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2022/08/30

🇪🇪肩凝り

●肩凝りは筋肉からのSOS信号

 現代病とも称される「肩凝り」。その直接の原因は、筋肉への酸素の供給不足と老廃物の蓄積です。しかしながら、筋肉の酸素不足などを招く原因となると、実に多種多様です。肩凝りを治す方法も、原因によって違ってきます。

 肩凝りの原因の8~9割は、使いすぎや年齢、体形などによるものです。若い時から肩の凝りやすい人は、ミドルになるに従って、ますますひどくなり、「背中に鉛の板を背負っているようだ」と表現する人もいます。

 ミドルの肩凝りの原因は、運動不足とストレスがほとんどだといわれています。肩凝りになりやすい人は、運動不足の上に、ストレスが加わり、筋肉に血流が行かなくなって、一種の循環障害を起こしてしまいます。

 また、高血圧や動脈硬化など他の病気が原因で、肩が凝る場合もなきにしもあらずですので、肩凝り以外の症状がある場合には、それぞれの専門医に相談してみましょう。

 一例を挙げれば、めまい、立ちくらみ、頭痛、背中の痛み、耳鳴り、胸が締め付けられるような痛み、などを感じる場合には、肩凝り以外の病気が隠れていることがあります。とりわけ慢性的な症状の場合は、運動不足とストレス以外の病気を疑ったほうがいいでしょう。「いつもと違う痛み」が「いつもより続く」場合には、注意しなければいけません。

 以下、肩凝りを起こす主な原因を紹介します。心当たりのある方は、肩凝りだけでなく、おおもとの原因を治すことが大切になります。

●肩凝りを生じる原因は複雑

 原因

     解   説

     具 体 例

肩凝りになりやすい体形

 肩凝りを起こしやすいのは、右の具体例のようなタイプ。

 例えば、肥満体の人は、頭や腕など肩の筋肉が支えるべきお荷物が重くなる。やせすぎの人は、肩の筋力が衰えているので、凝りを招きやすい。

 このような体形的に肩の筋肉に負担がかかりやすい人のほか、なで肩、猫背などのように、ふだんの姿勢が負担をかけていることもある。

・肥満体

・極端なやせ形(肩の筋肉が貧弱)

・なで肩(首や肩の筋肉が貧弱なことが多い)

・いつも背中が丸まっているような姿勢をとる

・首を下げ、下を向いたような姿勢をとることが多い

肩に無理な姿勢をとることが多い

 筋肉は、緊張させたり、緩めたりすることで、血液の循環を助けている。ところが、長時間にわたって、右の具体例のような姿勢をとっていると、筋肉の緊張状態ばかりが続いて、筋肉の血行が悪くなる。

 デスクワークが多い人などは、その典型。

・腹ばいになって本を読む

・寝転がってテレビを見る

・新聞を床に置いて座ったままで読む

・足を組み、前かがみでデスクワークをする

・枕が高すぎたり、軟らかすぎたりする

冷え症である

 寒い所にいると、私たちは自然に、前かがみの姿勢で肩をすくめ、体を硬くしてしまう。

 また、このような姿勢をとらないまでも、体が冷えると血管が収縮して血行が悪くなってしまう。

・冷え症である

・夏場、クーラーの効きすぎる場所で仕事をしている

・冬場でも、営業の外回りなどで長時間、外にいる機会が多い

精神的なストレスに弱い

 精神的に緊張したり、悩んだり、怒りなどを感じる時、筋肉内の血管も知らず知らずのうちに収縮している。

 このため、特に筋肉を使わなくても血行が悪くなり、筋肉に老廃物がたまってしまう。

・仕事や日常生活で、不安や悩み、怒りを感じることが多い

・責任感が強く、真面目(まじめ)で几帳面(きちょうめん)

・ちょっとしたことでも真剣に悩んだりしてしまう

・データを取り扱う仕事など、間違えないよう神経を使うことが多い

・ノルマや納期などに追われ、気が重くなることが多い

目が疲れている

 眼鏡やコンタクトレンズが合わないために、しっかり見ようとして無理な姿勢をとることで肩凝りにつながるケース、また、目の疲れや頭痛と連動して肩凝りが起こるケースも多い。

・眼鏡やコンタクトレンズがピッタリ適合せず、見えにくい

・パソコンに向かって長時間、仕事をすることが多い

肩や首の骨や関節、筋肉の異常

 年齢を加えるとともに、首、肩などの骨や関節、筋肉に何らかの異常が起きて神経を圧迫し、痛みやしびれを起こすことがある。

 具体例のような症状のある人は、整形外科などに相談してみることがお勧め。

・肩凝りだけでなく、痛みやしびれを感じることが多い

・腕を上げると肩が痛む

内臓系の病気を患っている

 内臓系の病気の自覚症状の一つとして、肩凝りが起こることも多い。例えば、狭心症、心筋梗塞、肺がん、糖尿病、高血圧、低血圧、胆石(胆のう炎)、更年期障害、貧血、胃炎、胃潰瘍など。

 肩凝りのほかに、右の具体例のような症状がいくつかあるようなら、内科医に相談してみよう。

 また、がんでできた腫瘍のせいで、肩凝りと同じような感覚があることもあるし、顎関節症、噛み合わせの悪さ、歯周病など歯の病気が原因になることもある。

・頭痛、頭が重い、めまい、耳鳴り、動悸、手足の冷え、体全体がだるい、急に胸が締め付けられるような痛みに襲われる、背中や右肩などの痛み、立ちくらみ

・歯や顎の異常

 

●温めるべきか、冷やすべきか

 冷やすと「すーっ」として気持ちがいいため、冷やすものと思われがちだが、基本的には温めること。外傷性の打ち身や捻挫などで、熱を持っている場合には、早期なら冷やすこともあるが、「じん」とくるような肩凝りの場合には、とにかく温めて血液の循環をよくしたほうがいいでしょう。

2022/08/29

🇱🇹手足のしびれ

手足のしびれは神経からのサインです。きちんと検査をして、適切な対処を心掛けましょう。

手足のしびれは、なぜ起こる?

