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2025/11/21

🟥インフルエンザが全国で警報レベル超え 子供の異常行動や脳症に注意を

 インフルエンザの患者数が、全国で「警報レベル」を超えた。インフルエンザは学校や保育園など集団生活の場で、感染が広がりやすい。子供はインフルエンザ脳症にも注意が必要だ。小児科医は、手洗いなどの感染対策に加え、早めのワクチン接種を呼び掛けている。

 インフルエンザにかかると、高齢者では肺炎などになって入院が必要になるケースが少なくない。子供も肺炎や中耳炎などで入院するケースがある。さらに子供に特有の重篤な合併症として知られているのが、インフルエンザ脳症だ。

 意識障害やけいれん、異常行動などが現れる。重症化すると死に至る場合もあり、知的障害や運動機能障害などの後遺症が残る場合もある。5歳未満に多いとされるが、学齢期での発症も報告されている。今季と同様に、秋からインフルエンザの感染が広がった2023年のシーズンには、189人のインフルエンザ脳症の患者報告があった。

 ワクチンで脳症を完全に防げるわけではないが、インフルエンザの発症や重症化を一定程度防ぐ効果が期待される。このため、脳症のリスクも軽減できると考えられている。

 日本小児科学会は10月、今季の「治療・予防指針」を発表。ワクチンには、インフルエンザの発症を予防する効果や、学校での欠席日数を減らす効果が報告され、インフルエンザによる入院を減らした報告もあるとし、ワクチンの接種を推奨している。

 小児科医で、日本ワクチン学会理事長を務める中野貴司・川崎医科大特任教授は、「感染者数が増えているので、なるべく早めにワクチン接種を検討してほしい。インフルエンザは患者数が著しく増え始めてから、1カ月以内にピークを迎えるというのが例年の傾向。遅くても年内には接種を済ませてほしい」と呼び掛ける。

 2025年11月21日(金)

2025/11/20

🟥エムポックス感染者を長野県内で初確認

 長野県は19日、中央アフリカや西アフリカを中心に広がる感染症「エムポックス(サル痘)」の感染者が県内で初めて確認されたと発表した。県は感染者の詳細を明らかにしていない。

 エムポックスは、水膨れを伴う発疹のほか、発熱、寒気、倦怠(けんたい)感、頭痛、筋肉痛といった症状が出る。患者が使った寝具や皮膚の病変、体液、血液に触れたり、飛沫(まつ)に長時間さらされたりすると感染する可能性があるといい、多くは発症後2〜4週間で回復する。

 県内の感染者は現在、回復傾向にあるという。県は「感染が疑われる場合は、最寄りの医療機関に相談してほしい」と呼び掛けている。

 2025年11月20日(木)

2025/11/19

🟥胃がん5年生存率6割 国立がん研究センター調査、今回から「純生存率」を採用

 国立がん研究センターは19日、2012〜2015年にがんと診断された患者5年後の生存率を発表した。肺がんは35・5%、胃がんは63・5%だった。がんの部位ごとに都道府県別の生存率を分析し、地域差を比べやすくなった。胃がんは宮城県での生存率が高く、愛知県が低いといった傾向がみられた。地域ごとのがん対策につながる可能性がある。

 国立がん研究センターがん対策研究所が報告書をまとめた。集計対象や生存率の計算方法を従来の調査から変更した。今回は44都道府県の254万7000件(前回は22府県の59万2000件)を調べた。計算方法はがんのみが死因となる状況を考慮する指標「純生存率」を採用し、がんの実態をより反映できるようにした。

 都道府県別では、例えば胃がんの5年後の生存率では宮城県は7割強と高かった。一方で愛知県の5年後生存率は6割弱と他の地域と比べて低かった。がん対策研究所の担当者は、「早期診断など、各地のがん対策が影響した可能性がある」と話す。

 がんの性質や対策はそれぞれのがんで異なる。部位ごとの生存率では、前立腺がん(生存率94・3%)や子宮がん(同75・9%)は、肝がんおよび肝内胆管がん(同33・7%)などと比べて生存率が高かった。

