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2022/07/09

☕矮小陰茎

陰茎が基準よりも小さい状態にある性機能疾患

矮小(わいしょう)陰茎とは、男性の陰茎が基準よりも大幅に小さい状態にあり、生殖や性行為に支障を来す性機能疾患。マイクロペニス、ミクロペニスとも呼ばれます。

短小陰茎という呼び方もありますが、こちらは俗語であって医学的に定義されたものではなく、個人差の範囲にすぎないものを指している場合が多く認められます。これに対して、矮小陰茎は医学的に定義されたもので、性機能疾患として認められている疾患の一つです。

陰茎の形態は正常であるものの、陰茎の大きさが平常時はもちろん、勃起(ぼっき)時でも一定の基準よりも小さく、成人男性で勃起時の長さが5センチ以下のものが、矮小陰茎と定義されています。勃起時でも長さ太さともに5ミリに達せず、陰嚢(いんのう)に埋没して、外見上は生まれ付き陰茎を所有しない陰茎欠損症に見える極端な例もあります。

性腺(せいせん)からのホルモンの分泌不足によって起こる性腺機能低下症が、原因と考えられています。また、全身的な症候群の一症状として、矮小陰茎がみられることもあります。

陰茎の発達はまず、胎生期における生殖茎の分化、成長が基軸にあります。排泄腔(はいせつくう)ひだが左右ともに癒合し合って、生殖結節が形成され、その生殖結節が伸びた状態が生殖茎であり、その生殖茎が男性の陰茎、女性の陰核のベースになります。

生殖茎は、おおよそ胎生12週までは男女ともに同様の分化、成長を続けます。その後、男性では胎児精巣(睾丸〔こうがん〕)から分泌される男性ホルモンの一種であるテストステロンの影響で、生殖茎が伸びていき、陰茎の形状をなしていきます。生殖茎は伸長に並行して、尿道ひだを引き込んで尿道を形成し、それに応じて尿道口が亀頭の先端に形成されます。

この生殖茎の伸長と尿道ひだの引き込みが、テストステロンの分泌量が足りない場合に不十分に進行して、矮小陰茎と、尿道の出口が亀頭の先端になくて陰茎の途中や陰嚢などにある尿道下裂の原因になります。

また、第二次性徴期におけるテストステロンの分泌障害もまた、陰茎の成長発達を阻害し、結果として矮小陰茎を示すことがあります。

胎生期ならびに出生後に発生するテストステロンの分泌障害は、精巣自体に問題がある原発性性腺機能低下症と、テストステロンの上位ホルモンで、脳下垂体から出される性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピンの分泌障害などが原因の続発性性腺機能低下症があります。

こうしたテストステロンの分泌不足によって発生する矮小陰茎などの障害は、テストステロンの受容体の障害でも同様に発生します。

原発性性腺機能低下症によって矮小陰茎を示す疾患には、類宦官(るいかんがん)症や、クラインフェルター症候群などの染色体異常を示す疾患があります。クラインフェルター症候群では、第二次性徴の障害は続発性性腺機能低下症などに比較して少ないことが多く、成人後の勃起障害(ED)や男性不妊症で、クラインフェルター症候群自体が発見されることも珍しくありません。

矮小陰茎では、陰茎が小さすぎるために性交障害を生じる時があります。また、テストステロンの相対的な不足は勃起障害(ED)を引き起こし、これも矮小陰茎同様の性交障害の原因になります。

通常は新生児期に、医師や看護師による性別の確認が行われる際に見付かり、専門医に紹介されて治療が行われます。

矮小陰茎の検査と診断と治療

小児泌尿器科、小児外科、泌尿器科、内分泌代謝科の医師による診断では、染色体分析検査、性ホルモンの測定、アンドロゲン(男性ホルモン)受容体の検査、超音波検査、X線造影検査、CTやMRI検査による内性器の存在確認を行います。