 「ピリピリする」、「ジンジンする」など人によって訴える症状はさまざまですが、手足のしびれの多くは、体を通る末梢(まっしょう)神経や中枢神経のどこかで神経が刺激されたり、伝導が正常に行われなかったして起こります。痛みや灼熱(しゃくねつ)感を伴う場合もあります。

 原因となる病気で代表的なのは、変形性脊椎(せきつい)症。背骨や周囲の組織が変形し、神経を刺激するために、しびれや痛みを引き起こします。私たち日本人には神経が通る脊柱管(せきちゅうかん)の狭い人が多いために、発症しやすいと見なされています。

 また、パソコンに長時間、向かっている人の中に、手指のしびれを訴える方も多く見られるところですが、この場合は、重症化することはまれです。ただし、しびれが繰り返したり、持続したりしたら、何かの病気のサインである可能性もありますので、専門医の検査をぜひ受けましょう。 

原因をチェック 

●頚椎や腰椎の疾患

 変形性脊椎症は、加齢などによって頸椎(けいつい)や腰椎が変形し、神経を圧迫するものです。多くの場合、頸椎なら手に、腰椎なら脚に症状が現れます。

 脊椎症の一つである腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症では、歩くと脚がしびれ、立ち止まって前かがみになると治まるのが特徴で、50代以上で発症します。

 骨と骨との間のクッションの役割を果たしている椎間板(ついかんばん)が、衝撃などによって突出してしまい、神経を圧迫するのが椎間板ヘルニア。こちらは、青壮年期に多く発症します。 

●末梢神経の障害

 女性の方に多く発症するのが、手根管(しゅこんかん)症候群。手首を通る神経の通り道が狭くなり、小指以外の4本の指がしびれます。肘部管(ちゅうぶかん)症候群では、小指や薬指の一部がしびれます。ひじの内側を通る神経が、関節の変形や良性の腫瘍(しゅよう)などにより圧迫されて、発症します。 

●血行不良 

 動脈硬化により血行が悪くなり、脚がしびれるのが閉塞(へいそく)性動脈硬化症です。中高年の男性の方に多く、初期には歩くと脚にしびれや痛みが出て、しばらく休むと治まります。

 上胸部で手指への血行が悪くなることで発症するのが、胸郭出口症候群です。なで肩の若い女性の方に多く見られ、手がしびれたり、肩が凝ったりします。

●その他

 骨折脱臼切り傷などで神経が傷付き、しびれが出るケースもあります。また、糖尿病が進行すると、末梢神経障害で手足の先がしびれます。

 脳血管障害の初期やその後遺症、さらに脊髄腫瘍骨のがんウイルスや細菌の感染などでも、手足がしびれることがあります。 

対策へのアドバイス

●同じ姿勢を避ける

 デスクワークなどで同じ姿勢を続けていると、当然、体に負荷がかかります。約30分に一度、首や肩を回したり、腰を伸ばしたりして、体を動かしましょう。

 椅子(いす)の高さは、自分の体に合わせて調節しておきましょう。 

●日常生活での注意

 しびれの原因となる病気によって、日常生活での対処法は異なります。

 脊椎症の場合は、まず体重を増やさないことが大切で、コルセットも有効。無理な運動は避け、しびれや痛みがとれてから、医師の指示に従って腹筋や背筋を鍛えましょう。水泳がお勧めのスポーツです。 

 頸椎症の場合は、首を少し前かがみにすると、症状が和らぎます。反対に、首を後ろに反らす、うがいをする際のような動作は控えましょう。頭の重みが神経を圧迫するので、つらい時は横になりましょう。

 胸郭出口症候群では、肩付近の筋肉を鍛えます。 

●対症療法で症状を緩和

 脊椎症や椎間板ヘルニア、手根管症候群、肘部管症候群では、薬物療法などの対症療法が主となり病状に応じて手術も行われています。

 椎間板ヘルニアの場合では、医師が治療を続けるうちに、突出したヘルニアの塊が体の免疫反応などにより消失し、症状が治まるケースも、よくあります。

●体に負担をかけない姿勢

 不自然な姿勢を続けると、背骨や筋肉に大きな負担がかかります。ふだんから正しい姿勢を心掛けたいものです。    

 ◎いすに座る時

 ・あごを少し引き、背中は真っすぐに伸ばす。

 ・腰とひざはほぼ直角に、太ももの上面はほぼ水平になるように。

 ・両腕はひじ掛けや机に乗せた際、水平になるように。

 ・足の裏全体が床に着くように。

 ◎寝る時

 ・敷き布団は軟らかすぎない物に。

 ・首が自然なカーブになる枕を使う。 

🇱🇻肉離れ

肉離れとは、瞬間的に筋肉の繊維や膜が伸ばされて、断裂が生じた状態です。運動中に筋肉に急激に強い力がかかった時や、足をすべらせるなど予期しない動きをした時に生じ、起こりやすいのはふくらはぎや太もも。

ダッシュやジャンプなどの動作の多い短距離走やハードル、サッカーなどのスポーツでよくみられますが、運動不足の人では、日常的な動作で起こることもあります。

予防には、ウオーミングアップやクーリングダウン、十分なストレッチングを行うことです。寒い日や筋肉が疲労している時などは、特に注意が必要です。

🇲🇩膝痛

■なぜ多い?中高年の膝の痛み

●膝の関節軟骨がすり減って発症

中高年の方々は、膝の不快な痛みを「年のせい」とあきらめていませんか。あきらめてしまう前に、日常生活の見直しをしたいところです。

私たちが体を動かすために欠かせない部分が、関節です。骨と骨とが連結している部分のことですが、実は、関節では骨と骨は直接ぶつかっていないのです。

関節の骨と骨の透き間を埋めているのは、軟らかくて弾力性のある「関節軟骨」と、「滑膜(かつまく)」という薄い膜から分泌される「関節液」。関節軟骨は関節部分の骨を覆っていて、厚さは3~4ミリで、非常に弾力性があります。そして、関節液が潤滑油の役割を果たし、私たちは関節をスムーズに動かすことができるのです。

とはいえど、膝の関節の場合は、肩や腰など全身の関節の中でも特に大きな負担がかかっていて、痛みを起こしやすいものです。常に体重を支えながら、立ったり歩いたり、階段を上ったり下りたりするのですから、かかる負担は大。平地を歩行する時で体重の約2~3倍、階段を上り下りする時では約3~4倍、走る際には約6倍もの力がかかっています。

同時に、膝関節は広い範囲の曲げ伸ばし運動など、複雑な動きを行うことを強いられています。歩行時には約60度、しゃがむ動作では約100度、正座では約140度の曲げ伸ばしとなります。

衝撃を柔らげる役割を果たしている関節軟骨も、加齢とともに水分が失われ、弾力性がなくなってしまいます。そこに体重の増加、仕事や運動などによる負担が加わると、関節軟骨は次第に、すり減ります。

結果として、関節に炎症を起こしたり、骨が変形したりして、痛みが生じることになります。この変形性膝(しつ)関節症が、膝の痛みの原因として最も多いのです。ほかにも、けがや免疫の病気、代謝の病気が、原因として考えられます。

軟骨は一度すり減ると、残念ながら再生しません。「年齢」、「体重」、「習慣」が変形性膝関節症の三大要因といわれていますので、膝への負担を少しでも減らすことが、日常生活で大切になります。

●疑われる関節の病気

◆変形性膝(しつ)関節症

関節の軟骨がすり減ったために、痛みが生じる病気が変形性関節症で、中でも一番多いのが、膝の部分に痛みが出る変形性膝関節症。膝が痛む病気としても、最多です。

加齢で増加する病気であり、通常は50代から発症するケースが多いのですが、肥満の人は40代でも発症します。

初期では、立ち上がる際や歩き始めに痛みますが、時間がたてば治まります。進行すると、正座や階段の上り下りで感じる痛みが大きくなり、膝を真っすぐに伸ばしたり、十分に曲げたりできなくなります。悪化すると、じっとしていても痛みを感じ、歩けなくなれば手術も必要となります。