 今回の集計に併せて、過去約30年に及ぶ生存率の計算方法も変えた。2012〜2015年の生存率について1993〜1996年と比べると、上がっている部位と下がっている部位が存在した。例えば多発性骨髄腫では、男性は2012〜2015年が45・6%で21ポイント、女性も44%で15・5ポイント上がった。一方で、膀胱(ぼうこう)では男性は67・2%で10・6ポイント、女性も53・2%で5・9ポイント下がった。

 2025年11月19日(水)

2025/11/18

🟥マールブルグ病で3人死亡 エチオピア南部

 アフリカ東部エチオピアの保健当局は17日、同国南部でエボラ出血熱に似た症状のウイルス感染症「マールブルグ病」が発生し、3人が死亡したと発表した。ほかに感染が疑われる3人が死亡した。感染者数は明らかにしていない。感染者と接触した120人以上を経過観察中。世界保健機関(WHO)と協力し対策を進めている。

 マールブルグ病はコウモリからウイルスが人に感染するとされ、感染者の体液を介して別の人へと広がる。発熱や下痢、出血などが主な症状で、致死率が高い。

 アフリカでは2024年に中部ルワンダでマールブルグ病の感染が確認され、15人が死亡した。

 2025年11月18日(火)

2025/11/17

🟥従来の健康保険証、12月2日から使えず 来年3月までは暫定措置も

 マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への移行に伴い、従来の健康保険証は、来月・12月2日から使えなくなる。ただ、窓口での混乱を防ぐため、期限切れの保険証を持参した場合でも、資格情報が確認できれば、来年3月末までは保険診療を受けられるということである。

 政府は健康保険証の新規発行を停止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を基本とする仕組みへの移行を進めている。

 健康保険組合や「協会けんぽ」などに加入するおよそ7700万人の保険証は来月1日に有効期限が切れ、翌2日から使えなくなる。

 これにより、国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者も含め「マイナ保険証」以外のすべての保険証が使えなくなる。

 厚生労働省は医療機関を受診する際に「マイナ保険証」か、その代わりとなる「資格確認書」を持参するよう呼び掛けている。

 ただ、窓口での混乱を防ぐため、期限切れの保険証を持参した場合でも、資格情報が確認できれば、来年3月末までは保険診療を受けられるということである。

 「マイナ保険証」の10月時点の利用率は37%余りで、厚労省は利用の促進に向け、丁寧に周知していきたいとしている。

 2025年11月17日(月)

2025/11/16

🟥エチオピアでマールブルグウイルス発生 アフリカCDC発表

 アフリカ疾病予防管理センター(アフリカCDC)は15日、エチオピア南部で致死性の高いマールブルグウイルスの発生を確認したと発表した。

 マールブルグウイルスは最も致死率の高い病原体の一つで、エボラ出血熱に似ており、激しい出血や高熱、嘔吐(おうと)、下痢などを引き起こすもので、潜伏期間は最大21日間とされる。感染経路もエボラと同様に体液との接触によるもので、致死率は25%から80%に及ぶ。

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は14日、エチオピア南部で少なくとも9件の感染が確認されたと述べていた。この2日前にアフリカCDCは、同地域で出血熱の疑いがあるとの通報を受けていた。

 アフリカCDCは、マールブルグウイルスが「エチオピアの国立基準検査所によって確認された」とし、「現在、さらなる疫学調査と検査分析が進められており、今回検出されたウイルス株は、これまで東アフリカで確認されたものと類似している」と述べた。

 エチオピアの保健当局は、南部ジンカ地域での感染確認と封じ込めに迅速に対応したとしている。

 マールブルグ病のウイルスに対しては、現在承認されたワクチンや抗ウイルス治療薬は存在しないが、経口または点滴による補液療法や症状に応じた治療により、生存率を高めることができる。

 今年1月にはタンザニアでマールブルグウイルスの流行が発生し、10人が死亡したが、同3月に終息が宣言された。

 2025年11月16日(日)

2025/11/15

🟥狂犬病ワクチン通年可能に 4~6月限定規則見直しへ

 犬の狂犬病ワクチンを巡り、厚生労働省の感染症部会は14日、接種期間を4〜6月の3カ月間としている現行の規則を見直し、通年接種を可能とする方針を了承した。国は狂犬病予防法施行規則を改正し、2026年4月に公布、翌2027年4月に施行される見通し。

