2023/05/31

🟧赤ちゃんポスト、昨年度預けられた子供は9人 母親3人が身元情報提出に応じる

 親が育てられない子供を匿名で受け入れる熊本市の慈恵病院が設置した「こうのとりのゆりかご」に昨年度、預けられた子供は9人で、過去最少だった2021年度の2人より7人多くなりました。開設された2007年以降、預けられた子供は計170人となりました。

 熊本市西区にある慈恵病院は、「こうのとりのゆりかご」という名前でいわゆる「赤ちゃんポスト」を全国で唯一、運営しており、30日は熊本市で児童相談所や医師会などとつくる協議会で、昨年度の預け入れ状況が報告されました。

 それによりますと、昨年度、預けられた子供は9人で、2007年5月の開設から16年間で合わせて170人となりました。

 預けられた9人の内訳は男児5人、女児4人。子供の年齢は、生後1カ月未満が7人、生後1カ月から生後1年未満が1人、生後1年から就学前が1人でした。4人が戸籍法の「棄児」として、熊本市が戸籍をつくりました。

 このうち医療関係者が立ち会わず、自宅などで1人で出産する「孤立出産」で生まれたのは6人でした。

 居住地は、熊本県以外の九州が2人、関東が2人、近畿が1人、不明が4人でした。

 預けた理由について複数回答で聞き取った結果、「生活困窮」が6件で最も多く、次に「育児不安や負担感」が3件でした。

 熊本市の大西一史市長は、「孤立出産や、出産直後の長距離移動に伴う母子の生命の危険などの課題は依然として残されている。子供の出自を知る権利の保障について慈恵病院と共同で検討を進めていく」とコメントしています。

 一方、ゆりかごを巡っては、「子供の出自を知る権利」をどう保障するかが課題となっています。

 慈恵病院では昨年度からゆりかごに子供を預けた利用者に対して、子供が一定の年齢に達したら開示する身元情報の提供を依頼し、同意が得られた場合には、病院の新生児相談室長だけに明かしてもらっています。

 身元情報は病院の金庫で保管されていて、昨年度は9人の預け入れのうち、3人が提供に応じたといいます。

 慈恵病院の蓮田健院長は、「ゆりかごは匿名での預け入れを前提としているが身元情報を保障することが大事なので試みとして実施している。開示時期や方法などを含めて子供の出自を知る権利の保障について社会で議論することが必要だ」と話しています。

 2023年5月31日(水)

🟧熱中症による死亡者、年間1000人超から2030年までに半減へ 6月から取り組み

 政府は2030年までに熱中症による死亡者数を現状から半減させることを目標とする実行計画を30日、閣議決定し、6月から具体的な取り組みを進め、この夏からの熱中症対策を強化します。

 熱中症で死亡する人が後を絶たない中、政府は熱中症対策を強化する改正法に基づき、現在5年ごとの平均で年間1000人を上回っている熱中症による死亡者数を2030年までに半減させることを目標として、各省庁が今後5年間に取り組む具体的な実行計画を30日、閣議決定しました。

 計画では高齢者への対策として適切なエアコン利用の周知徹底や、福祉関係の団体などに見守りの協力を求めるほか、教育現場などでは教室や体育館へのエアコンの設置の支援や、幼稚園などの送迎用バスでの車内への置き去り防止に取り組みます。

 さらに、災害級の極端な高温に備え「熱中症弱者」とされる高齢者や障害者などのうち、特に公的な支援が必要な人の所在や安否確認の方法を検討するとしています。

 西村明宏環境相は閣議後の会見で、「今年もすでに猛暑日を記録するなど熱中症対策は急務だ。近年、熱中症死亡者数が1000人を超える年が頻発し、これまで以上に高い目標を設定した。目標達成に向けて対策を推進していきたい」と述べました。

 2023年5月31日(水)

2023/05/30

🟧KMバイオロジクス、コロナ変異型対応ワクチンで承認申請へ 混合ワクチンの開発も進める

 明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス(熊本市)が開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省などと協議の上、変異型対応での承認申請を検討していることが30日、明らかになりました。当初は従来型対応のワクチンで今春の承認申請を想定していたものの、今後の定期接種化なども見据え、変異型対応での承認を目指します。また、季節性インフルエンザワクチンとの混合ワクチンの開発も進めていることを明らかにしました。

 KMバイオロジクスは、季節性インフルエンザワクチンなどでも使われている、毒性をなくしたウイルスを使った不活化ワクチンで新型コロナワクチンを開発しています。現在、成人と小児を対象に最終段階となる臨床試験(治験)を実施しており、小児の解析データは秋ごろに出る見込みといいます。

 現在の治験で使っているのは従来型対応のワクチンで、同社は今後、変異型に対応できるワクチンが社会に必要として厚労省などと協議し、変異型対応ワクチンのデータを集める方針。このため、早ければ6月中としていた承認申請は大きくずれ込むことになります。

 国産ワクチンを開発中の塩野義製薬と第一三共はすでに承認申請を行っているものの、いずれも従来型対応での申請。

 永里敏秋社長は、「現在の流行状況を見れば、変異型対応のワクチンの承認が必要になる。子供の新型コロナワクチンの接種率が低い中、不活化ワクチンへの期待は高いと考えている。今進めている治験のデータに変異型対応のデータを積み上げて、必ず実用化させたい」と話しました。

 また、承認申請の時期は明言しなかったものの、変異型対応のワクチンが承認された後には、季節性インフルエンザワクチンとの混合ワクチンの実用化も視野に開発を進めていることも明らかにしました。

 2023年5月30日(火)

🟧プロサッカー選手、認知症リスク1・6倍に上昇 スウェーデンで男性6千人調査

 過去にスウェーデンのプロサッカーの試合に選手として出場したことがある男性約6000人を調べると、アルツハイマー病を含む認知症の発症するリスクが一般の男性に比べて1・6倍に上昇していたとする研究結果を、同国にあるカロリンスカ研究所のチームがまとめました。

 ポジション別では、ゴールキーパーのリスクは一般人とほとんど変わらないのに対して、フォワードやミッドフィールダー、ディフェンスといったフィールドプレーヤーのリスクが高まっていました。

 チームの研究者は、「ヘディングや頭部打撲による衝撃が認知症のリスクを高めるとの仮説を支持する結果だ」と指摘。その一方で、「他の要因が関係している可能性もあり、現役の選手やアマチュア、子供のプレーヤーにそのまま当てはめることは難しそうだ」としています。

 チームは、1924年から2019年までにスウェーデンのトップリーグで1試合でもプレーしたことがある約6000人を調査。統計的に分析すると、これらの選手は一般人に比べてアルツハイマー病を含む認知症の発症リスクが62%高くなりました。ただ、同じ神経変性疾患でもパーキンソン病のリスクは一般人より32%低く、筋委縮性側索硬化症(ALS)の人はごく少数でした。

 イギリスのプロサッカー選手を対象とした研究では、神経変性疾患のリスクが3倍以上との報告があるものの、今回はそれよりもリスクが低くなりました。サッカー選手は一般人よりわずかに長生きしていることも示され、運動による予防効果で頭の衝撃による影響が緩和されている可能性もあります。

 研究は3月、イギリスの医学誌「ランセット・パブリック・ヘルス」に発表されました。

 2023年5月30日(火)

🟧沖縄県、全国平均30%の「いきなりエイズ」が50%超え 2002年以来20年ぶり

 エイズ(後天性免疫不全症候群)発症後にHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染したことが判明する「いきなりエイズ」の患者の割合が、沖縄県内で2022年に52・6%となり、2002年以来20年ぶりに50%台を超えました。県によると、全国平均は約30%で、突出して高くなっています。

 人口10万人当たりのエイズ患者報告数も全国で最も多く、感染が拡大しています。沖縄県は「私は大丈夫?それ本当?受けようHIV検査」を掲げ、6月1日から各保健所のHIV即日検査の日程を増やし、夜間・休日にも拡充していきます。

 2022年のHIV感染者/エイズ患者の県内報告は19人で、このうち「いきなりエイズ」の患者は10人(52・6%)でした。2021年は38・5%。県によると、重症化し、救急搬送されて初めてエイズだとわかったケースもありました。

 いきなりエイズの割合増加は、県内の各保健所が新型コロナウイルス関連業務のため、HIV検査を休止したことが背景にあるといいます。人口10万人当たりのHIV検査数は2021年に4・087人で、全国で2番目に低くなりました。

 エイズは、HIVに感染した早期の段階で発見し、治療すれば、発症を防ぐことができます。沖縄県ではHIV感染に気付かずエイズを発症し、重症化する人が水面下で増えている恐れがあります。

 県の担当者は、「感染に不安がある人はためらわず、HIV検査を受けてほしい。感染していても、治療して発症を防ぐことで、通常の生活ができる」と呼び掛けています。

 2021年の県内エイズ患者報告数は人口10万人当たり0・681人で全国最多。HIV感染者数も1・09人で全国で2番目に多く、県は「感染が拡大している」としています。

 2023年5月30日(火)

🟧花粉の発生量、30年後に半減へ スギ人工林の伐採拡大、政府の健康被害対策

 政府は30日、花粉症対策の関係閣僚会議を開き、10年後(2033年度)にスギの人工林を2割程度減少させるなどの対応を進めた上で、30年後には花粉の発生量の半減を目指すとする新たな対策を決定しました。

 これは30日午前、岸田文雄首相や野村哲郎農林水産相らが出席して開かれた花粉症対策の関係閣僚会議で正式に決定したものです。

 このうち、花粉の発生源対策では、住宅などに使う木材のスギ材への転換を進めた上で、スギの人工林の伐採面積を現在の年間5万ヘクタールから7万ヘクタールに広げ、10年後にはスギの人工林を2割程度、減少させることを目標に掲げました。

 そして、花粉の少ないスギの苗木やスギ以外の樹種への植え替えを進めるとし、10年後にはスギの苗木の生産の約9割以上を花粉の少ないものにするとしています。

 また、飛散対策としては、薬剤の改良や効果的な散布技術の開発を促進し、5年後に実用化のめどを立てるほか、来年3月までにスーパーコンピューターや人工知能(AI)などを活用し、花粉の飛散を予測した詳細なデータを民間企業に提供するとしています。

 政府としては、こうした取り組みによって、30年後には花粉の発生量の半減を目指すなど、多くの人を悩ませる花粉症の解決へ道筋をつけたいとしています。

 さらに、アレルギー症状の根治を目指す「舌下免疫療法」の治療薬を現在の年25万人分から5年以内に100万人分に増産するよう促します。企業にはテレワークなど花粉を避けた働き方の推進を求めます。

 岸田首相は、「花粉症は、実効的な対策が行われず、いまだ多くの国民を悩ませ続けているわが国の社会問題といえるものだ。一朝一夕で解決するものではなく、しっかりと将来を見据えて取り組みを着実に実行することが必要だ」と述べ、関係閣僚に対し、決定した新たな対策を速やかに実行に移すよう指示しました。

 花粉症対策の関係閣僚会議で新たな対策が決定したことについて、野村農水相は閣議の後の記者会見で、「木材の活用も加速させながらスギの人工林を10年後には2割減らし、将来的には花粉量を半減させる取り組みに集中していきたい」と述べました。

 その上で、農水省としてもスギの人工林の伐採と住宅などに使う木材のスギ材への転換を進めるための10か年計画を策定し、取り組みを進める考えを示しました。

 2023年5月30日(火)

🟧パーキンソン病の原因となる異常たんぱく質を血液から検出する方法を開発 順天堂大など

 順天堂大学と理化学研究所などの研究チームは、パーキンソン病などの神経疾患の原因になる異常たんぱく質を血液から検出する技術を開発しました。症状が進行する前の早期の診断に役立つ可能性があります。企業と連携して検査の自動化などの技術開発を進め、実用化を目指します。

 手足の震えなどの症状が出るパーキンソン病や、似た症状の多系統委縮症、認知症の一種であるレビー小体型認知症では、「αシヌクレイン」というたんぱく質が異常な構造に変化し、脳に蓄積します。患者の血中にも異常なたんぱく質の「種」が微量に存在します。

 順大の服部信孝教授らは、この種を血中から検出する技術を開発しました。微量なたんぱく質を濃縮する技術と、異常たんぱく質を増やす技術を組み合わせました。異常たんぱく質の検出で、パーキンソン病の患者と健康な人を約9割の高い精度で判別できました。これまでは、血液検査という簡便な方法での異常たんぱく質の検出は困難でした。

 培養細胞や動物などの実験で、パーキンソン病と多系統委縮症、レビー小体型認知症では、異常たんぱく質の微細な構造や細胞の中に蓄積した時の塊の構造、脳の中での広がり方などが異なることも明らかにしました。初期の症状が似ているこれらの病気を異常たんぱく質の構造などで区別できるといいます。

 研究チームは、血中の微量な異常たんぱく質の検出によって、パーキンソン病などの早期診断も可能になると見込んでいます。今後、睡眠中の行動異常などパーキンソン病の前兆とされる症状がある人を対象に、異常たんぱく質の検出から発症するまでの期間などの研究を進めます。

 今回開発した手法では、異常たんぱく質を検出可能な量に増やすまでに5日程度を要します。分析装置メーカーや製薬企業と連携し、検査の期間短縮や自動化といった技術開発にも取り組む方針です。

 服部教授は、「今は症状をもとに診断しているが、血液で見分けられれば、将来的には症状が出る前から治療を始められる。それぞれ強みを持つ企業と共同研究し、開業医でも利用できるような検査にしたい」と話しています。

 研究成果は29日付けのイギリスの科学誌「ネイチャー・メディシン」に掲載されました。 パーキンソン病の国内の患者数は推定20万人程度で、難病の中でも特に患者数が多くなっています。高齢化などを背景に世界では2040年には1400万人に達するとの予測もあります。

 2023年5月30日(火)

2023/05/29

🟧国内企業が開発中のレプリコンワクチンで免疫1年維持 接種間隔を延ばせる可能性も

 国内の新興企業が開発を進める新技術を使った新型コロナウイルスワクチンについて、動物実験で感染を防ぐ中和抗体の量が1年間維持されたと医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市)などの研究チームが発表しました。実用化すればワクチンの接種間隔を延ばせる可能性があります。論文が19日、国際科学誌(電子版)に掲載されました。

 このワクチンは、アメリカのファイザーやアメリカのモデルナが実用化したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンに改良を加えた「レプリコン(自己増殖型)」と呼ばれるタイプです。

 新興企業VLPセラピューティクス・ジャパン(東京都港区)が現在、実用化に向けて治験を実施しています。新型コロナの変異型に加え、未知の感染症への対応も視野に入れています。

 レプリコンワクチンは有効成分が体内で自己増殖するため、接種量は既存のワクチンの100分の1から10分の1ほどですみ、免疫が長く続くとされます。

 研究チームは、人間と体の構造が似ているカニクイザルにこのワクチンを打ち、中和抗体の量が1年間、十分に保たれていることを確認しました。既存のワクチンでは数カ月から半年程度で低下します。

 研究チームの山本拓也・同研究所難病・免疫ゲノム研究センター長は、「年1回接種で効果があるようなワクチンにしたい」と話しています。

 杉浦亙(わたる)・国立国際医療研究センター臨床研究センター長(ウイルス学)は、「中和抗体の量が長期間持続することをデータで示せた意義は大きい。安全性を丁寧に確かめ、未知の感染症に対応できるワクチン開発の基盤技術として育てることが重要だ」と話しています。

 2023年5月29日(月)

🟧作り笑いの「笑いヨガ」で糖尿病患者の血糖値低下 福島県立医科大学が研究

 グループで笑顔を作りながら発声し、深い呼吸を促す運動療法「笑いヨガ」。福島県立医科大学などの研究チームは、笑いヨガが糖尿病患者の血糖値を継続的に下げる効果があるとの研究成果を発表しました。論文が国際科学誌に掲載されました。

 研究チームは、大阪大学医学部附属病院糖尿病センターに受診している、生活習慣の影響が大きい「2型糖尿病」の患者42人について、笑いヨガのプログラムに参加するグループと、不参加のグループに分類。プログラムでは12週間の期間中に計8回、1時間の笑いヨガと30分の健康講座を実施しました。

 直近1~2カ月の血糖状態を示す「ヘモグロビンA1c」を両グループで比較すると、参加したグループの平均値は7・07%から6・82%に低下した一方、不参加のグループの平均値は7・19%から7・26%とほぼ横ばいでした。

 近年の研究では、ヘモグロビンA1cが5年間にわたり7%未満だと、糖尿病の合併症になるリスクが大幅に減るとされています。

 研究チームの大平哲也・福島県立医科大学教授(疫学)は、「プログラム参加者の継続率、出席率はともに高く、笑いヨガが血糖管理の有効かつ続けやすいアプローチであることが示せた」としています。

 福島県立医科大学は6月15日まで、笑いヨガの健康教室の参加者を募集しています。体力の衰えやフレイル(要介護手前の状態)の可能性を感じる50歳以上が対象。フレイルの改善効果を調べるため、6月、9月、12月に身体測定などの検査を行います。前半コース(7~9月)か後半コース(9~11月)の各10回で、いずれか指定されたほうに参加します。参加費は無料で定員は70人。申し込みは同大疫学講座(024・547・1343)へ。

 2023年5月29日(月)

🟧認知症リスクを判定できる新評価尺度「JーMCI」を開発 日本老年精神医学会

 認知症の早期診断につなげようと、日本老年精神医学会は本人や家族が13の質問に答えることで、認知症のリスクを判定できる新たな評価尺度を開発しました。

 日本老年精神医学会が新たに開発したのは、認知症のリスクを判定する「JーMCI」という評価尺度です。

 認知症は早期の診断や治療が重要とされていて、リスクのある人を早い段階で受診につなげることが課題となっています。

 新たな評価尺度は、認知症の症状のうち重要な特徴を13の質問として抽出し、本人や家族などが「はい」か「いいえ」で回答するもので、認知症の前段階とされる「MCI=軽度認知障害」のリスクも調べることができるということです。

 本人が回答する際には自分の症状を軽く評価する傾向があることなどから、正確な判定ができるように調整されているということで、学会によりますと実際の患者などに参加してもらい検証したところ、認知症のリスクがある人の90%以上を見分けることができたということです。

 今月から一部の健康診断の会場などで活用が始まっているということで、今後、ウェブサイトなどで利用できるようにすることを検討しているということです。

 日本老年精神医学会の朝田隆理事は「リスクのある人を見付け出すスクリーニングに役立ててもらい、早期受診を促したい」と話していました。

 2023年5月29日(月)

2023/05/28

🟧東京都内の梅毒患者、今年に入って1422人 過去最多ペースで増加 

 性感染症の「梅毒」と診断された東京都内の患者数が、過去最多のペースで増えています。今年に入って1422人(5月21日時点)に達し、年間の患者数が最多だった昨年の同時期(1188人)より約2割多くなっています。東京都は検査態勢を強化して、注意を呼び掛けています。

 東京都によると、昨年の年間患者報告数は3677人で、現在の調査方法となった1999年以来、最多で、前年の1・5倍、2年前の2・3倍と右肩上がりに増えています。性別や年代別でみると、男性は年代にばらつきがあるものの、女性は約7割が20歳代でした。

 梅毒は全国的にも増加傾向で、国立感染症研究所によると、14日時点の報告数は5164人と、前年同期より4割以上増えています。性的な接触で感染する疾患ですが、患者の中には、性風俗店の利用歴や勤務歴がない人が3割程度おり、市中で感染が広がっている可能性があるといいます。

 典型的な初期症状は、性器や口内のしこりです。ただ、痛みを伴わないため気付かない人も多くいます。数週間で症状がいったん消えた後、しばらくして全身に発疹ができ、放置しておくと内臓や神経に異常が現れることもあります。

 妊娠中の女性が感染すると、胎盤を通じて胎児が感染する「先天梅毒」が起こることがあります。死産や障害を持って生まれるリスクが高まり、流産や早産になることもあります。

 日本性感染症学会理事長の高橋聡・札幌医大教授は、「感染者の増加とともに、先天梅毒が増える可能性がある。梅毒は治る病気なので、気になる症状や不安があったら、ためらわずに検査を受けてほしい」と話しています。

 東京都は「新宿東口検査・相談室」(新宿区、03・6273・8512)や「多摩地域検査・相談室」(立川市、080・2022・3667)などで、匿名で受けられる予約制の無料検査を実施してきました。患者の急増を受け、来月、区立を含む計8カ所の保健所で臨時の検査日を設けることを決定。医療従事者向けの研修会も開催します。

 性感染症に詳しい「プライベートケアクリニック東京」(新宿区)の尾上泰彦院長は、「今や梅毒は誰でも感染する可能性のある病気。治療薬があるので、不安があればすぐに検査してほしい」と呼び掛けました。

 2023年5月28日(日)

🟧中国本土のクルーズ船が博多に寄港、コロナ禍後初 6月以降本格化も

 中国の船会社が運航するクルーズ船「ブルードリームスター」(約2万5000トン、全長約180メートル)が28日午前、福岡市博多区の博多港に寄港しました。福岡市によると、中国本土発のクルーズ船が日本に寄港するのは約3年ぶりで、新型コロナウイルス禍で受け入れを停止してからは初めて。本格的に再開すれば、国内の観光業回復に弾みがつくと期待されます。

