2023/12/31

🟧犬を飼う高齢者、認知症発症リスクが4割低下 東京都健康長寿医療センターが1万人調査

 犬を飼っている高齢者は飼っていない高齢者と比べて認知症の発症リスクが4割低かったとする研究結果を、東京都健康長寿医療センター(鳥羽研二理事長)の研究チームがまとめました。65歳以上の1万人以上を調査した結果で、ペット飼育と認知症との関連を明らかにしたのは国内で初めてといいます。猫では大きな差はなく、犬との散歩による運動や地域の人との交流が関係しているとみられています。

 この調査は、同センター「社会参加と地域保健研究チーム」の協力研究員で国立環境研究所の谷口優主任研究員らが、大田区に在住する65歳以上の男女1万1194人を対象に、2016年から2020年までのデータを分析しました。平均年齢は74・2歳で、女性がやや多く51・5%。調査時点で犬を飼っている人は959人で調査対象の8・6%、猫を飼っている人は704人で6・3%でした。

 追跡期間中の4年間で認知症を発症した人は、認知症の有無を調べることができた人の5%でした。このうち現在犬や猫を飼っている人、過去に飼った人、飼ったことのない人と認知症発症の有無との関係について、発症リスクを示す「オッズ比」を算定して比較しまし

た。

 その結果、犬や猫を現在飼っていない人のオッズ比を1にした場合、犬を飼っている人は0・6、猫を飼っている人は0・98。犬を飼っている人は飼っていない人に比べ、認知症になるリスクが4割低かった一方、猫はほぼ変わりありませんでした。高血圧などの高齢者特有の疾患については、犬や猫を飼っている/飼っていない、との関係に有意差はありませんでした。

 さらに犬を飼っている人のうち、運動習慣の有無や、社会的に孤立しているか、との関係を調べました。犬を飼っておらず、運動習慣がない人の認知症リスクであるオッズ比を1にした場合、犬を飼っていて定期的な運動習慣がある人のオッズ比は0・37。犬を飼っていて社会的孤立がない人は0・41で、いずれも認知症発症リスクが大きく低下する傾向にあることもわかりました。

 犬の飼育が認知症発症リスクを下げる要因が何かについて、今回の研究は結論を出していません。ただ、一連の研究結果について研究チームは、10月11日に研究論文が掲載された国際科学誌「プリベンティブ・メディシン・リポーツ」中で、高齢者が犬を散歩させることで運動や社会的な交流の機会を増やすことがよい効果を上げている可能性を指摘しています。

 研究チームはまた、日本の犬猫飼育率は欧米より低いことから、今回の研究結果が欧米でも当てはまるかを評価し、犬を飼うことの心理的要因も検討する必要があるとしました。

 2023年12月31日(日)

🟧長崎大病院、ロボット手術再開へ 医療事故調査結果「過失なかった」

 長崎大学病院(長崎市)は28日、ロボットを使った子宮体がん手術を受けた長崎県内在住の女性(当時54)が手術から2週間後に大量出血し亡くなった医療事故について、手術中や術後の管理に過失はなかったとする調査結果を公表しました。事故後に停止していた同手術を来年2月から再開すると明らかにしました。

 女性はステージ1の子宮体がんと診断され、昨年7月21日に手術支援型ロボット「ダビンチ」を使って子宮を全摘出。8月1日に退院しましたが、同4日夜、自宅で下半身から大量出血して意識不明に陥り、出血性ショックで死亡し、搬送先の病院で死亡が確認されました。同5日に長崎大学病院で病理解剖し、子宮に近い左外腸骨動脈に約2ミリの穴が確認されました。

 長崎大学病院は昨年11月、外部の専門家9人を含む委員17人で構成する「医療事故院内調査委員会」を設置。4月に報告書を取りまとめ、遺族に結果を説明していました。

 報告書によると、委員による手術ビデオの確認で「血管への明らかな熱損傷は認められなかった」などとしました。女性は術後感染症を発症していたと考えられ、死因については「外腸骨動脈の全層に波及した化膿(かのう)性炎症による壁破壊に起因した動脈性出血」と判断。「感染性血管炎による血管破綻は想定外の稀有(けう)な合併症であり、退院時または死亡前に診断することは難しかった」と過失を否定しています。

 再発防止策として、血液検査の回数を増やし、手術部位の感染が否定できない場合は感染症診療科の医師に必ず相談することや、術後15日目まで入院してもらうことなどを決めました。

 会見した中尾一彦病院長は、「ご遺族には今後も丁寧に説明していきたい」と述べました。

 2023年12月31日(日)

2023/12/30

🟧認知症基本法、新年に施行 本人や家族の意見反映

 認知症の人が尊厳や希望を持って暮らせる共生社会実現が目的の新法、認知症基本法が2024年1月1日に施行されます。岸田文雄首相が本部長の「認知症施策推進本部」設置を規定し、国が本人や家族らの意見を反映した「基本計画」を作ります。都道府県や市区町村にも「推進計画}の策定を促し、各地域で本人の社会参加や相談・ケア体制整備などが期待されます。

 認知症に特化した初の法律で、2023年6月14日に議員立法で制定。団塊世代が全員75歳以上となる2025年には認知症の人は推計675万~730万人で、高齢者の約5人に1人に上ると見込まれます。

 法律は基本理念に、国や自治体が対策に取り組む責務があり、国民も認知症の理解を深めることに努めると明記。施策として、(1)学校教育などで理解増進(2)交通安全の確保、使いやすい製品普及(3)社会参加の機会確保や雇用継続へ啓発(4)適切な保健医療や福祉サービス提供(5)本人や家族の相談体制整備―などが盛り込まれました。

 政府はこうした対策の「基本計画」作りに向け、本人や家族、医療関係者などから意見を聞きます。都道府県や市区町村は努力義務として、各地域の本人らの意見を踏まえ「推進計画」を策定します。

 2023年12月30日(土)

🟧感染症、来年1月から2月に警戒が必要 インフル高止まり、コロナ増加傾向

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に移行してから初めての年末年始を迎える折、季節性インフルエンザの感染は高止まりし、東京都内では溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の初の流行警報が発出されました。加えて、新型コロナウイルスの感染者も増加傾向。医療関係者は、「来年1~2月はコロナ禍の過去3年間よりも大変な冬になるかもしれない」と警鐘を鳴らしています。

 厚生労働省は22日、全国約5000の定点医療機関が11~17日に報告したインフルエンザの患者数が14万7858人で、1医療機関当たり29・94人だったと公表しました。前週よりやや減ったといえど、30人超の「警報レベル」に近く、予断を許しません。

 東京都は21日、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者が都内で増えているとして、1999年の感染症法施行以来初の警報を発出しました。子供が多く感染し、急な発熱や、のどの痛みなどの症状がみられます。

 のどや目などに症状が出る咽頭結膜熱も、例年の同時期より大幅に増えています。

 浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師は、「コロナ禍のマスクや手洗いで多様な感染症ウイルスにさらされていない期間が長かったため、免疫が確立されていないことが感染症流行の要因と考えられる。呼吸器系の感染症以外にも食中毒も多い。流行の中心は子供だが、大人も注意が必要だ」と語っています。

 新型コロナも4週連続で増加傾向です。世界保健機関(WHO)は19日、変異型「JN・1」を「注目すべき変異型」に分類したと発表しました。既存のワクチンに効果があるとし、公衆衛生に大きな脅威をもたらすリスクは低いとの認識を示しました。

 矢野医師は、「この冬は医薬品不足も問題になっている。コロナ以外の感染症も加わり、医療機関の病床がひっ迫したり、救急搬送困難事案などが増えることも予想される」と危惧しています。

 忘新年会や帰省、Uターンなど人の動きも活発になる年末年始の感染拡大も心配です。

 矢野医師は、「コロナ禍のような過度な対策は必要ないが、受験生や高齢者を守る行動は必要だ。公共交通機関で移動する際にはマスクを着用するほか、唾液を経由する感染症もあるので、会食で食卓を囲む際にも、はしやスプーンを共有しないことを勧める」と助言しました。

 2023年12月30日(土)

🟧水道管の漏水エリアを人工衛星から点検 期間短縮や効率化を実現

 地中に埋められた水道管の老朽化が課題となる中、長野県で人工衛星を使って漏水エリアを見付ける点検が実施されました。人による点検と比べ、期間短縮や効率化が実現できたといい、各地の自治体でも採用する動きが広がっています。

 この点検は、イスラエルの企業が開発し、国内の代理店「ジャパン・トゥエンティワン」(愛知県豊橋市)が提供しています。国内では愛知県豊田市での導入以降、北九州市や浜松市など70余りの自治体で使われました。

 人工衛星から地表へマイクロ波を照射します。マイクロ波が地中で漏れた水に当たると反射波が発生。この波を衛星で受信した後、独自のアルゴリズムで解析し漏水エリアを浮き彫りにできます。機器の設置や設備投資も不要で、漏水部分は半径100メートルの範囲まで絞り込めるとしています。

 長野県内では昨年、全長約2000キロメートルの水道管にこの点検を実施し、395カ所で漏水の疑いを検知。早期の修繕につながったといいます。従来は作業員が地中の異常音を手掛かりに一カ所ずつ確認しており、時間がかかる上、作業員の熟練度によって発見率のばらつきが課題でした。

 水道管の耐用年数は40年程度とされています。しかし、人口の減少や節水機の普及、飲料水の購入の増加など家庭の水道使用が減少したことによって水道事業による収入が十分に見込めなくなった結果、水道管を新しくする予算が捻出できないという窮状があります。

 2023年12月30日(土)

🟥出産前などに多く分泌される「オキシトシン」に毛の成長促す働き 神奈川県の研究所など発表

 神奈川県の研究所などの研究チームは、出産前や授乳期の女性で多く分泌され、分娩誘発・促進作用がある「オキシトシン」と呼ばれるホルモンに、毛の成長を促す働きがあることを人の細胞を使った実験で突き止めたと発表しました。

 この研究は、神奈川県立産業技術総合研究所の景山達斗研究員と横浜国立大学の研究チームが国際的な科学雑誌で発表しました。

 チームは、妊娠中に体毛が濃くなったという体験談に注目し、妊娠後期から授乳期の女性に多く分泌されるホルモン、オキシトシンと毛の成長の関係を調べました。

 チームでは、人の細胞から毛根の根元にある「毛包」と呼ばれる器官を作製し、オキシトシンを振りかけて変化を観察したところ、6日目の時点でオキシトシンをかけなかった場合と比べて毛の元となる組織の長さが約1・3倍になっていました。

 また、毛包にかけるオキシトシンの量を増やすほど、毛の成長にかかわる特定の遺伝子が活発に働くこともわかったということです。

 このためチームは、オキシトシンが毛の成長を促している可能性があるとしています。

 景山研究員は、「妊娠によって体毛が濃くなるという声を裏付ける結果で驚いている。脱毛症に悩む女性や子供にも使える薬の開発などに役立てたい」と話しています。

 2023年12月30日(土)

2023/12/29

🟥脳死判定、瞳孔検査できない場合はCTで代替へ 臓器提供の意思尊重に期待

 厚生労働省は来年1月から、脳死判定で瞳孔の状態を確認する検査などができない場合、CT(コンピューター断層撮影法)やエックス線を使った補助検査を導入します。画像検査で脳内の血流が失われていることを確認します。

 本人や家族に臓器提供の意思があるものの、検査ができないため提供に至らない例があるものの、補助検査の導入で、より提供の意思が尊重されるようになると期待されます。

 臓器移植法に基づく法的な脳死判定では、①深い昏睡(こんすい)②光を当てても瞳孔が動かず、一定以上広がっている③顔を左右に振っても眼球が動かないなど脳幹反射の消失④平たんな脳波⑤自発呼吸の消失の5項目を、2人以上の医師が6時間(6歳未満は24時間)以上の間隔を空けて2回確認します。

 しかし、交通事故で目が傷付いていたり、白内障があったりすると、瞳孔や脳幹の状態を調べるのが難しいため、厚労省は代わりの手段として、画像検査を使って判定することを認めることにしました。

 検査項目のうち、深い昏睡、平たんな脳波、自発呼吸の消失については、従来通り確認が必要です。

 医療現場が検査を行いやすいようにするため、2024年度に脳死判定のマニュアルを改訂します。

 2023年12月29日(金)

🟥北海道の新型コロナ感染者、約3カ月ぶりに1医療機関当たり10人超え 神奈川県の感染者は6週連続で増加

 北海道は28日、道内の定点医療機関における18〜24日の新型コロナウイルス感染者数が1施設当たり10・69人だったと発表しました。前の週から1・38人増加しました。10人を超えるのは9月25日〜10月1日以来、約3カ月ぶり。全定点医療機関の合計感染者数は313人多い2416人でした。

 道内の定点医療機関における感染者数は増加傾向にあります。道感染症対策課によると「年末年始が近付き、人との接触増加が影響しているのでは」といい、手洗いや換気など基本的な感染対策を呼び掛けています。

 新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は28日、県内358カ所の定点医療機関で報告された感染者数を公表しました。18~24日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は2・88人で前週比0・38人増え、6週連続で増加しました。

 報告された患者数は全県で1030人。定点医療機関当たりでは、横浜市が2・68人、川崎市が3・35人、相模原市が2・33人、政令市以外の県域が3・05人でした。27日時点の入院者数は364人(前週比113人減)で、うち重症者は7人(同2人増)でした。

 また、同期間の季節性インフルエンザは定点医療機関当たりの平均患者数が22・10人で、前週比2・08人減少しました。

 報告された患者数は全県で7912人。定点医療機関当たりでは厚木保健福祉事務所(31・16人)、鎌倉保健福祉事務所三崎センター(31・00人)の管内で警報レベルの30人に達しました。

 2023年12月29日(金)

🟥新型コロナワクチン未接種の職員を隔離し廊下で業務、第三者委「人権保障に問題」 滋賀県の消防本部

 滋賀県の消防本部が、新型コロナウイルスのワクチンを接種していない女性職員を隔離し、廊下で業務をさせていたなどの問題で、第三者委員会が「組織としてのコンプライアンスやガバナンスの確保、人権保障において問題があったと考えられる」と指摘しました。

 滋賀県甲賀市の甲賀広域行政組合消防本部によりますと、2021年4月、警防課の30歳代の女性職員がインフルエンザのワクチン接種で副反応が出たことがあるとして、新型コロナのワクチンを接種しない意向を上司に伝えました。

 消防本部は、接種の有無で区別が必要と考え、この女性職員を廊下脇のスペースに隔離して業務をさせ、更衣室の使用も制限。さらに、職場での行動記録を提出するよう求めました。

 職場で接種していなかったのはこの女性職員だけでしたが、消防本部は「接種拒否者への業務区別」と題した文書を作成し全職員に伝えていて、女性職員はおよそ4カ月後の8月末に退職しました。

 弁護士や医療関係者らでつくる第三者委員会は26日、中間報告書をまとめました。報告書では、女性職員が上司から電話で「皆が(ワクチン接種を)受けているのに自分のことしか考えていない」などといわれたことのほか、何度も説得のための面談を受けたことなどが明らかにされました。面談では、基本的に摂取しないということが法的に認められないというようないい方がされ、「一般は任意だが消防職員は違う」という説明がされたということです。

 第三者委員会は、事実関係を確認した上で、「職員は、業務区別等の措置が続き、終わりがみえない状況で、自身の精神的苦痛が増大していった」とし、「職員の退職への判断に至る事情及び退職決意後の処遇等に関しては、違法、不当、または不適切な対応の疑いがある。関係する職員の処分等、および職員の権利救済の措置が検討される必要がある」と指摘しました。

 第三者委員会の新川達郎委員長は記者会見し、「公務員としての基本的なコンプライアンス違反が前提としてあり、人権侵害やハラスメント行為が認められる」と述べました。

 甲賀広域行政組合消防本部は、「『拒否者』という文言は配慮が足りなかったかもしれない。委員長の発言を重く受け止めるとともに、今年度末にいただくことになっている最終答申をもって、適切に対応してまいります」とコメントしています。

 2023年12月29日(金)

🟥オーバードーズの女子高校生を放置し、死亡させる 大阪府で58歳男を再逮捕

 大阪市中央区で16歳の女子高校生を車で自宅に連れ帰ったとして逮捕された58歳の男の容疑者が、市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)で体調不良になっていた女子生徒を自宅に放置し、急性薬物中毒で死亡させたとして、大阪府警は28日、保護責任者遺棄致死の疑いで再逮捕しました。

 再逮捕されたのは、住所不定の会社役員、橘孝憲容疑者(58)です。

 橘容疑者は11月11日、大阪市中央区の路上で16歳の高校1年の女子生徒を車に乗せ、当時の自宅だった大阪府茨木市中穂積のマンション一室に連れ帰ったとして、未成年者略取の疑いで逮捕されました。

 女子生徒は翌日、容疑者の自宅で死亡しているのが見付かっており、大阪府警によりますと、死因は急性薬物中毒で、体内から致死濃度の約2倍のせき止め薬の成分が検出されたということです。

 このため大阪府警は、市販薬のオーバードーズで体調不良になっていた女子生徒を病院に連れてゆくなどの対応をせず、自宅に放置して死亡させたとして28日、保護責任者遺棄致死の疑いで再逮捕しました。

 女子生徒を連れ帰る直前、2人はカラオケ店にいたことがわかっていて、大阪府警によりますと当初、容疑者は「部屋の中にせき止め薬の空き容器があり、女子生徒が大量に薬を飲んでいたことは知っていた」などと供述していたということですが、現在は調べに対し黙秘しているということです。

 2023年12月29日(金)

2023/12/28

🟥新型コロナの新変異型「JN・1」の検出急増 年末年始に想定した感染対策を

 新型コロナウイルスの「JN・1」(ジェイエヌ・ワン)と呼ばれる新たな変異ウイルスが世界的に拡大し、日本でも広がりをみせています。世界保健機関(WHO)はほかの変異ウイルスより重症化のリスクが高いという報告はないとしてますが、専門家は「JN・1の割合が増えている国の中には感染者数が急増しているところもある。国内でも感染者が増えることを想定し、対策をしてほしい」と話しています。

 新型コロナウイルスの「JN・1」はオミクロン型の一種で、2022年に国内でも広がっていた「BA・2」系統のウイルスがさらに変異したものです。

 世界各地でこの変異ウイルスが検出される割合が急増していることから、WHOは、12月18日に「VOI=注目すべき変異ウイルス」に指定しました。

 日本国内でも11月ごろから増加し、国立感染症研究所によりますと、「JN・1」が検出される割合は12月3日までの1週間で11・6%でしたが、今週の時点では31%に急増していると推定されています。

 新たな変異ウイルスの特徴について、WHOは免疫を逃避する能力が高まっている可能性があるとしている一方、入院や重症化のリスクが高くなっているという報告はないとしています。

 海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、「JN・1の割合が増えている国では感染者数が急に増えているところもある。国内でも感染者数が増えることを想定し、感染対策をしっかりしてほしい」と話しています。

 新型コロナウイルスの「JN・1」と呼ばれる新たな変異ウイルスは、アメリカで新規感染者の4割あまりを占めるなど、海外でも流行していて、WHOは、本格的な冬を迎える中、今後も感染の増加が予想されるという見方を示しています。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は、23日までの2週間に、新型コロナウイルスに新たに感染した人のうち、約44%が「JN・1」に感染しているとする推定を発表しました。

 前の2週間と比べると20ポイントほどの増加で、検出される割合が急増しています。

 WHOによると、「JN・1」はアメリカだけでなく、フランスやシンガポール、マレーシア、カナダ、イギリス、スウェーデンなどでも検出が相次いでおり、12月16日時点で、41カ国からこの変異ウイルスが報告されているということです。

 WHOは「JN・1」について、「本格的な冬を迎える中、感染の増加を引き起こすことが予想される」という見方を示しています。

 海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授によりますと、「JN・1」が増加しているアメリカやヨーロッパでは感染者数も急増している国もあるということです。

 これについて濱田特任教授は、「呼吸器の感染症が流行しやすい冬に入ったことや、クリスマスの休暇で人の移動が多かったことだけでなく、JN・1が増えていることが影響している可能性がある。一方、季節性があまり影響しないシンガポールでもJN・1の増加に伴い感染者も増えているので、より多くの国や地域に拡大することを懸念している」と指摘しています。