 現行の施行規則では、生後91日以上の犬の所有者に対し、毎年1回、4月1日〜6月30日に予防注射を受けさせるよう義務付けている。自治体からは、飼い主の利便性向上や年度初めの業務が多い時期に重なるとして、見直しを求める提案が出ていた。

 厚労省が2024年に、都道府県と市区町村にアンケートをしたところ、約7割が通年接種に賛成だった。

 2025年11月15日(土)

2025/11/14

🟥東京都がインフルエンザの流行警報 11月は16年ぶり、学級閉鎖も相次ぐ

 東京都は13日、インフルエンザの流行警報を出した。直近1週間(3〜9日)に定点医療機関から報告があった患者数が警報基準を超えたためで、11月までに警報が出るのは2009年以来16年ぶり。6シーズンぶりに都内で警報が出た昨年と比べても6週早い。

 都によると、3~9日に定点医療機関から報告された患者数が、31保健所のうち12保健所(都内人口の46%)の管内で「1機関当たり30人」の警報レベルを超えており、都全体への警報基準に該当した。都内全体の患者数は1医療機関当たり29・03人まで増えている。

 今シーズンの幼稚園、小中高校などの学級閉鎖や臨時休校は1125件に上り、昨シーズン同時期の99件と比べて11倍超になっている。

 都は、こまめな手洗い・消毒やマスク着用といった対策のほか、感染が疑われる際は早めに医療機関を受診するよう呼び掛けている。

 2025年11月14日(金)

2025/11/13

🟥脱毛症など引き起こす遺伝子変異を発見 患者の症状改善に成功

 脱毛症や重いアトピー性皮膚炎などを引き起こす遺伝子変異を発見し、この遺伝子の働きを抑える薬を患者に投与して症状を改善することに成功したと、国立成育医療研究センターなどのグループが発表した。

 アレルギーの病気には生活環境だけでなく、遺伝的な要因が影響するものもあり、原因となる遺伝子を調べる研究が進められている。

 国立成育医療研究センターの森田英明研究部長らのグループは、脱毛症やアトピー性皮膚炎など重いアレルギーの症状があるものの、炎症を抑えるステロイド剤など一般的な治療で症状が改善しなかった男の子の患者について、原因を調べようと遺伝子を詳しく解析した。

 その結果、「JAK1(ジャック・ワン)」という遺伝子にこれまで知られていなかったわずかな変異が見付かり、細胞を使った実験でこの変異が炎症反応を引き起こしているとわかったということである。

 この遺伝子の働きを抑える薬はすでに実用化されていて、男の子に投与したところ、約5カ月後には脱毛症がほぼ治り、皮膚炎も改善したということである。

 森田研究部長は、「アレルギーの原因を調べる遺伝子検査は実用化されておらず、今回の患者のように対応する薬があっても治療に結び付かないケースは一定数あるとみられる。薬がない場合も開発につなげることができるので、遺伝子検査の実用化を目指すべきだ」と話していた。

 2025年11月13日(木)

2025/11/12

🟥市販薬2成分、販売規制対象に追加へ オーバードーズ対策でせき止めなど

 若者を中心に市販薬の過剰摂取、オーバードーズが問題となる中、せき止めなどの2種類の成分について新たに販売が規制される見通しとなった。

 販売が規制される見通しとなった成分は、せき止め作用のある「デキストロメトルファン」と、アレルギー症状を抑える「ジフェンヒドラミン」で、11日に開かれた厚生労働省の調査会で了承された。

 乱用の恐れがあるとして規制の対象となっている医薬品には現在、6種類の成分が指定されているが、昨年度、厚労省の研究班が行った調査で、「デキストロメトルファン」と「ジフェンヒドラミン」も直ちに規制対象にするべきだという見解がまとめられていた。

 若者を中心に広がるオーバードーズが問題となる中、乱用の恐れのある医薬品は、来年5

月から施行される改正医薬品医療機器法で、「指定乱用防止医薬品」として販売規制が強化される。

 規制されるのは錠剤などの飲み薬が対象で、18歳未満の若者への販売は、多量の購入を防ぐため、薬剤師が購入者の氏名や年齢のほか、他の薬局で購入していないかどうかを確かめることが義務付けられるほか、5日から7日分以下の製品1箱までとされる見通しである。