 ブルードリームスターは午前8時ごろ着岸。午前9時ごろ、和太鼓の演奏に歓迎されながら、入国審査を終えた私服姿の家族連れなど利用客が「中央ふ頭クルーズセンター」から出てきました。約35人ずつのグループに分かれ、岸壁に用意された観光バス8台に分乗しました。

 ブルードリームスターは中国・上海を出発し、博多港に28日夜まで停泊し、上海に帰還。中国本土―日本間のクルーズ船による往来回復に向けたテストケースとなる見込み。

 中国政府は感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ政策」のため、海外への団体旅行を禁じてきたものの、今年2月に一部解禁しました。現状では日本は対象国に含まれていないものの、今後対象となる可能性があり、関係者によると、中国では6月以降、日本へのクルーズ船再開が本格化するといいます。

 2023年5月28日(日)

🟧仕事引退したら心疾患の発症リスク減少 35カ国で10万人調査、京大など

 仕事を引退すると心筋梗塞(こうそく)などの心疾患の発症リスクが下がるとの研究結果を、京都大と早稲田大、アメリカのハーバード大の研究チームが26日発表しました。運動する機会の増加などが影響した可能性があるといいます。現役を続ける高齢者は積極的な対策が必要なことを示しており、論文が国際科学誌に掲載されました。

 研究チームは、退職した人と、高齢になっても働き続ける人とでどちらが心疾患にかかりやすいか調べるため、日本を含む35カ国の疫学調査を活用。50~70歳の男女約10万人分のデータを比較し、加齢や健康状態が発症リスクに与える影響を統計学的手法で調整しました。

 その結果、退職した人のほうが現役を続けた人より発症リスクが2・2ポイント、ウォーキングなどの運動が不足するリスクも3ポイントそれぞれ低くなりました。仕事のストレスから解放されたり、運動する時間が生まれたりするためとみられるといいます。

 脳卒中や高血圧、糖尿病については、退職した人と現役を続けた人の間で明確な差はありませんでした。

 仕事の引退と心疾患の関係ではこれまで、アメリカの研究で関連はみられないという結果が出ていました。一方、ヨーロッパでは引退すると心疾患リスクが上がるという報告が複数あり、「引退は少なくとも心疾患リスクを引き下げることはない」「長く働いたほうがよい」と考えられていました。研究チームは今回、定説を覆した形です。

 佐藤豪竜(こうりゅう) ・京都大助教(社会疫学)は、「各国で年金の支給開始年齢や定年が引き上げられているが、引退の遅れは必ずしも健康によいとはいえない」とした上で、「就労を続ける場合、運動する機会を意識的に設けることが重要だ」と指摘しました。

 川崎良・大阪大教授(公衆衛生学)は、「多国籍で大規模かつ、 精緻(せいち)に研究した点で大変貴重な知見だ。高齢者の就労に関する議論には、労働力の確保だけでなく、健康をどう維持するかという視点も求められる」と話しました。

 2023年5月28日(日)

2023/05/27

🟧目の難病の遺伝子治療薬、 厚労省の専門家部会が承認を了承 アメリカでは1億円超、国内価格は未定

 アメリカでは1億円を超える価格が付いている遺伝子治療薬が、日本で承認される見通しになりました。遺伝性の視覚障害に対する薬で、厚生労働省の専門家部会が26日、有効性が期待され、安全性にも問題がないと判断されたなどとして、承認を了承しました。正式に承認されれば、目の病気では国内初の遺伝子治療薬となります。

 この薬は、製薬大手ノバルティスファーマが製造販売する「ルクスターナ注」。アメリカでの価格は両目で計85万ドル(約1億2000万円)で、同国の最も高額な薬の1つになっています。

 対象は、「RPE65」という遺伝子の異常で生じる「遺伝性網膜ジストロフィー」の患者。眼球の奥にある網膜で光を感じる仕組みがうまく働かなくなる難病で、治療法がありませんでした。はっきりした推計はないものの、RPE65に異常のある患者数は少ないとされます。また、病状が進んで光を感じる細胞が失われた患者には効果が期待できず、使える患者はさらに限定されるとみられます。

 両目の網膜下に1回ずつ注射して、正常なRPE65遺伝子を患者の網膜の細胞に入れ、光を感じる仕組みが働くようにします。遺伝子を網膜の細胞まで届ける「運び役」として、安全性の高いアデノ随伴ウイルス(AAV)を使います。アメリカでは2017年、ヨーロッパでは2018年に承認され、現在は40以上の国や地域で承認されています

 厚生労働省によりますと、国内で行われた治験でも投与を受けたあと、患者はより暗い場所でも光を感じ取り歩けるようになったと報告されるなど、有効性が期待され、安全性にも問題がないと判断されたことなどから、26日、専門家による部会で使用の承認が了承されました。

 遺伝子治療薬は製造工程が複雑で、品質管理も困難。研究や開発にコストがかかるため、高額になります。国内では現在、3種類の遺伝子治療薬が承認され、2020年に承認された、筋肉が徐々に委縮する「脊髄(せきずい)性委縮症」に対する「ゾルゲンスマ」は、約1億6700万円の価格が付きました。

 ルクスターナ注の国内価格は今後決まります。欧米のように高額になるとみられるものの、国の高額療養費制度などが使えれば、患者負担は抑えられます。

 2023年5月27日(土)

🟧「サル痘」改め「エムポックス」に名称変更 国内では感染者増

 厚生労働省は26日、天然痘に似た感染症「サル痘」の名称を「エムポックス」に変更したと発表しました。差別的な表現につながったことや、動物福祉の観点から、世界保健機関(WHO)が英語表記で「mpox」に名称変更したことに伴います。

 エムポックスは、ウイルスを持つ動物や、患者の体液・血液との接触で感染します。アフリカ中部や西部で時々流行する感染症でしたが、昨年5月以降、欧米を中心に感染が拡大し、WHOが7月に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。今年5月に緊急事態終了を宣言しました。

 厚労省によると、日本国内で初めて患者が確認された昨年7月以降、163人の感染が確認されました。21日までの1週間で新たに14人の感染が確認されており、国内では感染者が増え続けています。

 厚労省は、「発疹などの症状がある人は医療機関に相談してほしい」と呼び掛けています。

 サル痘という名称は、1958年にポリオワクチン製造のために世界各地から霊長類が集められたデンマークの実験施設で、サルに天然痘のような症状が出たことを切っ掛けに、その名前が付けられ、英語表記では「monkeypox」、日本語表記では「サル痘」の名称が使われてきました。

 ただ、自然界では、サルではなくアフリカに生息する齧歯(げっし)類が宿主と考えられています。

 2023年5月27日(土)

🟧厚労省、H5N8型ワクチン備蓄に切り替え 新型インフルエンザ流行対策

 厚生労働省は26日、今後、起こり得る新型インフルエンザの流行対策として「H5N8型」のウイルスのワクチンを2023年度から備蓄する方針を決めました。世界的に拡大しているH5N1型の高病原性鳥インフルエンザへの効果が期待できるため。専門家による感染症部会が同日了承しました。

 政府は、人の新型インフルエンザに変異する可能性が高い鳥インフルエンザのワクチンを2006年度以降備蓄しています。現在のH7N9型からH5N8型に切り替えて最大1000万人分の備蓄を目指します。

 H5N8型のウイルスは、流行中のH5N1型と系統が近く、世界保健機関(WHO)がワクチンの製造に使用可能だと確認していることから選びました。

 H5N1型の鳥インフルエンザは2021年以降、世界中で鳥類に拡大し、哺乳類のアザラシやミンクなどのほか、人でも散発的に感染が報告され、死者も出ています。2022年には,、北海道でキタキツネやタヌキの感染が確認されました。

 人から人への感染は確認されておらず、人で流行する可能性は低いとされますが、人への感染性がより高くなったウイルスが出現する可能性も否定できないとされています。

 2023年5月27日(土)

🟧重い目の病気「網膜色素上皮裂孔」の患者にiPS網膜細胞を移植 住友ファーマが初の治験開始へ

 目の視野が欠けたり視力が低下したりする重い目の病気の患者に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜の細胞を移植する、初めての臨床試験(治験)の計画を国に届け出たと、開発を行っている製薬会社が発表しました。国の機関の調査を受けた後、実用化に向けた治験を進めるとしています。

 治験の届け出を行ったのは、大阪市に本社を置く製薬会社の「住友ファーマ」と、東京都のバイオベンチャー「ヘリオス」です。

 両社は、視界がゆがんだり視力が低下したりする「加齢黄斑変性」などから症状が進んだ「網膜色素上皮裂孔」という重い目の病気の患者に、他人のiPS細胞から作った網膜の細胞が含まれた液体を移植し、機能の回復を目指す新たな治療法の開発を進めています。

 両社は、この治療法の治験の計画書を医薬品の審査を行う国の機関、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に届け出たと25日、発表しました。

 iPS細胞から作った網膜の細胞の移植は、理化学研究所などのチームが2014年に世界で初めて「加齢黄斑変性」の患者を対象に臨床研究として行っています。

 住友ファーマは「iPS細胞を用いた治療を一日も早くお届けするために、早期の有効性・安全性の確認を進めます」とコメントしていて、実用化の時期は、現時点では再来年度中を目標としていますが、治験の状況を踏まえて検討するとしています。

 2023年5月27日(土)

🟧子供用歯磨きを使用した小児でアナフィラキシー、半年間に3件報告 歯科医院向けに1800万本出荷

 子供用の薬用歯磨き「チェック・アップコドモA」の使用後に急性アレルギー反応「アナフィラキシー」が起きたとされるケースが、昨年12月から今年5月までの半年間に3件報告されたため、厚生労働省は19日、都道府県などに対し、医療関係者に注意喚起するよう通知しました。

 厚労省によると、アナフィラキシーが起きたとされる3人は4~9歳で、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、ぜんそくなどの病歴がありました。

 この歯磨きとの因果関係は明らかではないものの、「安全性をより注視していく必要がある」としています。この製品について過去10年間にアナフィラキシーの報告はありませんでした。

 製造販売する「ライオン歯科材料」によると、2011年から歯科医院向けに販売されており、これまでに約1800万本が出荷されています。

 自宅で使うケースもあるため、厚労省はアナフィラキシーが起きた場合は使用を中止し、製品を持参して速やかに医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 2023年5月27日(土)

2023/05/26

🟧マスク氏設立のアメリカ企業、脳にデバイスを埋め込む治験の許可取得

 起業家のイーロン・マスク氏が立ち上げた新興企業「ニューラリンク」は25日、同社が開発中の脳とコンピューターをつなぐ技術の臨床試験(治験)について、アメリカ食品医薬品局(FDA)の認可を得たと発表しました。

 ニューラリンクはツイッターに、「我が社初の人体内における臨床試験を開始するための認可を得た」、「臨床試験の患者募集はまだ始まっていない。近く情報を公表する」と投稿しました。

 同社が開発するのは「ブレイン・マシン・インターフェース」と呼ばれる技術。専用ロボットで人の頭蓋骨の一部を切り取って小型デバイスを脳に埋め込み、コンピューターとつないで情報をやりとりする研究を進めており、脳卒中で体が不自由になった患者がコミュニケーションを取れるようになることを目指しています。

 同社の小型デバイスの試作品は硬貨ほどの大きさで、初期のデモンストレーションでは、専用ロボットの支援によってサルの頭蓋骨の一部をこのデバイスに置き換え、微細なワイヤを脳内に挿入していました。

 マスク氏によると、脳の神経活動がデバイスに検知され、その情報を一般的なワイヤレス信号であるブルートゥースでスマートフォンなどのデバイスに送信します。

 プレゼンテーションでは、数匹のサルがデバイスを通じて簡単なビデオゲームで遊んだり、画面上のカーソルを動かしたりする様子が紹介されています。この技術はブタでも試験が行われています。

 マスク氏は「デバイスは頭蓋骨の中にうまく収まる」、「髪で隠され気付かれないかもしれない」と述べています。

 臨床試験の目標の一つに、失われた視力や運動能力の回復があります。マスク氏は「奇跡のように聞こえるかもしれないが、脊髄を損傷した人の全身機能を回復させることも可能だと確信している」としています。

 さらに、そうした神経障害の治療にとどまらず、人間が人工知能(AI)に圧倒されないようにすることが最終目標だとも述べています。

 マスク氏は以前から、人間がAIの「飼い猫」のような存在になる事態を避けるには、脳とコンピューターを融合させる技術が不可欠だと主張してきました。

 だが、専門家や研究者は、超強力なコンピューター技術と人間の心を共生させるという同氏のビジョンに慎重な姿勢を崩していません。

 2023年5月26日(金)

🟧イベルメクチン、新型コロナ患者に投与も効果みられず 北里大学病院

 寄生虫が原因で失明などが引き起こされる感染症の特効薬「イベルメクチン」について、新型コロナ患者に投与しても効果がみられなかったとする結果を、治験を進めていた北里大学病院などのチームが発表しました。

 治験は北里大学病院などのチームが行い、5月22日、海外の医学雑誌に結果をまとめた論文を発表しました。

 それによりますと、治験は2020年8月から2021月10月までに新型コロナに感染した20歳以上の中等症までの患者248人を対象に行われ、イベルメクチンを1回服用するグループと偽の薬を服用するグループに分けて、患者も医師もどちらが投与されているかわからない方法でPCR検査で陰性となるまでの期間を比較しました。

 その結果、どちらのグループでも14日前後で陰性となり、陰性となるまでの時間に差はなく、イベルメクチンの投与で時間を短縮する効果はなかったと結論付けています。

 イベルメクチンは、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授の研究を元に開発された、寄生虫によって失明やリンパ管のはれが引き起こされる河川盲目症(オンコセルカ症)の特効薬で、新型コロナへの効果があるか各国で研究が進められましたが、昨年9月、製薬会社の「興和」も新型コロナ患者に投与しても、有効性がみられなかったとする治験の結果を発表していました。

 2023年5月26日(金)

🟧沖縄県のコロナ感染、1医療機関当たり10・8人 前週の1・8倍増、病床使用率も増加

 沖縄県の玉城デニー知事は26日午前の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染が拡大傾向にあるとして注意を呼び掛けました。5月15~21日までの1週間で、1定点医療機関当たりの新規感染者数は前週比1・8倍の10・8人。季節性インフルエンザにおける流行発生注意報の基準(10人)を超えています。

 沖縄県は29日に「新型インフルエンザ等対策会議」を開き、関係部局で対応策を協議します。

 玉城知事は会見で、発熱やせきなど体調不良がある場合には外出を控えるとともに、手指消毒や換気、推奨される場面でのマスク着用など感染防止対策を改めて呼び掛けました。

 重症化リスクの高い高齢者などへの感染を防ぐため、医療機関や高齢者施設を訪れる際はマスク着用を含め、事業者が求める感染防止対策にも協力するよう求めました。

 また、糸数公保健医療部長は会見で、15日時点で16・4%だった病床使用率が21日には29・3%に増加していると説明。「入院調整も必要な状況になってきている」と明らかにしました。

 2023年5月26日(金)

🟧全国のコロナ感染者、1医療機関当たり3・56人 前週比1・35倍で緩やかな増加傾向続く

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、5月15~21日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が3・56人で、前の週の1・35倍となっています。

 厚労省によりますと、5月21日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から4567人増えて1万7489人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は3・56人で、前の週の1・35倍となりました。前の週より増加するのは7週連続です。

 都道府県別では多い順に沖縄県が10・8人、石川県が6・38人、岩手県が6・32人、新潟県が6・11人、山梨県が5・68人、北海道が5・44人と続きました。東京都は3・53人、愛知県は4・51人、大阪府は2・37人、福岡県は3・09人でした。42の都道府県で前の週より増加しています。

 このほか、5月21日までの1週間に新たに入院した人は全国で3215人で、前の週と比べて726人の増加となりました。集中治療室に入院している全国の重症患者数は7日間平均で52人でした。

 死者数は、一部自治体から先行して集めたデータをもとに、例年と比べてどれほど増えたかを調べ、6月9日に定点報告に移行後の初回分を公表する予定といいます。

 厚労省は全国の流行状況について、「比較的低い水準にあるが、4月以降、緩やかな増加傾向が続いているほか、新たに入院した人の数も増えていて、今後の感染状況を注視したい」としています。

 2023年5月26日(金)

2023/05/25

🟧中国北京市、新型コロナ感染者増加傾向 当局がマスク着用など対策呼び掛け

 中国の北京市の保健当局は、新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にあるとして、公共交通機関を利用する際にはマスクを着用するなど、感染対策の徹底を呼び掛けました。

 感染症の専門家は、6月末には中国国内の1週間当たりの新規感染者数が約6500万人に達するという予測を示し、再び感染が拡大することへの警戒感が強まっています。

 北京市の保健当局は24日、新型コロナウイルスを含めた感染症全体の患者数が5月21日までの1週間で2万5000人余りとなり、このうち新型コロナの感染者が最も多かったと発表しました。

 新型コロナの感染者が最も多いのは4週連続で、北京市の保健当局は、公共交通機関を利用する際にマスクを着用するなどの感染対策の徹底を呼び掛けました。

 中国政府は今年1月に厳しい行動制限などを伴う「ゼロコロナ」政策を終了し、5月からは国内の感染状況に関するデータを明らかにしておらず、実態の把握が困難になっています。

 こうした中、中国で感染症研究の権威とされる鍾南山氏は5月22日、国内の感染状況について、1週間当たりの新規感染者数が5月末に約4000万人、6月末には約6500万人にそれぞれ達するという予測を示し、再び感染が拡大することへの警戒感が強まっています。

 2023年5月25日(木)

🟧東京都、新型コロナの「定点把握」の患者報告数発表 前の週の1・5倍と2週続けて増加傾向

 東京都は25日、5月15日から21日までの1週間の新型コロナの1医療機関当たりの感染者数は3・53人と発表しました。前の週の約1・5倍と2週続けて増加傾向にあり、専門家は「感染拡大の増加スピードに注意が必要だ」としています。

 新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行したことに伴い、感染者数の把握は一部の医療機関が1週間分を報告する定点把握に変わりました。

 25日、東京都は、感染状況のモニタリング項目について、5類移行後、2回目となる発表を行いました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、416カ所から報告があった感染者数の合計は5月21日までの1週間で1470人で、1医療機関当たりでは3・53人となりました。

 これは、前の週の2・40人の1・47倍に当たり、2週続けて増加傾向にあるということで、専門家は「感染拡大の増加スピードに注意が必要だ」としています。

 また、5月22日時点での入院患者数は、前の週より196人多い702人となり、専門家は「現時点で医療提供体制への大きな負荷はみられないが、引き続き状況を注視する必要がある」としています。

 ゲノム解析の結果も取り上げています。それによると、免疫逃避により感染しやすくなっている「XBB・1・16」などのXBB系統が流行の主体となっています。

 2023年5月25日(木)

🟧東京都がPFASで国に緊急要望 健康や環境への影響明確にし対策や情報提供を

 有害性が指摘される化学物質を含む有機フッ素化合物(総称PFAS(ピーファス))について、東京都は国に対し、最新の科学的知見を踏まえ、健康や環境への影響を明確にし、対策と合わせて自治体に情報提供することなどを盛り込んだ緊急の要望を行いました。

 PFASは人工的につくられた物質で4700種類以上が存在するとされ、その代表例が「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」で、アメリカの研究で有害性が指摘されています。日本国内各地でも、アメリカ軍基地や工場周辺などで検出が続き、東京都内でも多摩地域の井戸水などから高濃度で検出されています。

 環境省は専門家会議を立ち上げ実態の把握を進めていますが、東京都は、都民の不安を払しょくするために実効性のある対応や情報発信が必要だとして23日、環境省や厚生労働省などに対し緊急の要望を行いました。

 この中では、最新の科学的知見を踏まえ、健康や環境への影響を明確にすることや、影響が懸念される場合は、対策を検討し、自治体に情報提供を行うこと、土壌中の測定方法を早期に確立し、濃度低減の措置を示すことなどが盛り込まれています。

 PFASは泡消火剤や撥水(はっすい)剤などで使用されてきましたが、健康への悪影響が指摘され、海外で基準を強化する動きがあります。国内でも現在、使用や製造が原則禁止されており、国は専門家らによる検討会議で、国内外の最新の科学的知見や科学的根拠に基づく対応などを審議しています。

 東京都は、5月から電話での相談窓口を設けていて、これまでに都内の水道水や地下水からの検出状況に関する問い合わせなど300件ほどを受けているということです。

 2023年5月25日(木)

🟧季節外れのインフルエンザ感染相次ぎ、学級閉鎖や休校も 多くの人の免疫低下が原因

 季節性インフルエンザの流行が、今年は5月になっても続いています。学校で集団感染が相次ぎ、学級閉鎖や休校となった例も出ています。新型コロナウイルスの感染対策で2020年末以降インフルエンザがはやらなかったため、多くの人の免疫が低下したことが原因とみられます。専門家は「今年の冬には大流行する恐れがある」と警戒を呼び掛けています。

 国立感染症研究所の集計では、全国の定点医療機関で1週間に報告されるインフルエンザの患者数は、昨年12月に流行開始の目安となる1定点当たり1人を3年ぶりに超えました。2月前半に12・91人でピークを迎えた後も下がりきらず、5月8~14日は1・36人と流行入りしたままです。コロナ前の2019年の同時期は0・74人でした。

