2023/08/31

🟧新型コロナの全国感染状況、前週比1・26倍 増加に転じ5類変更後最多

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、8月20日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が17・84人で、前の週の1・26倍となっています。厚生労働省は「お盆期間や祝日に人に会う機会が増えた影響などもあり、緩やかな増加に転じた。例年、お盆が明けた時期に感染拡大のピークを迎える傾向があり、このまま増加傾向が続くかどうか注視したい」としています。

 厚労省によりますと、8月14日から20日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万9686人増えて8万6756人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は17・84人で、前の週の1・26倍となりました。直近は2週連続で減少していましたが、今回、増加に転じ、感染症法上の位置付けが5類に変更された5月8日以降で最多となりました。

 都道府県別では多い順に、岐阜県が31・03人、岩手県が30・42人、秋田県が28・48人、茨城県が27・42人、石川県が26・69人、青森県が25・93人、愛知県が25・69人、福島県が25.・27人などとなっていて、41の都道府県で前の週より増加しています。前週比が最も高かったのは秋田県の2・42倍。

 少なかったのは沖縄県7・65人、鹿児島県10・89人、東京都10・96人、大阪府11・88人、福井県12・51人、兵庫県12・70人。

 このほか、8月20日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万3135人で、前の週と比べて554人増加し、前週比1・04倍となりました。

 2023年8月31日(木)

🟧RSウイルス感染症のワクチン、日本国内初承認へ 対象は60歳以上

 子供や高齢者が感染すると、重い肺炎になることもある、RSウイルス感染症のワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は28日夜、60歳以上を対象に使用を認めることを了承しました。今後、厚労省の正式な承認を経て、RSウイルス感染症のワクチンの製造・販売が国内で初めてできるようになります。

 28日の専門家部会で了承されたのは、イギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインが開発した、RSウイルス感染症のワクチン「アレックスビー」です。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、風邪のような症状が出る病気で、幼い子供や高齢者が感染すると肺炎などを引き起こし、重症化することがあり、今回のワクチンは、重い症状になるのを防ぐ効果や発症を防ぐ効果が期待されています。

 グラクソ・スミスクラインが昨年10月に厚労省に承認申請を行い、28日夜開かれた厚労省の専門家部会は、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

 グラクソ・スミスクラインの臨床試験によりますと、ワクチンは17カ国の約2万5000人の60歳以上が接種を受けて、有効性が確認できたということです。

 RSウイルス感染症は、ウイルスに感染して発熱やせき、鼻水など風邪のような症状が出る病気。乳幼児を中心に流行し、多くは軽症ですみますが、特に幼い子供が初めて感染した場合などにはせきがひどくなったり、肺炎を引き起こしたりして重症化することがあります。

 また、幼い子供だけでなく、免疫の働きが低下した高齢者が感染した場合も症状が重くなって亡くなるケースもあるほか、重症化したことを切っ掛けに寝たきりになったり、食事を取りづらくなったりすることも少なくないということです。

 グラクソ・スミスクラインなどの研究グループの推計によりますと、日本国内でRSウイルスに感染して入院する60歳以上の人は、1年間に約6万3000人、入院して亡くなる人はおよそ4000人とみられるということです。

 2023年8月31日(木)

🟧長野県が「医療警報」を発出、新型コロナ5類移行後初 お盆明けに感染者急増

 長野県は29日、県内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、入院者数が増加しているとして、県独自の医療アラートである「医療警報」を全域に発出しました。新型コロナの感染症法上の位置付けが5月8日に5類に移行して以降、県内で医療警報が出されるのは初めて。

 県内の定点医療機関に届け出があった直近1週間(14~20日)の感染者数は前の週の約1・5倍で、お盆を境に感染が広がっています。前週比での増加は9週連続。

 入院者数でみると、8月21日に297人(うち中等症が50人)を記録。23日以降は暫定的な数値ながら医療警報発出の目安である300人を超過し続け、27日は341人(同47人)に達しました。感染者の届け出数と入院者数ともに5類移行後最多となっているといいます。

 医療警報は10日間をめどに継続し、その後は専門家会議などを踏まえて解除を判断します。

 医療警報を発出した県は、重症化リスクの高い人の命を守る重要性を強調。手洗いや換気、密を避けることが感染防止には引き続き有効だとして、重症化リスクの高い人には換気の悪い場所や近接した会話を避けること、感染を広げないためのその場に応じたマスク着用や「せきエチケット」の実施、発熱やのどの痛みがある場合は出勤・登校などを控えることを検討するよう求めています。

 2023年8月31日(木)

🟧青森県で新型コロナ感染者が増加 初の注意報で感染対策呼び掛け

 青森県では新型コロナウイルスの感染者が、前の週より300人以上増えました。県は、31日、初めて注意報を出し、感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 県は8月27日までの1週間における感染症の状況を発表し、このうち新型コロナウイルスは県内60の医療機関での感染者数が合わせて1878人で、前の週より322人、割合にして2割余り増えました。

 1医療機関当たりの平均は県全体では31・30人で、保健所ごとにみると五所川原保健所管内で37・86人、上十三保健所管内で36・89人、むつ保健所管内で31・67人、八戸市保健所と三戸地方保健所の管内で31・15人、青森市保健所と東地方保健所の管内で28・17人、弘前保健所管内で26・77人となっています。

 県内では新型コロナの感染者数が増加傾向にあることなどを受けて、県は「注意報」と「警報」を発表する取り組みを始め、31日初めて「注意報」を発表しました。

 「注意報」は前の週の1医療機関当たりの感染者数の平均が30人以上、または県全体の入院患者の1日当たりの平均が400人以上、「警報」は1医療機関当たりの感染者数の平均が40人以上、もしくは県全体の入院患者の1日当たりの平均が600人以上となった時に発表されます。

 青森県は今後、感染拡大のピークを迎える可能性もあるとして、手指の消毒や場面に応じたマスク着用、定期的な換気など感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2023年8月31日(木)

2023/08/30

🟧7月の熱中症での救急搬送、全国で3万6549人 猛暑続き、過去2番目の多さ

 総務省消防庁は28日、熱中症により7月に病院に救急搬送された人は全国で3万6549人だったとの確定値を公表しました。昨年の7月より9340人増え、1・3倍となりました。比較可能な2008年以降で、7月としては、「災害級の暑さ」といわれた2018年の5万4220人に次いで過去2番目の多さでした。

 41都道府県で昨年よりも増加。全国的に気温が高く、北日本や東日本で日照時間が長かった影響とみられます。搬送後に死亡が確認されたのは44人でした。

 3週間以上の入院が必要な重症は805人、短期入院が必要な中等症は1万1553人でした。全体の65・5%に当たる2万3938人は軽症。搬送者の半数超は65歳以上でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が2万671人と半数以上を占めました。18歳以上65歳未満が1万1991人、7歳以上18歳未満が3579人、7歳未満が308人となっています。

 場所別では、住居が1万5492人と最も多く、道路が6288人、屋外の競技場や駐車場が4328人、工場や農地などの仕事場が4208人などとなっています。

 都道府県別では、東京都が3487人と最も多く、埼玉県が2570人、愛知県が2486人、大阪府が2353人などとなっています。

 気象庁によりますと、7月は、太平洋高気圧の張り出しが強まった影響で北日本を中心に南から暖かい空気が流れ込み続け、危険な暑さとなった日が相次ぎました。

 総務省消防庁は、「暦の上では秋になっても、今後もしばらく暑い日が続く見込みだ。エアコンを使ったりこまめに水分をとったりするなど熱中症への対策を続けてほしい」と話しています。

 2023年8月30日(水)

🟧熱中症救急搬送者、全国で7424人 北海道が935人で最多

 危険な暑さが相次いだ27日までの1週間に熱中症で病院に救急搬送された人は全国で7400人余りと、3週連続で前の週を上回り7000人を超えたことが、総務省消防庁のまとめでわかりました。

 総務省消防庁によりますと、8月21日から27日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は全国で合わせて7424人でした。

 前の1週間(7360人)より64人多く、昨年の同じ時期と比べて約2・5倍に上っています。

 このうち死亡した人は7人で、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて2386人、「軽症」が4884人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が4164人と最も多く半数余りを占めたほか、18歳以上65歳未満が2634人、7歳以上18歳未満が599人、0歳から7歳未満が27人でした。

 都道府県別では、北海道が935人と最も多く、昨年の同じ時期の25倍余りに上っています。次いで東京都が410人、大阪府が379人、兵庫県が342人、愛知県が305人などとなっています。北海道内では過去最長の41日連続で「真夏日」が観測されるなど、連日厳しい暑さが続いています。 また、大都市部などに次いで、東北地方や北陸地方でも秋田県で245人、新潟県で239人が救急搬送されています。

 場所別では、住居が3137人と最も多く、次いで道路が1068人、工事現場や工場などの仕事場が1051人などとなっています。

 総務省消防庁は、「例年は8月下旬になると搬送者数が減少するが、今年は増え続けていて高止まりの状態となっている。特に北海道では900人を超えて急増した。こまめな水分補給や『熱中症警戒アラート』が発表された地域では外出を控えるなど、引き続き熱中症への対策を心掛けてほしい」と呼び掛けています。

 2023年8月30日(水)

🟧中国、入国時の新型コロナ検査を撤廃 30日から抗原検査も不要に

 中国政府は28日、海外からの入国者に求めてきた新型コロナウイルスの検査を30日から撤廃すると発表しました。

 現在、中国に入国するには、搭乗前の48時間以内に抗原検査やPCR検査を受けて陰性の結果を提示する必要があります。

 中国外務省の汪文斌報道官は28日の記者会見で、中国に入国する中国人や外国人に対し、これらの新型コロナの検査を30日から撤廃すると発表しました。

 理由は明らかにしていませんが、コロナ禍からの景気回復が遅れるなか、外国との人の往来を少しでも円滑にしたい考えとみられます。

 また、中国政府は8月10日には、日本やアメリカ、韓国など78の国と地域を対象に団体旅行を解禁していて、海外旅行をした中国人がスムーズに帰国できるようにする狙いもありそうです。

 2023年8月30日(水)

2023/08/18

🟧新型コロナ感染の入所者対応でうつ病発症 施設職員に労災認定、兵庫県宝塚市

 新型コロナウイルス感染者への対応が原因でうつ病を発症したとして、介護施設に勤務する60歳代女性が労災認定されました。女性は普段、事務職として働いていたものの、施設内でのクラスター(感染者集団)発生で介護職員が不足し、感染した入所者の介護や遺体の移動を急きょ命じられていました。労働問題に詳しい弁護士らは「コロナ対応のストレスが原因の労災認定は珍しい」としています。

 女性の代理人を務める谷真介弁護士(大阪弁護士会)などによると、女性は兵庫県宝塚市の介護老人保健施設で、入所手続きなどを担当する支援相談員として働いていました。その施設で2021年4月に大規模なクラスターが発生。認知症の人が暮らすエリアの入所者36人が感染し、同エリアで働く職員17人も感染する事態となりました。

 当時は変異型「アルファ型」が猛威を振るう「第4波」のまっただ中。入所者の搬送先は見付からず、働ける職員も足りなくなり、女性は4月のある日、施設の運営法人の理事長から「(認知症入所者のエリアに)行ってくれへんか」と指示され、同エリアで計6日間勤務。入所者への配膳やおむつ交換など介護の仕事をするようになりました。

 施設内で8人が死亡したため、女性は看護師と一緒に遺体を運ぶ作業にも携わりました。遺体は感染防止のため透明のビニール袋に覆われ、作業中は故人の顔を間近で見ざるを得なかったといいます。

 女性は施設に就職する前、介護ヘルパーとして働いたことはあったものの経験は浅く、突然の指示でコロナ感染の最前線に立たされ「孤独でつらさを感じた」といい、遺体との対面時も「動けなくなり、経験したことがないショックを受けた」と振り返ります。防護服の支給は1日1着で、休憩で脱ぎ着する際は感染リスクにさらされました。高齢の母ら同居家族への感染を防ぐため約2週間自宅に帰れず、ホテル暮らしを余儀なくされました。

 5月から事務職に復帰したものの、遺体の光景がフラッシュバックするなどして下旬ごろから食欲不振や不眠といった症状が出て休職。6月に病院を受診し、うつ病と診断されました。女性は現在も休職しています。

 女性の労災申請を受けた西宮労働基準監督署は2023年5月、うつ病の発症は労災に当たると認定しました。当時は高齢者らへのワクチン接種が始まったばかりで、女性は感染の恐怖を感じながら業務に従事していたと指摘。さらに遺体の搬送作業で心理的な負荷が強まったと判断しました。クラスター発生後の時間外労働も月50時間で、前月に比べて2倍に急増したことも考慮しました。

 新型コロナの流行などを受けて、厚生労働省は、精神障害の労災認定基準に「感染症などの病気や事故の危険性が高い業務」も加える見込みです。新認定基準は秋にも運用が始まります。