 厚労省は、今後、パブリックコメントを行った上で、今回の2種類の成分について規制の対象に正式に指定する方針である。

 市販薬の乱用は、孤立やストレスから逃れる手段として若者を中心に広がっていて、身体への深刻な影響が懸念されている。厚労省の研究班の2024年度の調査では、過去1年間に市販薬を乱用した経験がある高校生は1・4%、中学生は1・8%と推計されている。

 2025年11月12日(水)

2025/11/11

🟥神経性過食症、半数で回復 オンライン認知行動療法、福井大チーム開発

 食べ過ぎを繰り返し、太ることを恐れて吐いたり下剤を乱用したりする神経性過食症は、深刻な健康被害を伴う精神疾患である。考え方や行動のゆがみを直す認知行動療法が有効であることはわかっているものの、専門家が少なく、地方では受けにくい問題もある。福井大など国内7医療機関からなるチームは、自宅で手軽に受けられるオンラインの認知行動療法を開発し、約半数の女性患者で日常生活に支障がない程度に回復させる効果があったとアメリカの医学誌に発表した。

 神経性過食症は食事をコントロールできずに短時間に大量の食べ物を食べてしまう症状で、嘔吐(おうと)や下剤乱用、絶食、過剰な運動といった代償行動を繰り返す。体重に対する過度のこだわりがあり、健康の悪化だけでなく、体形を意識しすぎてうつ病になるなど、自傷や自殺のリスクも高い。20代女性で多く、女性の最大3%が生涯に発症するとされる。

 福井大は、東北大、千葉大、独協医大埼玉医療センター、徳島大、鹿児島大、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)と共同で研究を実施。一般的なカウンセリングや抗うつ剤の処方など通常の外来治療を受けている15~54歳の女性の神経性過食症患者61人をほぼ半々に分け、一方のグループには外来治療に加え、独自に開発したオンライン認知行動療法を受けてもらい治療効果を検証した。

 認知行動療法は、心と行動の問題を続けさせている物の考え方や行動様式を特定し、それらを改善させることに焦点を置いた精神療法。通常は公認心理師などが担当し、8~16回にわたり個人やグループで、対話形式で行う。

 今回の検証では、パソコンやスマートフォンから好きな時間にログインできる週1回、計12回の治療プログラムを提供した。

 プログラムでは、過食に走る心理的な過程や健康的な食習慣などの知識を学ぶだけでなく、どんな食べ物を目の前に置いた時、どんな衝動を感じるか、どれだけ我慢できるかを実験したり、トラウマとなった体験を書き出したりして、認知や行動の修正を図る。

 患者はプログラムに取り組みながら、質問があればその都度、できるだけ早いタイミングで治療者からチャットによる回答や助言を受ける。

 検証に参加した患者の平均年齢は27・8歳、平均病歴は9・3年で、約半数が就業者だった。

 約3カ月後の評価で、過食と代償行動の合計回数は通常の外来治療のグループでは減らなかったのに比べ、プログラム参加者は週当たり平均19回から11回へと大幅に減少した。また、摂食障害の重症度を測る国際的な質問票による評価で、日常生活に支障がない症状にまで回復したと判断された患者の割合は、通常治療で13%、プログラム参加で45~55%だった。

 プログラムを開発した福井大「子どものこころの発達研究センター」の浜谷沙世助教(認知行動療法)によると、プログラムを受けた患者からは「自分のペースで進められるため、学習の振り返りや復習がしやすくて助かる」「対面でのカウンセリングが苦手なため、ストレスを感じることなく進めることができた」といった感想があった。

 同センターの水野賀史准教授(小児発達学)は、「自宅で専門的な治療を受けられる新たな選択肢として活用が期待できる。今のところ、保険診療や遠隔医療の制度が利用できるところまで至っておらず一般的には受けられないが、まずはこういう治療法があることを知ってほしい」と話している。

 2025年11月11日(火)