 その上で、「新型コロナが『5類』になって初めての年末年始で人の移動も多くなるとみられ、国内でも今後、感染者が増加することを想定すべきだ。混雑した場所ではマスクをしっかりすることや、換気を十分に行うこと、体調が悪い場合は自宅で療養するといった対策を取って、年末年始を過ごしてほしい」と呼び掛けています。

 2023年12月28日(木)

🟧iPS細胞使ったパーキンソン病治療、アメリカで臨床試験開始 住友ファーマ・京都大など

 製薬大手の住友ファーマなどは26日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経細胞をパーキンソン病の患者の脳へ移植する臨床試験(治験)を、アメリカで開始したと発表しました。対象患者が推定で日本国内の3~5倍いるアメリカでの実用化を目指します。

 パーキンソン病は、運動にかかわる神経伝達物質「ドーパミン」を分泌する脳の神経細胞が減り、手の震えや歩行困難などの症状が現れる病気。50歳以上で多く発症し、同社などによると国内に約20万~30万人、アメリカでは約100万人の患者がいると推定されています。

 京都大iPS細胞研究所や同社などは2018年、健康な人のiPS細胞からドーパミンを出す細胞を作って移植する臨床試験に着手。2021年までに予定していた7人の患者への移植を完了し、現在、安全性と有効性の確認を行っています。

 アメリカでの臨床試験はカリフォルニア大サンディエゴ校で実施。住友ファーマが日本で製造した細胞を空輸し、京大で行われている臨床試験とほぼ同じ方法で7人に移植する計画で、2年間経過を観察します。

 アメリカでは、iPS細胞と似た性質を持つES細胞(胚性幹細胞)を使ったパーキンソン病の臨床試験が先行しています。

 今回は、大学病院などが中心となって行う比較的小規模な臨床試験。より人数を増やした試験もアメリカで今年度中に開始する方針で、同社は2032年度末までの実用化を目指すといいます。

 2023年12月28日(木)

🟧新型コロナウイルスの「持続感染」で心不全リスク拡大の恐れ 理研、iPS細胞で実験

 冬の感染拡大期を迎えた新型コロナウイルスについて、急性期症状が収まった後も心臓の細胞にウイルスが残存した場合、心不全のリスクを潜在的に高める可能性があることがiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた実験で判明し、理化学研究所などの研究チームが発表しました。コロナ感染に起因する深刻な心不全が、今後目立つようになる可能性もあります。

 研究成果は22日、アメリカの科学誌「アイサイエンス」電子版に掲載されました。

 新型コロナに感染すると、発熱などの急性期症状が収まった後も少量のウイルスが体内にとどまる「持続感染」を起こすことがあり、後遺症との関係も指摘されています。

 研究チームはiPS細胞を使い、心臓に網目状に広がる血管や心筋細胞などの組織を模倣したシートを作製し、少量の新型コロナウイルスに感染させることで、心臓にウイルスが残存しつつも表面的には心機能や組織が問題なく維持される持続感染の状態を再現しました。

 持続感染のないシートを一時的に低酸素状態にして負荷をかけると、時間とともに心機能は回復しました。一方で、持続感染させたシートの場合は残存ウイルスが活性化して組織に深刻なダメージを与え、心機能は回復しませんでした。

 心臓で持続感染を起こす割合は不明で、持続感染の有無を検査する手法も未開発ですが、理化学研究所の升本(ますもと)英利上級研究員は「新型コロナ感染者は世界で7億人を超えている。割合は小さくても、患者は相当数に上る可能性がある」と指摘しました。

 2023年12月28日(木)

🟧東京都、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎と咽頭結膜熱の患者減少も警報続く

 東京都内の感染症について、東京都は24日までの1週間の1定点医療機関当たりの感染者数を公表しました。

 それによりますと、主に子供が感染し発熱などの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」が5・79人と前の週の0・96倍に、同じく子供を中心に感染する「咽頭結膜熱」が2・72人と前の週の0・81倍と、いずれも減ったものの、引き続き警報の基準を超えています。

 また、インフルエンザは18・08人と前の週の0・88倍に減ったものの、引き続き注意報の基準を超えています。

 一方、新型コロナウイルスは3・13人と前の週の1・.21倍となり、5週連続で増加しました。

 都はこまめな手洗いや、せきやくしゃみが出る場合はマスクをするなどの感染対策を呼び掛けています。

 2023年12月28日(木)

🟧インフルエンザワクチン接種にきた4人に新型コロナワクチン誤接種 山口県光市の診療所

 山口県光市の診療所が12月2日に季節性インフルエンザのワクチン接種のために訪れた子供を含む家族4人に、誤って新型コロナウイルスのワクチンを接種していたことが28日、県や市への取材でわかりました。7歳と5歳の子供にも、12歳以上用の新型コロナワクチンを接種していたということです。

 光市などによりますと、12月2日、市内の診療所でインフルエンザのワクチンを接種しにきた30歳代の夫婦と、7歳の女の子、5歳の男の子の家族4人に、誤って新型コロナウイルスのワクチンを接種するミスがありました。

 本来、11歳以下には小児用のワクチンを打たなければならないところを、7歳と5歳の子供にも12歳以上用の新型コロナワクチンを接種していたということです。

 接種の直後にスタッフがミスに気付き、家族に謝罪するとともに、当日、光市に電話で報告し、家族の健康状態の確認を定期的に続けているということです。

 この問題について、光市は山口県を通じて国にも報告しましたが、公表しておらず、理由についてインフルエンザワクチンは任意の接種のためだとしています。

 誤ったワクチンを接種された女性は、「希望していない上、子供に大人と同じ新型コロナのワクチンが誤って接種されたことで、子供の今後の影響が不安だ。こうした誤接種が起きないよう、すべての医療機関で再発防止につなげてほしい」と話しています。

 2023年12月28日(木)

2023/12/27

🟧海外で開発中の薬、日本人の事前治験不要に 厚労省が「ドラッグロス」解消へ

 厚生労働省は25日、海外で開発中の薬の早期承認を目指し、製薬会社が新薬開発を複数の国で進める国際共同の臨床試験(治験)前に求めていた日本人への事前の治験について、原則不要とする通知を出しました。

 近年、海外で使える薬が日本で実用化されない「ドラッグロス」が問題となっており、製薬企業側の負担を減らすことで患者の不利益を解消する狙いがあります。

 薬の承認を得るための臨床試験は一般的に3段階あり、少人数の患者らに薬を投与してから、最終段階は大人数を対象に実施します。

 国際共同治験は、それぞれの国で承認を得るために必要なデータを集めるもので、主に最終段階の試験で行われます。副作用や効果の人種差も調べます。欧米のメガファーマ(巨大製薬会社)を中心に実施されていますが、医薬産業政策研究所によると、2000~2021年の国別実施数で、首位のアメリカを始め、欧米各国が上位を占め、日本は23位にとどまります。

 これは、日本の独自ルールが妨げになっているとの指摘があります。日本が国際共同治験に参加する場合、厚労省は製薬会社に対し、原則として、事前に日本人で安全性などを確かめる臨床試験を実施するよう求めてきました。欧米ではこうした試験が必要となるケースはなく、多大な費用や時間がかかることから、欧米の製薬会社が国際共同治験の対象から日本を外すことにつながっているとみられます。

 そこで、このルールを見直し、患者が少ない小児がんや難病の薬、ほかの投与データで日本人での安全性を確保できると判断できる場合は、事前試験を求めないようにします。

 厚労省などによると、2020年時点で直近5年に欧米で承認された新薬のうち、日本では72%(176品目)が未承認で、2016年時点の56%(117品目)から増加しました。日本での承認が遅れる「ドラッグラグ」にとどまらず、使えないままになる「ドラッグロス」へと事態が深刻化しています。例えば、希少がんの「消化管間質腫瘍(GIST)」の治療薬「アバプリチニブ」は日本で使えません。

 これまでの事前試験で、日本人特有の有害な影響が起きた事例はほとんど確認されていません。ただ、抗がん剤など重い副作用が起きやすく、臨床試験の情報も少ない場合は慎重に判断するよう促します。事前試験をしない場合は安全性に十分配慮し、必要に応じて投与後の検査の頻度を高めたり、少量の投与から始めたりして患者のリスクを下げます。

 2023年12月27日(水)

🟧新たに6成分を指定薬物に追加 大麻グミ問題で販売・所持・使用を禁止

 大麻に近い成分が入ったグミを食べた人が相次いで体調不良を訴えた問題を受けて、厚生労働省は27日、大麻に似た有害な6成分を新たに指定薬物に追加しました。来年1月6日から、これらの成分を含む製品の販売や所持、使用が禁止され、違反した場合は3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が課されます。

 指定薬物に追加されたのは、大麻に似た有害成分「HHCP(ヘキサヒドロカンナビフォロール))」など6種類。厚労省は21日、HHCPなどを含むグミやクッキーなど38製品を危険ドラッグとして製造や販売を禁止していました。

 厚労省は11月、大麻に似た別の有害成分「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」を指定薬物としたものの、これに代わりHHCPが流通していました。今回の指定では、HHCPのほか、HHCHやHHCPに類似し、まだ流通が確認されていない成分も規制対象としました。

 厚労省は今後、別の系統の大麻に似た成分についても、規制対象にすることを検討しています。

 2023年12月27日(水)

🟧防除や水分管理、検査も不備 ナンブコムギからカビ毒検出でJA全農いわて

 岩手県産小麦の1つ、「ナンブコムギ」から基準値を超える「カビ毒」が検出された問題で、JA全農いわては26日、防除や水分管理の不備が原因で発生し、検査も適切に行われずに流通したと発表しました。

 JA全農いわてによると、生産段階での認識不足により、一部で適切な時期以外での農薬散布があったことが判明。乾燥や調製を行った岩手県北上市のライスセンターでは、荷受量の多さなどから適正な水分値までの乾燥に時間を要し、カビが増殖したとみられます。出荷前の自主検査では、採取量やサンプル数のルールが守られていませんでした。

 問題となった小麦はセンターで乾燥や調製された2022年産で、約400トンが流通し、9割以上を回収。北海道や東北、関東の学校給食などで使われました。カビ毒は、嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。

 JA全農いわては、「信頼回復と再発防止に努める」としています。

 2023年12月27日(水)

🟧阪急百貨店で販売の焼き菓子に幼虫が混入、自主回収 フランスからの輸入品

 阪急百貨店うめだ本店(大阪市北区)が、11月22日~12月25日に開かれた「クリスマスマーケット2023」で販売していた焼き菓子に幼虫が混入していたことが27日、明らかになりました。同百貨店を運営するエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングによると、複数の在庫品から幼虫が見付かり、すでに顧客が購入した商品にも混入している恐れがあります。現時点で健康被害は確認されていないといいます。

 混入が見付かったのは、輸入販売会社「ハートアートコレクション」(大阪市淀川区)がフランスから輸入したFORTWENGERブランドのパウンドケーキ、「ジンジャーブレッド(チョコレート)」で価格は1404円。11月22日から約1カ月で63個を売り上げました。

 今月21日に、販売員がパッケージ内に1センチ程度の幼虫を発見。在庫品をすべて回収して調べたところ、57個のうち5個から幼虫を確認しました。

 H2Oリテイリングは「ご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪。混入した経過を調査しています。商品については、輸入販売会社が自主回収を行うとともに返金対応します。 

 問い合わせは、ハートアートコレクション(06・6350・9775、土日祝日を除く、午前10時~午後5時30分)。

 2023年12月27日(水)

🟧A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、過去10年間で最多を5週連続更新 年末年始の感染拡大に注意

 子供を中心に流行が続く「溶連菌感染症」の一種、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の12月17日までの1週間の患者数は、5週連続で過去10年間での最多を更新しました。今後、年末年始で人の移動が増える時期となり、感染が広がる懸念が高まるとして専門家は対策を呼び掛けています。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は主に子供が感染し、発熱やのどの痛みなどの症状のほか体に赤い発疹が出ることもあります。

 国立感染症研究所によりますと、12月17日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は、前の週より622人増え、1万5818人となりました。

 1医療機関当たりでは5・04人と前の週を0・21人上回り、過去10年間での最多を5週連続で更新しました。

 都道府県別では、鳥取県が9・32人、富山県が8・66人、千葉県が8・3人、福岡県が8・19人、山形県が8・11人、埼玉県が8・04人と、6つの県で国の警報レベルの目安となる「8」人を超えています。東京都は6・05人、大阪府は5・51人、愛知県は3・5人となっています。

 また、子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出る咽頭結膜熱は、12月17日までの1週間で報告された患者数が前の週より19人増えて1万966人、1医療機関当たりでは3・49人と、依然として患者数が多い状況が続いています。

 都道府県別では、福井県が7・88人、北海道が7・51人、佐賀県が6・26人となっているほか、東京都が3・36人となっていて、26の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。このほか愛知県が2・6人、大阪府が2・44人となっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「冬休みに入り、子供たちの間での流行はいったん落ち着くと思うが、年末年始に人の移動が増えることで全国に広がる可能性もある。医療機関が休業する時期だが、おう吐が止まらなかったり、ぐったりしていたりなど、全身の状態が悪い時は自治体の電話相談や、休日診療をしている医療機関、それに救急の窓口などを利用してほしい。また、人にうつさないためにも体調が悪い時は予定を中止するといった判断をしてほしい」と話しています。

 2023年12月27日(水)

2023/12/26

🟧フグの稚魚が混入した「釜揚げしらす」、九州5県で1314パック販売 福岡市の業者が自主回収

 福岡市内のスーパーで販売されていた「釜揚げしらす」にフグの稚魚とみられるものが混入していたことがわかりました。

 福岡市によりますと、24日、西区のスーパー「マルキョウ福重店」で釜揚げしらすを購入した客から「フグの稚魚のようなものが入っているので調べてほしい」と店に連絡があり、判明しました。

 福岡市の博多区保健福祉センターによると、混入していたのは約1・5センチのフグの稚魚とみられ、稚魚に毒性があるかどうか不明ですが、食べるとしびれなどの神経まひが起きる可能性があるといいます。これまで健康被害の届け出はないものの、当該商品の購入者は食べずに購入した店か近くの保健所に連絡するよう呼び掛けています。

 釜揚げしらすは博多区の加工・販売業者「楢崎商店」が納品したもので、福岡、大分、佐賀、長崎、熊本各県のマルキョウのうち、34店舗で12月4日から24日までに1314パックが販売されています。

 フグとみられる稚魚は、しらすを水揚げした時に混入した後、パック詰めの際に目視での選別から漏れたとみられ、業者が25日から自主回収を進めています。

 2023年12月26日(火)

2023/12/25

🟧市販薬のオーバードーズが疑われる救急搬送、半年で5625件 女性は4132件、男性は1493件

 市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)が原因と疑われる救急搬送が、今年6月までの半年で5600件余りに上ったことが、消防庁と厚生労働省の調査でわかりました。

 風邪薬などの市販薬を巡っては、決められた量や回数を超えて使用するオーバードーズが問題となっていて、若者が救急搬送されるケースが相次いでいます。

 消防庁と厚労省が、全国の都道府県や政令指定都市などの52の消防本部を通して、今年6月までの3年半、救急搬送された人のうち救急活動記録にオーバードーズが疑われる記載がある事例を集計しました。

 その結果、2020年が9595件、2021年が1万16件、2022年が1万682件でした。

 また、今年は1月から6月までの半年間で5625件で、このうち、女性が全体の73%の4132件、男性が全体の27%の1493件と、10歳代以上のすべての年代で女性が男性より多くなりました。

 また、年代別では、20歳代が1742人と最も多く、次いで30歳代が891人、10歳代が846人で、若い世代を中心に搬送が相次いでいました。

 麻薬に似た成分を含む市販薬を大量に摂取すると、幻覚やけいれんなどを引き起こす恐れがあります。厚労省は、乱用の恐れがある医薬品について、検討会で20歳未満に大容量の製品や2箱以上の販売を禁止する販売制度の案をまとめて法改正を目指しているほか、薬局やドラッグストアに適正な販売を周知するよう都道府県に通知を出し、乱用をやめられないと悩む人には相談窓口を活用するよう呼び掛けています。

 2023年12月25日(月)

🟧ノババックスの新型コロナワクチン、有効期限を迎え国内接種終了へ 厚労省が発表

 新型コロナウイルスのワクチンのうち、従来型に対応したアメリカの製薬会社ノババックスのワクチンについて、厚生労働省は有効期限を迎えたため、国内での接種を終了すると発表しました。

 新型コロナウイルスのワクチン接種は現在、アメリカの製薬会社のファイザーとモデルナ、それに日本の製薬会社・第一三共が開発したオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応したワクチンと、アメリカの製薬会社ノババックスが開発し、武田薬品工業が国内で生産した従来型ワクチンの合わせて4種類で行われています。

 このうちノババックスのワクチンについて、厚労省は、25日で購入したすべてのワクチンが有効期限を迎えるため、国内での接種を終了すると発表しました。

 厚労省によりますと、ノババックスのワクチンは、昨年5月から使用され、ファイザーやモデルナ、それに第一三共のワクチンとは異なり、遺伝子組み換え技術で作ったウイルスのタンパク質を接種する「組み換えタンパクワクチン」で、これまでのワクチンでアレルギー反応が出た人などに使うことを想定していたということです。

 当初に購入契約を結んだ1億5000万回分のうち、9割超に当たる約1億4176万回分の供給がキャンセルされた経緯があって、これまで約824万回分を購入し、このうち約110万回分が自治体に配送されて接種に使用されました。一方、配送されなかった約714万回分については、使用されずに廃棄される予定だということです。

 厚労省は、「希望する国民全員に接種の機会を提供するため、廃棄は発生したが無駄ではなかったと認識している」としています。

 2023年12月25日(月)

🟧成人は睡眠6時間以上を推奨 健康づくりで厚労省が睡眠ガイド

 適切な睡眠を取るための指針の改定を議論する厚生労働省の検討会は21日、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を取りまとめました。小学生は9~12時間、中高生は8~10時間、成人は6時間以上を目安に睡眠時間を確保するよう推奨。高齢者には、長時間睡眠は健康リスクだとして、寝床で過ごす「床上時間」が8時間以上にならないよう注意喚起しました。

 適切な睡眠時間は個人差があるものの、睡眠不足が慢性化すると、肥満や高血圧、心疾患などの発症リスクが上昇し、死亡率にも影響します。2019年の国民健康・栄養調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は男性37・5%、女性40・6%。

 経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本人の睡眠時間は、世界のほかの国と比べても少ないという調査結果が出ています。2021年の調査によりますと、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、各国平均の8時間28分より1時間以上短く、33カ国の中で最も短いという結果になりました。

 ガイドは、睡眠で休養が取れている感覚「睡眠休養感」を高めることも大切だと説明。寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まずにできるだけ暗くして寝る、就寝直前の夜食や眠るための飲酒は控える、といった要点を挙げました。

 この中で世代を成人と子供、高齢者の3つに分け、このうち成人については推奨する睡眠時間を6時間以上を目安とするとしました。

 また、子供については、小学生は9時間から12時間、中学生・高校生は8時間から10時間確保することを推奨しています。

 一方、高齢者については、寝床にいる時間が8時間以上にならないことを目安に必要な睡眠時間を確保してほしいとしました。

 さらに、今回は睡眠について近年の研究で科学的に明らかになった内容も盛り込まれました。

 この中で、成人と高齢者は、目覚めた時に体が休まったと感じる「睡眠休養感」が重要で、アメリカで行われた調査では、40歳から64歳の働き盛りの世代について、睡眠時間が5時間半未満で「睡眠休養感」が低いほど死亡リスクが高まったという結果が紹介されています。

 そして、「睡眠休養感」を高める対策としては、就寝間際に夕食をとったり、朝食を抜いたりといった習慣の改善を挙げています。

 一方、子供については、研究の結果、睡眠時間が不足すると肥満のリスクが高くなったり、学業成績が低下したりしたという報告があり、対策として生活習慣に注意し、小学生から高校生までは1日に1時間以上体を動かし、ゲームやスマートフォンの利用時間を2時間以下にすることを推奨しています。