 女性は代理人を通じて、「(当時は)いつまで頑張ればいいのかわからず、しんどい気持ちが蓄積された。状況がよくなっているのか悪くなっているのか、施設内での情報共有がもっと必要だったと思う」とコメントしました。谷弁護士は、「労基署の判断は実態に沿った妥当なものだ。今後基準が改定されれば、同様のケースは労災認定されやすくなるだろう」と話しています。

 施設の運営法人は「コメントは差し控える」としました。

 新型コロナウイルスに対応する介護職員のメンタルケアに役立ててもらおうと、厚労省は2021年、専用のガイドを策定しました。

 この中で、新型コロナウイルスに対応する介護の現場では、重症化しやすい高齢者に感染させないよう細心の注意を払いながら職員が業務に当たる必要があり、「平時よりも大きな心理的ストレスを抱えている状態にある」と指摘しています。

 そして、今まで以上にメンタルヘルスケアに留意した職場環境を整えることが重要だとして、ガイドでは、メンタルヘルスケアについての教育や研修の実施や、相談しやすい環境づくり、ストレスチェックの実施など、職場で行える対策の実施を呼び掛けています。

 2023年8月18日(金)

🟧研究者1人がチフス菌に感染し腸チフス発症 国立感染症研究所

 国立感染症研究所は、研究者の職員1人がチフス菌に感染し、腸チフスを発症したと発表しました。

 国立感染症研究所によりますと、この職員は業務でチフス菌を扱っていたということで、現在、保健所が感染経路の調査を行っています。

 この職員は8月11日に医療機関を受診して入院し、15日に腸チフスと診断されたということで、現在、発熱や腹痛などを訴えているということです。

 職員が使ったと考えられる実験室やトイレなどはすでに消毒したということで、現時点でほかに体調不良を訴えている人はいないということです。

 国立感染症研究所のホームページによりますと、腸チフスはチフス菌が原因の感染症で、ふん便で汚染された食べ物や水を介して人から人に感染します。

 感染すると7日から14日の潜伏期間をへて発熱や頭痛、食欲不振、全身のけん怠感といった症状が出るほか、重症になると意識障害や難聴が起きることもあります。

 腸チフスの患者は世界では年間2690万人に上ると推定され、特に南アジアや東南アジアでの患者が多く、中南米、アフリカでも見られ、衛生水準の高くない国で流行しているということです。

 国内では近年、腸チフスの感染例は数十例で推移し、その多くが流行している地域への旅行者によるものだということです。

 一方、海外渡航歴のない患者も毎年、確認されており、過去には飲食店での集団感染が起きたこともあります。

 感染症法上は「コレラ」や「細菌性赤痢」と同じ「3類」となっていて、患者、無症状病原体保有者(保菌者)、および死亡者(死亡疑い者を含む)を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所を通じて都道府県知事への届出が義務付けられています。

 2023年8月18日(金)

2023/08/17

🟧26歳男性専攻医の自殺を労災認定 神戸市の病院勤務で3カ月間休日なし

 神戸市東灘区の「甲南医療センター」で勤務していた男性専攻医(旧後期研修医)が昨年5月に自殺し、西宮労働基準監督署(兵庫県)が、長時間労働で精神障害を発症したのが原因だとして、労災認定していたことがわかりまし。男性は医師になってから3年目で、自殺するまで約3カ月間休日がなく、直前の時間外労働は、国の労災認定基準を大幅に超える月207時間に上っていたといいます。

 労災が認められたのは、高島晨伍(しんご)さん(当時26歳)。神戸大卒業後の2020年4月からセンターで研修医として勤務し、2022年4月から消化器内科の専攻医として研修を受けながら診療していました。5月17日の退勤後、神戸市の自宅で亡くなっているのを訪ねた家族が見付け、兵庫県警が自殺と断定しました。

 労災認定は今年6月5日付。認定によると、高島さんの死亡直前1カ月の時間外労働は207時間50分で、3カ月平均でも月185時間を超えていました。いずれも国が定める精神障害の労災認定基準(月160時間以上、3カ月平均100時間以上)を大幅に上回っていました。また、休日も2月を最後に取得していなかったといいます。

 センターは昨年、外部の医師や弁護士で作る第三者委員会を設けて亡くなったいきさつなどを調査し、委員会は今年1月、「長時間労働によってうつ状態になり、自殺したのではないか」とする報告書をまとめました。

 これについて労基署が電子カルテの記録などを調べ、「専攻医になったばかりで先輩医師と同等の業務量を割り当てられ、指示された学会発表の準備も重なり、長時間労働となった」と判断。長時間労働で精神障害を発症したことが自殺の原因と結論付けました。

 センターはマスコミの取材に「病院にいた時間がすべて労働時間ではなく、『自己研さん』の時間も含まれている。学会発表も当院からの指示ではなく、当院が指示した範囲では業務量は適切だった」と長時間労働の指示を否定。一方で、労基署が認定した労働時間に基づき、遺族に未払い残業代130万円余りを支払ったといいます。

 医師の働き方を巡っては、2018年に成立した改正労働基準法に基づき、2024年4月から時間外労働に罰則付き上限が設けられるため、各地の病院で働き方の見直しが進められています。

 センターは救急対応も行う中核病院で、地域の診療所などを支援する「地域医療支援病院」として兵庫県に承認されており、病床数は約460床。

 2023年8月17日(木)

🟧脱水対策の「経口補水液」、表示と飲みすぎに注意を 消費者庁が呼び掛け

 脱水症状の際に失われた水分や塩分を速やかに補う経口補水液を巡り、消費者庁が注意を呼び掛けています。同庁が定める成分基準を満たしていない製品があるほか、日常の水分補給として水やお茶のようにがぶ飲みすると塩分や糖分を取りすぎたりするためです。このため、今年5月から「経口補水液」という表示に許可制を導入し、適切な製品を適切に摂取するよう促しています。

 「飲む点滴」とも呼ばれる経口補水液は、ナトリウムなどのミネラルとブドウ糖を一定の割合で水に配合した飲料。体内での吸収速度を高めるため、体液とほぼ同じ浸透圧に調製されています。市販品のほか、家庭でも水1リットルに砂糖40グラムと塩3グラムを溶かして作ることができます。

 一方で、消費者庁は経口補水液を製品として販売する場合、個別に臨床試験データの提出を受け、ナトリウムやカリウム、ブドウ糖の含有量などが審査に合格したものを「特別用途食品」と認定してきました。ただ、今年8月現在で認定を得ているのは、大塚製薬工場の「オーエスワン(ОS-1)」など3社の製品のみ。清涼飲料水に該当しながら「経口補水液」と表示されている製品と、店舗で並べて販売されるケースもありました。

 このため今年5月、特別用途食品としての表示に許可制を導入し、特別用途食品制度の個別評価型病者用食品としての許可を得ていない製品は「経口補水液」の表示ができないようになりました。事業者は猶予期限の2025年5月末までに表示を変更する必要がありますが、購入者の混同を避けるため、店舗で区別して陳列することも求めました。

 ただ許可を受けた製品であっても、経口補水液はスポーツドリンクより塩分が多く、脱水状態ではない時に大量に飲むと、ナトリウムの過剰摂取を招きかねません。特に高血圧や慢性腎臓病の人は1日の食塩摂取量を6グラム未満とすることが推奨されており、オーエスワン1本(500ミリリットル)中にはその4分の1近い食塩換算で1・46グラム分のナトリウムが含まれています。このため大塚製薬工場は脱水時に医師の指示に従って飲むよう製品に表示しています。

 消費者庁は「がぶ飲みによる健康被害を招いたり、逆に効果がなかったりする恐れがある。表示をよく読んで適切に判断してほしい」としています。

 2023年8月17日(木)

🟧ブタの腎臓を人間に移植、1カ月以上正常に機能 アメリカの研究チーム

 アメリカの研究チームは、脳死状態の男性に対し、遺伝子操作を行ったブタの腎臓の移植を家族の同意を得て行ったところ、1カ月以上、正常に機能し続けていると発表しました。

これはアメリカのニューヨーク大学の医師らでつくる研究チームが16日、明らかにしました。

 研究チームは7月、生命維持装置が装着されている脳死状態の57歳の男性に対し、拒絶反応が起こりにくいよう遺伝子操作を行ったブタの腎臓を家族の同意を得た上で移植しました。

 すると、移植したブタの腎臓は男性の体の中で働き始め、1カ月余りたった今も、拒絶反応が出ることなく、腎臓としての機能を果たしていることが確認できたということです。

 研究チームによりますと、遺伝子操作を行ったブタの腎臓を人間に移植するのは今回が3度目で、正常に機能している期間としては最長です。

 研究チームは移植した腎臓が正常に今後も働き続けるか、確認するとしており、腎臓移植を待ち望む患者が多い中、担当者はこの研究によって多くの命が救われる可能性があるとしています。

 遺伝子操作を行った動物の臓器を人間に移植する技術を巡っては、アメリカのメリーランド大学医療センターで昨年、心臓疾患の男性に対し、ブタの心臓が世界で初めて移植され、約2カ月間生存しました。

 2023年8月17日(木)

🟧機能性表示食品、新たに65件が届け出撤回 撤回は計80件に

 消費者庁は17日、裏付けのない効果をうたっていたとして、事業者が再発防止の措置命令を受けたサプリメントと同様に、ドコサヘキサエン酸(DHA)など3つのうち1つ以上の成分を含んでいたとする食品計88件のうち、65件が新たに「機能性表示食品」としての届け出を撤回すると発表しました。すでに申し出があったものと併せて撤回は計80件となりました。

 消費者庁によると、残りの8件は科学的根拠があると主張しており、消費者庁は「関係法令に基づいて適切に対処していく」としています。また、撤回の申し出をした80件のうち、46件は手続きを終えておらず、現在も機能性表示食品として販売されている可能性があります。消費者庁は、いずれも安全上の問題はないとしています。

 消費者庁は6月、機能性表示食品としていたサプリが優良誤認表示に当たるとして、福岡市の会社に措置命令を出しました。このサプリと同じ科学的根拠に基づいて機能性表示食品との届け出をしていた事業者に対し、裏付けを確認し回答するよう求めていました。

 2023年8月17日(木)

2023/08/16

🟧レナサイエンス、新薬候補の皮膚がん治験で有効性 オプジーボを併用

 東北大学発バイオ企業のレナサイエンスは16日、開発中の新薬候補とがん免疫薬「オプジーボ」を併用した臨床試験(治験)の結果を発表しました。悪性度の高い皮膚がんの治療で既存の治療を上回る有効性が示されたといいます。今後、規制当局と相談し、次の治験などについて検討します。

 レナサイエンスが開発中の新薬は、炎症などに関係するたんぱく質「PAIー1(パイワン)」という分子を阻害する仕組みで、がんや呼吸器疾患など幅広い病気への治療効果が期待されています。京都大学や第一三共と創薬に向けた共同研究契約を締結しています。

 今回、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)に対する医師主導の第2段階の治験で、事前に設定した有効性の評価項目を達成しました。がん免疫薬の有効性を高める効果が期待できるといいます。

 治験は日本医療研究開発機構の支援で、2021年4月から東北大学や筑波大学、東京都立駒込病院など全国6病院で実施されました。

 レナサイエンスの新薬候補を使った治験では、皮膚がんのほか、大腸がんや肺がん、血液がんでも治験が進んでいます。

 2023年8月16日(水)

🟧埼玉県の新型コロナ感染者16・36人で11週連続で増加 千葉県は17・63人で2週連続減

 埼玉県内の新型コロナウイルスの新たな感染者の数は、1医療機関当たり16・36人と11週連続で増加しており、県は「体調に不安がある時は、高齢者など重症化しやすい人と会うことは控えてほしい」と呼び掛けています。

 埼玉県が16日に発表した新型コロナの感染状況によりますと、8月7日から13日までの1週間に定点把握の対象となっている261の医療機関のうち、報告があった212の医療機関の新たな感染者数は3468人でした。

 1医療機関当たりで16・36人となり、前の週と比べて、約1割増えて11週連続で増加しています。

 年代別では、50歳代が506人と最も多く、次いで10歳未満が468人、10歳代が458人、40歳代が439人、20歳代が437人などとなっています。

 埼玉県は「夏休みやお盆の時期は、普段会わない人との接触も多く感染リスクが高くなる。体調に不安がある時は、重症化しやすい高齢者などと会うことは控えてほしい。増加傾向が続きそうなので、引き続き注視していく」と話しています。

 一方、千葉県は16日、県内173の定点医療機関から1週間(8月7日~13日)に報告された新型コロナウイルスの感染者数が1医療機関当たり17・63人で、前週の約0・98倍(0・28人減)になったと発表しました。前週を下回るのは2週連続。総数は3050人でした。

 16保健所別では、松戸など7保健所で平均報告数が増え、9保健所で減少しました。

 前週の県全体の平均報告数について、県は17・92人から17・91人に訂正しました。

 県の週報によると、保健所別では松戸が最多の24・29人、次いで長生が23・71人、印旛が23・12人。

 2023年8月16日(水)