2025/11/10

🟥政府、自治体の検診情報をビッグデータ化して医療研究に活用へ 受診者もスマホで結果確認できるメリット

 厚生労働省は、市区町村が行う検診のデジタル化を進め、検査結果などを匿名化してデータベースに集約する事業に乗り出す。ビッグデータは大学や専門機関での医療研究に活用したい考えだ。住民側もスマートフォンで検診結果などを確認できるメリットがあり、受診率の向上も期待される。

 来年3月にも東京都千代田区や大阪府吹田市、宮崎県都城市など8市区町で、がんや歯周病など一部の検診を対象に実証事業を開始する。情報連携システムを構築し、自治体、医療機関、受診者の情報連携の検証を行い、2029年度には全国での実施を目指す。

 検診情報については、氏名などの個人情報がわからないように匿名化の処理をした上で、データベース化を進める。役所が持つ難病など公費負担医療の受診記録や予防接種の履歴などの情報と集約するほか、診療報酬明細書(レセプト)や特定健診などの情報を集めた別のデータベースとひもづけることも想定している。

 こうした医療情報を一元化することで、膨大なデータの分析が可能となる。大学や研究機関にデータを提供することで、病気の予防方法の発見などに結び付けたり、医療政策の立案に生かしたりする狙いがある。

 自治体の検診は、健康増進法に基づいて行われ、住民は低価格や無料で受けられる。現在は郵送などで受診券が届き、紙の問診票に記入する仕組みだ。

 デジタル化により、マイナンバーカードでの受診や、スマートフォンでの問診票入力が可能となる。マイナカードの専用サイト「マイナポータル」で検診結果を確認することもでき、住民側の利便性が高まることで、受診率の向上につながりそうだ。役所や医療機関は紙の資料送付といった作業の省力化を図ることができる。

 厚労省は2026年度予算の概算要求に24億円の関連費用を計上している。

 2025年11月10日(月)

2025/11/09

🟥アトピー角結膜炎、治療薬開発へ 富山大など世界初

 富山大、佐賀大、日大の研究グループは6日、アレルギー性結膜炎の一種「アトピー角結膜炎」の原因となるタンパク質を特定し、皮膚のかゆみに有効な既存の化合物が目の症状にも効果があることを突き止めたと発表した。アトピー角結膜炎はハウスダストなどが原因で、人口の20人に1人と患者が多くいる中、副作用が少なく、患部のみに作用する世界初の薬の開発につながる成果という。

 研究グループがアトピー角結膜炎を発症させたマウスを観察した結果、通常のマウスと比べると、皮膚のかゆみの原因物質として知られるタンパク質「ペリオスチン」が目に多く現れていることを確認した。

 さらに、アトピー性皮膚炎の治療薬として佐賀大などが開発中のペリオスチン阻害剤をマウスに点眼剤として投与したところ、目の炎症が抑えられた。マウスが後ろ足で目をかく動作も少なくなり、目のかゆみが消えたことがわかった。

 研究グループによると、花粉症を含むアレルギー性結膜炎の罹患(りかん)率は全人口の約45%で、慢性的なアトピー角結膜炎は5・3%。空気中の細かなほこりやダニが原因とされ、目に強いかゆみや異物感を伴って角膜を傷付け、悪化すると失明につながる場合もある。

 現在の治療薬としてはステロイド点眼薬と抗アレルギー性点眼薬があるものの副作用が課題で、特定の分子に作用する分子標的薬は存在しない。今後、研究グループは製薬企業と協力し、人への臨床を経て早期の新薬開発を目指す。

 2025年11月9日(日)

2025/11/08

🟥新型コロナ感染者、わずかに増加 1医療機関当たり2・28人

 厚生労働省は7日、全国約3000の定点医療機関から10月27日〜11月2日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が8777人で、1医療機関当たり2・28人だったと発表した。前週比1・01倍で、前週まで6週連続で減少していたが微増した。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が最も多かったのは愛媛県の4・57人で、新潟県4・55人、宮城県4・09人と続いた。少なかったのは福井県1・00人、長崎県1・16人、福岡県1・24人などだった。

 2025年11月8日(土)