 慶応大学の菅谷憲夫客員教授(感染症学)によると、新型コロナ流行後、マスクの装着や会食の減少でインフルエンザの感染者が激減しました。今年の長引く流行は、集団免疫の低下と新型コロナの5類移行に伴う対策緩和が原因といい、「夏でも海外からウイルスが持ち込まれれば、集団感染が起きる可能性がある」と指摘。特に冬は要注意だとしました。

 2023年5月25日(木)

🟧ワクチン接種後に女子中学生死亡、因果関係を認定 新型コロナ、徳島大が司法解剖

 昨年8月、新型コロナウイルスワクチンを接種した女子中学生=当時(14)=が接種2日後に死亡し、司法解剖した徳島大学法医学教室がワクチン接種と死亡の因果関係を認定していたことが24日、明らかになりました。経緯を論文にまとめ、日本法医学会誌に発表しました。

 厚生労働省によると、コロナワクチン接種後の死亡報告は今年3月までに約2000件あるものの、このうち昨年11月5日午後に愛知県愛西市の集団接種会場でアメリカのファイザーのワクチン接種を受け、同日中に死亡した女性=当時(42)=の1件が「ワクチンとの因果関係が否定できない」と認定されたのにとどまります。

 論文を執筆した主田英之徳島大准教授は、「接種後に死亡した患者はほとんど解剖されず因果関係が不明になっており、原因究明すべきだ」と指摘しました。

 論文などによると、女子中学生は昨年8月10日にアメリカのファイザーのワクチンを接種。翌11日夜に呼吸困難となり、12日朝に呼吸をしていない状態で家族が発見、その後死亡が確認されました。3回目の接種の45時間後でした。

 徳島県警の依頼で徳島大が司法解剖し、多くの臓器に炎症が見付かりました。このうち心臓の炎症が深刻な不整脈を引き起こし、死亡したと考えられるといいます。

 死因は、ワクチン接種による心筋炎と心外膜炎。ウイルス感染や自己免疫疾患の病歴がなく、接種後に炎症反応を示す発熱があったことなどから、ワクチン接種が原因と判断しました。

 2023年5月25日(木)

🟧うどんにカエル混入を受け一部商品の販売中止 丸亀製麺が公式サイトで謝罪

 讃岐うどん専門店「丸亀製麺」の新商品「丸亀シェイクうどん」の容器の中にカエルが混入していた問題で、丸亀製麺は25日、サラダミックス(生野菜)を使用している一部の商品について当面の間、販売を中止にすると発表しました。問題を受けて25日まで販売を休止していたものの、早期の再開は難しいと判断しました。同社は公式サイトで、「お客様のお気持ちを最優先した」としています。

 販売を中止するのは、「ピリ辛担々サラダうどん」「ごまだれサラダうどん」の2種類。この2種類は、テークアウト(持ち帰り)用の「丸亀シェイクうどん」に加え、店内飲食用のメニューとしても提供しています。

 同社は諫早店(長崎県諫早市)で21日に販売されたテークアウト用の「ピリ辛担々サラダうどん」に、カエルが混入していたことを23日に発表。サラダミックスを使用した商品の販売を同日から25日までの間、休止するとしていました。

 カエルの混入について同社は「野菜加工工場由来の混入と判断した」と説明しており、加工工場での立ち入り検査も実施。「今後もさらに品質管理を徹底し、再販に向けた検討を重ねてまいります」としています。

 カエルが混入していたサラダうどんは、縦型のカップを振って食べるテークアウト用の商品。計5種類が16日から全国で販売開始され、3日間で累計販売数が約21万食に上っていたといいます。

 2023年5月25日(木)

2023/05/24

🟧昨年の労災死傷者、過去20年で最多に コロナ関連も激増、厚労省調査

 厚生労働省が23日発表した2022年の新型コロナ感染を除く労働災害発生状況によると、死者数は774人(前年比4人、0・5%減)とわずかに減少し、過去最少となりました。しかし、休業4日以上の死傷者数は13万2355人(同1769人、1・4%増)に増えました。死者数は2017年の978人から5年連続の減少。死傷者は2001年の13万3598人以来の多さで、過去20年で最多となりました。

 死者で最も多かった業種は例年と同様に建設業の281人(同3人増)で、製造業の140人(同9人増)が続きました。死傷者では製造業が2万6694人(同270人増)で最も多く、商業が2万1702人(同264人増)で続きました。接客・娯楽が9140人(同903人増)と突出した増加ぶりでした。

 事故の類型別でみると、死者は「墜落、転落」が234人、「交通事故」が129人、「はさまれ、巻き込まれ」が115人の順。死傷者では「転倒」の3万5295人が最も多く、「動作の反動、無理な動作」の2万879人、「墜落、転落」の2万620人の順。

 死傷者を年齢別(5歳刻み)にみると、最も多いのは「50~54歳」の1万7196人で、「55~59歳」の1万6921人が続き、50歳代だけで26%を占めています。

 一方、派遣労働者の死者は14人(同1人増)と2ケタが続き、死傷者も6248人(同544人増)に増え、製造業が最多を占めています。

 また、外国人労働者の死者は15人(同9人減)に減り、死傷者は4808人(同231人増)に増えました。国別ではベトナムが1319人と突出して多く、業種は製造業が2466人で過半数を占めました。

 個別に集計されている新型コロナ感染による労働災害では、、コロナ罹患による死者は17人(前年比72人減)に減ったものの、4日以上休業した死傷者の数は15万5989人と前年の8倍超となりました。オミクロン型の流行で感染者数が急増したことに加え、新型コロナの感染も労災補償の対象になるという認識が広まったことが背景にあるとみられます。

 コロナ関連の労災を業種別でみると、医師や看護師、介護職員といった「保健衛生業」が、前年の11・5倍となる13万8752人で9割近くを占めました。病院や高齢者施設でクラスター(感染集団)の発生が相次いだ影響が大きくなりました。ほかの業種でも、「製造業」で4197人(前年の1・9倍)、「建設業」で2766人(同2・4倍)などと増加しました。

 厚労省は、コロナ感染者が複数確認されるなど、リスクの高い職場で勤務して感染した場合には、感染経路が不明でも労災認定するようにしています。こうした運用が浸透し、コロナ関連の労災を事業所側が積極的に届け出るようになったことも、死傷者数の急増につながったといいます。

 コロナ関連の労災の急増によって、 2022年の労災全体の死傷者数は28万8344人となり、前年の1・9倍となりました。死者数は前年比76人減の791人でした。

 2023年5月24日(水)

🟧新型コロナ変異型「XBB」に対応するワクチンが間もなく世に出る 中国政府系専門家が明言

 中国で感染症研究の権威とされ、中国の科学アカデミーである中国科学院院士で呼吸器疾患専門家の鍾南山氏は22日、2023広東・香港・マカオグレーターベイエリア科学フォーラムの生物医薬・健康サブフォーラムで、新型コロナウイルス・オミクロン型の新たな変異型「XBB」をカバーできるワクチンのうち2つはすでに暫定承認されていて、間もなく世に出るだろうと明らかにしました。

 鍾氏は「4月末から5月初めにかけて新型コロナウイルス感染症の小さなピークがあることは、さまざま情報から予測できた」とした上で、「XBBに対応する防御力の高いワクチンの開発が重要だ。今のところ、XBBに対応する2種類のワクチンが暫定承認されていて、さらに3~4種類が間もなく承認されるだろう」と述べました。

 世界保健機関(WHO)の諮問委員会は18日、今年の新型コロナウイルスの追加接種について、現在流行の主流となっているXBBに対応させるよう推奨しました。

 2023年5月24日(水)

🟧中国、6月末に第2波のピークで週6500万人感染 新型コロナ、政府系専門家が予測

 中国で感染症研究の権威とされる鍾南山氏は22日、中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、昨年12月前後に続く「第2波」が今年6月末にピークに達して1週間に6500万人が感染するとの予測を明らかにしました。感染再拡大は経済活動の再開や中国と海外の往来に影響する恐れがあります。

 中国政府は昨年末の感染爆発を経て流行が沈静化したとして対策を徐々に緩和してきたものの、最近になって都市部を中心に再感染する人が増加しています。

 中国メディアによると、中国政府のコロナ対策の専門家チームでトップを務めた鍾氏は、広東省で開かれたフォーラムで予測を発表。第2波は4月中旬に始まり、5月末には1週間に4000万人が感染するとの見通しを示しました。

 鍾氏は15日に、広州市で流行中のウイルスを巡り「主流株はXBB・1・9・1だ。発熱外来のデータによると、検査を受けた発熱患者のうち、20~25%が新型コロナウイルス感染者だ」と発言。「実験室内での関連研究やシンガポールなどの実地研究によると、コロナ感染によって獲得された抗体は4~6カ月以内ならば体を保護する役割を果たすが、変異型のXBBに対する免疫力は弱まる可能性がある。昨年12月から数えれば、今はすでにその時期になっている」ともいっていました。

 2023年5月24日(水)

🟧2100年までに20億人以上が「危険な酷暑環境」に直面 イギリスの大学が予測

 地球温暖化の抑制に向けた現行政策に変更がなければ、2100年までに地表温度は産業革命前に比べ2・7度上昇すると予測する論文が22日、科学誌「ネイチャー・サステナビリティー」に掲載されました。その場合、世界の予想人口95億人の2割強に当たる20億人以上が、生命に危険が及ぶほどの酷暑環境に置かれる恐れがあるとしています。

 イギリスのエクセター大学のグローバルシステム研究所の所長で、論文の筆頭著者ティム・レントン氏は、「地表の居住環境が一変し、居住可能地域に大きな変動が起きる可能性がある」と予想しました。

 このシナリオでは、生命を脅かす酷暑にさらされる人口が最も多い国は、インド(6億人)、ナイジェリア(3億人)、インドネシア(1億人)、フィリピンとパキスタン(ともに8000万人)など。

 ただし、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1・5度に抑える「パリ協定」の目標を達成した場合は、酷暑環境下の人口は世界全体の約5%に当たる5億人以下にとどまる見通し。

 レントン氏は「地球温暖化による損失は経済面から語られることが多いが、私たちの研究では、気候変動危機に取り組まなかった場合の人的損失が驚くほど大きいことが浮き彫りになった」と強調。「気温が現在に比べ0・1度上昇するごとに、約1億4000万人が危険な暑さにさらされることになる」と説明しました。

 研究では、年平均気温が29度を上回る場合を「危険な暑さ」と定義。人類史上、居住地域は年平均気温が温帯で13度、熱帯では規模は小さいものの27度の地域周辺に分布しています。

 すでに29度に近付いている地域では、酷暑環境下に移行するリスクが高くなります。29度またはそれ以上の高温が続けば、死亡率の上昇、労働生産性や農作物収量の低下、紛争や感染症の増加につながることが研究で明らかになっています。

 こうしたリスクが高まっているのは、人口が急増している赤道周辺地域です。熱帯では、気温がそれほど高くなくても湿度が高いため、発汗による気化熱で体温を下げることができず、死に至る恐れがあります。

 結局、酷暑の影響を最も受けるのは、1人当たりの温室効果ガス排出量が最も少ない貧困国だと、研究チームは指摘しています。

 2023年5月23日(火)

2023/05/23

🟧はしか感染者、14日時点で7人 すでに昨年1年間の6人上回る

 感染力が非常に強いはしか(麻疹)の感染者数は、国立感染症研究所のまとめで、5月14日の時点で今年は7人で、昨年や一昨年の1年間の感染者6人を上回りました。

 発症すると重症化することもあるとして、専門家は抗体検査やワクチン接種を呼び掛けています。

 はしかは空気感染などで広がり、予防接種を受けておらず抗体を持たない人の発症率は非常に高くなっています。10~12日間の潜伏期間後、高熱やせき、たんといった風邪のような症状がみられます。一度熱が下がった後、再び高熱が出て耳や首に発疹が現れ、顔や手足などに広がります。肺炎や脳炎を引き起こして重症化したり、死亡したりする場合もあります。 

 国立感染症研究所が23日に発表した速報値によりますと、今年の感染者数は5月14日の時点で7人となりました。

 都道府県別では、東京都で3人、茨城県、神奈川県、新潟県、大阪府でぞれぞれ1人となっており、このうち東京都の2人と新潟県の1人は5月14日までの1週間に確認されました。

 はしかの感染者数は、新型コロナウイルスの感染拡大以降、海外との往来が減った影響などから減少し、昨年と一昨年は1年間で6人でしたが、今年はこれをすでに上回っています。

 はしかはアジアなどで流行していて、国内でも4月にインドから帰国した茨城県の男性の感染が確認され、同じ新幹線に乗っていた東京都の男女2人の感染も確認されるなど、今後、さらに拡大する恐れがあります。

 各地の自治体は、感染した人が利用していた公共交通機関を公表するなどして注意を呼び掛けています。

 はしかに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は、「ここ数年、はしかの感染者数は少なかったが、流行の兆しが見えてきた。はしかの恐ろしさを再認識し、免疫のない人はワクチンで予防してほしい」と話し、抗体検査やワクチン接種を促しています。

 2023年5月23日(火)

🟧梅毒患者が5000人を超える、最多の昨年より1カ月早いペース 先天梅毒の増加懸念

 性感染症の「梅毒」と診断された患者が今年に入り5000人を超えたことが、23日に公表された国立感染症研究所の調査結果でわかりました。現在の調査方法となった1999年以降で最多の患者(1万2966人)を記録した昨年より、約1カ月早いペースで、専門家は注意を呼び掛けています。

 感染症研究所が週ごとに公表する感染症発生動向調査(速報値)では、今年初めから5月14日までの患者数は5164人。昨年の同期は3630人でした。

 都道府県別では、東京都が1332人と最多で、大阪府(699人)や福岡県(257人)など都市部で目立ちました。

 梅毒は、主に性的な接触で感染します。感染しているかどうかは血液検査でわかり、抗菌薬で完治できます。全身の発疹やリンパ節のはれ、陰部の潰瘍などが現れるものの、初期の症状は軽く、感染に気付かないままだと、他人への感染を広げかねません。

 また、治療せずに放っておくと、数年~数十年後に心臓や血管、神経に異常が現れる場合があります。感染しても免疫ができないので何度でも感染する恐れがあります。

 特に懸念されるのは、妊婦の感染。妊娠中の女性が感染すると、胎盤を通じて胎児が感染する「先天梅毒」が起こることがあります。死産や障害を持って生まれるリスクが高まり、流産や早産になることもあります。

 日本性感染症学会理事長の高橋聡・札幌医大教授は、「感染者の増加とともに、先天梅毒が増える可能性がある。梅毒は治る病気なので、気になる症状や不安があったら、ためらわずに検査を受けてほしい」と話しています。

 2023年5月23日(火)

🟧丸亀製麺の「シェイクうどん」にカエル混入 販売開始から1週間で一時販売休止に

 うどんチェーンの丸亀製麺は23日、テイクアウト用のうどんにカエルが混入していたと発表しました。野菜の加工工場で混入したものとみられ、生野菜を使用する一部商品について25日まで販売を休止します。

 丸亀製麺の発表によりますと、長崎県の諫早店で21日、人気の新商品「丸亀シェイクうどん」メニューの一つ「ピリ辛担々サラダうどん」にカエルが混入していたことが判明しました。購入客からの申し出で発覚しました。

 丸亀製麺は保健所の指導を仰ぎ、野菜の加工工場でカエルが混入したと判断。生野菜を扱う取引先のすべての工場において立ち入り検査を実施し、検品体制の強化を進めるとしています。

 「丸亀シェイクうどん」は、5月16日の発売以降、3日間で20万食を販売するなど人気の新商品でしたが、販売開始から1週間で一時販売休止となりました。

 丸亀製麺は、「多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを深くおわびし、再発防止に努める」とコメントしています。

 2023年5月23日(火)

🟧ダイソン、口元を覆う「空気清浄機能付きヘッドホン」発売 12万1000円から

 イギリスの家電大手ダイソンは23日、空気清浄機能が付いたヘッドホン「ダイソンゾーン」を日本国内で発売しました。耳当て部分にあるコンプレッサー(圧縮機)が空気を取り込み、フィルターを通って鼻や口に送られる仕組みです。直営店や公式オンラインショップでの直販価格は税込み12万1000円から。

 ウエアラブル端末は同社にとって初めてで、すでにイギリスやアメリカ、中国などで販売しています。静電気で粒子を集める技術を使い、フィルターを小型化しました。空気清浄部分は取り外しができます。空気清浄機の動作音が気にならないように音を打ち消す技術を搭載しました。最大4時間、空気清浄機を作動させながら音楽を楽しめます。

 創業者でチーフエンジニアのジェームズ・ダイソン氏は23日に東京都内で開いたダイソン日本法人25周年記念の会見で、「このような製品は過去にみたことがないかもしれないがマスクの代わりとして、汚染物質から守ることができる」と説明しました。「この製品によって、街中でも、公共交通機関でも、飛行機でも、音楽を楽しみながらきれいな空気を吸うことができる」とも述べました。

 ダイソンは同日、ロボット掃除機の新製品を4年ぶりに国内で発売すると発表しました。部屋の隅や壁際も掃除できるように、前方部分は角張った形をしています。センサーでごみの量に応じて吸引力を自動調整し、掃除機と同様の吸引力を維持します。直営店や公式オンラインショップで税込み18万9200円で販売します。

 イギリスの調査会社ユーロモニターによると、日本国内では「ルンバ」を展開するアメリカのアイロボットがロボット掃除機市場のシェアの半数を占めます。ダイソンはスティック型掃除機だけでなく、ロボット型でもシェア拡大を目指します。

 ダイソン氏は「(掃除機などを)小型化、軽量化して使うことを日本で学んだ」と語りました。ダイソンは撤退した電気自動車(EV)事業などで培った技術で全固体電池を生産します。シンガポールでバッテリー工場を新設して2025年までに稼働させ、同社の新商品にバッテリーを搭載する予定です。

 2023年5月23日(火)

2023/05/22

🟧新たにジャムー茶2製品からステロイド検出 国民生活センターが注意喚起

 海外から輸入された「ジャムー・ティー」と称する粉末状のお茶から医薬品成分のステロイド、デキサメタゾンが検出された問題が広がりました。国民生活センターは17日、新たに2製品から同成分が検出されたと発表。これを受けて厚生労働省は、医薬品医療機器等法に違反する恐れがあるとして、同2製品の加工事業者を所管する大阪市に対し、当該事業者への調査、指導を要請しました。

 国民生活センターは4月12日、香塾(大阪市都島区)が花粉症に対する効果をほのめかしながら販売していた「ジャムー・ティー・ブラック」からデキサメタゾンが検出されたと発表。成分分析を行ったのは、医療従事者からの情報提供が切っ掛けでした。

 類似の製品が販売されていたため、4月上旬、3製品をインターネット通販で購入し分析したところ、自然食品製造会社、香塾堂(大阪市北区)が加工する「ジャムー・ティー・ブラック(無糖タイプ)」と、食品加工会社、澪森(大阪市中央区)が加工する「森澪混合茶(ジャムーティーブレンド ショウガ+)微糖タイプ」の2製品からもデキサメタゾンが検出されたといいます。残りの1製品からは検出されませんでした。

 国民生活センターでは、デキサメタゾンが検出された製品を飲用している消費者に対し、医療機関に相談するよう呼び掛けています。ステロイドを継続的に飲用している人が急に飲用を止めると、体への影響が生じる恐れがあるとしています。

 最初にデキサメタゾンが検出された製品を販売していた香塾によると、当該製品はインドネシアの製造会社から原材料を輸入し、国内で包装、販売していました。

 同社は「製造会社に混入経路を確認した上で、その結果を弊社のホームページで改めてご報告する予定」だとしているものの、今のところ情報は更新されていません。

 国民生活センターには4月12日の発表に関連した相談が47件あり、うち9件で頭痛などの健康被害情報がありました。

 2023年5月22日(月)

🟧世界の気温が産業革命前より1・5度超の年、今後5年で発生確率98% 世界気象機関が警告

 国連の世界気象機関(WMO)は17日、エルニーニョ現象の発生により、今年から5年間の世界の気温が記録的に高まる可能性があると発表しました。産業革命前と比べた地球の平均気温の上昇幅が一時的に1・5度を上回る確率を98%と予測。人々の健康や食糧安全保障、水資源の管理、環境分野などに広範な影響を及ぼす可能性があると警告しています。

 エルニーニョは、南米ペルー沖から太平洋中部の赤道域で、海面水温が平年よりも高くなる現象。世界の気温を押し上げるほか、各地に異常気象を引き起こす可能性があるとされます。各国の気象機関は、今年の夏ごろまでにエルニーニョが高確率で発生するとみています。

 WMOは17日のリポートで、2023~2027年に、世界の単年の平均気温が少なくとも1回は観測史上最高となる確率と、5年間の世界の平均気温が過去最高を更新する確率を、いずれも98%と予測しました。世界の単年の平均気温が観測史上最も高かったのは2016年で、この年は、産業革命前と比べて1・2度高くなりました。

 各国は、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」に基づいて、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前と比べて1・5度に抑える目標を掲げています。

 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、エルニーニョと人為的な要因の気候変動の組み合わせが「地球の気温を未知の領域に押し上げるだろう」と指摘。「パリ協定が掲げる1・5度を恒久的に超えることを意味するものではないが、一時的に1・5度を上回る状況はより頻繁に起きるだろう」としました。

