JA全農いわてが販売する岩手県産小麦「ナンブコムギ」から基準値を超えるカビ毒が検出された問題で、学校給食やふるさと納税の返礼品などへの影響が広がっています。カビ毒の可能性がある小麦の利用が確認されたのは、県内全33市町村の約8割に当たる26市町村。これまでに健康被害は確認されておらず、県は「通常の摂取量で健康に影響をおよぼす可能性は低い」として、冷静な対応を呼び掛けています。
JA全農いわては11月28日、県産小麦の一部から、カビ毒の一種「デオキシニバレノール」が、食品衛生法の基準(1キロ・グラム当たり1ミリ・グラム)の最大約6倍検出されたと発表。対象の小麦約710トンのうち、約404トンはすでに小麦粉などとして出荷され、製粉会社などが自主回収を始める事態となりました。
ナンブコムギは地域の特産品にも広く利用され、12月7日には、花巻市がふるさと納税の返礼品「花巻産南部小麦そうめん」に使われていたと発表。ほかの自治体の返礼品でも利用が次々と判明し、影響は14日までに計8市町(計481件)におよびました。
学校給食にも、すいとんや煎餅(せんべい)汁、ひっつみ汁などとして提供され、14日までに少なくとも県内計26市町村のほか、青森、宮城両県の小中学校などで利用が確認されました。
内閣府の食品安全委員会によると、今回検出されたデオキシニバレノールは、汚染された食品を食べると嘔吐(おうと)や下痢などを引き起こす恐れがあるとされます。製粉や調理の過程で濃度が薄まるという報告もあるといい、同委員会は「基準は低く設定されている。超過しても、ただちに健康への影響が出る性質のものではない」としています。
「南部せんべい」の原材料にナンブコムギを使っていた盛岡市の「老舗白沢せんべい店」は11月27日から休業して商品を自主回収するなどし、これまで約2万枚、商品価格で200万円以上のせんべいを廃棄したものの、12月18日に再開しました。一部の商品で安全性が確認された別のナンブコムギの利用を再開しており、白沢一美津社長(51)は「ごまにもピーナッツにも負けない風味と味があり、ずっしりした重量感も出る。今後も利用を戻していきたい」と話しました。
2023年12月24日(日)
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