O脚の人の場合、膝の内側に圧力がかかるため、内側の関節軟骨がすり減って発症しやすく、女性に多いのが特徴ですが、はっきりした理由は不明です。

◆半月板損傷

膝の関節内でクッションの役割を担っているのが、半月板です。この繊維性の軟骨は、スポーツなどで急に方向転換をしたり、膝を素早く曲げ伸ばししたりすると、切れることがあります。

切れた場合には、膝の全体が腫れて痛みが出たり、ロックされたように膝が動かなくなったりし、自然に治癒することはありません。損傷がひどいケースでは、手術が行われます。

加齢によって柔軟性がなくなるので、中高年は半月板の損傷に注意が必要。半月板損傷と変形性膝関節症とが合併する例も、みられます。

◆関節リウマチ

自己免疫反応の異常により、膝だけでなく全身の関節が炎症を起こす病気が、関節リウマチ。膝、指、手首、肘(ひじ)などの関節の滑膜に炎症が起こり、そこから出る物質が関節軟骨や骨を破壊するため、痛みや腫れが生じ、関節が変形します。

40代以上の女性に多くみられ、出産後に発病することも。朝、手や指がこわばって動かしにくいのが、症状の特徴となります。こわばりが30分以上、6週間続く、腫れが3カ所以上ある、腫れが左右対称である、などのケースでは、関節リウマチが疑われます。

◆化膿性関節炎

体のある部分が黄色ブドウ球菌などの細菌によって化膿(かのう)した場合、その感染が関節におよび、炎症を起こすことがあります。炎症は膝だけでなく、全身の関節で起こります。

関節が赤く腫れ上がって熱を持ち、痛みも徐々に強くなって自由に動かせなくなります。体温も上がり、緊急手術が必要。熱があって激しい痛みがあれば、すぐに医療機関へ行くべきです。

◆大腿(だいたい)骨顆骨壊死

大腿骨顆骨という、膝の上側の骨の一部が壊死して、強い痛みが生じます。50歳以上の女性に多く、症状が変形性膝関節症に似ています。

◆痛風

血液中の尿酸が関節にたまることで、炎症を起こします。尿酸は細胞の燃えカスで、プリン体という物質からできています。

炎症はまず、足の親指の付け根に起こることが多く、中高年の男性に多い病気です。

■心掛けたい「膝痛」対策

●原因を明白にさせる

まずは、膝の痛みの原因を突き止めることです。歩きすぎなどのはっきりした原因があり、2~3日で治るようであれば、それほど心配はありません。

心当たりがないのに激しく痛んだり、だんだん痛みが増してきたりしたら、専門医を受診しましょう。

膝の痛みが急に悪化し、腫れや熱を持っている場合は、氷などで冷やして炎症を抑えましょう。慢性的な痛みの場合は、ゆっくり入浴して膝を温め、血行をよくしましょう。

●膝への負担を減らす

膝の関節に負担をかけないためには、日常生活の改善が最も大事です。

体重をかけて膝を曲げることが膝関節への一番の負担になりますので、椅子や洋式トイレを使用して、しゃがまない、正座をしない、横座りをしないように心掛けましょう。

長時間、立ち続けるのもよくありませんし、重い荷物を持つのもよくありません。肥満の人は、減量を試みましょう。

階段を上り下りする時は、体重の3~4倍の負担が膝にかかります。膝の悪い人が外出する際には、エスカレーターやエレベーターを利用しましょう。負担がかからない靴を履くようにし、関節の保護と保温のためにサポーターを利用するのもよいでしょう。

寒い季節には、体を冷やさないように注意し、入浴で血行をよくしましょう。

●筋トレで太ももを鍛える

膝は筋肉によって支えられています。太ももの筋肉を柔軟にし、筋力を向上することで、膝への負担を減らすことが可能になります。

高低差の少ないコースでのウオーキングや水泳が、お勧めのトレーニングです。水中ウオーキングも、膝への体重の負担が少なくてよいでしょう。

家でできる筋トレもあります。寒くて家に閉じこもりがちな季節の場合、じっとしているだけでは関節は弱る一方です。簡単な体操や適度な運動で、関節痛を解消、ないし予防しましょう。変形性膝関節症の慢性期は、適度なトレーニングで症状が改善します。

まずは、太ももの前側の筋力を強化する方法の紹介。足の裏がちょうど床につく程度の高さの椅子に座って、足首を上に曲げたまま片脚を5秒くらいかけてゆっくり上げ、膝が伸びたところで10秒静止します。同様に、ゆっくり下ろし、反対側の脚の上げ、止め、下げを行います。これを1セット10~20回、朝、昼、晩に行いましょう。

関節軟骨の一カ所に負担が集中することがなくなり、膝の曲げ伸ばしの力も強くなります。注意すべき点は、・沈み込まない椅子を選ぶ、・腰などに痛みがある人、膝が伸びない人は無理をしない、・膝の症状が進行している人は医師と相談の上行う、ことです。

太ももを強化する他の方法としては、・畳やカーペットに仰向けに寝て、片脚は膝を曲げたまま、もう一方の脚をゆっくり上げる、・横向きに寝て、股を開けるようにゆっくりと片脚を上げる。上げない方の脚は、曲げていてもよい、・太ももでボールやまくらをはさみ、膝を内側にねじったり曲げたりしないようにしながら、ボールなどを押すように力を入れる、などを試してもよいでしょう。

次は、太ももの背面の筋肉を柔軟にするストレッチ。両膝を真っすぐに伸ばして、床に座ります。右の手のひらを右膝、左の手のひらを左膝に当て、膝のお皿の上あたりを押すと、膝の後ろ側が伸びます。反動をつけず、ゆっくり行いましょう。

膝の曲げ伸ばしをお風呂の中でするのも、よい方法です。関節を伸ばす時に力を入れながら、ゆっくりと行うのが要領。

●関節によい成分をとる

痛み止めを使わずにいると、しばらくするとまた関節が痛くなってくる…そんな経験を持つ人も多いのでは。これは薬で痛みや炎症を抑えていても、軟骨がすり減っている、という根本的な原因が解決されていないから。

ここで注目したいのが、最近話題のグルコサミンやコンドロイチン、MSM(メチルスルフォニルメタン)など。軟骨の成分でもあるこれらには、軟骨細胞の再生を促す作用があるのです。

グルコサミンは、軟骨の原料となる物質を作る。アミノ糖の一種。生体内に広く分布しているが、特に軟骨細胞に多い。若いうちは体内でスムーズに作られますが、加齢とともに生成量が減り不足気味に。

コンドロイチンは、細胞に水分を補給し、栄養を与えて老廃物を排出する。ムコ多糖の一種。骨や軟骨、皮膚など広く生体内にある。加齢とともに生成量が減り不足気味に。また、目の角膜や水晶体の透明感や弾力性の維持の働きもあります。