 ターラス事務局長は、今回の予想は「我々が温暖化を抑制できておらず、いまだに誤った方向に向かっていることを示している」とし、こうした傾向に歯止めがかかり、悪化する状況を止められるのは2060年代になる可能性があるとしました。

 また、温室効果ガスの大気中濃度は史上最高となっており、「通常の水準に戻るまでには数千年かかる恐れがある」とし、「前世紀のような気候に戻ることはない。それは間違いない」としました。 

 2023年5月22日(月)

2023/05/21

🟧iPS心筋細胞シート移植、治験の全手術完了 1~1年半で実用化へ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から心臓の筋肉(心筋)細胞を作り、シート状に加工して重症の心不全患者に移植する世界初の治験を進めてきた大阪大学などの研究チームは19日、すべての手術を完了し、安全性や有効性がみられたと発表しました。今後は薬事申請し、1~1年半後の実用化を目指すとしています。

 手術は2020年1月から今年3月までに、大阪大学、順天堂大学、九州大学、東京女子医科大学で計8例を実施しました。最終的な評価はこれからですが、現時点では8例すべてで重篤な副作用や細胞のがん化がなく安全に推移し、7例で症状が改善するなど有効性がみられたといいます。当初は最大10例の手術を予定していたものの、順調に進んだため8例で終了としました。

 治験を指揮した澤芳樹・大阪大学教授は記者会見で、「共同研究者や患者の協力があり、無事にすべての手術を終えることができた」と振り返り、今後については「1~1年半後に薬事承認を得て実用化し、世界の患者を元気にしたい」と語りました。

 また、会見には今年3月に東京女子医科大学で移植手術を受けた60歳代の女性患者も出席。「元気になった。悩んだが手術を受けてよかった。幸せだ」などと、現在の心境を語りました。

 治験対象となったのは、心臓の血管が詰まって心筋が壊死(えし)し、血液を送る力が衰える「虚血性心筋症」という重い心不全の患者。国内患者数は10万人程度で、症状が進行した場合の治療法は心臓移植となるものの、臓器提供者は不足しています。

 治験では、京都大学が作製し備蓄していたiPS細胞を心筋細胞に分化させ、直径約3・5センチ、厚さ約0・1ミリの円形のシート状に加工し、患者の心臓の表面に3枚張り付けて移植しました。移植した細胞数は患者1人当たり約1億個といいます。

 2023年5月21日(日)

🟧建設アスベスト訴訟、建材メーカーと一部原告で和解成立 全国で2例目、首都圏では初

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込んで肺の病気になったとして、神奈川県などの元作業員や遺族が建材メーカーに損害賠償を求めている集団訴訟は、被告6社のうち1社が謝罪し、解決金を支払うことで一部の原告との間で和解が成立しました。

 原告側の弁護団によりますと、元作業員などが国と建材メーカーを訴えた集団訴訟で、建材メーカーと和解が成立したのは全国で2例目、首都圏では初めてです。雇用や契約の関係にない元作業員との和解成立は初めてといいます。

 建設現場でのアスベストによる健康被害を訴えた集団訴訟では、一昨年5月に最高裁判所が国と一部の建材メーカーの賠償責任を認める判決を出し、国との間では各地で和解が進められていますが、建材メーカーとは争いが続いています。

 原告側の弁護団によりますと、このうち神奈川県の元作業員などによる集団訴訟は、被告6社のうち神戸市に本社がある「ノザワ」が謝罪し、解決金を支払うことで19日、4人の原告との間で和解が成立しました。

 このほかの32人については、5月31日に東京高等裁判所で判決が言い渡される予定です。

 建材メーカーとの和解は全国では2例目で、東京、神奈川、埼玉で起こされた首都圏の訴訟では初めてだということです。

 和解した原告の1人で夫を肺がんで亡くした森松けい子さんは記者会見で、「皆さんのお陰でここまでやってくることができました」と喜びを見せました。

 神奈川建設アスベスト訴訟弁護団の西村隆雄団長は、「いわゆる“ひとり親方”などメーカーの下請け関係にない労働者が原告になっている裁判では初めての和解で、本筋のところで成立できた。大きな一歩だ」と話していました。

 「ノザワ」は、「個別の案件のためコメントしない」としています。同社が解決金を支払うものの、金額は明らかにされていません。

 大阪地裁では2022年8月、建材メーカーの日本インシュレーション(大阪市)が元労働者の男性1人の遺族と初の和解に応じました。同社は男性が専属下請けだったことなどから「特殊事情と判断した」と説明しました。

 2023年5月21日(日)

🟧新型コロナ感染者数を毎日推計してウェブサイトで発表 モデルナ・ジャパン

 全国や都道府県別の新型コロナウイルスの感染者数を毎日推計して掲載するウェブサイトを、アメリカの製薬会社モデルナの日本法人「モデルナ・ジャパン」が開設しました。

 直近の全国の感染者数は約2万4000人と推計されるということで、新型コロナの「5類」への移行に伴って感染者数の全数把握が終了した中で、ウェブサイトを活用してほしいとしています。

 ウェブサイト「モデルナ 感染症リアルタイム流行情報サイト」はモデルナ・ジャパンが5月15日に公開し、民間の医療情報データベースに登録された全国約4200の医療機関からのデータをもとに、専門家の監修を受けて統計的に推計した、全国や北海道・東北、関東、東京、中部、近畿、中国・四国、九州の7エリアごとの感染者数を毎日更新して示しています。

 また、年代別の感染者数の推計や検査を受けた人のうちの陽性者の割合「陽性率」も掲載されています。

 18日までのデータでは、全国の感染者数は1週間平均で1日当たり約2万4000人と推計されていて、モデルナ・ジャパンは「これまで慣れてきた感染者数の形でデータを示すことが、最新の流行状況を正しく把握し、適切に行動するために重要と考える」としています。

 データ分析を監修したカリフォルニア大学ロサンゼルス校の津川友介准教授は、「データベースの情報を統計処理して感染者数を示すことで、労力を抑えながら多くのデータを得ることができる。国や自治体も有効活用して、今後の対策に役立ててほしい」と話しています。

 2023年5月21日(日)

2023/05/19

🟧神戸市でもはしか患者を確認 茨城県、東京都に続き

 神戸市は18日、市内ではしか(麻疹)患者が確認されたと発表しました。15日に市に報告があり、18日公表した感染症発生動向調査週報で明らかにしました。はしかは非常に感染力が強く、茨城県や東京都でも相次いで感染者が報告されています。

 市によると、神戸市の患者は6日に発症し、11日まで市内での行動歴があります。この患者と接触し、感染の可能性がある人にはすでに連絡しました。疑われる症状が出た場合には医療機関に事前連絡をした上で、公共交通機関の利用を避けて受診するよう求めたといいます。

 はしかは空気感染などで広がり、予防接種を受けておらず抗体を持たない人の発症率は非常に高くなっています。10~12日間の潜伏期間後、高熱やせき、たんといった風邪のような症状がみられます。一度熱が下がった後、再び高熱が出て耳や首に発疹が現れ、顔や手足などに広がります。

 これまでに、茨城県で感染が確認された男性が、4月21~23日に神戸市を訪れたことを確認。また、男性が乗車した東京行きの新幹線車内にいた東京都内の男女2人が感染しています。

 2023年5月19日(金)

🟧埼玉県内、熱中症疑いで39人救急搬送 今年初の猛暑日

 太平洋上の高気圧や暖気の影響により全国的に気温が上昇した18日、埼玉県内でも熊谷市と鳩山町で最高気温が35・0度と、今年初めての猛暑日になりました。県によると、同日午後4時現在、県内では熱中症の疑いで39人が救急搬送されました。

 熊谷地方気象台によると、午後1時8分に鳩山町、同42分に熊谷市で、それぞれ35・0度に達しました。ほかに6カ所ある観測地点でも軒並み33度以上となり、8月上旬並みの気温となりました。

 救急搬送された39人のうち8人が中等症、31人が軽症で、いずれも命に別状はないということです。

 年代別では、65歳以上の高齢者が21人と最も多く、次いで、7歳から18歳未満が11人、18歳から65歳未満が6人、7歳未満の乳幼児が1人となっています。

 八潮市では、市立大原中学校が午前中に校庭で行った体育祭の全校予行練習で、27人の生徒が暑さによる体調不良を訴え、うち3人が救急搬送され、3人が病院で治療を受けました。市教育委員会によると、いずれも軽症で、回復して帰宅しました。

 熊谷地方気象台によると、19日以降、季節外れの暑さは和らぐ見通し。

 2023年5月19日(金)

🟧パーソナルトレーニングで健康被害多発 消費者事故調、実態調査へ

 トレーナーから1対1で運動や食事の指導を受ける「パーソナルトレーニング」による骨折や健康被害が多発しているとして、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は19日、実態調査を始めたと発表しました。報告されている事故を分析し、再発防止策をまとめます。

 パーソナルトレーニングは、トレーナーが利用者のライフスタイルに合わせた指導をする新しいサービスで、運動不足解消やダイエットなどを目的に指導を受ける人が多くいます。一方で、トレーナーは法的な資格保有の義務はなく、サービスの質もトレーナーの資質にゆだねられています。

 国民生活センターによると、2017年度以降の約5年間で、スポーツジムなどでのパーソナルトレーニングによるけがや病気の相談が105件あり、そのうち女性が9割でした。

 ある30歳代女性は重量のあるバーベルを持ち上げ、徐々にウエートを重くするトレーニングで腰椎(ようつい)を骨折。また、糖質ばかりの食事をとるよう不適切な食事指導もされていました。

 2023年5月19日(金)

🟧コロナ感染者「定点把握」初公表、1医療機関当たり2・63人 全国5000カ所から計1万2922人の報告

 厚生労働省は19日、8~14日の1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告された新型コロナウイルスの感染者数は計1万2922人で、1医療機関当たり2・63人だったと発表しました。新型コロナの感染症法上の分類が5類に引き下げられたことに伴い、感染者数の「全数把握」が7日で終了し、インフルエンザと同様の「定点把握」に移行してから初めての公表となります。

 都道府県別にみると、8~14日の1週間の新規感染者数は、北海道964人(定点医療機関221カ所)、東京都994人(同414カ所)、愛知県667人(同195カ所)、大阪府515人(同287カ所)、福岡県475人(同198カ所)でした。

 都道府県別にみると、1医療機関当たりの感染者数は、沖縄県が6・07人で最多。最少は高知県の1・27人で、全都道府県で1人を超えました。北海道は4・36人、東京都は2・40人、愛知県は3・42人、大阪府は1・79人、福岡県は2・40人でした。

 国立感染症研究所の鈴木基(もとい) ・感染症疫学センター長は、「データ収集の仕みが変わったので正確な評価は来週以降になるが、5類に移行する前の状況も踏まえると、流行は緩やかだが、拡大する局面にあるだろう」との見方を示しました。

 厚労省によると、定点把握は、感染者数が多い5類感染症について、流行の拡大・収束の傾向をつかむために実施されます。新型コロナの定点医療機関は、この病気の診療実績のある内科や小児科を都道府県が指定しています。原則、毎週金曜日に、直前の日曜日までの1週間分をまとめて発表します。

 新型コロナの場合、流行入りなどの指標となる定点報告の基準値は、現時点では設定されておらず、厚労省は「今後検討していく」としています。インフルエンザの場合、1医療機関当たりの感染者数が1人になると「流行入り」、10人になると、大きな流行発生の可能性を示す「注意報」、30人になると、大きな流行の継続を警戒する「警報」の水準とされます。インフルエンザの基準値は、過去の定点報告のデータと流行状況を国立感染症研究所が分析した上で設定しています。

 2023年5月19日(金)

2023/05/18

🟧東京都初の定点医療機関当たりコロナ感染報告、1週間で994人 1医療機関当たりでは2・40人

 新型コロナウイルスが感染症法上の「5類」に移行したことを受けて、東京都は18日、新たな方法で集計した都内の感染者数などを初めて公表しました。8~14日の定点医療機関当たりの患者報告数は2・40人で、前週(1~7日)の1・7倍。専門家は、「緩やかな感染拡大傾向にあるが大型連休の影響もあるため今後の動向に注意が必要だ」としています。

 新型コロナの感染者数は、これまでは医療機関などを通じた「全数把握」でしたが、5類移行に伴って、指定の医療機関が月曜~日曜の患者数を報告する「定点把握」になりました。

 419カ所ある都内の定点医療機関のうち、今回は414カ所から計994人の患者報告があり、1医療機関当たり2・40人となりました。

 都の担当者は「前週は大型連休で休診していた医療機関もある」としつつ、「専門家は『増加傾向にある』との見解で一致している。今後の動向に注意が必要」と話しました。

 18日は、都内の他の指標(今週分)も公表されました。東京消防庁の「#7119」が受けた発熱相談件数(週平均)82・1件、救急搬送先を見付けるまで20分以上かかるなどした「東京ルール」適用件数(同)78・3件、入院者数は前週の781人から15日時点で506人に減少。

 公表指標を前週と比べると、患者報告数は増えたものの、発熱相談件数や東京ルール適用件数、入院者数はいずれも減っていました。

 2023年5月18日(木)

🟧北海道初の定点医療機関コロナ感染報告、1週間で964人 千葉県は640人、沖縄県は328人

 北海道は18日、道内221の定点医療機関から8~14日に報告された新型コロナウイルス感染者は964人と発表しました。定点医療機関1カ所当たり平均報告数は4・36人と、前週(1~7日)と比べて1・04人増となりました。

 道内の保健所別では釧路が13・82人と最多で、浦河11・00人、室蘭8・00、八雲7・33人、北見7・14人と続きました。札幌は3・02人で、旭川6・23人、函館4・10人でした。

 新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行されたのに伴い、千葉県は17日、定点医療機関の報告に基づく週報を初めて発表しました。県内約200の医療機関から管轄する16保健所に報告された感染者数(8~14日)は計640人、平均3・08人でした。

 県内の16保健所別では君津が最も多く5・08人、次いで長生が4・29人、松戸が3・92人。年代別では10歳代が最多の130人。20歳代108人、50歳代104人、40歳代74人、30歳代56人と続きました

 千葉県疾病対策課は、「週報で流行状況をみており、十分注視していくことはできる」としています。

 沖縄県は18日、感染症法上の位置付けが5類に引き下げられて初となる、新型コロナウイルス感染者の定点把握結果を発表しました。県内の指定医療機関54カ所から8~14日に報告された患者数は328人で、1医療機関当たりの平均は6・07人でした。

 定点報告に基づく県全体の推計感染者数は1540人としています。

 2023年5月18日(木)

🟧エムポックス感染者、愛知県内で初めて確認 海外渡航歴なしの40歳代男性

 愛知県は18日、天然痘に似た感染症「エムポックス(サル痘)」の感染者が県内で初めて確認されたと発表しました。国内では7日までに135人の感染が確認されています。

 発表では、感染したのは県内在住の40歳代男性。発疹や発熱などの症状が出て、16日に県内の医療機関を受診。検査の結果、18日に陽性が判明しました。海外渡航歴はなく、感染経路は不明。容体は安定しているといいます。

 エムポックスは、感染すると発熱や頭痛などが0~5日続き、発熱の1~3日後に発疹が出ます。多くは発症から2~4週間で治癒します。

 愛知県は症状がある場合は、かかりつけ医や最寄りの医療機関に相談するよう呼び掛けています。

 2023年5月18日(木)

2023/05/17

🟧塩分1日7グラム、睡眠確保、歩数増など 健康寿命延伸へ新数値目標

 厚生労働省は17日までに、2024年度からの国民健康づくり計画「健康日本21(第3次)」で設定する数値目標をまとめました。2032年度までに、高血圧予防で1日当たりの食塩摂取量を現状の10・1グラムから7グラムに減らすほか、心身の健康維持のため、睡眠時間を十分に確保できている人の割合を60%に上げます。毎日の歩数増など運動も促します。6月にも正式決定します。

 厚労省によると、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる「健康寿命」は、2019年時点で男性72・68歳、女性75・38歳でした。計画は健康寿命の延伸や健康格差の縮小を目的に策定。第3次では50項目ほどの目標を定めます。

 食生活では、野菜や果物は脳卒中、心疾患の死亡率低下に関係があるとされることから、1日当たりの摂取量を多くします。野菜は、現状の281グラムから350グラムに、果物は約2倍となる200グラムに設定します。適正体重を保っている人を増やし、特に体格指数(BMI)が18・5未満の「やせ」に該当する若年女性を15%未満に減らします。

 睡眠については、6~9時間(60歳以上は6~8時間)を十分な睡眠時間とし、確保できている人を世代によって55%前後の現状から、60%にするのが目標。1日の歩数の平均値は20~64歳8000歩、65歳以上6000歩の達成を目指します。喫煙率は16・7%から12%に下げます。

 糖尿病の悪化に伴う合併症「糖尿病腎症」による年間の新規透析導入を約1万5000人から1万2000人に抑えます。骨量が減り軽い転倒などで骨折しやすくなる「骨粗しょう症」の自治体検診の受診率は乳がんなどと比べて低いため、約10ポイント増の15%に向上させるほか、全身の病気リスクにも影響する歯と口の健康増進も盛り込みました。

 2023年5月17日(水)

🟧コロナ感染した脳死ドナーからの臓器移植を容認 5類移行で厚労省通知

 厚生労働省は17日までに、新型コロナウイルスに感染した脳死の臓器提供者(ドナー)からの臓器移植を容認しました。ドナーが感染していても、移植を受けた患者らへの感染拡大のリスクは低く、感染症法上の位置付けが5類に引き下げられたことに伴い判断しました。

 厚労省は、自治体や臓器移植をあっせんする日本臓器移植ネットワークなどに文書で通知しました。

 新型コロナの感染が拡大した2020年3月以降、厚労省は、臓器移植を受ける患者や周囲への感染拡大を懸念し、感染したドナーから臓器を移植しないよう、医療現場に求めてきました。実際にドナーの感染が判明し、臓器提供を中止したケースもありました。

 しかし、5月8日から5類に移行したことを受け、医療現場に対応をゆだねることにしました。海外の研究報告では、肺移植を除けば、感染したドナーから移植による感染拡大は起きていないといいます。

 日本臓器移植ネットワークによると、脳死ドナーからの臓器提供は2019年は97件だったものの、新型コロナの影響で2020、2021年は70件弱に減少しました。その後は2022年が93件、2023年も4月末までで54件と回復傾向にあります。

 2023年5月17日(水)

🟧宮崎市でインフルエンザ集団感染が発生 高校で491人、臨時休校措置

 宮崎市内の高校で生徒476人と職員15人の合わせて491人がインフルエンザに集団感染し、15日から休校していることがわかりました。市は感染防止対策の徹底を呼び掛けています。

 宮崎市によりますと、市内の1つの高校で5月9日から発熱やせき、のどの痛みなどの症状を訴える生徒が出始め、16日までに生徒と職員合わせて491人がインフルエンザに感染したことがわかったということです。

 これまで重症者や入院した人はいませんが、高校では15日から22日まで臨時休校の措置を取っています。

 高校では先週末に体育祭が行われ、練習なども含めて集団で行動する機会が増えていたことが、一挙に感染が拡大した要因になった可能性があるとみています。

 このほかにも宮崎市内には生徒らに感染が拡大し、休校する中学校もあり、市は感染対策の徹底を求めています。

 宮崎市の清山知憲市長は17日、定例の記者会見で「体調不良の場合は学校に行かないなど個別の感染対策を取り、室内の換気やマスクの着用を徹底してほしい」と注意を呼び掛けました。

 2023年5月17日(水)

🟧塩野義製薬、新たなコロナ飲み薬の治験開始 副作用など改善目指す

 塩野義製薬は17日、現在販売する新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」に続く、より副作用の少ない飲み薬の候補について、国内で第1段階の臨床試験(治験)を開始したと発表しました。対象者への初回投与を同日実施し、安全上の懸念は確認されていないといいます。

 ゾコーバは軽症・中等症患者向けに昨年11月に緊急承認され、今年3月に一般流通を開始。ただ、高血圧や高脂血症の治療薬など併用できない薬が多く、12歳未満の小児、妊婦や妊娠の可能性がある女性は服用できないため、医療関係者から「使いづらい」との指摘も出ていました。同社はこうした課題を改善する新薬の開発を目指します。

 研究段階では優れた抗ウイルス効果が確認され、安全性に関する大きな懸念は認められていません。治験は健康な成人を対象に、服用時の薬の働き方や安全性などを確認します。

 塩野義製薬は、「新型コロナウイルスは今なお変異を繰り返しており、有効で安全な治療薬の開発が引き続き求められている」とコメントしました。

 2023年5月17日(水)

🟧東京都内、熱中症疑いで8人救急搬送 重症者はなし

 東京消防庁によりますと、17日、東京都内(島嶼部と稲城市除く)では午後3時までに10歳代から90歳代の男女合わせて8人が熱中症の疑いで救急搬送されたということです。

 このうち2人が短期の入院が必要な中等症、6人が軽症で、3週間以上の入院が必要な重症者はいないということです。

 内訳は男性4人、女性4人で、年代は10歳代が2人、20歳代、30歳代、40歳代が1人ずつ、60歳代以上が3人です。

 東京消防庁は、のどが渇く前にこまめに水分を補給するなど対策を徹底するよう注意を呼び掛けています。

 2023年5月17日(水)