 今回取りまとめた「睡眠ガイド」は早ければ来月(1月)にも厚労省のホームページで公開し、どう活用していくかについて有識者会議を立ち上げ議論していくとしています。

 睡眠の問題に詳しく、厚労省の検討会の座長も務める久留米大学の内村直尚学長は、日本人の睡眠時間の短さについて、「日本人は睡眠に対して無頓着なところがあり、眠ることを犠牲にして働くことが頑張っている証拠だとして、戦後、睡眠を削って働いたり勉強したりすることによって経済成長と教育のレベルを高めてきたと思う。それが日本人の健康寿命を短くしたり幸福度を低くしたりといった1つの要因になっている」と指摘しています。

 2023年12月25日(月)

🟧アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」、患者への投与始まる 東京都と大阪市で50歳代に点滴

 アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」が今月、保険適用となったことを受け、東京都内にある認知症の専門外来がある病院では、25日から患者への投与が始まりました。

 日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同開発した「レカネマブ」は、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドベータ」を取り除き、進行を遅らせるための国内で初めての治療薬で、12月20日から保険適用となっています。

 これを受けて、この薬の専門外来を設置した東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)では、25日午前から投与が始まり、都内在住でアルツハイマー病の50歳代の女性の患者が1時間余りかけて薬の点滴を受けました。

 この薬の対象となるのは、アルツハイマー病で認知症を発症する前の「軽度認知障害」や早期の認知症と診断された人で、副作用が起きていないかなどを定期的に確認する必要があることから、投与できるのは専門的な検査などが受けられる医療機関に限られています。

 薬は2週間に1回投与され、1年半をめどに続けられるということです。

 50歳代の女性は25日、主治医の井原涼子・脳神経内科医長の診察を受けて、体調を確認。午前9時半過ぎから1時間余りかけて点滴で投与を受け、投与後もアレルギー反応などに備えて、念のため院内で待機しました。

 女性は、「やっと薬を使わせてもらってほっとした。今まで通りの生活ができるように自分も気を付けたい」と話しました。

 今後も2週間ごとに通院して点滴を受けるほか、定期的にMRI(磁気共鳴画像)検査も受け、脳内に微小出血などの副作用が起きていないかチェックします。

 東京都健康長寿医療センターの岩田淳副院長は、「これまでの薬は症状を緩和させるためのものだったが、新薬でようやくアルツハイマー病と闘えるスタートラインに立てた」と話していました。

 このほか、大阪公立大学病院(大阪市)でも、21日に50歳代の男性に「レカネマブ」を投与したことがわかりました。同病院の武田景敏・脳神経内科講師によると、若年性認知症外来の受診者だといいます。

  アルツハイマー病は、認知症全体の6~7割を占めるとされます。記憶障害などの症状が現れる10~20年前から脳内にアミロイドベータが徐々に蓄積して神経細胞が傷付き、脳が委縮すると考えられています。世界保健機関(WHO)の推計では、世界の認知症患者数は約5500万人。

 2023年12月25日(月)

🟧血液製剤の免疫グロブリン製剤不足で治療に支障 厚労省が安定供給へ輸入計画変更

 免疫がかかわるさまざまな病気に有効な血液製剤の免疫グロブリン製剤が需要急増で不足し、厚生労働省が25日までに、本年度の輸入量を1・4倍に増やすため需給計画を変更しました。製剤は乳幼児に多い川崎病の治療にも使われ、東京都立小児総合医療センターは4都県の29病院に緊急調査を実施。うち6病院に製剤不足による患者の転院例があるなど、治療に支障も出ていることがわかりました。

 免疫グロブリンは抗体機能を持つタンパク質で、献血血液から高純度に精製・濃縮した製剤が作られます。重症感染症などの治療で長年使われ、川崎病の急性期のほか、近年は神経疾患のギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発神経炎と適応疾患が拡大。厚労省研究班の報告では国内供給量がこの10年で1・5倍程度に増えたとされます。

 新型コロナ関連の制限緩和で受診控えが減ったことも影響したとみられ、今年4月には国内で製造・販売する全4社(日本血液製剤機構、武田薬品工業、KMバイオロジクス、CSLベーリング)の製剤が限定出荷になりました。

 厚労省の血液事業部会は10月、本年度の需要見込みを約257万本から約273万本に変更し、輸入目標量を約50万本から約71万本に増やすことを決めました。

 2023年12月25日(月)

2023/12/24

🟧健康保険証、来年12月2日に廃止を正式決定 猶予期間は最長1年間

 政府は22日の閣議で、現行の健康保険証を来年、2024年12月2日に廃止することを正式に決めました。廃止後も最長1年間は猶予期間として今の健康保険証が利用できるほか、「マイナ保険証」を持っていない人には代わりとなる「資格確認書」を発行するとしています。

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化を巡り、今年6月に成立した法律では2024年12月8日までに今の健康保険証を廃止することが定められています。

 先週、岸田文雄首相は予定どおり2024年秋に今の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に移行する方針を表明し、これを受けて政府は22日の閣議で、2024年12月2日に保険証の発行を終了し、廃止することを正式に決めました。同日以降、新規発行を停止します。

 現行の健康保険証は廃止された後も猶予期間として最長1年間使える一方、「マイナ保険証」を持っていない人には、有効期限が最長5年の「資格確認書」を発行し、医療機関を受診できるようにします。

 武見敬三厚生労働相は閣議の後の記者会見で、「多くの国民にマイナ保険証のメリットを実感してもらえるよう、あらゆる手段を通じて努力する」と述べました。

 その上で、マイナ保険証の利用率を向上させた医療機関に支援金を支給することなどを通じ、利用を促進していく考えを示しました。

 2023年12月24日(日)

🟧神戸徳洲会病院、インスリン投与せず糖尿病の男性患者死亡 院長が既往歴見落としか

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)に入院していた糖尿病の70歳代男性が9月に死亡した事案があり、市保健所は22日、医師が既往歴を見落とし適切な対応をしなかった可能性があるとして、医療法に基づき病院を立ち入り検査しました。

 市や病院によると、通院患者だった男性は新型コロナウイルスへの感染で肺炎が重症化し、8月に別の大学病院に転院。症状が改善したため9月5日に神戸徳洲会病院に戻り入院したものの、9月15日に死亡しました。主治医の新保雅也院長が糖尿病の既往歴を見落とし、インスリンの投与など必要な治療がなされず、血糖値のコントロールができずに死亡した可能性があります。

 同病院は当初、遺族側に死因を肺炎と説明。内部で調査委員会を立ち上げたものの、医療事故かどうかの結論は出さず国などに報告していませんでした。市の指摘を受け12月、国の医療事故調査制度に基づき外部機関に検証を依頼しました。病院の担当者は、「市の指導を受けながら院内の情報共有体制などを調べる」としています。

 同病院を巡っては、循環器内科の男性医師がかかわったカテーテル手術後に11人の患者が死亡した問題が、7月に発覚。市が8月に、安全管理体制に不備があったとして行政指導しました。11月に指導の是正状況を病院に確認する過程で、今回の入院した男性へのインスリン投与を一時実施せず、死亡したことがわかったといいます。

 市が病院側に指摘した後、病院側は遺族への説明内容を「死因は肺炎」から「血糖値をコントロールする治療をできずに死亡した可能性がある」と変更したといいます。

 2023年12月24日(日)

🟧来年度の診療報酬改定、人件費など引き上げも薬価は引き下げ

 政府は20日午前、2024年度の診療報酬の改定を巡り、医師や看護師らの人件費に回る「本体」部分を0・88%引き上げる一方、薬代の「薬価」部分は、公定価格と市場での取引価格の差額を踏まえて1%引き下げ、診療報酬全体では0・12%のマイナス改定とすることを決めました。全体の引き下げは、2016年度以降5回連続となります。

 診療報酬の「本体」の改定率は、2022年度の前回改定(0・43%)を大きく上回る水準となります。鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が同日午前、閣僚折衝を行い合意しました。

 介護保険サービスの公定価格である介護報酬は1・59%、障害者への福祉サービスを行う事業者に関する障害福祉サービス等報酬も1・12%、それぞれ引き上げます。介護報酬は、前回2021年度改定の0・7%から大幅に増加。障害福祉サービス等報酬も、2021年度改定の0・56%を大きく上回りました。

 診療報酬は2年に1度改定され、介護報酬と障害福祉サービス等報酬は3年に1度改定されます。2024年度は6年に1度、これら3つの報酬が同時に改定されます。

 閣僚折衝の後、武見厚生労働相は記者会見を開き、「医療・介護・福祉の分野で働く人の賃上げを実現できる水準を確保できた。財務省と主張に開きがあったのは事実だが、賃上げによる経済の好循環を作る役割を果たすことを考えながら任に当らせていただいた。今後、この改定率を前提に賃上げや処遇改善につながる仕組みの構築に向けて具体的な議論を深めていきたい」と述べました。

 2023年12月24日(日)

🟧高齢者の介護保険料、年間所得420万円以上は増額へ 「応能負担」を強化

 65歳以上の高齢者が支払う介護保険料について、厚生労働省は来年度から年間所得が420万円以上の高齢者を対象に引き上げることを決めました。

 65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は、国が示した基準をもとに市町村が決めています。

 現在の国の基準は年間所得や年間の年金収入に応じて9段階の区分を設けていて、最も低い区分の「80万円以下」の人から、最も高い区分の「320万円以上」の人まで、所得が高い人ほど増額される仕組みです。

 しかし、65歳以上の高齢者が支払う介護保険料について、厚労省は来年度から年間所得が420万円以上の高齢者を対象に引き上げることを決めました。

 具体的には、現在「320万円以上」に設定している最も所得の高い区分を細分化して、新たに「420万円以上」「520万円以上」「620万円以上」「720万円以上」の4段階を設け、年間所得が420万円以上の所得の高い高齢者(145万人)については、収入に応じて保険料を納める「応能負担」を強化し、これまでよりも高い介護保険料を負担してもらうことになりました。

 また、厚労省は所得が低い高齢者(1323万人)については介護保険料の負担額を減らすことにしています。

 負担割合の変更は来年、2024年4月から行われる予定です。

 介護保険料には、40歳から64歳までの現役世代が支払う保険料と、65歳以上の高齢者が支払う保険料の、2種類あります。

 介護費用が増え続ける中、持続可能な仕組みをつくるために、厚生労働省は65歳以上の高齢者のうち、所得が高い人の負担額を増やす案について検討してきました。

 65歳以上が支払う介護保険料は、介護保険制度が始まった23年前の2000年度は全国平均で月2911円でしたが、急速な高齢化が進む中、現在は月6014円と2倍以上になり、2040年度には月9000円程度になると推計されています。

 物価高なども重なって、所得が低い高齢者の実質的な負担が増していますが、厚労省は今回、所得が高い高齢者の負担額を増やし、所得が低い高齢者の負担額を減らすことで、同じ世代の中で高齢者同士負担を分け合い、制度を持続可能なものにするための見直しを行いました。

 2023年12月24日(日)

🟧小麦から「カビ毒」検出の岩手県、県内26市町村で利用確認 ふるさと納税返礼品や給食で

 JA全農いわてが販売する岩手県産小麦「ナンブコムギ」から基準値を超えるカビ毒が検出された問題で、学校給食やふるさと納税の返礼品などへの影響が広がっています。カビ毒の可能性がある小麦の利用が確認されたのは、県内全33市町村の約8割に当たる26市町村。これまでに健康被害は確認されておらず、県は「通常の摂取量で健康に影響をおよぼす可能性は低い」として、冷静な対応を呼び掛けています。

 JA全農いわては11月28日、県産小麦の一部から、カビ毒の一種「デオキシニバレノール」が、食品衛生法の基準(1キロ・グラム当たり1ミリ・グラム)の最大約6倍検出されたと発表。対象の小麦約710トンのうち、約404トンはすでに小麦粉などとして出荷され、製粉会社などが自主回収を始める事態となりました。

 ナンブコムギは地域の特産品にも広く利用され、12月7日には、花巻市がふるさと納税の返礼品「花巻産南部小麦そうめん」に使われていたと発表。ほかの自治体の返礼品でも利用が次々と判明し、影響は14日までに計8市町(計481件)におよびました。

 学校給食にも、すいとんや煎餅(せんべい)汁、ひっつみ汁などとして提供され、14日までに少なくとも県内計26市町村のほか、青森、宮城両県の小中学校などで利用が確認されました。

 内閣府の食品安全委員会によると、今回検出されたデオキシニバレノールは、汚染された食品を食べると嘔吐(おうと)や下痢などを引き起こす恐れがあるとされます。製粉や調理の過程で濃度が薄まるという報告もあるといい、同委員会は「基準は低く設定されている。超過しても、ただちに健康への影響が出る性質のものではない」としています。

 「南部せんべい」の原材料にナンブコムギを使っていた盛岡市の「老舗白沢せんべい店」は11月27日から休業して商品を自主回収するなどし、これまで約2万枚、商品価格で200万円以上のせんべいを廃棄したものの、12月18日に再開しました。一部の商品で安全性が確認された別のナンブコムギの利用を再開しており、白沢一美津社長(51)は「ごまにもピーナッツにも負けない風味と味があり、ずっしりした重量感も出る。今後も利用を戻していきたい」と話しました。

 2023年12月24日(日)

2023/12/23

🟧小中学生の体力調査、男子はコロナ以降で初めて前年度上回る 中2女子は過去最低を更新

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に50メートル走など、8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、男子は新型コロナウイルスの感染拡大以降初めて合計点が前の年度を上回り、女子の低下傾向も、これまでより緩やかになったことがわかりました。 スポーツ庁は、新型コロナによる行動制限が緩和され、体を動かす活動が増えた影響が考えられると分析しています。

 国は、平成2008年度から、全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走やボール投げ、反復横とび、上体起こし、握力、立ち幅跳び、長座体前屈などの8つの項目で体力や運動能力を調べており、今年度は約190万人が対象になりました。

 この中で、実技8項目の成績を数値化した「体力合計点」の全国平均は、男子が小中学生ともに新型コロナの感染拡大以降、初めて上昇傾向に転じ、「握力」を除く、すべての項目で前の年度を上回りました。

 中でも、「立ち幅跳び」は、小学生が1メートル51センチ余りで、前回より3ミリ伸びたほか、中学生が1メートル96センチ余りで、調査開始以来、最もいい成績となりました。

 一方、女子の体力合計点は、小学生がほぼ横ばい、中学生は過去最低を更新しましたが、低下傾向はこれまでより緩やかになり、改善の兆しがみられるということです。

 このうち、「長座体前屈」は、小中学生ともに前の年度を上回り、小学生が38センチ余りで、前の年度と比べて2・7ミリ伸びて、これまでで最もいい成績となり、中学生が46センチ余りで、過去2番目にいい成績となりました。

 全国体力テストの合計点は、男女ともに2019年度から低下が続き、昨年度は調査開始以来、最も低くなっていましたが、新型コロナの感染拡大以降、初めて改善傾向を示す結果となりました。

 これについてスポーツ庁は「学校や地域で行動制限が緩和されて、体を動かす活動が増えた影響が考えられる」と分析し、今後は、コロナ禍で減少した運動習慣を生活の中で定着させることが課題だとしています。

 調査結果の分析にかかわった、子供のスポーツ学が専門の中京大学の中野貴博教授は、男子と女子では体力合計点の回復の度合いに差があり、中学女子では、前の年度を下回ったことについて「運動に対する気持ちは、男子のほうがポジティブな傾向が強く、思春期の発達を考えても中学校2年生ぐらいの女子は、運動の好き嫌いが分かれ、やらない時間が続くことでちょっと距離を置く傾向がある。コロナ禍を経て、ほかの学年や男子に比べると、その影響が強く残った可能性がある」と指摘しています。

 その上で、「運動が得意だという意識が強くない女子でも、競技ベースではないものや、仲間同士でやるものには非常にいい反応を示すので、そこを理解して、いろいろな運動をさせる取り組みを強化していくことで、数年かけて元の水準に戻せるのではないか」と話していました。

 2023年12月23日(土)

🟧デング熱、2023年に500万件発生し5000人死亡 WHO発表

 世界保健機関(WHO)は22日、蚊が媒介するウイルス感染症のデング熱の発生件数が2023年に500万件を超えたと発表しました。80を超える国・地域で計5000人以上の死亡が報告され、地球規模で感染リスクが高まっていると判断しました。渡航や貿易の制限は勧告していません。

 発生件数は過去最悪の水準に近付いており、約8割が北アメリカと南アメリカに集中しているといいます。人口10万人当たりでは、ブラジルやペルー、メキシコなどが多くなっています。地球温暖化による気温上昇や脆弱な医療体制など複数の要因が感染急増につながっていると分析しました。

 WHOは、デング熱感染に対する特定の治療方法が確立されていないため、早期発見と医療機関への受診が死亡率を下げるとも指摘しています。

 デング熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカと呼ばれる蚊が媒介して感染します。最近では在留邦人などの感染事例も増加しています。感染対策としては、日中や外出時には長袖や長ズボンなどを着用することで肌の露出を控え、虫除けスプレーを使用し、蚊に刺されないことが重要となります。就寝時には蚊帳を利用し、蚊に刺されないように対策を取る必要があります。

 2023年12月23日(土)

🟧介護施設職員などの高齢者虐待が過去最多更新 2022年度856件、厚労省調査

 高齢者が介護施設の職員などから受けた虐待の件数は、昨年度850件余りと過去最多を更新したことが、厚生労働省のまとめで明らかになりました。

 厚労省が全国の自治体を通じて、高齢者が介護施設の職員などから受けた虐待について調べたところ、2022年度は856件で、前の年度から15・8%増の117件でした。また、市町村への相談・通報件数は16・9%増の2795件で、いずれも2年連続で増加し過去最多となりました。介護現場は深刻な人手不足に陥っており、過度な業務負担によるストレスや疲労などが影響している可能性がある。

 1件の虐待で被害者が複数いるケースもあり、被害者数では1406人。複数回答で、暴力や拘束といった身体的虐待が57・6%で最も多く、暴言などの心理的虐待が33・0%、長時間放置などの介護放棄が23・2%でした。死亡したケースも8件(8人)ありました。

 虐待が起きた要因は、「教育・知識・介護技術などに関する問題」が56・1%と最も多く、次いで「職員のストレスや感情コントロールの問題」が23%でした。

 一方で、家庭内での家族や親族などによる虐待は前の年より243件増えて、1万6669件でした。

 虐待が起きた要因を調べると、複数回答で、虐待を受けた高齢者に認知症の症状があったケースが56・6%。虐待をした家族側の要因では、介護疲れ・介護ストレスが54・2%、理解力の不足や低下が47・9%でした。

 また、介護者がネグレクトをしたり、介護疲れなどから家族を殺害するいわゆる「介護殺人」をしたりしたことなどから死亡したと判断した高齢者は、32人となりました。

 厚労省は、「件数が高止まりしているが虐待への意識が高まり、顕在化したことも要因の1つと考える。自治体と引き続き連携して対策を強化したい」としており、虐待の発生を防止するため来年度から義務付けている施設での職員研修の実施などの措置が行われていない場合には、施設に支払う介護報酬を減らすことを決めています。

 2023年12月23日(土)

🟧インフルエンザ患者0・89倍 前週比減も23道県で警報レベル

 厚生労働省は22日、全国約5000の定点医療機関が11~17日に報告した季節性インフルエンザ患者数は14万7858人で、1医療機関当たり29・94人だったと発表しました。前週(33・72人)比0・89倍と減少しましたが、23道県で警報レベルとされる「30人」を超え、例年の同時期と比べて患者数が多い状況が続いています。

 国立感染症研究所によると、全国の推計患者数は約101万9000人でした。直近5週間

で検出されたウイルスはA香港型と呼ばれるH3型が58%、2009年に新型として流行したH1型が38%で、2つのタイプのA型が同時に流行しています。

 都道府県別で1医療機関当たりの患者数が最も多かったのは大分県55・17人、最も少なかったのは沖縄県9・61人。休校や学年・学級閉鎖は全国で計6334校で、前週の6382校から48校減りました。

 多くの人は軽症ですむものの、子供が感染するとインフルエンザ脳症を発症する場合があ

ります。沖縄県は20日、10月から11月にかけて県内に住む16歳未満の子供がインフルエンザA型に感染し、インフルエンザ脳症で死亡した事例が2例あったと発表しました。

 2023年12月23日(土)