🟧7月の世界の平均気温は観測史上最高 NASA発表

 アメリカ航空宇宙局(NASA)は、7月の世界の平均気温が1880年以降で最も高くなったと発表しました。

 NASAが14日に明らかにしたところによりますと、7月の1カ月間の世界の平均気温は、データがある1880年以降で最も高くなったということです。

 基準としている1951年から1980年までの7月の平均気温と比べて、世界全体では1・18度上回り、特に気温の上昇幅が大きかった北アメリカや南アメリカ、アフリカ北部、それに南極の一部の地域では、約4度上回ったとしています。

 この記録的な暑さについて、NASAは、今年5月ごろからの海水温の上昇が原因だと分析しており、さらに今後、来年2月から4月にかけて、大きな影響が現れると予測しています。

 7月は、アジアやアメリカ、それにヨーロッパなど世界各地が熱波の影響を受けたほか、カナダやギリシャの大規模な山火事も、このところの暑さの影響である可能性が指摘されています。

 NASAは「科学的にみても、この気温上昇が正常でないことは明らかだ」とした上で、「温暖化は人類が排出する温室効果ガスが主な原因で起きている。温暖化が進むと、人々や生態系への影響がさらに深刻になる」として、警鐘を鳴らしています。

 2023年8月16日(水)

🟧紀文食品、ちくわ製品自主回収 誤って小麦混入、13府県で販売

 紀文食品(東京都中央区)は15日までに、出荷したちくわ製品の一部に本来含まれていない小麦が混入したとして、自主回収すると発表しました。13府県で販売しましたが、14日時点で健康被害の報告はないといいます。小麦アレルギーがある消費者に食べないよう呼び掛けています。

 対象は静岡工場で製造した「鯛入り紀文ちくわ5本」のうち、賞味期限が8月22日のロット記号「A21」の製品。神奈川、静岡、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、富山、石川、福井、滋賀、京都、大阪の各府県で販売しました。

 着払いで回収し、購入代金を返します。問い合わせは平日午前9時~午後5時に同社お客様相談室(電話0120・012・778)へ。19、20日は問い合わせを受け付けます。

 2023年8月16日(水)

2023/08/15

🟧アメリカで新型コロナ派生型「EG・5」最多に 重症化率上昇を証明する要素はなし

 アメリカやヨーロッパ、アジアで新型コロナウイルスの感染者や入院患者が増加してきています。公衆衛生当局が指摘するのは、2021年11月に初めて登場したオミクロン型の新たな派生型「EG・5」(通称エリス)の存在です。

 世界保健機関(WHO)は、EG・5を「注目すべき変異株(VOI)」に指定しました。感染力や重症化率が他の変異型より高い可能性があるため、警戒が必要なことを意味しています。

 ただ、WHOは現段階では公衆衛生上の脅威がより大きいとは見なしておらず、EG・5と重症化率上昇の間に、直接の因果関係を証明する要素はないとしています。

 WHOによると、EG・5は8月8日時点では50カ国以上で確認されていました。アメリカ国内の派生型としては最も感染者が多く、急速に感染が広がっています。アメリカ疾病対策センター(CDC)の推計に基づく現在の新型コロナウイルス感染者に占めるEG・5感染者の割合は約17%。

 CDCのデータを見ると、新型コロナウイルス関連の入院患者は、直近の底だった6月に比べて40%余り増えています。オミクロン型の流行がピークを迎えた昨年1月の入院患者よりは、なお90%以上少なくなっています。

 アメリカ全土の下水から検出された新型コロナウイルスの量や、治療薬「パクスロビド」の週間処方件数は、いずれも水準自体がまだ低いものの、過去1カ月で大幅に増加しました。

 ファイザーとビオンテック、モデルナ、ノババックス各社は、「XBB・1・5」を含む派生型を対象に改良したワクチンを製造しています。

 EG・5はXBB・1・5と似ているものの、このワクチンが標的とするスパイクタンパク質に1カ所の変異がみられます。

 XBB・1・5は昨年終盤に出現し、CDCの推計では、8月5日時点でなお新型コロナウイルス感染者の10%以上を占めています。CDCのコーエン所長は最近のインタビューで、アメリカで9月第3週か第4週までには新しいワクチンが幅広く利用されるようになるとの見通しを示しました。

 コーエン所長は、EG・5向けの特別な対策は示していません。ただ「ウイルスは変異しているが引き続きワクチンや治療薬に反応し、検査で抽出される。従って我々が持つあらゆる手段は依然として変異にも有効に作用する」と述べました。

 2023年8月15日(火)

🟧新型コロナ感染者、前週比0・99倍 5類移行後初の減少も、入院者数は増加

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、8月6日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が15・81人で、前の週に比べわずかに減少したものの、ほぼ横ばいの状態となっています。また、23の都道県では前の週より増加しています。

 厚労省によりますと、7月31日から8月6日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から565人減って、7万7937人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は15・81人で前の週の0・99倍となり、5月に感染症法上の分類を5類に移行してから初めて減少しました。10人を超えるのは4週連続。

 都道府県別では、多い順に佐賀県が34・69人、長崎県が28・46人、宮崎県が25・84人、大分県が24・86人、石川県が24・1人、熊本県が22・41人、鳥取県が21・97人、山口県が21・18人、福岡県が21・0人、鹿児島県が20・76人などとなっていて、23の都道県で前の週より増加しています。少ないのは秋田県8・08人、群馬県9・95人、北海道10・16人など。

 このほか、8月6日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万1801人で、前の週と比べて167人の増加となりました。

 厚労省は全国の流行状況について、「感染状況はほぼ横ばいの傾向が続いており、入院外来もひっ迫していない状態だが、例年、お盆明けは感染拡大のピークとなるので、高齢者と一緒に過ごす際には、体調に留意し、マスクを着用するなど引き続き感染対策を行ってほしい」としています。

 新型コロナの現在の感染状況について、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、「1週間前に比べてやや減少しているが、夏休み期間で10歳代の学校での感染が減ったことが要因として考えられる。一方で、60歳代以上の高齢者は引き続き増加が続いていて、横ばいの状況とみていいと思う」と話しています。

 今後の見通しについては、お盆で人の移動が活発になっていることや、台風の接近で外出を控えて家で家族などと過ごす人が増えることで、人と人との接触が増え、感染が広がりやすい状況になっているとして、「今月末に向けて再び増加に転じる可能性が高い」と指摘しました。

 その上で「新型コロナを疑う症状がある場合は、食事会や行事への参加を控えるなどの対応を考えてもらいたい。お盆休みが明けて仕事を再開する時に体調が悪い場合は、検査を受けたり、無理せずに休んだりすることが大事だ」と話していました。

 また現在、オミクロン型のうち、EG・5という変異ウイルスが増加傾向にあることについて、「EG・5は従来のオミクロン型よりやや感染力が強いのではないかと懸念されていて、世界的にも感染が拡大している。世界保健機関(WHO)は病原性は高くないのではないかとしているが、感染力がどの程度なのか注視していく必要がある」と述べました。

 2023年8月15日(火)

2023/08/14

🟧大学発の医療系スタートアップに文科省が年最大5億円支援 東大・京大などから公募

 文部科学省は、来年度から大学発の医療系スタートアップ(新興企業)の支援に乗り出します。基礎研究の費用を補助し、人材育成もサポートします。有望な研究の実用化を後押しし、革新的な医薬品や医療機器の開発に向けた環境を整えます。

 支援は、スタートアップを設立する研究者が所属する大学や研究機関を介して行います。東京大や京都大、国立がん研究センターなど国内の11大学・研究機関から公募で4、5カ所を選び、それぞれに研究費補助金などとして4億~5億円を充てます。

 こうした財政支援に加え、研究者らに対し、薬事や治験、知的財産を巡る規制に詳しいプロ人材も紹介します。スタートアップにはこれらの専門知識にたけた人材が不足していることが多いとされ、人材育成につなげます。

 文科省は関連経費として、20億円超を来年度予算案の概算要求に盛り込む方向です。2025年度以降の支援を継続することも検討しています。

 日本の大学発スタートアップの数は近年、増加傾向にあります。経済産業省の2022年度調査によると3782社あり、2021年度調査の3305社から477社増えた。業種別(複数回答)では、バイオ・ヘルスケア・医療機器が1126社で、最も多かったIT(1146社)に次ぐ数でした。ただ、文科省によると、設立件数で、アメリカ、イギリス、ドイツと比べて大きく劣っているといいます。

 医療系スタートアップへの支援強化は、新型コロナウイルスへの対応が後手に回った反省が背景にあります。日本は海外と比べ、ワクチンや治療薬の開発が遅れました。急速に進化するAI(人工知能)を活用したリモート診断や再生医療、バイオ医薬品の開発など、次世代医療は世界的に注目を集めています。文科省は日本の医療系スタートアップが抱える課題の解決を後押しし、国際競争力を高めたい考えです。

 2023年8月14日(月)

🟧アメリカでマラリア国内感染者、20年ぶり発生 フロリダ州とテキサス州で7人、海外への渡航歴なし

 アメリカのフロリダ州とテキサス州で今年、海外への渡航歴がないのにマラリアに感染した例が相次いで報告され、人々の間に不安が広がっています。アメリカ疾病対策センター(CDC)によれば、7月7日までに、フロリダ州サラソタ郡で6人、テキサス州キャメロン郡で1人が感染しました。アメリカでは、2003年にフロリダ州パームビーチ郡で8人の感染者が出て以来、国内で感染した例は報告されていませんでした。

 アメリカでは毎年約2000人のマラリア感染者が出ていると推定されているものの、そのほぼ全員が、サハラ以南のアフリカまたは南アジアからの入国者です。しかし、マラリアを媒介するハマダラカはアメリカにも存在し、マラリア原虫を媒介する可能性があります。

 「かつてアメリカには、マラリアや黄熱病など、蚊が媒介する感染症がたくさん発生していました」と話すのは、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で感染症、パンデミック、バイオセキュリティーを研究するアメシュ・アダルジャ氏。「こうした感染症がアメリカで発生するのを防ぐ何らかの障壁があるわけではありません。水たまりをなくすなど、蚊の発生を防ぐための非常に効果的な対策を行ったことが功を奏し、感染症が抑えられたのです」。

 そのため、アメリカで20年ぶりに国内感染者が出たことに関して、感染症の専門家はさほど驚いていません。テキサス州ヒューストンにあるベイラー医科大学熱帯医学部長のピーター・ホテズ氏は、「予測していましたし、予測可能でした」と話しています。

 「アメリカ南部だけではありません。世界のほかのホットスポットでも感染者数は増えています。貧困、都市化、人の移動、そして気候変動など4つか5つの要因がすべて重なったためです。その結果、マラリアだけでなく、デング熱、ジカ熱、チクングニア熱、ウエストナイル熱、シャーガス病、リケッチア症、寄生虫感染症も増加しています」。

 マラリアは、ハマダラカ属の蚊が媒介するマラリア原虫によって引き起こされる感染症。症状は、発熱のほか、震えを伴う悪寒、頭痛、筋肉痛、倦怠(けんたい)感、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢など、インフルエンザの症状によく似ています。赤血球の数が減少して貧血を起こしたり、肌や目が黄色くなる黄疸(おうだん)が見られることもあります。症状は通常、感染してから7〜10日後に現れるものの、1年ほどたってから発症する場合もあります。

 世界保健機関(WHO)の推定では、2021年には世界で2億4700万人がマラリアに感染しました。人間に感染するマラリアには5種類あり、大半のケースは、熱帯熱マラリア原虫と三日熱マラリア原虫のどちらかに感染していた。そのうち、熱帯熱マラリア原虫のほうは悪性度が非常に高く、2021年のマラリアによる世界の死者数61万9000人の大多数を占めていました。また、死亡者の大半(96%)がアフリカに集中し、その8割は5歳未満の子供でした。

 最近のアメリカでの国内感染は、いずれも三日熱マラリア原虫によるもの。こちらはアフリカ以外の世界各地でみられ、深刻な病気ではあるものの、熱帯熱マラリアほどではなく、致死率は低くなっています。

 今年発生したアメリカ国内感染者の中で最近の海外渡航歴がある人はいないものの、同じ地域の別の誰かがマラリアの流行地から最近入国してきた可能性はあると、アダルジャ氏はいいます。最も考えられるシナリオは、国外でマラリアに感染した誰かがその地域にやってきて蚊に刺され、その蚊が原虫を取り込み、近くにいる別の人を刺して感染させてしまったというケースとしています。

 2023年8月14日(月)

🟧バングラデシュでデング熱が猛威を振るう 7月以降の死者350人以上に

 バングラデシュでは、蚊が媒介するデング熱の感染が猛威を振るい、7月以降、350人以上が死亡しており、現地の日本大使館は感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 バングラデシュでは毎年、デング熱が流行していますが、今年は例年より早く5月ごろからデング熱の感染が拡大しています。