MSM(メチルスルフォニルメタン)は、たんぱく質やコラーゲンの生成に不可欠。有機イオウ化合物の一種で、人間を含むほとんどの動植物にとって必須の成分。調理により大部分が失われるので、通常の食事だけでは不足しがち。

サプリメントでとる場合、グルコサミンとコンドロイチンは、食後ならいつでもOK。1日分をまとめて飲んでも、分けて飲んでもOK。MSMは朝食後、夕食後と分けて飲むとよいでしょう。

2022/08/27

🇨🇩行軍腫(趾間神経痛)

足先への過度の荷重が原因で、足指や足指の付け根にしびれ、痛みが生じる疾患

行軍腫(こうぐんしゅ)とは、体のバランスを保つ中足骨(ちゅうそくこつ)の間の神経がはれて、足指や足指の付け根にしびれ、痛みを生じる疾患。趾間(しかん)神経痛、モートン病、モルトン病、モートン神経腫(しゅ)とも呼ばれます。

古くから靴の文明が発達していた欧米人に多くみられた足指の神経痛の一種ですが、1876年にトーマス・モートンが足指の第3趾と第4趾の間の付け根にある神経の炎症であると、初めて報告しました。

日本では第2次世界大戦中に、隊を組んで長距離を行進する行軍で、多くの陸軍の歩兵がこの行軍腫に悩まされたといわれています。戦後は、おしゃれな靴が好まれるようになり、多くの女性が悩まされることとなりました。

足先への過度の荷重が発症の原因とされていて、ハイヒールや窮屈な靴の常用、中腰の姿勢での作業などで、足の指の付け根の関節でつま先立ちをする格好が長時間続く人に、起こりやすくなります。幅の狭い靴、底が薄くて硬い靴を履くことの多い人、硬い床の上でダンスをする人、硬い路面の上でランニングなどの反復性の運動をする人に、起こることもあります。

また、行軍腫は足底の横アーチの崩れとも関係していて、足が徐々に偏平になってくる中年以降の女性に多く発症します。

足の中足骨は深横中足靭帯(じんたい)によってつなぎ止められていて、その間を指神経(固有底側指神経)と呼ばれる感覚の神経が通っています。そして、足指の第3趾と第4趾の間の付け根には、指神経が交錯する神経腫と呼ばれる神経の固まりがあります。

この神経腫が深横中足靱帯と地面の間で圧迫されて、足指や足指の付け根にしびれ、痛みを生じるほか、第2趾と第3趾の間の付け根にある滑液包と呼ばれるクッションが繰り返される刺激によって炎症を起こして、指神経を圧迫し、足指や足指の付け根にしびれ、痛みを生じることもあります。

症状として、前足部に体重がかかったり、ハイヒールや窮屈な靴を履くと、足指や足指の付け根にしびれ、痛みや、異物感を感じます。歩くだけで激しい痛みを感じる場合があり、足指にかけての知覚障害が発生する場合もあります。時には、痛みが下腿(かたい)まで及ぶこともあります。一般的には、障害部位は第3趾と第4趾にまたがって起き、第2趾と第3趾、第4趾と第5趾にまたがることもあります。

通常は片側の足だけに生じるものの、時には両足に同時に障害が起こることもあります。圧迫部の近位に仮性神経腫といわれる有痛性の神経腫が形成される場合は、足底から第3趾または第4趾の付け根を圧迫すると痛みがあったり、前足部を手で両側から締め付けるようにすると痛みが誘発されます。

行軍腫(趾間神経痛)の検査と診断と治療

整形外科、神経内科の医師による診断では、 障害神経の足指間に感覚障害、中足骨頭間の足底に有痛性の仮性神経腫があり、仮性神経腫をたたくとその支配領域に痛みが放散するチネルサインがあれば、診断は確定できます。また、足指を背屈するか、つま先立ちをしてもらうと痛みが強くなります。

X線(レントゲン)検査、筋電図検査、MRI検査、超音波検査なども、必要に応じて行われます。

整形外科、神経内科の医師による治療では、まずハイヒールの使用や中腰での作業を禁止して局所の安静を図り、消炎鎮痛剤などの薬剤内服、足の横アーチを整える足底板の靴底への挿入、筋肉の伸びを制限することで痛みの緩和を図るキネシオテーピング 、靴の変更、温熱療法、運動療法、痛みを和らげるブロック注射などを用いた保存的療法を行います。

発症から治療までの期間が短ければ短いほど、保存療法で治る割合が高くなっています。鍼灸(しんきゅう)治療が有効な場合もあります。

3カ月ほど様子をみて保存療法で症状が回復しない場合や、日常生活に支障を来す場合は、手術が必要になることもあります。手術には、神経剥離(はくり)、神経腫摘出、深横中足靱帯の切離などがあります。しかし、神経腫を切除しても痛みが楽にならないこともあるので、仮性神経腫状態にしないことが肝心です。

そのためには、足指と足底筋を鍛えて足のアーチを維持する必要があり、足じゃんけん、ビー玉拾いエクササイズ、歩行運動などが勧められます。足じゃんけんは、指全体を曲げてグー、親指だけ立ててチョキ、全部広げてパーをするもので、風呂の中などでするのも一案です。

また、足に負担をかけないためにも適切な体重を維持するとともに、自分の足に合った靴を選ぶことも大切です。お勧めの靴は、つま先に1~1・5cmくらいの余裕があり、靴紐(ひも)かマジックベルトが付いていて、靴底は硬めで、ある程度の重さのあるタイプ。

🇨🇬後脛骨筋腱炎

土踏まずの内側から内くるぶしの後ろ側にかけて痛む疾患

後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)とは、土踏まずの内側から内くるぶしの後ろ側にかけて痛む疾患。

足関節の周囲には、一般的によく知られているアキレス腱のほかに、前脛骨筋、後脛骨筋、腓骨(ひこつ)筋などの腱があります。足関節の内側、内くるぶしの後方から下方を通っているのが後脛骨筋で、荷重時に足や体を安定させたり、着地時の衝撃を和らげる働きがあります。

ランニング、ジャンプ、ウォーキングなどのスポーツや、長時間の立ち仕事で、後脛骨筋に負担がかかり、腱が引き伸ばされたり、断裂することで炎症を起こすと後脛骨筋腱炎を発症し、痛みやはれが生じます。

ランニングや立ち仕事などによる酷使、過体重、硬い路面の歩行や走行、磨耗したり劣化したシューズ、足に適合していないシューズの使用、扁平足(へんぺいそく)や外反拇趾(がいはんぼし)、足首の柔軟性の低さといった、さまざまな要素が関与して発症します。ランニングやジャンプなどの運動時の痛みが多く、進行すれば歩行やストレッチでも痛むようになります。

痛みが続いたり、強くなったりして日常生活に支障を来す場合は、整形外科を受診します。

医師による検査では、触診とMRI(磁気共鳴画像)により、後脛骨筋腱の損傷とその程度を確認します。腱の触診は通常、痛みを誘発します。つま先で立つことは通常、痛みを伴い、腱が断裂している場合は不可能であるかもしれません。