🟧新型コロナワクチン定期接種の自己負担額、最大7000円程度 来年度、高齢者ら対象

 来年度から一部自己負担が求められる新型コロナウイルスワクチンの接種について、厚生労働省は、接種費用の自己負担額を最大で7000円程度にする方針を決めました。

 新型コロナワクチンの接種は、現在は費用が全額公費負担で、無料で受けることができますが、来年度以降は季節性インフルエンザなどと同様に、原則費用の一部自己負担を求める「定期接種」で行われます。

 定期接種の場合、国の交付税で、接種費用の3割程度を補助した上で接種が行われますが、新型コロナワクチンはインフルエンザワクチンと比べると高額で、厚労省の専門家会議では委員から「自己負担が高額になることへの対策を考えてほしい」と意見が上がっていました。

 こうした中、厚労省は、インフルエンザワクチン定期接種の費用が約5000円となっていることを参考に、接種費用の自己負担額を最大で7000円程度にする方針を決めました。

 ただ、ワクチンの価格が高い場合に、差額を国が補助するかどうかなど、自己負担額を7000円に収めるための方法については、今後検討するということです。

 このほかに、自治体独自の補助が行われた場合は、さらに負担額が少なくなることも考えられるとしています。

 一方、定期接種の対象者は65歳以上の高齢者と、60歳から64歳で基礎疾患がある重症化リスクの高い人で、これ以外の人は「任意接種」となるため、自己負担額は7000円を超える見通しだということです。

 国内の新型コロナワクチンの価格は明らかになっていないものの、アメリカではワクチンの価格と手技料を合わせて2万円前後だといいます。

 2023年12月23日(土)

2023/12/22

🟧新型コロナウイルス患者、4週連続で増加 前週比1・18倍

 厚労省によりますと、11日から17日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から3132人増えて2万511人となりました。

 また、1つの定点医療機関当たりの平均の患者数は4・15人で、前の週の1・18倍となりました。前の週から増加が続くのは、4週連続となります。

 都道府県別では多い順に、山梨県が9・63人、北海道が9・31人、長野県が8・49人、愛知県が6・09人、岐阜県が5・97人などとなっていて、40の都道府県で前の週より増加しています。少なかったのは沖縄県2・07人、大阪府2・49人、神奈川県2・50人など。

 17日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1320人で、前の週と比べて176人減りました。

 2023年12月22日(金)

🟧後発医薬品の沢井製薬に行政処分 不正試験で大阪府、福岡県、厚労省

 後発医薬品(ジェネリック医薬品)最大手の「沢井製薬」が国の承認を得ていない不正な方法で試験を実施していた問題で、本社がある大阪府と工場がある福岡県は22日、それぞれ法律に基づく業務改善命令の行政処分を出しました。また、厚生労働省も総括製造販売責任者の変更命令を出しました。

 沢井製薬は今年10月、福岡県飯塚市にある九州工場で製造した胃薬「テプレノンカプセル50ミリグラム『サワイ』」について、品質を確認する試験を国の承認を得ていない不正な方法で実施していたと発表しました。

 この問題について、本社がある大阪府と工場がある福岡県は、2015年からおよそ8年間にわたって、薬の溶け具合を調べる際に別のカプセルに詰め替える不正な方法で試験が行わていたことを、製造販売業者として認識できず、適正な製造管理ができていなかったなどとして、それぞれ沢井製薬に対し、医薬品医療機器法に基づく業務改善命令を出しました。大阪府は製造販売業、福岡県は九州工場に製造業の許可を与えています。

 また、厚労省も、総括製造販売責任者を務める取締役が原因究明を指示しなかったほか、不正について大阪府や厚労省に報告しなかったなどとして、総括製造販売責任者の変更命令を出しました。

 薬は自主回収が進められていて、厚労省によりますと、健康被害などは確認されていないということです。

 沢井製薬の九州工場は今後1カ月以内に業務改善計画を提出することになっており、大阪府や福岡県は改善状況を確認することにしています。

 厚労省や大阪府などからの処分を踏まえ、沢井製薬は、澤井光郎会長が月額報酬の50%を、木村元彦社長が月額報酬の25%を、それぞれ半年間、減額することを明らかにしました。

 その上で会社は、今年10月にまとめた、すべての従業員へのコンプライアンス教育の実施や、生産時の作業手順の検証などを柱とした、再発防止策を進めているとしています。

 沢井製薬は、「患者様や医療従事者を始めとする関係者の皆様に大変なご迷惑、ご心配をおかけしていること、深くお詫び申し上げます。行政処分を厳粛に受け止め、役員や従業員が一丸となって再発防止に向けた取り組みを徹底的に行い、信頼を回復できるように努めてまいります」とコメントしています。

 2023年12月22日(金)

2023/12/21

🟧A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、東京都で初の警報発表 患者の9割超が15歳未満

 東京都は、主に子供が感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の患者数が初めて警報基準を上回ったとして、21

午後に発表し、こまめな手洗いや、せきやくしゃみが出る場合はマスクをするなどの感染対策を呼び掛けています。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は数日の潜伏期間の後、突然の発熱やのどの痛みなどの症状が出る子供がかかりやすい感染症です。

 関係者によりますと、12月17日までの1週間の患者数で、1医療機関当たりで一定数を上回った保健所管内の人口の合計の割合が都内全体の30%余りとなり、警報基準の30%を上回ったということです。都によると、今年に入って報告された患者の9割超が15歳未満でした。

 関東では、20日、埼玉県と千葉県でも警報基準を上回ったことが公表されました。

 溶連菌にはさまざまな種類がありますが、発熱やのどの痛みなどの症状が出る溶連菌感染症のほとんどがA群溶血性レンサ球菌という細菌が原因です。

 主に幼児や小学生などの子供がかかり、数日の潜伏期間の後、突然の38度以上の発熱やのどの痛みなどの症状のほか、首や胸などに赤い発疹が出たり、舌に小さな赤い出来物が出たりすることがあります。

 東京都で同じく警報が発令されている咽頭結膜熱(プール熱)は、12月17日までの1週間の定点医療機関当たりの患者報告数が3・36人(前週3・23人)で、引き続き警報レベル。

 注意報が発令されているインフルエンザは、同期間の患者報告数が20・48人(前週20・30人)。新型コロナウイルスは、2・58人(前週2・31人)でした。

 2023年12月21日(木)

🟧新型コロナワクチンの公平分配目指す国際枠組み、年末に終了へ WHO発表

 世界保健機関(WHO)は20日までに、新型コロナウイルスワクチンの国際的な共同購入・分配の枠組みである「COVAX(コバックス)ファシリティ」を2023年末に終了すると発表しました。これまで世界の146カ国でおよそ20億回分のワクチンを供給し、低所得国における接種率の向上に貢献しました。

 COVAXファシリティは日本など195の国・地域が参加し、低所得国を含めたワクチンの公平な分配を目指し、新型コロナが世界的に感染拡大した2020年に発足しました。

 WHOによると、COVAXファシリティの取り組みにより、低所得国のコロナワクチンの2回目接種率は57%に達しました。世界平均の67%にはまだ隔たりがあるものの、「少なくとも270万人の死亡を防いだ」といいます。

 低所得国は今後2年間、ワクチン普及を進める国際組織「Gaviワクチンアライアンス」を通じて、コロナワクチンを調達できます。すでに58カ国が2024年用に8300万回分のワクチンを希望しているといいます。

 COVAXファシリテについて、WHOは、グローバル・サウスと呼ばれる途上国や新興国で「新型コロナの苦しみを緩和するのに大きく貢献した」と評価する一方、設立当初、資金不足やワクチンの輸出制限で供給が計画通りに進まなかったことを踏まえ「ワクチンの不公平さを完全に克服することはできなかった」と指摘しています。

 2023年12月21日(木)

🟧自転車の交通違反に反則金導入へ 16歳以上対象で最大1万2000円想定

 近年事故が増えている自転車について、警察庁は、信号無視など悪質な違反をした16歳以上を対象に「青切符(交通反則切符)」を導入する方針を固めました。2024年の法改正を目指します。

 警察庁の有識者検討会が取りまとめた中間報告書によると、自転車の違反についても刑事責任が問われる「赤切符(交通切符)」だけではなく、自動車や電動キックボードのように、反則金の支払いを求めるいわゆる「青切符」を適用します。

 対象年齢は16歳以上となり、これまでも違反が目立った信号無視、一時不停止、遮断踏切への立ち入り、歩道通行などのほか、新たに携帯電話の使用が対象となり、反則金は5000円から1万2000円程度となる見込みです。

 ただ、携帯電話の使用で事故につながる危険な行為は、酒酔いや酒気帯び運転と同じ「赤切符」の対象となります。

 一方、取り締まりについては、これまで通り、原則、指導や警告を前提としていて、通勤通学の多い時間帯や利用者が多い重点地区を中心に行われます。

 また、車道を走る自転車を保護する目的で、十分な距離がない場合には、自動車には安全な速度で走行すること、自転車にはできる限り端に寄ることを義務付ける規制も設けられます。

 警察庁によると、2022年は国内で自転車関連の交通事故が6万9985件発生しました。全交通事故に占める割合は23・3%となり上昇傾向にあります。また、自転車が絡む死亡重傷事故では、7割以上で自転車側にも違反があります

 こうした悪質な自転車に対して、全国の警察は取り締まりを強化し、昨年は2万4549件が摘発され、10年前から3倍以上となりました。

 警察庁は、来年1月の最終報告書を踏まえ、道交法の改正案を通常国会に提出する方針で、改正から2年以内に施行される見通し。

 2023年12月21日(木)

🟧アメリカ海軍横須賀基地、PFAS流出防止フィルターの稼働停止 軍側「濃度安定」と説明

 昨年、神奈川県横須賀市にあるアメリカ海軍横須賀基地の排水から有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」の一種が高濃度で検出された問題で、アメリカ軍が海への流出を防ぐために設置したフィルターの稼働を今年10月に停止していたことが、明らかになりました。

 アメリカ軍側は「濃度が安定している」と説明しているということです。

 昨年5月以降、アメリカ海軍横須賀基地の排水処理施設から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」の一種、「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」が国の暫定基準値を上回る濃度で相次いで検出され、最大で基準値の258倍に上りました。

 その後、アメリカ軍は海への流出を防ぐため基地内にフィルターを設置していましたが、21日に防衛省の担当者が横須賀市の上地克明市長と面会し、アメリカ軍側から今年10月にフィルターの稼働を停止したと説明があったことを明らかにしました。

 その理由について、アメリカ軍側は「PFOSなどの濃度が安定している」と説明しましたが、排水処理施設の水の濃度を測った調査の結果を提供してほしいという要請には応じなかったということです。

 上地市長は、「停止から2カ月間も情報提供がなかったのは大変遺憾だ」として、防衛省の担当者に対し、アメリカ軍側に調査結果の提供を強く求めるよう改めて要請しました。

 2023年12月21日(木)

🟧大麻類似成分含む38製品の販売や広告、21日から禁止 厚労省、グミ流通問題で

 大麻に似た成分が入ったグミを食べた人が相次いで体調不良を訴えた問題で、規制対象になったグミと類似した成分を含む製品の販売が続けられていることから、厚生労働省は21日、類似の38の製品について、全国の店舗やインターネットでの販売や広告を禁止する命令を出しました。

 大麻に類似した危険ドラッグを巡っては、いわゆる「大麻グミ」に含まれていた「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」が規制対象の薬物に追加され、今月から販売などが禁止されています。

 一方、類似の成分が入った製品の販売は続けられています。

 厚労省によりますと、今年11月以降、規制の対象になっていない大麻に類似した成分、「HHCP(ヘキサヒドロカンナビフォロール)」や「THCPO(テトラヒドロカンナビフォロールアセテート)」を含むとみられる製品を摂取した後、救急搬送されたケースが全国で少なくとも6件報告されているということです。

 こうした状況を受け、指定薬物以外の成分でも生産や流通を広域的に規制する必要があるとして、規制の対象になっていない大麻類似成分、「HHCP」や「THCPO」など5つの成分を含む可能性があるとみられるグミやクッキーなど38の製品について、21日付けで、医薬品医療機器法に基づき、全国の店舗やインターネットでの販売や広告を禁止する命令を出しました。

 厚労省麻薬取締部は6~8日に危険ドラッグを販売する各地の40店舗に立ち入り調査を実施。うち25店舗にあった液体状の「リキッド」や、ろう状の「ワックス」を含む140製品について個別に販売停止命令を出していました。

 厚労省は、早ければ年明け以降に「HHCH」と構造が似た成分をまとめて指定薬物として規制対象にする「包括指定」を行うことにしており、5つの成分の指定も合わせて検討します。

 2023年12月21日(木)

🟧大麻類似成分含む38製品の販売や広告、21日から禁止 厚労省、グミ流通問題で

 大麻に似た成分が入ったグミを食べた人が相次いで体調不良を訴えた問題で、規制対象になったグミと類似した成分を含む製品の販売が続けられていることから、厚生労働省は21日、類似の38の製品について、全国の店舗やインターネットでの販売や広告を禁止する命令を出しました。

 大麻に類似した危険ドラッグを巡っては、いわゆる「大麻グミ」に含まれていた「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」が規制対象の薬物に追加され、今月から販売などが禁止されています。

 一方、類似の成分が入った製品の販売は続けられています。

 厚労省によりますと、今年11月以降、規制の対象になっていない大麻に類似した成分、「HHCP(ヘキサヒドロカンナビフォロール)」や「THCPO(テトラヒドロカンナビフォロールアセテート)」を含むとみられる製品を摂取した後、救急搬送されたケースが全国で少なくとも6件報告されているということです。

 こうした状況を受け、指定薬物以外の成分でも生産や流通を広域的に規制する必要があるとして、規制の対象になっていない大麻類似成分、「HHCP」や「THCPO」など5つの成分を含む可能性があるとみられるグミやクッキーなど38の製品について、21日付けで、医薬品医療機器法に基づき、全国の店舗やインターネットでの販売や広告を禁止する命令を出しました。

 厚労省麻薬取締部は6~8日に危険ドラッグを販売する各地の40店舗に立ち入り調査を実施。うち25店舗にあった液体状の「リキッド」や、ろう状の「ワックス」を含む140製品について個別に販売停止命令を出していました。

 厚労省は、早ければ年明け以降に「HHCH」と構造が似た成分をまとめて指定薬物として規制対象にする「包括指定」を行うことにしており、5つの成分の指定も合わせて検討します。

 2023年12月21日(木)

2023/12/20

🟧ダイエット目的で糖尿病の治療薬を処方され、体調不良相次ぐ オンライン診療に注意

 ダイエットを目的としたオンライン診療を受け、食欲を抑えるなどとうたって糖尿病の治療薬を処方され、体調不良につながる事例が相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼び掛けています。

 国民生活センターによりますと、全国の消費生活センターなどに寄せられた「美容医療のオンライン診療」に関する相談は、今年4月からの半年間で169件に上り、昨年の同じ時期の1・7倍に増加していて、およそ9割が糖尿病の治療薬を処方されたことに関する相談だということです。

 こうした中、本来、糖尿病の治療薬として承認されている「GLPー1受容体作動薬」が、食欲を抑える目的で副作用の説明が不十分なまま処方され、体調不良につながるケースが相次いでいるということです。

 このうち、40歳代の女性が、ダイエット目的で申し込んだオンライン診療で、医師から「効果を得るために半年ほど服用してほしい」などといわれ、1カ月ほど服用を続けると頭痛や吐き気、めまいなどの症状が現れたという事例や、30歳代の男性が、わずか1分のオンライン診療で3カ月分の糖尿病治療薬を処方され、服用したところ腹痛や下痢の症状が現れたという事例が報告されているということです。また、薬が定期的に届く「定期購入」の契約になっていて、解約ができないといったトラブルの事例も相次いでいるということです。

体的には、糖尿病の治療薬を「ダイエット治療薬」として副作用の説明なく処方されるケースや、基礎疾患や服用中の薬を聞かれることなく処方されるケースがあったということです。

 国民生活センターによりますと、「GLPー1受容体作動薬」はダイエット目的で使用する際の安全性や有効性は確認されておらず、厚生労働省の指針でも、医学的な必要性に基づかない処方は不適切とされています。

 国民生活センターは、副作用が出ても補償を受けられないことがあることから、医師の説明が不十分だと感じた場合は、安易に薬の処方を受けないよう注意を呼び掛けています。

 2023年12月20日(水)

🟧乳幼児の5種混合ワクチン、定期接種へ ヒブ追加、来年4月から開始

 厚生労働省の予防接種基本方針部会は20日、これまで乳幼児が別々に打っていた4種混合とインフルエンザ菌b型(ヒブ)のワクチンについて、2つを合わせた5種混合ワクチンの定期接種を2024年4月から開始する方針を了承しました。

 今年3月に阪大微生物病研究会の「ゴービック」、9月にKMバイオロジクスの「クイントバック」の2つの5種混合ワクチンが薬事承認されていました。現行のワクチンと同等の有効性や安全性が確認されており、厚労省が定期接種への導入を検討していました。

 当面は4種混合とヒブのワクチンも使用でき、4種混合とヒブの両方を接種する場合、生後2カ月から計8回の接種が必要となります。

 5種混合は、接種回数を4回に減らせ、乳幼児の負担を軽減できます。接種スケジュールは現行の4種混合とおおむね同じで、生後2カ月~7カ月に接種を開始し、4週~8週あけて3回目の接種を終えるのが標準的。4回目は6カ月以上たってから接種します。対象は7歳半まで。

 4種混合は百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ予防のワクチン。ヒブは感染すると肺炎や敗血症などを発症する場合があり、2013年にワクチンが定期接種に導入されました。

 2023年12月20日(水)

🟧沖縄県、インフルエンザ脳症で16歳未満の子供2人死亡 死亡例は2010年以来

 沖縄県は20日、10月から11月にかけて県内に住む16歳未満の子供がインフルエンザA型に感染し、急性脳炎で死亡した事例が2例あったと発表しました。いずれも基礎疾患はなく、意識障害の症状が確認されました。具体的な年齢や居住地は非公表としています。

 インフルエンザ脳症は沖縄県内で毎年発生しているものの、死亡例が確認されたのは2010年1月以来。

 県内の直近(12月4~10日)の1定点医療機関当たりのインフルエンザ感染患者報告数は9・67人。全国で最もインフルエンザが拡大し、流行警報を出した10月以降は減少傾向にあるものの、依然として流行注意報の発表基準(1定点医療機関当たり10人)に迫る流行状況が続いています。

 県はインフルエンザが例年1~2月に流行のピークを迎えることから、手洗いやマスク着用、予防接種といった感染予防策を取るよう呼び掛けました。

 インフルエンザは重い合併症として、細菌性の肺炎を引き起こしたり、インフルエンザ脳症と呼ばれる重度の中枢神経症状を起こす急性脳炎を発症したりすることがあります。インフルエンザ脳症は発熱の0~1日後に、けいれんや意識障害といった神経症状がみられ、急速に進行し、数日で死に至ることがあります。

 2023年12月20日(水)

🟧オンライン診療、デイサービス施設で受診可能に へき地に限らず都市部も緩和

 政府はオンライン診療を受けられる場所を広げる方針で、デジタル機器に不慣れな高齢者が受診しやすいように通所介護施設や学校も対象に加えます。現在は自宅や診療所以外で受けられる場所は、へき地の公民館などに限定していました。高齢者らがデイサービスと同時に受診できるようになります。

 18日の規制改革推進会議の作業部会で、地域を「へき地など」に限定する条件を廃止すると決定しました。都市部を含めてオンライン診療へのアクセスを高め、医療提供を効率化します。

 家族や施設職員らにパソコンなどの操作を手助けしてもらって受診することを想定します。介護施設と医療機関の両方に通う患者にとって、通院を減らせる利点があります。

 現在は離島や山間部などのへき地に限り、医師が常駐しない施設でもオンライン受診を可能にしていて、居住系の介護施設、公民館などにとどまっていました。

 今後は、日帰りで通う介護事業所や学校も新たに加えます。厚生労働省が「患者が長時間にわたり滞在する」との要件に、デイサービスを提供する施設が当てはまると認めます。

 必要性や医療機関へのアクセスの難しさなどを都道府県が地域ごとに確認し、患者が急変した際に医療対応できる環境であることも求めます。

 12月内にまとめる規制改革推進会議の中間答申に方針を盛り込み、3年内にも厚労省が自治体に通知します。

 介護施設に頻繁に通う高齢者の中には、要介護のレベルが高く定期的に受診を必要とする人も多く、体調や症状の悪化を早期に発見できる効果も期待できます。

 全国各地で鉄道や路線バスの廃止・縮小が続き、高齢者の通院にかかる負担が重くなっているとともに、医師の都市部偏在の影響で、離島や山間部以外でも医療アクセスが低下する懸念があります。

