2024/02/29

🟧花王とアース、東南アジアで蚊よけ殺虫剤を販売へ デング熱感染防止

 花王とアース製薬は29日、東南アジア向けに蚊よけの殺虫剤を共同で商品化したと発表しました。花王独自の界面活性剤の技術を活用し、蚊の羽の表面をぬらして飛べなくする製品を開発しました。まずタイで7月から販売します。蚊が媒介するデング熱の感染拡大の防止につなげます。

 商品名は「アース モスシューター」。花王が開発した特殊な界面活性剤は、水をはじきやすい蚊の羽の表面をぬらすことができるといいます。最終的に「気門」と呼ばれる酸素を取り込む体の表面の穴を液剤で覆い、窒息させることで駆除します。

 花王のタイの工場で製造し、主にアース製薬の持つ販路を通じて、スーパーや個人経営の商店など5万店で販売し、年間数億円の売上高を目指します。販売状況を見ながら段階的に取扱店舗や商品数を増やすほか、周辺国での販売も検討します。

 東南アジアでは温暖化の影響もあり、重症化すると死亡する恐れもあるデング熱の感染が急速に拡大しています。世界保健機関(WHO)の推計によると、世界で年間3億9000万人が感染しており、タイやベトナム、マレーシアの感染者は2023年に前年の数倍に増えたもようです。

 花王とアース製薬は、入浴剤やトイレ用洗剤などでは競合するライバル。花王の長谷部佳宏社長は29日の発表会で、「自社だけでの開発も検討したが、少しでも早く商品を出すために虫の研究に強いアース製薬と組むことにした」と説明しました。花王は2023年12月期まで5期連続で最終減益となりました。独自技術を生かした商品の開発に力を入れます。

 レモングラス由来の殺虫成分を使ったのも新商品の特徴です。化学合成の殺虫成分の健康への影響を懸念して、東南アジアでは殺虫剤の使用を控える消費者もいるといいます。

 アース製薬の川端克宜社長は、「小さな子を持つ家庭など化学成分を使わない殺虫剤へのニーズは高い」と話しています。タイは同社にとって東南アジアでの主戦場で、2023年の売上高は51億円、殺虫剤のシェアは2割弱の2位です。

 デング熱対策では日本企業が存在感を示しており、武田薬品工業はインドでワクチン製造を始めます。

 2024年2月29日(木)

2024/02/28

🟧高病原性鳥インフルエンザ、周辺の島に続けて南極大陸で初検出 南アメリカから渡り鳥が持ち込んだか

 イギリス南極研究所(BAS)は23日、南極地域で渡り鳥の死骸から高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が初めて検出されたと明らかにしました。ペンギンなど在来種への影響が懸念されます。

 BASは、南極大陸の北に位置するイギリス領サウスジョージア・サウスサンドイッチ諸島のバード島で、ミナミオオトウゾクカモメの死骸から検体を採取。イギリスに検査のため送った結果、陽性だったといいます。

 鳥インフルエンザの感染が拡大している南アメリカから戻ってきた渡り鳥が、ウイルスを持ち込んだ可能性が高いとしています。

 鳥インフルエンザが専門のオーストラリア・メルボルン大学のミシェル・ウィレ氏は、南極地域への感染拡大は「衝撃的な知らせ」だと述べました。

 同氏はX(旧ツイッター)に、「状況は急速に変わる恐れがある」と投稿しました。

 専門家らは、史上最悪の被害をもたらしているHPAIが、多くの鳥類の主要繁殖地となっている南極に到達するとの懸念を示していました。

 イギリス動植物衛生庁のウイルス部門責任者、イアン・ブラウン氏は先週、渡り鳥が南アメリカから南極周辺の島々へ、それから南極大陸へウイルスを広げる恐れがあると警告しました。

 ブラウン氏は報道陣に対し、ペンギンなど南極固有の鳥への影響が現実味を帯びる可能性があると指摘していました。

 一方、スペインの研究機関が25日に公表した報告書によると、南極にあるアルゼンチンの基地付近で見付かった複数のトウゾクカモメの死骸を検査したところ、HPAIが確認されました。これまで南極周辺の島でカモメなどから検出されていましたが、南極大陸で確認されるのは初めて。

 研究機関は、HPAIが「他の大陸から距離がある南極に到達したことを初めて示した」としています。

 2024年2月28日(水)

2024/02/27

🟧2023年出生数、過去最少75万8631人 人口の減少幅は初の80万人超

 厚生労働省は27日、2023年の出生数(速報値)が前年比5・1%減の75万8631人だったと発表しました。8年連続で減少し、過去最少となりました。外国人を含む値で、今後発表する日本人だけの出生数は70万人台前半への落ち込みが確実な情勢です。人口の減少幅は初めて80万人を超え、国力低下に歯止めがかかっていません。

 出生数は、初めて80万人を割った2022年からさらに減りました。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2023年の出生数は76・2万人と見込まれていたものの、想定より早く少子化が進んでいます。推計では、2024年に出生数が一時増加に転じ、76万人を切るのは2035年と予想していました。

 婚姻数は48万9281組で戦後初めて50万組を割り、前年から3万組以上減少しました。新型コロナウイルスの影響で減少したまま、回復していません。2022年は微増でしたが、再び大幅な減少に転じました。婚姻が増えなければ、出生数増加への反転も見通せません。

 離婚数は2・6%増の18万7798組でした。2020年に20万人を切り減少が続いていたものの、4年ぶりに増加に転じました。

 コロナ禍を経て人口減少は加速しています。自然減は83万1872人で、減少幅は4万9567人拡大しました。2020年には51万人程度でした。2024年には人口の半数以上が50歳を超えると見込まれています。現役世代がますます減る中、経済や社会保障の持続性が懸念されます。

 死亡者数は159万503人で前年から8470人増え、過去最多でした。高齢化を背景に3年連続で増加し、出生数の2倍以上となりました。推計値を10万人上回っています。

 2024年2月27日(火)

🟧千葉県の出生数が過去最少の3万6779人 婚姻数も減少し「静かなる有事」が加速

 厚生労働省が27日に公表した2023年1年間の人口動態統計(外国人も含む)の速報値で、千葉県内で生まれた赤ちゃんの数(出生数)は3万6779人で、記録が残る1947年以来、過去最少となりました。前年(確定値)の3万6966人よりも187人減りました。「静かなる有事」(内閣官房幹部)である少子化が加速している実態が浮き彫りになりました。

 死亡数は7万3721人で、前年よりも1463人増えました。出生数と差し引きした自然減は3万6942人でした。

 非婚化も進み、出生数を左右する婚姻数は2万3203組で、前年から1621組減りました。

 出生数の年別の推移をみると、第2次ベビーブームさなかの1973年に8万2960人とピークになって以来、なだらかに減少傾向が続きました。1989年に平成に入ると、5万人台前半でほぼ推移し、2012年には5万人を、2021年には4万人を割りました。

 このまま将来の社会の担い手が減り続ければ、千葉県にとどまらず、国全体の活力が損なわれます。

 政府は「次元の異なる少子化対策」を打ち出し、今国会には児童手当の拡充などを盛り込んだ関連法案を提出しています。

 県も現在、2024年度から4カ年の地方創生総合戦略の改定作業を進めています。ここで今後の人口ビジョンを示し、子供を育て、はぐぐむための方向性を示します。

 2024年2月27日(火)

2024/02/26

🟧インフルエンザ患者数、1カ月半ぶりに減少 B型が最多で42%

 全国の医療機関から報告された季節性インフルエンザの患者数は、2月12日から18日までの1週間で1医療機関当たり20・64人と、前の週より3・29人減りました。前週比0・86倍で、1月初旬以来約1カ月半ぶりに減少しました。

 国立感染症研究所などによりますと、2月12日から18日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週より1万5820人少ない10万1832人だったということです。

 データを基に推計されるこの1週間の全国の患者数は、約63万3000人となり、昨年9月4日以降の累積の患者数は、約1497万1000人と推計されています。

 都道府県ごとでみてみますと、1医療機関当たりの患者数は、多かったのは福岡県が37・07人、大分県が30・47人、熊本県が29・91人、埼玉県が29・00人、沖縄県が28・33人、少なかったのは秋田県が5・45人、島根県が6・47人、鳥取県が9・48人などとなっていて、39の都府県で前の週よりも減少しましたが、引き続き患者数が多い地域もあります。

 直近5週間で検出されたウイルスはB型が最多で、42%でした。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「例年のシーズンのように『A型』が先に広がって、『B型』に置き換わり、減少傾向に転じていく流れをたどっているが、今シーズンは、新型コロナウイルスとの同時流行となったこともあり、このまま推移していくかはまだわからない。入院患者も多い状況で、今後、患者数がどう推移するか、少なくとも数週間は注意する必要がある」と話していました。

 2024年2月26日(月)

🟧気象庁長期予報 、「この夏は顕著な高温になる可能性も」

 今年の春と夏の天候について、気象庁が予報を発表しました。春は気温が平年並みか平年より高くなり、夏は昨年に続き厳しい暑さとなる可能性があるということです。

 気象庁が20日発表した長期予報によりますと、3月から5月までの3カ月は暖かい空気に覆われやすいということです。

 このため、平均気温は、北日本で「ほぼ平年並み」、東日本と西日本で「平年並みか高い」、沖縄・奄美で「高い」と予想されています。

 また、6月から8月の夏の時期は太平洋高気圧が強く楳張り出し、この高気圧の縁を回って暖かい空気が流れ込みやすくなる見込みで、すべての地域で「高い」と予想されています。 降水量については、3月から5月の3カ月は、北日本と東日本、西日本で「ほぼ平年並み」、沖縄・奄美で「平年並みか多い」見込みです。

 6月から8月にかけては、すべての地域で「ほぼ平年並み」と予想され、梅雨の時期は、西日本の日本海側と東日本、北日本で「ほぼ平年並み」、西日本の太平洋側と沖縄・奄美で「平年並みか多い」見込みです。

 気象庁異常気象情報センターの楳田貴郁所長は、「熱帯の大気や海流の動きからこの夏の高温が予測されている。さらに、昨年のように上空の偏西風が大きく蛇行したり、太平洋高気圧が極端に強まったりすると、顕著な高温になる可能性がある」と話しています。

 2024年2月26日(月)

🟧ドラッグストアのウエルシアとツルハ、イオン主導で経営統合を検討 売上高2兆円超に

 流通大手のイオンは、子会社のドラッグストア最大手「ウエルシアホールディングス」と、株式の追加取得を検討しているドラッグストア大手「ツルハホールディングス」の経営統合について、検討していることを明らかにしました。

 イオンは、札幌市に本社があるツルハホールディングスの株式を香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」から追加で取得する交渉を進めており、ファンド側からすべての株式を取得した場合には合わせて26%を超える大株主となり、持ち分法適用会社としてツルハが傘下に入る可能性もあります。

 この交渉と並行する形で、イオンは、子会社のウエルシアホールディングスと、ツルハの経営統合について、検討していることを明らかにし、両社もそれぞれコメントを発表して、経営統合の可能性について検討しているとしています。

 統合が実現した場合には、売り上げが2兆円規模となる巨大ドラッグストアが誕生することになります。

 イオンは、「経営統合について決定された事実はないが、決定され次第、速やかに公表する」とコメントしています。

 また、ツルハは、「決定した事実はない。決定され次第、速やかに公表する」とコメントしています。

 ドラッグストア業界は、各社が買収を繰り返して規模を拡大してきました。2021年にはマツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合しました。イオンも業界再編の必要性を認めており、主導する形で経営統合を検討します。

 2024年2月26日(月)

2024/02/25

🟧大腸がんの発症メカニズム解明、福井大学の研究チーム

 福井大学の研究チームは6日、大腸がんが発症するメカニズムを解明したと発表しました。特定の遺伝子の変異によってタンパク質の複合体が活性化することが原因だとして、それを抑える薬の開発が、がんの治療に有効だとしています。

 福井大学医学系部門の青木耕史教授(薬理学)らのチームは、6日福井市で記者会見を開き、大腸がんの発症を引き起こすメカニズムを解明したと発表しました。

 それによりますと、「APC遺伝子」と呼ばれる遺伝子が変異し、「PAF1」というタンパク質を仲介してタンパク質の複合体が活性化することで、大腸がんのもととなるがん幹細胞が生まれやすくなるということです。

 これまで、遺伝子の変異ががんの発症につながっていることは判明していたものの、がん幹細胞を生み出す詳しい過程はわかっていなかったということです。

 研究チームは、遺伝子の変異で起きるタンパク質の複合体の活性化を抑える薬をマウスに投与したところ、がんの発症につながる腫瘍ができにくくなったということです。

 国立がん研究センターによりますと、2019年に大腸がんが確認された人は全国で15万5000人余りで、がんの中では最も多くなっています。

 青木教授は、「これまでの薬物治療ではがん幹細胞が残って再発が起きる可能性があった。研究を通じて幹細胞を抑えてがんが再発しなくなるような治療薬の開発に貢献したい」と話していました。

 この研究の成果は、イギリスの科学誌に1月に掲載されたということです。

 2024年2月25日(日)

2024/02/24

🟧医薬品の供給停止や出荷制限の情報、4月からホームページで公表 厚労省

 風邪薬やせき止めなどの医薬品の供給不足が長引く中、厚生労働省は今年4月から、薬の供給停止や出荷制限についての情報をホームページで随時公表することになりました。医療機関や薬局が代わりの薬を確保するなどの対策を取るための情報として役立ててもらうことにしています。

 医薬品を巡っては、2020年末以降、ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーによる不祥事が相次ぎ、業務停止命令などで生産量が減少したことなどを切っ掛けに供給不足が続いています。

 現在は、日本製薬団体連合会が供給情報をホームページで公開していますが、1カ月に1度の更新で、即時の情報は反映できず、直近の薬の供給状況を医療機関などが把握できないことが課題になっていました。

 こうした状況を受けて、厚労省は今年4月から、医師が処方する医薬品のうち、供給が停止したり、出荷に制限がかかった薬の情報をホームページで随時公表することになりました。 

 医療機関や薬局が、代わりの薬を確保するなどの対策を取るための情報として役立ててもらうほか、厚労省も供給状況を見極めた上で、代わりになる薬を作っているメーカーに増産を依頼することにしています。

 日本製薬団体連合会の調査によりますと、今年1月末時点で、1万7905品目の医薬品のうち、25・9%に当たる4629品目で出荷量を調整する「限定出荷」や「供給停止」が行われ、依然として多くの医薬品の供給が不安定で、医療機関や薬局で、必要な医薬品の入手が困難な状況が続いているということです。

 2024年2月24日(土)

🟧子供の花粉症、この10年で増加 小学生のほぼ半数に症状

 子供の花粉症について製薬会社が保護者を通じてアンケート調査を行ったところ、花粉症とみられる症状がある16歳以下の子供は全体の40%余りに上ることがわかりました。10年前の同様の調査と比べて、およそ10ポイント増えているということです。

 この調査はロート製薬が1月に、0歳から16歳までの子供の保護者を対象にインターネットを通じて行ったもので、7131人から回答を得ました。

 それによりますと、子供が「花粉症の診断を受けている」と回答した人が21・8%、「花粉症だと思う」と回答した人が20・8%で、合わせて42・6%が、子供に花粉症や花粉症とみられる症状があると回答したということです。

 10年前に行われた同様の調査では32・7%だったということで、今回は9・9ポイント増えていました。

 また、このうち小学生については、花粉症や花粉症とみられる症状があったのは47・4%と、ほぼ半数に上っていたということです。

 勉強に集中できないなど日常生活への影響もみられました。専門家は生活環境の変化に加え、親の花粉症発症率の高さも要因と指摘しています。

 調査結果について、日本医科大学医学部耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は、「室内で遊ぶことが増えるなど、環境の変化によってアレルギーになる子供が増えていると思う。治療を受けないと毎年悪化していくので、顔を触るしぐさや、くしゃみを連発するなどの症状があれば一度、医療機関で検査をしてほしい」と話していました。