医師による治療では、痛み、はれが強ければ、運動を制限または休止し、アイシングや温熱療法を行います。また、足の形に合わせて作成した足底板(アーチサポート)やテーピングを使用し、足にかかる負荷を軽減します。足関節周囲筋のストレッチやマッサージ、弱化している筋肉の筋力強化も行います。

しっかりと治療、コンディショニングを行わずにスポーツなどを続けた場合、足関節の動きが制限され、腰や股(また)、膝(ひざ)関節の障害を引き起こす原因となる可能性があります。

完全断裂には手術を必要とし、スポーツ障害による急性断裂には手術が特に重要です。

🇳🇦後骨間神経まひ

前腕の2つ骨の間をつなぐ骨間膜を走る後骨間神経が圧迫され、引き起こされる神経まひ

後骨間(こうこつかん)神経まひとは、前腕の親指側にある橈骨(とうこつ)と小指側にある尺骨(しゃくこつ)、この2つの細長い骨の間をつなぐ骨間膜の前後を走る後骨間神経が圧迫され、引き起こされる神経まひ。回外筋症候群とも呼ばれます。

運動神経である後骨間神経は、鎖骨の下から手首、手指まで走る知覚神経である橈骨神経から、肘(ひじ)の辺りで分岐して、手の甲を顔に向ける回外筋の浅層と深層の間に潜り込み、指を伸ばすいくつかの筋肉を支配しています。

後骨間神経が肘の下で、回外筋の浅層で形成されたフローゼのアーケードと呼ばれる骨間膜の部位を通る際に、何らかの原因で圧迫(絞扼〔こうやく〕)されると、後骨間神経まひが引き起こされます。

上腕骨や上腕骨顆上(かじょう)の骨折などの外傷が原因で引き起こされるものの、一般には使いすぎが原因で引き起こされるため、手や腕を内側に回す回内、外側に回す回外を多く繰り返す、指揮者やギター奏者、あるいはテニスやバドミントンなどのスポーツ選手に起こることがあります。

発症すると、肘周辺や前腕部が痛み、肘が伸ばしにくい日が続きますが、3~7日で痛みは消えます。その後、まひが生じて、下垂指(ドロップフィンガー)になります。

下垂指になると、手首の関節の背屈は可能なものの、手指の付け根の関節の背屈が不可能になり、指のみが下がった状態になります。重度の場合は、手指を付け根から全く伸ばせなくなり、親指を広げられなくなります。まひの状態が長く続くと、筋肉の委縮が起こり、腕の筋肉がやせ細ってきます。

後骨間神経は運動神経であるため、手の甲から前腕の皮膚を触った感覚には異常はありませんが、まれに知覚異常を認めることもあります。

後骨間神経まひに気付いた場合には、整形外科、ないし神経内科を受診することが勧められます。

後骨間神経まひの検査と診断と治療

整形外科、神経内科の医師による診断では、下垂指と皮膚の感覚障害のないことで判断します。確定診断には、筋電図検査、X線(レントゲン)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)、超音波(エコー)検査などを必要に応じて行います。

後骨間神経まひの初期では、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)との鑑別が大切となります。

整形外科、神経内科の医師による治療では、回復の可能性のあるものや原因が明らかでないものに対しては、局所の安静、薬剤内服、必要に応じ装具、運動療法などの保存療法を行います。薬剤内服では、 ビタミンB12 、消炎鎮痛剤などを服用することが有用です。

ほとんどは保存療法で回復しますが、数パーセントは回復しないこともあります。中にはフローゼのアーケードの部位の前後で後骨間神経の砂時計様のくびれが存在することもありますので、3~6カ月ほど様子をみて全く回復しないもの、まひが進行するもの、骨折などの外傷で手術が必要なもの、腫瘤(しゅりゅう)のあるものでは、手術を行います。

神経損傷のあるものでは、神経剥離(はくり)、神経縫合、神経移植などの手術を行います。神経の手術で回復の望みの少ないものでは、ほかの筋肉で動かすようにする腱(けん)移行手術を行います。

🇿🇦好酸球性筋膜炎

腕や脚の皮膚に痛みを伴う炎症とはれが起き、皮膚が次第に硬くなっていく疾患

好酸球性筋膜炎とは、腕や脚の皮膚に痛みを伴う炎症とはれが起き、その部位の皮膚が次第に硬くなっていく、まれな疾患。

疾患名のうち好酸球性という部分は、発症初期に好酸球と呼ばれる細胞が血液中に多くみられることに由来します。好酸球は免疫にかかわる白血球の一種で、ある種の寄生虫に対して体を守る免疫機能を担い、アレルギー反応の制御を行う一方で、このアレルギー反応による炎症の一因にもなる細胞です。

筋膜炎は、皮膚の下にある丈夫な線維組織で、筋肉を包む筋膜の炎症を意味しています。

好酸球性筋膜炎は主に40~50歳の中年男性に発症し、女性や小児が発症する場合もあります。原因は不明ですが、自己免疫反応により、皮下組織から筋膜に損傷が生じるために引き起こされると推定されます。

通常の初期症状は、皮膚の痛み、炎症、はれであり、とりわけ腕の内側や脚の前面に多くみられます。時には、顔面、胸部、腹部の皮膚が侵されることもあります。

激しい運動を行った後や、外傷を契機として、最初の症状に気付くことがあります。症状は通常、徐々に進行していきます。数週間後には、炎症を起こした皮膚が硬くなり始め、最終的にはオレンジの皮のような感触になります。

皮膚が徐々に硬くなっていくにつれて、腕や脚が動かしにくくなります。やがては、腕や脚の関節の運動制限のために関節拘縮が起こり、動かせなくなってしまうこともあります。

また、筋肉痛や関節痛が起こる場合もあります。まれに、腕が侵された場合には、手根管症候群を発症することもあります。手根管症候群は、手首の手のひら側にある骨と靭帯(じんたい)に囲まれた手根管というトンネルの中で、神経が慢性的な圧迫を受け、しびれや痛み、運動障害を起こす疾患です。

時には、血液中の赤血球と血小板の数が著しく減少することがあり、疲労を感じやすくなったり、出血が起きやすくなる傾向が現れます。

その好酸球性筋膜炎の症状は一見、皮膚や内臓が硬くなるのを特徴とする膠原(こうげん)病の1つである強皮症(全身性硬化症)と類似しています。しかし、30〜50歳代の女性に多くみられる強皮症と違って、手指の硬化はなく、全身の皮膚が真っ白から青紫色になり、やがて赤くなるレイノー症候群や、内臓の病変も伴いません。

好酸球性筋膜炎の検査と診断と治療

内科、皮膚科、リウマチ科の医師による診断では、圧痛を伴う腕や脚の皮膚の硬化から好酸球性筋膜炎を疑い、血液検査で血液中の好酸球の数の増加、免疫グロブリンの上昇、赤血球沈降速度(ESR)の高進を確認します。