また、埋没陰茎、翼状陰茎などと鑑別します。これらの疾患は、いずれも陰茎が一定の基準より小さい、もしくは小さく見えるという疾患になります。

小児泌尿器科、小児外科、泌尿器科、内分泌代謝科の医師による治療では、矮小陰茎は男性ホルモンであるテストステロンの分泌不全、もしくは機能不全が問題であることがほとんどなので、幼少期のテストステロン製剤による刺激療法を行います。テストステロン製剤には塗布薬と注射薬があり、病態に合わせて局所塗布か全身投与かを決めます。

注射薬を用いて全身投与を行う場合、骨の成長を進行させる副作用があり、骨の発達が早期に完了してしまうリスクがあります。身長が伸びる思春期以前に、このホルモン療法を行うと、背が十分伸びないことがあります。

また、子供をつくる生殖能力を獲得するために、性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピンの注射など、上位ホルモンから性腺に刺激を与える治療を行うこともあります。

矮小陰茎の成人以降の処置としては、自家移植手術の陰茎海綿体延長術が行われることもあります。大腿(だいたい)部や腹部から採取した真皮を使用して、陰茎の勃起機構の主体をなす陰茎海綿体に移植して、陰茎の伸長を図ります。

☢ワイル病

ワイル病は、黄疸(おうだん)出血性レプトスピラが犬や鼠(ねずみ)に感染し、その尿に汚染された水や土から経皮的、経口的に人間へと感染する病気です。レプトスピラとは、螺旋(らせん)状の特殊な細菌の一群であるスピロヘータの一種です。

ドイツの医師ワイルにより、1886年に初めて報告され、日本の稲田龍吉、井戸泰両博士により、1915年に世界で初めて病原体が発見されました。

日本では「秋疫(しゅうとう)」、「七日病(なのかびょう)」と呼ばれる地方病として、農作業や土木従事者の間で発症していましたが、現在は沖縄県で散発性に発生するのみです。

ワイル病を含め、レプトスピラによる感染症を総称して「レプトスピラ病」と呼びますが、国外では現在でも、全世界的にレプトスピラ病が流行しています。ブラジル、ニカラグアなどの中南米や、フィリピン、タイなどの東南アジアといった、熱帯、亜熱帯の国々での大流行が挙げられます。

ワイル病の症状 には黄疸のほか、出血傾向、タンパク尿、高熱、吐き気、嘔吐(おうと)、筋肉痛、結膜充血があり、進行すると腎不全、心不全が起こる場合もあります。レプトスピラ病の経過は極めて速く、ワイル病では治療開始時期が遅れるとしばしば重症化します。

治療法としては、 抗生剤を早期に投与するのが有効。感染早期ではペニシリン系、テトラサイクリン系など多くの抗生剤の効果が認められ、ストレプトマイシンが最も有効です。合併症では、その治療をします。

東南アジアなど、レプトスピラ病の流行地域へ旅行した場合には、不用意に水の中に入らないことが、予防する上で重要です。特に洪水の後は、感染の危険性が高まります。また、1999年夏に沖縄八重山地域において、観光ガイドやカヤックインストラクターなど、河川でのレジャー産業に従事する人たちの集団感染が報告されていますので、水辺のレジャーにも注意が必要です。

感染の機会があり、ふくらはぎの筋肉痛や、眼球結膜の充血を伴う発熱が現れた場合には、早急に感染症内科のある医療機関を受診します。

⏺若木骨折

成長途中の軟らかい子供の骨に強い力が一度にかかった際に、折れずに曲がったままになった状態

若木骨折とは、成長途中の軟らかい子供の骨に、強い力が一度にかかった際に折れずに曲がり、そのままになった状態。子供特有の不完全骨折の状nter態で、若木屈曲骨折とも呼ばれます。