 高齢者は増加傾向にあり、総務省の調査によると2022年9月時点で総人口に占める65歳以上の割合は約29%に上ります。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると2070年には39%程度に上昇する見込みで、高齢者医療を支える環境づくりが課題となっています。

 2023年12月20日(水)

🟧アメリカの新型コロナ感染56%増 有料化響きワクチンの接種率低迷

 アメリカで新型コロナウイルスやインフルエンザ、RSウイルスなど呼吸器系感染症が急拡大しています。アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、12月上旬のコロナ新規入院患者数は1カ月前と比べ6割増えました。感染が広がる一方、ワクチンの無償提供の終了などで接種が進んでいません。アメリカ当局は重症患者が増えれば医療逼迫が起こる可能性を指摘しています。

 CDCの最新の発表によると、12月9日までの1週間のコロナ新規入院患者数は2万3432人で、5週連続で前の週を上回りました。患者数は約1カ月前の11月4日の週と比べると56%増えました。重篤化するケースも増えており、コロナとインフル、RSウイルス感染で救急治療にかかった割合は3つの感染全体の5・3%と、約1カ月前の2・7%から上昇しました。

 冬は乾燥するほか、11月下旬の祝日であるサンクスギビング(感謝祭)前後の休暇時期で外出や旅行が増えるために、感染が広がりやすくなります。昨年2022年12月末にコロナの入院患者は約4万5000人まで増えています。

 州別の呼吸器系感染症の流行をみると、全米51州のうち18州で流行が「活発」もしくは「特に活発」となっています。特に南部で感染が広がっており、ルイジアナ州とサウスカロライナ州は最高レベルの分類となっています。

 アメリカではインフル、RSウイルスのワクチンに加え、9月にはコロナの追加接種の提供も始まりました。だが、感染が拡大している12月2日時点で、コロナの追加接種の接種率は18歳以上で17・2%、重症化リスクが高いとされる65歳以上でも36%にとどまっています。RSウイルスワクチン(60歳以上で推奨)の接種率は15・9%と低水準で、インフルワクチンの接種率は58・6%と前年を3ポイント程度下回っています。

 コロナワクチンの接種率の低迷は、5月にコロナの緊急事態宣言が解除され、接種の無償化が終了した影響がありそうです。医療機関での接種の呼び掛けや周知が遅れているとの指摘もあります。

 コロナワクチン主要メーカーのファイザーは12月、2024年12月通期のコロナワクチンと治療薬の売上高について、2022年のピークの6分の1に落ち込むとの予想を発表。感染動向がワクチン需要の底上げにつながっていないとしています。

 CDCは14日、感染拡大が医療逼迫を引き起こす可能性があるとして、医療関係者に積極的にコロナ、インフル、RSウイルスのワクチン接種を患者に推奨するよう呼び掛けました。

 2023年12月20日(水)

2023/12/19

🟧電動キックボード6車種、製品の安全性が基準に適合せず 国交省が公表

 電動キックボードの利用の広がりを受け、国土交通省がインターネットで販売されている製品の安全性を調べたところ、6車種でブレーキの性能が低いなど基準に適合していないことがわかりました。国交省は製品名を公表し、基準に適合していない製品の使用を控えるよう呼び掛けています。

 国交省はインターネットで販売されている電動キックボード81車種のうち、情報提供などから、安全性を定めた保安基準に適合していない恐れのある10車種の調査を行いました。

 調査はそれぞれの製品を1台購入して行われ、その結果、6車種で基準に適合していないことがわかったということです。

 国交省によりますと、6車種は「オールジャパン企画」、「Smacircle」、「MOBIーBIKE」、「FUGU」、「RICH BIT」、「COSWHEEL」のそれぞれ1車種です。

 これらの製品では、ブレーキをかけてから止まるまでの距離が基準より長かったものや、駐車するためのスタンドがなかったり、段差を安定して走行できなかったりしたものがあったということです。

 また、ウインカーやブレーキランプがなかったものや、ランプの明るさが基準を下回ったものもありました。

 販売する会社では、購入者に電話して説明を行ったり、会社のホームページで使用しないよう呼び掛けたりするなどすでに対応を始めているということです。

 国交省は会社に対し、車両の改修などを指導しているほか、ホームページで製品名を公表し、基準に適合していない製品の使用を控えるよう呼び掛けています。

 2023年12月19日(火)

🟧短時間の大量飲酒「ビンジドリンキング」に注意 厚労省が年末年始に向け呼び掛け

 忘年会、新年会の多い年末年始に合わせ、厚生労働省が、短時間に大量の酒を飲む「ビンジドリンキング」を控えるよう注意喚起しています。今年の冬は新型コロナウイルス感染対策の緩和で酒席が増加傾向にあり、大量飲酒は急性アルコール中毒の危険性を高め、命にかかわるケースもあります。同省は、「飲む場合は、料理や会話を楽しみながらゆっくり、を心掛けて」と呼び掛けています。

 「ビンジ」は英語の「binge」で、度を越して何かをすることの意味。厚労省によると「一度に純アルコール量60グラム以上」の飲み方がビンジドリンキングに該当します。60グラムの目安は、ビール中瓶3本、日本酒は3合、ウイスキーならダブル3杯です。

 厚労省は、日本人の4割は遺伝的にアルコールが弱いか飲めない体質だとし、啓発ポスターで、一気飲みや飲酒を強要するアルコールハラスメントは危険だと強調。一度にたくさん飲むと転落事故や交通事故のほか、けんかなどを起こすリスクが高まるとしています。

 2023年12月19日(火)

🟧駐車場で不審者が消火装置起動、PFOS含む157リットルの泡消火剤が川に流出 東京都町田市 

 東京都町田市の駐車場で消火装置を何者かが起動して、有害性が指摘されている有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤がまき散らされ、近くの川に流れ出ていたことが7日、わかりました。

 町田市によりますと、3日の午前1時40分ごろ、原町田1丁目にある市営の立体駐車場で、不審者が建物2階に設置されていた消火装置を作動させるハンドルのカバーをこじ開けて手動で起動し、天井から泡消火剤がまき散らされました。

 通行人が警察と消防に連絡して発覚。防犯カメラには、成人男性が消火装置を作動させる様子が映り込んでいました。泡消火剤の噴出は、連絡を受けた消防隊員の到着まで約40分間続きました。

 当時、駐車場に車は止まっておらず、その後、市の指定管理の事業者が清掃作業をしたため、排水溝から泡消火剤が流出し、近くを流れる境川に流れ出たということです。

 流出した泡消火剤には水のほか約157リットルの薬剤が入っていて、この中には有害性が指摘されている有機フッ素化合物のPFOSが8リットルから1・6リットル程度含まれていました。

 市によりますと、8日に市内で川の水質検査をした結果、下流の2カ所で1リットル当たり810ナノグラムと190ナノグラムの、国の基準値の50ナノグラムを大幅に上回るPFOSが検出されたということです。

 境川は飲み水に使われていないものの、市は下流域にある神奈川県内の5つの市にも情報を提供して注意を呼び掛けています。

 市は管理事業者の対応が適切だったか、検証を進めるとともに、引き続き検出されるPFOSの値が基準値を下回るまで調査を続けるということです。

 2023年12月19日(火)

🟧「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の患者数が4週連続で過去最多を更新 「咽頭結膜熱」の患者数は8週ぶりに減少

 国立感染症研究所によりますと、子供がかかりやすく、発熱、のどの痛みなどを発症する「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数が、4週連続で過去最多を更新しました。

 10日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関で報告された患者は、前の週から2093人増えた1万5196人で、1医療機関当たりの患者数は4・83人となりました。

 都道府県別では、1医療機関当たりの患者が最も多いのは鳥取県の10・68人で、次いで宮崎県の8・31人、千葉県の8・17人となっていて、警報レベルとされる「8人」を超えいるほか、東京都では6・25人、大阪府では5・01人、愛知県では3・49人などとなっています。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数は過去10年間で最も多い状況が4週連続で続いており、専門家は「マスクの着用や換気、手洗いといった基本的な感染対策が重要だ」と話しています。

 また、子供を中心に流行が続く咽頭結膜熱の10日までの1週間の患者数は、8週ぶりに前の週から減少しましたが、依然として多い状況が続いています。

 咽頭結膜熱は子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルなどを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、10日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告された患者数は、前の週より755人少ない1万947人となりました。

 1医療機関当たりでは3・48人と、前の週を0・24人下回り、8週ぶりに減少しましたが、依然として多い状況が続いています。

 都道府県別では、福井県が8・76人、北海道が7・59人、富山県が6・59人、福岡県が6・09人となっているほか、東京都で3・23人などと合わせて24の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。また、大阪府と愛知県では2・57人となっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「これから保育所や学校などが冬休みに入るため、患者数は一時的に減少するとみられるが年明けに再び増加する可能性がある。人が集まるところではマスクを着用する、換気を行うといった基本的な感染対策を引き続き取ってほしい。また、咽頭結膜熱のウイルスに対してはアルコール消毒が効きづらいので、手洗いで物理的にウイルスを洗い流すことが重要だ」と話しています。

 2023年12月19日(火)

2023/12/18

🟧滝山病院の患者虐待で調査報告書を公表 背景に行政の検査不備と不十分な看護体制

 看護師による入院患者への暴行事件が起きた東京都八王子市の精神科病院「滝山病院」について、第三者委員会が調査報告書を公表し、虐待が早期に発覚せず、改善されなかった原因として、事前通知をした上で行う行政の検査の不備を指摘しました。

 東京都八王子市の精神科病院「滝山病院」では今年2月、入院患者への暴行事件が発覚し、これまでに看護師ら5人が略式起訴されており、東京都は今年4月、病院に改善命令を出しました。


 これを受け、弁護士でつくる第三者委員会(委員長・伊井和彦弁護士)が職員や患者、それに患者の家族などを対象に調査を行い、18日結果を公表しました。


 それによりますと、略式起訴された5人のほかに看護師2人が、患者の首を絞めたり、頭をたたいたりするなどの暴行を行っていたことが認められたということです。


 また、医師の指示のない違法な身体拘束が日常的に行われていたほか、入浴前の患者を裸に近い状態で廊下を歩かせるなどの不適切な行為が確認されたということです。


 虐待が起きた背景として、病院を運営する医療法人のガバナンス(組織統治)や役員のコンプライアンス意識の欠如、非常勤職員率が高い不十分な看護体制などを挙げています。


 第三者委員会は、医療法人では倫理研修などが開かれず、利益を優先する体質があったと指摘。多数を占める非常勤職員に勤務シフトを依存していたことが、指揮命令の不徹底や統制のゆるみにつながり、違法行為の助長を招いた可能性があるとしました。

 このほか、虐待が早期に発覚せず、改善されなかった原因として、事前通知をした上で行う行政の検査の不備を指摘しています。

 病院の検査などを行った東京都は、「事件が発覚してから虐待の疑いがある場合は、抜き打ち検査の実施などに取り組んでいて、今回の報告書の指摘も踏まえ、指導を強化していく」としています。


 第三者委員会が調査報告書を公表したことを受け、滝山病院はホームページで「この結果を真摯(しんし)に受け止め、改善に努めてまいります」とするコメントを出しました。


 2023年12月18日(月)

🟧HPV検査、公的がん検診に導入 30歳以上の女性が対象、来年4月から

 厚生労働省は18日、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を調べる検査について、来年4月から国が推奨する公的がん検診に導入する方針を固めました。有識者検討会で了承され、各市区町村が準備の整ったタイミングで開始できます。対象は30歳以上の女性で、特に60歳以下に推奨しkます。

 従来の細胞診検査は2年に1回ですが、HPV検査は原則5年に1回で、負担軽減が期待できます。陰性の場合は5年に1回ですが、陽性の場合は細胞診を実施して、問題がなくても1年後にHPV検査をする必要があります。20歳代は2年に1回の細胞診。30歳以上にHPV検査を導入するかどうかは、自治体ごとに判断します。

 HPVは主に性器接触で感染し、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯に一度は感染するとされています。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマなど、多くの病気の発生にかかわっています。

 2023年12月18日(月)

2023/12/17

🟧コンゴで流行のエムポックス、全世界に拡大の恐れ WHOが警鐘

 世界保健機関(WHO)は15日、コンゴ民主共和国で流行しているウイルス感染症「エムポックス(サル痘)」が世界中に拡大する恐れがあると警鐘を鳴らしました。

 エムポックスは1970年に、同国で初めて人への感染が確認されました。アフリカ中央部から西部の約10カ国で何年も前から流行しています。同地域では、動物由来の感染症が発生することが多くなっています。

 WHOでエムポックスの技術責任者を務めるロザムンド・ルイス氏はスイス・ジュネーブでの記者会見で、「コンゴ民主共和国から世界中に感染が広がる事態を懸念している」とし、同国では今年に入ってからの感染疑い例がこれまでの年間報告件数の2倍超に当たる1万3000件を超え、死者は600人以上に上っていると明らかにしました。

 先週、カンボジアでも初の感染者が確認されました。

 ルイス氏によると、WHOは東南アジアを航行するクルーズ船内で感染が拡大したとみているものの、まだ情報が不足しているといいます。

 WHOは、エムポックスの感染者は主に、同性との性交渉を持つ男性や、1人または複数のパートナーと最近性交渉を持った男性だとしています。

 エムポックスに感染すると、発熱や頭痛、リンパ節のはれといった症状が生じた後に、顔などに発疹ができ水膨れとなります。多くは2~4週間で自然に回復するものの、子供や妊婦、免疫不全の人は重症化することがあります。

 2023年12月17日(日)

🟧インフルエンザ、全国で警報レベル 最も早く1医療機関当たり30人超え

 厚生労働省は15日、全国約5000の定点医療機関が4~10日に報告したインフルエンザの患者数は16万6690人で、1機関当たり33・72人だったと発表しました。過去10年で最も早く警報レベルとされる30人を超えました。前週比1・.26倍で全都道府県で前週を上回りました。

 データを基に推計されるこの1週間の全国の患者数は約111万8000人となっていて、今年9月4日以降の累積の患者数は約800万3000人と推計されています。

 インフルエンザの警報レベルを超えたのは全国33道県。都道府県別で1医療機関当たりの患者数が多かったのは、北海道60・97人、宮城県57・49人、大分県53・71人、宮崎県49・64人、三重県47・49人。少なかったのは、沖縄県9・67人、秋田県20・12人、東京都20・30人。

 休校や学級閉鎖などとなったのは、6382施設に上りました。

 例年冬に流行して春ごろに収束するものの、今年は全国平均が流行の目安の1人を下回らないまま8月下旬から増加が始まりました。10月には注意報レベルとされる10人を超え、異例のシーズンとなっています。

 2023年12月17日(日)

🟧新型コロナの患者数、前週から3796人増えて1万7379人 全都道府県で前週から増加

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、12月10日までの1週間では、1つの医療機関当たりの平均の患者数が3・52人で、前の週の1・28倍となっています。厚生労働省は「前の週と比べるとすべての都道府県で増加しており、例年冬は感染が拡大する傾向にあることから、感染対策を続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、12月4日から10日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から3796人増えて、1万7379人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は3・52人で、前の週の1・28倍となりました。前の週から増加が続くのは3週連続となります。

 都道府県別では多い順に、北海道が7・82人、山梨県が7・76人、長野県が6・64人、岐阜県が5人、愛知県が4・8人、新潟県が4・69人、茨城県が4・65人、愛媛県が4・57人、福島県が4・45人、山形県が4・14人、奈良県が4・09人、大分県が402人などとなっており、すべての都道府県で前の週より増加しています。

 12月10日までの1週間に全国約500の定点医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1468人で、前の週と比べて445人の増加でした。集中治療室(ICU)に入院している患者数は54人で、前週(42人)から12人増えました。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、新型コロナウイルスの感染状況について「患者数は少ない状況だが、今後も増加傾向は続くと予想される。高齢者や基礎疾患のある人など重症化のリスクが高い人の感染をできるだけ防ぐことが重要だ」と話しています。

 その上で、「これからクリスマスや年末年始で人の動きが活発になり感染が広がるリスクが高まるので、周囲の状況に応じてマスクの着用などの感染対策を取ってほしい」と呼び掛けています。

 2023年12月17日(日)

2023/12/15

🟧東京都目黒区の小学校で女子児童2人が市販薬を大量摂取 救急搬送されるも命には別条なし

 12月13日、東京都目黒区の小学校で、女子児童2人が持ち込んだ薬を過剰に摂取し、救急搬送されていたことが、捜査関係者などへの取材でわかりました。

 若い世代を中心に市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が問題となっていて、警視庁が詳しいいきさつを調べています。

 捜査関係者などによりますと、12月13日昼すぎ、東京都目黒区の小学校で、女子児童2人が、持ち込んだ複数の薬を過剰に摂取したということです。

 2人は体調不良を訴えて救急車で病院に運ばれましたが、いずれも意識はあり、命に別状はないということです。

 14日も足立区の路上で、大量の市販薬を摂取したとみられる若い女性が意識不明の状態で救急搬送されるなど、若い世代を中心に市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が問題となっていて、警視庁が薬の入手方法など詳しいいきさつを調べています。

 2023年12月15日(金)

🟧神奈川県の新型コロナ感染者、4週連続で増加 インフルエンザも前週比増

 新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は14日、県内362カ所の定点医療機関から報告された感染者数を公表した。4~10日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は2・01人で前週に比べ0・41人増え、4週連続で増加しました。
 報告された患者数は全県で726人。定点医療機関当たりでは、横浜市が1・46人、川崎市が2・43人、相模原市が1・90人、政令市以外の県域が2・47人でした。13日時点の入院者数は430人(前週比111人増)で、うち重症者は6人(6人増)でした。
 また、季節性インフルエンザは定点医療機関当たりの平均患者数が23・22人で、前週比で6・13人増加しました。2週ぶりの増加。
 報告された患者数は全県で8405人。定点医療機関当たりでは横浜市が21・42人、川崎市が23・82人、相模原市が25・95人、政令市以外の県域が24・15人でした。
 咽頭結膜熱(プール熱)は定点医療機関当たりの平均患者数が2・64人と、警報レベルの同3人を下回りました。

 2023年12月15日(金)

🟧インフルエンザ、警報レベル超え 過去10年で最も早く

 厚生労働省は15日、全国約5000の定点医療機関が4~10日に報告した季節性インフルエンザの患者数は16万6690人で、1医療機関当たりの平均は33・72人だったと発表しました。警報レベルとされる30人を超えました。前週比1・26倍。

 国立感染症研究所の集計では、1医療機関当たり30人を超えるのは過去10年で最も早くなっています。警報レベルを超えたのは全国33道県で、全都道府県で前週を上回りましたた。

 2023年12月15日(金)

2023/12/14

🟧感染症の重症化リスクを予測する手法確立 福島大と京都大、血中アミノ酸に着目

 福島大食農学類と京都大大学院医学研究科付属がん免疫総合研究センターでつくる研究チームは、新型コロナウイルスなど感染症の重症化リスクを予測する手法を確立しました。論文が月内にも、イギリスの学術雑誌に掲載されます。

 研究チームは国内で新型コロナの感染者が出始めた当初、患者によって症状の程度が異なるため、予測方法の確立を目指して研究に着手しました。

 感染から一定期間後に重症化した患者と、軽症のままの患者では、感染直後に採取した血液のアミノ酸の濃度に差異がある点に着目しました。血中のアミノ酸の量は通常、健康な状態では個人差がほぼないものの、重症化した患者は感染直後に量が減少していました。

 血中のアミノ酸が体内でどのように移動したか調べるため、栄養素などの成分を測定して画像化する福島大の「イメージング質量分析装置」を使って解析を進めました。その結果、重症化する人は、肺組織の正常化を維持するため、栄養となる血中のアミノ酸が感染直後から減少すると裏付けました。

 京都大の杉浦悠毅准教授(41)は「血中のアミノ酸の量を測定すれば重症化するか軽症にとどまるか判別できることが証明できた」とし、福島大の平修教授(48)は「インフルエンザや肺炎などの悪化のリスクを調べる際にも今回の手法が応用できる」と語りました。