通常、自己抗体である抗核抗体やリウマチ因子は認められません。時に関節痛を伴いますが、明らかな関節炎はX線(レントゲン)検査で認められません。

診断を確定するには、侵された皮膚とその下にある筋膜、筋肉の組織の一部を採取して、顕微鏡で観察する検査である生検を行います。病変部の病理組織では、筋膜周囲のリンパ球、組織球、好酸球の炎症細胞の浸潤があり、筋膜が肥厚して、線維化が見られます。疾患名が示すように好酸球が浸潤するのが特徴的ですが、好酸球の浸潤が認められないケースも30パーセント程度あります。

内科、皮膚科、リウマチ科の医師による治療では、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)が有用で、通常、最も標準的なプレドニゾロンを1日20~60mg内服します。自覚症状の改善に伴って減量し、2~4年の維持療法で1日5mg前後の内服の後は、治療の必要がなくなります。

生命予後は良好ですが、治療が遅れると組織の委縮や瘢痕(はんこん)化、関節拘縮が残存することがあります。副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)で、組織の委縮や瘢痕化を回復させることはできません。

一部の発症者者は別の血液疾患を併発することがあるため、血液検査による経過観察が推奨されます。

副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の内服とともに、体の運動機能を保つため理学療法を行いますが、激しい運動は控えます。日常生活の注意としては、安静と運動をバランスよく行い、ストレス、過労を避けるようにします。

🇸🇿好酸球性肉芽腫

血液を作る骨髄の細胞のうち、組織球と呼ばれる大型の細胞が増殖した疾患

好酸球性肉芽腫(にくげしゅ)とは、血液を作る骨髄の細胞のうち、組織球と呼ばれる大型の細胞が増殖した疾患。骨腫瘍(こつしゅよう)によく似た骨腫瘍類似疾患の1つです。

ほとんどが20歳以下、特に10歳未満の子供にに多くみられ、骨に単発性、時には多発性の骨破壊が起こり、痛みをもって発症します。

原因は不明ですが、組織をとって顕微鏡で見る検査をすると、組織球と呼ばれる細胞や、白血球の一種である好酸球が出現しているのが確認できるので、何らかの関係があるのではないかと考えられています。

成長痛のようにいろいろな部位が痛むのではなく、発症した一定の部位だけが痛みます。よく発症する部位は、ももの太い骨である大腿(だいたい)骨や、腕の上部の骨である上腕骨など、大きくて長い管状の骨である長管骨です。そのほか、鎖骨、骨盤、脊椎(せきつい)などにも発症します。

脊椎に発症した場合は、脊椎がもろくなるために、しばしばつぶれて扁平(へんぺい)になります。これはカルベ扁平椎と呼ばれます。

カルベ扁平椎は1つの脊椎だけに病変がみられ、ほかの脊椎に病変が波及しないこと、骨端(こったん)症のように一定期間の破壊の後に修復し、脊椎の高さも発症前の状態に戻ることが特徴です。

この好酸球性肉芽腫自体は良性なので、経過観察のみで改善消失することが知られ生命の危険はありませんが、他の治療が困難な疾患と区別するため、整形外科、内科、小児科を受診しきちんとした診断をしてもらうことが大切です。

好酸球性肉芽腫の検査と診断と治療

整形外科、内科、小児科の医師による診断では、X線検査を行うと、はっきりとした特徴的な骨破壊の写真像がみられます。

X線写真像が骨の悪性腫瘍や骨髄炎に似ているので、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行い、診断が確定します。顕微鏡で見ると、組織球の周囲には、エオジンという染色液によく染まる赤い細胞質と2つのそろった核が特徴の好酸球が増えています。

整形外科、内科、小児科の医師による治療では、骨折予防の処置を行った上で、X線検査による経過観察を行います。

痛みがよくならず、X線検査でも軽快が認められず、骨折の危険性が高い時には、骨破壊の部分を取り除く掻爬(そうは)手術や、副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の使用、あるいは少量の放射線を病変に照射するといった方法が行われます。

好酸球性肉芽腫の予後は良好で、自然消退が期待できます。

🇧🇼合指症

隣り合った手指が互いに癒合している先天異常

合指(ごうし)症とは、隣り合った手指が互いにくっ付いている、すなわち癒合している先天異常。中指と薬指間などにみられます。

胎児においては、手のひらの基になる組織で、一枚の板状をした手掌原基(しゅしょうげんき)の一部が自然死(アポトーシス)し、裂け目が生じることによって、独立した指が形成されます。こうした変化は胎生の14~16週ごろに起こりますが、その分化(分離)が不十分な場合に合指が生じます。

合指間で共有する組織の種類により、皮膚性合指、繊維性合指、骨性合指に分類されます。皮膚性合指では、皮膚のみの共有で、隣り合った手指はそれぞれ独立した骨、靭帯(じんたい)を有しています。線維性合指では、腱(けん)や靭帯が癒合しており、良好な機能回復を得るにはそれらの分離が必要です。

骨性合指では、骨や関節が共有されています。このタイプの合指症では、隣り合った手指それぞれの成分の大きさが小さいことが多く、2指の分離を行うといずれかの手指が小さくなりやすい傾向があります。このため、大きさの矯正のために複数回の手術が必要とされることもあります。

癒合範囲については、指全体にわたって癒合している場合と、先端は分離している場合とがあります。手指の数が6本以上となる多指(たし)に合併した多合指(たごうし)の場合もあります。

出生1000人から3000人に対し1人の頻度で、合指症はみられます。多くは偶発的、単発的に生じていますが、アペール症候群(尖頭〔せんとう〕合指症候群)、ポーランド症候群などの先天奇形症候群の症状の一部としてみられることもあります。

生後すぐ、合指症は産科で気付かれることが多いため、手指以外の体の異常が合併していないかどうか、小児科でも診てもらうことが勧められます。また、整形外科などでも診てもらい、美容的、機能的な観点から手術を行うべきかどうか相談することが勧められます。

合指症の検査と診断と治療

整形外科、ないし形成外科、手の外科の医師による診断では、視診で容易に判断できますが、骨の状態をみるためにX線(レントゲン)検査を行います。

整形外科、ないし形成外科、手の外科の医師による治療では、手術により、隣り合った手指の癒合部の分離を行い、指間の水かき部分を皮弁(ひべん)と呼ぶ弁状に起こした皮膚で形成します。

手指が離れると皮膚が欠損するため、ほとんどの場合、足のくるぶし付近などの皮膚を採取して、手指の側面に植皮します。

単純な皮膚性合指では、1~2歳で分離手術を行います。骨性合指、3指以上の合指などでは、技術的に難しい場合があり、2段階に分けた手術や骨切り術、骨移植術を必要とすることもあります。