2023/05/16

🟧厚労相「疑わしい場合は医療機関に連絡し公共交通機関の利用控えて」 茨城と東京で「はしか」感染確認で

 茨城県と東京都で、はしか(麻疹)の患者が相次いで確認されたことを受けて、加藤勝信厚生労働相は、はしかが疑われる症状がある場合には必ず受診前に医療機関に連絡した上で、移動の際は公共交通機関の利用を控えるよう呼び掛けました。

 はしかに関しては、4月27日、インドへの渡航歴のある茨城県内の30歳代男性がはしかと診断され、さらに、この男性と同じ新幹線を利用した東京都内の30歳代女性と40歳代男性の2人に5月3日、発熱などの症状が出て、その後、はしかへの感染が確認されたということです。3人とも4月23日に新神戸駅から東京駅まで同じ新幹線に乗車していました。

 加藤厚労相は16日の閣議後の記者会見で、厚労省から自治体や医療機関などに、はしかに対する注意喚起を行うとともに、同省のホームページやSNSなどでも国民に向けた情報発信を行っていると話しました。

 加藤厚労相は「はしかは感染力が非常に強く、免疫を持っていないとほぼ100%感染するといわれている」と強調し、感染者との接触があったと思われる場合や海外からの帰国後に発熱や発疹などのはしかが疑われる症状があった場合は「必ず受診前に医療機関に連絡し、移動の際は公共交通機関の利用を控えて医療機関の指示に従ってほしい」と述べました。

 そして、就学前の2回接種が定期接種に位置付けられている、はしか予防のワクチン接種で大幅に感染リスクを下げられるとして、対象年齢の子供を持つ保護者は忘れずに接種を行い、海外に渡航予定の人で、はしかのワクチン接種歴が不明な場合なども、予防接種を検討してほしいと呼び掛けました。

 また、新型コロナウイルスの流行ではしかのワクチンを打てずに対象時期を過ぎた場合も、公費助成の対象となることを説明しました。

 2023年5月16日(火)

🟧マグネットセットと膨らむボール、小型品の製造・販売を規制へ 子供が誤飲する恐れ

 政府は16日、子供の誤飲事故が複数回起きている、強力な小型磁石を使った「マグネットセット」と、吸水性の樹脂製の玩具「水で膨らむボール」について、子供が誤飲する恐れのある小さなものについて、技術基準に適合しない製品の製造・販売を規制するよう政令の改正を閣議決定しました。6月19日から施行されます。

 経済産業省によると、消費者にとって特に危害を及ぼす可能性が高いと認められる「特定製品」に指定されます。

 いずれも直径3・17センチ・メートル以下の製品が規制対象。マグネットセットは体内から自然に排出できるほどの磁力に抑えなくてはならず、水で膨らむボールは吸水前より50%以上膨らまないようにしないと、製造・販売ができなくなります。

 マグネットセットは2017~2022年に子供が誤飲し、腸の壁を挟んで磁石が引き合うことで開腹手術での摘出が必要となった事故が11件発生。水で膨らむボールについては、2021年に乳幼児が誤飲し摘出が必要となった事故が4件起きていました。

 2023年5月16日(火)

🟧エーザイのアルツハイマー病薬「レカネマブ」、カナダが申請受理

 製薬大手エーザイは16日、アメリカの製薬会社バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病治療の新薬「レカネマブ」について、カナダ保健省が販売承認申請を受理したと発表した。3月末に申請していました。レカネマブはアメリカですでに条件付きの承認に当たる「迅速承認」を取得ずみで、1月28日に発売されました。

 日本でも製造販売承認を厚生労働省に申請し、承認までの期間を短縮できる優先審査の対象品目に指定されている。ヨーロッパや中国でも承認を申請しています。

 レカネマブは早期アルツハイマー病の患者を対象としており、症状の悪化を27%抑制するとされます。病気の原因物質の一つといわれるタンパク質「アミロイドベータ」が脳内で固まる前の段階で、人工的に作った抗体を結合させて取り除こうというもので、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。ただ、壊れてしまった神経細胞を再生させることはできないため、発症する前の「軽度認知障害」の段階や、発症後、早期に投与することが重要だとされています。

 迅速承認を取得したアメリカでは、3月にフル承認に向けた変更申請がアメリカ食品医薬品局(FDA)に受理されました。優先審査に指定されており、審査終了目標日は7月6日を予定しています。フル承認が決まれば、治療薬が本格的に普及する段階に入ります。日本やヨーロッパ、中国では2023年度中の承認取得を目指しています。

 2023年5月16日(火)

2023/05/15

🟧コロナ緊急事態宣言下の都市部、心停止からの回復割合が3割低下 AEDでの救命処置の遅れが一因

 2020年4月に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が最初に発令された都市部の地域では、心停止した患者が回復した割合が平時より3割下がったとする研究結果を、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が8日、発表しました。外出自粛の影響で、自宅で倒れるケースが増え、自動体外式除細動器(AED)の救命処置が遅れたことが一因とみています。

 野口輝夫・同センター病院副院長らの研究チームは、2017~2020年に、心停止後に救急搬送された全国の2万1868人のデータを分析しました。その結果、宣言が最初に発令された東京や大阪など7都府県では、2020年4月に心停止した患者のうち介助なしで生活できるまでに回復した人の割合は約20%にとどまり、平時(2017~2019年)の水準である約30%より約3割低下しました。

 また、救急隊が到着する前に、一般市民によるAEDの処置を受けた患者の割合も、平時の約30%から約15%に落ち込んでいました。

 研究成果は、国際医学誌「ランセット地域保健 – 西太平洋」電子版に掲載されました。

  山本剛・日本医科大准教授(心臓血管集中治療科)は、 「コロナ禍での救急患者への影響を浮き彫りにした成果だ。平時から町内会などでAEDを備え、自宅で発症した患者にもすぐに使える仕組み作りが重要だ」と話しています。

 2023年5月15日(月)

2023/05/14

🟧世界のボトル水市場、2030年までに倍増 国連大が報告

 世界でペットボトルなどに入った水の市場規模が2030年までに現在の2倍近くに増え、地下水の枯渇やプラスチックごみ問題などを悪化させる懸念があるとの報告書を、国連大学の研究チームが3日までにまとめました。「ボトル入りの水を買えない貧しい人との間で不平等を拡大させ、飲み水に関する持続可能な開発目標(SDGs)達成の障壁になる」としました。

 カナダのハミルトン市に所在する国連大の水・環境・保健研究所が、日本を含む世界109カ国のデータなどを分析し、「世界のボトル飲料水産業:影響と傾向の評価」をまとめました。

 世界のボトルなどに入った水の消費量は2021年に3500億リットルに上り、市場規模が過去10年で1・7倍になりました。国別ではアメリカが614億リットルとトップで、中国、インドネシアの順。日本は100億リットル弱で8位でした。ほかの消費量上位国は、カナダ、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、タイ、メキシコ、イタリア。

 2020年に2700億ドルだった売上額は、2030年までに5000億ドルを超えると見込まれます。

 ペットボトルのごみも急増し、2000年の1200万トンから2021年は2500万トンと2倍超に増えました。2021年のごみの総重量2500万トンは、40トントラック62万5000台分に相当し、縦列させたらニューヨークからバンコクをつなげられる距離。

 地下水を安価に取水する例も多く、インド、北アメリカなどで飲料メーカーによる取水の悪影響が報告されています。ボトル飲料水産業の一部の民間企業は、公共財である水をわずかなコストで入手し、処理し、お金を払える人に売り戻しています。40カ国における事例で、皮肉なことに、製品として完成したボトル飲料水は必ずしも安全ではないことが示されました。公共水道事業者と比べて民間企業はほとんど監督されていないためです。

 本報告書によれば、世界で安全な水を享受できていない20億人の人々に安全な水を提供するために必要な年間投資額は、ボトル飲料水に2020年に費やされた2700億ドルの半分以下といいます。

 2023年5月14日(日)

🟧早老症治療剤「ゾキンヴィ」、国内販売の承認を申請 アンジェス

 バイオスタートアップ企業のアンジェスは12日、早期の老化を引き起こす希少疾患「早老症」の治療薬「ゾキンヴィ」について、国内販売に向けて承認申請したと発表しました。

 ゾキンヴィは、アメリカのスタートアップ企業のアイガー・バイオファーマシューティカルが2020年11月に承認取得し、アメリカで販売されました。その後、アンジェスが 2022年5月に日本における独占販売契約をアイガー・バイオファーマシューティカルと締結し、2023年3月に厚生労働省により希少疾病医薬品(オーファン・ドラッグ)に指定されました。ゾキンヴィは、2022年8月にイギリスでも承認されています。

 ゾキンヴィは、早老症の中でも「ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群」と「プロジェロイド・ラミノパチー」に対する治療薬。それぞれが大変希少な致死性の遺伝的早老症であり、若い時点から死亡率が加速度的に上昇します。

 ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群は、LMNA遺伝子の点突然変異により、ファルネシル化された変異タンパク質のプロジェリンが生成されることにより発症します。

 プロジェロイド・ラミノパチーは、LMNAやZMPSTE24遺伝子の変異により、プロジェリンに類似したファルネシル化タンパク質が生成され、老化が促進されます。

 いずれの病型ともに、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋委縮症、脱毛症、関節拘縮、骨格形成不全、動脈硬化の促進などの早老症状が現れ、動脈硬化性疾患(心筋梗塞あるいは脳卒中)により若年期に死亡するとされ、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の平均年齢は14・5歳と報告されています。

 ゾキンヴィは、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群とプロジェロイド・ラミノパチーの小児および若年成人において、核膜の構造・機能を損なうファルネシル化された変異タンパク質の蓄積を阻害します。

 臨床試験(治験)では、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の患者において、ゾキンヴィは死亡率を60%減少し、平均生存期間を2・5年延長しました。多くの患者は10年以上にわたってゾキンヴィ治療を継続しており、最も多く報告された副作用は消化器系(嘔吐、下痢、悪心)で、そのほとんどが軽度又は中等度です。

 アンジェスでは、日本国内のゾキンヴィの使用対象者は数名とみています。アンジェスが2021年に始めた新生児対象の検査事業の項目に早老症を盛り込みます。早期発見することで生存期間を延ばす効果が期待できるといいます。

 2023年5月14日(日)

🟧ワクチンや治療薬の公平な供給を明記 G7保健相会合、共同声明

 長崎市で開かれていた先進7カ国(G7)保健相会合は14日、2日間の日程を終えて閉幕しました。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を踏まえ、将来的に健康危機が起きた際に、ワクチンや治療薬、検査キットを途上国を含めた世界各地に公平に供給する必要性を明記した共同声明を採択しました。誰もが必要な医療を適切な費用で受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の取り組み強化も確認しました。

 議長を務めた加藤勝信厚生労働相は閉幕後の記者会見で、「G7が率先して、途上国が入手可能な価格で医薬品を確保できる仕組みの構築に取り組む」と述べました。今後、具体策を検討します。

 共同声明では、新型コロナワクチンについて「製造、調達のプロセスで多くの課題に直面した」と指摘。今後の感染症など健康危機に備え、特に低・中所得国に行き渡るようにすることが重要だとしました。製造から流通までを迅速、円滑に行えるよう、国際機関との連携を強化し支援します。

 こうした取り組みには持続可能な資金調達が重要になるとして、昨年、世界銀行に設立された途上国向けの「パンデミック基金」を有効に運用できるよう支援を拡充します。G7のみならず、すべての国に対して財政的、政治的支援の強化も求めました。

 コロナ禍は世界の保健システムに混乱を与え、適切な医療を受けることが難しくなった地域も少なくありません。このため、2030年までのUHCの実現を目指し、途上国への資金提供や、医療、介護人材育成の支援といった8項目の行動計画をまとめ、支援の強化に乗り出します。

 ロシアのウクライナ侵攻を巡っては、医療システムの激しい混乱を招いていると批判しました。医療施設が損傷・破壊され、数千人の医療従事者が避難を余儀なくされている実態に触れて、「侵略戦争を可能な限り最も強い言葉で非難する」と言明。ロシアに「即時かつ無条件の撤退」を求めました。

 2023年5月14日(日)

2023/05/13

🟧アステラス製薬、更年期障害治療薬でアメリカFDA承認を取得 非ホルモン治療薬で新たな選択肢に期待

 アステラス製薬は13日、アメリカで開発中の更年期障害治療薬「フェゾリネタント」について、アメリカ食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表しました。同社の試算でピーク時に年間5000億円の売り上げを見込むフェゾリネタントは、承認時期が当初予定より遅れた経緯がありました。

 更年期障害は顔のほてりやのぼせ、発汗、不眠などの症状を引き起こすとされます。かつては治療薬としてホルモン製剤が使われていたものの副作用が多く、使用されなくなった経緯があります。フェゾリネタントは非ホルモン治療薬で、更年期障害の治療に向けた新たな選択肢となる可能性があります。

 発表資料によると、アステラス製薬は閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状に対する治療薬として開発を進めてきました。顔のほてりやのぼせなどを特徴とする血管運動神経症状は、閉経に伴う症状として女性の治療ニーズが最も高く、フェゾリネタントはこうした症状の頻度や重症度を軽減するといいます。

 今回の承認取得は血管運動神経症状を有する女性3000人以上を対象に米欧などで行った試験結果に基づいており、同社はヨーロッパやオーストラリアでも承認を申請中です。将来は日本でも実用化を目指します。

 同社が4月に発表した2024年3月期の業績予想には、フェゾリネタントによる売上貢献期待として、400〜500億円を織り込んでいます。

 FDAは2月、フェゾリネタントの審査終了時期を当初予定より3カ月後となる5月下旬に延期すると発表。

 岡村直樹社長は4月に、承認の遅れが「すごくネガティブなインパクト」になるとした上で、売れ行き次第としながらも「もっと投資してその遅れを取り戻すことができるぐらいの計画を作る」と述べていました。

 現在、アステラス製薬の業績を支える主力薬は前立腺がん薬「イクスタンジ」で、2023年3月期の売上高は約6600億円と、連結売上高の4割強を占めます。ただ、イクスタンジは2027年ごろから特許切れを迎えます。医薬品は特許が切れるとすぐに後発薬が登場し、収益が激減します。

 アステラス製薬はイクスタンジの独占期間満了による売り上げ減少を補う収益の柱の筆頭として、フェゾリネタントを位置付けます。さらに同社が1日に約59億ドルで買収すると発表したアメリカのバイオ医薬品企業の持つ眼科領域での新薬候補も、収益の柱の一つに育てる考えです。

 2023年5月13日(土)

🟧基準値の最大7・5倍の汚水違法排出疑い、マルハニチロシーフーズを書類送検 茨城海上保安部

 基準値を超える汚水を海に排出したとして、茨城海上保安部は12日、水質汚濁防止法違反の疑いで、茨城県ひたちなか市にある水産食料品製造業「マルハニチロシーフーズ」を水戸地検に書類送致しました。同海保によると、排出した汚水に含まれる油や廃棄物などの浮遊物質量は最大で基準値の7・5倍に達しました。

 書類送検容疑は2021年12月から今年2月までの間、計5回にわたり同法で定める基準値を超える浮遊物質量を含む汚水を同社付近の側溝に流した疑い。

 同海保警備救難課によると、昨年10月11日、パトロール中に那珂湊港に接続する排水口で魚臭のする茶色の汚水を発見し、捜査を進めていました。汚水はサケの加工をする過程で発生。同社は汚水を浄化施設でろ過していたものの、処理能力が足りておらず、規制された基準値を超えたまま排出していました。

 浮遊物質量の基準値は、1リットル当たり最大160ミリグラムと定められています。同課が行った計5回の検査ではいずれも基準値を上回っており、最大1200ミリグラムを測定していました。

 警備救難課では、今年2月に同社に捜索に入り、基準を上回っていたことを示す社内の調査結果の資料などを押収したということです。

 同課によると、同社は容疑を認め、浄化施設の設備投資改善などに着手しているといいます。

 マルハニチロシーフーズは「真摯(しんし)に受け止め、反省している。近隣住民や漁業者の皆様に不安とご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます」とコメントしました。

 また、親会社の食品大手マルハニチロも「指導を徹底し管理体制を強化して信頼回復に努めたい」とコメントしています。

 2023年5月13日(土)

🟧最も長寿な市区町村、男女とも川崎市麻生区 ワースト1位は男女とも大阪市西成区

 厚生労働省は12日、市区町村別の2020年時点の平均寿命を公表しました。最も長寿だったのは、男女とも川崎市麻生区で、男性84・0歳、女性89・2歳。前回調査の2位と4位から順位を上げました。

 厚労省は5年に1回、国勢調査などから市区町村別の平均寿命を推計しています。今回は5回目で、東京電力福島第一原発事故で避難指示区域に指定されるなどした9町村を除く、1887市区町村を対象にしました。

 全国平均は男性が81・5歳(前回80・8歳)、女性は87・6歳(同87・0歳)で、男女の平均寿命の差は6・1歳となりました。男性の2位は横浜市青葉区(83・9歳)で、長野県宮田村(83・4歳)、愛知県日進市(83・4歳)、京都府木津川市(83・3歳)が続きました。

 厚労省は小数点第2位を四捨五入して公表しており、女性は2位~4位の熊本県益城町、長野県高森町、滋賀県草津市がいずれも89・0歳で僅差でした。5位は兵庫県芦屋市(88・9歳)。

 一方、ワースト1位は男女とも大阪市西成区で、男性が73・2歳、女性が84・9歳となり、男性は5回連続、女性は3回連続。男性は西成区と1位の麻生区で10・8歳の差があり、女性は西成区と1位の麻生区で4・3歳の差がありました。

 都道府県別で最も短命だった青森県は、男性が7市町村、女性は6市町村がワースト10位に入りました。

 厚労省は市区町村で差があることについて、「平均寿命の差には食生活などの生活習慣や気候、健康への意識など、さまざまな要因が考えられる。今回の結果を住民の健康増進に向けた取り組みに役立ててほしい」としています。

 2023年5月13日(土)

🟧新幹線に乗り合わせた2人はしか感染、30歳代女性と40歳代男性 東京都で3年ぶり確認

 12日、東京都は男女2人がはしか(麻疹)に感染したと公表しました。はしかは強い感染力を持つことで知られています。東京都内で感染が確認されるのは2020年2月以来、約3年ぶりです。

 東京都によりますと、はしかに感染したのは都内在住の30歳代女性と40歳代男性で、3日に発熱やせきなどの症状が出たため、その後、医療機関を受診し、それぞれ10日と11日に医療機関から届け出がありました。現在は、いずれも入院していて、症状は落ち着いているということです。

 2人に面識はありませんが、4月23日に東海道・山陽新幹線「のぞみ50号」9号車の新神戸駅-東京駅で同じ車両に乗っていました。

 また、男性は5月4日に東海道新幹線「こだま740号」10号車の三島駅-新横浜駅に乗っていたということです。

 なお、4月28日に、茨城県つくばみらい市の30歳代男性がインドから帰国後、はしかへの感染が確認されていて、この男性は4月23日に同じ新幹線「のぞみ50号」を利用していたということです。東京都はこの男性から感染が広がったとみています。

 はしかは感染症法上の5類感染症で、主な感染経路は空気感染です。感染力が極めて強く、10日間ほどの潜伏期間を経て発熱やせき、発疹などの症状が出るといわれています。合併症として肺炎や脳炎などを引き起こし、重症化すると死亡することもあるということです。 

 東京都は、2人が乗っていた新幹線の情報をホームページで公開していて、13日と14日に発熱や発疹などはしかを疑う症状が出た人などの相談を受け付けることにしています。

 電話番号は03-5388-3615で、いずれも午前9時から午後5時まで受け付けています。

 また、医療機関を受診する際は、事前に連絡した上で、移動の際は公共交通機関の利用を控えるよう呼び掛けています。

 東京都は、まだ予防接種を受けていない人に対して早めの接種を呼び掛けています。

 2023年5月13日(土)

🟧奈良県で 「エムポックス」に40歳代男性が感染 県内で初確認

 奈良県は12日、県内に住む40歳代の男性がウイルス性の感染症「エムポックス」、これまでのサル痘に感染していることが確認されたと発表しました。奈良県内で感染が確認されるのは初めてです。

 「エムポックス」、これまでのサル痘は、アフリカ大陸の流行地域で主に発生が確認されていて、感染すると発熱や発疹などの症状が現れるウイルス性の感染症です。

 奈良県疾病対策課によると、男性は発熱や発疹の症状で奈良市内の医療機関を受診。市保健所からの連絡を受けて、県保健研究センターが検査し、11日に陽性と確定しました。男性に直近の海外渡航歴はなく、症状は安定しているといいます。

 男性の発熱日や医療機関の受診日、感染経路などは明らかにしていません。

 「エムポックス」は、感染した人や動物の体液や血液に触れたり、長時間、感染した人の飛沫にさらされたりした場合に感染するということです。

 厚生労働省によりますと、国内では昨年7月から今年5月7日までに135例の感染が確認されているということです。

 奈良県では、「過剰に心配することなく、発熱・発疹といった症状がある場合はマスクを着用するなどして、近くの医療機関を受診してほしい」と呼び掛けています。

 2023年5月13日(土)

2023/05/12

🟧名古屋大、ワクチン成分のmRNAを純度99%で製造 発熱などの副作用抑制も

 名古屋大学などは11日、新型コロナウイルスワクチンなどの成分になる「メッセンジャーRNA(mRNA)」を99%以上の高純度で製造する技術を開発したと発表しました。純度が高まることで発熱などの副作用の抑制も期待できるといいます。設立したスタートアップを通じて、国産のmRNA製造技術として実用化を目指します。