2025/11/07

🟥インフルエンザ流行、注意報レベルに 前週比2倍超、全国で増加

 厚生労働省は7日、全国約3000の定点医療機関から10月27日〜11月2日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数が5万7424人だったと発表した。1医療機関当たりは14・90人で、注意報レベルとされる10人を上回った。前週比は2・37倍。すべての都道府県で増加した。

 昨季より1カ月程度早い10月3日に、今季の流行入りが発表されていた。都道府県別では、25都道府県で注意報レベルに達した。宮城県が最も多く28・58人。次いで、神奈川県28・47人、埼玉県27・91人、千葉県25・04人、北海道24・99人、沖縄県23・80人と続く。東京都は23・69人、愛知県は11・50人、大阪府は13・33人、福岡県8・47人だった。

 2025年11月7日(金)

2025/11/06

🟥人工透析を中止した末期患者、新たに緩和ケア病棟の対象に 厚労省が中医協で方針

 人工透析治療を中止した末期の腎不全の患者について、厚生労働省は5日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)で、がん患者らと同様に緩和ケア病棟の診療報酬上の対象にする方針を示した。患者の遺族らが対応を要望していた。

 2026年6月に予定される次期診療報酬改定で、緩和ケア病棟の入院料が算定対象に加えられる見通し。

 緩和ケアは、病気による心身の苦痛を和らげるもので、がん患者を中心に行われている。緩和ケア病棟に患者が入院した際、医療機関に支払われる診療報酬が手厚くなる対象も現在は、がんとエイズ(後天性免疫不全症候群)に限られている。他の病気の患者が入院した場合は、診療報酬の入院料が低く設定されており、医療機関が積極的に患者を受け入れない原因になっている。

 厚労省は、透析を中止した末期の腎不全患者について、末期のがん患者と同様に身体機能が急速に悪化し、呼吸困難や痛みなどの苦痛があるとして、緩和ケア充実の必要性があると説明した。

 腎不全は水分や老廃物を尿として排出する腎臓の機能が落ちる病気。進行すると、日本では多くの患者が血液中の毒素などを人工的に取り除く透析治療を受ける。病状の悪化や体力の問題で、透析を続けられなくなる場合もある。

 2025年11月6日(木)

2025/11/05

🟥温室効果ガス排出量、過去最多 2024年577億トン、対策急務

 国連環境計画(UNEP)は4日、2024年の世界の温室効果ガス排出量は前年から2・3%増えて過去最多となり、二酸化炭素(CO2)換算で577億トンだったとする報告書を公表した。産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える「パリ協定」の目標達成には遠く、対策を強化しなければ、今世紀中に最大で2・8度上昇するとした。

 パリ協定参加国がそれぞれ確約した2035年までの温室ガス削減目標(NDC)を達成しても、2・3~2・5度上昇すると予測。昨年からわずかに緩和しただけで「地球温暖化による人命や経済への被害を軽減するには、より迅速で大幅な排出削減が必要になる」と警鐘を鳴らした。アメリカがパリ協定から正式離脱すれば、約0・1度上乗せされる可能性もあるという。

 2024年の排出量が最も多かったのは中国で156億トン。アメリカ59億トン、インド44億トン、ヨーロッパ連合(EU)32億トン、ロシア26億トンと続いた。環境省によると、日本の排出量は2023年度で11億トン。

 2025年11月5日(水)

2025/11/04

🟥高齢者のうつと便秘が関連 順天堂大が研究

 高齢者のうつ症状とおなかの症状、特に便秘が関連していることを、順天堂大の研究チームが専門誌に発表した。このような関連を報告した研究は国内では初めてという。

 チームは順天堂東京江東高齢者医療センターの内科外来を受診した自分で歩ける65歳以上の男性427人、女性557人の計984人を対象に、腹部の症状を聞く質問票とうつ症状を評価する質問票に答えてもらい、関連の有無や強さを分析した。

 腹部の症状は、食べた物が胃から喉に戻る逆流、胃痛、胃もたれ、便秘、下痢の5項目あり、これとは別に便秘の重症度も評価した。また、うつ症状では軽度から重度と評価される人は38・7%を占めた。

 分析の結果、うつ症状はおなかの症状すべてと関連があり、関連の強い順に便秘、胃もたれ、下痢、逆流、胃痛だった。うつ症状が強いほど便秘が重症で、逆流、下痢の症状も悪化していた。