手術後は安静を保つために、手と指をギプス固定します。皮膚性合指で手指間に植皮を行った場合には、原則としてギプス固定は1週間で解除し、リハビリを開始します。

繊維性合指で腱移行を行った場合や、骨性合指で関節形成を行った場合には、2~3週間のギプス固定を行います。また、皮膚の欠損の範囲が大きく、手術後に手指のひきつれ(拘縮)が起こる可能性が高い場合には、ギプス固定などを6カ月程度継続します。

🇲🇼合趾症

隣り合った足の指が互いに癒合している先天異常

合趾(ごうし)症とは、隣り合った足趾、つまり足の指が互いに癒合している先天異常。第2趾(人差し指)と第3趾(中指)間などにみられます。

胎児においては、まず大きな足の塊ができて、その一部が自然死(アポトーシス)し、裂け目が生じることによって、独立した足指が形成されます。その発生段階で、分化(分離)が不十分な場合に合趾が生じます。

合趾間で共有する組織の種類により、皮膚性合趾、繊維性合趾、骨性合趾に分類されます。皮膚性合趾では、皮膚のみの共有で、隣り合った足指はそれぞれ独立した骨、靭帯(じんたい)を有しています。線維性合趾では、皮膚と腱(けん)や靭帯などの軟部組織が癒合しており、良好な機能回復を得るにはそれらの分離が必要です。

骨性合趾では、骨や関節までが共有されています。このタイプの合趾症では、隣り合った足指それぞれの成分の大きさが小さいことが多く、2つの足指の分離を行うといずれかの足指が小さくなりやすい傾向があります。このため、大きさの矯正のために複数回の手術が必要とされることもあります。

癒合範囲については、隣り合った足指全体にわたって癒合している場合と、隣り合った足指の一部が癒合し先端は分離している場合とがあります。左右の足に、足指の癒合が同時に発生する場合、片方の足だけに、足指の癒合が発生する場合とさまざまで、左右差がある場合もあります。

足指の数が6本以上となる多趾に合併した多合趾の場合もありますし、隣り合った手の指が癒合する合指症を合併することもあります。

出生1000人から3000人に対し1人の頻度で、合趾症はみられます。多くは偶発的、単発的に生じていますが、アペール症候群(尖頭〔せんとう〕合指症候群)、ポーランド症候群などの先天奇形症候群の症状の一部としてみられることもあります。

生後すぐ、合趾症は産科で気付かれることが多いため、足指以外の体の異常が合併していないかどうか、小児科でも診てもらうことが勧められます。また、整形外科などでも診てもらい、美容的、機能的な観点から手術を行うべきかどうか相談することが勧められます。

合趾症の検査と診断と治療

整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による診断では、視診で容易に判断できますが、骨の状態をみるためにX線(レントゲン)検査を行います。

整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による治療では、手術により、隣り合った足指の癒合部の分離を行い、指間の水かき部分を皮弁(ひべん)と呼ぶ弁状に起こした皮膚で形成します。。

足指が離れると皮膚が欠損するため、足のくるぶし付近などの皮膚を採取して、足指の側面に植皮します。皮膚の欠損部が比較的小さく、自然上皮化させたほうが良好な結果を得られる場合には、植皮は行いません。

単純な皮膚性合趾では、1~2歳で分離手術を行います。骨性合趾、3指以上の合趾などでは、技術的に難しい場合があり、2段階に分けた手術や骨切り術、骨移植術を必要とすることもあります。

手術後は安静を保つために、足と足指をギプス固定します。皮膚性合趾で足指間に植皮を行った場合には、原則としてギプス固定は1週間で解除し、リハビリを開始します。

繊維性合趾で腱移行を行った場合や、骨性合趾で関節形成を行った場合には、2~3週間のギプス固定を行います。また、皮膚の欠損の範囲が大きく、手術後に足指のひきつれ(拘縮)が起こる可能性が高い場合には、ギプス固定などを6カ月程度継続します。

皮膚性合趾では、それぞれの足指の動きは良好に獲得できます。骨性合趾では、変形や動きの制限が残る場合があります。

🇲🇼後縦靱帯骨化症

脊椎椎体の後面を上下に連結し、脊椎を縦走する後縦靭帯が骨化し、神経障害が出る疾患

後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)とは、脊椎(せきつい)を構成する椎体と呼ばれる四角いの骨の後面を上下に連結し、脊椎を縦走する後縦靭帯が骨化する疾患。

背骨、すなわち脊椎の骨と骨の間は、靭帯で補強されています。椎体の後面に位置し、脊髄の通り道である脊柱管の前面に位置する後縦靭帯は、骨に適度な動きと安定性をもたらしています。

この後縦靭帯が分厚くなって骨のように硬くなると、脊髄の通り道である脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経根が圧迫されて、知覚障害や運動障害が症状として現れます。

胸椎にも後縦靱帯骨化症は出現しますが、頸椎(けいつい)に多く出現します。後縦靱帯が骨化する脊椎の部位によって、頸椎後縦靭帯骨化症、胸椎後縦靭帯骨化症、腰椎後縦靭帯骨化症に分類することもあります。

50歳以上の男性で好発し、男性は女性の2倍発症しています。また、糖尿病や肥満症の人の発生頻度が高いことがわかっています。

後縦靱帯が骨化する原因は不明。単一の原因で生じるのではなく、複数の要因が関与して発症すると推測されています。遺伝的素因、性ホルモンの異常、カルシウムやビタミンDの代謝異常、糖尿病、肥満傾向、老化現象、全身的な骨化傾向、骨化部位における局所ストレス、骨化部位の椎体間にある円板状の軟骨組織である椎間板脱出などいろいろな要因が考えられていますが、原因の特定には至っていません。特に家族内発症が多いことから、遺伝子の関連が有力視されています。

後縦靱帯の骨化があればすぐに症状が出現するわけではありませんが、頸椎に後縦靱帯骨化が起こった場合に最初に出てくる症状としては、首筋や肩甲骨周辺、指先の痛みやしびれがあります。

症状が進行すると、次第に痛みやしびれの範囲が広がり、脚のしびれや感覚障害、足が思うように動かないなどの運動障害、はしを使うなどの両手の細かい作業が困難となる手指の運動障害などが出現します。重症になると、排尿や排便の障害や、一人での日常生活が困難になることもあります。

胸椎に後縦靱帯骨化が起こると、下半身に症状が出ます。初発症状として、下肢の脱力やしびれなどが多いようです。腰椎に後縦靱帯骨化が起こると、歩行時の下肢の痛みやしびれ、脱力などが出現します。

症状の進行は年単位の長い経過をたどり、軽い痛みやしびれで長年経過する場合もある一方で、年単位の経過で手足の動作がかなりの程度傷害される場合もあります。また、軽い外傷、例えば転倒などを切っ掛けに、急に手足が動かしづらくなったり、今までの症状が強くなったりすることもあります。

後縦靱帯骨化症の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行い、頸椎に多い後縦靭帯骨化症を見付けます。X線検査で見付けることが困難な場合は、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などで精査します。CT検査は骨化の範囲や大きさを判断するのに有用で、MRI検査は脊髄の圧迫程度を判断するのに有用です。