 名古屋大の阿部洋教授と東京医科歯科大学の内田智士教授らの成果で、イギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されました。

 mRNAワクチンはウイルスの目印となるタンパク質の設計図が入ったmRNAを投与し、体内で目印のタンパク質が合成されて、ウイルスへの免疫をつけます。

 ワクチンとして機能させるために鎖状のmRNA分子の端に、タンパク質の合成に必要で炎症反応を抑える役割がある「キャップ」と呼ばれる構造を作る必要があります。しかし、既存技術ではキャップ付きのmRNAを製造しようとしても純度が60〜90%程度にとどまっていました。

 研究チームはキャップ付きのmRNAを精製する工夫で、純度を最大で99%以上に高めました。キャップの構造を一部変えて、タンパク質の合成量を約5倍に増やすことにも成功しました。純度の高い少量のmRNAから多くのタンパク質が作れれば、ワクチンとして接種する量も少なくてすみます。より多くの人に供給しやすくなるだけでなく、副反応の要因の一つともされる副生成物がほとんどないため、発熱などの副作用を減らせる可能性もあるといいます。また、このmRNAは壊れにくく脂質の膜に包む必要がないため、できたワクチンは常温で保存できるといいます。

 mRNAワクチンはコロナワクチンで初めて実用化し、今後は他の感染症やがんのワクチン、遺伝病の治療薬などでも応用が期待されています。

 阿部教授らは国産のmRNA製造技術の実用化に向け、スタートアップを設立。政府の支援も受け、2026年度に国産技術で製造したコロナワクチンの臨床試験(治験)を始める計画です。

 2023年5月12日(金)

🟧アメリカ、国家非常事態宣言解除 外国人のワクチン接種証明の提示不要に 

 アメリカのジョー・バイデン政権は新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたとして、3年前から続けてきた公衆衛生上の国家非常事態宣言を11日いっぱいで解除します。

 背景には、ピーク時の2021年1月以降、新型コロナによる死者が95%減少するなど感染状況が落ち着いてきているほか、国民の80%以上が少なくとも1回のワクチン接種を受けていることなどがあります。

 これに伴って、コロナ禍で続いてきたさまざまな措置が解除されることになり、空路で入国する日本人を含む外国人に義務付けられていたワクチンの接種証明の提示も不要になります。

 このほか、連邦政府職員などを対象にしたワクチン接種の義務化や、新型コロナの検査キットの無料配布が終了するほか、各州や自治体の感染状況の国への報告義務もなくなることになります。

 ただ、専門家などからは検査キットの無料配布や報告義務がなくなることで、再び感染が拡大した場合の把握や対応に遅れが出るのではないかと懸念の声も出ています。

 アメリカの疾病対策センター(CDC)によりますと、アメリカ国内の感染者数のピークは昨年1月ごろで、一日平均80万人余り、死者数のピークは一昨年1月ごろで、一日平均3000人余りでした。

 新たに報告される感染者数や死者数は、今年1月以降いずれもおおむね減少する傾向が続き、5月3日時点で感染者数は一日当たり約1万1000人、死者数は一日当たり約160人となっています。

 ただ、感染者数については、最近は簡単に入手できる検査キットで自分で調べた場合は報告されないため、正確な数はわかっていません。

 CDCによると、累計感染者数は約1億500万人、死者数は約110万人となっています。

 新型コロナウイルスのアメリカ国内での感染状況は、地域ごとに「低い」「中程度」「高い」の3段階に分類してCDCが発表していますが、5月4日時点の最新の状況で、アメリカ国内の大部分、およそ99%の地域が「低い」に分類されています。

 2023年5月12日(金)

🟧WHO、エムポックス(サル痘)の緊急事態宣言終了を発表 新規感染者数減少で

 世界保健機関(WHO)が11日、欧米を中心に患者が相次いだエムポックス(サル痘)の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を終了すると発表しました。

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は11日の会見で、「エムポックスがもはや『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』ではないと宣言することをうれしく思います」と述べました。

 WHOには、計8万7377人以上の感染と140人の死亡が111カ国から報告されてきました。テドロス事務局長は、直近3カ月の感染者数が前の3カ月と比べて、ほぼ9割減になったことを紹介し、「アウトブレークを制御することについての着実な進歩を確認した」と述べました。

 ただし、テドロス事務局長は「これで仕事が終わったわけではない」とも強調。引き続 き、詳細な感染経路がわかっていないアフリカを含む、すべての地域に影響を及ぼしており、忍耐強い対処が必要になると訴えました。

 エムポックスはウイルスを持つ動物との接触で感染し、人から人への感染はまれとされるものの、患者の体液や、皮膚の病変に触れることなどでも感染します。性的接触や患者が使った寝具などでも感染するため、誰でも感染する可能性はあります。

 従来はアフリカ中部や西部で時々流行する感染症でしたが、昨年5月以降、欧米を中心に感染が拡大。WHOは昨年7月23日に最高度の警告である「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、ピークとなった昨年の8月中旬には、1週間で7500人余りの新たな感染者が報告されました。

 エムポックスの主な症状は、発熱やリンパ節のはれ、全身に広がる発疹などとされる一方で、今回の流行では発疹が性器周辺にとどまったりするなど、従来と異なる症状が報告されています。患者の多くは軽症で2~4週間で自然に治っていますが、まれに重症化する例もあります。

 WHOによると、今回の流行で報告されている患者の96%は男性で、その多くは男性間による性的接触があった人でした。

 日本国内では昨年7月、初めて患者が確認されました。世界的には患者数は減っているものの、国内では今年に入り、患者の報告が増えています。国立感染症研究所によると、5月2日時点で129人を数え、全員男性で、死者は報告されていません。

 2023年5月12日(金)

🟧ワクチン接種偽装で委託料詐取、院長に有罪判決 東京地裁「医師の権限を悪用」

 新型コロナウイルスワクチンを接種したと偽り、自治体から接種委託料をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた医師船木威徳(たけのり)被告(51)=東京都北区=の判決公判が12日、東京地裁(野村賢裁判長)でありました。判決は「金銭目的でないことを踏まえても悪質だ」として、懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡しました。

 判決によると、同区の「王子北口内科クリニック」院長の船木被告は2021年、「ワクチンを接種したくないが、接種済証が欲しい」という知人らから依頼を受け、計15人にワクチン接種をしたとするうその予診票を札幌市や大阪市など5つの自治体に提出。業務委託料計約6万8000円をだまし取りました。

 船木被告は自ら開くセミナーで「ワクチン接種しなくても接種済証を発行する」旨の資料を配るなどしていました。判決は「ワクチン接種業務の委託を受けた医師の権限を悪用し、被害額も少額とはいえない」と批判。一方、被害の全額を弁償していることや反省の態度を示していることなどから執行猶予が相当としました。

 2023年5月12日(金)

2023/05/11

🟧アメリカ、経口避妊薬の初の市販化へ道 FDA諮問委員会が肯定意見

 アメリカ食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は10日、製薬大手ペリゴ傘下のHRAファーマ社の経口避妊薬「オーピル」について、購入に処方箋が必要な薬からドラッグストアなどで自己判断で買える市販薬への転換を肯定する意見を全会一致でまとめた。FDAが今後、最終判断します。承認されれば、アメリカで初めて緊急用以外の経口避妊薬の市販が実現します。

 アメリカでは2022年6月の連邦最高裁判決で、州による人工妊娠中絶の禁止が容認され、中絶を原則禁止とする州が増えました。望まない妊娠が年300万件ほど起きているとされるアメリカでは避妊への関心は高まっており、諮問委員会も「意図しない妊娠を避けやすくなる」としています。

 諮問委員会は9~10日の会合で、HRAファーマ社の日常服用する経口避妊薬「オーピル」について議論し、17対0で市販化を勧告しました。アメリカメディアによると、FDAは今年夏から秋ごろに市販化の可否を判断する予定です。

 アメリカでは、性交から72時間以内の使用を想定した緊急避妊薬を除き、避妊薬の購入には処方箋が必要となっています。FDA内では、常用避妊薬に関して「毎日、同じ時刻に服用する」といった方法を守れない利用者も多く、医師の助言が必要だとの声もあるといいます。

 一方、日本では緊急避妊薬も含めて、医師の処方箋が必要となっています。緊急避妊薬の普及を推進する国際団体によると、緊急避妊薬は19カ国で市販され、76カ国では薬剤師の説明を受ければ処方箋なしで購入可能だといいます。

 2023年5月11日(木)

🟧韓国、新型コロナ「エンデミック」宣言 危機警戒レベル引き下げ

 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は11日、中央災難(災害)安全対策本部の会議で、新型コロナウイルスの世界的な大流行「パンデミック」から、地域内で流行を繰り返す「エンデミック」と呼ばれる状態に移行したことを宣言した。

 また、韓国政府は11日、中央災難安全対策本部の会議で、6月1日をもって新型コロナウイルスの感染症危機警戒レベルを最も高い「深刻」から「警戒」に引き下げる内容を盛り込んだ計画を発表しました。

 警戒レベルの引き下げによる最大の変化は、感染者の隔離義務の解除。当初計画にあった5日間の隔離義務への移行を省略し、現行の7日間の隔離義務は6月から5日間の隔離「勧告」に切り替えられます。ただ、政府は医療機関と感染リスクの高い施設では隔離が維持される必要があるとして、強制的義務が解除されても「自発的同意による隔離措置」を行うよう要請しました。

 このほか、医療機関、薬局、感染リスクの高い施設でのマスク着用義務も緩和されます。 医療機関と薬局ではマスク着用が「勧告」に切り替えられるものの、病院級以上の医療機関と入所型施設ではマスク着用義務が当面維持されます。

 施設での面会時の飲食も認められます。従事者に義務付けられていた週1回の検査義務も「必要時に施行」へと緩和されます。 

 韓国への入国者に勧告されていた入国後3日以内のPCR検査は終了します。

 隔離勧告への切り替えを含む防疫対策の緩和は、危機警戒レベルの引き下げに合わせて6月から施行する計画ですが、告示改正などの行政手続きが早期に完了すれば危機警戒レベルの引き下げより前に施行することも検討するといいます。

 医療対応は、3月末に提示されたロードマップの計画通りに実施します。

 危機警戒レベルが「警戒」に引き下げられれば新型コロナの臨時検査所の運営を終了し、常設の選別診療所のみ運営されます。日曜日を除いて毎日集計・発表されている感染者数の統計は、週単位に変更されます。新型コロナへの対応は中央災難安全対策本部から保健福祉部の中央事故収拾本部が統括することになります。

 予防接種や治療薬、治療費、生活支援・有給休暇、防疫物資などのサポートは従来通り維持されます。

 防疫当局は「新型コロナの流行は緩やかな増加傾向を示しているが、現在の対応システムの下で安定的な管理が可能であり、世界的にも非常事態から脱して長期的な管理システムへの転換が可能な時期が到来した」と説明しました。また、今後は国内外の状況を綿密に確認しながら、大規模な再流行が発生すれば防疫対策を再び強化すると強調しました。

 韓国の中央防疫対策本部は11日、この日午前0時現在の国内の新型コロナウイルス感染者数は前日午前0時の時点から2万574人増え、累計3135万1686人になったと発表しました。

 新規感染者数は、1月28日(2万3591人)以来の高水準となった前日(2万3521人)に比べると2947人少ないものの、3日連続で2万人を上回りました。1週間前の4日(2万146人)より428人、2週間前の4月27日(1万4277人)に比べ6297人、それぞれ多くなっています。

 マスク着用義務が解除された後、過ごしやすい季節になり人の移動も増えた影響で、新規感染者数は増加傾向にあります。

 新規感染者のうち、海外からの入国者は32人でした。

 重症者数は前日から6人増え、157人となっています。新たな死者は12人で、前日に比べ11人少なくなっています。死者の累計は3万4583人。

 2023年5月11日(木)

🟧塩野義製薬、売上高・最終利益ともに過去最高 コロナ飲み薬「ゾコーバ」が貢献

 塩野義製薬が10日に発表した2023年3月期連結決算(国際会計基準)は、同社が開発した国産初の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」などが貢献し、売上高に当たる売上収益は前期比27・3%増の4266億円、最終利益は62・0%増の1849億円で、いずれも過去最高を更新しました。2024年3月期の業績予想では、昨年11月に承認申請した新型コロナワクチンとゾコーバを合わせた売上高計1050億円を見込みました。

 ゾコーバは昨年11月に緊急承認されて、政府が200万人分を購入し、今年3月末に一般流通が始まりました。ゾコーバの売上高は政府の購入分で1000億円、一般流通分が47億円でした。研究開発費は同社全体で過去最高の1024億円に上り、手代木(てしろぎ)功社長は記者会見で「それでも最高利益を更新できたことに自信を深めている」と述べました。

 2024年3月期連結業績予想は、売上収益が5・5%増の4500億円、最終利益が16・2%減の1550億円。

 コロナの飲み薬はアメリカのメルク製、アメリカのファイザー製と合わせた3剤とも国内での処方が伸び悩んでいます。手代木社長は「医療機関で実績を積み重ね、最新の安全性データを提供するなどの活動を地道に続けていくしかない」と語りました。

 ゾコーバは9月末まで全額が公費負担となるものの、特例措置が終わると、窓口で3割負担の場合は治療1回当たり1万5000円超の自己負担となる見通し。手代木社長は「(10月以降の)下期はかなり使用が減る」とし、承認申請済みの韓国と台湾などを念頭に「アジアの市場に期待している」と語りました。

 一方、コロナのワクチンは定期接種での使用を想定しています。手代木社長は「政府が懸命に審査しており、今年の秋ごろまでに提供開始できれば」と期待を示しました。

 2023年5月11日(木)

2023/05/10

🟧3人の親を持つ子供、イギリスで初誕生 難病の遺伝予防へ核移植

 イギリスの日刊紙ガーディアンは9日、母系遺伝性の難病ミトコンドリア病が子供に伝わるのを防ぐ目的で受精卵の「核移植」を行い、遺伝的に3人の親を持つ子供がイギリスで初めて誕生していたと報じました。

 2018年にイギリス政府の研究監視機関「ヒト受精・発生学委員会」(HFEA)が移植を初承認して以降、少なくとも30件が承認され誕生した子は「4人以内」といいます。

 ミトコンドリア病は細胞内小器官「ミトコンドリア」の働きが低下することで、運動障害などを起こす病気。病気を持つ母親の卵子と正常なミトコンドリアを持つ卵子提供者の卵子それぞれに、父親の精子を体外受精させ、病気の母親の受精卵から核を取り出し卵子提供者の受精卵に移植しました。

 移植した受精卵には提供女性のDNAを持ったミトコンドリアがあり、子供は父母とこの女性の計3人の遺伝子を持つことになります。

 イギリスでは2015年に法改正し、世界で初めて核移植を合法化しました。

 文部科学省によると、日本では同様の手法で受精卵をつくる研究を可能にするため、関連指針の改正を進めています。

 2023年5月10日(水)

🟧アサヒ飲料、空気中の二酸化炭素を吸収する自販機を開発 6月から実証実験

 街なかにある自動販売機で気候変動対策の一翼を担おうという取り組みが始まることになりました。大手飲料メーカー「アサヒ飲料」が空気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する機能を備える自販機を新たに開発しました。

 この自販機は、カルシウムなどを使った二酸化炭素の吸収材を機器の中に埋め込み、半径1メートル程度の外気を取り込む機能を備えていて、自販機の稼働に伴う電力消費で排出される二酸化炭素の20%程度の吸収を見込んでいます。

 商品を補充する際に定期的に吸収材を交換することで、1台当たりの年間の二酸化炭素の吸収量は最大で、スギの木およそ20本分に相当する約70キログラムということです。

 開発したアサヒ飲料では、6月から実証実験に入り、この自販機を「二酸化炭素を食べる自販機」としてアピール。関東や関西エリアを中心に、濃度が高いとされる屋内のほか、屋外のさまざまな環境下に約30台を設置します。

 それらの自販機周辺の二酸化炭素計測などを進め、来年以降には既存の自販機にも二酸化炭素吸収材を搭載させて全国で本格展開を目指します。

 また、回収した吸収材に蓄積された二酸化炭素を肥料や建材に活用するパートナー企業や自治体を募集。二酸化炭素を原料とした肥料を利用した場合、一部の植物の生育が促進されるメリットなどを訴求し、パートナーの拡大を図ります。

 飲料メーカー各社の間では、自販機の省エネ化などの取り組みが広がっていますが、アサヒ飲料によりますと、自販機に二酸化炭素を直接吸収する機能を持たせる開発は国内で初めてだということです。

 アサヒ飲料の米女(よねめ)太一社長は、「自動販売機による二酸化炭素の削減と吸収量を高めることで、2030年にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)な自販機の実現を目指したい」と話していました。

 2023年5月10日(水)

🟧中国、新型コロナウイルス感染がなおも局地的・散発的に発生

 中国国務院共同予防・抑制メカニズムは8日に記者会見を開き、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言の終了が発表されたことについて説明を行いました。

 世界保健機関(WHO)がこのほど、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言の終了を発表しました。中国国家衛生健康委員会はこのことを紹介する一方、新型コロナウイルス感染症が世界的な健康上の脅威でなくなったわけではなく、各国は緊急モデルから他の感染症と同じように管理するように移行し、感染状況を緊密に注視して取り組まなければならないとしています。

 現在、新型コロナウイルスは依然として変異を続けており、中国国内ではなお局地的・散発的に発生する状況にあり、各地の医療サービスは通常の秩序を保っているということです。

 中国国家衛生健康委員会はまた、各地の各部門は引き続き新型コロナウイルス感染症を乙類伝染病に分類し、それに従って管理する「乙類乙管」の関係措置を実施し、学校や高齢者向け施設、福利施設などの重点施設を出入りする人を対象にした健康モニタリングを強化し、良好な衛生習慣を維持し、個人個人の感染症対策をしっかりと行うよう求めています。

 2023年5月10日(水)

🟧熱中症、全国で1週間に495人搬送 消防庁、5月から今年初公表

 総務省消防庁は9日、熱中症により1~7日の1週間で救急搬送されたのは全国で495人だったとの速報値を発表しました。熱中症による搬送者数の公表は今年初めて。

 初診時において死亡が確認された事例はありませんでした。初診時の傷病程度は、3週間以上の入院が必要な重症が11人、短期の入院が必要な中等症が128人。65歳以上の高齢者が253人と、全体の51・1%を占めました。

 都道府県別で最多は埼玉県の51人で、東京都32人、愛知県27人と続きました。

 総務省消防庁は毎年5~9月、週単位で搬送者数を公表しています。

 2023年5月10日(水)

🟧五月病、2人に1人以上が経験 会社員ら1276人対象の調査で明らかに

 ソフトバンクの子会社ヘルスケアテクノロジーズ(東京都港区)が行った調査で、会社員や公務員の2人に1人以上が「五月病」を経験していることが明らかになりました。

 五月病は、新年度からおおよそ1カ月が経過して緊張や疲れがピークに達した結果、5月の連休後あたりに心身にさまざまな不調を感じる症状。多くは、憂鬱になる、何となく体調が悪い、会社にゆきたくないなど、軽いうつ的な気分に見舞われます。

 ヘルスケアテクノロジーズは3月、全国の20~50歳代の会社員や公務員として働く男女1276人を対象に「五月病に関する意識調査」を行った結果、55・6%が五月病になったことがあると自覚し、仕事を休んだ経験のある人は46・8%に上りました。

 「あなたは五月病になったことがありますか」という質問に対して、22・8%が「確かにある」、32・8%が「あると思う」と回答し、5割以上の人が五月病になったことがあると自覚していることがわかりました。

 また、「周囲の人が五月病になったことがありますか」という質問に対しては、20・5%が「確かにある」、36・6%が「あると思う」と回答し、周囲に五月病と思われる人がいる人は6割近くに上ることも判明しました。

 さらに、「五月病は深刻な病気だと思いますか」という質問では、14・2%が「とてもそう思う」、46・9%が「ややそう思う」という結果になり、五月病になったことがあると自覚がない人も含めて、6割以上の人が五月病は深刻だと考えていることが判明しました。

 五月病になったことがあると自覚する人に対し、「五月病からの回復に時間を要しましたか」と聞いたところ、17・7%が「とてもそう思う」、43・2%が「ややそう思う」と、6割以上が回復に時間を要したと考えていることがわかりました。

 加えて、「五月病から心身が回復するまでに、どれくらいの時間を要しましたか」という質問には、「1週間程度」が26・3%、「2~3週間程度」が22・1%と1カ月以内に回復する人が多い一方で、2カ月より長期にわたったと答えた人は全体の17・8%に上りました。五月病からの回復に時間がかかったと多くの人が考えており、実際に数カ月にわたって不調が続く人も一定数いることから、五月病は「連休明けの不調」という概念以上に影響を及ぼしている可能性が明らかになりました。

 五月病になったことがあると自覚する人に対し、五月病が原因による休職・退職経験の有無についても聞いたところ、休職に関しては31・4%が、退職に関しては28・6%があると回答しました。

 さらに、20歳代の場合は「五月病が原因で休職に至ったことがある」が39・5%、「五月病が原因で退職に至ったことがある」が39・5%と、他の世代と10%ほど差をつける結果となりました。環境の変化が大きく、プレッシャーも感じやすい若手社員は、五月病の影響をより重く受けやすいと思われます。