 2024年2月23日(金)

2024/02/23

🟧有機フッ素化合物「PFAS」、暫定目標値の300倍検出 東広島市の井戸水から

 広島県東広島市は22日、市内の井戸水から、健康への影響が懸念される有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」が国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)の300倍に当たる濃度で検出されたと発表しました。市は県とともに発生源の調査のためとして、近くにあるアメリカ軍施設に関する情報の公表などを国に要望しています。

 市は、昨年11月に市内にあるアメリカ軍の川上弾薬庫近くの瀬野川下流で目標値を超す濃度のPFASが検出されたことなどを受け、今年1月に付近の井戸水について、計58地点で調査しました。

 その結果、15地点の井戸水から暫定目標値を超す濃度のPFASが検出されたといいます。そのうち、瀬野川上流の水路近くの井戸水から暫定目標値の300倍の1リットル当たり1万5000ナノグラムの値が検出されました。

 井戸水は飲用されており、市は専門家らによる委員会を立ち上げて汚染範囲の特定を進める方針。数値が高かった井戸を利用する世帯の希望者を対象に、健康診断をすることも検討しています。

 記者会見した高垣広徳市長は、「発生源の特定が課題だ」と述べました。

 国内ではアメリカ軍基地の周辺で、高濃度のPFASが検出される例が出ています。市は19日に防衛相に要望書を提出し、アメリカ軍に対して川上弾薬庫に関する情報の公表や対応を要求するよう求めました。また、国に対して発生源の調査も要望しています。

 2024年2月23日(金)

2024/02/22

🟧精神疾患で休職の自治体職員、10年前の1・8倍 目立つ20歳代と30歳代

 2022年度に精神疾患など「精神および行動の障害」で1カ月以上休んだ自治体職員は、10万人当たり換算で2143人(2・1%)だったことが17日、地方公務員安全衛生推進協会の調査で明らかになりました。1993年度の調査開始以降で初めて2000人を上回り、10年前の約1・8倍になりました。年齢別では、20歳代と30歳代が平均を上回りました。

 総務省幹部は、「昔に比べて職員1人当たりの仕事量が増え、デジタル対応や感染症対策など内容も複雑になっている」と業務負担が重くなっていると分析しました。職場の余裕が失われて若手の教育に手が回らないほか、行政に対する過度なクレームなどハラスメントも影響している可能性があるとしています。

 2024年2月22日(木)

🟧新出生前診断で新ルール、検査対象拡大時は学会が意見 

 妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断について、こども家庭庁の専門委員会は21日、検査対象を広げる際には、日本医学会の認証施設が臨床研究として実施し、事前に日本産科婦人科学会など3学会に意見を求めて必要な対応をすることとするルール案をおおむね了承しました。

 新出生前診断は、ダウン症などの原因になる3種類の染色体異常の有無を判定する検査。認証施設で実施されるものの、3種類以外の病気に対象を広げて検査する無認証施設が多くなっています。3種類以外の検査は妥当性が検証されていないため、臨床研究として進める必要があります。

 ルール案では、検査対象を拡大する場合、遺伝カウンセリングなどのサポート体制が整備された認証施設の研究者が事前に日本産科婦人科学会、日本人類遺伝学会、日本小児科学会に研究計画を提出し、各学会の意見を踏まえて必要な対応をした上で、実施施設で審査することを求めました。

 また胎児の病気を早期発見し、治療につなげることを念頭におくこととしました。

 無認証施設で臨床研究をせずに不十分なカウンセリング体制などで検査し、妊婦が混乱する実態が指摘されていました。

 2024年2月22日(木)

2024/02/21

🟧給湯器の点検商法に関する相談が9カ月で3倍に急増 国民生活センターが注意喚起

 電話や訪問で給湯器を点検すると持ち掛け、「古くて危険な状態だ」などと不安をあおり、高額な給湯器へ交換するよう迫られたなどといった相談が相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼び掛けています。

 国民生活センターによりますと、全国の消費生活センターなどに寄せられた「給湯器の点検商法」に関する相談は、昨年4月から12月までの9カ月間で1099件に上り、前の年の同じ時期と比べておよそ3倍に増えています。

 具体的な事例としては、80歳代の男性が業者の給湯器点検の訪問に応じたところ、「古くて危ないので交換が必要だ」などといわれおよそ30万円の契約をしたものの、ガス会社に改めて見てもらったら「交換の時期ではなく費用も高額だ」といわれたという相談や、60歳代の女性の自宅に知らない業者が「ガス給湯器の無料点検だ」といって訪れ、「劣化していて火災の心配もある。今なら割引きできる」としてその場でおよそ30万円の契約をしてしまったなどといった相談が寄せられているということです。

 平均の契約金額はおよそ45万円で、契約した人の7割余りが70歳代以上の高齢者だったということです。

 相談の中には、「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼を受けた」などと身分を偽って点検を持ち掛けたケースもあったということです。

 国民生活センターでは、電話や訪問で点検を持ち掛けられても安易に点検させず、点検したい時には契約先などに自分で連絡することや、点検を受けてもその場では契約しないこと、それに、不安なことがあれば「消費者ホットライン」の「188(いやや)」などに相談するよう呼び掛けています。

 国民生活センター相談第1課の藤田樹さんは、「こうした点検商法はこれまで屋根の工事に関するものが多かったが、行政処分が行われたり注意喚起が広がったりして給湯器にシフトしてきているのではと推測している。まずは突然の電話や訪問に対して点検させないことが大切で、不安に思ったら『188』などに気軽に相談をしてほしい」と話しています。

 2024年2月21日(水)

🟧韓国、医学部の定員増加に抗議で研修医ら6000人以上が辞表提出 医療現場での混乱広がる

 韓国では、医師不足への対応策として医学部の定員増加を発表した政府と、増員に反対する医師が激しく対立していて、各地の病院に勤務する研修医ら6000人以上が政府に抗議するため辞表を提出するなど、医療現場での混乱が広がっています。

 韓国政府はソウル首都圏以外の地方での深刻な医師不足に対応するため、2006年度から3058人で据え置かれてきた全国の大学医学部の定員を、2025年度の入試から2000人増やして5058人とする方針をまとめました。

 しかし、医師の団体は受け入れの準備が間に合わないほか、医学部教育や医療サービスの質の低下を招くと主張して、反発を強めています。

 こうした中、各地の病院では医師団体の意向に賛同する、臨床現場に配属されて間もない研修医らが辞表を提出して出勤を拒否する動きが相次いでおり、韓国保健福祉省によりますと19日までに6400人余りの研修医が辞表を提出し、少なくとも700人余りが20日朝から出勤していないということです。

 韓国メディアはソウルの主な病院の中には救急外来に対応できないところや手術の延期が相次ぐところなど、医療現場での混乱が広がっていると伝えています。

 問題の背景には狭き門の医学部に受験生が殺到し、医師のステータスが特権化した韓国の極端な受験競争があるとも指摘されています。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は20日の閣議で、「国民の生命と健康を人質にしてはならない」と述べて早期の復帰を求めました。

 また、韓国政府は軍の医師などを動員して医療体制を維持させるとしていますが、研修医の職場放棄が長期化すれば医療現場への影響はさらに深刻になるとの懸念も出ています。

 2024年2月21日(水)

2024/02/20

🟧神戸徳洲会病院に改善命令、医療法で兵庫県内初 不適切措置で患者死亡相次ぎ

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で昨年9月以降、糖尿病の入院患者が適切な治療を受けられずに死亡するなどの問題が相次いだことを巡り、神戸市は20日、運営する医療法人徳洲会(大阪市)に対し、医療法に基づく改善命令を出しました。同法による改善命令の発出は、兵庫県内で初めてとなります。

 同病院では昨年6月、カテーテル治療後に複数の患者の死亡が発覚し、同市が8月に行政指導を行いました。しかし、さらに別の患者3人が死亡した事例で医療安全上の不備が度重なり「組織のガバナンスが機能しておらず非常に危険」と見なし、行政処分に踏み切りました。

 市保健所によると、糖尿病患者は70歳代男性で昨年8月、新型コロナウイルスに感染し同病院から別の大学病院に転院。その後、神戸徳洲会病院に再入院しましたが、糖尿病の治療に用いられるインスリンの投与などが適切に行われず、同9月に死亡しました。主治医は外科医の新保雅也院長で、電子カルテに記載された持病を見落としました。

 遺族には死因を肺炎と説明したものの、市の立ち入り調査後に不十分な血糖値のコントロールが死因の可能性があると説明し直しました。院内の医療安全対策委員会で医療事故かどうか調査したものの、結論を出しませんでした。

 今年1月には市内の福祉施設から心肺停止状態で搬送された90歳代男性に血圧を上昇させる薬剤を投与していた際、追加が必要な状況で薬剤の準備ができず投与が間に合わない間に男性は死亡。また昨年10月に80歳代の男性患者が亡くなった経緯で院内から検証を求める意見が出たものの調査しなかったほか、複数の患者の電子カルテで記載漏れが確認されたといいます。

 市保健所は、「必要な調査を適切に実施しておらず、組織体制を含めた抜本的な見直しが必要」と指摘。病院側に3月上旬までに改善計画書の提出を求め、従わなければ一部業務停止などの罰則の対象となります。

 同病院の担当者は、「指導を受けている中で死亡事案が続いたことは重く受け止めている。改善命令には真摯に、適切に対応していく」とコメントしました。同病院は3月末まで、救急車による患者の受け入れを停止するといいます。

 2024年2月20日(火)

🟧スギ人工林の2割に当たる98万ヘクタールを「重点区域」に設定 花粉症対策で植え替え・伐採

 林野庁は19日までに、花粉症対策を推進するスギ人工林の「重点区域」として、香川、沖縄両県を除く45都道府県の97万8563ヘクタールが設定されたと公表しました。全国に440万ヘクタールあるスギ人工林の面積の2割に当たります。

 今後は各自治体が中心となって、花粉の発生が少ないスギの苗木への植え替えや伐採を進めます。農林水産省は2023年度の補正予算などを活用し、重点区域で林道の整備や植え替えにかかる人件費などの費用を補助します。

 重点区域の設定は、政府が昨年10月にまとめた花粉症対策に関する「初期集中対応パッケージ」の1つ。人口20万人以上の都市部から50キロ圏内に位置するエリアなどを対象としました。都道府県から報告を受けた民有林(私有林と自治体などの公有林の合計)89万7050ヘクタールと、その近隣にある国有林8万1513ヘクタールが区域に決まりました。 

 都道府県別にみると、愛知県が5万ヘクタールと最も広く、千葉県や京都府などの都市圏も3万ヘクタール以上が設定されました。

 2024年2月20日(火)

2024/02/19

🟧合成麻薬LSDに似た成分含む製品など6種類、販売禁止命令 厚労省

 合成麻薬のLSDに似た成分が入った製品など6種類について、厚生労働省は19日、全国の店舗やインターネットでの販売を禁止する命令を出しました。

 販売禁止となったのは、合成麻薬のLSDに似た「1DーLSD」の名称で流通している薬物の入った3製品と、大麻に類似した「HHCPO」が含まれる3製品です。

 厚労省によりますと、今年1月、「1DーLSD」を含むとみられる製品を摂取した20歳代男性が錯乱状態となるなど、健康被害が報告されているということです。

 こうした状況を受け、厚労省は指定薬物以外の成分でも生産や流通を広域的に規制する必要があるとして、19日付けで医薬品医療機器法に基づき、全国の店舗やインターネットでの販売を禁止する命令を出しました。

 法律で規制されている薬物に似た成分が含まれる危険ドラッグを巡っては、昨年、大麻に似た成分が入った製品を摂取した後、病院に搬送されるなど体調不良を訴えるケースが相次ぎ、厚労省は昨年12月にグミやクッキーなどの38製品の販売を禁止していて、19日に6製品を追加したことで販売を禁止したのは44製品になりました。

 厚労省は販売を禁止した製品に入っている成分について、指定薬物として規制対象にすることも検討しています。

 2024年2月19日(月)

🟧厚労省が飲酒に関する初のガイドラインを決定 高血圧、少量でもリスク増

 厚生労働省は19日、飲酒に伴うリスクを周知し健康障害を防ぐため、飲酒に関する初の指針「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を正式決定しました。疾患ごとに発症リスクが高まる酒量を純アルコール量換算で示し、適量を心掛けるよう呼び掛けています。高血圧などは少量でもリスクが上がると警告しました。

 ガイドラインは、生活習慣病リスクを高める純アルコール量の参考値として「男性1日40グラム以上、女性20グラム以上」を提示。20グラムはビール中瓶1本(500ミリリットル)、日本酒1合(180ミリリットル)に相当します。

 発症リスクが高まる量として、大腸がんは男女ともに1日20グラムとしました。ただ、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などは、少しでも飲むと発症リスクが高まる恐れがあると指摘。「より少ない飲酒量とすることが望まれる」と強調しました。 

 健康への配慮として、あらかじめ量を決めて飲む、飲酒前や飲酒中に食事を取る、合間に水を飲む、1週間のうち飲酒しない日を設ける、などが必要と説明しました。短時間の大量飲酒や他人への強要、不安や不眠を解消するための飲酒は避けるよう求めました。

 厚労省などによると、成人1人当たりの酒類の消費量は1992年をピークに減っている一方、アルコール依存症の総患者数は2017年時点で4・6万人と、1996年の4・7万人と同水準となっています。

 2024年2月19日(月)

2024/02/18

🟧高い枕で寝る人ほど脳卒中の発症率が高い 循環器病研究センターが発見

 国立循環器病研究センターの研究チームは、枕の高さが高い人ほど脳卒中の原因となる「特発性椎骨動脈解離」の発症リスクが高いことを発見しました。首が曲がることなどで負荷がかかりやすくなり、発症につながる可能性があるといいます。枕を低くすることで予防につながるとみています。

 特発性椎骨動脈解離は首の後ろ側にある「椎骨動脈」という血管が裂けてしまう病気のうち、原因が詳しくわからないタイプを指します。若者や中年で脳卒中が起きる原因の1つとみられています。

 研究チームは、特発性椎骨動脈解離の患者の一部が極端に高い枕を使うことに着目しました。この病気の患者約50人と他の病気の患者約50人について、発症時の枕の高さで分類しました。

 高さ12センチメートル未満の普通の枕を使うグループのうち、特発性椎骨動脈解離の患者は約4割でした。だが高さ15センチメートル以上の高い枕を使うグループでは、この病気の患者が約9割を占めました。こうした関係を詳しく調べ、枕が高いことと病気の発症リスクが関連することを突き止めました。こうした関係は枕が硬いほど顕著だといいます。

 枕が高いと首が曲がって負荷がかかり、さらに寝返りの時にも負荷がかかりやすくなり、発症につながる可能性があるといいます。

 研究チームは、「何げない睡眠習慣が脳卒中のリスクになり得ることを認識してもらい、予防につなげてほしい」と話しています。

 2024年2月18日(日)

🟧医師免許ない臨床工学技士が手術で皮膚を縫合、山形済生病院に保健所が立ち入り検査

 山形市沖町にある山形済生病院で2021年1月~2022年4月に、整形外科の手術中に、臨床工学技士が皮膚の縫合を行っていたことがわかりました。医師法は医師免許のない者による医療行為を禁じており、同市保健所が昨年12月、同法に抵触する可能性があるとして病院に立ち入り検査を行いました。

 石井政次院長によると、臨床工学技士は2021年1月~2022年4月、医療機器の操作のため十数件の手術に参加。整形外科の執刀医の指導のもと、皮膚の縫合を複数回行ったといいます。病院は、手術を受けた患者全員に事情を説明しました。健康被害は確認されていないとしています。