 地元の当局などによりますと、7月には、4万3854人が感染し、204人の死亡が報告されており、前の年の7月(感染者数1571人、死者9人)と比べて感染者数は28倍、死者は23倍となっています。また、前の年の感染ピークだった9月(2万1932人)のほぼ2倍の感染者数となっています。

 8月に入ってデング熱の感染はさらに猛威を振るっており、感染者数は13日の時点で3万3500人余り、死者は147人に上っているということです。

 現地からの映像によりますと、首都ダッカの病院では感染した患者でベッドが満床となっていて、子供たちが床に寝て治療を受けている様子などが確認できます。

 例年は、9月にかけて感染がピークを迎えることから、現地の当局は、8月は記録的に感染者数が増える恐れがあるとして警戒しています。

 デング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカと呼ばれる蚊が媒介する感染症で、高熱や激しい頭痛、それに筋肉痛や関節痛などの症状が出ます。

 在留邦人の中でもデング熱感染が報告されており、現地の日本大使館は滞在者には長袖や長ズボンを着用して肌の露出を控えることに加え、虫除けスプレーを使用して蚊に刺されないようにするなど感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2023年8月14日(月)

2023/08/13

🟧兵庫県宝塚市立病院で2件の医療事故発表 患者の手術部位誤り、痛みやしびれが残った状態

 兵庫県の宝塚市立病院は10日、腰椎椎間板ヘルニアの40歳代女性患者とリウマチの60歳代女性患者の手術で、それぞれ手術部位を誤認する医療事故があったと発表しました。患者はいずれも市内在住で、ヘルニア患者は右太もも後ろ側の痛みやしびれ、リウマチ患者は左手親指の痛みなどが残ったままの状態といいます。

 同病院によると、ヘルニアの女性は昨年5月、腰の痛みなどを訴えて整形外科で手術を受けました。その際、50歳代の男性医師は手術が必要な腰椎よりも3、4センチ上にある腰椎の突起部を切除。部位の目印となる長さ約2センチの金属針を突起部に刺していたものの、医師がよく確認していなかったとみられます。

 手術後、女性の痛みやしびれが悪化。今年4月、別の民間病院に相談すると、違う部位が切除されたことを指摘され、市立病院で再受診し、医療ミスが発覚しました。健康面に影響はないといいます。

 リウマチ患者の女性は今年4月、親指付け根の関節変性疾患「母指CM関節症」で左手親指の痛みを訴え、リウマチ科で手術。担当した40歳代の男性医師は親指付け根の大菱形骨(だいりょうけいこつ)ではなく、隣接する舟状骨(しゅうじょうこつ)を誤って摘出しました。リウマチによって骨が変形するなどしていたため、医師が正確な部位を見誤ったといいます。

 手術後の放射線撮影でミスが判明。本来必要な骨を摘出したため、市立病院は患者の親指付け根周辺の骨を補強する手術などを検討しています。

 市立病院は「患者と家族に大変な苦痛をかけ、心よりおわびする。放射線撮影で何度も手術部位を確認するなど医療事故の再発防止策の徹底に努めていく」としています。

 2023年8月13日(日)

🟧市民病院で新型コロナ感染の看護師が勤務 人手不足理由、香川県三豊市

 香川県三豊市の市民病院で、新型コロナウイルスに感染した看護師が勤務していたことがわかりました。

 病院の管理職は、報告を受けていたにもかかわらず人手不足を理由に勤務を認めていたということです。

 三豊市立みとよ市民病院によりますと、8月5日、40歳代の女性の看護師が出勤前の検査で新型コロナの感染が確認されました。

 看護師は無症状だったということですが、看護部長は勤務させる判断をしたほか、報告を受けた事務長など管理職も勤務を認めたということです。

 看護師は、午後4時から翌日の深夜0時45分まで予定通り勤務し、一般の患者と分けられた場所で、新型コロナに感染した患者の対応に当たったということで、他の看護師らとの接触はなかったといいます。

 この病院では7月末からこれまでに、患者と職員合わせて16人の感染が確認されていて、病院は管理職などが勤務を認めた理由として、人手不足で看護師と交代する人がいなかったためだとしています。院内のマニュアルでは、自宅待機(5日間)となっていました。

 みとよ市民病院は「医療機関としてあってはならないことで、管理責任について厳正に対処した上で、市民への説明と信頼回復に努めていきます」としています。

 2023年8月13日(日)

🟧鳥取県倉吉市の果樹園で熱中症疑いの女性死亡 熱中症警戒アラート発令下

 鳥取県倉吉市の果樹園で12日、90歳の女性が熱中症とみられる症状で死亡しました。鳥取県内では7月26日にも畑にいた高齢者が熱中症の疑いで死亡しており、鳥取県は暑い時間帯での屋外の作業を避けるよう注意を呼び掛けています。

 12日午後1時半ごろ、倉吉市の果樹園で90歳の女性が倒れているのを家族が見付け消防に通報しました。

 女性はその場で死亡が確認され、鳥取県は13日、女性が死亡したのは熱中症が原因とみられると発表しました。

 12日の鳥取県には熱中症警戒アラートが出されていて、気象台によりますと、倉吉市の最高気温は31・4度でしたが、1日の平均湿度は82%と8月で最も高くなっていたということです。

 鳥取県内では7月26日にも境港市の畑にいた91歳の女性が熱中症の疑いで死亡していて、県は暑い時間帯の屋外での作業を避けたり、家族や地域の人が、屋外で1人で作業をしている人の様子を確認するなど熱中症に十分注意するよう呼び掛けています。

 2023年8月13日(日)

2023/08/12

🟧ブラジル北部のアマゾンで「水俣病」懸念 食用魚から基準超の水銀検出、健康被害も確認

 ブラジル北部のアマゾン地域で取れた食用魚の2割超から安全基準を超える濃度の水銀が検出されたことが、11日までにブラジルの研究機関の調査で判明しました。金の違法採掘で使用される水銀の排出が主な原因。障害がある新生児が増えるなど深刻な健康被害が確認されている地域もあり、専門家は「『水俣病』が強く疑われる」と懸念しています。

 水銀と水銀化合物による環境汚染や健康被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」の採択から10月で10年。ブラジルも締約国ですが、世界最大の熱帯雨林があるアマゾンの経済開発に熱心だったジャイール・ボルソナロ前大統領が2019年に就任して以降、条約の履行に向けた動きは停滞しています。

 ブラジルの研究機関による調査は2021年3月~2022年9月、北部の6州17自治体の市場などで流通する魚を対象に行われ、結果は今年5月に公表されました。ロライマ州では40%、アクレ州では35・9%の食用魚で世界保健機関(WHO)などが定める魚の身1グラムにつき0・5ミクログラムという許容摂取基準量を上回る水銀を検出、全体では21・3%でした。

 2023年8月12日(土)

🟧日本人の運動習慣と体重、コロナ禍を経て二極化 高齢女性と中年男性は要注意

 新型コロナウイルス禍の第3~5波に見舞われた2020年10月からの1年間で、日本人の運動習慣や体重が二極化した可能性があるとの調査結果を、東京慈恵会医科大学と経済産業研究所がまとめました。もともと運動習慣があった人は運動する日数が増えた一方で、運動習慣が減った人も増加。体格指数(BMI)が25以上の「過体重」の人の割合は男女とも増えていました。

 調査は2020年10月から2021年10月の間に5回実施。1週間に運動をする日数と体重の変化について、年齢・性別・居住地の分布が全日本人の分布と合致するように選んだ全国の1万6642人(男性8022人、女性8620人)から回答を得ました。

 調査によると、1週間の運動日数の平均値は2020年10月に男性2・17日、女性1・99日でしたが、1年後には2・25日、2・02日に増加。しかし、値のばらつきを示す標準偏差は男女とも増え、格差が広がりました。運動習慣が極端に減った人の割合も調査を重ねるごとに増えており、運動をする人としない人で二極化が起きたことが示唆されるといいます。

 また、この1年間に身長と体重から肥満度を算出するBMIが25以上の「過体重」となった人の割合は、男性は約7%、女性は約3%でした。

  二極化の原因としてコロナ禍の影響を特に受けやすい集団がいる可能性を考えリスク解析を行ったところ、高年齢層の女性は運動不足と過体重、中年男性は過体重になるリスクが特に高いこともわかり、東京慈恵会医科大は「コロナ禍が空けつつある現在、この年齢層の方々に外出や運動を呼び掛けるなど、積極的な生活習慣への介入が必要だ」としています。

 2023年8月12日(土)

🟧新型コロナウイルスの派生型「EG・5」、ヨーロッパでも警戒 バカンス時期に増加も

 中国や日本など東アジアを中心に感染例が増えている新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「EG・5」に、フランスなどヨーロッパ諸国でも警戒が強まっています。現段階では緩やかな増加にとどまっているものの、祭りなど人混みの多いイベントがめじろ押しのバカンス時期にウイルスがまん延する可能性も指摘されています。

 世界保健機関(WHO)は9日「EG・5」を「注目すべき変異型」に指定。7日時点で、51カ国で確認され、うち中国が新型コロナ感染者の30・6%、アメリカが18・4%、韓国が14・1%、日本が11・1%を占めました。ヨーロッパはイギリスが2・0%、フランスとポルトガルがそれぞれ1・6%となっています。

 フランスの民間緊急医療サービス「SOSメドサン」によると、7月31日から8月6日の週で新型コロナの疑いがある診察は前週比84%増。フランスの日刊ビジネス新聞「レゼコー」電子版は11日、こうした数値を紹介し「この夏、コロナが(再び)悪さをするかもしれない」と伝えました。イギリスなどでも「EG・5」の増加傾向が報じられています。

 2023年8月12日(土) 

🟧政府、産後ケアを必要とする誰でも利用可に 利用者全員に料金補助

 政府は、出産後の育児相談などの「産後ケア」に関し、育児不安や心身に不調がある場合だけではなく、支援を必要とする人は誰でも受けられるようにして利用を促します。利用者全員を料金補助の対象とし、1回当たり2500円を5回まで支援します。いずれも6月30日付で自治体に通知しました。親族ら周囲の助けを得られず母親が孤立するのを防ぐ狙いがあります。

 住民税非課税世帯については、すでに1回当たり5000円を回数制限なしで補助しており、これを継続します。

 女性は産後、ホルモンバランスの変化や慣れない育児により、睡眠不足のほか心身の不調に陥りやすく、うつになる人もいます。政府は「異次元の少子化対策」の中で、心身の負担軽減に向けて産後ケアの強化を掲げました。

 産後ケア事業は市区町村が担い、子供が1歳になるまで受けられます。これまで国の実施要綱は対象を「心身の不調または育児不安等がある者」「特に支援が必要と認められる者」としていました。

 政府は今回、実施要綱を「産後ケアを必要とする者」と改定し、希望者全員が対象になることを明確にしました。

 2023年8月12日(土)

2023/08/11

🟧A型インフルエンザエンザの変異に幅広く対応するワクチンを開発 住友ファーマなど

 次々と変異するA型インフルエンザウイルスに効く「万能ワクチン」を、製薬大手「住友ファーマ」(本社・大阪市)や国立感染症研究所、国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」(大阪府茨木市)などのチームが開発しました。今年度中にもヨーロッパで臨床試験(治験)に向けた手続きを始め、2020年代後半の実用化を目指します。

 インフルエンザウイルスの表面にはトゲ状のたんぱく質があり、これが喉や鼻の細胞にくっついて感染します。現在のワクチンは、病原性を失わせたウイルスのトゲを使っています。接種するとトゲの先端に反応する抗体が作られるようになり、ウイルスが体内に侵入した際に抗体がトゲの先端にくっついて増殖を阻止し、発症や重症化を防ぎます。

 A型は頻繁に遺伝子が変異し、トゲの先端の形も次々と変化します。20世紀初期のスペイン風邪や2009年の新型インフルエンザパンデミック(世界的大流行)を引き起こし、約130種類が確認されています。

 ワクチンは国立感染症研究所が次に流行しそうだと予測したA型2種類、B型2種類を基に毎年作り替えます。予測が外れると効き目が落ちることが課題でした。

 チームは、変異しても構造がほぼ変わらないトゲの「幹」に着目。幹にくっつく抗体を作らせる成分を開発しました。抗体の量を増やし、効き目を高める添加物の開発にも成功。マウス実験で複数のA型ウイルスへの有効性を確認しました。すべてのA型に対応できる可能性があるといいます。

 ヨーロッパで臨床試験を行うのは、健康な志願者にウイルスを感染させてワクチンの有効性や安全性を確かめる「人チャレンジ試験」と呼ばれる手法を使うためです。日本で前例はないものの、コロナ禍では世界保健機関(WHO)が倫理基準を策定し、イギリスなどがこの手法でワクチン開発を進めました。

 チームは試験の結果を見極めた上、日本でも通常の臨床試験を行い、2020年代後半での製造販売の薬事承認を目指し、国内外合わせて年1000億円以上の売上高を見据えています。

