文部科学省は、来年度から大学発の医療系スタートアップ(新興企業)の支援に乗り出します。基礎研究の費用を補助し、人材育成もサポートします。有望な研究の実用化を後押しし、革新的な医薬品や医療機器の開発に向けた環境を整えます。
支援は、スタートアップを設立する研究者が所属する大学や研究機関を介して行います。東京大や京都大、国立がん研究センターなど国内の11大学・研究機関から公募で4、5カ所を選び、それぞれに研究費補助金などとして4億~5億円を充てます。
こうした財政支援に加え、研究者らに対し、薬事や治験、知的財産を巡る規制に詳しいプロ人材も紹介します。スタートアップにはこれらの専門知識にたけた人材が不足していることが多いとされ、人材育成につなげます。
文科省は関連経費として、20億円超を来年度予算案の概算要求に盛り込む方向です。2025年度以降の支援を継続することも検討しています。
日本の大学発スタートアップの数は近年、増加傾向にあります。経済産業省の2022年度調査によると3782社あり、2021年度調査の3305社から477社増えた。業種別(複数回答)では、バイオ・ヘルスケア・医療機器が1126社で、最も多かったIT(1146社)に次ぐ数でした。ただ、文科省によると、設立件数で、アメリカ、イギリス、ドイツと比べて大きく劣っているといいます。
医療系スタートアップへの支援強化は、新型コロナウイルスへの対応が後手に回った反省が背景にあります。日本は海外と比べ、ワクチンや治療薬の開発が遅れました。急速に進化するAI(人工知能)を活用したリモート診断や再生医療、バイオ医薬品の開発など、次世代医療は世界的に注目を集めています。文科省は日本の医療系スタートアップが抱える課題の解決を後押しし、国際競争力を高めたい考えです。
2023年8月14日(月)
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