 皮膚の縫合を行った臨床工学技士は、医師の負担軽減のための業務分担と認識しており、医師法に違反するとの認識はなかったといいます。

 石井院長は、「コンプライアンスを徹底するよう、全職員に通達した。今後の管理を徹底したい」と話しました。

 また、山形済生病院はホームページで、「病院の業務管理が不十分であったことが一因で、今後、このような事案が起こらないよう院内体制を整備し、再発防止を徹底します。患者様にはご心配をおかけしていることを深くおわび申し上げます」とコメントしています。

 2024年2月18日(日)

🟧薬剤の補充分なく、薬切れた直後に90歳代患者が死亡 神戸徳洲会病院「死期早めた可能性」

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で1月、心肺停止状態で搬送されてきた90歳代の男性患者に血圧を上げる薬を投与した際、補充分が用意されておらず、薬が切れた直後に男性が死亡したことがわかりました。同病院は「死期を早めた可能性がある」として、家族に謝罪しました。

 同病院によると、男性は1月19日午前に、市内の福祉施設から搬送されました。治療を受けて心拍は再開し、病院内で管を通して血圧を上げる薬を投与されていました。同日夜、薬が残り少なくなったことを知らせる警告音が鳴り、家族が職員に知らせたものの、補充する薬が準備されていませんでした。

 看護師がすぐに手配したが間に合わず、男性は薬が切れた直後に死亡。同病院は事故調査委員会を設置し、神戸市に報告しました。同病院は、「市の指導を受け、適切に対応する」としています。

 同病院では昨年7月、循環器内科医が行ったカテーテル手術後に複数の患者が死亡したことが発覚し、同市は同8月「医療安全体制に不備がある」として是正を求める行政指導を行いました。

 その後、糖尿病患者に必要な治療が行われず、同9月に死亡していたことも判明。市は今年1月に医療法に基づく改善命令を同病院に出す方針でしたが、今回の死亡事案を受けて延期していました。今回の事案を含めて近く、改善命令を出す方針です。

 2024年2月18日(日)

2024/02/16

🟧インフルエンザ患者の増加傾向続く、新型コロナ患者は前週より減少

 全国の医療機関から報告された季節性インフルエンザの患者数は、2月11日までの1週間で1医療機関当たり23・93人と、前の週よりも1・31人増えました。福岡県など7つの府県で「警報レベル」の30人を超えているほか、32の都道県で前の週より増加しています。

 また、新型コロナウイルスの全国の感染状況は、2月11日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が13・75人で、前の週の0・85倍になりました。

 国立感染症研究所などによりますと、2月11日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は11万7652人で、1医療機関当たりでは23・93人と、前の週よりも1・31人増えました。

 データをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は約75万6000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの累積の患者数は約1433万8000人と推計されています。

 1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみますと、福岡県が最も多く56・48人で、佐賀県が38・15人、熊本県が34・83人などと、7つの府県で「警報レベル」の30人を超えました。

 このほか大阪府が29・56人、愛知県が29・55人、東京都が22・83人などと、37の都道府県で10人を超える「注意報レベル」となっています。

 前の週と比べると青森県で1・55倍、北海道で146倍、石川県で1・39倍などと、32の都道県で増えていて、全国的に増加傾向が続いています。

 厚生労働省によりますと、2月11日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から1万1991人減って、6万7614人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は13・75人で、前の週の0・85倍になりました。

 都道府県別では、多い順に石川県が21・91人、愛知県が20・06人、群馬県が19・89人、茨城県が19・7人、福島県が19・18人などとなっていて、41の県で前の週より減少しました。

 このうち石川県は、能登半島地震の影響で、新型コロナの患者数を報告することになっている48の医療機関のうち、能登北部の2カ所からの報告は含まれませんが、高い水準となっています。

 また、2月11日までの1週間に、全国約500の定点医療機関から報告された新たに入院した患者の数は3257人で、前の週と比べて204人の減少でした。

 厚労省は全国の流行状況について、「11月中旬以降、初めて減少に転じ、都道府県ごとにみても大半の県で減少となったがこの傾向が続くかは注視が必要だ。今後も感染対策を続けてほしい」としています。

 2024年2月16日(金)

2024/02/15

🟧脂肪吸引の手術後に男性患者死亡、美容整形外科の医師を書類送検

 顔の脂肪吸引手術後に内出血し、死亡した男性患者に対し、適切な対応を怠っていたとして、大阪府警は15日、美容整形外科「HAAB×DREAM BEAUTY CLINIC」に勤務していた東京都渋谷区の医師の男性(37)を業務上過失致死容疑で書類送検しました。府警は、刑事処分の判断を地検に委ねる「相当処分」の意見を付けました。

 発表では、医師は昨年4月29日午後、大阪市北区曽根崎新地1丁目の美容整形外科クリニックで、北九州市小倉北区の男性(当時48歳)に頬などの脂肪を吸引する美容外科手術を実施。手術後に内出血した男性が窒息死する恐れを認識できたのに、適切な医療措置を受けるよう指示する義務を怠り、翌30日に自宅で顔や首から内出血させて窒息死させた疑い。調べに容疑を否認しています。

 府警によると、男性は帰宅後、顔が腫れ、首が変色しているのに気付き、医師にSNSで写真を送信。翌30日午前には「呼吸が苦しい」と伝えたものの、医師は「気道が問題なければ大丈夫」「内出血は必ず引く」とのメッセージを送りました。

 男性はその後、容体が悪化し、同日夕、自宅で死亡が確認されたといいます。

 府警によると、医師は任意の事情聴取に「病院に行くことを勧めており、それ以上してあげられることはなかった」と話しています。

 2024年2月15日(木)

2024/02/14

🟧外来の初診料、最大730円増 看護師らの賃上げ原資、2024年度診療報酬改定

 厚生労働省は14日、医療機関の収入に当たる診療報酬の2024年度の改定内容を決めました。看護師ら職員の賃上げ原資を確保するため、外来の初診料を原則2880円から30円引き上げ、一部の診療所は、さらに最大700円を上乗せします。上げ幅は最大で730円となり、一部は患者が負担。マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の利用促進に向け、報酬を加算する措置も設けます。

 政府は昨年末、診療報酬のうち人件費に相当する「本体」部分を0・88%引き上げると決定。これに基づき中央社会保険医療協議会が14日、診療サービス別の価格を答申しました。改定の施行時期はこれまで4月でしたが、6月に変わります。賃金を底上げするベースアップを2%以上実施し、医療現場の人材確保を図ります。

 公的医療保険制度では、患者は年齢や所得に応じて1~3割を窓口で負担し、残りは保険料や公費で賄われます。

 初診料はすべての医療機関で30円引き上げ、その上で入院ベッド(病床)のない診療所でベースアップを実施する場合は、職員や患者数などに応じた上乗せ額を設定します。

 2024年2月14日(水)

🟧武田薬品の経口食道炎治療薬「エオヒリア」、アメリカで承認

 武田薬品工業は13日、食道の慢性炎症性疾患である好酸球性食道炎(EoE)の経口治療薬「エオヒリア」がアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されたと発表しました。承認は12日付(アメリカ時間)。EoE治療薬は現在、フランスのサノフィとアメリカのリジェネロンが共同開発した注射剤「デュピクセント」のみで、経口治療薬の承認は今回が初めてとなります。新薬は治療に向けた新たな選択肢となる可能性があります。

 EoEは食道の炎症のほか、つかえ感や嚥下(えんげ)困難などの症状があります。エオヒリアは11歳以上のEoE患者を対象とし、2月末をめどに2ミリグラムのスティック包装の形で発売する予定です。

 エオヒリアを巡っては、2021年12月にFDAから現時点では承認しないことを示す通知を受け取っていました。その後、武田薬品は通知内容を踏まえて、申請を再提出しました。2023年9月にFDAより再提出申請が受理されていました。

 武田薬品は今回の承認による2024年3月期連結業績への影響について、「精査中だが、重要性ある影響は見込んでいない」としています。

 2024年2月14日(水)

🟧東京都で9日、スギ花粉の飛散開始を確認 昨年より1日早く、過去10年平均より6日早い

 東京都は13日、都内でスギ花粉の飛散開始を確認したと発表しました。飛散開始日は9日です。

 過去10年平均の2月15日より6日早く、昨年の2月10日より1日早い観測となりました。東京都内でもいよいよ、スギ花粉の本格的なシーズンがスタートしました。

 飛散開始日とは、1月以降に1平方センチメートル当たり1個以上のスギ花粉を、2日以上連続して観測した最初の日のことです。都は、都内12カ所でスギなどの花粉を観測していて、このうち立川市、多摩市、青梅市の観測所で9日に2日連続して、1平方センチメートル当たり1個以上のスギ花粉が観測されたため、「2月9日からスギ花粉の飛散開始」となりました。

 都は、1月の気温が高かったため、スギの花の開花が進み、例年よりも飛散の開始が早かったのではないかと分析しています。

 今年、都内で飛散するスギとヒノキの花粉の量は、過去10年で2番目に多く飛散した昨年の8割程度で、例年並みとなる見込みです。

 都は、各地の観測結果をホームページで掲載し、花粉の飛散の多い日に外出する際は、マスクや眼鏡を着用するなどの対策を呼び掛けています。

 2024年2月14日(水)

2024/02/13

🟧世界の交通事故死、1日3200人以上 WHO報告、各国に対策求める

 世界の交通事故死者数は2010~2021年に年間5%ずつ減少した半面、いまだに1分間に 2人以上、1日当たり3200人以上が亡くなり、5~29歳の子供や若者の死因の1位を占める健康上の危機であるとの最新報告を世界保健機関(WHO)が発表しました。 

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は、「路上での死亡は防ぐことができる。交通システムの中心に車ではなく人を位置付け、歩行者や自転車利用者その他の交通弱者の安全を確保するよう各国に呼び掛ける」とコメントしました。

 発表によると、2010~2021年に国連加盟国のうち108カ国で交通事故死が減少。10カ国では50%超、35カ国が30~50%減らすことに成功しました。

 ただ、死亡事故の9割は低・中所得国で発生し、世界の自動車のわずか1%の保有台数しかない低所得国のほうが、高所得国より死亡リスクが3倍高くなりました。

 自動車に乗った人の死亡は全体の30%でわずかに減少した一方、歩行者が23%、オートバイなどの二輪車・三輪車が21%、自転車が6%などいわゆる交通弱者が53%を占め、死亡リスクの上昇に直面していると指摘しました。

 WHOが交通事故死を防ぐ最良の方法として推奨する「スピード違反の防止」「飲酒運転の防止」「ヘルメット着用」「シートベルト装着」「チャイルドシートの使用」を徹底すると同時に、自動ブレーキなど自動車の安全装備の法制化、自転車専用レーンの整備などを求めました。

 2020年にSDGs達成のために国連が示した「行動の10年」計画では、2030までに世界の交通事故死を半減させるとの目標を掲げています。国連によると、 自動車が発明されて以来、世界の道路で 5000万人以上が亡くなっており、これは第一次世界大戦や世界最悪の伝染病の死者数を上回る数といいます。

 2024年2月13日(火)

🟧国内初、人への臓器移植を想定したブタ誕生 遺伝子改変で拒絶反応回避

 明治大発のベンチャー企業「ポル・メド・テック」は12日、細胞や臓器を人に移植できるように遺伝子を改変したブタ3頭が11日に生まれたと発表しました。人への移植を目的に開発されたブタの日本での誕生は、初めてといいます。当面は動物実験で安全性を確認します。

 同社は昨年9月、移植用ブタの開発で先行するアメリカのバイオテクノロジー企業の「イージェネシス」から、人の体内で拒絶反応が起きないように10種類の遺伝子を改変した細胞を輸入。翌月に遺伝的に同じ個体を作り出す体細胞クローニング技術で受精卵を作製し、代理母となるブタの子宮に移植しました。

 クローンブタ3頭は、帝王切開手術で生まれました。成長の推移を確認後、国内の研究機関に提供し、サルなど他の種類の動物に臓器を移植する研究に使う予定といいます。

 ポル・メド・テック創業者で、明治大の長嶋比呂志専任教授(発生工学)は、「無事に生まれてほっとしたが、これからがスタートだ。これで国内でも臨床応用に向けた議論が進むのではないか。安全性を大切に研究を進め、倫理的な課題の議論も深めたい」と話していました。

 動物の細胞や臓器の人への移植は「異種移植」と呼ばれ、臓器提供者不足の解決策として期待されます。

 2024年2月13日(火)

🟧東京医科歯科大など、「ミニ胎盤」の作製に成功 医薬品開発への活用期待

 東京医科歯科大学や東北大学の研究チームは、妊娠時に胎児と母体をつなぐ胎盤の構造の一部を再現した「オルガノイド(ミニ臓器)」の作製に成功したと発表しました。胎盤を通過しにくい薬を見付けやすくなり、妊婦が服用しても胎児に影響しにくい医薬品の開発につながるとみています。研究成果をまとめた論文が8日、イギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されました。

 母体と胎児をつなぐ胎盤には、妊婦の体内に存在する薬やウイルスが胎児に移動するのを防ぐバリアーとしての機能があります。ただ一部の薬は胎盤を通過して胎児に影響を与えてしまうため。妊婦には使えません。薬が胎盤を通過するか効率的に調べる方法が求められています。

 研究チームは胎盤の基になる「胎盤幹細胞」を培養し、バリアー機能を担う「じゅう毛」という構造を再現したミニ臓器を作りました。これまでに別の研究チームもミニ胎盤の作製に成功していたものの、実際のじゅう毛の構造とは違っていました。今回、培地の成分を変えるなどして実際の構造に近付けました。

 じゅう毛を構成する細胞をシート状に培養することにも成功し、胎盤を通過しないタンパク質などを使って検証して、実際の胎盤と同様の性質を持つことを確認しました。このシートを大量に培養すれば、多数の薬について胎盤の通過しやすさを効率よく検証できるとみています。

 今後、高品質のシートを作れるように培養条件などを改良して、実用化を目指します。東京医科歯科大の堀武志助教(医工学)は、「妊婦特有の病気である妊娠高血圧症候群の治療薬を始め、妊婦が安心して使える薬の開発に役立てたい」と話しています。

 従来は人の胎盤などを使って薬の性質を調べていました。ただ、人の胎盤の供給は限られ、人と動物では胎盤の構造が異なるため動物実験だけでは不十分です。

 ミニ臓器は臓器を構成する細胞を立体的に培養したもので、これまでに腎臓や腸などさまざまな臓器で作製例があります。臓器の性質を再現でき、有望な薬の候補を見付けるのに活用されます。

 2024年2月13日(火)

🟧思春期の身体不調、死を望むリスク要因に 東大などが研究 

 東京大学と東京都医学総合研究所の研究チームは、引きこもり症状の持続や身体不調の増加が思春期児童の希死念慮(死にたいと思う気持ち)を抱くリスクになることを見いだしました。研究成果を生かせば、児童の異変を周囲の人間が意識することで自殺予防につながる可能性があります。

 児童2780人を対象に数年間、追跡調査しました。引きこもり症状、身体不調、不安抑うつ症状など8項目の有無や強弱について、10歳、12歳、16歳の時点で調べました。その上で、16歳時点で希死念慮を抱いているかも調べ、データを解析しました。

 引きこもり症状が持続している場合と身体不調が増加している場合、希死念慮のリスクが高まることがわかりました。引きこもり症状の持続はそれがない場合と比べて希死念慮を持つ割合が約2・4倍、身体不調の増加はそれがない場合と比べて約3倍高くなりました。

 身体不調とは、身体的な病気がないにもかかわらず、痛み、疲労感、吐き気、めまいなど身体の不調が生じること。引きこもり症状も身体不調も心理的なストレスがかかわっていることが多く、それが希死念慮を招くとみられます。