幼少児の骨というのは、大人の骨に比べて、有機成分であるコラーゲンが豊富で、弾力性に富んで軟らかく、元々折れにくい特徴を持っています。従って、転倒や転落によって本来ならば骨が折れてしまうような無理な力が加わった際に、割りばしが完全に破断するようにポッキリと折れるのではなく、みずみずしい若木の枝を折り曲げたように、あるいは千歳飴(ちとせあめ)を折り曲げたように、 骨の一部に亀裂(きれつ)が入ってグニャリと変形します。

若木骨折は、外から見て、はっきり盛り上がるように曲がっているのがわかる場合も、微妙に曲がってわからない場合もあります。

症状の軽い場合、骨折直後にあまり痛みを感じません。骨折してから2、3日が経っても痛みが引かず、医師の診察を受けて骨折と診断されることがあります。

少しはれる程度で、触らなければ痛みを感じず、骨折だとわからないこともあります。特に、赤子や小さな幼児の場合、見た目の変形が感じられず、あまり痛がらないため、見過ごされてしまうこともあります。

なお、若木骨折は管状骨に屈曲力が作用して骨折を生じますが、同じ管状骨に長軸方向への圧迫力が作用した場合は、部分的に押しつぶされて、骨折部の外周が竹節(たけふし)のように膨隆します。このようなタイプの若木骨折は、竹節状骨折と呼ばれます。

若木骨折の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、骨の痛みがある部位と症状、受傷した時の状況、およびX線(レントゲン)検査で確定します。

軽度の場合、外見上のはれも少なく、痛みだけが手掛かりで、X線検査を行ってもほとんど異常を示さず判断が難しいこともありますが、骨折後1カ月程度で骨膜反応という骨折の修復により異常がわかります。骨シンチグラフィー検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、骨折の初期の段階の病変でも判断することが可能です。

整形外科の医師による治療では、患部をギプスなどにより固定し、負荷がかからないようにします。

若木骨折は、成人の骨折に比べると早く治癒する特徴があります。患部を固定しておけば、多くの場合は数週間後に骨は真っすぐに戻ります。

場合によっては、麻酔をかけて骨の形を戻す手術を実施します。また、子供の骨の端には骨端(こったん)線という骨の成長に欠かせない重要な部位があり、ここに損傷を受けていた場合は、骨が変形して成長したり、成長が止まったりする場合があるので、きちんとギプス固定をしたり、手術をするなどの処置をします。

成長期の子供の骨折は治りが早く、骨折した部位を数年後にレントゲン検査してみても、骨折の跡がほとんどわからないくらい完全に治癒することも珍しくありません。ギプス固定を外した後のリハビリでも子供の回復は目覚ましく、一般的には関節が固まって動きが悪くなる拘縮を残すこともありません。

ただし、成長期にある子供では、成長が終了するまでしっかりと経過観察する必要があります。過成長といって、折れた骨が過度に成長して長くなってしまうことがあるからです。

♈若菜病

山陰、近畿地方の農村で、若菜の浅漬けを食べた直後に悪心、嘔吐、1~2日後に咽頭部の掻痒感と喘息状のせきが生じ、1カ月くらい持続する症状の出ることが知られていました。

ズビニ鉤虫感染幼虫が口から入った後、肺、気管に移った際に起こる症状で、アレルギー反応によるものと考えられています。同じ若菜を食べた人すべてに発症するのが特徴で、治療にはステロイドを投与します。韓国では、菜毒症と呼ばれています。

🇱🇻若はげ

若はげとは、壮年性脱毛症の進行が早まって、若い段階で症状が現れたものです。額の生え際や頭頂部から脱毛し始め、次第に毛が細く短くなっていくのが特徴で、遺伝や男性ホルモンの影響で、毛根細胞の異常が起こるためと考えられています。

壮年性脱毛症は大抵、40~50代で症状がハッキリと現れますが、症状そのものは20代から始まっています。ただ、一般的に症状の進行スピードが遅いため、20代では目に見える形で薄毛になるケースが少ないだけです。