 研究論文は今後、イギリスの科学誌「ネイチャー」などを出版するシュプリンガー・ネイチャーの学術雑誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に掲載されます。

 2023年12月14日(木)

🟧金属片混入のドーナツ食べ、のどから出血 茨城県の観光施設が謝罪、約400個自主回収

 茨城県石岡市にある観光施設「いばらきフラワーパーク」は、施設内のレストランで販売したドーナツに金属片が混入し、ドーナツを食べた人がのどの出血やおう吐などの症状を訴えたとして、13日に謝罪しました。

 金属片が混入していたのは、レストランで提供していた「抹茶ドーナツ」。たなか農園・ぺトラン(石岡市)が運営する「ぺトランフラワーパーク工房」が、11月25日に施設内のベーカリー厨房で製造し、同日から12月8日まで販売していました。

 8日に購入客の女性1人からの連絡により、販売した商品に金属片が混入していたことが判明したといいます。消費者庁のリコール情報などによると、ドーナツを食べた購入客ののどに金属片が刺さり、痛みや出血、おう吐の症状が発生。金属片は病院で摘出し、発表時点で経過観察中とのことです。

 製造者が調査したところ、焼き菓子の製造過程で使用する「粉ふるい」1点が劣化し、一部が外れて混入したことが判明。9日の営業開始前に、原因となった粉ふるいを使用して製造したすべての商品を売場から撤去したといいます。

 観光施設は、「お買い求めいただきましたお客さまにはご心配とご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます」と謝罪。製造者も「お客様へのご迷惑となるような事態を招いたことに対し、心よりお詫び申し上げます」とコメントしています。

 製造者は、該当期間に販売していたドーナツやスコーンなど385個を自主回収し、返金もしくは交換対応を行うと説明。また、品質管理体制の見直し、従業員の教育・研修といった再発防止策を講じるとしています。

 観光施設によると、公表した13日以降、新たに健康被害を訴える人は出ていないといいます。

 詳しい回収情報は製造者の公式サイトや消費者庁リコール情報サイトで確認できます。

 2023年12月14日(木)

🟧COP28閉幕、焦点の化石燃料「脱却を進める」で合意

 アラブ首長国連邦(UAE)で開かれていた第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)は13日、閉幕し、焦点となっていた化石燃料について「脱却を進める」ことで合意しました。化石燃料を巡る今後の各国の政策が問われることになります。

 11月30日に開幕したCOP28では、初日に、気候変動による被害「損失と損害」に特化する新たな基金の運用に向けた具体的なルールが決まったほか、世界全体の気候変動対策の進捗を評価する「グローバル・ストックテイク」が初めて行われました。

 対策強化に向けた交渉では、化石燃料が最大の焦点となり、欧米の先進国や島しょ国などが「段階的な廃止」を強く求めたのに対し、産油国などが反対し、協議が難航していました。

 会期を1日延長して、各国が13日に採択した合意文書では「段階的な廃止」には言及せず「化石燃料からの脱却を進め、この重要な10年間で行動を加速させる」としています。

 化石燃料を巡っては2021年の会議で排出削減対策がとられていない石炭火力発電所の段階的な削減で合意していましたが、今回の会議では、石炭を始め石油や天然ガスといったすべての化石燃料を対象に脱却を進めていくことになりました。

 国連の気候変動枠組み条約のサイモン・スティル事務局長は記者会見で「化石燃料の時代に終止符を打つことはできなかったが、合意は化石燃料の終わりの始まりになる」と述べて成果を強調しました。

 一方で、南米コロンビアのスサナ・ムハマッド環境・持続可能開発相は、「私たちは前進したが、結果を台なしにする落とし穴がいくつもある」と指摘し、脱却を進めるためには石炭などに依存する途上国への支援が欠かせないとしています。

 各国は今回の合意文書を受けて、遅くとも2025年までに新たな削減目標を提出することになっており、今後の政策が問われることになります。

 まず、産業革命前からの世界の平均気温の上昇を1・5度に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を2019年と比べ、2030年までに43%、2035年までに60%、削減する必要があるとしています。

 その上で温室効果ガスの排出につながる石炭や石油、天然ガスといった化石燃料について「化石燃料からの脱却を進め、この重要な10年間で行動を加速させる」としています。

 また、2030年までに世界全体の再生可能エネルギーの発電容量を3倍にし、エネルギー効率の改善率を世界平均で2倍にすることや、排出削減対策がとられていない石炭火力発電の段階的な削減に向けた努力を加速することでも合意しました。

 さらに、効率的でない化石燃料に対する補助金について、段階的な廃止をできるだけ早く行うとしています。

 このほか気候変動による被害「損失と損害」に特化する新たな基金については、特にぜい弱な途上国を対象にするなど運用に向けた具体的なルールで合意しました。

 基金にはこれまでに合わせて7億9200万ドル、日本円にして1150億円余りの拠出が表明されたとしています。

 一方で、先進国が途上国の温暖化対策を支援するため約束した年間1000億ドルの資金支援が2021年の時点で達成されていないとして深い懸念を示し、先進国に対し目標達成に向けた努力を一層強化するよう求めています。

 2023年12月14日(木)

🟧肺がんで死亡の男性、アスベスト救済制度申請却下後に労災認定

 建物の解体作業に従事し、肺がんで死亡した81歳の男性がアスベスト(石綿)によるがんだったとして労災に認定されたことがわかりました。男性は国の救済制度の申請が退けられていて、支援団体はその後、労災が認められたケースは異例だとしています。

 アスベスト被害の患者などの支援に当たる団体は13日、厚生労働省で記者会見を開き、40年近く建物の解体作業に従事し、昨年、81歳で死亡した東京都内の男性が労災に認定されたことを明らかにしました。

 支援団体によりますと、男性は2年前に肺がんを患った後、アスベストの被害者に医療費などを給付する国の救済制度に申請しましたが、昨年、退けられ、その後死亡しました。

 男性の妻が労災申請をしたところ、アスベストを吸ったことを示す胸膜プラークが確認されたことなどから、今年6月に労災に認定されたということです。

 支援団体によりますと、国の救済制度の申請が退けられた後、労災が認められるケースは異例だということです。

 妻は、「国の救済制度が不認定となった数カ月後に夫は他界したので、被害が認められたことを報告できなかったことが悔やまれます。同じような人は諦めずに手続きしてみてほしい」とコメントしています。

 支援団体ではアスベストの被害に関する相談を14日と15日の3日間、午前10時から午後7時まで受け付ける予定で、電話番号はフリーダイヤル、0120-117-554です。

 2023年12月14日(木) 

🟧国産初の新型コロナワクチンの接種始まる

 日本の製薬会社が開発した国産として初めての新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種が、12月から各地で始まりました。

 製薬大手の「第一三共」が開発したmRNAワクチンは、12月から全国の自治体で接種が始まりました。

 新型コロナワクチンはこれまで、アメリカのファイザーやモデルナなど海外の製薬会社のものが使われていましたが、このワクチンが11月に承認され、厚生労働省と140万回分を供給することで合意したため、国産として初めて接種に使えるようになりました。

 このワクチンは、新型コロナのオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応しており、3回目以降の追加接種を行う12歳以上が対象となっています。

 13日からこのワクチンの接種を始めた東京都板橋区のクリニックでは、予約していた住民が訪れ、ワクチンの安全性や有効性について医師の説明を聞いた上で接種を受けていました。

 クリニックの田幡雅彦医師は、「ワクチンの効果への期待はこれまでのものと変わらないが、供給面で何かがあった時に国産のものがあることで安心感はある」と話していました。

 2023年12月14日(木)

2023/12/13

🟧ほくろ取りクリームに注意 重い皮膚障害などの事故情報

 「ひと塗りで安全にほくろやいぼが取れる」などとうたい、インターネットで販売されている「点痣膏」という中国製とみられるクリームについて、国民生活センターが分析したところ、重い皮膚障害などを引き起こす恐れがあることがわかり、使用の中止を呼び掛けています。

 国民生活センターが使用の中止を呼び掛けているのは、「点痣膏」という中国製とみられるクリームです。

 国民生活センターによりますと、今年10月末までの5カ月間に、この商品を使用し、皮膚にやけどのような跡が残ったなどという事例が4件、寄せられているということです。

 このうち、70歳代の女性は、連絡先が海外になっている販売サイトで購入して使用したところ、クリームを塗った額が赤くはれ、化学熱傷によって皮膚が壊死(えし)していると診断されたほか、鼻の周りに塗った50歳代の女性は皮膚がむけて茶色く変色したということです。

 国民生活センターが同じ銘柄の4つの商品の成分を分析したところ、すべてカルシウムが検出され、重い皮膚障害などを引き起こす強いアルカリ性を示したということです。

 商品はSNSの広告や販売サイトで、「素早いほくろ除去」「痛みも跡もない」などとうたっていて、商品外箱には主要成分や使用説明が中国語で書かれていたものの、日本語表記はありませんでした。

 国民生活センターは商品を持っている場合はすぐに使用を中止するよう呼び掛けるとともに、個人輸入の医薬品や化粧品は安全性の確認が不十分だとして、少しでも不明な点がある場合は購入を控えるよう呼び掛けています。

 2023年12月13日(水)

🟧ウイルス性感染症「エムポックス」で国内初の死者 海外渡航歴のない埼玉県の30歳代男性

 厚生労働省は13日、ウイルス性の感染症「エムポックス(サル痘)」に感染した埼玉県に住む30歳代の男性が死亡したと発表しました。「エムポックス」による死者が確認されたのは、国内では初めてです。

 エムポックスは、エムポックスウイルス(’モンキーポックスウイルス)が原因の感染症。発熱や頭痛、リンパ節のはれといった症状が生じた後に、顔などに発疹ができ水膨れとなります。多くは2~4週間で自然に回復するものの、子供や妊婦、免疫不全の人は重症化することがあります。

 厚労省によると、男性は今年9月にエムポックスへの感染が確認され、11月に死亡したということです。男性に海外渡航歴はなかったほか、エイズウイルス(HIV)に感染し、免疫不全状態だったということです。

 エムポックスは日本では4類感染症に指定され、主にアフリカ中央部から西部にかけて発生していましたが、2022年5月以降、海外渡航歴のない感染者が欧米などを中心に世界各地で報告されています。国内では昨年7月から今年12月3日までに227人の感染者が確認されています。

 2023年12月13日(水)

🟧アルツハイマー病新薬「レカネマブ」、年間約298万円で保険適用対象に 中医協が決定

 アルツハイマー病の原因物質に直接働き掛ける新薬「レカネマブ」の公定価格である薬価について、中央社会保険医療協議会(中医協)は、患者1人(体重50キロの場合)当たり年間約298万円と設定し、保険適用の対象とすることを決めました。

 日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、認知症の原因の1つ、アルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」は、今年9月に国の承認を受けて、厚生労働相の諮問機関である中医協で保険適用に向けた議論が進められてきました。

 その結果、中医協は13日の総会で「レカネマブ」の薬価について、患者1人当たり年間約298万円と設定し、保険適用の対象とすることを決めました。12月20日から適用される予定。

 この薬を使用できるのは、認知症を発症する前の「軽度認知障害」の人や、アルツハイマー病の発症後、早い段階の人で、年間で最大約3万2000人の使用が見込まれるということです。

 「レカネマブ」は、アルツハイマー病の原因物質に直接働き掛け、取り除くための初めての薬です。

 保険適用の対象となることが決まり、間もなく臨床の現場で使えるようになることから患者の間では期待が高まっていますが、一方で、注意点もあります。

 1つ目の注意点は、薬の投与対象となる患者が限られることです。認知症の原因となる病気にはさまざまな種類があり、「レカネマブ」が使えるのは、アルツハイマー病の患者で、脳に「アミロイドβ」という異常なタンパク質がたまっていることが確認できた人に限られます。

 また、認知症は、軽いものから、認知症と診断される前の「軽度認知障害」、軽度の認知症、中等度の認知症、重度の認知症と進行して認知機能が低下していきますが、今回、薬の投与対象となるのは「軽度認知障害」と「軽度の認知症」の人だけです。

 認知症の専門医によりますと、「レカネマブ」の投与対象となる患者は、認知症患者全体の1割未満とみられるということです。

 2つ目の注意点は、副作用です。製薬会社の治験の結果によりますと、約10人に1人の割合で脳がむくんだ状態になったり、脳内でわずかな出血が起きる副作用が確認されたりしているほか、中にはより危険性の高い脳出血が起きた人もいて、注意が必要だということです。

 3つ目の注意点は、通院の負担です。「レカネマブ」は、点滴で投与する薬で、1度治療を始めると患者は2週間に1度、原則1年半の間、点滴を受けることになります。

 また、副作用を早く見付けるため、脳の画像診断などの検査ができる医療機関で治療が行われることになっており、対応できる医療機関は限られるということです。

 「レカネマブ」の効果に期待する人が多い一方、高額薬で市場規模はピーク時に年986億円におよぶと見込まれ、医療保険財政を圧迫するとの懸念もあります。

 中医協は今後、「レカネマブ」に介護費用の削減効果が認められるかどうかなどを踏まえ、薬価の見直しを検討します。

 先に承認されたアメリカでは、標準的な薬価は患者1人当たり年2万6500ドル(約390万円)とされました。

 2023年12月13日(水)

🟧アメリカ・テキサス州最高裁、先天性疾患胎児の中絶認める地裁判断覆す

 アメリカのテキサス州で、妊娠中の胎児に先天性疾患が見付かったとする女性が、人工妊娠中絶の許可を求めて同州を相手取って起こした訴訟で、州の最高裁判所は11日、緊急中絶を認めるとした地方裁判所の判断を覆しました。原告の代理人弁護士によると、女性は最高裁の判断が出る数時間前に、中絶処置を受けるため同州を離れたといいます。

 ダラス・フォートワース都市圏在住の2児の母、ケイト・コックスさん(31)は妊娠20週目をすぎています。胎児は染色体異常による先天性疾患「18トリソミー(エドワーズ症候群)」で、出産前に死亡する確率が高く、生まれても数日しか生きられないとされます。

 医師らは、人工中絶処置を行わなければ、子宮摘出や命にかかわる危険があると判断。  コックスさんは先週、中絶の許可を求めてテキサス州を提訴し、トラビス州地裁は中絶を認める判断を下していました。

 しかし、これを受けてテキサス州のケン・パクストン司法長官が、直ちに州最高裁に上訴するとともに、コックスさんの中絶処置を行った医師を訴追すると警告していました。

 コックスさんと夫、医師の代理として訴状を提出した「性と生殖に関する権利センター」のナンシー・ノーサップ代表は、コックスさんが他州に移ったことについて、「母体の健康が危険にさらされている。緊急治療室への出入りを繰り返してきた原告は、これ以上待てなかった。これが、裁判官や政治家が妊婦に関する判断を下してはならない理由だ。医師ではないのだ」と非難した。

 一方、テキサス州最高裁の判事らは、本件は司法が介入すべき問題ではないとの所感を示し、今回の判断は、本件について医師が「合理的な医療的判断」に基づいて人命を救うために必要と判断した場合には中絶処置を禁じるものではなく、もし原告が(同州における中絶禁止の)例外に当たるのならば、「裁判所命令は必要ない」と述べました。

 同権利センターの専属弁護士、モリー・デュアン氏は「もしテキサス州でコックスさんが中絶処置を受けられないなら、誰が受けられるのか。本件は、例外が機能せず、中絶禁止法がある州での妊娠は危険だということを証明している」と指摘しました。

 ノーサップ氏も、「コックスさんには州外にゆく手立てがあったが、大半の人にはなく、こうした状況は死刑宣告になりかねない」と非難しました

 アメリカ最高裁は2022年6月、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた判決を覆す判断を下しました。

 テキサス州は、レイプや近親姦(かん)による妊娠でも中絶を認めない厳格な中絶禁止法を施行。また、中絶手術を受けた本人だけでなく、中絶に協力した人を市民が告発できる州法があります。中絶手術を行った医師に対しては、99年以下の禁錮と10万ドル(約1500万円)以下の罰金が科された上、医師免許が剥奪される可能性があります。

 2023年12月13日(水)

🟧石綿労災、全国1215事業所で認定 厚労省が1133事業所の名称を公表

 厚生労働省は13日、アスベスト(石綿)の健康被害で、2022年度に全国1215カ所の事業所で労災などを認定し、個人で作業を請け負うケースなどを除く1133事業所の名称や所在地、従事した作業内容を公表しました。このうち新たに公表されたのは860事業所。厚労省のホームページで閲覧できます。

 業種別の労災認定数は、建設業が805事業所で全体の66・3%を占め、製造業313事業所(25・8%)が続きました。

 また、石綿を吸い込んだことで中皮腫などを発症し、労災認定されたのは1140件(前年度比64件増)。労働者が死亡し、労災請求の時効5年がすぎても、石綿救済法に基づき遺族に支給する「特別遺族給付金」の支給決定は170件(同139件増)でした。

 認定者と同じ事業所に勤めていた人が関連疾患を発症すると、労災認定などで補償される可能性があります。また、工場から石綿が飛散したことによる周辺住民の健康被害が判明し、救済につながるケースもあります。

 厚労省によると、石綿による中皮腫や肺がんなどは、発症まで30~50年の潜伏期間があり、近年労災請求件数は1000件ほどで推移。同省担当者は「労災保険制度の周知を通じて、被災労働者とご遺族の請求促進につなげたい」とし、相談を呼び掛けました。

 同省は12月14、15日の午前10時~午後5時に特別電話相談窓口を設置。問い合わせ先は03・3595・3402。

 2023年12月13日(水)

2023/12/12

🟧加熱式たばこ、紙巻きと同じ水準に増税へ 防衛財源で政府案

 政府は12日、防衛力の抜本的強化に伴う増税に関し、たばこ税のうち加熱式たばこの税負担を引き上げ、紙巻きと同じ水準にそろえる案を自民党税制調査会の幹部会合に示しました。週内にまとめる与党税制改正大綱に、「たばこ税は加熱式と紙巻きの負担の差を解消する」との内容を盛り込む方針です。

 現在、加熱式たばこは販売本数が増えているものの、タバコの葉の使用量が紙巻きより少なく、税負担は紙巻きより最大3割ほど低く抑えられています。政府案は、「税負担差を解消し、課税の適正化による増収を防衛財源に活用する」としています。

 たばこメーカーや自民党の一部からは、「加熱式のほうが健康被害が少ない」として税率差を維持するよう求める意見が出ていました。

 昨年末に閣議決定した税制改正大綱では、防衛増税のうち、たばこ税は「1本当たり3円相当」を引き上げると明記しました。約2000億円の税収増を見込みます。

 自民党税調の宮沢洋一会長は12日午前、記者団に対し、防衛増税の開始時期について、「岸田首相とも相談し、今年は決定しないことにした」と述べました。

 2023年12月12日(火)

🟧COP28合意文書草案、化石燃料「段階的な廃止」に言及せず 環境団体から批判も 

 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は12日の会期末を前に、新たな合意文書の草案を発表しました。草案は、化石燃料を巡っては「削減する」などの表現にとどまり、欧米の先進国などが求めた「段階的な廃止」については言及しておらず、最終局面となった交渉での各国の対応が注目されます。

 12日に会期末を迎えるCOP28は、世界全体の気候変動対策の進ちょくを評価する「グローバル・ストックテイク」が初めて行われ、この中で、対策強化に向け、合意文書で「化石燃料の廃止」を巡る文言をどう盛り込むかが大きな焦点となっています。

 会期末を前に11日に議長国のUAEが示した合意文書の草案では、化石燃料について「2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向け、消費と生産の両方を、公正で秩序があり、公平な方法で削減する」などと、「削減」の表現にとどまり、8日に示された案では使われていた「段階的な廃止」という文言はなくなり、表現が後退した形になっています。

 日本政府の関係者からは廃止に反対している産油国や新興国のほか、化石燃料に依存せざるを得ない途上国への配慮ではないかとの声が上がっているほか、環境団体からは「全く不十分だ」と批判が上がり、この文言では化石燃料の廃止を求める先進国などは合意せず、今後の交渉で文言が変わる可能性があるなどの指摘も出ています。

 会期末に向け、各国がどのような姿勢で交渉に臨み、合意文書がどうまとまるのか注目されます。

 2023年12月12日(火)