 研究に携わった東大医学部付属病院精神神経科の安藤俊太郎准教授は、「軽視されがちな児童の身体不調が実は大きなリスクとなることがわかった」と話しています。不安抑うつ症状などと比べれば周囲が見付けやすいため、自殺予防の支援につながる可能性があります。

 2024年2月13日(火)

🟧新型コロナウイルス蔓延下の2022年度、死を望む20歳未満が2019年度から1・6倍に増加 国立成育医療研究センターが調査

 新型コロナウイルスの感染が蔓延(まんえん)していた2022年度に、生活環境の変化などで死にたいと強く思う「希死念慮」の状態だと医師に判断された20歳未満の初診外来患者は214人で、コロナ流行前の2019年度の135人に比べ約1・6倍だったことが9日までに、国立成育医療研究センターの調査でわかりました。

 センターの小枝達也副院長は、「コロナ禍の感染症対策や行動制限などの制約が、子供の心に長期的な影響を及ぼした」と指摘しています。

 調査は2023年4~6月、子供の心の診療を行う全国31病院にアンケートをし、2019~2022年度に希死念慮のほか、死ぬつもりで自殺を図る「自殺企図」(希死念慮との重複も計上)と判断された20歳未満の患者数を調べました。

 希死念慮は2019年度135人、2020年度184人、2021年度191人、2022年度214人と毎年増加。自殺企図も2019年度の63人から2020年度に105人と増え、2021年度112人、2022年度110人と高止まりしています。

 2024年2月13日(火)

2024/02/12

🟧酵素の老化抑制機能を解明、亜鉛と結合し活性酸素分解 京都産業大

 人などの細胞内にある酵素「ERp18」が老化を抑制する機能を持っていることを、京都産業大の研究チームが解明しました。細胞内にある亜鉛イオンと結合して、老化を進める活性酸素の1つである過酸化水素を分解します。細胞の老化や酸化ストレスを原因とする病気の予防や治療法開発につながる可能性があるといいます。論文は8日付のアメリカの科学誌「セル・リポーツ」電子版に掲載されました。

 ERp18は、細胞内にある小器官「小胞体」に含まれます。炎症やアレルギーを抑制する酵素「チオレドキシン」とよく似た構造ですが、詳しい役割はわかっていませんでした。

 研究チームはERp18を持つさまざまな生物のアミノ酸配列を調べた結果、亜鉛イオンと結合するとERp18が3個つながり、活性酸素の1つである過酸化水素を水と酸素に分解することを確認しました。

 さらに、人の細胞でERp18を作る遺伝子の働きを抑えると、過酸化水素が蓄積することが判明。また、長さ約1ミリの線虫でも同様に過酸化水素が体内にたまり、遺伝子操作していない通常の線虫と比べて寿命が1割ほど短くなりました。

 ただ、細胞内でどのように亜鉛イオンと結び付くのかは解明できていません。研究チームの京都産業大生命科学部の潮田亮准教授は、「小胞体の中は元々亜鉛が少なく、食事で亜鉛を取るだけでは効果がない。亜鉛を小胞体に取り込ませ、効率よくERp18に亜鉛を結合させる薬剤を開発できれば、老化が原因の病気の予防や治療法開発につながることが期待される」と話しています。 

 2024年2月12日(月)

🟧成人女性の冷え症に関係する遺伝的要因を発見 慶応大研究チーム、1111人を解析

 冷え症に関係する遺伝的要因を発見したとして、慶応大漢方医学センターの呉雪峰(ごせっぽう)研究員らの研究チームが、イギリス科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表しました。将来的に、遺伝子検査結果を踏まえて効果的な治療法を提示できる可能性がある成果だといいます。

 民間会社の遺伝子検査を利用した20~59歳の日本人女性のうち、研究に同意を得た1111人を対象に解析しました。アンケートで「冷え」の症状や負担感を調査した上で、冷えの症状がある599人とない人について、ゲノム上の塩基を比較しました。

 その結果、冷えの症状を抱えた人では、温度の感じ方に関係するタンパク質「TRPM2」「KCNK2」などの遺伝子で塩基の異なりがみられました。この違いが、冷えに関連するタンパク質の発現量を変化させ、冷えのリスクを高めていると考えられるといいます。また、一部の生薬がこのタンパク質に作用するとのデータがあり、治療方法の選択に役立つ可能性があるといいます。

 これまで、冷えにより日常生活に苦痛を感じ支障を来す冷え症が生じるメカニズムについては、女性ホルモンの乱れや自律神経の失調などが指摘されていました。一方、過去の研究で、冷えの症状のある女性の6割以上で、その母親も冷えの症状があることから遺伝的要因が示唆されてきましたが、これまで冷えに関する網羅的な遺伝子解析の研究はなかったといいます。

 研究チームの吉野鉄大・同センター特任講師(漢方医学)は、「冷え症はただ冷えるだけでなく、痛みを伴って生活の質を低下させたり、他の疾患の引き金になったりすることがある。今回の研究では遺伝的背景があることを示せた。つらい症状を抱えている場合は気兼ねなく受診してほしい」と話しました。

 2024年2月12日(月)

🟧北海道でインフルエンザが猛威、一時449校が休業 冬休み明けで再び増加の兆し

 北海道内で今冬、インフルエンザウイルスが猛威を振るっています。小中学校を中心に感染が拡大し、学級閉鎖は全道で最大で288件に上りました。昨年12月にピークを越えたものの、冬休みが終わった1月下旬以降、再び増加の兆しがあります。

 道の統計によると、インフルエンザは昨年8月末ごろに流行入りし、10月下旬に定点医療機関当たりの患者数が19・58人になりました。それから1カ月弱で定点医療機関当たり30人の警報レベルを超えました。12月初旬になると、週の症例数が1万3779人とピークに達しました。道感染症対策課の担当者は、「例年より拡大のペースが速かった。定点当たりの患者数も多い」と話しています。

 目立ったのが、インフルエンザの集団感染による学校と幼稚園の休業で、学級・学年閉鎖を含めて一時、449校に上りました。その後、12月下旬に幼稚園や学校が冬休みに入ったこともあり、定点医療機関当たりの患者数は警報レベルを下回り、1月半ばには10人の注意報レベルを下回りました。

 ただし、冬休みが明けてから再び感染拡大の傾向にあります。1月29~2月4日は症例数が2581人(前週比998人増)で、定点医療機関当たりの患者数も注意報レベルを突破。1月15~21日に6校のみだった学級閉鎖は1月29~2月4日に学年閉鎖・休校と合わせて90と15倍になりました。

 2022年12月の定点医療機関当たりの患者数は、2人以下でした。道医師会常任理事の三戸和昭医師(73)は今冬のインフル流行の理由を2つ挙げます。1つは人々の免疫の低さで、新型コロナ感染拡大以降、インフルエンザが流行せず、抗体を持つ人が減ったといいます。もう1つは、2種類のインフルエンザウイルスが同時に広まったことで、「A型の2つの亜型が拡大し、その両方にかかったという人がかなりいた」と指摘します。

 インフルエンザの感染再拡大とともに気になるのが、新型コロナの状況で、1月29~2月4日のコロナの定点当たりの患者数は15・4人。昨年9月以来、4カ月ぶりに15人を超えました。三戸医師は、「流行スピードは速いが、重症例はあまりない。今後も変異を繰り返して流行は続くだろう」と分析。「手洗いうがいなどが一番の予防策。感染したと思ったら早期に受診してほしい」と呼び掛けています。

 2024年2月12日(月)

2024/02/11

🟧富山県、アクティブファーマに業務改善命令 原薬の不適切製造で

 富山市に工場がある医薬品の原薬製造メーカー「アクティブファーマ」(東京都千代田区)が、国が承認していない方法で製品を製造していたとして、富山県は9日、原因の究明や再発防止を求める業務改善命令を出しました。

 アクティブファーマは富山市八尾町に工場があり、医薬品の原薬の開発や製造、販売を行っています。

 県によりますと、工場では原薬の製造工程で、粉をふるいにかける際、手作業で行うべき作業を機械を用いたり、加熱工程の温度が承認されたのとは異なっていたりなど、10品目で国が承認していない不適切な方法がとられていたということです。

 昨年7月、県の無通告の立ち入り検査で発覚しました。

 承認されていない方法での製造は約10年前から行われ、虚偽の製造記録も作成していたなどとして、県は9日、医薬品医療機器法に基づき原因の究明や改善計画の策定などを求める業務改善命令を出しました。

 これについて親会社の「三谷産業」は「地域住民や国民の皆様にご心配とご不安をおかけして申し訳ない」とコメントする一方、品質には問題がなく健康被害の報告もないとして自主回収や出荷停止の予定はないとしています。

 富山県内の医薬品メーカーではほかにも品質管理などに問題があったとして、2019年以降、ジェネリック医薬品大手の「日医工」など5社に業務停止命令や業務改善命令が出されています。 

 2024年2月11日(日)

🟧新型コロナに感染した子供の急性脳症、重症になりやすいタイプが1割以上

 新型コロナウイルスに感染した子供がまれに発症する急性脳症について、国の研究班が調査したところ、インフルエンザなど従来のウイルスではほとんどみられなかった重症になりやすいタイプの患者が10%以上いたことがわかりました。

 この調査は、東京女子医科大学の高梨潤一教授を中心とする厚生労働省の研究班が行いました。

 研究班は、2022年11月までに、新型コロナウイルスに感染し、脳が急激にむくむ急性脳症と診断された18歳未満の子供103人を調査し、急性脳症をタイプ別に分析しました。

 その結果、インフルエンザなど従来のウイルスでもよくみられるタイプが全体の26%に当たる27人で最も多かった一方で、新型コロナの流行前にはほとんどみられなかった重症になりやすいタイプが全体の13%に当たる14人いたことがわかりました。

 重症になりやすいタイプの患者14人のうち11人は、死亡していたということです。

 研究班によりますと、新型コロナによる急性脳症を発症する子供はまれだということですが、重症になりやすいタイプは治療法が十分に確立されていないことから注意が必要だということです。

 高梨教授は、「なぜ重い急性脳症の頻度が高いのかは詳しくはわかっていないが、長くけいれんが続いたり、呼び掛けに反応しなかったりなどの症状がある時はすぐに医療機関を受診してほしい」と話していました。

 2024年2月11日(日)

🟧東北大、分娩回数が多い女性ほど閉経後に高血圧のリスクが高いことを解明

 東北大大学院の研究チームは7日までに、閉経後では分娩回数が多い女性ほど高血圧のリスクが高く、高血圧の危険因子である肥満の割合も高い傾向があると発表しました。予防には適切な体重維持と注意深い観察が必要としています。

 世界的には25歳以上の成人の約30%が高血圧とされ、日本人女性でみると60歳以上の約60%が高血圧とされます。特に分娩と妊娠高血圧症候群は、女性特有の高血圧リスク因子として知られます。

 東北大大学院医学系研究科女性ヘルスケア医科学共同研究講座の岩間憲之講師と、同周産期医学分野の斎藤昌利教授らのグループは、20~75歳の女性3万530人を対象に、分娩回数と高血圧との関連性を調査しました。

 その結果、閉経前は分娩回数が増えても高血圧との関連性はみられなかったものの、閉経後は分娩回数1回の女性と比較して2回(1・058倍)、3回(1・091倍)、4回(1・125倍)と、分娩回数が多い女性ほど高血圧のリスクが高いことがわかりました。

 また、閉経後では分娩回数が多いほど肥満の割合が高い傾向にあることもわかり、現在の体格指数(BMI)で調整すると、閉経後の分娩回数と高血圧の関連性は薄れたといいます。

 今回の研究は、妊娠高血圧症候群の既往も考慮した上で、分娩回数と高血圧有病率との関連を調査した日本初の報告だといいます。

 研究成果は1月8日、高血圧に関する専門誌「Journal of Clinical」に掲載されました。

 2024年2月11日(日)

🟧妊娠中に体重が過剰に増えた女性、慢性疾患になる割合が高い 成育医療研究センター

 妊娠中に体重が過剰に増えた女性は、将来的に高血圧や糖尿病などの慢性疾患になる人の割合が高かったとする研究結果を、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の研究チームがまとめました。高血圧を発症した人の割合は、体重増加が適切だった女性と比べて、約1・5倍高くなりました。

 こども家庭庁の指針では、妊娠中の適切な体重増加量は、妊娠前の体格の指標となるBMIが「やせ」(18・5未満)の人は12~15キロ、「普通」(同18・5~25未満)の人は10~13キロが目安となっている。

 研究では同センターに通院した妊婦の母親に協力を求め、1976~1997年に出産した、妊娠前のBMIが「やせ」か「普通」だった女性318人(平均64・3歳)を対象にしました。妊娠~出産時(同28・5歳)の体重変化について母子手帳のデータを収集し、現在糖尿病や高血圧などの持病があるかアンケートで尋ねました。

 その結果、体重増加が目安を上回っていたグループは、目安内で適切だったグループと比べて、高血圧を発症した割合が約1・5倍高くなりました。糖尿病では約1・4倍、肥満(BMI25以上)になった割合も約1・8倍高くなりました。

 同センター産科の小川浩平診療部長は、「適切に体重を増やすことは、赤ちゃんだけでなく、妊婦自身の健康を守るためにも重要だと確認できた。妊婦がやせていると、低体重の赤ちゃんが生まれるリスクもあるので、主治医の指示をよく聞いてほしい」と話しています。

 2024年2月11日(日)

🟧鹿児島県南さつま市の養鶏場で1万3000羽の殺処分開始 高病原性鳥インフルエンザ疑い

 鹿児島県南さつま市の養鶏場で、10日、複数のニワトリが死んでいるのが見付かり、遺伝子検査の結果、高病原性とみられる鳥インフルエンザウイルスが検出されました。今シーズン、養鶏場での発生は全国で9例目、鹿児島県内では2例目で、鹿児島県は養鶏場で飼育しているニワトリおよそ1万3000羽の処分を始めました。

 鹿児島県によりますと、10日、南さつま市大浦町の肉用の養鶏場で、死んでいるニワトリが増えたという通報があり、遺伝子検査の結果、高病原性とみられる「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。

 このため、県は11日午前7時からこの養鶏場や同じ管理者が行き来する関連の養鶏場で飼育されているニワトリ、およそ1万3000羽の処分を始めました。

 また、この養鶏場の半径3キロ以内をニワトリや卵の移動を禁止する「移動制限区域」に、半径10キロ以内をその地域からの出荷を禁止する「搬出制限区域」に指定したほか、周辺の4カ所に消毒ポイントを設け関係車両の消毒を始めました。

 県によりますと、制限の対象となる半径10キロ以内には合わせて15の養鶏場などがあり36万羽あまりのニワトリなどが飼育されているということです。

 2024年2月11日(日)

2024/02/10

🟧手術なしの性別変更、岡山家裁津山支部が認める 手術要件「違憲」の最高裁判断後で初めて

 性同一性障害と診断され、生殖能力をなくす手術を望まない岡山県在住の申立人が戸籍上の性別変更を求めた家事審判で、岡山家裁津山支部は7日、女性から男性への性別変更を認める決定を出しました。性別変更を巡り、手術を事実上の要件とした性同一性障害特例法の規定について、最高裁が昨年10月に「違憲・無効」と判断して以降、手術をせずに性別変更が認められたケースが明らかになるのは初めて。

 申立人は、同県新庄村の農業、臼井崇来人(たかきーと)さん(50)。臼井さんは女性として生まれ、2013年に心は男性と医師に診断されました。交際する女性との結婚を望む一方、体への影響などを懸念して手術は避けてきました。

 臼井さんは2016年12月、手術をしなくても戸籍上の性別を変更できるよう岡山家裁津山支部に申し立てたものの、同支部と広島高裁岡山支部は請求を退けました。最高裁も2019年1月、当時の第2小法廷が「現時点では合憲」として特別抗告を棄却しました。