壮年性脱毛症の原因は完全には特定されていませんが、遺伝や男性ホルモン、ストレス、生活習慣と大きな関係があると考えられていますので、若はげの原因にも同じことがいえます。ただし、壮年性脱毛症の進行スピードに、なぜ人によって差があるのかはわかっていません。

また、円形脱毛症により若はげになることもあります。子供の発症率が高い男性型脱毛症である円形脱毛症は、アレルギーかストレスのどちらかで起こっています。

若はげの原因が、壮年性脱毛症や円形脱毛症の可能性が高い以上、若はげを予防、防止するには、これらの男性型脱毛症に関する対策が必要となります。簡単にいえば、ストレスをためずに、規則正しい生活を送るということです。また、毎日のシャンプーを欠かさず実行して、常に髪の毛を清潔にすることです。

ただし、そのような対策をとっても、若はげが遺伝している場合には、手の打ちようがありません。生活リズムを整えるほかにも、医師にあらかじめ相談し、徹底的に体質チェックやヘアチェックをしてもらうなどの対策をとることはできます。

若はげは男性だけでなく、女性にもみられることがあります。女性の若はげの大部分は、あってもほとんど目立たない程度の大きさです。女性の若はげの原因には、ストレスや生活習慣の乱れのほかにも、ドライヤーのかけすぎや出産に伴う脱毛があります。

髪の毛は自然乾燥させるのが好ましく、ドライアーを使うなら短時間で終わらせるように心掛けましょう。出産後に短期間、脱毛するような症状は放っておいても治りますが、脱毛が長期間続いたり、どうしても気になるようでしたら、産婦人科の先生に相談しましょう。

2022/07/08

♈腋臭(わきが)

腋臭(わきが)とは、腋の下の汗が原因で体臭が気になる病気です。腋の下のアポクリン腺という汗腺から出た汗に含まれる脂肪酸が、皮膚についている細菌によって分解され、腋臭の臭(にお)いが発生します。また、アポクリン腺以外のもう一つの汗腺であるエクリン腺も、その臭いの発散に関わっています。

汗の臭いが気になるという人と、臭いより汗の量が多く、服に染みができて困るという人がいます。狭義では、前者を腋臭、ないし腋臭(えきしゅう)症と呼びます。後者は、多汗症といって区別します。

世界的に腋臭体質者の割合を見ると、日本人では10人に1人、中国人では30人に1人、白人では10人に8人、黒人では10人すべてとされています。

このように日本人では腋臭形質を持つ者が少数派という事情と、日本人が清潔好きという理由があいまって、自分の腋臭の症状が気になり、仕事や勉強に集中できない、臭いを嗅(か)がれるのが怖くて他人と交流できないなど、悩みを持つ人の中には、専門の医師による手術を希望するケースも多々あるようです。

しかし、腋臭は生命を左右するような病気ではないため、たとえ腋の下の汗が多くて臭いが強いからといって、必ず手術しなければいけないものでもありません。本人が気にしなければ、臭いが強くても治療の対象にはならないということです。

専門家による腋臭の治療としては、ボトックス注入、スマートリポ、医療レーザー脱毛などがあります。

ボトックスは顔のしわの治療で知られますが、腋の下に注入することで、汗腺の活動を抑制し、汗の分泌を抑えます。注入後3~7日間で効果が現れ、約3、4カ月~半年の間は、汗の量を抑えることが可能です。

スマートリポでは、腋臭の原因となる腋の下のアポクリン腺とエクリン腺に、スマートリポレーザーを照射し、汗腺を燃焼させます。メスを使用せず、直径1mmの針状のレーザーを毛根部に差し込んで、汗腺を直接照射するので、傷跡が残る心配もありません。治療時間が約30分と短く、治療後すぐに帰宅が可能です。

医療レーザー脱毛では、高い出力レベルに設定したレーザーで、毛穴に沿って存在しているアポクリン腺を毛穴ごと破壊してしまうことで、臭いを軽減します。ただし、この治療法で腋臭を治療する場合、3 回程度の照射を必要とするなど、症状の適応に限界があります。1回の治療は5分ほどで、日常生活に制限はありません。腋の脱毛も、同時に可能です。