🟧膵臓がんの経過に真菌が関係 感染有無で生存、再発に差異

 膵臓がんの経過に、皮膚や体内にいる真菌(カビ)の一種が関係しているとする研究結果を東京医科歯科大消化管外科とアメリカの研究機関の共同研究チームが国際科学誌「ガストロエンテロロジー」に発表しました。

 関与が疑われるのは真菌の一種「マラセチア・グロボーサ」。体表や体内にいるありふれた真菌で、皮膚の病気との関係は知られていたものの、近年、膵臓がんの増悪との関係についての報告が相次いでいました。実際のがん組織で関連を調べたのは初めてで、抗がん剤治療の際に抗真菌薬を組み合わせるなど、膵臓がん治療の選択肢を広げる可能性があるとしています。

 同科の奥野圭祐助教、絹笠祐介教授らとアメリカのシティオブホープナショナルメディカルセンターなどとの共同研究。1998年から2017年にかけて日本の3施設で患者から摘出され、凍結保存されていた膵臓がんの組織180人分をPCR検査にかけ、この真菌の有無と濃度を調べた結果、78人の検体から真菌が見付かりました。

 理由はわかっていないものの、陰性例では検査精度を高めても真菌は見付からず、陽性との中間の濃度に当たる検体はありませんでした。男性のほうが、陽性の割合が高くなりました。

 78人の陽性例と残る102人の陰性例とでその後の経過を比較したところ、陽性の患者のほうが、手術から3年の全生存率が低くなりました。また、がんが再発せず死亡しなかった人の割合(無再発生存率)も低くなりました。

 奥野助教は、「手術後にその後の経過を予測する手掛かりになる可能性が示された。今後、関与のメカニズムの解明が必要だが、これまで日常診療で使用している抗真菌薬が膵臓がん治療の選択肢になり得る」と話しました。

 2023年12月12日(火)

🟧咽頭結膜熱が7週連続で過去10年最多 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎も3週連続で過去10年最多

 子供を中心に流行が続く咽頭結膜熱の12月3日までの1週間の患者数は、前の週からさらに増えて、過去10年間で最も多い状況が7週連続で続いています。

 また、「溶連菌感染症」の一種、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」も、感染者数が過去10年間で最多の状況が3週連続で続いていて、専門家は「症状が軽いからといって無理をせず体を休ませるようにしてほしい」と話しています。

 咽頭結膜熱は、子供を中心に高熱やのどの痛み、結膜炎などの症状が出るアデノウイルスによる感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルなどを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、12月3日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告された患者数は、前の週より563人多い1万1702人となりました。

 1医療機関当たりでは前の週を0・18人上回って3・72人となり、過去10年間での最多を7週連続で更新しました。

 都道府県別では、福井県が8・72人、北海道が8・05人、佐賀県が6・87人、福岡県が6・63人、石川県が6人などとなっていて、合わせて29の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3人」を超えています。

 また、主に子供が感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者も増加が続いています。

 12月3日までの1週間に報告された患者数は、前の週から957人増えて全国で合わせて1万3103人、1医療機関当たりでは4・17人となっていて、過去10年間での最多を3週連続で更新しました。

 都道府県別では、鳥取県が10・53人、宮崎県が8・14人と、2つの県で国の警報レベルの基準となる「8人」を超えているほか、富山県が7・79人、埼玉県が6・76人、千葉県が6・36人、福岡県が6・02人などとなっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「症状が悪化して入院する子供も多くなっている。症状が軽いからといって無理をして学校や仕事に行かず体を休ませてほしい。地域の感染状況に応じてマスクの着用や手洗いなどの対策を取ることが重要だ」と話しています。

 2023年12月12日(火)

🟧国内最高齢の巽フサさん死去、116歳 大阪府柏原市

 国内最高齢だった大阪府柏原市の巽(たつみ)フサさんが、2023年12月12日朝に116歳で亡くなりました。死因は老衰です。巽さんは2022年4月に福岡県福岡市の119歳の田中カ子(かね)さんが亡くなった後、国内最高齢になっていました。

 巽さんは1907年(明治40年)4月25日生まれで、大阪府柏原市の特別養護老人ホーム「はくとう」に入所していましたが、午前9時半ごろ、府内の病院で死亡が確認されました。

 巽さんは八尾町(現在の大阪府八尾市)で、6人きょうだいの次女として誕生。32歳で桃やブドウを育てる農家の男性と結婚し、3人の子供を育て、ひ孫8人、玄孫3人にも恵まれました。

 巽さんは食事と運動が好きで、「ご飯まだでっか」が口癖でしたが、今年に入り、ほぼ寝たきりの状態が続いていたということです。1日のほとんどをベッドで過ごしていたという巽さんですが、関係者によりますと、12月に入ってから呼吸が早くなり、しんどそうな様子だったということです。

 巽さんは明治、大正、昭和、平成、令和の5つの時代を生きて、その生涯を終えました。

 息子の巽完次さん(76)は取材に対し、「今まで生活習慣を正して頑張っていて、誰にでもできることではないので尊敬しかない。施設の方々の手厚い介護などもあり生きてきたので、皆様に感謝しています。100歳を超えた人もたくさんいらっしゃいますが、(大阪府の)知事が116歳まで生きた母を希望の星といってくださったように、皆さんの1つの目標のようにしてもらえたらと思います。日本最高齢という、本当に誰にでもできることではないことをやり遂げた立派な母親です」と話しました。

 2023年12月12日(火)

2023/12/11

🟧2歳未満の育児時短勤務に給付金、賃金の1割相当支給へ 厚労省

 厚生労働省は、2歳未満の子供を育てながら時短勤務をしている人に対し、賃金に上乗せして賃金の1割に相当する額の給付金を支給する方針を示しました。時短勤務によって収入が減る状況を改善することで、子育てしやすい環境づくりにつなげたい考えです。

 育児・介護休業法では、3歳未満の子供がいる男女が希望すれば、企業側は所定の労働時間を原則1日6時間まで短縮する、いわゆる時短勤務の制度を設ける必要があります。

 11日に開かれた厚労省の審議会で、時短勤務によって賃金が減るぶんを補てんしようと、2歳未満の子供を育てながら働く人に対し、賃金に上乗せして時短勤務中の賃金の1割に相当する額の給付金を支給する案が示されました。

 厚労省は、男女ともに時短勤務を利用しやすくすることで子育て環境を整え、少子化対策につなげるとともに、出産後も仕事を継続する人を増やしたい考えです。

 厚労省の調査によると、育児のために時短勤務制度を利用しているか、利用経験のある人は、女性の正社員の半数を占めます。時短勤務時には賃金がフルタイム時代に比べて低下する傾向にあり、給付金制度を設けることで生計を支援する側面があります。

 これまでの審議会で、委員からは給付金によって離職せずに働き続けられる人が増えると評価する意見が出た一方で、時短勤務がキャリア形成にマイナスに働かないようにしなければならないといった意見も出されていました。

 この給付金制度は再来年度、2025年度から実施する予定で、厚労省は年明けまでに具体的な制度設計を進め、来年の通常国会で関連法案を提出する方針です。

 2023年12月11日(月)

🟧刑法犯の認知件数が20年ぶりに増加、行動制限緩和が影響か 法務省が「犯罪白書」公表

 法務省が今年の「犯罪白書」を公表し、昨年1年間に認知された刑法犯の件数が、20年ぶりに増加したことがわかりました。

 新型コロナ対策に伴う行動制限が緩和されたことが影響したとみられます。

 犯罪白書によりますと、昨年1年間の刑法犯の認知件数は、前の年と比べて5・8%多い60万1331件で、20年ぶりに増加しました。

 類型別で、全体の約7割を占める窃盗は、前年比6・8%増の40万7911件。自転車盗の増加が目立つといいます。近年減少が続いていた暴行は同5・3%増の2万7849件で、人の活動が活発化したことでトラブルが増えた可能性があります。

 インターネット上の「闇バイト」が社会問題化している特殊詐欺は、昨年の認知件数が前年比21・2%増の1万7570件、被害総額は同31・5%増の約371億円に上りました。

 強制性交等の認知件数も前年比19・2%増加していて、「犯罪情勢が決して安心できる状況にはない」と指摘しています。

 また、少年による刑法犯の検挙件数は、2004年から減少していましたが、昨年は2万912人と19年ぶりの増加になりました。

 小泉龍司法務相は閣議の後の記者会見で、「新型コロナで減った犯罪の数が戻っているが、数字に一喜一憂せず、しっかり腰を据えて、犯罪白書で検討し分析した内容が現実に生かされるよう全力で取り組みたい」と述べました。

 2023年12月11日(月)

🟧1~7月のカテーテル治療・検査150件で患者11人が死亡 神戸徳洲会病院

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で、1月に赴任した循環器内科の男性医師が行ったカテーテル処置の後に複数の患者が死亡した問題で、医師による検査や治療は今年1~7月に150件行われ、11人が死亡していたことがわかりました。

 このうち2人について、病院はすでに国の医療事故調査制度に基づいて検証を進めています。今回新たに判明した死亡患者9人と生存している1人の計10人について、外部専門家による自主調査の対象にしていることを明らかにしました。

 死亡患者9人について、病院関係者は「死亡と治療の因果関係は不明だが、亡くなった事実を重く見て調査が必要と判断した」と説明しています。

 当初の2例と新たな10例の調査の結論は、併せて来年3月末をめどに出すとしています。

 2023年12月11日(月)

🟧障害のある子供の車いすなど費用補助、所得制限撤廃へ 2024年度から

 少子化対策の一環で、すべての子供が安心して過ごせる地域作りを進めるため、政府は、障害のある子供が使用する車いすや補聴器などの費用の補助制度について、所得制限を撤廃する方向で検討を進めていることがわかりました。

 少子化対策を加速化させるため、政府は、障害のある子供への支援や子供の貧困対策を強化し、すべての子供が安心して過ごせる地域作りを進める方針を示しており、具体化に向けた議論を行っています。

 この中で、車いすや補聴器、義肢などの「補装具」を購入する際の費用の補助制度について、現在の所得制限を撤廃する方向で検討を進めていることがわかりました。

 現在の制度では原則1割負担、月額の負担額は上限で3万7200円ですが、年収がおよそ1200万円を超えると、支給の対象外となり全額を負担する必要があります。

 補装具の中には高額なものもあるほか、子供の成長に応じて交換する必要があるため、支給が受けられない世帯の経済負担が課題となっていました。

 また、政府はこのほか、児童発達支援センターの機能の強化や、「医療的ケア児」を一時的に預かる環境を整備するなど、障害がある子供への支援を強化することにしています。

 2023年12月11日(月)

2023/12/10

🟧製薬会社の「要注意工場」、国と自治体が抜き打ち検査へ 監視体制を強化

 後発薬メーカーなどによる相次ぐ品質不正問題を受け、厚生労働省は、製薬会社の製造拠点のうち、品質管理に問題を抱えている可能性が高い「要注意工場」を選び出し、重点的な検査に乗り出します。2023年度中に導入する方針で、国と都道府県が連携して抜き打ちで実施します。従来の検査では長年にわたり品質不正を見逃していたケースがあったため、監視体制を強化します。

 厚労省によると、要注意工場は、製造する医薬品の品目数の多さ、製造工程の複雑さ、過去の調査で問題が見付かったことがあるか、品質管理に懸念を生じさせる情報の有無、などから抽出します。特殊な製造技術の使用、生産能力と比べ従業員数が少ない、不正が発覚した場合の影響の大きさなども考慮します。

 あらかじめ重点的に調べる項目を整理し、検査の実効性を高めます。要注意工場としてどこに検査に入ったかは公表しません。

 製薬会社の工場は今年7月時点で、国内に133カ所あり、都道府県や国は医薬品医療機器法(薬機法)に基づき、1~3年ごとに、定期的な立ち入り検査を実施しています。製薬会社へ事前に通告しない抜き打ち検査も行っています。

 しかし、後発薬メーカーなどでは2020年以降、不祥事が相次ぎ、業務停止などで薬の供給不足を招くとともに、製造現場のずさんな実態が明らかになっています。

 長年にわたり発覚を免れる悪質なケースも起きています。爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤が混入していた小林化工(福井県あわら市)では、虚偽の製造記録を記した帳簿(二重帳簿)を作成していたため、福井県は不正を見抜けませんでした。

 今年10月には、沢井製薬(大阪市淀川区)の九州工場(福岡県飯塚市)で8年前から、品質試験を不正な手順で行い、国の基準をクリアしたように見せ掛けていたことが発覚しました。製薬会社の品質管理に対する意識の低さが問題視されています。

 厚労省の担当者は、「現在の検査体制では十分に対応できていない。巧妙な違反行為にも対応できるようにしたい」としています。

 2023年12月10日(日)

🟧再生医療の副作用など有害事象、医療機関が未報告の可能性も がん研究センターが調査

 細胞を加工して患者に投与する再生医療について、公的医療保険の対象外となる自由診療では、意図せぬ副作用などの有害事象報告数が投与10万回中10例以下と非常に少なかったと、国立がん研究センターなどの研究チームが明らかにしました。チームは「有害事象が発生しても、一部の医療機関からは報告されていない可能性がある」と指摘しています。

 自由診療による再生医療は、がん患者に対する免疫療法や、ひざ関節の修復、美容目的のしわ取りなどで行われています。実施には、再生医療安全性確保法に基づく国への届け出が必要で、感染症や後遺症などの有害事象が発生した場合は、外部の有識者を含む認定委員会に報告する義務があります。

 研究チームによると、2020年度に自由診療による細胞投与は約10万件あったものの、認定委員会への有害事象報告数は10件にとどまりました。医師が研究目的で患者に投与する臨床研究でも、投与約4000件に対し有害事象は25件でした。

 一方、医薬品医療機器法に基づき国に承認された再生医療等製品3品目では、2020年度の投与339回に対して有害事象の報告数は129件と、3件中1件の割合に上りました。

 この調査結果は、国際的な科学雑誌の「ステム・セル・リポーツ」で発表しました。

 チームの一家綱邦・同センター生命倫理部長は、「正しく報告されないと患者が治療について判断できなくなってしまう。医師の性善説を信じてきたが、患者が有害事象を国などに直接訴える新たな仕組みも検討すべきだ」と指摘しています。

 八代嘉美・藤田医科大特任教授(幹細胞生物学)は、「懸念されてきた問題点が明らかになった。再生医療全体の信用が低下しないよう、現場の医師の意識を向上させる取り組みが求められる」とコメントしています。

 2023年12月10日(日)

🟧「気候変動が健康に影響」医師の78%が実感 シンクタンクが調査

 日本の医師の約8割は、「気候変動が人々の健康に影響を及ぼしている」と実感しているとのアンケート調査結果を、シンクタンク「日本医療政策機構」(東京都千代田区)が公表しました。世界では近年、地球温暖化の影響で、山火事による大気汚染や感染症リスクの増大などが指摘され、日本でも医療現場で影響が顕在化している可能性があります。

 アラブ首長国連邦ドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、同条約の会議として初めて、健康を巡る問題について集中的に議論する「保健の日」が設けられました。また、健康を守る行動を加速させることなどを盛り込んだ「気候と保健に関する宣言」に123カ国・地域が署名。世界的に気候変動による健康への影響について、懸念が高まっています。

 アンケート調査は11月21~27日にウェブサイト上で実施し、20~90歳代の医師1100人から回答を得ました。診療科別では、内科が16・1%と最多で、消化器内科8%、精神科8%、整形外科6・5%などと続きました。

 「日本で気候変動が人々の健康に影響を及ぼしているか」との質問に対し、「とてもそう感じる」は19・0%で、「そう感じる」の59・1%と合わせ計78・1に上りました。医師が直接診察しているそれぞれの診療分野の患者に限っても、51・4%が「影響がある」と認識していました。「あまり感じない」は18・7%、「全く感じない」は3・2%でした。

 病気やけがの種類ごとに今後10年間での影響についての見通しを聞いたところ、「大きな悪影響を及ぼす」としたのは、洪水や台風、地滑り、山火事などによる「外傷」で83・3%。次いで、熱中症など高温の影響による「熱関連疾患」が79・5%、蚊などによる「節足動物媒介感染症」が75・8%に上りました。

 こうした状況について「患者に対して啓発すべきだ」と考える医師は56・7%いましたが、情報や資源不足、知識不足、時間不足などで啓発が困難との回答も目立ちました。実際に「気候変動の主な要因は何か」など知識を問う調査で、4問の設問に3問以上正答できたのは12・9%にとどまりました。

 気候変動と健康を巡っては、熱帯夜で睡眠時間が短くなることによる健康被害や、認知症や精神疾患の増加と気温上昇の関係を指摘する論文も出ており、影響は多方面に及ぶ恐れがあります。

 日本医療政策機構は、「COP28が、アンケート調査で明らかになった国内の状況に変化を与える切っ掛けになってほしい。医師の生涯学習として気候変動と医療を取り扱うことも必要になる」としています。

 2023年12月10日(日)

🟧スギ花粉、1月下旬にも九州・東海・関東で飛散開始 暖冬の影響で飛散量は平年比128%

 気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市)は5日、2024年春の花粉シーズンに向け、「花粉飛散傾向」(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)を発表しました。

 花粉の飛散開始時期に影響する12月から2月の気温は全国的に高い傾向で、飛散開始が早まる見通しです。1月下旬には九州や東海、関東の一部でスギ花粉の飛散が始まり、3月上旬にかけて全国で飛散が始まります。本格的な飛散はスギ花粉が2月中旬から、ヒノキ花粉が3月中旬からの予想です。

 飛散量は北日本の一部を除いた広範囲で2023年春よりも少なくなるものの、平年(過去10年の平均)と比べると平年並みか平年を上回るエリアが多い予想です。

 2023年夏は全国的に記録的な暑さとなり、東日本と北日本を中心に日照時間が平年を上回ったことで、雄花の生長に適した天候となりました。2023年春に飛散量が多かった反動で2024年春は飛散量が少なくなる「裏年」傾向のエリアでも、平年並みか平年を上回る飛散量を予想しているところが多くなっています。

 本格的な飛散開始は、九州から東北南部にかけて2月中旬から下旬としています。全国平均の飛散量は、平年比128%と見込んでいます。

 2023年12月10日(日)

🟧インフルエンザで欠席2万人超、過去10年で最多 今季の札幌市立小中

 札幌市立の小中学校で、今季の季節性インフルエンザによる欠席者が累計2万人に達したことが8日、市教育委員会のまとめでわかりました。過去10年で2万人を超えるのは初めて。

 市教委保健給食課が学級・学年閉鎖、休校措置を取った学校の欠席者を年度別に集計しました。学級閉鎖は過去10年で最も早い9月5日以降に相次ぎ発生し、これまで小学校で1万4830人、中学校で5429人の計2万259人が欠席しました。

 過去10年で最多だった2019年度の計1万3290人を大幅に上回っています。2020、2021年度は新型コロナウイルスの感染拡大があり、インフルエンザによる学級閉鎖はありませんでした。

 北海道教育委員会によると、道内の小中高などでは11月27日~12月3日の1週間で、262校が学級閉鎖、97校が学年閉鎖、18校が休校の措置を取りました。

 札幌市保健所は、インフルエンザの流行は続くとみて、感染対策の徹底を呼び掛けています。

 2023年12月10日(日)

2023/12/09

🟧世界初のゲノム編集治療、アメリカで承認 遺伝性の血液異常疾患対象

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は8日、遺伝性の血液疾患「鎌状赤血球貧血症」に対応するゲノム編集技術を利用した世界初の治療を承認しました。同治療に利用するクリスパー・キャス9という手法は、2012年に開発されてから10年強で実用化されました。

 がんやエイズウイルス(HIV)などの治療にも応用できる可能性があるとされ、2020年にはノーベル化学賞も受賞しました。

 アメリカのバイオ企業「バーテックス・ファーマシューティカルズ」とスイス拠点の「クリスパー・セラピューティクス」が共同開発しました。承認された治療は鎌状赤血球貧血症の患者で、血管閉塞性危機が定期的に起こる12歳以上の人が対象となります。

 治療では、患者から採取した造血幹細胞をゲノム編集技術で遺伝子改変して、それを注射で体内に戻します。事前に抗がん剤を投与(化学療法)して、元々持っていた造血幹細胞を除去します。