 しかし、昨年10月の最高裁大法廷は別の申立人に対する決定で、手術を必要とする規定について「手術を受けるか、性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫るものだ」と指摘。憲法13条が保障する「意思に反して身体の侵襲を受けない自由」を制約しており、「違憲・無効」だと結論付けました。

 これを受け、臼井さんは昨年12月に改めて、津山支部に性別変更の審判を申し立てていました。

 2024年2月10日(土)

🟧ブラジル・リオのカーニバル開幕 700万人参加見込みも、「デング熱」流行で緊急事態宣言

 ブラジルのリオデジャネイロ市で9日、南米最大の祭典「リオのカーニバル」が開幕しました。街中がサンバのリズムと熱気に包まれます。

 リオデジャネイロ市の市長公邸では9日昼、式典が開かれ、「カーニバルの王様」役の男性がエドゥアルド・パエス市長から市の統治権を象徴する鍵を受け取り、開幕を宣言しました。

 市は期間中、約700万人の参加を見込んでいるものの、ブラジルでは蚊が媒介する感染症「デング熱」が各地で流行しています。リオデジャネイロ市内には5日から公衆衛生の緊急事態宣言が出されており、虫よけスプレーを来場者に噴射する対策を取っています。

 リオデジャネイロ市に続き、サンパウロ市は6日に緊急時対応センターを開設し、首都ブラジリアでは「野戦病院」が設置されました。

 ブラジル国内のデング熱の感染が疑われる患者の数は、年初から5週間で34万5235人と前年同期の4倍近くに上っています。保健省によると、31人の死亡が確認されたほか、234人の死因について分析が進められています。

 ブラジルメディアによると、リオデジャネイロ市内では昨年約2万3000件のデング感染が確認され、今年はすでに1万件を超えました。1月の入院患者数は350人を上回り、2008年以来の高い水準といいます。市内の約10カ所に治療センターを設ける予定。

 ブラジル政府は2月からのワクチン接種を予定しているものの、武田薬品工業が開発したワクチンが不足しているため、接種の対象は10~14歳のみとしています。

 一方、アルゼンチンでも年初から3週間で1万人のデング熱感染者が確認されています。また、パラグアイは昨年12月以降、デング熱により36人が死亡し、公衆衛生上の緊急事態を宣言しました。

 デング熱は発熱や関節痛、発疹といった症状が出て、まれに死亡する例もあります。

 2024年2月10日(土)

🟧救急搬送に「マイナ保険証」活用、通院歴や処方薬の把握を容易に 搬送先選定の迅速化にも期待

 総務省消防庁は、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」を活用した患者搬送を5月中旬にも開始します。これまで搬送の参考とする患者の医療情報は、口頭で聞き取ることが多かったものの、マイナ保険証を利用することで、通院歴や処方薬などの情報を把握することが容易になり、救急活動の迅速化や円滑化につながると期待しています。

 救急現場では、隊員が患者から通院先の医療機関や処方薬などの情報を聞き取って搬送先を決める際の参考にしています。しかし、詳細な情報を覚えていない人も多く、症状によっては会話が困難なケースもあります。こうした状況を踏まえ、消防庁は患者がマイナ保険証を所持している場合、その場で医療情報を閲覧できるシステムを導入します。

 具体的には、患者に同意を得た上で、隊員が専用のカードリーダーでカードを読み取り、レセプト(診療報酬明細書)処理を担う厚生労働省所管の「社会保険診療報酬支払基金」に情報照会するシステムを構築します。このシステムにより、救急車内に設置したタブレット端末で患者の氏名や住所のほか、医療機関の通院歴、処方薬、手術などの情報を閲覧できるようになります。

 このシステムの導入によって、患者から救急隊員への詳しい説明が不要になる上、隊員にとっても、正確な情報に基づき、迅速に搬送先の医療機関を選定することが可能となります。受け入れる医療機関側も、事前に既往歴や処方実績などを把握することで、円滑な救命処置ができます。

 消防庁は、全国の47消防本部の500隊程度で、実証事業としてこの取り組みを始める

考えで、2月上旬まで参加を公募しています。実際に現場でマイナ保険証を活用した救急搬送を実施する時期は、大型連休明けの5月中旬を見込んでいます。将来的には意識のない重体患者のような場合でも、医療情報を閲覧できるようにすることも検討しています。

 2024年2月10日(土)

🟧新興家電のシリウス、ベッドで寝たまま体を洗えるシャワーを発売へ 介護向け機器

 新興家電メーカーのシリウス(東京都台東区)は、ベッドで寝たまま体を洗えるシャワーを開発したと発表しました。お湯を噴射すると同時に吸い取ることで、布団やシーツなど周囲をぬらさずにシャワーを浴びることができます。体が不自由な人の介護向けに、医療機関や特別養護老人ホームなどでの用途を想定しています。

 新製品「スイトルボディ」を3月21日に発売します。同社によると、ベッド上で体を洗えるシャワーは世界初だといいます。別売りのノズルを取り付けることで髪も洗えます。専用の液体せっけんも開発しました。ボタンで切り替えながら、せっけんとお湯を吹き出し口から出して使用します。

 大きさは縦23センチメートル、横45センチメートル、重さは5・5キログラム。掃除機のような形状で持ち運びやすくしました。水タンクの容量は1・8リットル。お湯の温度はセ氏38〜42度で、1度ずつ調整可能。価格は18万4800円に設定し、代理店を通して販売します。

 まず医療機関や特別養護老人ホーム、訪問介護事業者などに販売します。すでに千葉県内の特別養護老人ホームと受託介護事業者に試験導入をしています。中国などアジア4カ国・地域にも展開を計画しており、今春にも台湾で発売する予定を掲げています。将来的にはクラウドファンディングを活用して個人向けにも販売する方針で、2024年度は国内で2万台、海外で1万台販売する計画です。

 亀井隆平社長は、「ベッドに寝かせたまま全身を洗える新しいお風呂の選択肢として広まってほしい」としています。

 亀井社長は1970年の大阪万博で体を自動で洗う「人間洗濯機」を披露した三洋電機出身。今回の新商品「スイトルボディ」を「現代版人間洗濯機」と位置付け、「来年の大阪・関西万博への出展を目指し、世界の介護問題解決の一助になりたい」と意気込んでいます。

 2024年2月10日(土)

2024/02/09

🟧日本脳炎ワクチン接種漏れ、不足解消も最大200万人の可能性 厚労省が注意呼び掛け

 2021年に起きた日本脳炎ワクチンの供給不足により接種できなかった子供たちが、供給が回復した2022年度以降も未接種になっている恐れがあるとして、厚生労働省が注意を呼び掛けています。該当するのは主に今年4月から小学1年になる2017年度生まれと、小学6年になる2012年度生まれで、最大で約200万人に上る可能性があります。

 日本脳炎は、蚊が媒介するウイルス感染症。発症すると2割以上が死亡し、生存者の約半数に精神障害などの後遺症があるとされます。ワクチンの定期接種は計4回。標準的なスケジュールでは3歳で1〜2回目、4歳で3回目、9歳で4回目を打ちます。

 2021年1月、ワクチン供給元の一つ、阪大微生物病研究会(大阪府吹田市)が「製造上の問題が生じた」として出荷停止を発表。製造過程で設備内に微生物が発生したといいます。

 他メーカーを含めた全体の供給は2割減り、厚労省は2021年度、1〜2回目の人らを優先する措置を取りました。これにより3〜4回目の対象者への、自治体からの接種の案内送付が翌2022年度に延期されました。

 供給量は2022年度に回復したものの、医療機関への納入数は2020年度約467万回分、2021年度約245万回分、2022年度約422万回分。2021年度に落ち込んだ約200万回分が、その後、上乗せされていません。

 厚労省は、2021年度に3〜4回目の対象だったが延期され、現在も未接種の人に、改めて接種の案内を送るよう自治体に要請。担当者は「母子手帳などを確認して、未接種であれば接種を検討してほしい」と話しています。

 2024年2月9日(金)

🟧新型コロナ感染者、11週連続で増加 インフルエンザ感染者も増加傾向

 厚生労働省によりますと、2月4日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナウイルスの患者数は、前の週から5998人増えて7万9605人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は16・15人で、前の週の1・08倍となりました。前の週から増加が続くのは11週連続となります。

 都道府県別では、多い順に石川県が24・52人、福島県が24・49人、愛知県が22・55人、茨城県が22・46人、長野県が22・13人などとなっていて、41の都道府県で前の週より増加しています。

 このうち石川県は、能登半島地震の影響で、新型コロナの患者数を報告することになっている48の医療機関のうち、能登北部の2カ所からの報告は含まれませんが、高い水準となっています。

 このほか、2月4日までの1週間に全国約500の定点医療機関から報告された新たに入院した患者の数は3459人で、前の週と比べて135人の増加でした。

 厚労省は全国の流行状況について、「引き続き増加傾向が続いていて、手洗いや、こまめな換気を行うなど対策を徹底してほしい」としています。

 一方、国立感染症研究所などによりますと、2月4日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告された季節性インフルエンザの患者数は11万1501人で、1医療機関当たりでは22・62人と、前の週よりも3・42人増えました。

 データを基に推計されるこの1週間の全国の患者数は約73万8000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの累積の患者数は約1358万2000人と推計されています。

 1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみますと、福岡県が最も多く57・36人で、沖縄県が41人、佐賀県が40・31人、宮崎県が39・14人などと、8つの府県で「警報レベル」の30人を超えました。

 また、大阪府が29・64人、愛知県が27・53人、東京都が20・29人などと、35の都道府県で10人を超える「注意報レベル」となりました。

 前の週と比べると、佐賀県で1・8倍、福岡県で1・64倍、北海道で1・63倍などと、34の都道府県で増えていて、全国的に増加傾向となっています。

 感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、新型コロナウイルスの流行状況について「全国の患者数は先月、増加のペースが上がったが、このところ少し緩やかになり、ピークを迎えつつあると考えられる。ただ、高齢者の患者数が増えていることが気掛かりだ。この傾向が続くと、入院患者や重症者が増え、医療がひっ迫する懸念もあり、油断はできない」と話していました。

 一方で、「オミクロン型の一種で従来のウイルスよりも感染力がやや高く、過去の感染やワクチンによる免疫を逃れる能力が高い『JN・1』という変異ウイルスが国内でも広がっている。感染拡大の要因になり得るので注意が必要だ」と話していました。

 また、「インフルエンザの患者数は年末に一度減ったが、年明けから『B型』のウイルスが増えていることに伴い、第2波のような形で広がっている。しばらくは増加が続くとみられ、注意が必要だ」と話しています。

 2024年2月9日(金)

🟧崎陽軒のシウマイにシリコン片混入 5商品の回収進める

 横浜市に本社がある崎陽軒は、7日に販売したシウマイのみを詰めた商品にシリコン片が混入していたと発表し、回収を進めています。崎陽軒によりますと、回収を進めているのは「昔ながらのシウマイ15個入」など、シウマイのみを詰めた5つの商品です。

 7日午前、商品を購入した客から「シウマイの中に異物が混入している」という問い合わせが相次ぎ、会社が確認したところ、長さ1センチから2センチほどの乳白色のシリコン片が混入していたということです。

 シリコン片は横浜市内の製造工場でシウマイの形を整える工程で使用する機械の部品の一部とみられ、会社では製造過程で混入したとみて、7日、同じラインで製造した5つの商品について回収を進めています。

 対象商品は、「昔ながらのシウマイ6個入」、「昔ながらのシウマイ15個入」、「昔ながらのシウマイ30個入」、「羽田昔ながらのシウマイ15個入」、「羽田昔ながらのシウマイ30個入」で、7日午前5~7時に製造されたもの。

 5つの商品は神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県、静岡県の直営店や駅の売店などで販売されていて、2200個余りに上るということです。

 会社によりますと、これまでに健康被害の情報は入っていないということです。

 同社によれば当該商品の店頭在庫はすでに引き下げていますが、該当する製品が手元にあった際は崎陽軒直営店に持参するか、料金着払いにて返送するよう促しています。購入代金は返金するといいます。

 同社は「多大なるご迷惑をお掛けしている。今後このようなことが発生しないよう管理体制の強化に努める」としています。

 送付先は、〒224-0044 横浜市都筑区川向町675-1、崎陽軒 シウマイ点心事業部製造部 生産管理・技術課宛。電話045(472)5981。

 2024年2月9日(金)

🟧サッポロビール、度数8%以上の「ストロング系」缶チューハイの新商品を発売せず 健康リスクなど考慮

 サッポロビールは9日、今後新商品でアルコール度数8%以上の缶チューハイを発売しない方針だと明らかにしました。割安な缶チューハイの中でも度数の高い「ストロング系」は手軽に酔えるとあって、40~50歳代の男性を中心に根強い人気を集めてきたものの、専門家からは依存症への懸念の声も上がっています。サッポロビールは「健康意識が高まっている中で商品構成を見直した」といいます。

 サッポロビールが発売する缶チューハイのうち、8%以上の商品を最も多く発売していた2018年末には20商品ありました。現在は度数9%の「サッポロ 超男梅サワー」1商品のみで、「同商品の販売を継続するかは検討中だ」としています。

 高アルコール商品に強いサントリーは「マイナス196℃ストロングゼロ」シリーズなどを展開する一方、ほかの酒類大手では商品数を減らす動きが目立っています。

 キリンビールも、8%以上の缶チューハイを10商品にとどめ、商品数を減らしています。

 アサヒビールも、今後投入する缶チューハイはすべて8%未満に抑える考え。同社が現在販売している8%以上の缶チューハイは、セブン&アイ・ホールディングスと共同開発した度数9%の「クリアクーラーストロング レモン&ライムサワー」のみです。

 アサヒビールも、適正飲酒を推進する観点から削減を進めてきました。2020年末の79商品から2021年末に34商品に減らし、直近はセブン向けの1商品だけになっていました。一定の需要があるため、現時点ではすぐに終売する予定はないといいます。

 厚生労働省は適切な飲酒量の判断に役立ててほしいとして、「飲酒ガイドライン」の素案を2023年11月に策定しました。1日当たりの「純アルコール量」で、男性は40グラム以上、女性は20グラム以上を摂取した場合に生活習慣病のリスクを高めるとしています。度数7%の350ミリリットル缶1本を飲みきると、20グラム相当の純アルコール量となるとなります。

 2024年2月9日(金)

2024/02/08

🟧東京都、新型コロナ感染者は前週から横ばいも入院患者は増加

 東京都内の感染症について、都は、今月4日までの1週間の1医療機関当たりの感染者数などを公表しました。

 新型コロナは11・38人で、前の週の1・01倍と横ばいとなりました。

 一方、入院患者数は今月5日の時点で1820人と、前の週より221人増えました。

 専門家は、「免疫逃避性が高いとされる変異型JN・1が主流になった」と分析しています。

 また、インフルエンザは20・29人で、前の週の18・53人からおよそ9%増加しました。

増加は4週連続で、およそ75%が14歳以下の子供です。依然として、注意報レベルの10人を超えています。

 このほか溶連菌感染症の一種A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は4・18人で、前の週の1・02倍と横ばいとなりました。

 都は引き続き、こまめな手洗いや、場面に応じたマスクの着用など感染対策を呼び掛けています。

 2024年2月8日(木)

🟧新型コロナ感染者の4割に後遺症 神奈川県が初の実態調査

 神奈川県は新型コロナウイルス感染症の後遺症を巡り、患者と医療機関の実態調査を初めて行い、結果をまとめました。診療態勢が変更になる4月以降も後遺症への対応は必要なため、回答を政策立案に役立てる考えです。

 患者への調査は昨年10月、県のLINE公式アカウントを通じて実施し、1万8260人が回答。感染歴があるとした9604人のうち、4割の4328人に後遺症の症状があり、2601人は「医療機関を受診していない」と答えました。症状の経過をみていた人や、対応している医療機関がわからない人が多くいました。