♈ワギニスムス

腟口や腟周囲の筋肉が不随意にけいれん、収縮を起こし、性交ができなくなったりする状態

ワギニスムスとは、女性の腟口(ちつこう)や腟周囲の筋肉が不随意にけいれん、収縮を起こし、性交時に痛みを感じたり、性交ができなくなったりする状態。腟けいれん、腟けいとも呼ばれます。

このワギニスムスは、性交経験のない人に起こる原発性のワギニスムスと、性交経験のある人に起こる続発性のワギニスムスとに分かれます。

原発性のワギニスムスでは、初交の際に男性が陰茎を膣に挿入しようとすると、外陰部の疼痛(とうつう)を覚えるため、不随意反射的に膣口の括約筋である球海綿体筋や外肛門(こうもん)括約筋を強く締めてしまい、挿入が困難か、あるいは挿入に強い痛みを伴います。挿入後に起こった場合は、陰茎を抜去するのが困難になります。

原発性のワギニスムスの多くは、幼少期の性的障害や、性への消極的思考の教育、宗教的な罪悪感、望まない結婚などが関係するといわれています。無意識の心理的葛藤が身体的症状として現れる、いわゆる心身症としてとらえることもできます。

続発性のワギニスムスの場合は、結婚後何年もしてから症状が現れることもあります。また、陰茎挿入時に疼痛を覚えることもしばしばです。

続発性のワギニスムスは、性交を望まない気持ちが無意識にあると生じることがあります。例えば、過去に性交で経験した痛みが、症状の原因となっている場合があります。このほか、妊娠すること、パートナーに支配されること、自制が利かなくなることなどに対する恐れなどが、性交を望まない気持ちにつながります。

骨盤内の感染、けが、出産、手術などによる腟口の傷跡などの身体的な問題が、ワギニスムスを引き起こしていることもあります。腟洗浄、殺精子剤、コンドームのラテックスなどによる刺激も、原因となることがあります。

ワギニスムスの痛みのため、性交に耐えられない女性もいますが、こうした女性でもペニスの挿入を伴わない性行為であれば楽しめることがあります。逆に、月経の際の生理用タンポンの挿入にさえ耐えられないような場合もあり、こうした人では医師による検査の際に麻酔が必要となります。

医師による診断が難しいことと、治療には時間がかかることがあるので、ワギニスムスに気付いたら、まずは産婦人科に相談に行くのがよいでしょう。その後、必要に応じて専門家の治療を受けることになります。

ワギニスムスの検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断は、発症者による症状の説明、病歴によって続発性のワギニスムスを疑いますが、確定診断は腟の検査を行うことになります。ただし性器という場所ゆえに、なかなか検査を行いにくいというのが現状です。

身体的疾患がワギニスムスの原因となっている場合は、その治療を行います。原因が精神的なものである場合は、性交や性器に対する不安の除去を図る精神医学的療法を行います。同時に、パートナーとの関係の見直しや、家庭環境の改善も必要になってきます。

物理的な治療として、器具の挿入による腟の段階的拡張を行うほか、局所への麻酔薬入りゼリーの塗布、処女膜切開、向精神薬の内服などの方法があります。

腟の段階的拡張は、潤滑剤を塗ったプラスチック製の棒(拡張器)を自分で腟に挿入し、腟を徐々に広げていくという方法です。初めは細い拡張器を使用し、楽に挿入できるようになったら徐々に太いものに変えていきます。十分な太さの拡張器を入れていても不快感を感じないようになったら、改めてパートナーとの性交を試みます。

この拡張器を挿入した状態で、骨盤部の筋肉を強化するケーゲル体操を行うと効果的な場合があります。ケーゲル体操は、排尿を途中で止める時のように、腟、尿道、直腸の周りの筋肉に力を入れて約10秒間引き締め、次に力を抜いて約10秒間緩めます。この動作を10〜20回繰り返すのを1セットとして、1日に3セット以上行います。