 住友ファーマの福島晃久・ワクチン事業担当シニアオフィサーは、「世界トップクラスの技術だと自負している」と話しています。

 大阪公立大の福島若葉教授(公衆衛生学)は、「国産ワクチンの開発につながる技術が確立できたことに意義がある。効果が2、3年持続するようなワクチンができることを期待したい」と話しています。

 2023年8月11日(金)

🟧東京都の新型コロナ感染者、1週間で計4750人 7週連続で増加

 東京都内の新型コロナウイルスの感染者数は前の週の1・04倍と、7週続けて増えました。専門家は感染者数の緩やかな増加が続いているとして、お盆の帰省で大人数が集まる場合などは、場面に応じたマスクの着用や換気など、感染対策を心掛けるよう呼び掛けています。

 都は10日、新型コロナの感染状況についてモニタリング項目を発表しました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、412カ所から報告があり、感染者数は8月6日までの1週間で合わせて4750人で、1医療機関当たりでは11・53人となりました。

 これは前の週の11・12人の1・04倍と、感染症法上の5類移行後の最多を更新し、7週連続で増えています。

 また、8月7日時点での入院患者数は、前の週より303人増えて2060人となり、7週連続で増加しました。

 専門家は「感染者数の増加スピードは鈍化しているものの、緩やかな増加が続いていて注意が必要だ」として、お盆の帰省で高齢者と会ったり大人数が集まったりする場合は、場面に応じたマスクの着用や換気など、感染対策を心掛けるよう呼び掛けています。

 2023年8月11日(金)

2023/08/10

🟧新型コロナウイルスの派生型「EG・5」を警戒対象に指定 世界保健機関 

 世界保健機関(WHO)は、中国やアメリカ、韓国、日本などで感染者が増えている新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「EG・5」を、「注目すべき変異型」に指定しました。 

 WHOは9日、オミクロン型の派生型「EG・5」のリスク評価を発表し、重症化リスクが増しているとは確認されていないものの、免疫をすり抜けるなど感染力が強くなっているため、公衆衛生上のリスクになり得るとされる「注目すべき変異型」に指定しました。 

 WHOによると、「EG・5」は中国のコロナ感染者の30%、また日本でも11%以上を占めるとされ、世界的に増加傾向にあるといいます。「EG・5」が世界全体の感染例に占める割合は6月19~25日には7・6%だったものの、約1カ月後の7月17~23日には17・4%にまで上昇しました。 

 テドロス・アダノムWHO事務局長は、9日の会見で「感染者や死者の急増につながる恐れのある危険な変異型が出現するリスクは残っている」と、警鐘を鳴らしました。 一方、アメリカの疾病対策センター(CDC)も、全国のコロナ感染者における「EG・5」の割合が17%を占め、最も多くなったと発表しています。

 WHOは新型コロナの緊急事態宣言を5月5日に終了したものの、長期的な制御が必要としています。会見でテドロス事務局長は各国に対し、コロナの罹患率や死亡率データのWHOへの報告、ワクチン接種の継続などを勧告しました。

 2023年8月10日(木)

🟧中国、日本への団体旅行を10日から解禁 約3年半ぶりの再開

 中国政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて制限してきた、中国人の日本への団体旅行を10日から解禁すると発表しました。中国から日本への団体旅行が再開されるのは、約3年半ぶり。

 中国政府は10日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて制限してきた、中国人の団体旅行や航空券とホテルのセット販売について、10日から日本を含む78の国と地域を対象に、新たに解禁すると発表しました。

 日本以外の対象国には、韓国やインド、アメリカ、オーストラリア、イギリス、ドイツなどが含まれています。

 中国政府は、新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した2020年1月以降、国内の旅行会社に対して海外への団体旅行の取り扱いを制限してきましたが、今年2月以降、段階的に解禁を進めていました。

 中国から日本への団体旅行が再開されるのは、約3年半ぶりで、これで日本を含む138の国と地域への団体旅行が可能になります。

 日本を訪れる中国人旅行者は、2020年以降「ゼロコロナ」政策の影響で低迷しましたが、今年春ごろからすでにビザを取得している人などを中心に個人の旅行者が増えるなど回復傾向が続いていました。

 今回、団体旅行も解禁されたことで、今後、日本を訪れる中国人旅行者の数は大幅に増えるとみられます。

 日本政府観光局によりますと、新型コロナの感染拡大前の2019年に日本を訪れた中国人旅行者は約959万人と訪日外国人全体の3割を占め、最多でした。

 大量に商品を購入する「爆買い」と呼ばれる活発な消費で知られ、国土交通省観光庁のまとめでは、2019年の訪日外国人の消費額全体の4兆8000億円余りのうち、中国は約1兆7000億円と36%を占めていました。

 しかし、新型コロナの感染が拡大し日本の水際対策が厳しく敷かれると一変し、中国人旅行者は大幅に減少しました。

 昨年10月に水際対策が緩和されると、海外の国や地域からの旅行者の数は徐々に回復し、今年6月に日本を訪れた外国人旅行者は約207万人とコロナ前の2019年の同じ月の7割ほどの水準に戻りました。

 しかし、今年6月の中国人旅行者の数は20万人余りと2019年の6月と比べ4分の1以下にとどまっていて、回復の違いが際立っています。

 この大きな要因が、中国政府が中国人の日本への団体旅行を制限していたことでした。

 日本への団体旅行が再開されることで、中国人の旅行者が回復し活発な消費も戻るという期待が出ており、今後のインバウンド需要のカギを握ることになりそうです。

 2023年8月10日(木)

🟧新型コロナの感染拡大時、住民向け注意喚起の「目安」を公表 医療逼迫で判断、厚労省

 厚生労働省は9日、新型コロナウイルスの感染拡大時に、都道府県などが住民への注意喚起や医療提供体制の強化を検討する際の「目安」を示しました。確保病床の使用率や定点医療機関当たりの患者報告数などを参考にできるとしました。ただ暫定的なもので、今後も変更の可能性があるとしています。

 コロナは5類移行後、新規感染者数の把握は全数報告から定点医療機関からの報告に移行し、感染状況の実態がわかりにくくなっています。季節性インフルエンザの流行で使われる「注意報」「警報」といった、広く注意を呼び掛けるための指標の導入を求める意見が出ていました。

 厚労省は9日付の事務連絡で都道府県などに周知しました。

 事務連絡は、直近の沖縄県の感染拡大の状況などを踏まえ、注意喚起などを検討する目安として▽「外来逼迫(ひっぱく)あり」と回答した医療機関の割合が25%を超える▽定点医療機関当たりの報告数が、直近の感染拡大時(オミクロン型)の「外来逼迫あり」割合のピークから2週間前の報告数を超える▽入院者数がオミクロン型の感染拡大ピーク時の半分を超える▽確保病床使用率が50%を超える――の4項目を示しました。

 住民への注意喚起の具体的な内容として▽発熱などの体調不良時、発症後5日間、症状軽快後24時間経過するまで外出を控える▽医療機関などマスク着用推奨場面でのマスク着用の徹底――などを例示しました。

 一方で、厚労省は、目安は医療提供体制確保のための暫定的なもので、季節性インフルエンザの流行状況に関する「注意報」「警報」とは考え方が異なると説明。インフルエンザと同様の基準を設定するには、長期間のデータの蓄積などが必要となり、「現時点では困難」としています。

 また、コロナ流行の目安を巡っては、都道府県の中にはすでに独自に目安を設けているところもあり、国の目安を使用するかどうかは自治体が地域の医療提供体制の特性などを踏まえて判断することになります。

 2023年8月10日(木)

2023/08/09

🟧マダニ感染症「SFTS」、広島県内で今年初の死者 尾道市の70歳代男性

 マダニにかまれることで感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)で、広島県尾道市の70歳代男性が死亡したことがわかりました。

 尾道市に住む70歳代男性は、1日に発熱などの症状があり、入院後の検査でマダニが媒介するSFTSへの感染が発覚し、6日に死亡しました。男性の体から、マダニの刺し口は確認できませんでしたが、発症前に農作業をしていたということです。

 今年の広島県内のSFTS感染例は5人目で、死亡は初めてです。

 県はマダニ対策として、屋外で作業する時は長袖などで肌を覆うよう呼び掛けています。また、マダニにかまれた後に、発熱などの症状があった場合は、直ちに医療機関を受診してほしいとしています。

 2023年8月9日(水)

🟧埼玉県内の新型コロナ感染者3838人 10週連続で増加

 埼玉県内の新型コロナウイルスの新たな感染者の数は、1医療機関当たり14・70人と10週連続で増加していて、県は「重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方がいる場所には、体調の悪い時に行かないよう気を付けてほしい」と呼び掛けています。

 埼玉県が、9日に発表した新型コロナの感染状況によりますと、7月31日から8月6日までの1週間に、定点把握の対象となっている261の医療機関から報告があった新たな感染者数は3838人でした。

 1医療機関当たりでは14・70人となり、前の週と比べて約1割増えていて10週連続で増加しています。

 年代別では、10歳未満が587人で最も多く、次いで10歳代が537人、20歳代と40歳代が531人、30歳代が523人などとなっています。

 埼玉県は、「感染者の増加のペースなど今後の傾向を注視していく。重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方がいる場所には、体調の悪い時に行かないよう気を付けてほしい」と話しています。

 2023年8月9日(水)

🟧海のプラスチックごみ、想定より少ない可能性

 海のプラスチックごみは、これまで科学者が考えていたよりも少ない可能性があるとの研究結果が7日、イギリスの科学誌「ネイチャージオサイエンス」に掲載されました。

 研究では、1980~2020年までに記録された海面や浜辺、深海の観測データと数値を基に作られた海の3Dモデルを使用。この結果、海面に浮いているプラスチックの95%を25ミリ以上の大きさのものが占めると推定されました。

 海中のプラスチック片は小さいものが大半なものの、5ミリ以下のマイクロプラスチックは比較的少ないといいます。

 海面に浮かぶプラスチックごみは、マイクロプラスチックよりも大きいものが多いということは、海中のプラスチックごみの総量はこれまで考えられていたよりも「はるかに少ない」ことを示唆しています。

 これまでは、海中のプラスチックごみは2500万トン以上で、うち25万トンが海面に浮かんでいると推定されてきました。しかし今回の論文は、海面に浮かぶプラスチックごみの量はそれを大幅に上回る約300万トンだとしています。

 さらに、毎年海に流入するプラスチックごみの量も、これまで考えられていたよりも400万~1200万トン少なく、約50万トンであることもわかりました。プラスチックごみの多くは、沿岸部での活動や漁業から出ているといいます。

 国連環境計画(UNEP)によると、プラスチックごみによって毎年、海鳥100万羽と海獣10万頭が死んでいます。

 2023年8月9日(水)

🟧9月からの新型コロナワクチン接種、子供含め幅広く対象に

 オミクロン型の派生型に対応した新型コロナウイルスのワクチン接種について、厚生労働省は、重症化リスクが高くない人にも一定程度重症者が確認されていることから、生後6カ月以上のすべての人を対象に9月20日から実施する方針を決めました。

 新型コロナのワクチン接種は来年3月まで無料で行われ、現在は高齢者や基礎疾患のある人など重症化リスクが高い人を対象に実施されています。

 一方、国内でオミクロン型の派生型を中心に感染が拡大し、重症化リスクが高くない人にも一定程度、重症者が確認されていることから、厚労省は、9日の専門家分科会でオミクロン型の派生型に対応したワクチン接種について、生後6カ月以上のすべての人を対象に9月20日から行う方針を示し、了承されました。

 使用するワクチンは流行の主流となっているオミクロン型の派生型の「XBB」系統に対応するもので、今後、承認の手続きが行われます。

 また、法律に基づいて、自治体が接種券を送付するなどして勧める「接種勧奨」や接種を受けるよう努めなければならないとする「努力義務」の規定については、今回は、重症化リスクの高い人にのみ適用するということです。

 一方、来年度以降の接種については、対象者や費用負担の在り方などについて、改めて部会で議論した上で決めることにしています。

 2023年8月9日(水)

🟧航空自衛隊浜松基地周辺でPFAS検出 浜松市の要請受け基地内調査へ

 有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が。静岡県の航空自衛隊浜松基地周辺の川や水路で国の暫定目標値を上回る高い濃度で検出されたことを受けて、浜田靖一防衛相は浜松市の要請を受けて、基地内の調査を実施する考えを示しました。

 浜松市が今年5月から6月にかけて市内の河川と水路、26地点の調査を行ったところ、航空自衛隊浜松基地の近くを流れる川や周辺の水路、合わせて6つの地点で、有害性が指摘されているPFASが最大1リットル当たり目標値(50ナノグラム)の28倍に当たる1400ナノグラム検出されたことから、市は基地に対し、原因調査への協力を要請しています。

 これについて浜田防衛相は8日、閣議の後の記者会見で、「浜松市から基地内の調査を求める要請がされていることは承知しており、防衛省としては基地内の調査について実施する方針だ」と述べました。

