となる、遺伝子を改変して拒絶反応のリスクを抑えたブタの心臓の移植手術を受けたアメリカ人男性が10月30日、術後約6週間で死亡しました。手術を行ったメリーランド大学医学部が10月31日、発表しました。

 死亡したのはローレンス・フォーセットさん(58)。9月20日に移植手術を受けていました。術後の経過は当初、順調で家族と一緒に過ごし、1カ月後には心臓の機能を助けるための投薬を中止していました。

 しかし、最近になって移植した心臓に対して拒絶反応が出ていたということです。

 同大の心臓異種移植プログラム責任者のムハンマド・モヒウディン氏は、「(患者が死亡に至った)要因を徹底分析し、将来の移植の際には克服できるようにしたい」と述べました。

 2022年1月にやはりメリーランド大学で行われた遺伝子を改変したブタの心臓の最初の移植事例でも、当時57歳の男性患者は「体力低下など複合的要因」で2カ月後に死亡しています。 

 アメリカでは現在、10万人以上の患者が臓器提供待ちの状態にあります。ただ、人間の臓器提供は慢性的に不足しているため、動物の臓器移植が問題の解消につながると期待されています。

 2023年11月2日(木)

🟩大塚食品、「クリスタルガイザー」38万本を自主回収 水が漏れやすい状態

 大阪市に本社がある「大塚食品」は1日、輸入・販売しているミネラルウォーターの「クリスタルガイザー」について、ペットボトルの口の部分に不具合が見付かったとして、約38万本を自主回収すると発表しました。

 自主回収の対象となるのは、大塚食品がアメリカから輸入し、販売している「クリスタルガイザー」の、500ミリリットルのペットボトルで、賞味期限が2025年8月となっている製品のうち、印字されている管理番号が「01S2」「02S2」「17S2」「18S2」「21S2」のものです。

 10月23日に行った輸入時の製品検査で不具合が見付かったということです。不具合のあるボトルではキャップが飲み口と密着しておらず、ボトル内の水が漏れやすい状態になっている可能性があるとしています。

 10月上旬以降、関西や東北、東海、四国などに出荷されており、対象は約38万本に上ります。

 これまでのところ、水の品質や健康被害に関する問い合わせはないということですが、大塚食品は「多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを深くおわび申し上げます。今後、いっそう品質管理の徹底に努める所存です」とコメントしています。

 会社は、11月1日からホームページの専用フォームで回収を受け付けるほか、2日から電話窓口も設けるとしています。電話番号は、0120-194-905です。

 2023年11月2日(木)

2023/11/01

🟩塩野義製薬、睡眠障害治療に参入 アメリカのアプニメッドと合弁で経口薬開発

 塩野義製薬は睡眠障害の治療に参入します。1日、睡眠障害の治療薬を開発するアメリカのスタートアップのアプニメッド社とアメリカに合弁会社を設立し、睡眠時無呼吸症候群の治療薬の開発・販売に取り組むことを発表しました。同時に製薬中堅の持田製薬と提携し、不眠症治療の新薬の販売で提携することも発表しました。

 アメリカのマサチューセッツ州に設立した合弁会社には、アプニメッドと50%ずつ出資します。塩野義製薬が持つ豊富な化合物の情報とアプニメッドの睡眠障害薬の開発に関するノウハウを組み合わせ、経口薬を中心に開発や販売を進めます。

 睡眠時無呼吸症候群は、主に肥満や下顎が小さいことにより睡眠中に気道がふさがるなどし、夜間の酸素レベルが低下して睡眠の質が低下します。慢性疾患につながることや労働生産性を損なうことが示唆されています。機械で鼻から強制的に空気を送り込む治療法が中心なものの、患者の負担が大きいため、より利便性の高い治療薬の開発が求められていました。

 持田製薬と販売で協力する不眠症治療薬はすでに欧米で販売されており、日本では持田製薬とそーせいグループの子会社であるイドルシア・ファーマシューティカルズ・ジャパン(東京都港区)が共同開発してきました。既存薬より翌日の眠気や認知機能低下が少ないとされ、10月31日に厚生労働省に製造販売承認を申請しました。日本での承認が得られ次第、販売に取り組みます。

 2023年11月1日(水)

🟩重度訪問介護、22時間余の利用認めるよう命じる初の判決 千葉地裁

 重い障害がある人に自治体が提供する「重度訪問介護」を巡り、難病で寝たきりの千葉県松戸市の男性が、1日当たり24時間の介護サービスを求めた裁判で、千葉地方裁判所は「基本的に24時間に相当する介護支給が認められるべきだ」として、別の医療サービスなどを受けている時間を除く、22時間余りの利用を認めるよう市に命じました。

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)で寝たきりの松戸市に住む男性(62)は、たんの吸引や人工呼吸器の装着などが必要で、費用のほとんどが公費で賄われる「重度訪問介護」のサービスを受けていますが、昨年3月に市が決めた1日当たり18時間余りの利用では不十分だとして、24時間の介護サービスが受けられるよう求めていました。