この体操により、不随意に収縮していた筋肉をコントロールする感覚を身に着けることができ、尿失禁や便失禁の予防や軽減にもつながります。

🐊ワニの涙症候群

食事の際に涙分泌が起こる現象。ワニが捕食をする時に涙を流すということから、「ワニの涙」といわれています。

頭蓋底骨折、先天性外直筋麻痺を持つ顔面神経麻痺の患者などに見られます。唾液腺へいく神経と涙腺にいく神経が、方向を誤って混線するため起こるというのが、有力な説です。

💅湾曲爪

つめの甲が高度に弓なりに曲がり、両側縁に食い込んだ状態

湾曲爪(そう)とは、爪の甲が両側縁に向かって深く湾曲して、側爪廓(そくそうかく)に巻き込み、爪廓部を損傷する状態。巻き爪(づめ)とも呼ばれます。

側爪廓に食い込んでいるものは陥入爪(かんにゅうそう)といい、側爪廓に巻き込んでいて爪の両端が丸まっている湾曲爪は、陥入爪の変形です。湾曲爪と陥入爪は、合併して起ることもあります。

湾曲爪は足の爪に起こることがほとんどで、まれには手の爪にもみられます。湾曲爪や陥入爪は統計的に欧米人に多く、また3対1の割合で男性に多いとされていましたが、近年では、日本人の間にも老若男女を問わず急速に増加し、ことに若い女性での発生が目立ちます。

主な原因は、先天的な爪の異常、爪の外傷、爪の下がうむ疾患であるひょうそ後の変形です。これに、窮屈な先の細い靴による爪の圧迫、不適当な爪切り、立ち仕事や肥満による過度の体重負荷ないし下肢の血流障害、あるいは、爪の水虫による爪の甲の変形などが加わって、悪化します。

爪の甲の端が爪廓に巻き込むと、圧迫によって痛みを生じます。また、巻き込んだ爪の甲が爪廓の皮膚を突き刺すようになると、指の回りがはれたり、その部分を傷めて痛みが増強します。

爪の甲の端が変形して起こるため、肉眼で確認しづらい状態で進行していくことが多く、気付いた時には皮膚に深く巻き込んでしまっていることもあります。場合によっては、出血を起こすほどに爪が深く突き刺さってしまうこともあります。

この傷に、ばい菌が入ると、より赤くはれ上がってくるとともに、赤い出来物を生じるようになります。これを化膿性肉芽腫(かのうせいにくげしゅ)と呼びます。

ひょうそなどの感染は、湾曲爪や陥入爪を誘発したり、悪化させたりするため、早期に適切な治療を必要とします。湾曲爪や陥入爪の再発を繰り返す場合や、側爪廓の盛り上りが強すぎて歩行に支障を来すような場合には、皮膚科専門医による外科的治療を行わないと完治しません。

湾曲爪の検査と診断と治療

皮膚科の医師による治療の基本となるのは、爪の端を皮膚に刺さらないように浮かせて伸ばし、とげ状の部分をカットする方法と、手術で爪の端を取り除く方法です。爪の変形が強くなるため、原則的に抜爪は行われません。

湾曲爪の矯正にはさまざまな方法があり、プラスチック製のチューブを爪の端に装着するガター法も行われています。爪を切開して、爪の端をチューブで包むことで指の組織を保護するのが目的で、傷口が化膿している場合などに、ガーター法は行われます。

形状記憶合金のワイヤーやプレートを使用する方法もあります。ワイヤー法は、爪の先端に2カ所穴を開け、太さ0・5ミリ程度の特殊なワイヤーを通して矯正する方法です。早ければワイヤーを装着した直後に痛みが治まり、ほとんどが数日中には痛みなどの症状が軽くなります。2~3カ月に1度、ワイヤーを入れ替えて爪を平らな状態に近付けていきます。ワイヤーの装着後も通常、運動の制限や入浴の制限などありません。