 2023年5月10日(水)

2023/05/09

🟧新型コロナ、全国の死者25人、重症者83人 毎日の発表は9日が最後に

 厚生労働省が9日に発表した、全国で新型コロナウイルスに感染して亡くなった人は合わせて25人、重症者は83人となっています。

 亡くなった人を都道府県別にみますと、埼玉県で4人、沖縄県で4人、新潟県で3人、大阪府で2人、東京都で2人、青森県で2人、三重県で1人、北海道で1人、大分県で1人、奈良県で1人、岩手県で1人、熊本県で1人、秋田県で1人、長野県で1人の合わせて25人で、累計で7万4694人となっています。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、9日時点で83人となっています。重症者の数は、8日と比べて3人増えました。

 新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行したことに伴う「全数把握」の終了に合わせて、毎日行われてきた全国の感染者数の発表は8日が最後となり、死亡者と重症者の数については一日遅れで取りまとめられてきたため、9日が最後の発表となりました。

 今後は、感染者数については全国5000の医療機関が1週間分を翌週にまとめて報告する「定点把握」に変わり、厚生労働省の発表は週1回、毎週金曜日に行われ、初回の発表は5月19日に予定されています。

 また、死亡者の数については、今後は「人口動態統計」をもとに動向を把握する方針で、厚労省は死亡者の総数がまとまるのは2カ月後、詳しい死因別の死亡者の数までまとまるのは5カ月後になるとしています。

 一方、医療ひっ迫の状況や重症化の傾向などを把握するため、すべての医療機関からの報告をもとに週1回行っている「入院者」と「重症者」の数の公表は、今後も続けるということです。

 2023年5月9日(火)

🟧マダニ感染症「日本紅斑熱」、福山市の70歳代女性死亡 広島県内で今年初めて

 広島県福山市は8日、市内の70歳代女性がマダニ類が感染源となる「日本紅斑熱」を発症し、今月、死亡したと発表しました。市によると、今年の県内の感染例は9人目で、死亡は初めて。昨年は89人が感染し、2人が死亡しています。 

 福山市保健予防課によると、女性は発熱や発疹、肝機能の異常、呼吸苦などの症状で市内の医療機関に入院。体にマダニにかまれた痕があり、血液などの検査で日本紅斑熱への感染が判明していました。

 マダニは野山や畑、河川敷などに生息していて、病原体「リケッチア」を持つマダニに刺されると、2日から8日の潜伏期間後、頭痛や発熱や頭痛などの症状が出ます。悪化すると、臓器障害や意識障害などを引き起こすことがあります。

 保健予防課は、マダニは春から秋にかけて活動が盛んになるとして、「野外での農作業やレジャーなどの際は長袖長ズボンを着用し、肌の露出を避けてほしい」、「症状が出た場合は近くの医療機関を受診してほしい」と呼び掛けています。

 2023年5月9日(火)

🟧韓国の新たな感染者2万1681人 新型コロナ、1月28日以来の高水準

 韓国の中央防疫対策本部は9日、この日午前0時現在の国内の新型コロナウイルス感染者数は前日午前0時の時点から2万1681人増え、累計3130万7591人になったと発表しました。

 1日当たりの新規感染者数は1月28日(2万3591人)以来101日ぶりの高水準となりました。連休期間に減少した検査件数が前日に急増した影響を考慮しても、新規感染者数の増加傾向が鮮明になっています。

 この日の新規感染者数は1週間前の2日(1万5736人)より5945人、2週間前の4月25日(1万4810人)に比べ6871人、それぞれ多くなっています。

 新規感染者のうち、海外からの入国者は35人でした。

 重症者数は前日から5人増え、142人となっています。新たな死者は14人で、前日に比べ7人多くなっています。死者の累計は3万4548人。

 2023年5月9日(火)

2023/05/08

🟧外務省、新型コロナ危険情報をすべて解除 WHOの緊急事態宣言終了を踏まえ

 外務省は8日、新型コロナウイルスへの対応として、全世界を対象に出していた渡航や滞在に十分な注意を促す「感染症危険情報」(レベル1)を同日付で、すべて解除すると発表しました。世界保健機関(WHO)が5日、新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」宣言を終了したことなどを踏まえ、世界的に感染状況が改善していると判断しました。

 新型コロナに対する感染症危険情報を巡っては、中国・武漢市で感染が拡大していた2020年1月、中国全土を対象に初めて発出。その後、世界各地で感染が広がるにつれ、対象地域の拡大やレベルの引き上げを実施しました。レベル3(渡航中止勧告)の対象が100カ国・地域になった時期もありましたが、外務省は昨年10月、全世界で感染状況が改善方向にあるとして一律でレベル1に引き下げていました。

 2023年5月8日(月)

🟧新型コロナ電話窓口、東京都が「相談センター」に一本化 24時間365日受け付け

 東京都は8日、新型コロナウイルス感染症に関する電話相談を一括で受け付ける「東京都新型コロナ相談センター」を報道公開しました。相談センターは同日に開設し、かかりつけ医がいない人への医療機関の紹介や自宅療養中の健康不安に対する相談に対応します。最大750回線を用意し、24時間365日受け付けます。電話番号は0120・670・440。

 コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行したのを受けた措置で、発熱者に医療機関を案内していた「発熱相談センター」や、自宅療養者の健康観察を担ってきた「自宅療養者フォローアップセンター」、食料の宅配依頼などを受け付けていた「自宅療養サポートセンター」を廃止し、電話窓口を一元化します。配食サービスや健康観察などは終了します。

 相談センターでは、患者以外からの一般的な質問にも応じるといいます。日本語に加えて英語や中国語、韓国語など12の言語に対応します。

 都感染症対策部の柳沼恵美課長は、「不安のある人はたくさんいると思うので、相談したいことがあれば遠慮なく使ってほしい」と述べました。

 2023年5月8日(月)

🟧新型コロナワクチン、今年度の無料接種始まる  高齢者など重症化リスクの高い人が対象

 新型コロナウイルスのワクチン接種について、厚生労働省は、今後も流行を繰り返すことが予想されることから、今年度も無料(全額公費)での接種を継続することにしており、8日から高齢者などを対象にした追加接種が始まりました。

 厚労省は、今年度も新型コロナのワクチンの無料での追加接種を行う方針で、8日から重症化リスクの高い人などへの接種が始まり、東京都港区の集団接種の会場では、午前中から、予約した人たちが接種を受けていました。

 8日からの追加接種の対象となるのは、高齢者や5歳以上の基礎疾患のある人、それに医療従事者や介護従事者などで、オミクロン型の「BA・1」と「BA・5」に対応したワクチンを使用し、8月まで接種が行われます。

 そして、冬の感染拡大に備え、厚労省は、9月から重症化リスクの低い人にも対象を拡大して、無料での追加接種を行うことにしています。

 9月からの接種で使用するワクチンや、詳しいスケジュールなどについては、今後、ウイルスの変化なども考慮して決定することにしています。 

 厚労省は無料で打てる予防接種法の「特例臨時接種」を来年3月まで続けます。来年度以降は対象者から費用の一部徴収が可能な「定期接種」への切り替えも視野に検討を進めます。

 2023年5月8日(月)

🟧全国で新たに9310人感染 新型コロナ、前週比4300人増

 厚生労働省は8日、新型コロナウイルスの新規感染者が全国で9310人確認されたと発表しました。前週の月曜日より約4300人増加しました。

 全国の感染者数について毎日行われてきた厚労省の発表は、5類移行に伴う「全数把握」の終了に合わせて、8日が最後となります。

 国内で感染して亡くなった人は、東京都で4人、北海道で2人、埼玉県で2人、岐阜県で2人、長野県で2人、大分県で1人、宮城県で1人、山梨県で1人の合わせて15人、累計で7万4669人となっています。

 都道府県別の新規感染者数の最多は東京都で1331人。次いで北海道の577人、神奈川県の567人、大阪府の552人、広島県の434人、愛知県の425人、兵庫県の596人、千葉県の354人、埼玉県の350人、新潟県の332人、福岡県の289人と続きました。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、8日時点で80人となっています。重症者の数は、7日と比べて6人増えました。

 一方、北海道は8日、道内で新たに577人が新型コロナウイルスに感染し、感染していた1人が死亡したと発表しました。日別の感染者数は先週の月曜より238人多く、2日続けて前週の同じ曜日を上回りました。

 新規感染者数は道立保健所管内が284人、札幌市が162人、函館市が96人、旭川市が31人、小樽市が4人。

 北海道内の感染者数は延べ136万31373人、死者は計4610人となりました。

 北海道内の新型コロナウイルス感染状況について、毎日の感染者数を記載した記事は、本日が最後になります。道が新規感染者数の発表を週1回とするためです。次回は19日に1週間(8~14日)の感染状況を配信します。

 2023年5月8日(月)

🟧東京都で新たに1331人感染 新型コロナ、4人死亡

 厚生労働省は8日、東京都内で新たに1331人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。1週間前の月曜日より494人増えました。

 1週間平均の新規感染者数は、8日時点で1632・7人で、前の週に比べて107・2%。

 新規感染者1331人を年代別でみると、0歳7人、1~4歳20人、5~9歳18人、10歳代123人、20歳代312人、30歳代220人、40歳代193人、50歳代240人、60~64歳79人、65~69歳27人、70歳代63人、80歳代26人、90歳以上3人。重症化しやすいとされる65歳以上の高齢者は119人でした。

 入院患者は781人で、病床使用率は15・5%。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、7日より2人増えて9人でした。

 一方、感染が確認された4人が死亡しました。

 東京都の累計は感染者438万6904人、死者8126人となりました。

 厚生労働省による毎日の感染者数の発表は、8日で最後となります。これまでは、医療機関や自治体から報告されたすべての感染者数を毎日公表する「全数把握」でしたが、これからは「定点把握」となります。

 東京都も、都内419の医療機関から報告された1週間分の感染者数を翌週にまとめ、集計したデータをもとに、1医療機関当たりの平均や、年代別の割合、保健所別の患者数などを公表することにしています。

 2023年5月8日(月)

2023/05/07

🟧生物に蓄積するプラスチック添加剤2物質を禁止 国際条約会議で合意

 有害化学物質を国際的に規制するストックホルム条約の締約国会議は、ジュネーブで開催中の会合で5日、自動車製造などで使われるプラスチック添加剤2物質について、使用と製造、輸出入を禁止することで合意しました。

 自然環境で分解されにくく、生物に蓄積することを踏まえました。ラットへの投与で肝臓や腎臓に悪影響が生じたとの研究結果などが報告されています。

 プラスチック添加剤は製造から使用、廃棄の各段階で環境中に放出されるとみられるほか、微小なマイクロプラスチックの摂取によっても生物に蓄積します。

 規制が決まったのは、プラスチックが劣化したり変色したりするのを抑える紫外線吸収剤「UVー328」と、電線やケーブルの被覆材などを燃えにくくする難燃剤「デクロランプラス」。自動車、建設機械、農業機械、医療機器、分析機器など、用途を限って一定期間の適用除外が設けられました。

 2023年5月7日(日)

🟧全国で新たに1万4436人感染 新型コロナ、前週比7600人増

 厚生労働省は7日、新型コロナウイルスの新規感染者が全国で1万4436人確認されたと発表しました。前週の日曜日より約7600人増えました。

 また、国内で感染して亡くなった人は、東京都で3人、北海道で1人、島根県で1人、愛媛県で1人、新潟県で1人、栃木県で1人、神奈川県で1人の合わせて9人、累計で7万4654人となっています。

 都道府県別の新規感染者数の最多は東京都で2345人。次いで大阪府の1098人、神奈川県の886人、愛知県の863人、埼玉県の774人、千葉県の709人、福岡県の687人、北海道の658人、兵庫県の423人、新潟県の386人、岐阜県の306人、宮城県の293人、京都府の278人と続きました。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、7日時点で74人となっています。重症者の数は、6日と比べて変わりませんでした。

 一方、北海道は7日、道内で新たに658人が新型コロナウイルスに感染し、感染していた2人が死亡したと発表しました。日別の感染者数は先週の日曜より223人多く、4日ぶりに前週の同じ曜日を上回りました。

 新規感染者数は道立保健所管内が260人、札幌市が204人、函館市が95人、旭川市が81人、小樽市が18人。

 北海道内の感染者数は延べ136万2560人、死者は計4609人となりました。

 2023年5月7日(日)

🟧東京都で新たに2345人感染 新型コロナ、前週比1369人増

 東京都は7日、新型コロナウイルス感染者を都内で新たに2345人確認したと発表しました。前週の同じ曜日から1369人増え、4日ぶりに1週間前を上回りました。

 1週間平均の新規感染者数は、7日時点で1562・1人で、前の週に比べて105・2%。

 新規感染者2345人を年代別でみると、0歳16人、1~4歳30人、5~9歳25人、10歳代197人、20歳代481人、30歳代374人、40歳代344人、50歳代405人、60~64歳142人、65~69歳70人、70歳代146人、80歳代96人、90歳以上19人。重症化しやすいとされる65歳以上の高齢者は331人でした。

 入院患者は767人で、病床使用率は15・3%。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、6日と同じ7人でした。

 一方、感染が確認された3人が死亡しました。

 東京都の累計は感染者438万5573人、死者8124人となりました。

 2023年5月7日(日)

2023/05/06

🟧アメリカCDC所長、6月末退任へ 新型コロナ対策に一区切り

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は5日、新型コロナウイルス対策を主導してきたロシェル・ワレンスキー所長が6月末で退任すると発表しました。世界保健機関(WHO)の「国際的な公衆衛生上の緊急事態」宣言終了に続き、アメリカの公衆衛生上の緊急事態宣言と国家非常事態宣言も5月11日に解除される予定で、新型コロナの対応に一定の区切りがついたと判断したとみられます。

 ワレンスキー所長はジョー・バイデン大統領に宛てた手紙で、「緊急事態の終了は、国や公衆衛生、そして私のCDC所長としての在任期間において、非常に大きな転換を意味する」と記しました。

 ワレンスキー所長はエイズウイルス(HIV)の調査や治療の専門家で、マサチューセッツ総合病院の感染症科の責任者やハーバード大学医学部教授を務めました。2021年1月、バイデン大統領の大統領就任と同時にCDC所長に着任。

 新型コロナの感染拡大が続く中、大統領首席医療顧問だったアンソニー・ファウチ氏やホワイトハウスの調整官らとともに週に何度も記者会見をこなし、ワクチン接種やマスク着用の重要性を訴えてきました。

 バイデン大統領は5日の声明で、「ワレンスキー博士はすべてのアメリカ人の健康に焦点を当てた揺るぎない姿勢で命を救ってきた。緊急の危機の流れを変えるため、最も優れた科学者と公衆衛生の専門家を結集させた」とし、功績をたたえました。CDC所長の後任はまだ発表されていません。

 2023年5月6日(土)

🟧全国で新たに6229人感染 新型コロナ、前週比6800人減

 厚生労働省は6日、新型コロナウイルスの新規感染者が全国で6229人確認されたと発表しました。前の週の土曜日より6853人減りました。ゴールデンウイーク中で検査数が通常より少なくなっているものとみられます。

 また、全国で亡くなった人の報告は12人でした。新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、5日より1人増えて74人でした。

 主な都道府県の新規感染者数は、北海道446人、東京都1062人、愛知県282人、大阪府430人、福岡県202人。

 一方、北海道は6日、道内で新たに446人が新型コロナウイルスに感染し、感染していた1人が死亡したと発表しました。日別の新規感染者数は前週の土曜日より453人少なく、3日連続で前週の同じ曜日を下回りました。

 発表者別の感染者数は道立保健所管内が193人、札幌市が156人、函館市が61人、小樽市が21人、旭川市が15人。死亡したのは札幌市の90歳代の男性。

 北海道内の感染者数は延べ136万1902人、死者は計4607人となりました。

 新たなクラスター(感染者集団)は4件で、釧路管内の医療機関や小樽市の高齢者施設などで5~9人が感染しました。

 2023年5月6日(土)

🟧東京都で新たに1062人が感染 新型コロナ、3人死亡

 厚生労働省は6日、東京都内で新たに1062人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。前週の土曜日より861人減り、3日連続で1週間前を下回りました。

 1週間平均の新規感染者数は、6日時点で1366・6人で、前の週に比べて90・6%。

 新規感染者1062人を年代別でみると、0歳5人、1~4歳5人、5~9歳10人、10歳代102人、20歳代242人、30歳代185人、40歳代148人、50歳代203人、60~64歳59人、65~69歳27人、70歳代46人、80歳代26人、90歳以上4人。重症化しやすいとされる65歳以上の高齢者は103人でした。

 入院患者は776人で、病床使用率は15・4%。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、5日より1人増えて7人でした。

 一方、感染が確認された50歳代、80歳代、90歳代の男性1人ずつ計3人が死亡しました。

 東京都の累計は感染者438万3228人、死者8120人となりました。

 2023年5月6日(土)

🟧WHO、新型コロナ緊急事態宣言を解除

 世界保健機関(WHO)は5日、新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」宣言を解除すると発表しました。

 WHOは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年1月30日、最高レベルの警告である緊急事態を宣言し、これを受けて各国は感染対策やワクチン接種などの対応を強化してきました。

 WHOは4日、専門家による委員会を開き、この緊急事態宣言を解除できるか検討しました。

 テドロス・アダノム事務局長は死亡率が低下し、医療システムへの負担が減少するなど、多くの国で生活が通常に戻っていると指摘し、委員会はこうした現状を踏まえて宣言の終了を勧告したということです。

 これを受けて、テドロス事務局長は会見で「勧告を受け入れ、緊急事態の終了を宣言する」と述べました。一方で、「これは新型コロナがもう世界的な脅威ではないという意味ではない。ウイルスは命を奪い続けている」と強調しました。

 その上で、「各国は緊急態勢から、新型コロナを他の感染症と同様に管理するように移行する時期がきた」と述べ、警戒を解かないよう、呼び掛けました。

 世界でこれまでに確認された新型コロナウイルスによる死者数は700万人近くに上っているものの、テドロス事務局長によると、実数はその約3倍の「少なくとも2000万人」と推定されます。

 3年前の1月30日から約3年3カ月にわたって出されていた緊急事態宣言の終了が決まり、世界の新型コロナ対策は大きな節目を迎えたことになります。

 2023年5月6日(土)

2023/05/05

🟧アメリカ製薬大手イーライ・リリー、アルツハイマー病新薬を日本で申請へ 認知機能の悪化を抑える効果

 アメリカの製薬大手イーライ・リリーは3日、開発中のアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」について、認知機能の悪化を抑える効果を確認したと発表し、年内に日本で承認申請する方針を明らかにしました。アルツハイマー病は患者数が増える一方で、新薬の開発が難航してきました。エーザイとアメリカのバイオジェンが共同開発した「レカネマブ」に続く新薬として注目されています。

 イーライ・リリーが最終の臨床試験(治験)の結果を公表しました。アメリカ食品医薬品局(FDA)には6月末までに申請する方針。新薬の承認は製薬会社の申請後、各国や地域の当局が安全性や有効性を審査して判断します。

 結果の発表を受け、3日のニューヨーク株式市場でイーライ・リリーの株価は前日より6%超値上がりしました。

 イーライ・リリーの発表によると、病気の前段階である軽度認知障害(MCI)を含む早期アルツハイマー病の患者1182人を対象とした治験で、効果のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて、認知機能の悪化を1年半で35%遅らせる効果がありました。同社の広報担当によると、年内に日本でも承認申請をし、2024年にも結果が出ることを予想しています。

 同社の「ドナネマブ」については、薬を少なくとも12カ月使った患者の臨床試験(治験)データが不十分だったとして、FDAが2023年1月に迅速承認プロセスを却下した経緯があります。今回の治験で十分な人数分のデータが集まったとされます。

 イーライ・リリーによると、治験で効果がみられた対象患者は、脳のスキャン画像でアミロイドたんぱくの脳内沈着とタウたんぱくが中間水準であることを示していました。ほかにタウたんぱくが高水準だった552人の患者に実施した試験では、あまり効果がない可能性が高いことが示唆されました。

 これらの両方の患者を合わせた「ドナネマブ」の試験結果で、認知機能と日常生活を送るための活動を測定するためにイーライ・リリーが開発した基準で22%、より一般的な認知症進行の基準では29%、それぞれアルツハイマー病の進行を遅らせることが可能なことを示しました。

 アルツハイマー病協会のマリア・カリーヨ最高科学責任者は、「今回のデータは、これまでのアルツハイマー病治療薬の第3相試験の結果としては最も強力だ」と評価しています。

 認知症薬を巡る競争は激化しています。1月にはエーザイとアメリカのバイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が、FDAの迅速承認プロセスを経て承認されました。両社の治療薬は、症状の進行を27%抑える効果がありました。

 一方で、アルツハイマー病薬を巡っては、副作用も懸念されています。エーザイとバイオジェンの「レカネマブ」の治験では、患者の約13%に脳のはれ、約17%に脳出血の副作用がみられました。それに対し、イーライ・リリーの「ドナネマブ」は患者の約24%に脳のはれ、31・4%に脳出血がみられました。

 2023年5月5日(金)