 鎌状赤血球貧血症は本来、円盤状の赤血球が三日月のように変形する病気です。変形した赤血球が血管に詰まり、激しい痛みや臓器損傷が生じます。FDAによると、鎌状赤血球貧血症の患者はアメリカ国内に約10万人おり、主に黒人の患者が多くなっています。

 バーテックス社の治療は、イギリスの医薬品・医療製品規制庁(MHRA)も11月に承認しました。これまで鎌状赤血球貧血症の患者には造血幹細胞を白血球の型である「HLA型」が一致するドナー(提供者)から受ける以外に、治療の選択肢がありませんでした。

 今回の承認でゲノム編集に対する関心がさらに高まりそうです。現在、同技術を利用したHIVやがん、希少疾患などの治療の開発が進んでいます。

 FDAは、「今回の承認は遺伝子治療の分野で革新的な進歩があったことを示している」としています。

 アメリカのホワイトハウスは承認を受けて、「この医学的進歩には、さらなる命を救う治療の開発の可能性が秘められている。他の希少疾患とともに生きる何百万人ものアメリカ人に希望を与えるものだ」と歓迎する声明を出しました。

 2023年12月9日(土)

🟧特許切れ先発医薬品を希望する患者の窓口負担引き上げへ 厚労省

 厚生労働省は、医療上の必要性がない場合に、ジェネリック(後発医薬品)ではなく、特許が切れている先発医薬品の処方を希望する患者の窓口負担額を引き上げる方針を審議会に示し、来年度中にも引き上げが実施される見通しです。

 厚労省は、医療費を抑制し、新薬開発の後押しをする財源を捻出したいとしており、8日に開かれた社会保障審議会・医療保険部会に、医療上の必要性などがない場合に、価格が高く、特許が切れている先発医薬品の処方を希望する患者の窓口負担額を引き上げる方針を示しました。

 具体的には、発売から5年以上経過した先発医薬品などを対象に、ジェネリックとの差額の4分の1から半分程度を全額自己負担にする複数の案があります。

 例えば、500円の先発医薬品と250円のジェネリックがある薬で、窓口負担が3割の場合、先発医薬品を選んだ時の支払い額は、今は150円ですが、これが200円から250円になる計算です。

 ジェネリックの薬価は先発医薬品のおよそ半分程度とされます。厚労省はこれまでも、高齢化や医療の高度化に伴って年々増大している医療費を抑えるため、ジェネリックの使用率が高い薬局や医療機関には追加の報酬を支払うなど、ジェネリックへの移行を進めてきました。2021年時点で、ジェネリックの使用割合は79%まで高まりましたが、さらに推し進めたい考えです。

 2023年12月9日(土)

🟧男子高校生のうつ傾向、新型コロナで顕著に

 国立国際医療研究センターなどのチームは8日までに、新型コロナウイルスの流行下では、流行前と比べて、男子高校生のうつ傾向が強まったとの研究成果をまとめました。チームは男子では女子よりも部活動などの制限の影響が大きかったほか、悩みがあっても助けを求めにくかった可能性があるとしています。

 新型コロナ流行前の2019年2月~2020年2月に調査したグループと、流行後の2020年3月~2021年9月に調査したグループを比較。その結果、流行後のグループは男子の平均点が0・97点高くなり、状態が悪化していることがわかりました。流行後を時期ごとに調べると、時間の経過とともにより悪化していました。

 2023年12月9日(土)

🟧入院時の食費自己負担30円上げ、490円に 2024年にも

 厚生労働省は8日、医療機関の入院患者が自己負担する食事代について、国が定める1食当たり原則460円を、30円増の490円とする方針を決めました。物価高騰で仕入れ費用が増えていることに対応し、早ければ2024年6月に引き上げます。同日の社会保障審議会の部会で提案し、了承されました。

 現行制度では、医療機関は入院患者の自己負担460円に、公的医療保険からの給付180円を加えた計640円で食材費を賄っています。詳しい引き上げ時期は12月中に決める見通し。引き上げまでの間も物価高に対応するため、医療機関に対し1食20円相当を交付金などで支給します。

 2023年12月9日(土)

🟧インフルエンザ患者数、3週間ぶり減少 1医療機関当たり26・72人、依然として多い状況続く

 厚生労働省は8日、全国約5000の定点医療機関が11月27日~12月3日に報告した季節性インフルエンザ患者数は13万2117人で、前の週から7797人減少したと発表しました。1医療機関当たりでは、前の週から1・58人少ない26・72人となりました。

 前週比0・94倍で3週間ぶりに減少したものの、例年の同時期と比べて極めて患者数が多い状況が依然として続いています。

 データを基に推計されるこの1週間の全国の患者数は約91万人となっていて、今年9月4日以降の累積の患者数は約688万5000人と推計されています。

 都道府県別で1医療機関当たりの患者数が多かったのは、北海道が50・49人、宮城県が42・66人、福岡県が40・13人、長野県が40・09人など。少なかったのは沖縄県8・17人、秋田県13・79人、東京都15・08人。17の道と県で「警報レベル」とされる30人を超え、沖縄県を除くすべての都道府県で「注意報レベル」の10人を超えています。

 休校や学級閉鎖などとなったのは、4690施設でした。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「患者数は減少したが横ばいの状況だ。今後も増加の傾向が見込まれ、年明けには急激に増える可能性もある。引き続き、室内では適度な湿度を保つことや換気に注意すること、それに密になるような場面でのマスクの着用など、生活の中で可能な範囲で感染対策を意識してほしい」と話しています。

 2023年12月9日(土)

🟧神奈川県の新型コロナ感染者、3週連続増加 1医療機関当たり1・60人

 新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は7日、県内364カ所の定点医療機関で報告された感染者数を公表しました。11月27日~12月3日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は1・60人で前週比0・24人増え、3週連続で増加しました。

 報告された患者数は全県で583人。定点医療機関当たりでは、横浜市が1・34人、川崎市が2・10人、相模原市が1・51人、政令市以外の県域が1・69人でした。

 新型コロナの感染者数は、感染症法上の位置付けが5類に移行したのに伴い、今年5月8日から一部の医療機関が1週間分を報告する定点把握に変わっています。

 12月6日時点の入院者数は319人(前週比31人増)で、うち重症者はゼロ(前週比1人減)でした。

 また、同期間の季節性インフルエンザは定点医療機関当たりの平均患者数が17・09人で、前週比で1・25人減少しました。

 報告された患者数は全県で6219人。定点医療機関当たりでは、横浜市が16・53人、川崎市が17・34人、相模原市が18・03人、政令市以外の県域が17・31人でした。

 2023年12月9日(土)

2023/12/08

🟧名古屋大学が針を使わぬ「貼る注射器」を開発 衝撃波を発生させ薬剤を粒子で注入

 名古屋大学工学研究科の市原大輔助教らは、針なしで薬剤を体内に注入できる注射器を開発しました。薄いシートを皮膚に貼り、ロケットの打ち上げ時などに生じる衝撃波を発生させて、皮下組織まで薬剤を届けます。自己注射が必要な糖尿病患者や不妊治療中の人などの注射への負担を減らす医療機器として、実用化を目指します。

 物体が音速を超えて進む時に、衝撃波が発生します。爆発が起きた際、離れた場所の窓ガラスが割れるのは衝撃波が出ているためです。

 市原助教らは衝撃波を駆使することで、針なしで薬剤を注入できる手のひらサイズの貼る注射器を開発しました。ばんそうこうのような厚さ0・3ミリメートルの薄いシートで、皮膚に貼って使います。

 瞬間的に高い電流を与えて衝撃波を発生させることで、薬剤を体内に高速で注入することができます。使用する電気エネルギーはごくわずかで、痛みを感じるレベルでもないとしています。

 シートは3層構造になっており、皮膚から一番遠い上層が電流を供給する基盤になっています。中間層は「ブリッジ部」という構造で、電流が流れると一部分にエネルギーが集中して衝撃波が発生します。皮膚に一番近い下層は絶縁体のポリイミドでできており、粒子状の薬剤を塗布し、衝撃波によって皮下組織に注入される仕組みです。

 通常の針がある注射器では、薬剤の粒子を液体に溶かしてから注入していますが、新しい注射器は液体で薄めずに粒子のまま注入します。

 人肌を模したゲルに貼って作動させ、約50マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの粒子が中に入るのを確認しました。この大きさは、市販の注射用の薬剤を液体に溶かす前の粒子の大きさとほぼ同じになります。皮膚から約2ミリメートルの深さまで届き、皮下注射をする時の深さに相当します。粒子が小さいため、針を刺すより痛点を刺激する確率が低く、痛みは少なくなるとみています。

 シートの上層の基盤は導電性のインクを使って印刷して作ることができるため、大量生産が可能。針がないため、廃棄時の管理費用も抑えられる利点があります。

 まずは糖尿病治療や不妊治療などのホルモン剤での実用化を目指し、自己注射の体への負担軽減につなげたい考えです。将来は他の薬剤でも使えるようにして、針あり注射器に取って代わる機器になることを目指します。

 市原助教は、「衝撃波は航空業界では本来は厄介者になる。うまく使いこなすことで、今回、注射器という異分野のデバイスにたどり着いた」と話しています。

 市原助教らは人の皮膚に一番近いとされるブタでの実験を進めています。安全性を確かめ、数年以内の実用化を目指すといいます。

 2023年12月8日(金)

🟧大麻グミ「HHCH」類似商品を取り扱う全国の店舗に立ち入り検査 厚労省麻薬取締部

 食べた人が相次いで体調不良を訴えたいわゆる「大麻グミ」を巡っては、グミに含まれていた成分が指定薬物に追加され、12月から販売などが禁止されています。

 こうした中、厚生労働省の麻薬取締部が、指定された成分に近い別の成分が入った商品を取り扱う全国各地の店舗に対しても、健康被害を広げる恐れがあるとして、立ち入り検査などを行っていたことがわかりました。

 大麻に近い「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」という成分が入ったグミ、いわゆる「大麻グミ」を巡っては、食べた人が体調不良を訴えて救急搬送されるなどのケースが相次いだことから、厚労省が「HHCH」を医薬品医療機器法に基づく指定薬物に追加し、12月2日から「HHCH」入りの商品の販売などが禁止されています。

 しかしその後も、「HHCH」に近い「HHCP(ヘキサヒドロカンナビフォロール)」など、類似の成分を含んだ商品が、店舗やインターネットで販売され、体調不良を訴えている人もいるということで、厚労省の麻薬取締部は、健康被害につながる恐れがあるとして、8日までに「HHCP」などの成分が入った商品を扱う東京都新宿区の販売店など、全国各地の店舗に立ち入り検査を行い、販売停止命令を出していたことがわかりました。

 厚労省は「HHCP」など類似の成分についても、早ければ年明け以降にまとめて指定薬物に追加し、規制対象とする方針を示しています。

 2023年12月8日(金)

🟧新型コロナの全国の患者数が2週連続増加 前週比1・18倍

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、11月27日から12月3日までの1週間では、1つの医療機関当たりの平均の患者数が2・75人で、前の週の1・18倍となっています。

 厚労省によりますと、12月3日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から2084人増えて1万3583人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は2・75人で、前の週の1・18倍となりました。9月から減少傾向が続いていましたが、前の週から2週連続で増加しました。

 都道府県別では、多い順に北海道が6・82人、山梨県が6・39人、長野県が5・78人、新潟県が4・33人、福島県が4・04人などとなっています。少なかったのは沖縄県1・35人、島根県1・53人、神奈川県1・60人など。

 12月3日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1022人で、前の週と比べて76人増加しました。

 厚労省は全国の流行状況について、「全国的に感染が広がり、2週連続で増加傾向となった。冬になり感染拡大の時期であることからも、感染対策を続けてもらいたい」としています。

 2023年12月8日(金)

🟧「石油・ガス脱炭素憲章」に50社が署名 COP28

 国連(UN)気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)のホスト国であるアラブ首長国連邦(UAE)は2日、サウジアラビアとともに、会議期間中、世界の石油生産量の40パーセント以上を占める50以上の石油・ガス企業が「石油・ガス脱炭素憲章」に署名したと発表しました。

 この憲章は、石油・ガス産業における気候変動対策を加速させることを目的としています。50社のうち、国営石油会社が署名企業の60パーセント以上を占め、脱炭素イニシアチブの実施に向けたコミットメント数としては史上最多となりました。

 憲章は、石油・ガス産業がネットゼロ(カーボンニュートラル))、メタン排出ゼロを達成し、2050年またはそれ以前に日常的なフレアリング(焼却処分)を廃止し、2030年までに業界をリードする排出削減の実践に取り組むことを規定しています。

 同日、COP28議長を務めるUAEのスルタン・アル・ジャベール産業・先端技術相は、世界気候行動サミットの中で、エネルギー転換を加速し、世界の排出量を大幅に削減するための一連の画期的な取り組みである「グローバル脱炭素化アクセラレーター」を発表しました。

 アクセラレーターは、明日のエネルギーシステムの迅速な拡大、今日のエネルギーシステムの脱炭素化、メタンやその他の非CO2温室効果ガスの削減という3つの柱に焦点を当てています。石油・ガス企業に「石油・ガス脱炭素憲章」への参加を促すことも、このイニシアチブの一環です。

 2023年12月8日(金)

2023/12/07

🟧孤独で縮む寿命、アリの研究で改善に手掛かり ストレスで活性酸素増加

 群れで暮らす社会性昆虫のアリを1匹だけで孤立させると寿命が短くなる理由の一端を明らかにしたと、産業技術総合研究所などのチームが7日までに発表しました。ストレスに反応して体内でつくられる活性酸素が、肝臓に相当する器官で増えていました。活性酸素から体を守る抗酸化剤を投与すると、生存期間が改善しました。

 孤立した環境が健康に悪影響を与えるというデータは、人間でも得られています。ただ、他の動物を含めて、何が寿命を縮めているのか詳しくはわかっていません。

 アリは生殖機能を持つ女王アリや雄アリと、生殖機能を持たない働きアリがそれぞれの役割を果たしながら集団生活する社会性生物で、働きアリは孤立すると寿命が縮むことが知られています。そこで、オオアリに2次元バーコードを取り付けて、働きアリを1匹で飼育する孤立アリと、10匹で飼育するグループアリに分け、それぞれの行動量を比較しました。

 その結果、孤立アリは1日目から飼育箱の壁際にいる時間が長くなり、身を隠すための巣の中で過ごす時間が短くなりました。また、グループアリに比べて長い距離をより速い速度で移動することがわかりました。そこで、さらに行動観察を24時間続けた後、孤立アリとグループアリの遺伝子がどのように働いているかを解析しました。

 その結果、孤立アリでは407個の遺伝子がより多くのタンパク質を作るなど活性化する一方、487個の遺伝子の活性が低下していました。特に、過剰になると細胞を傷付ける酸化還元酵素活性を持つタンパク質を作る遺伝子群の働きが大きく変化することや、壁際にいる時間が長いほど酸化ストレスにかかわる遺伝子の活性が高まることなどが明らかになりました。

 そこで酸化ストレスを和らげる薬剤「メラトニン」を投与したところ、孤立アリでは寿命短縮が緩和された一方、グループアリでは寿命に変化はありませんでした。メラトニンと同様の抗酸化作用を持つ他の薬剤を使用しても、同様の結果が得られました。

 この結果から、チームは「酸化ストレスを和らげることで孤立したアリの行動の異常や寿命の短縮を緩和させることを初めて実証した」と結論付けました。

 さらに、同じ社会的生物である人についても、今回の成果が社会的環境ストレスの緩和や寿命の延伸につながる手掛かりになると期待しています。

 チームの古藤日子(ことう あきこ)・産業技術総合研究所主任研究員(行動生態学)は、「孤立死の仕組みがアリと人間で全く同じだとはいえないが、活性酸素は多くの生物が持っている物質なので、アリを通じて人間で使える薬の候補を探せる可能性がある」と話しています。

 2023年12月7日(木)

🟧イベント弁当を食べた82人が下痢や発熱、ノロウイルス検出で食中毒と断定 愛知県豊橋市の弁当店営業禁止

 12月1日、愛知県豊橋市のスポーツ関係のイベントで配られた弁当でノロウイルスによる食中毒が起きました。82人が下痢や発熱などの症状を訴えています。

 食中毒が起きたのは、豊橋市新栄町にある弁当店「タイショク」が提供した幕の内弁当です。

 豊橋市保健所によりますと、12月3日に、「ソフトテニスの大会で、配られた弁当を食べた複数の人に嘔吐や下痢などの症状が出ている」と大会関係者から連絡がありました。

 保健所が調べたところ、12月1日に市内で開かれていたテニス大会で役員らに幕の内弁当244食が配られ、午前11時~午後8時に弁当を食べたとみられる20~70歳代の男女82人が下痢や嘔吐、発熱などの症状を訴えていることがわかりました。

 このうち男性1人が入院しているということですが、快方に向かっているということです。

 幕の内弁当の中身は、ごはん・ハンバーグ・ミートソーススパゲティ・焼肉・揚げ物(エビフライやコロッケ)・サラダなどが入っていたということです。

 市の保健所は、症状のある人や弁当の調理従事者からノロウイルスが検出されたことなどから、集団食中毒が発生したと断定。6日付けで、弁当店に対し再発防止策が講じられるまでの間、営業を禁止する行政処分を行いました。

 豊橋市は、この時期はノロウイルスによる食中毒が増えることから、トイレの後や調理前は手洗いを十分行うよう呼び掛けています。

 弁当店「タイショク」は保健所から連絡があった4日から自主的に営業を取りやめているということで、「誠に申し訳ない。調理場の除菌と清掃を行い、再発防止をしていく」としています。

 2023年12月7日(木)

🟧ふるさと納税返礼品のそうめんにカビ毒小麦を使用 岩手県花巻市が発送を停止

 JA全農いわてが販売した岩手県産小麦の一つ「ナンブコムギ」から、食品衛生法の基準値を超える「カビ毒」が検出された問題で、岩手県花巻市のふるさと納税の返礼品にも対象の小麦が使われた食品があったことが7日、わかりました。

 基準値を超えるカビ毒が検出された小麦が使われていたのは、花巻市のふるさと納税の返礼品の1つ、「花巻産南部小麦そうめん」です。

 JA全農いわての発表を受けて花巻市は11月29日、この商品の発送を取りやめるとともに寄付の受付を停止しました。

 しかし、7月14日以降に発送され、賞味期限が「2025年5月」と表示されているものが334件あり、市では食べるのを控えるよう寄付をした人にメールで呼び掛けています。

 市は発送されていないぶんを含む合わせて357件、392万7000円の寄付金を返還することを決め、代替品の発送にも対応することにしています。

 これまでのところ健康被害の情報は寄せられていないということです。

 一方、宮城県石巻市は7日、9~10月に市内の小中学校でカビ毒が検出された小麦を使った給食が計3回提供されていたと発表しました。この給食は市内の21の小中学校に提供されましたが、健康被害は確認されていないとされています。

 また、宮城県気仙沼市の小中学校の給食でも、カビ毒が検出された小麦を使ったせんべい汁が提供されていたことがわかりました。

 2023年12月7日(木)

🟧横須賀市でもカビ毒検出小麦を学校給食に使用 健康被害の報告なし

 神奈川県横須賀市教育委員会は6日、市立小44校と特別支援学校1校の給食で、嘔吐などの恐れがあるカビ毒が基準値を超えて検出された小麦「ナンブコムギ」を使用していたと発表した。現時点で児童らに健康被害は報告されていません。

 ナンブコムギは岩手県産小麦の一つで、JA全農いわてが11月に食品衛生法の基準を上回るカビ毒の検出を発表。食材メーカーから11月28日、横須賀市教育委員会側に使用の連絡がありました。

 教育委員会によると、11月20~24日、ナンブコムギを原料とする「かやき煎餅(せんべい)」が「せんべい汁」として提供されました。児童や教員ら計約1万7500人が食べたとみられます。

 教育委員会の担当者は、「1人当たりの摂取は少量と考えられる」としました。

 2023年12月7日(木)

🟧RSウイルス感染症が「流行入り」 静岡県が注意呼び掛け

 静岡県は26日、直近1週間(15~21日)のデータから「RSウイルス感染症が流行入りしている」と発表しました。定点医療機関となっている小児科1カ所当たりの患者数は1・64人で、県が流行入りの目安としている「1人」を大きく上回りました。前週の0・9人よりも8割増加し、急拡大が懸...