プレート法は、主に湾曲爪と陥入爪を併発して症状がひどく、痛みもひどい場合や、ワイヤーの穴を開ける余裕がない場合などに行われます。爪の表面に、形状記憶合金製のプレートを医療用の接着剤を使用して接着します。後は自宅で、ドライヤーなどの熱を利用して1日に2〜3回、湾曲爪の部分に熱を加えてプレートを伸ばすだけです。

また、深爪した爪、巻き込んでいる爪の先端にアクリル樹脂の人工爪を装着して、人工的に爪が伸びた状態を作り、周囲の皮膚への巻き込みを緩和し、湾曲爪を矯正する人工爪法もあります。

矯正や人工爪による治療は時間がかかりますが、手術と違ってメスを使わないので痛みもほとんどなく、見た目も正常にになるという利点があります。

湾曲爪を治療するためではなく、化膿した組織を治すためには、硝酸銀が使われます。硝酸銀を湾曲爪でできた傷口に滴下し、傷口を溶かし正常な組織への再生を促します。硝酸銀が滴下された皮膚は、しばらくの間、黒く染色されます。

湾曲爪がひどい場合、激しい痛みがある場合には、爪の元となる組織である爪母を除去する外科手術を行って、改善を図ることがあります。爪母を外科手術で除去する鬼塚法と、薬品で爪母を焼き取るフェノール法がありますが、どちらも再発する可能性があるというデメリットがあります。近年では、レーザーメスを使って爪母を切除する方法も開発されています。いずれにしろ、外科手術は最後の手段となる場合がほとんどです。

生活上の注意としては、まず足指を清潔に保つことが大切なので、多少ジクジクしていても入浴し、シャワーでばい菌を洗い流します。ばんそうこうなどで傷口を覆うと、かえって蒸れてばい菌が増殖します。消毒した後、できれば傷を覆わないか、風通しのよい薄いガーゼ1枚で覆います。

窮屈な靴、特にハイヒールや先のとがった革靴などは、爪を過度に圧迫するので避けます。爪切りの際には、かえって湾曲爪を増強させる深爪にしないように気を付けます。

⏺腕神経叢まひ

腕(わん)神経叢(そう)とは、首と鎖骨の間にある、腕にいく神経の束を指します。この束が強く引っ張られて、まひが発生した状態が、腕神経叢まひに当たります。

主として、次の二種類があります。一つは、出産時に痛め付けられて起こる分娩(ぶんべん)まひ。一つは、オートバイの転倒などによって、しばしば見られる外傷性の腕神経叢まひ。

どちらの場合でも、まひの分布の仕方により、上位型、下位型と、上位型と下位型の合併した全型に分けられます。

上位型では、第5・第6頸椎(けいつい)の脊髄(せきずい)神経根、下位型では、第8頸椎、第1胸椎の脊髄神経根のまひが見られます。全型では、第5から第8頸椎の脊髄神経根と第1胸椎の脊髄神経根のすべてのまひが見られます。

外傷の程度が強い時には、神経の根元が脊髄から引き抜かれ、重大なまひが発生します。

比較的軽度のケースの治療では、薬物療法や電気療法などが行われます。断裂している神経のギャップ部分に、神経移植をすることもあります。

引き抜き損傷のケースでは、どのような方法を行っても、まひの回復は望めません。代わりに、肩関節固定、肋間(ろっかん)神経の移行、神経筋移植などの手術が、早い時期から行われます。

🟧RSウイルス感染症が「流行入り」 静岡県が注意呼び掛け

 静岡県は26日、直近1週間(15~21日)のデータから「RSウイルス感染症が流行入りしている」と発表しました。定点医療機関となっている小児科1カ所当たりの患者数は1・64人で、県が流行入りの目安としている「1人」を大きく上回りました。前週の0・9人よりも8割増加し、急拡大が懸...