 10月31日の判決で、千葉地方裁判所の岡山忠広裁判長は「男性の病状は深刻であり、介護がなければ生命を維持するのが困難な状態である。介護を担う妻は子供の育児や家事、仕事を担い負担が集中していて疲れでたんの吸引などができない恐れがある」と指摘しました。

 その上で「市は妻の心身の状況などを十分に考慮すべきで、基本的に1日24時間に相当する介護支給が認められるべきだ」として、別の医療サービスでたんの吸引などを行っている時間を除く、1日22時間余りの利用を認めるよう市に命じる判決を言い渡しました。

 「重度訪問介護」は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの1つです。重度の障害で常に介護を必要とする人に入浴や食事などの介護をするヘルパーを派遣し、その費用のほとんどが公費で賄われます。

 「重度訪問介護」を月に何時間まで利用できるかは市町村が本人や家族、それに医師から話を聞くなどして決めますが、判断基準はそれぞれの自治体が作成していてばらつきがあるのが実情です。

 原告の松戸市に住む男性は、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、ALSの患者です。

6年前から疲れやすくなったり手足が震えたりするようになり、翌年、56歳の時にALSと診断されました。

 徐々に筋肉が衰えて一昨年から寝たきりになり、昨年からは人工呼吸器を常に装着している上、たんの吸引などのため24時間の介護が必要です。

 男性は妻と5歳の息子の3人暮らしで、妻が男性の介護や育児に加えてアルバイトで家計を支えることで生活を続けてきましたが、疲労やストレスから体調を崩しているということです。

 判決を受けて原告側の藤岡毅弁護士は、「重い障害がある人が家族と同居している場合、

1日3時間程度は家族が介護すべきだとして、『重度訪問介護』の時間を差し引くことが全国の多くの自治体でなされている。今回裁判所が男性の病状や家族の状況から基本的に訪問介護が1日24時間相当必要だと判断したことは、日本の社会保障の在り方に影響するほど大きなインパクトがある」と指摘しました。

 その上で「当事者や家族がつらい思いをしているケースは多く、この判決で解決の方向に向かってほしい」と述べました。

 2023年11月1日(水)

🟩平日の寝不足、週末寝だめでは補えず アメリカの研究者、心血管系の数値が悪化

 平日に十分な睡眠を取れなければ、週末に寝だめをすればいいとの考えは、少なくとも心血管系の健康にとっては間違いだとする研究結果を、アメリカのペンシルベニア州立大の研究者が心身医学の専門誌に発表しました。

 心拍数や血圧などの心血管系の健康指標は、睡眠が1日5時間に制限されると1週間で悪化し、週末の睡眠を増やしても正常に戻すには不十分でした。睡眠不足が何日も続くと、回復には週末より長い期間が必要な可能性があるとしています。

 20~35歳の健康な男性15人に入院してもらい、最初の3夜は10時間まで眠れるが次の5夜は睡眠を5時間に制限し、その後2夜、再び10時間までの睡眠を許可しました。この間、安静時心拍数と血圧を2時間ごとに測定して分析しました。

 その結果、入院当初は1分間に69回だった平均心拍数が、日を追うごとに増加。試験終了時には78回まで増えていました。収縮期の血圧も1日当たり約0・5ずつ上昇し、当初の平均116だったのが、終了時には119・5に。寝だめの効果は回復には不十分なことが示されたとしている。

 研究チームは、「今回の研究で、長期的な睡眠障害が心臓血管の健康にダメージをもたらす潜在的なメカニズムが明らかになりました。特に若いうちから十分な睡眠を取れていない人は、年齢を重ねると心臓血管疾患を発症する可能性が高くなります。睡眠が健康を改善する上で焦点となることを、多くの人に知ってほしいと思います」と注意を促しています。

 2023年10月31日(火)

🟩脳死下の臓器提供1000例目、長崎大病院で肝臓移植 

 長崎大学病院(長崎市)は10月30日、国内1000例目の脳死による臓器提供に伴って肝臓の移植手術を28日に同病院で実施したと公表しました。提供を受けたのは原発性硬化性胆管炎の30歳代男性で、術後の経過は良好といいます。

 日本臓器移植ネットワークによると、1000例目は中国・四国地方の病院に脳出血で入院していた60歳代男性。家族が臓器提供に同意し、10月26日午後7時22分に脳死と判定されました。28日午前5時15分に摘出手術を開始。長崎大学病院では午前9時15分に移植手術を始め、午後1時44分に臓器が到着し、午後8時41分に終了しました。

 肝臓以外の移植手術はいずれも長崎県外で行われ、60歳代男性に心臓、40歳代男性に肺、50歳代女性と40歳代男性に腎臓が提供されたといいます。

 同病院でこれまでに、脳死と判定されて臓器提供者(ドナー)となった事例は15件あるといいます。

 2023年11月1日(水)

🟧RSウイルス感染症が「流行入り」 静岡県が注意呼び掛け

 静岡県は26日、直近1週間(15~21日)のデータから「RSウイルス感染症が流行入りしている」と発表しました。定点医療機関となっている小児科1カ所当たりの患者数は1・64人で、県が流行入りの目安としている「1人」を大きく上回りました。前週の0・9人よりも8割増加し、急拡大が懸...