 後遺症の症状(複数回答)は、倦怠(けんたい)感(1691人)、持続するせき(1484人)、嗅覚障害(860人)、味覚障害(806人)、息切れ(652人)、頭痛(531人)など。後遺症が出た人の半数近くに当たる2155人は「現在も悩んでいる」とし、そのうち843人が学校や仕事を一定期間休んだり、辞めたりしたと答えました。

 ワクチン接種回数に関する質問では、感染の有無による差がありました。感染したことがある人は「3回」が最も多く3008人。次いで「4回」が2451人、「2回」が1418人などでした。一方、「感染したことがない」と回答した8656人は「4回」が最多の1980人で、「6回」の1750人、「5回」の1633人、「7回」の1577人と続き、総じて回数が多い傾向が認められました。

 医療機関の調査は昨年10~11月、2500カ所に協力を求め、737カ所が回答。後遺症を診療する上で必要な支援について、「診療方法の確立」「診療報酬の増額など」「社会の理解が進む」といった声が寄せられました。

 調査では、県が後遺症を診療していると把握できておらず、ホームページにも掲載していない医療機関の存在が判明。情報収集能力の課題も浮かび上がりました。

 県や独自に保健所を設置する6市、医療関係団体などでつくる県感染症対策協議会は、4月以降の新型コロナウイルス対応方針を決めました。専用の病床確保や外来対応医療機関の公表、入院患者数の集計、電話相談窓口などは3月末で廃止します。一方、1週間ごとにまとめている定点把握による感染者数の報告や変異型検査と、後遺症外来の公表と後遺症の相談事業は続けます。

 ワクチン接種は継続するものの、有料化します。医療費補助は廃止か縮小を見込んでおり、今後詳細を詰めます。感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同じ5類になったことに伴う態勢変更ですが、協議会では出席者から「何となくの流れで普通の病気と同様に扱われるのは危険」との懸念の声も出ました。

 2024年2月8日(木)

🟧1月の世界平均気温13・14度で観測史上最高 8カ月連続で更新

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は8日、1月の世界平均気温は13・14度で、同月としては1940年からの観測史上最高になったと発表しました。これまで最高だった2020年1月を0・12度上回りました。

 産業革命前と同程度とされる1850~1900年の1月の平均気温より、1・66度高くなりました。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、年ごとの変動を除いた世界の平均気温の上昇幅を1・5度に収めることが目標ですが、達成は難しくなってきています。

 C3Sの1月の発表によると、2023年全体の世界平均気温でも1850年の統計開始以降で最高を更新していました。 

 人間の活動による気候変動とエルニーニョ現象を背景に、気温上昇が継続しており、昨年6月以降は8カ月連続ですべての月が単月で過去最高気温を記録しています。

 C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、「1月として史上最も暖かかっただけでなく、産業革命前の基準を1・5度以上上回る期間が12カ月間続いた」と述べ、温室効果ガス排出量の削減が気温上昇を食い止める唯一の方法だ」と訴えました。

 アメリカの科学者は、今年の世界平均気温が昨年を上回る確率は約30%で、トップ5以内に入る確率は99%だとしています。

 2024年2月8日(木)

🟧誰もがかかる可能性のある「心の病」の正しい知識を 40年ぶりに高校で必修化

 増加の一途をたどっている小中高生の自殺の要因の一つに鬱(うつ)病など精神疾患も指摘されている折、2022年度からは高校の保健体育の教科書に精神疾患についての記載が40年ぶりに復活しました。子供たちが「心の病」についての正しい知識を持つことで、予防や早期治療につなげようと、教育現場では試行錯誤を続けています。

 大修館書店の教科書「新高等保健体育」では、計6ページにわたってイラストとともに鬱病や統合失調症など主な疾患の症状や対処法、予防法などを紹介。人の言葉に過敏になったり、電車に乗れなかったりと各疾患の具体的なサインも掲載し、誰もが罹患(りかん)し得る病気であることや、知識を身に付けることで早期発見と周囲の人の支援につながると説明しています。

 背景の一つには、小中高生の自殺者の増加があります。厚生労働省によると2022年の自殺者は514人と過去最多。また、国立成育医療研究センターが子供対象の精神科がある16の医療機関に調査したところ、「死にたい」という希死念慮を持つと診断された20歳以下の外来患者は、2022年度で214人で、調査を開始した2019年度から1・6倍となりました。

 一方で、高校で必修化するだけでなく、義務教育段階の小中学校での学習が必要との声も上がっています。精神疾患に罹患した成人のうち、約50%が14歳までに、約75%が24歳までに発症しているという海外の研究結果もあり、発症のピークは10歳代前半とみられるためです。

 精神疾患を抱える人の家族らでつくる「全国精神保健福祉会連合会」の小幡恭弘(やすひろ)事務局長は、高校での必修化に「正しい知識を持つ取っ掛かりになる」と評価しつつも、自身や周囲の不調に早期に気付くには、小中学生からの学習が必要と強調。「早い段階から学ぶ機会を設け、年齢を重ねながら疾患について理解していくことが重要」と指摘しています。

 2024年2月8日(木)

🟧福岡県のインフルエンザ感染者数、2019年1月以来の1万人超 新型コロナも11週連続の増加

 福岡県は8日、県内198カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数が1月29日~2月4日の1週間で、前週比1・64倍の1万1358人だったと発表しました。1万人を超えるのは、コロナ禍前の2019年1月以来。

 3週連続の増加で、1医療機関当たりは57・36人でした。11週連続で、大きな流行の発生や継続が疑われることを示す「警報レベル」の基準値30人を超えています。

 県の医師会によりますと、インフルエンザB型の感染者が急増しているということです。県は「2月中は流行が見込まれ、さらに感染者が増える可能性がある」としており、感染拡大防止のため手洗いや、適切なマスクの着用を呼び掛けています。

 新型コロナウイルスの同期間の感染者数は、前週比1・22倍の2765人。11週連続の増加となり、1医療機関当たりは13・96人でした。

 また、子供の感染が多く、高熱やのどの痛みなどの症状が出る「咽頭結膜熱」と、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」いわゆる「溶連菌感染症」も「警報レベル」が続いています。

 2024年2月8日(木)

2024/02/07

🟧致死率ほぼ100%、アフリカ豚熱が韓国で急拡大 農水省が水際対策強化へ

 ブタの伝染病、アフリカ豚(ぶた)熱(ASF)が九州に近い韓国のプサン(釜山)で急拡大し、日本に侵入するリスクが高まっているとして、農林水産省は、旅行客の往来が活発になる旧正月の「春節」に合わせ、水際対策を強化することになりました。

 ASFは人には感染しませんが、ブタやイノシシが感染すると致死率はほぼ100%とされています。

 日本での感染は確認されていないものの、国内で発生した場合、有効なワクチンがないため、畜産業に大きな打撃となることが懸念されています。

 農水省によりますと、昨年12月以降、韓国の南東部プサンで感染が急拡大し、日本の豚の飼育数で約3割を占める九州などに向かうフェリーターミナルの近くでも、野生のイノシシからアフリカ豚熱の感染が確認されたということです。

 さらに、2月10日から始まる旧正月の「春節」に合わせた連休で、日本と韓国、中国などとの間で旅行客の往来も活発になるため、農水省は水際対策を強化することになりました。

 空港や港で入国者の靴底の消毒を徹底するほか、カーフェリーで入国する場合は、車や二輪車などの消毒も実施します。

 肉製品の食べ残しから日本の野生イノシシに感染が広がる恐れもあるため、生の肉やソーセージのほか、韓国の手巻きすし「キンパ」などに紛れてASFに感染した豚肉が持ち込まれる可能性があるとし、韓国からの船と航空便で検査を行う家畜防疫官や空港や港の探知犬も増強しました。

 また、都道府県には、畜産関係者などへの注意喚起に協力するよう呼び掛けるなど、関係機関と連携し、対処するとしています。

 対策について坂本哲志農林水産相は、「(ASFは)一度侵入を許すと、我が国の畜産業に壊滅的な被害を生じることになる。危機感を共有し、侵入防止に取り組みたい」と述べました。

 ASFは、日本で感染が相次ぐ豚熱(CSF)とはウイルスの種類が異なる別の病気。1909年にケニアで初めて確認され、アフリカやヨーロッパで広く発生しました。2018年8月にはアジアで初となる感染が世界最大のブタの生産国である中国で判明。ブタの飼育頭数が一時約4割減り、推定1000億ドル以上の損失が生じたとされます。今年1月までに韓国や香港、インドなどの地域に感染が拡大しています。

 高熱や元気減退など症状はCSFと似ているものの、ASFの大きな特徴は強い感染力と、ほぼ100%とされる高い致死率。そして、現時点で有効なワクチンや治療法がないことです。

 CSFやAFSは感染したブタやイノシシの唾液や糞尿中にウイルスが排泄され、それと接触することで感染が拡大します。ウイルスは死骸で数カ月以上、冷凍の場合でも1000日以上も感染力を維持します。さらにAFSはダニによる媒介感染も確認され、感染による急死も散見されています。

 AFSのワクチンについては、ベトナムで開発され接種された事例もあります。ただ、専門家からは、接種後のブタの体内で毒性のある新たなウイルスの発生につながる懸念などが指摘されており、多くの国で使用は推奨されていないのが現状。

 国内で野生イノシシのAFS感染が確認された場合、半径3キロ圏内に他の死んだ個体がないか捜索、周囲に電気柵やわなを設置し感染拡大を防止します。また、農場のブタの感染が確認された場合は、発生農場だけでなく、未感染の家畜も含めて一定範囲内の家畜を殺処分する「予防的殺処分」の対象としています。

 2024年2月7日(水)

🟧埼玉県上尾市の病院で集団食中毒、病院食提供の「日清医療食品」に営業停止処分

 埼玉県上尾市の上尾中央総合病院で、入院患者72人の集団食中毒が発生し、埼玉県は7日、病院食を提供している業者に対して、この病院での営業を3日間停止する処分を出しました。

 営業停止の処分を受けたのは、東京都千代田区に本社を置く「日清医療食品」です。

 埼玉県によりますと、1日、上尾中央総合病院で病院食を食べた30~90歳代の入院患者の男女72人から、下痢や腹痛の症状が出たということです。

 保健所が検査したところ、症状を訴えた人のうち25人の便から「ウエルシュ菌」が検出されました。症状を訴えた人はいずれも症状は軽く、快方に向かっているということです。

 1日の病院食は、朝食が大根のとろみ煮やひじきの煮物、昼食が里芋と野菜の含め煮や麻婆春雨などで、入院患者481人に提供されました。夕方ごろから症状を訴える人が出始めたといいます。

 どの料理が原因かはわかっていないものの、保健所はウエルシュ菌による食中毒と断定。食品衛生法に基づき、給食業務を受託している日清医療食品に対して同病院での営業を7~9日の3日間停止する処分を出しました。

 日清医療食品は、「発症された患者様とご家族様には、多大なる苦痛とご迷惑をお掛けしましたことを心より深くお詫び申し上げます」などとコメントしています。

 埼玉県は、加熱調理した食事でも放置せずになるべく早く食べ、保存する時はパックに小分けして冷蔵するなど早く冷やす工夫を呼び掛けています。

 ウエルシュ菌は肉や魚、野菜などに広く付着します。加熱に強く、大量に調理され、長時間室温で放置される食品が原因になることが多いとされます。

 2024年2月7日(水)

🟧節分の恵方巻きなどで176人が食中毒 島根県益田市

 島根県益田市の業者が作った節分の恵方巻きなどを食べた80人が相次いで下痢やおう吐などの症状を訴え、益田保健所は食中毒と断定して、この業者を6日から5日間の営業停止処分にしました。

 処分を受けたのは、惣菜店や飲食店を営む益田市駅前町の「ちるちるみちる」です。

 島根県によりますと、4日に益田市内の医療機関から、この業者が製造した恵方巻きを食べた4人が胃腸炎の症状を訴えて受診したと益田保健所に連絡がありました。

 益田保健所が調べたところ、この業者が2月1日と2日に製造した節分の恵方巻きを食べた10歳未満から80歳代の男女66人が、下痢やおう吐などの症状を訴えたということです。

 また、1月31日に、この業者が営む飲食店で宴会料理を食べた20歳代から70歳代の男女14人が下痢やおう吐、それに発熱の症状を訴えたということです。

 2人が入院しましたが、すでに退院し、ほかの患者も回復傾向にあるということです。

 2月7日には、この業者が作った恵方巻きで発生した集団食中毒で、新たに72人に症状が確認され、計138人になりました。病因物質はノロウイルスでした。

 宴会料理を食べて症状が出た人も新たに24人判明し、計38人になりました。恵方巻きと宴会料理を原因とする集団食中毒は、計176人となりました。

 島根県薬事衛生課は、「調理の前には、せっけんと水で十分に手を洗い、食材は十分加熱してほしい」と呼び掛けています。

 2024年2月7日(水)

2024/02/06

🟧夫婦6割がセックスレス、性の実態調査で判明 若年男性の性への無関心も浮き彫りに

 婚姻関係がありながら、性交渉が1カ月以上ないと回答した人の割合が6割を超えることが、日本人の性に関する実態調査「ジャパン・セックスサーベイ2024」で明らかになりました。若年男性が他の世代より性への関心が際立って薄いことも、判明しました。

 調査を行った専門家は、「日本人のセックスレスが加速しており、特に若年男性は草食化を通り越し〝絶食化〟が進んでいる印象がある」と懸念を示しました。

 調査は総合医療品メーカー「ジェクス」の依頼を受けた「日本家族計画協会」が実施しました。実態調査は2012年から始まり、今回で5回目。昨年11月にインターネットを使って行われ、全国18~69歳の男女5029人を対象に、性への関心や悩み、性生活の実態などを聞き取りました。

 調査で明らかになったのは、日本人のセックスレスの実態で、調査対象者のうち、有配偶者の回答を分析したところ、1カ月以上、夫婦間で性交渉がないと答えた割合は64・2%となり、2020年の前回調査の51・9%を大きく上回りました。

 調査を担った日本家族計画協会会長で産婦人科医の北村邦夫氏は、同協会が長年取り組んでいる別の性に関する調査結果も紹介しながら、「婚姻関係にある人たちのセックスレスに歯止めがかからない状況だ」と説明しました。

 セックスレスについては、最終学歴ごとに比較する興味深い調査項目もありました。海外大学卒の人(5029人のうち0・4%)のセックスレスの割合は12・9%にとどまり、5~6割を占める他の学歴層の人との違いが際立ちました。

 性交渉の経験の有無を聞く項目について、「ない」と答えた割合は、男性が19・2%(前回13・3%)、女性16・5%(同9・4%)。男女とも各世代で前回調査を上回りました。

 さらに今回の調査では、若い男性の性への関心の低さも浮き彫りとなりました。「セックスをしたいと思いますか」という問いに、10~20歳代の男性で「思う」とした割合は63・4%。30~60歳代の各世代の男性が8割を超えるのに対して、著しく低い結果でした。

 セックスをしたいと「思わない」とした割合も10~20歳代は36・6%で、1割程度しかいない他の世代の男性と大きく異なりました。

 北村氏は、「若い男性については、性に関心がある層とない層の2極化が進んでいるのが実態だと考えられる。現代は、動画などで性的なコンテンツに容易に触れられる時代。それで十分満足し、人と人の触れ合いを面倒くさいと思う若者もいるのかもしれない」と話しています。

 2024年2月6日(火)

🟧有害性指摘のPFOS含む消火剤、東京都所有の駐車場など30施設に設置判明

 有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」を巡り、東京都が所有する駐車場や事務所ビルなどにある消火剤について都が調べたところ、30の施設で有害性が指摘される物質を含むものが設置されていたことがわかりました。