🟧全国で新たに5807人感染 新型コロナ、19人死亡

 厚生労働省によりますと、5日に発表した国内の新たな感染者は空港の検疫などを含め5807人となっています。先週の金曜日(4月28日)と比べて5645人減りました。ゴールデンウイーク中で検査数が通常より少なくなっているものとみられます。

 また、国内で感染して亡くなった人は、愛知県で3人、東京都で3人、大阪府で2人、長野県で2人、三重県で1人、京都府で1人、北海道で1人、千葉県で1人、岡山県で1人、岩手県で1人、徳島県で1人、栃木県で1人、神奈川県で1人の合わせて19人、累計で7万4633人となっています。

 都道府県別の新規感染者数の最多は東京都で906人。次いで神奈川県の542人、大阪府の442人、北海道の354人、愛知県の252人、埼玉県の241人、福岡県の207人、千葉県の194人、沖縄県の169人、広島県の167人、長野県の148人、新潟県の146人と続きました。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、5日時点で73人となっています。重症者の数は、4日と比べて2人増えました。

 一方、北海道は5日、道内で新たに354人が新型コロナウイルスに感染し、死者はいなかったと発表しました。日別の感染者数は先週の金曜より532人少なく、2日連続で前週の同じ曜日を下回りました。

 新規感染者数は道立保健所管内が162人、札幌市が101人、函館市が65人、小樽市が16人、旭川市が10人。

 北海道内の感染者数は延べ136万1456人となりました。

 2023年5月5日(金)

🟧東京都で新たに906人感染 新型コロナ、3人死亡

 厚生労働省は5日、東京都内で新たに906人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。1週間前の金曜日より707人減りました。ゴールデンウイーク中で検査数が通常より少なくなっているものとみられます。

 1週間平均の新規感染者数は、5日時点で1488・4人で、前の週に比べて103・0%。

 新規感染者906人を年代別でみると、0歳1人、1~4歳16人、5~9歳16人、10歳代87人、20歳代193人、30歳代165人、40歳代134人、50歳代141人、60~64歳55人、65~69歳20人、70歳代48人、80歳代24人、90歳以上6人。重症化しやすいとされる65歳以上の高齢者は98人でした。

 入院患者は765人で、病床使用率は15・2%。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、4日と同じ6人でした。

 一方、感染が確認された3人が死亡しました。

 東京都の累計は感染者438万2166人、死者8117人となりました。

 2023年5月5日(金)

🟧うつ病などの労災認定基準にカスタマーハラスメントなど追加へ 厚労省

 仕事が原因でうつ病などを発症した場合の労災の認定基準について、国は客や取引先からの迷惑行為である「カスタマーハラスメント」や「リスクを伴う感染症への対応」も心理的な負荷が大きいとして、労災の判断に際して考慮すべき類型に追加する方針です。

 仕事が原因でうつ病などの精神障害を発症したとして、労災が申請された場合に備えて、厚生労働省は心理的な負荷が大きい業務などを類型化したリストを作っており、これに該当するかを考慮して労災かどうかを判断しています。

 厚生労働省は、医師や専門家などで作る検討会で進めている労災の認定基準の見直し作業に合わせて、このリストを更新する方針です。

 この中では、顧客や取引先から商品やサービスを提供している企業の従業員に対してのクレームや迷惑行為などの「カスタマーハラスメント」のほか、「リスクを伴う感染症への対応」や「有害物質を取り扱う業務」などを新たな類型として追加することにしています。

 カスタマーハラスメントに関するトラブルが頻発していることや、感染の不安を抱えながら新型コロナの対応に当たった人が多かったことなど、最新の社会情勢や医学的知見を踏まえた対応で、労災を申請する人にとって自分が対象かどうかを確認しやすくなり、労災認定の作業の迅速化も期待されるということです。

 検討会ではこうした内容を報告書としてまとめる予定で、厚労省は報告書を踏まえて、認定基準を改正することにしています。

 2023年5月5日(金)

2023/05/04

🟧新型コロナの2020年1月以来の「緊急事態」宣言の解除検討へ WHO

 世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて出している「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言について、4日、専門家による委員会を開き、解除できるかどうか検討することにしています。

 WHOは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年1月「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

 「緊急事態」の宣言には各国で対策の強化を促す意義があり、WHOはその後、各国に対し、感染拡大を防ぐための対策をとることや、ワクチンや治療法の開発を促進し、ワクチン接種を進めること、それに変異ウイルスの監視体制を強めることなどを求め、国際的な枠組みで途上国に対するワクチンや治療薬の供給などを進めてきました。

 WHOでは、この宣言を解除できるかどうか、定期的に検討しており、4日、各国の専門家や保健当局の担当者による委員会を開き、宣言の解除について議論することになっています。前回、1月の委員会では、変異ウイルスへの懸念などから、宣言の継続が決まりました。

 WHOによりますと、今年4月26日までで世界の累計感染者数は約7億6400万人、約690万人が亡くなった一方で、ワクチンの接種回数は4月24日までで133億4000万回に上ります。新型コロナによる世界の死者数は、今年初め、中国での感染の急拡大を受けて一時増加し、その後は減少を続けていますが、過去4週間の死者数は、なおも1万人を超えているということです。

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は4月26日の定例会見で、「今年中に緊急事態宣言を解除することに希望を持っているが、ウイルスはまだそこにある」と述べて、警戒感を示しています。

 各国で感染対策が緩和され、新型コロナが存在することを前提とした対応が進められる中、議論の行方が注目されます。

 2023年5月4日(木)

🟧アメリカのイーライ・リリーが開発中の認知症薬、病気の進行抑制に効果 アメリカや日本などの規制当局に承認申請へ

 アメリカの医薬品大手イーライ・リリーは3日、開発中のアルツハイマー病薬「ドナネマブ」について、症状の悪化スピードを遅らせる効果があったことを臨床試験(治験)で証明できたと発表しました。6月末までにアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認に向けた申請をします。

 イーライ・リリーの発表によると、アルツハイマー病初期段階の患者1182人を対象とした治験で、効果のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて、認知機能の低下を1年半で35%遅らせる効果がありました。同社の広報担当によると、年内に日本でも承認申請をし、2024年にも結果が出ることを予想しています。

 発表を受けて3日のアメリカ株式市場では、イーライ・リリーの株価は一時5%上昇しました。

 同社の「ドナネマブ」については、薬を少なくとも12カ月使った患者の臨床試験(治験)データが不十分だったとして、FDAが2023年1月に迅速承認プロセスを却下した経緯があります。今回の治験で十分な人数分のデータが集まったとされます。

 イーライ・リリーによると、治験で効果がみられた対象患者は、脳のスキャン画像でアミロイドたんぱくの脳内沈着とタウたんぱくが中間水準であることを示していました。ほかにタウたんぱくが高水準だった552人の患者に実施した試験では、あまり効果がない可能性が高いことが示唆されました。

 これらの両方の患者を合わせた「ドナネマブ」の試験結果で、認知機能と日常生活を送るための活動を測定するためにイーライ・リリーが開発した基準で22%、より一般的な認知症進行の基準では29%、それぞれアルツハイマー病の進行を遅らせることが可能なことを示しました。

 アルツハイマー病協会のマリア・カリーヨ最高科学責任者は、「今回のデータは、これまでのアルツハイマー病治療薬の第3相試験の結果としては最も強力だ」と評価しています。

 認知症薬を巡る競争は激化しています。1月にはエーザイとアメリカのバイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が、FDAの迅速承認プロセスを経て承認されました。両社の治療薬は、症状の進行を27%抑える効果がありました。

 一方で、アルツハイマー病薬を巡っては、副作用も懸念されています。エーザイとバイオジェンの「レカネマブ」の治験では、患者の約13%に脳のはれ、約17%に脳出血の副作用がみられました。それに対し、イーライ・リリーの「ドナネマブ」は患者の約24%に脳のはれ、31・4%に脳出血がみられました。

 2023年5月4日(木)

🟧アメリカで高齢者向けRSウイルス感染症ワクチン承認 世界初、日本でも申請

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は3日、発熱やせきなど風邪に似た症状や肺炎を引き起こすRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染症に対し、イギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインが開発したワクチンを承認したと発表しました。対象は60歳以上の高齢者。

 グラクソ・スミスクラインによると、高齢の世代を対象としたRSウイルス感染症ワクチンの承認は世界初。今年冬の流行シーズンに間に合うよう供給します。日本でも承認申請しています。

 FDAによると、約1万2500人がワクチンの接種を受けた臨床試験で、重い症状を防ぐ効果や発症を防ぐ効果が確認できたとしています。

 一方、接種を受けた中の10人に不整脈の一つ「心房細動」が確認されたということで、グラクソ・スミスクラインが今後、調査を続けるということです。

 FDAは「RSウイルス感染症は、心臓や肺に持病がある人や免疫が弱い高齢者にとって特にリスクが高い病気で、ワクチンの承認は命を脅かす病気を防ぐという観点から重要な成果だ」としています。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は6月にワクチン接種について議論する諮問委員会を開催する予定で、これを踏まえてCDCが推奨すれば接種を始められます。

 RSウイルス感染症ワクチンを巡る競争は、この一年で激化しました。グラクソ・スミスクライン以外にアメリカのファイザーやモデルナもFDA承認を目指しており、ファイザーも承認についての結果が5月中に出る見通しです。モデルナのポール・バートン最高医療責任者(CMO)はFDAの承認が下りるのは「2023年後半か2024年初頭を見込んでいる」と、1月に明らかにしていました。

 アメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の推定によると、アメリカではRSウイルス感染症が原因で、年間に約1万4000人の65歳以上の高齢者が死亡しています。世界では毎年6400万人が感染し、死亡者は16万人に上ります。

 2023年5月4日(木)

🟧東京都で新たに994人感染 新型コロナ、前週より669人減

 厚生労働省は4日、東京都内で新たに994人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。1週間前の木曜日より669人減りました。

 1週間平均の新規感染者数は、4日時点で1589・4人で、前の週に比べて111・9%。

 新規感染者994人を年代別でみると、0歳8人、1~4歳6人、5~9歳14人、10歳代87人、20歳代196人、30歳代194人、40歳代153人、50歳代160人、60~64歳57人、65~69歳31人、70歳代44人、80歳代36人、90歳以上8人。重症化しやすいとされる65歳以上の高齢者は119人でした。

 入院しているのは761人で、このうち人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、3日と同じ6人でした。

 重症者用の病床使用率は3日と変わらず5・7%、全体の病床使用率は0・1ポイント下がって15・1%となりました。

 一方、感染が確認された2人が死亡しました。

 東京都の累計は感染者438万1260人、死者8113人となりました。

 2023年5月4日(木)

🟧全国で新たに7343人感染 新型コロナ、前週より4500人減

 厚生労働省は4日、新型コロナウイルスの新規感染者が全国で7343人確認されたと発表しました。前週の木曜日より約4500人減りました。

 また、国内で感染して亡くなった人は、大阪府で3人、愛知県で3人、大分県で2人、愛媛県で2人、東京都で2人、山口県で1人、山梨県で1人、徳島県で1人、滋賀県で1人、石川県で1人、神奈川県で1人の合わせて18人、累計で7万4614人となっています。

 都道府県別の新規感染者数の最多は東京都で994人。次いで神奈川県の591人、大阪府の500人、北海道の474人、広島県の424人、兵庫県の357人、茨城県の249人、長野県の243人、埼玉県の236人、千葉県の234人、愛知県の221人、静岡県の207人と続きました。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、4日時点で71人となっています。重症者の数は、3日と比べて変わりませんでした。

 一方、北海道は4日、道内で新たに474人が新型コロナウイルスに感染し、旭川市で1人が死亡したと発表しました。日別の新規感染者数は前週の木曜日より391人少なく、4日ぶりに前週の同じ曜日を下回りました。

 道内で発表された新規感染者数は、道が207人、札幌市が121人、函館市が101人、旭川市が33人、小樽市が12人の合わせて474人です。

 このうち道が発表した感染者数を医療機関の所在地別にみますと、釧路地方が35人、石狩地方が26人、渡島地方が16人、オホーツク地方が14人、胆振(いぶり)地方が13人、後志地方が11人、空知地方が7人、十勝地方が5人、日高地方が2人、根室地方が1人、それに道の陽性者登録センターが77人となっています。

 これで道内の感染者は、札幌市の延べ56万6388人を含む、延べ136万1102人となりました。亡くなった人は4606人となっています。

 2023年5月4日(木)

2023/05/03

🟧日本のコロナ関連の論文数、G7最低の世界14位 ワクチンや治療薬開発の遅れに影響か

 新型コロナウイルスの研究で、日本の研究者が2020年~今年4月に発表した論文の数は世界14位と、先進7カ国(G7)の中で最も少なかったことが、科学技術振興機構の辻真博フェローの調査で明らかになりました。アメリカやイギリスなどに比べて研究活動が低調だったことが、ワクチンや治療薬の開発の遅れにつながったとみられます。

 辻フェローが、国際的な科学論文の検索・分析が可能な学術出版大手エルゼビアのデータベースでコロナ関連の論文数を調べたところ、2020年~今年4月に世界で発表された約45万本中、日本から発表されたのは1万476本で、国・地域別のシェア(占有率)は2・28%と世界14位にとどまりました。

 国別で最も多かったのがアメリカの10万8393本(占有率23・64%)で、イギリスの4万3288本(同9・44%)、中国の4万1833本(同9・12%)が続きました。イタリア、ドイツ、フランスのほか、コロナの感染者数や死者数がより少なかったカナダも、日本の論文数を上回っていました。

 シェアの年別推移を分析すると、日本はコロナ禍初期の出遅れが顕著で、2020年は16位でした。その後、徐々に順位を上げ、2021年は15位、2022年は13位、今年1~4月は10位となったものの3%にとどまっています。

 一方、コロナ以外の医学分野の論文数を調べてみると、2020~2023年の日本の順位は、「がん」3位、「脳神経」5位、「免疫」6位と軒並み上位で、世界トップレベルを維持していました。

 日本のコロナ研究の低調ぶりについて、辻フェローは「日本はコロナ禍前、米欧のように感染症の脅威に直接さらされてこなかったため、感染症の研究者が少なく、研究環境も十分整備されていなかった」と話しています。

 5月8日には、新型コロナの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられます。しかし、辻フェローは「新興感染症による将来のパンデミックに備え、5類引き下げ後も感染症の研究は継続する必要がある」と訴えています。

 2023年5月3日(水)

🟧オスのマウスのiPS細胞で卵子作製、子供も誕生 大阪大など世界初

 オスのマウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から卵子を作り、別のマウスの精子と受精させて子供を誕生させることに、大阪大学の林克彦教授らの研究チームが成功しました。哺乳類のオスの細胞から卵子を作製したのは世界初で、絶滅が心配される動物の保全などに役立てたいとしています。

 研究成果の概要は2日までに、イギリスの科学誌「ネイチャー」に掲載されました。

 マウスや人の性別はXとYの性染色体の組み合わせで決まり、「XY」なら雄、「XX」なら雌になります。生殖遺伝学が専門の林教授らは、加齢によってY染色体が消え、X1本だけの細胞があることに着目。オスのマウスから作製したiPS細胞を数代にわたって培養し、Y染色体のない細胞を作った上で、特殊な化合物を使って「XX」の細胞を作り出しました。

 これを卵子に育てて別のオスの精子と体外受精させ、計630個をメスの子宮に移植。7匹の子供が誕生し、すべての子が成長することも確認できました。

 この技術を活用するとX染色体を増やすことが可能となり、林教授は「(女性のX染色体が欠けて発症する)ターナー症候群などの治療法開発に役立つのではないか」と説明しました。

 ただ、人の誕生に応用するには課題が多く、iPS細胞から人の卵子を作るには技術的に10年程度かかると見込まれるだけでなく、倫理的な議論が欠かせません。林教授は「技術の安全性を調べるのは我々の責任だが、どう使うかは社会に決めてもらうしかない」と話しています。

 研究チームでは、アフリカ中部に生息してきたものの、密漁や環境破壊によりケニアの施設で保護されているメス2頭しか生き残っていないキタシロサイのiPS細胞から卵子や精子のもとになる細胞を作る研究も進めていて、今回の成果を活用したいとしています。

 2023年5月3日(水)

🟧全国で新たに1万6631人感染 新型コロナ、前週比3400人増

 厚生労働省は3日、新型コロナウイルスの新規感染者が全国で1万6631人確認されたと発表しました。前週の水曜日より約3400人増えました。

 また、国内で感染して亡くなった人は、北海道で3人、埼玉県で2人、大阪府で2人、東京都で2人、神奈川県で2人、福島県で2人、茨城県で2人、静岡県で2人、三重県で1人、兵庫県で1人、和歌山県で1人、大分県で1人、富山県で1人、山形県で1人、岐阜県で1人、広島県で1人、愛媛県で1人、愛知県で1人の合わせて27人、累計で7万4596人となっています。

 都道府県別の新規感染者数の最多は東京都で2187人。次いで大阪府の1282人、北海道の1188人、神奈川県の975人、埼玉県の830人、愛知県の805人、千葉県の700人、兵庫県の659人、福岡県の650人、広島県の502人、長野県の439人、新潟県の432人と続きました。

 新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、3日時点で71人となっています。重症者の数は、2日と比べて7人増えました。

 一方、北海道は3日、道内で新たに1188人が新型コロナウイルスに感染し、死者はいなかったと発表。前週の水曜より167人多く、3日連続で前週の同じ曜日を上回りました。

 発表者別の感染者数は道立保健所管内が651人、札幌市が301人、旭川市が82人、函館市が129人、小樽市が25人。

 北海道内の感染者数は延べ136万628人となりました。死者は計4605人。

 2023年5月3日(水)

🟧東京都で新たに2187人感染 新型コロナ、3日連続で1週間前を上回る

 東京都は3日、新型コロナウイルスの感染者を都内で新たに2187人確認したと発表しました。前週の同じ曜日から442人増え、3日連続で1週間前を上回りました。

 1週間平均の新規感染者数は、3日時点で1685・0人で、前の週に比べて121・2%。

 新規感染者2187人年代別でみると、0歳15人、1~4歳18人、5~9歳39人、10歳代215人、20歳代412人、30歳代344人、40歳代335人、50歳代351人、60~64歳145人、65~69歳69人、70歳代140人、80歳代76人、90歳以上28人。重症化しやすいとされる65歳以上の高齢者は313人でした。

 入院患者は764人で、病床使用率は15・2%。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、2日より1人減って6人でした。

 一方、感染が確認された60歳代女性と80歳代男性の2人が死亡しました。

 東京都の累計は感染者438万266人、死者8111人となりました。

 2023年5月3日(水)

🟧マダニが媒介するSFTS、宮崎県の感染者計100人に 全国の自治体で初

 マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の宮崎県の発生報告者数が、統計を取り始めた2013年以降、全国の自治体で初めて100人になりました。感染者100人のうち、年齢別では70歳代が最多の38人で、市町村別では宮崎市が25人と最も多くなっています。

 ゴールデンウイーク期間中、キャンプやハイキングなど野外活動が増えることから、宮崎県は「5月の感染が最も多い。肌の露出をできる限り避け、感染予防に努めてほしい」と注意を呼び掛けています。

 一方、宮崎市にある宮崎大学の産業動物防疫リサーチセンターは2日、マダニが媒介するSFTSにかかったペットが確認されたのが4月だけで5例と、宮崎県内で急増していると発表しました。

 宮崎大学の産業動物防疫リサーチセンターでは、獣医師からの依頼を受けてペットのネコやイヌのウイルス検査を行っています。

 宮崎県内では4月、SFTSと診断されたネコが5匹確認されたということです。見付かったのは、宮崎市で3匹、都城市と川南町で1匹ずつです。

 これまで県内で1カ月に見付かるのは多くて1匹ほどだったため、大学はウイルスを保有するマダニが増えているのではないかとみています。

 SFTSは人と動物に共通した感染症で、人が感染した場合には発熱や下痢などを引き起こし、最悪、死に至ることもあります。

 西日本を中心に毎年70人以上の発症が報告され、宮崎県は患者の発生が特に多い地域だということです。

 大学はペットの感染を防ぐには、虫除け剤が入ったスプレーの使用や、定期的なブラッシング、屋内での飼育が有効だとしています。

 産業動物防疫リサーチセンターの岡林環樹教授は、「ネコの感染は4月に多いが、翌月には人への感染が増える傾向があるので、飼い主はペットから感染しないよう注意してほしい」と呼び掛けています。

 宮崎県によりますと、県内では、2013年からの10年間に100人のSFTS患者が報告され、このうち26人が亡くなったということです。

 感染したと推定される場所は県北部から南部まで広く分布しているため、県では全域で注意が必要だと指摘しています。

 また、農作業や山林での作業中に感染したとみられるケースが多い一方、庭仕事や自宅周辺の散歩の最中での感染が疑われる事例もあるということです。

 県は、草むらややぶなどマダニがいそうな場所に立ち入る際には、かまれないよう長袖、長ズボン、それに足を完全に覆う靴を着用して肌の露出を少なくすることを呼び掛けています。

 2023年5月3日(水)

🟧RSウイルス感染症が「流行入り」 静岡県が注意呼び掛け

 静岡県は26日、直近1週間(15~21日)のデータから「RSウイルス感染症が流行入りしている」と発表しました。定点医療機関となっている小児科1カ所当たりの患者数は1・64人で、県が流行入りの目安としている「1人」を大きく上回りました。前週の0・9人よりも8割増加し、急拡大が懸...