 その上で、具体的な調査方法については浜松市と調整し、速やかに実施したいという考えを示しました。

 2023年8月9日(水)

2023/08/08

🟧熱中症の救急搬送者が1週間で1万810人 2週連続で1万人を上回る

 危険な暑さが相次いだ8月6日までの1週間に、熱中症とみられる症状で病院に救急搬送された人は、前の週に続いて1万人を上回ったことが、総務省消防庁のまとめでわかりました。

 総務省消防庁によりますと、7月31日から8月6日までの1週間に熱中症の疑いで病院に運ばれた人は、全国で合わせて1万810人でした。

 今年一番多い人数を記録した前の週より955人少ないものの、2週連続で1万人を上回ったほか、昨年の同じ時期と比べて約1・38倍となっています。

 内訳は、死亡した人が18人、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて3641人、「軽症」が6972人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が6194人と全体の半数余りを占めたほか、18歳以上65歳未満が3495人、7歳以上18歳未満が1059人、0歳から7歳未満が62人でした。

 都道府県別では、東京都が757人で最も多く、次いで大阪府が691人、埼玉県が599人、福岡県が553人、愛知県が549人などとなっています。

 場所別では、敷地内を含む住居が4818人と最も多く、道路が1776人、屋外の競技場や駐車場などが1188人などとなっています。

 総務省消防庁は、適切な室温調整やこまめな水分補給をしたり、「熱中症警戒アラート」が発表されたら外出を控えたりするなど、熱中症への対策を心掛けてほしいと呼び掛けています。

 2023年8月8日(火)

🟧ヘルパンギーナ患者数、全国で減少傾向 東北など一部地域で引き続き多い状況

 過去10年で最も大きな流行となった、主に子供がかかる感染症「ヘルパンギーナ」は、全国の患者数は減少傾向となっている一方で、東北地方など地域によっては患者数が多い状況が続いています。

 ヘルパンギーナは夏に患者が増えるウイルス性の感染症で、5歳以下の子供がかかりやすく、発熱のほか、口の中に水膨れができたり、のどが痛んだりといった症状が出ます。

 今年は5月ごろから患者数が増え始め、過去10年で最大の流行となっていました。

 国立感染症研究所によると、7月30日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者数は合わせて1万3629人、1医療機関当たりでは4・34人と前の週よりも0・37人減り、減少傾向となっています。

 ただ、地域ごとでは、山形県の21・86人を始め、岩手県、青森県、北海道、宮城県で10人を超えているほか、長野県、秋田県、福島県、新潟県でも警報レベルの「6人」を超えるなど、東北地方を中心に引き続き患者の多い状況となっています。

 また、幼い子供が感染すると重症化することもある「RSウイルス感染症」は、7月30日までの1週間で報告された患者数が合わせて7073人、1医療機関当たりでは前の週よりも0・34人減って2・25人と、こちらも減少傾向が続いています。

 感染症が専門で国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「今後は徐々に患者数が減っていくと思うが、夏休みで出掛けたり、人と会う際は、換気を十分に行うなど感染対策をしてほしい。もし感染してしまって、水分がとれないとか呼吸が苦しそうな様子の時は、すぐに近くの医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2023年8月8日(火)

🟧アメリカ赤十字、男性同性愛者ら対象の献血制限撤廃

 アメリカ赤十字社は7日、同性愛者と両性愛者の男性を対象とした性的指向に基づく献血制限を撤廃すると発表しました。

 アメリカ赤十字社は、「この歴史的動きを重要な進展として祝い、輸血用血液の安全性を保ちながら、献血できる人全員を平等かつ敬意を持って扱う包括的な献血プロセスの実現に向けて引き続き尽力する」と述べました。

 アメリカ食品医薬品局(FDA)が5月に指針を変更し、献血可能な人の範囲を拡大したのを受けた措置。

 FDAの新指針によると、すべての献血希望者は過去3カ月間に新たなパートナーまたは複数のパートナーと性的接触を持ったかを尋ねられます。

 該当する人は、過去3カ月間に肛門性交をしたかを尋ねられ、これにも該当する場合、献血を見送るよう求められます。

 直腸の粘膜は薄いため傷付きやすく、感染症に感染しやすいため、肛門性交はさまざまな性感染症の感染を広げるリスクが高くなります。

 日本赤十字社によると、「エイズ、肝炎などのウイルス保有者、またはそれと疑われる方」として、過去6カ月間に「不特定の異性または新たな異性との性的接触があった」「男性同士の性的接触があった」方たちが「献血をご遠慮いただく」対象にされています。

 2023年8月8日(火)

2023/08/07

🟧岐阜県各務原市、保育所や小中学校に浄水器設置 水道水源地で「PFAS」検出で

 岐阜県各務原(かかみがはら)市の水道水の水源「三井水源地」から、国の暫定目標値を超える濃度の有機フッ素化合物「PFAS〈ピーファス〉」が検出され、同市の磯谷均副市長は7日、市内の保育所や小中学校などに浄水器を設置する方針を明らかにしました。副市長は「子供への不安を極力払拭する」と話しました。

 対象は同水源地の配水区域にある約50施設で、給食室や手洗い場などに640個ほど設置する予定。

 保育所などへの浄水器の設置や希望者への血液検査を求める共産党市議らの申し入れに答えました。これに先立ち、市議会の全市議も、市民の不安解消や国との連携強化を求める要望書を提出しました。

 市によると、2020年11月の水質検査で暫定目標値の超過を把握していたものの、7月まで公表していませんでした。暫定目標値が1リットル当たり50ナノグラムのところ、99ナノグラムが検出されていました。

 各務原市がPFASの超過を7月まで公表していなかった問題で、岐阜県の古田肇知事は1日の定例記者会見で、「大変遺憾に思っている。早急にしっかりとした説明や対策をする必要がある」と述べました。

 県は、各務原市の事例を受けて、すべての市町村に水質検査を実施したかどうかを聞き取り調査。その結果、同市のほか、13市町が検査済みだったことがわかりましたが、いずれも1リットル当たり50ナノグラムの暫定目標値を下回ったとの報告を受けたといいます。

 国は通知で、PFASが含まれる「水質管理目標設定項目」の検査結果について公表するよう求めています。県は、それを踏まえ、すべての市町村に検査結果を公表するよう7月31日付で通知しました。

 一方、県は、県営水道と県工業用水の水質について、2020年7月から年2回の検査をして、PFASの検出事例はないといいます。

 2023年8月7日(月)

🟧新型コロナ5類移行3カ月、感染者数6倍 イベント再開も拡大の一因

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」から「5類感染症」に移行してから8日で3カ月となる中、一貫して感染者の増加が続いています。今夏は祭りや花火大会などのイベント再開が感染拡大の一因とされ、お盆の帰省などでさらなる感染増も懸念されます。

 厚生労働省によると、7月30日までの直近1週間に、全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナウイルスの感染者数は計7万8502人で、1医療機関当たりの感染者数は、15・91人。5類移行から11週連続の増加となり、移行直後の約6倍に達しました。

 厚労省に助言する専門家組織は8月4日の会合で、「より免疫逃避が起こる可能性のある変異型の割合増加」「夏休みなど接触機会の増加」などを挙げ、今後の見通しを「患者数の増加が継続する可能性がある」と分析しました。

 現在主流で複数のオミクロン型が組み合わさった「XBB」系統は、従前の「BA・5」より感染力が高く、ワクチンや自然感染で得た免疫を逃れる性質も強いとされます。

 感染者数は、8波ピークの29・80人(参考値)に比べると半分程度。確保病床使用率(7月26日時点)も、50%超の自治体は福岡、宮崎、沖縄の3県にとどまるものの、現場は楽観視していません。

 「いとう王子神谷内科外科クリニック」(東京都北区)では、8月3日までの直近1週間に発熱などの症状で受診した患者のうち、約6割がコロナ陽性。1日当たり6~7人に上り、伊藤博道院長によると、昨夏の7波と同水準だといいます。

 伊藤院長は、「感染者は祭りや花火大会など、今夏から久しぶりに復活した行事に参加していたケースが多い」と指摘。盛夏に入り熱中症も増加傾向にあり、「コロナ疑い患者のこれ以上の増加は厳しい」と懸念します。

 警戒意識の共有を巡っては、4日の専門家組織の会合で、季節性インフルエンザで使われている「注意報」(1定点当たり10人超)や「警報」(同30人超)の導入を求める意見がありました。

 厚労省は「できるだけ早く形を示したい」としたものの、コロナの流行に明確な周期性はなく、目安設定の在り方には検討の余地があります。脇田隆字座長は「基礎データがまだ少ない。まずは暫定的なものになるだろう」との見方を示しています。

 ウィズコロナの夏。高齢者らには依然、リスクが高い感染症であり、同省は「換気や混雑時のマスク着用など、基本的な対策に改めて取り組んでほしい」としています。

 2023年8月6日(日)

🟧成人喫煙率が男性25%、女性7%に低下 厚労省調査

 厚生労働省の2022年国民生活基礎調査によると、たばこを吸う人の割合は男性で25・4%、女性で7・7%でした。3年ごとに喫煙率を調べており、男性は前回2019年から3・4ポイント、女性は1・1ポイント低下。いずれも減少傾向が続いています。

 害悪が広く認識されるようになったことや、健康志向の高まり、受動喫煙対策を強化した改正健康増進法の施行などが、影響したとみられます。

 男性は2001年時点で全体の48・4%と、ほぼ2人に1人が吸っていました。約20年が経過し4人に1人まで減ったことになります。

 年代別にみると、男性は40歳代が34・6%と最も高く、50歳代32・6%、30歳代29・9%と続きました。

 2023年8月7日(月)

2023/08/06

🟧アステラス製薬の眼疾治療薬「アイザーヴェイ」、アメリカで承認 現地子会社が開発

 アステラス製薬は5日、眼疾治療薬「アイザーヴェイ」について、アメリカ食品医薬品局(FDA)から4日付(現地時間)で承認されたと発表しました。ピーク時売上高は非開示ながら、年間売上高10億ドルを超える大型薬「ブロックバスター」になることを期待しています。

 アイザーヴェイは7月に子会社化したアメリカのアイベリック・バイオ社が開発しました。目の細胞の機能が中心部から衰えていく地図状委縮を伴う加齢黄斑変性に対する核酸医薬品。加齢黄斑変性は老化などによって視力低下や失明を引き起こす難病で、新薬は治療に向けた新たな選択肢となる可能性があります。

 臨床試験(治験)では、地図状委縮の進行速度の抑制が早い例で投与後6カ月時点でみられたといいます。最初の1年間で進行速度を最大35%抑制したことも確認できました。

 アステラス製薬の主力薬である前立腺がん薬「イクスタンジ」は2023年3月期の売上高が約6600億円と、連結売上高の4割強を占めます。ただ、イクスタンジは2027年ごろから特許切れを迎えます。医薬品は特許が切れると後発薬が登場し、収益が激減します。

 アステラス製薬はイクスタンジの独占期間満了による売り上げ減少を補う収益の柱の一つとして、更年期障害向け治療薬「フェゾリネタント」などとともに「アイザーヴェイ」を位置付けています。今後2〜4週間以内にアメリカでアイザーヴェイを発売する予定。

 アステラス製薬は、2024年3月期連結業績への影響は「精査中」としています。

 地図状委縮は、アメリカで約150 万人に影響を及ぼしています。しかし、アメリカで地図状委縮を患っている人の約75%は未診断と考えられています。適切なタイミングでの治療がなければ、地図状委縮患者の推定66%が失明または重度の視覚障害になる可能性があります。

 2023年8月6日(日)

🟧世界の平均海面水温、過去最高の20・96度を記録 コペルニクス気候変動サービスが発表

 イギリスなどの複数のメディアは、世界の平均海面水温が今週、過去最高を記録したと、ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が明らかにしたことを伝えました。

 イギリスの公共放送BBCは4日、世界の平均海面水温が今週、20・96度に達し、記録が残る1979年以降最も高くなったと「コペルニクス気候変動サービス」が明らかにしたと伝えました。

 これまでの記録は2016年の20・95度で、これは南米ペルー沖から太平洋中部の赤道域で、海面水温が平年よりも高くなるエルニーニョ現象の影響を受けたものだったということです。

 そして、海面水温が高くなることで、氷河が溶けやすくなって海面が上昇したり、水中に吸収される二酸化炭素の量が減ったりして、気候全体に影響を与えかねないという見方を伝えています。

 また、専門家の話として例年、海面水温が最も高くなるのは8月ではなく3月だとして、今後、来年3月までの間にさらに海面水温が高くなる恐れがあるとの懸念を示しています。

 今年は陸地でも世界的に記録的な暑さとなっていて、世界気象機関(WMO)によりますと、中国の新疆ウイグル自治区のトルファン市では7月16日に52・2度を、北アフリカのチュニジアの首都チュニスでも7月24日に49度を記録しています。

 2023年8月6日(日)