 「PFAS」は、有機フッ素化合物の総称で、「PFOS(ピーフォス)」や「PFOA(ピーフォア)」など一部の物質は水や油をはじく特性などから、かつて泡消火剤など幅広い用途に使われていましたが、有害性が指摘され、国は水質の暫定的な目標値を設けるなどして規制しています。

 こうした中、昨年12月、東京都町田市内の立体駐車場に設置されていた消火設備を何者かが起動し、PFOSを含む泡消火剤が近くの川に流れ出て、川の水から国の目標値を上回る値が検出されました。

 これを受けて都が、都の施設すべてで、PFOSを含む消火剤が設置されているかどうか緊急で調査を行ったところ、都内の駐車場や事務所ビルなど、合わせて30の施設で設置されていたことがわかりました。

 都は、規制対象の物質を含んでいることがわかった場合、取り替えており、今回の結果を踏まえ、交換を進めています。

 また、民間施設でも交換を進めようと、費用の一部を補助するのにおよそ2億3000万円余りを新年度・2024年度予算案に盛り込んでいます。

 町田市では、昨年12月、市営の立体駐車場の消火設備が何者かによって起動され、有害性が指摘されているPFOSを含む泡消火剤がまき散らされました。

 市によりますと、泡消火剤の中には、PFOSが8リットルから1・6リットル程度含まれ、洗い流した際などに、排水溝から近くを流れる境川に流れ出たということです。

 これを受けて、市が川の水質検査をした結果、下流の2カ所で国の暫定的な目標値の1リットル当たり50ナノグラムを大幅に上回る、810ナノグラムと190ナノグラムのPFOSが検出されたということです。

 消火設備は、天井に張り巡らされたパイプを通して上から泡消火剤を放出する仕組みで、火を感知した場合に自動で作動するほか、火事に気付いた人が手で起動できるよう、封のされたレバーも駐車場内に設置されています。

 この泡消火剤は、PFOSが規制される前の1980年に駐車場ができた際に設置されたもので、来年度以降の老朽化した駐車場の建て替えに合わせてPFOSを含んでいないものに交換する予定だったということです。

 PFASの問題に詳しい京都大学大学院の原田浩二准教授は、「立体駐車場などに設置されている泡消火剤は古いものだと、PFOSを含んでいるものが数多くあり、それが今も残っている。PFOS自体は劣化しない物質だが、消火設備は劣化してしまうので、老朽化で誤作動などが起きた場合に、PFOSを含んだ泡消火剤が流出するケースが全国各地で報告されている」と指摘しています。

 その上で、「身近なところにも流出リスクが常にあること、それが場合によっては水源などにも影響し得ることは考える必要がある。立体駐車場などでは、規模によって消火設備の設置が義務付けられているが、消火剤をどのように交換するのかという仕組みが十分ではなく、設置当初からずっと置かれている状態になっているものもあるので、早くPFOSが出ないものに交換することは喫緊の課題だ」と話しています。

 2024年2月6日(火)

🟧胎児にブタの腎臓を一時移植、慈恵医大が国内初の臨床研究を計画

 重い腎臓病の胎児が生後、別の治療を受けられるようになるまで、一時的にブタの腎臓を移植する国内で初めての臨床研究を東京慈恵会医科大学や国立成育医療研究センターなどのチームが計画していることが6日、わかりました。チームでは、年内にも国が認定する委員会への申請を目指すということです。

 臨床研究を計画しているのは、東京慈恵会医科大学の横尾隆主任教授などのチームです。

 計画は、生まれる前から腎臓が働かず、十分に尿が作れない「ポッター症候群」の胎児にブタの胎児の腎臓を移植するもので、出生後に人工透析による治療ができるようになるまでの、一時的な治療を目指しているということです。

 動物の臓器や細胞を人に移植する「異種移植」は拒絶反応が大きな課題ですが、チームによりますと、ブタの胎児の腎臓は拒絶反応が起こりにくく、人工透析ができるようになれば移植したブタの腎臓は取り除くということです。

 一方、異種移植には倫理的な課題も指摘されていることから、チームでは市民の理解が得られるかを踏まえながら慎重に準備を進めるということで、今後、研究施設の倫理委員会で審査を受けた上で、年内にも国が認定する委員会への申請を目指すことにしています。

 異種移植が実際に行われれば、国内では初めてだということです。

 横尾主任教授は、「治療法がない子供に生きる希望を与えられる治療法だと思う。社会に許容されるのか、安全性、有効性、そして倫理面の3つをしっかり検証しながら進めたい」と話しています。

 2024年2月6日(火)

🟧大雪の影響で東京都で4歳~92歳の男女計120人救急搬送 神奈川県、千葉県では重傷者も

 関東甲信を中心とした大雪の影響で、東京都内では5日から6日午前11時までに4~92歳の男女計120人が救急搬送されました。全員、命に別状はありません。

 東京消防庁によると、東京都足立区で6日午前7時ごろ、出勤途中の40歳代男性が雪で滑って転倒し、左脚の骨を折って救急搬送されたといいます。

 埼玉県では53人が軽傷を負いました。千葉県は重傷1人、軽傷12人。神奈川県は重傷5人、軽傷34人。

 関東甲信を中心とした大雪は6日早朝にはピークをすぎ、気象庁は5日に9都県の全域や一部に出していた大雪警報を順次、解除しました。

 気象庁は気圧の谷や寒気の影響で6日も雪や雨が降る所があるとして路面凍結などに伴う交通障害に警戒を呼び掛けました。

 2024年2月6日(火)

2024/02/05

🟧アメリカ疾病対策センター、東京都内に事務所を開設 世界の健康安全保障にとって重要

 アメリカで新型コロナウイルスの対応を中心的に担った疾病対策センター(CDC)が5日、新たに東京都内に「東アジア・太平洋地域事務所」を開設しました。

 開設に合わせて来日したCDCのトップ、マンディー・コーエン所長は、「多くの新型ウイルスが発生していることから、この地域が健康という観点から、世界の安全保障にとって、いかに重要かを理解している」と述べ、新型コロナウイルスが当初、中国を中心に感染が広がったことも念頭に、東京都内に事務所を設ける意義を強調しました。

 その上で、新たな感染症への備えについて、「脅威を特定し、迅速に対応するためには協力と情報交換が重要だ。人々の健康を守るためには、それぞれが持つ強みを結集する必要がある」として、日本を含めた各国と速やかな情報共有を行うとともに、検査能力やウイルスの変異を調べるゲノム解析の能力について、各国を支援していく考えを示しました。

 また、コーエン所長は日本について、「健康安全保障のリーダーだ」と述べ、治療薬やワクチンの生産などで、日本の果たす役割に期待を示しました。

 2024年2月5日(月)

🟧劇症型溶血性レンサ球菌感染症、昨年1年間の患者数が941人で過去最多 今年に入ってからも139人確認

 足の壊死(えし)など短時間で急速な状態悪化を招き、「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者報告が昨年、過去最多となりました。今年に入ってからも、多数の患者が確認されており、警戒が高まっています。

 国立感染症研究所の公表データによると、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者は2014年に268人となって以降、増加が続き、2019年には800人を超えました。

 新型コロナウイルス禍となった2020~2022年はやや減少したものの、2023年は941人(暫定値)と、それまで最も多かった2019年の894人を上回り、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最多となりました。今年に入っても1月21日時点で139人の患者報告があります。

 主な病原体は「A群溶血性レンサ球菌」という細菌。感染経路は飛沫(ひまつ)や接触とされ、通常は体内に入っても咽頭炎などを患う程度ですみます。だがまれに、血液などに菌が侵入して重篤な事態を招くのが劇症型です。60歳代以上の大人に多いとされます。

 国内では現在、A群溶血性レンサ球菌による子供の咽頭炎が増加。ヨーロッパで流行が報告されている病原性や感染力の高いタイプの株も確認されている状況にあります。

 厚生労働省は1月17日、劇症型の患者から採取した検体の解析を進めるよう自治体に依頼。武見敬三厚労相は同19日の閣議後会見で、今後の感染動向を「注視していく必要がある」と述べました。

 劇症型の初期症状は発熱や悪寒、手足の痛みや、はれなど。ただ、短時間で細菌が増殖して急激な状態悪化に見舞われます。筋肉周辺組織の壊死や多臓器不全などで発症後数十時間で死に至ることもあり、致死率は約3割とされます。

 東京女子医科大病院の菊池賢教授(感染症科)は、「例えば、朝までは、『先が少しはれている程度』だった足がみるみるうちに真っ黒になっていき、昼ごろには膝ぐらいまで壊死が進んでしまうこともある」と、状態悪化の急速さを説明。

 こうした状態で病院搬送されてきた患者の場合、抗菌薬の投与だけでは救命が間に合わず「すぐに股関節当たりから足を切断しなければ、命を助けられないとの緊迫感の中で、対応を進める必要が出てくる」とも明かします。

 菊池教授は、手洗いやアルコール消毒、マスク着用など基本的感染対策に加え、「足の清潔」を気にかけてほしいと話しています。

 菊池教授がこれまで診てきた劇症型の患者の多くは高齢者で、転倒して足を打撲した後に容体急変に見舞われるなど「足の傷口」からの感染が疑われるケースが目立ち、傷口がある状態で屋外を素足で歩き回れば、傷口から細菌が入り込む恐れが高まり、靴擦れや水虫といった足の状態もリスクになり得るといいます。

 ただ、患者側にとっては判断の難しさもありそうです。微熱、軽い足の痛みなどの症状段階で医療機関に行くべきかを悩む人もいるかもしれないものの、菊池教授は「はれが増して高熱が出るなど強い症状があれば迷うことなく、入院設備の整った病院を受診してほしい」と呼び掛けています。

 2024年2月5日(月)

🟧Hib感染症を加えた「5種混合ワクチン」、4月から定期接種へ

 百日せきや破傷風などを予防する子供を対象にした4種混合ワクチンに、肺炎などを引き起こすHib(ヒブ)感染症を加えた「5種混合ワクチン」について、厚生労働省は今年4月から新たに法律上の定期接種に位置付けて接種を行う方針を決めました。

 子供が接種する4種混合ワクチンは、百日せきや破傷風、ジフテリア、ポリオを予防するためのもので、生後2カ月から接種が行われています。

 5日開かれた厚労省の専門家分科会で、4種混合ワクチンに肺炎や髄膜炎などを引き起こすHib感染症を加えた「5種混合ワクチン」について、法律上の定期接種に位置付けて接種を行うことについて了承されました。

 定期接種の対象となるのは生後2カ月から7歳半までで、一定の期間を空けて初回接種と追加接種で合わせて4回の接種が行われます。

 Hibワクチンは、現在も単体で定期接種が行われていますが、4種混合ワクチンも合わせると合計8回の接種が必要で、スケジュール管理が課題となっており、5種混合ワクチンに混合することで接種回数を減らすことができると期待されています。

 5種混合ワクチンの定期接種は、今年4月から行われます。

 2024年2月5日(月)

🟧恵方巻き食べた34人が食中毒、1700本販売したすし店を営業禁止処分 兵庫県姫路市

 兵庫県姫路市保健所は4日、同市魚町のすし店「雷寿司」で販売した節分の恵方巻きを食べた2~81歳の男女34人が、吐き気や下痢、腹痛などの症状を訴えたと発表しました。

 同保健所は、それぞれの症状が似ていて発症した時間も近いことに加え、ほかに疑われる感染経路が確認できないことなどから、食中毒と断定し、同店を4日付で営業禁止処分としました。全員軽症で入院した人はおらず、快方に向かっているといいます。

 発表では、3日午後から複数の人が同保健所管内の医療機関を受診。いずれも3日に同店で購入した巻きずしを食べていたといいます。

 同店では2、3両日で計約1700本を予約客や常連客に販売。同保健所が詳しい原因を調べています。

 2024年2月5日(月)

2024/02/04

🟧製薬会社の資金提供、医師への接待費も公表義務化へ 厚労省、4月から適用

 厚生労働省は、製薬会社が資金を出し、自社製品の臨床研究を大学病院などの医師が行う際のルールを厳格化する方針を決めました。臨床研究法では、製薬会社に対し、研究責任者の医師に提供した資金の公表を義務付けていますが、医師への接待費用などを新たに加えます。透明性を高める狙いで、同法の施行規則を改正し、4月から適用します。

 現行のルールでは、研究資金のほか、医師が所属する大学などへの寄付金、講演会の講師謝金、原稿執筆料が公表対象となっています。しかし、「別の名目で資金提供される可能性がある」との指摘があり、対象を広げることにしました。

 新たに公表対象にするのは、医師への接待費のほか、医師に対する説明会や講演会にかかった費用や件数、情報提供関連費。期間は、研究中や研究終了後2年以内とします。

 臨床研究法は、高血圧治療薬「ディオバン」を巡る臨床研究データ改ざん事件で、製薬会社から研究を実施する大学側に寄付金が提供されていたことを受け、2018年に施行されました。

 2024年2月4日(日)

🟧コロナ派生型「JN・1」、東京都内6割に拡大 感染力が強く入院増

 新型コロナウイルスのオミクロン型から派生した「JN・1」の感染が、日本や米欧など各国で拡大しています。国内の入院患者は2023年12月から増え続け、2023年夏の第9波のピークを上回りました。インフルエンザなども同時流行する中、各地の救急医療は逼迫しつつあります。

 世界保健機関(WHO)は12月、JN・1を「注目すべき変異型(VOI)」に指定し、監視レベルを引き上げました。

 東京都のゲノム解析では、昨年12月4~10日に17・2%だったJN・1の割合は、同25~31日に45・1%、1月8~14日には58・3%と急速に拡大し、流行の主流へと置き換わっています。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)の推定でも、JN・1は1月7〜20日のアメリカの新規感染で約86%に上りました。

 JN・1は派生型「BA・2・86」に変異が加わったもので、直近の主流だった「EG・5(通称エリス)」などよりも感染力が強くなっています。東京大学や北京大学の研究グループはそれぞれ、JN・1は免疫から逃れる性質が強いとの分析結果を報告しました。体内の抗体がJN・1には効きにくいため、感染が広がる一因になっているとみられます。

 厚生労働省によると、全国約500カ所の定点医療機関で1月15〜21日の新規入院患者数は3483人で、2023年8月の第9波のピークを上回りました。22〜28日も3311人と高水準でした。全国約5000の定点医療機関で報告された新規感染者数は10週連続で増加しました。

 呼吸器感染症が流行しやすい冬を迎え、JN・1の感染力の強さや、ワクチン接種から時間がたったことによる免疫の低下なども影響して、感染者と入院患者の増加につながっています。今冬はインフルエンザや咽頭結膜熱、溶連菌感染症なども流行しています。

 各地の救急医療体制は逼迫しつつあります。総務省消防庁によると、搬送先がすぐに見付からない「救急搬送困難事案」も、2023年8月の直近のピークに並ぶ規模です。

 人混みでのマスク着用やワクチン接種などの基本的な対策は有意義。JN・1は免疫から逃れやすくなっているものの、派生型「XBB・1・5」に対応した現在のコロナワクチンの接種には、免疫をある程度底上げする効果が期待されます。コロナに感染しないことは、倦怠(けんたい)感などの後遺症を避けるための対策にもなります。

 2024年1月4日(日)

🟧市販薬の過剰摂取疑いで救急搬送5625人、2023年上半期 若年層に目立ち、7割が女性

 市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が原因と疑われる救急搬送者が、昨年1〜6月で5625人に上ったことが3日までに、総務省消防庁と厚生労働省の調査でわかりました。20歳代が1742人で最も多く、10歳代の846人と合わせて半数近くを占めました。女性が4132人で全体の7割でした。