 チームによると、便秘は若年層では女性が多いが、60代以降は男性も急増し、70歳以上になると男女比はほぼ同じになる。心臓や脳血管、腎臓の病気や、筋力が衰えるサルコペニアや虚弱(フレイル)にも関連するとされる。うつ症状は生活の質を低下させ、食欲低下などを引き起こす。

 調査をまとめた同センターの浅岡大介教授(消化器内科)は、「うつや便秘は高齢者の健康長寿に影響を及ぼす。人生100年時代の日本で、高齢者のうつ症状や便秘の予防・対策の重要性が示された」と話している。

 2025年11月4日(火)

2025/11/03

🟥保険料滞納の外国人の在留資格更新など認めない仕組み導入へ

 国民年金や国民健康保険の保険料を滞納し、納付を求めても応じない外国人を対象に、政府は、再来年、2027年6月から、原則として在留資格の変更や更新を認めない仕組みを導入する方針です。

 日本で3カ月を超えて暮らす外国人には、公的な年金・医療保険への加入が義務付けられている。

 ただ、厚生労働省によると、外国人の国民年金保険料の昨年度の「最終納付率」は49・7、国民健康保険料の「納付率」は、合わせて150の自治体を対象にした調査では、昨年12月末の時点で、平均で63%にとどまっている。

 このため、政府は、保険料を滞納し、納付を求めても応じない場合、原則として在留資格の変更や更新を認めない仕組みを導入する方針である。

 厚労省と出入国在留管理庁が連携し、保険料の収納情報を在留審査に反映させるもので、再来年、2027年6月からの運用開始に向け、準備を進めることにしている。

 一方、国民健康保険料を滞納した状態で医療を受け、そのまま日本を離れるケースも確認されていることから、厚労省は、日本人を含め、海外から転入する人が自治体に住民登録する際、一定期間の保険料を事前に一括して納められる仕組みを、来年4月から、自治体の判断で導入できるようにする方針である。

 2025年11月3日(月)

2025/11/02

🟥慢性の腰痛に湿布薬処方は「低価値」 医療費の無駄3000億円の試算

 患者の健康にとってほとんど、または全くメリットのない「低価値(ローバリュー)な医療」に、日本では年間に最大で3000億円以上費やされているとする試算を、筑波大学やアメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校などのチームがまとめた。

 研究結果は、専門家による査読を受ける前の論文(プレプリント)として公表した。

 うち456億円を、長期的な腰の痛みなどに対する湿布薬などの「外用薬」の処方が占めた。長期の痛みにこれらの薬は効果が乏しいとされ、増え続ける医療費を抑えるための議論にも影響を与えそうだ。

 低価値な医療にはさまざまなケースがあり、典型的なのが「風邪に対する抗菌薬の処方」。ウイルス感染が原因となる一般的な風邪には、細菌をやっつける抗菌薬を使っても効果がなく、薬が効きにくい耐性菌を生むなど、弊害のほうが大きい。

 こうした低価値な医療のうち、どんな医療行為がどれくらい、無駄ともいえる医療費の支出につながっているのか。チームは医療費の請求に用いられる「診療報酬明細書」(レセプト)のデータベースを用いて調べた。

 これまでの研究などをもとに、価値が低い、または全くないと判断できる薬の処方や検査、手術など52種類の医療行為を選定。2022年4月~2023年3月に、国内のさまざまな世代約190万人に提供された医療行為のうち、低価値な医療に該当する件数やかかった医療費を算出した。

 何を低価値な医療行為とするか、判断する基準には幅もあるため、件数や医療費はより厳しめの定義(狭義)とやや広めの定義(広義)にわけて導き出した。

 2025年11月2日(日)

🟥インフルエンザが全国で警報レベル超え 子供の異常行動や脳症に注意を

 インフルエンザの患者数が、全国で「警報レベル」を超えた。インフルエンザは学校や保育園など集団生活の場で、感染が広がりやすい。子供はインフルエンザ脳症にも注意が必要だ。小児科医は、手洗いなどの感染対策に加え、早めのワクチン接種を呼び掛けている。  インフルエンザにかかると、高齢...