🟧新型コロナウイルス秋接種、9月20日開始 XBB対応1価ワクチンを使用

 接種可能なすべての年代を対象とする新型コロナウイルスワクチンの秋接種を巡り、厚生労働省は6日までに、現在流行の主流となっているオミクロン型の派生型「XBB」に対応した1価ワクチンを使い9月20日から始めると、都道府県などに周知しました。

 ファイザーはXBB対応品の対象を生後6カ月以上として承認申請しています。モデルナは12歳以上で申請したと発表していたものの、その後6歳以上に訂正しました。

 高齢者や基礎疾患がある人、医療従事者らを対象に5月から始まった春接種は9月19日で終了。厚労省は、希望者に早めの予約を呼び掛けるよう自治体に要請しました。

 2023年8月6日(日)

2023/08/05

🟧無痛分娩で31歳死亡、和解成立 医院側が遺族に7500万円支払い、大阪府和泉市

 大阪府和泉市の産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック」で2017年、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」での出産に臨んだ女性=当時(31)=が死亡し、遺族が医療法人と男性院長に計約8300万円の損害賠償を求めた大阪地裁での訴訟で、医院側が7500万円を支払う内容で和解したことが4日、わかりました。裁判手続き外の和解で、遺族側は訴訟を取り下げて7月25日付で終結しました。

 女性は長村千恵さん。訴状によると、2017年1月、同院で無痛分娩で出産しようとした際に局所麻酔を受けたものの、呼吸困難で意識不明となり、10日後に脳機能損傷で死亡しました。子供は帝王切開で生まれ無事でした。

 遺族側は、麻酔時に背中から挿入した管(カテーテル)の位置が不適切だったため呼吸困難に陥ったとして、医院側の注意義務違反などを主張していました。

 院長は、業務上過失致死容疑で書類送検されましたが、大阪地検が嫌疑不十分で不起訴処分としました。クリニックは昨年1月、地裁から破産手続きの開始決定を受けました。

 2023年8月5日(土)

🟧セブン-イレブンのおにぎりにゴキブリ混入 埼玉県の一部店舗で販売、約2000個自主回収へ

 コンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパンは埼玉県内の一部の店舗で販売したおにぎりにゴキブリが混入した恐れがあるとして、2000個近くを自主回収すると発表しました。

 対象となるのは、埼玉県内の約370店舗で3〜4日に販売した「梅香る混ぜ飯おむすび 紀州南高梅」です。

 会社によりますと、4日朝、商品を購入した客と店内で商品を見た客合わせて2人からゴキブリが混入していると指摘があったということです。

 会社では、埼玉県さいたま市の委託先のわらべや日洋食品大宮工場で製造された同じ製品にゴキブリが混入した可能性があるとして、消費期限が4日午後9時となっている1972個について、店頭から撤去できなかったぶんを自主回収するということです。

 委託先の工場では製造ラインを停止して洗浄や殺菌、防虫業者による緊急点検などを行ったほか、今後、点検の頻度を増やすということです。

 会社によりますと、これまでのところ健康被害の報告はないということです。

 セブン-イレブン・ジャパンは、「多大なご迷惑、ご不快な思いをおかけし、心より深くおわび申し上げる。今後はよりいっそう品質管理を強化・徹底し、再発防止に努めていく」とコメントしています。

 問い合わせ先の電話番号は、フリーダイヤル0120-711-008で、午前9時から午後5時まで受け付けています。

 2023年8月5日(土)

🟧カテーテル処置後に複数の患者死亡で、2人の検証依頼へ 神戸徳洲会病院

 神戸市にある病院で、複数の患者がカテーテルを使った処置の後に死亡したことを巡り、病院は今年1月と2月に死亡した患者2人について、国の医療事故調査制度に基づき、第三者機関に検証を依頼する方針を固めたことが5日、わかりました。

 神戸市垂水区にある「神戸徳洲会病院」では、今年に入り、1月に循環器内科に赴任した男性医師によるカテーテルの治療や検査を受けた複数の患者が死亡し、病院は、処置が適切に行われたかどうか、国の医療事故調査制度に基づいて、第三者機関に検証を依頼する方針を明らかにしています。

 病院で調査した結果、今年1月に心臓の病気で治療を受けた後に死亡した患者と、2月に、足の血管の病気で治療を受けた後に死亡した患者の2人について、外部の専門家の判断を仰ぐ必要があるとして、検証を依頼する方針を固めたことがわかりました。

 医療事故調査制度では、患者が医療事故で死亡した場合、院内で調査した結果を第三者機関の「医療事故調査・支援センター」に報告した上で調査を依頼できる仕組みとなっています。

 病院は、院内の調査結果について資料を取りまとめた上で、8月中にも正式に依頼する方針です。

 2023年8月5日(土)

🟧アメリカFDA、産後うつに対する初の飲み薬承認

 アメリカの食品医薬品局(FDA)は4日、アメリカの製薬企業バイオジェンとセージ・セラピューティクスが開発した産後うつに対する初の飲み薬の製造販売を承認しました。従来の薬は静脈注射薬で、医療施設で60時間にわたり投与を受ける必要がありました。

 産後うつは、妊娠後期から出産数カ月後にかけて1割ほどの女性に発症します。深刻な場合は患者の生命を脅かし、母子の関係を損なうことで、子供の発達に影響をおよぼす可能性もあります。飲み薬の承認は、多くの患者に有益な選択肢をもたらすとしています。

 今回、産後うつの治療薬として承認された「ズラノロン」は、うつ病(大うつ病性障害)の治療薬としてすでに承認されているもので、毎日夜に1回、2週間続けて飲むのが基本。臨床試験では、産後うつの症状改善効果を確認しました。

 通常のうつ病の治療薬は服用後、効果が現れるまで数週間を要するのに対して、ズラノロンは数日で症状が緩和するとされています。

 バイオジェンとセージ・セラピューティクスは、大きなチャンスになると期待しています。アメリカ国立衛生研究所(NIH)の推定によると、2020年に顕著なうつ症状を少なくとも1回経験したアメリカの成人は2100万人に達しました。またアメリカ疾病管理予防センター(CDCP)によれば、出産女性の約8人に1人が産後うつを発症しました。

 ズラノロンの発売にはアメリカ麻薬取締局(DEA)の承認が必要。

 アナリストは、セージ・セラピューティクスのズラノロンの売上高が2029年までに約10億ドル(約1420億円)になると予測しています。大半の海外市場での販売権を持つバイオジェンのズラノロンの売上高は2029年までには12億ドル(約1704億円)で、アメリカ国内の利益の半分を受け取る見込み。

 2023年8月5日(土)

2023/08/04

🟧新型コロナ感染拡大で休止の茨城空港、上海便3年半ぶりに運航再開

 新型コロナウイルスの影響で運航が休止されていた茨城空港と中国・上海とを結ぶ直行便が4日、3年半ぶりに運航を再開し、多くの搭乗客が降り立ちました。

 茨城空港と海外を結ぶ便は、新型コロナの感染拡大の影響で3年間休止されていましたが、今年3月に再開され、台湾の台北を結ぶ定期便などが運航されています。

 4日からは中国の格安航空会社、「春秋航空」が運航する上海浦東国際空港と茨城空港を結ぶ定期便が週4往復で再開されました。

 正午すぎ、最初の便が茨城空港に到着すると約100人の乗客が次々に降りていきました。

 到着ロビーでは、茨城県の関係者などが「ようこそ茨城へ」と書かれた横断幕を持って出迎え、地元でつくられたヨーグルトやお菓子、それに観光パンフレットなどを手渡していました。

 上海から到着した中国人の乗客は、「新型コロナで日本にこられなかったので期待してきました。茨城空港は東京への直行バスもあり、観光に便利です」と話していました。

 茨城空港と上海を結ぶ定期便は2010年に就航し、価格の安さなどから最も多い時期には週8往復運航されていました。

 茨城県営業戦略部の鈴木信昭空港対策監は、「茨城県を始めとした関東地方に多くの旅行客が訪れ、経済的な交流が活発化していくと期待している」と話しています。

 2023年8月4日(金)

🟧7月の東京都内、熱中症の救急搬送が週1000人超えも 猛暑日が続き前年から倍増

 東京都心部で最高気温35度以上の猛暑日が続いた先週(7月24~30日)、熱中症での救急搬送者が都内で892人に上り、前年同期の2倍だったことが、総務省消防庁のまとめでわかりました。依然として厳しい暑さが続いており、特に脱水症状を起こしやすい高齢者は、こまめな水分補給が必要です。

 総務省消防庁のまとめによると、都内の前年同期(7月第4週)の救急搬送者は437人でした。今年は、7月9日までの1カ月間は週に100~300人台で推移していましたが、直近3週は1000人前後と高水準。東京消防庁によると、8月4日は午後3時現在で、17歳から93歳の男女29人が救急搬送されました。うち重症者は1人でした。

 熱中症の疑いのある死者も相次いでいます。7月29日夕方には東村山市内の住宅で、90歳代の夫と80歳代の妻が寝室のベッドで死亡しているのが見付かりました。警視庁東村山署によると、寝室にエアコンはあったものの、電源は入っていませんでした。ドアや窓が閉め切られ、室内は高温だったといいます。

 遺体の解剖を行う都監察医務院によると、7月に東京23区で確認された熱中症による死者は86人。うち室内で見付かったのは79人で、エアコンを使っていたのは10人にとどまりました。亡くなった人の約8割が70歳代以上でした。

 東京消防庁はホームページで、熱中症を予防するポイントを紹介。屋内ではエアコンや扇風機を使うよう呼び掛けた上で、「お年寄りは特に、喉が渇いていなくても、こまめに水分補給してほしい。外出する時は帽子や日傘を使い、日陰を選んで歩いてほしい」と求めています。

 一方で、救急出動態勢の逼迫(ひっぱく)を防ぐため、救急車を呼ぶかどうか迷った時は救急相談センター(「#7119」に電話)を活用するよう促しています。

 2023年8月4日(金)

🟧新型コロナ感染者、前週比1・14倍 3週連続で1医療機関当たり10人超

 厚生労働省は4日、全国約5000の定点医療機関から7月24~30日の1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者数は計7万8502人で、1医療機関当たり15・91人だったと明らかにしました。前週比は1・14倍。前週から増加が続くのは17週連続となります。

 また、3週連続で1医療機関当たり10人を超え、厚労省に対策を助言する専門家組織が会合を開きました。

 都道府県別では、多い順に佐賀県が31・79人、長崎県が30・29人、宮崎県が27・21人、鳥取県が25・52人、熊本県が24・66人、大分県が24・33人、石川県が24・13人、鹿児島県が23・54人、福岡県が21・64人、愛媛県が21・11人、愛知県が20・82人などとなっていて、42の都府県で前の週より増加しています。

 このほか、7月30日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万1146人で、前の週と比べて1751人の増加となりました。

 また、検出される新型コロナウイルスの種類はオミクロン型のうちの「XBB系統」が大部分を占めていて、中でもより感染を広げやすいとされる「EG5・1」が増加しているということです。

 厚労省は全国の流行状況について、「全国的に緩やかな増加傾向が続いているほか、夏の間に感染が拡大する可能性もあり、医療提供体制への負荷が増えることも懸念される。定期的に換気するほか必要な場面でマスクを着用するなど基本的な感染対策を行ってほしい」としています。

 2023年8月4日(金)

2023/08/03

🟧全国557地区で医療機関ゼロ 2019年比33地区減少、厚労省調査

 周辺に医療機関がない「無医地区」は2022年10月末時点で全国557地区だったことが、8月1日までに、厚生労働省の調査でわかりました。2019年の前回調査と比べ33地区減少。無医地区内の人口は計12万2206人で、4645人減少しました。

 無医地区は半径約4キロの範囲に50人以上が暮らす地区のうち、車などを使っても1時間以内に病院を受診できないといった、容易に医療機関を利用できない地域。厚労省によると、過疎化が進み人口50人を割り込む地区が増えていることや、交通の利便性向上を背景に減少が続いています。

 無医地区が最多だったのは64地区の北海道で、広島県53地区、大分県38地区、島根県28地区、岩手県24地区、高知県23地区、岡山県21地区と続きました。無医地区が存在しないのは山形県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、佐賀県の7都府県。

 2014年調査から「無医地区ゼロ」となっていた長崎県では、今回、無医地区が管内に1地区生じて、再び無医地区になり、愛知県や福岡県などでは無医地区が増加しています。

 全国の無医地区は減少してきており、各都道府県の努力が現れているといえるでしょう。もっとも「全国であまねく社会インフラを整備することは困難であり、少子化が進む中で、医師配置等についてはとりわけ困難になる。スマートシティ、コンパクトシティを意識して地域の在り方を検討することも、今後、極めて重要になる」と指摘する識者も少なくない点に留意が必要です。

 例えば、「高齢の医師が1人で地域の医療を守っている」ような山間部や離島などでは、当該医師が引退すれば無医地区が生じてしまいます。愛知県や福岡県といった大都市を抱える県にも無医地区があり、「医師派遣」などの対策に力を入れていくことが重要でしょう。