 風邪薬やせき止めなどの過剰摂取は、一時的に気分が高揚することもあるものの、意識障害や呼吸不全を引き起こす危険があります。

 調査は各都道府県や政令市などの計52消防本部を対象に、2020年1月〜2023年6月の救急搬送に関する活動記録に「オーバードーズ」「薬」「過剰」などが含まれる事例を集計しました。薬の誤飲なども含まれている可能性があるとして、厚労省は参考値としています。

 集計結果によると、2020年9595人、2021年1万16人、2022年1万682人で増加が続いており、2020年と2022年を比べると10歳代は1・5倍、20歳代は1・2倍に増えていました。10歳未満も毎年30人前後いました。

 厚労省は依存性がある成分を含む市販薬を20歳未満に販売する場合は、小容量製品1個に制限するといった制度の見直し案をまとめ、医薬品医療機器法改正を目指しています。

 2024年2月4日(日)

2024/02/03

🟧過労で自殺の医師遺族、2億円超の賠償求め提訴 大阪地裁

 甲南医療センター(神戸市東灘区)の専攻医だった高島晨伍さん(当時26)が2022年5月に過労自殺した問題で、遺族は2日、病院を運営する公益財団法人「甲南会」と理事長に約2億3400万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地方裁判所に起こしました。専攻医らの長時間労働を改善しなかったなどと訴えています。

 訴状によると、高島さんは2020年4月から同センターで勤務。研修医や専攻医として働いたものの、うつ病を発症し、2022年5月17日、自宅で自殺しました。

 西宮労働基準監督署は昨年6月、自殺は過重労働によるものとして労災を認定。直前1カ月間の時間外労働時間は、自己申告では7時間だったものの、労基署は207時間50分と算定しました。

 センターでは他の医師の長時間労働も常態化し、専攻医らが業務改善を求める書面を提出するなどしていました。

 遺族側は訴状で、高島さんの実際の労働時間は労基署の算定以上だったと主張。専攻医らの嘆願をセンターは軽視しており、理事長には長時間労働を是正しなかった責任があると訴えています。

 提訴後、大阪市内で記者会見した母親の淳子さん(61)は、「甲南医療センターは労務管理を改め、晨伍に誓って二度と同じことが起こらないようにしてほしい」と話しました。

 訴えについて甲南医療センターは、「提訴されたことは重く受け止めております。真実に基づき、裁判所に適切に判断いただくべく、誠実に対応していきます」とコメントしています。

 2024年2月3日(土)

🟧先天梅毒の子供が37人で過去最多に 梅毒の妊婦から胎児への母子感染

 梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」の子供の数は昨年1年間で37人と、現在の方法で統計を取り始めてから最も多くなったことが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。

 国立感染症研究所によりますと、2013年1年間に報告された性感染症の梅毒の患者のうち、妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」と診断された子供の数は速報値で37人と、1999年に今の方法で統計を取り始めてから最も多かった2019年1年間での23人を上回り、これまでで最も多くなっています。

 過去5年間は20人前後で推移しており、大幅な増加となっています。

 梅毒は主に性的な接触で広がる細菌性の感染症で、治療せずに放置すると深刻な症状を引き起こすことがあるほか、感染した妊婦から胎児に母子感染すると「先天梅毒」といって、死産につながったり、皮膚の異常や難聴といった症状が出たり、発達に遅れが出たりする恐れがあります。

 先天梅毒の急増を受けて、日本産科婦人科学会は昨年12月、先天梅毒への注意の呼び掛けを発表しました。

 呼び掛けでは、梅毒に感染する妊婦が急増しているとした上で、「自分、パートナーそして生まれてくる赤ちゃんを梅毒の感染から守るために、妊娠前に梅毒に感染していないことが重要です」として、コンドームを使わないなど、リスクのある性行為があった場合は男女ともに検査を受けるよう強く求めています。

 性感染症に詳しい日本大学医学部の川名敬主任教授は、「梅毒の感染が拡大する中、感染に気付いていない女性もいると考えられ、感染に気付かず妊娠すると先天梅毒がさらに増えることが危惧される。男女ともに検査を積極的に受けてほしいし、妊娠の前に梅毒の治療をしておくことが大切だ」と述べました。

 2024年2月3日(土)

🟧糖尿病治療薬の広告規制強化へ、ダイエット効果や安全性は未確認

 糖尿病の治療薬がダイエット目的で使われている問題を受け、厚生労働省は、医療機関の広告規制を強化します。薬の本来の使い方ではなく、自由診療で行う場合、未承認であることなどを明示するよう求めます。医療広告ガイドライン(指針)を近く改正します。

 この薬は「GLP―1受容体作動薬」と呼ばれ、血糖値を下げるほか、食欲を抑える効果があります。主に2型糖尿病治療薬として、国から承認を受けているものの、ダイエット目的での使用は、効果や安全性が確認されておらず、公的医療保険が適用されていません。

 しかし、美容クリニックなどが「やせ薬」として、全額自己負担となる自由診療で投与するケースが増えており、供給不足を招いています。厚労省が美容クリニックのウェブサイトを調査したところ、やせる効果を強調するなど指針に違反する事例が2021年度は50件に上り、2022年度には72件に増えました。

 指針の改正案では、未承認薬を使った自由診療について、未承認薬であること、入手経路、海外での副作用情報、重い健康被害が生じても国から医療費の支給を受けられないことなどを医療機関のサイトで明示するよう求めます。

 厚労省の担当者は「本来の目的とは異なる使用は、思わぬ副作用を招く恐れがある。慎重に判断してほしい」と話しています。

 2024年2月2日(金)

🟧ALS患者嘱託殺人、京都地裁が医師に懲役23年を求刑 検察側「医療知識を悪用」

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の依頼を受け、医師2人が殺害したとされる事件で、嘱託殺人罪などに問われた医師大久保愉一被告(45)の裁判員裁判の公判が1日、京都地方裁判所(川上宏裁判長)でありました。検察側は「希望や生命を絶ち切る重大な結果をもたらした」として懲役23年を求刑。弁護側は改めて無罪を主張して結審しました。判決は3月5日に言い渡される予定。

 検察側は論告で、犯行が発覚しないよう入念に計画したと指摘。完全犯罪をもくろんだとし、「医療知識を悪用した特異な事件だ」と非難しました。

 弁護側は、患者の女性には回復の見込みがなく、耐え続けること自体が不当だと主張。被告による薬物投与は、女性が自ら選択した「穏やかな死」を実現する行為だったと主張しました。

 起訴状によると、大久保被告は2019年11月、元医師山本直樹被告(46)と共謀し、京都市に住むALS患者の女性(当時51)の依頼を受け薬物を投与し、急性薬物中毒で死亡させたほか、2011年3月には山本被告らと共謀し、東京都内のアパートで同被告の父靖さん(当時77)を殺害したとされます。

 山本被告は嘱託殺人罪について懲役2年6月、父親に対する殺人罪で懲役13年を一審京都地裁でそれぞれ言い渡され、控訴しています。

 女性の父親は閉廷後に記者会見し、「なぜそんなことができたのか。憎しみが増すばかりだ」と話しました。

 2024年2月3日(土)

2024/02/02

🟧世界の新規がん患者2000万人 WHOが2022年推計、最多は肺がん

 世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は1日、2022年に新規がん患者が約2000万人、死者が約970万人に上ったとの推計を発表しました。

 人口の増加や高齢化を背景にがん患者は急速に増加し、2050年には新規患者が3500万人超に達すると予測。先進国と途上国間だけでなく、同一国内でも治療の格差が広がりかねないと警鐘を鳴らしました。

 国際がん研究機関は、185カ国からのがん36種に基づくデータを集めて分析。2022年の新規患者のうち肺がんが約248万人と最も多く、乳がんが約231万人で2番目、さらに大腸がん、前立腺がんと続きました。

 国際がん研究機関はまた、およそ5人に1人が一生のうちにがんにかかり、男性9人の1人、女性12人の1人がそれぞれがんで死亡するとしました。

 ただ、がんに伴うリスクは患者の住む場所によって異なります。例えば、先進国では女性12人の1人が乳がんにかかるものの、死亡するのは71人に1人にとどまります。

 生活水準の指標「人間開発指数」が相対的に低い国々では、人口が若い傾向があることや、太りすぎなどのリスクが低いことから、乳がんと診断される女性は27人に1人なものの、死亡するのは48人に1人。

 国際がん研究機関の担当幹部は、こうした国々の女性は、診断される可能性が低く、診断の遅れのほか、質の高い治療が十分に受けられないため、乳がんで死亡するリスクがより高いと指摘しました。

 また、ライフスタイルの変化によりさまざまな種類のがんが増加。新規患者のうち大腸がんが3番目、死者では2番目に多くなっています。

 最も多いのは肺がんの新規患者で、死因の第1位となっており、毎年新たに250万人が診断され、180万人が死亡しています。

 国際がん研究機関によると、2050年までに人口の増加と老化に伴い、世界の新規患者は77%増の3500万人に達する見通し。 しかし、その影響は不均等で、貧困国では新規患者は142%増加し、死亡率は2倍になるだろうとしています。

 日本の新規患者は約100万人で、死者は約42万人。部位は男性で前立腺と肺、女性で乳房と大腸がそれぞれ多くなりました。

 2024年2月2日(金)

🟧東京都の新型コロナ、定点医療機関当たり感染者が4カ月ぶり10人超 

 東京都では1日、都庁で感染症対策の会議が開かれ、1月28日までの1週間の状況が報告されました。

 それによりますと、都内の新型コロナウイルスの感染者は1定点医療機関当たり11・27人で、前週(8・33人)の1・35倍と大きく増加しました。感染者が10人を超えるのは昨年9月以来。

 一方、入院患者数は1月29日の時点で合わせて1599人で、前週の1510人から横ばいで推移しています。

 免疫忌避性が高く、複数回感染しやすい変異型「JN・1」への置き換わりも進み、1月8~14日の週では約6割を占めました。

 専門家は「感染は10歳代以下や40歳代の増加が顕著で、コロナ以外の医療需要もあり、医療提供体制への影響が出ている」として、場面に応じたマスクの着用やせっけんでの手洗いなど感染対策を改めて呼び掛けました。

 また、会議では、都がコロナの感染症法上の位置付けが5類に移行した後も取り組んできた、発熱などの相談ができる新型コロナ相談センターや、高齢者等医療支援型施設などについて、対応できる医療機関が増えたなどとして、3月末で終了することを明らかにしました。

 一方、ワクチンの副反応の相談や、コロナの後遺症対策などは当面、続けていくとしています。

 都内の季節性インフルエンザの感染者は1月28日までの1週間で、1定点医療機関当たり18・53人と前の週の1・14倍で、引き続き注意報基準(10人)を超えています。感染者の増加は3週連続。

 主に子供が感染し、発熱などの症状が出る溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は1定点医療機関当たり4・11人で、前の週と比べて横ばいでした。

 都はこまめな手洗いや、場面に応じたマスクの着用など、感染対策を呼び掛けています。

 2024年2月2日(金)

🟧全国のコロナ感染者、10週連続で増加 インフルエンザも3週連続で増加

 厚生労働省は2日、全国約5000の定点医療機関から1月22~28日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は計7万3607人で、1定点当たり14・93人だったと発表しました。前週(12・23人)の約1・22倍で、10週連続で増加しました。

 都道府県別の最多は福島県の23・94人で、愛知県21・24人、茨城県21・15人、栃木県21・01人)と続きました。東京都11・27人、大阪府8・88人、福岡県11・46人でした。能登半島地震で多くの人が避難生活を送る石川県は、前週から6・58人増えて20・91人でした。40都道府県で増加しました。

 年代別でみると、15歳未満の子供の感染者が増えていて、厚労省の担当者は、新学期が始まり人との接触機会が増えたことも要因の一つではないかと分析しています。

 1月28日までの1週間に定点医療機関から報告された新規入院患者数は3311人で、前週(3483人)から172人減少。集中治療室(ICU)に入院している患者数は154人で、前週(117人)から37人増えました。

 季節性インフルエンザの新規感染者数は、1定点医療機関当たり19・20人で、前週(17・72人)の約1・08倍とほぼ横ばいですが、3週連続で増加していて、42の都府県で注意報レベルを超えています。

 感染者報告数が最も多かったのは福岡県の34・89人、次いで沖縄県が31・83人で、最少は島根県の6・47人でした。

 休校や学年・学級閉鎖は全国で計4666校で、前週の2730校から1936校増えました。

 厚労省は、コロナもインフルエンザも増加傾向にあるとして、手洗いやうがい、マスクの着用や換気などの感染対策を呼び掛けています。

 2024年2月2日(金)

2024/02/01

🟧アメリカ製薬企業バイオジェン、認知症薬「アデュカヌマブ」の販売終了 高額で普及せず

 アメリカの製薬企業バイオジェンは1月31日、エーザイと共同開発したアルツハイマー型認知症の治療薬「アデュカヌマブ」の販売を終了すると発表しました。2021年にアメリカで迅速承認を受けましたが、希望小売価格は年5万6000ドル(約616万円)と高額な上に公的保険の適用が制限され、普及しませんでした。日本では「有効性を明確に判断できない」として承認が見送られました。

 迅速承認は仮免許のような位置付け。本承認を得るために続けていた臨床試験を中止し、エーザイと開発して日米で昨年発売した別のアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の普及に注力します。

 アデュカヌマブは病気の原因とされる脳内のタンパク質「アミロイドベータ」を除去する薬。

 2024年2月1日(木)

🟧沖縄県のインフルエンザ流行警報、2週連続で継続 51施設で学級・学年閉鎖

 沖縄県は1日、インフルエンザの流行警報が継続していると発表しました。警報は定点医療機関当たりの患者が30人を超えると発令されるものの、10人未満にならないと解除されません。県内では前週の1月15~21日が32・33人(患者報告数1746人)で、最新の1月22~28日は31・83人(同1719人)でした。

 年齢階級別の患者数は5~9歳が548人と最多で、続いて10~14歳411人、1~4歳231人と子供世代で広がっています。

 保健所別の定点当たりの患者数は、八重山が47・0人で最も多く、次いで中部36・75人、北部35・80人と続きました。

 県内の教育機関では1月22~26日の5日間に、学級閉鎖が42施設、学年閉鎖が9施設で起きています。 

 インフルエンザの型別ではB型59・0%、A型28・8%、不明12・2%でした。

 県は手洗いやマスクの着用、予防接種などの感染予防策を呼び掛けています。

 2024年1月1日(木)

🟧空間除菌をうたった商品は優良誤認表示 消費者庁が4社に措置命令

 合理的な根拠がないのに室内の空間除菌効果をうたった商品を販売したとして、消費者庁は1月31日、興和(名古屋市)など医療品販売会社4社に景品表示法違反(優良誤認表示)で再発防止を求める措置命令を出したと発表しました。

 対象商品は興和の「ウイルス当番」、中京医薬品(愛知県半田市)の「エアーマスク」、ピップ(大阪市)の「ウィルリセット」、三和製作所(東京都江戸川区)の「二酸化塩素発生剤クロッツ空間除菌」。

 発表によると、4社は2021年12月以降、商品のパッケージなどに、二酸化塩素の働きで浮遊するウイルスや菌を長期間除去する効果があると表示しました。消費者庁が効果を証明する資料の提出を求めたところ、測定に不適切な密閉空間や低湿度での実験結果しか提出できず、合理的な根拠があるとは認められませんでした。

 興和は「発売に際し、消費者庁に事前相談をしていた。命令は誠に遺憾だ」としました。ほかの3社は「命令に従う」としました。

 2024年2月1日(木)

🟧RSウイルス感染症が「流行入り」 静岡県が注意呼び掛け

 静岡県は26日、直近1週間(15~21日)のデータから「RSウイルス感染症が流行入りしている」と発表しました。定点医療機関となっている小児科1カ所当たりの患者数は1・64人で、県が流行入りの目安としている「1人」を大きく上回りました。前週の0・9人よりも8割増加し、急拡大が懸...