2023/05/27

🟧目の難病の遺伝子治療薬、 厚労省の専門家部会が承認を了承 アメリカでは1億円超、国内価格は未定

 アメリカでは1億円を超える価格が付いている遺伝子治療薬が、日本で承認される見通しになりました。遺伝性の視覚障害に対する薬で、厚生労働省の専門家部会が26日、有効性が期待され、安全性にも問題がないと判断されたなどとして、承認を了承しました。正式に承認されれば、目の病気では国内初の遺伝子治療薬となります。

 この薬は、製薬大手ノバルティスファーマが製造販売する「ルクスターナ注」。アメリカでの価格は両目で計85万ドル(約1億2000万円)で、同国の最も高額な薬の1つになっています。

 対象は、「RPE65」という遺伝子の異常で生じる「遺伝性網膜ジストロフィー」の患者。眼球の奥にある網膜で光を感じる仕組みがうまく働かなくなる難病で、治療法がありませんでした。はっきりした推計はないものの、RPE65に異常のある患者数は少ないとされます。また、病状が進んで光を感じる細胞が失われた患者には効果が期待できず、使える患者はさらに限定されるとみられます。

 両目の網膜下に1回ずつ注射して、正常なRPE65遺伝子を患者の網膜の細胞に入れ、光を感じる仕組みが働くようにします。遺伝子を網膜の細胞まで届ける「運び役」として、安全性の高いアデノ随伴ウイルス(AAV)を使います。アメリカでは2017年、ヨーロッパでは2018年に承認され、現在は40以上の国や地域で承認されています

 厚生労働省によりますと、国内で行われた治験でも投与を受けたあと、患者はより暗い場所でも光を感じ取り歩けるようになったと報告されるなど、有効性が期待され、安全性にも問題がないと判断されたことなどから、26日、専門家による部会で使用の承認が了承されました。

 遺伝子治療薬は製造工程が複雑で、品質管理も困難。研究や開発にコストがかかるため、高額になります。国内では現在、3種類の遺伝子治療薬が承認され、2020年に承認された、筋肉が徐々に委縮する「脊髄(せきずい)性委縮症」に対する「ゾルゲンスマ」は、約1億6700万円の価格が付きました。

 ルクスターナ注の国内価格は今後決まります。欧米のように高額になるとみられるものの、国の高額療養費制度などが使えれば、患者負担は抑えられます。

 2023年5月27日(土)

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