 2023年8月3日(木)

🟧沖縄県の新型コロナ、4週連続で減少 週推計4460人、1医療機関当たり17・59人

 沖縄県は3日、新型コロナウイルス感染者数の定点把握状況を発表しました。7月24日〜30日の1週間に、県内54定点医療機関で計950人の感染者が確認されました。1定点当たり17・59人で、前週(22・43人)に比べて減少。地域別だと、本島南部が1定点当たり23人と最も流行しています。

 1定点当たり感染者報告は、4週連続で減少しました。ただ、依然として前週時点の全国の感染者報告13・91人を上回る感染状況が続いています。

 7月24日~30日の県内の感染者総数は、推計で4460人(前週5680人)。

 保健所管内別の1定点当たり感染者報告数をみると、本島南部に次いで多いのは八重山の19・33人。中部17・94人、宮古13・75人、那覇市14・83人、北部10・00人と続きます。

 30日時点の重点医療機関を含む県内各病院の入院患者は計478人(うち重症者12人)。

 全国の7月17日~23日の1定点当たりの感染報告数は13・91人。

  2023年8月3日(木)

🟧東京都、新型コロナ定点把握による感染者11・12人 定点把握に変更後初の10人超え

 東京都内の新型コロナウイルスの感染者数は前の週の1・19倍と、6週続けて増えており、専門家は「夏休みの旅行や帰省などで高齢者と会う機会が増えるため、感染対策を心掛けてほしい」と呼び掛けています。

 3日、東京都庁で感染症の対策会議が開かれ、この中で、都内の新型コロナの感染者数が公表されました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、415カ所から報告があり、感染者数は7月30日までの1週間で合わせて4613人で、1医療機関当たりでは11・12人となりました。1医療機関当たりで10人を超えるのは、5月にコロナが「5類」になってからは初めて。 

 感染者は前の週の1・19倍と、6週続けて増えていて、このうち60歳以上は1・82人と前の週の1・36倍となりました。

 専門家は沖縄県や九州を中心に全国的に感染が拡大していることから、今後、東京都でも「第8波」を超えて患者が多くなる可能性もあるとしていますが、「感染拡大のピークがどれほどの患者数になるかは見通しが立てられない」と分析しました。

 東京感染症対策センターの賀来満夫所長は、「夏休みの旅行や帰省などで重症化リスクの高い高齢者と会う機会や、大人数で集まる場面が増えるため、感染対策を心掛けてほしい」と呼び掛けました。

 このほか、対策会議では、気温が高くなるこの時期は食中毒のリスクが高まるとして、調理前の手洗いや肉の調理には専用の箸やトングを用意して他の食材には触れないよう使い分けること、食材は十分に加熱し早めに食べることなどが呼び掛けられました。

 2023年8月3日(木)

2023/08/02

🟧アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」、8月21日に承認判断へ 厚労省専門部会

 日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬について、厚生労働省は8月21日の専門家部会で承認するかどうかを審議することが明らかになりました。承認されれば、アルツハイマー病の原因物質に直接働き掛けて取り除くための、初めての薬が国内で製造・販売できるようになります。

 認知症の原因の1つである「アルツハイマー病」の新しい治療薬「レカネマブ」は、日本の製薬大手「エーザイ」が、アメリカの「バイオジェン」と共同で開発を進めてきた薬です。

 アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことで、症状の進行を抑えることが期待されています。

 エーザイは、今年1月にレカネマブについて、厚労省に承認を求める申請を行っていましたが、厚労省は8月21日に専門家部会を開き、承認するかどうかを審議することがわかりました。

 エーザイなどの研究グループによりますと、最終段階の治験の結果では、レカネマブを投与された患者は、偽の薬を投与された患者と比べて、1年後の認知機能の低下が約27%抑えられ、病状の進行を緩やかにする効果が確認されたということです。

 アメリカでは7月上旬に治療薬として正式に承認されており、日本でも承認されれば、アルツハイマー病の原因物質を取り除くための、初めての薬が国内でも製造・販売できるようになります。

 厚労省によりますと、日本では認知症の人は3年前の時点で600万人と推計されており、さらに団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年には約700万人に上ると予測されています。

 2023年8月2日(水)

🟧たばこ一本一本に健康被害の警告文、新法施行 カナダ

 カナダで1日、国内で販売される紙巻きたばこ一本ずつに「勃起不全(ED)やがんの原因に」「一服ごとに毒」「たばこの煙は子供に有害」といった健康被害の警告文を印字することを求める法律が施行されました。世界初の試みとなります。

 新たな規制の導入は今年5月31日の世界禁煙デーに発表されていました。キングサイズのたばこについては年内に、レギュラーサイズは2025年初めにも切り替えられる予定。

 キャロリン・ベネットメンタルヘルス・依存症担当相は以前、警告文は「事実上避けられない。箱に表示される新たな画像とともに、喫煙による健康への影響を現実的かつ衝撃的に思い起こさせるものだ」と説明していました。

 カナダ政府は、たばこ依存症に陥りやすい若者の中には、警告が表示されたパッケージではなく、たばこ一本を渡されたことを切っ掛けに喫煙を始める人もいると指摘。政府は2035年までに、喫煙率を現在の13%から5%(約200万人)に減らす目標を掲げています。

 2023年8月2日(水)

🟧アステラス製薬、胃がん治療薬「ゾルベツキシマブ」を中国で申請 当局が受理

 アステラス製薬は1日、開発中の胃がん治療薬「ゾルベツキシマブ」について、中国国家薬品監督管理局(NMPA)の医薬品評価センターが承認申請を受理したと発表しました。今後承認に向けた審査が進みます。

 アステラス製薬はゾルベツキシマブを重点戦略製品と位置付けており、ピーク時の世界での売上高を最大年2000億円と見込んでいます。

 同社によると、世界で新たに診断される胃がん患者数のほぼ半数を中国人患者が占め、2020年には47万8000人以上が新たに胃がんと診断され、37万3000人以上が死亡しました。

 ゾルベツキシマブは、胃腺がん、食道胃接合部腺がんの治療薬として開発が進んでいます。日本では6月に、製造販売承認を厚生労働省に申請しました。

 海外ではアメリカやヨーロッパで申請をしています。アメリカでは食品医薬品局(FDA)から優先審査に指定されており、審査の終了目標日は2024年1月12日と設定されています。

 2023年8月2日(水)

🟧オミクロン型対応の新型コロナワクチン、4歳以下への引き下げを了承

 アメリカのファイザー製とアメリカのモデルナ製の新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は7月31日、対象年齢の引き下げを了承しました。

 ファイザー製は、6カ月以上4歳以下について、オミクロン型「BA・4とBA・5」への最初の免疫をつける1~3回目接種と、その後の追加接種(4回目以降)などが新たに対象となりました。これにより6カ月以上のすべての世代で、オミクロン型対応のワクチンが接種できるようになりました。

 モデルナ製は、6~11歳について、従来型への最初の免疫をつける1、2回目接種と、オミクロン型に対応した追加接種(3回目以降)が新たに対象となりました。

 今後の具体的な接種については、別の専門家会議で決めます。

 2023年8月2日(水)

2023/08/01

🟧ヘルパンギーナとRSウイルス感染症、前週より減少も引き続き注意

 流行が続いている「ヘルパンギーナ」や「RSウイルス感染症」について、7月23日までの1週間の患者数は、いずれも前の週より減少したことが国立感染症研究所のまとめでわかりました。専門家は、しばらくは緩やかに流行が続く可能性があるとして、引き続き注意を呼び掛けています。

 「ヘルパンギーナ」は夏に患者が増えるウイルス性の感染症で、5歳以下の子供がかかりやすく、発熱のほか口の中に水膨れができたりのどが痛んだりといった症状が出ます。

 国立感染症研究所によりますと、7月23日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者数は合わせて1万4789人、1医療機関当たりでは4・71人で、前の週の6・86人よりも2・15人減りました。

 地域ごとでは、岩手県、山形県、宮城県、長野県で10人を超えていて、警報レベルの「6人」を超えている地域は合わせて12の道と県となっています。

 また、風邪のような症状が出る病気で幼い子供が感染すると重症化することもある「RSウイルス感染症」は、7月23日までの1週間で報告された患者数が合わせて8124人、1医療機関当たりでは前の週より0・57人減って2・59人となりました。

 感染症が専門で国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「この3年間でさまざまな感染症に対する免疫力が低下しているので、ヘルパンギーナやRSウイルス感染症はこの後もしばらくはだらだらと流行が続く可能性がある。発熱が3日以上続いたり、食事ができない、せきがひどいなど日常生活に支障が出る場合は医療機関を受診してほしい」と話していました。

 2023年8月1日(火)

🟧国産新型コロナワクチン、初の承認へ 第一三共製、厚労省部会が了承

 国内の製薬大手、第一三共が開発した新型コロナウイルスのワクチン「ダイチロナ」について、厚生労働省の専門家部会は使用を認めることを了承しました。ファイザーなどと同様のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンで、今後、厚労省による手続きを経て、国内の製薬会社の新型コロナのワクチンとして初めて正式に承認されることになります。

 新型コロナウイルスのワクチンは、これまで国産のものがなく、アメリカのファイザーやモデルナなど海外の製薬メーカーのものが使われていますが、今年1月、第一三共が厚労省に承認申請を行っていました。

 このワクチンについて、7月31日に開かれた厚労省の専門家部会で検討が行われ、有効性や安全性が確認できたとして、使用を認めることを了承しました。

 今後、厚生労働省の手続きを経て、国内の製薬会社の新型コロナのワクチンとして初めて正式に承認されることになります。

 開発されたワクチンは、変異ウイルスではなく従来型の新型コロナウイルスに対応したもので、人工的に作った遺伝物質mRNAを投与することにより、ウイルスが細胞に感染する際の足掛かりとなるスパイクたんぱく質の一部を体内で作り出し、免疫を高める仕組みです。

 また31日は、塩野義製薬が開発した新型コロナウイルスのワクチン「コブゴーズ」についても検討が行われましたが、有効性を評価するためのデータが十分でないなどとして、継続審議となりました。「ダイチロナ」「コブゴーズ」ともに流行初期の従来型に対応しており、足元で流行するオミクロン型の変異型「XBB」には対応しておらず、普及しない可能性があります。

 新型コロナウイルスの国産ワクチンが承認されることについて、ワクチンに詳しい福岡看護大学の岡田賢司教授は、「ワクチンは国民を感染症から守るツールの一つであり、危機管理の道具として日本独自で持っておかないといけない。承認されることは非常に大きな意味を持つ。開発は海外に比べると遅れをとったかもしれないが、これまで新しいワクチンを作るには少なくとも5年から10年はかかってきた。今回、3年で承認に至るのは、今までからするとかなり速いスピードだ」と述べました。

 新型コロナウイルスのワクチンは、感染拡大が本格的に始まった2020年以降、国内外の製薬会社が開発に乗り出しました。

 このうちファイザーやモデルナ、アストラゼネカなどの海外の製薬会社が開発した新型コロナウイルスワクチンは約1年後には実用化され、その後、国内でも承認されて接種が始まりました。

 日本では複数の製薬会社が国産ワクチンの開発を進め、日本医療研究開発機構(AMED)が研究開発を補助したほか、厚労省が研究や生産体制の整備を支援するなど、国を挙げて開発を後押ししてきました。

 ただ、海外のワクチンに比べ早期の実用化はかなわず、国内で接種するワクチンは輸入に頼ることとなりました。

 一方で、日本の製薬会社のワクチン開発は海外のワクチンが実用化されてからも継続され、今回、承認されることになった第一三共のワクチン「ダイチロナ」や承認申請を行っている塩野義製薬のワクチン「コブゴーズ」以外にも、熊本県のワクチンメーカー、KMバイオロジクスがインフルエンザワクチンなどと同じ「不活化ワクチン」の臨床試験を行うなど、複数の企業が開発を進めています。

 2023年8月1日(火)

🟧日本の7月の平均気温、過去最高に 45年ぶり、平年より1・91度高く

 気象庁は1日、7月の平均気温が、平年を示す基準値(1991~2020年の平均)を1・91度上回り、統計を開始した1898年以降で最も高くなったと発表しました。これまでの最高は1978年のプラス1・51度で、45年ぶりに更新しました。

 特に7月後半から最高気温が35度以上の猛暑日が相次ぐなど、厳しい暑さが続きました。気象庁によると、台風が発生するなどフィリピン付近の積乱雲の活動が活発で太平洋高気圧の勢力が強くなり、暖かい空気が流れ込んだためだといいます。

 2023年8月1日(火)

🟧RSウイルス感染症が「流行入り」 静岡県が注意呼び掛け

 静岡県は26日、直近1週間(15~21日)のデータから「RSウイルス感染症が流行入りしている」と発表しました。定点医療機関となっている小児科1カ所当たりの患者数は1・64人で、県が流行入りの目安としている「1人」を大きく上回りました。前週の0・9人よりも8割増加し、急拡大が懸...