イギリス南極研究所(BAS)は23日、南極地域で渡り鳥の死骸から高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が初めて検出されたと明らかにしました。ペンギンなど在来種への影響が懸念されます。
BASは、南極大陸の北に位置するイギリス領サウスジョージア・サウスサンドイッチ諸島のバード島で、ミナミオオトウゾクカモメの死骸から検体を採取。イギリスに検査のため送った結果、陽性だったといいます。
鳥インフルエンザの感染が拡大している南アメリカから戻ってきた渡り鳥が、ウイルスを持ち込んだ可能性が高いとしています。
鳥インフルエンザが専門のオーストラリア・メルボルン大学のミシェル・ウィレ氏は、南極地域への感染拡大は「衝撃的な知らせ」だと述べました。
同氏はX(旧ツイッター)に、「状況は急速に変わる恐れがある」と投稿しました。
専門家らは、史上最悪の被害をもたらしているHPAIが、多くの鳥類の主要繁殖地となっている南極に到達するとの懸念を示していました。
イギリス動植物衛生庁のウイルス部門責任者、イアン・ブラウン氏は先週、渡り鳥が南アメリカから南極周辺の島々へ、それから南極大陸へウイルスを広げる恐れがあると警告しました。
ブラウン氏は報道陣に対し、ペンギンなど南極固有の鳥への影響が現実味を帯びる可能性があると指摘していました。
一方、スペインの研究機関が25日に公表した報告書によると、南極にあるアルゼンチンの基地付近で見付かった複数のトウゾクカモメの死骸を検査したところ、HPAIが確認されました。これまで南極周辺の島でカモメなどから検出されていましたが、南極大陸で確認されるのは初めて。
研究機関は、HPAIが「他の大陸から距離がある南極に到達したことを初めて示した」としています。
2024年2月28日(水)
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