整形外科の医師による治療では、症状が軽い場合、骨化によって圧迫されている脊髄や神経根を保護することを主目的にして、頸椎の外固定装具を装着します。痛みに対しては、筋弛緩(しかん)剤や消炎鎮痛剤などを用います。しびれや手指の運動障害に対しては、ビタミンB剤を用います。

脊髄症状のため日常生活に支障があり、画像検査で脊髄にある程度の圧迫が見付かった場合は、手術を行います。手術法には、首の前を切開する前方法と、後ろ側を切開する後方法があります。

頸椎の後縦靱帯骨化では、脊髄や神経根の圧迫を取るため骨化部位を摘出して、その部位を自分の骨で固定する前方法と、骨化部位はそのままにして脊柱管を広げる後方法があり、一般的には後方法が選択されます。

胸椎の後縦靱帯骨化では、背骨が丸くなっているため、後方法で脊柱管を広げるだけではなく、ボルトなどを用いて固定を加える手術が行われることが多くなっています。腰椎の後縦靱帯骨化では、一般的に後方法が選択されます。

後縦靭帯骨化症を完全に予防することはできませんが、症状の悪化を防ぐためには、日常生活で首を後ろに反らせすぎないこと、仕事や遊び、泥酔などで転倒、転落することで脊髄症状を出現させたり悪化させたりしないことが必要です。

🇹🇿シーバー病

成長途上の軟骨がストレスを受け、踵の痛みが起こる疾患

シーバー病とは、スポーツを行っている8~12歳くらいの男子に多く見られ、運動時や運動後に踵(かかと)の痛みが起こる疾患。踵骨骨端(しょうこつこったん)症とも、踵の成長痛とも呼ばれています。

成長期には踵の先端部分に骨端核といわれる軟骨があり、踵骨腱(けん)ともいわれるアキレス腱と、足の土踏まずを形成する硬い膜である足底腱膜がついています。このためジャンプやダッシュ、ストップなど強い力が加わるバスケットボールやサッカーなどのスポーツだけではなく、長時間歩いたりした際の靴による圧迫など、微小な外力の繰り返しによっても刺激が加わり、アキレス腱が付着する部分に炎症を起こしやすくなり、痛みやはれ、熱感を伴います。

シーバー病が発生する原因は、骨端核が存在するような年齢の時に繰り返される踵部分でのストレスです。もともと、軟骨成分の多い子供の骨は衝撃にも弱く、腱による強力な牽引(けんいん)力がかかると、軟骨部分では容易に骨がはがれてしまいます。

シーバー病の症状は、踵のやや後下方から足底に近い辺りを押さえた時の痛みや、走ったり階段を上がったりした時の軽い痛み、踵を浮かせて歩くような重い痛みまでさまざまです。重い痛みをかばって爪先(つまさき)歩きになるために、アキレス腱やふくらはぎにも痛みを感じることがあります。

骨端核は15~16歳で踵骨体部と癒合して骨が完成しますので、症状は2~3年で自然に消失してゆきますが、症状を悪化させないためには、早期診断と治療が重要です。心当たりのある場合には、早めに整形外科の専門医の診察を受けるようにします。

医師による診断では、X線撮影を行うと、踵骨の骨端線が不規則な形に変形しているのがわかります。中には、X線写真で骨端核にひびが入る分節化などを示している症例もあります。

医師による治療では、踵部へのストレスを減少させるために、フェルトなどの材料を靴底に入れてクッションとして用いたり、足底装具を使用して踵を持ち上げたりします。短期間ギプスで固定することもあります。また、湿布や消炎鎮痛剤入りの軟こうを使ったり、温熱療法や周囲の筋肉のストレッチなども行います。

痛みの強い時期には運動は原則的に禁止であり、軽くなってからも痛みの起こる動作は避けます。

症状がとれれば、徐々に運動を再開します。この際、運動の前後の準備運動と整理運動で、アキレス腱や足底腱膜のストレッチをしっかり行うようにします。

🇩🇯趾間神経痛

足先への過度の荷重が原因で、足指や足指の付け根にしびれ、痛みが生じる疾患

趾間(しかん)神経痛とは、体のバランスを保つ中足骨(ちゅうそくこつ)の間の神経がはれて、足指や足指の付け根にしびれ、痛みを生じる疾患。モートン病、モルトン病、モートン神経腫(しゅ)とも呼ばれます。

古くから靴の文明が発達していた欧米人に多く見られた足指の神経痛の一種ですが、1876年にトーマス・モートンが足指の第3趾と第4趾の間の付け根にある神経の炎症であると、初めて報告しました。

日本では第2次世界大戦中に、多くの陸軍の歩兵がこの趾間神経痛に悩まされたといわれており、行軍腫とも呼ばれています。戦後は、おしゃれな靴が好まれるようになり、多くの女性が悩まされることとなりました。

足先への過度の荷重が発症の原因とされていて、ハイヒールや窮屈な靴の常用、中腰の姿勢での作業などで、足の指の付け根の関節でつま先立ちをする格好が長時間続く人に、起こりやすくなります。幅の狭い靴、底が薄くて硬い靴を履くことの多い人、硬い床の上でダンスをする人、硬い路面の上でランニングなどの反復性の運動をする人に、起こることもあります。

また、趾間神経痛は足底の横アーチの崩れとも関係していて、足が徐々に偏平になってくる中年以降の女性に多く発症します。

足の中足骨は深横中足靭帯(じんたい)によってつなぎ止められていて、その間を指神経(固有底側指神経)と呼ばれる感覚の神経が通っています。そして、足指の第3趾と第4趾の間の付け根には、指神経が交錯する神経腫と呼ばれる神経の固まりがあります。

この神経腫が深横中足靱帯と地面の間で圧迫されて、足指や足指の付け根にしびれ、痛みを生じるほか、第2趾と第3趾の間の付け根にある滑液包と呼ばれるクッションが繰り返される刺激によって炎症を起こして、指神経を圧迫し、足指や足指の付け根にしびれ、痛みを生じることもあります。

症状として、前足部に体重がかかったり、ハイヒールや窮屈な靴を履くと、足指や足指の付け根にしびれ、痛みや、異物感を感じます。歩くだけで激しい痛みを感じる場合があり、足指にかけての知覚障害が発生する場合もあります。時には、痛みが下腿(かたい)まで及ぶこともあります。一般的には、障害部位は第3趾と第4趾にまたがって起き、第2趾と第3趾、第4趾と第5趾にまたがることもあります。

通常は片側の足だけに生じるものの、時には両足に同時に障害が起こることもあります。圧迫部の近位に仮性神経腫といわれる有痛性の神経腫が形成される場合は、足底から第3趾または第4趾の付け根を圧迫すると痛みがあったり、前足部を手で両側から締め付けるようにすると痛みが誘発されます。

趾間神経痛の検査と診断と治療

整形外科、神経内科の医師による診断では、 障害神経の足指間に感覚障害、中足骨頭間の足底に有痛性の仮性神経腫があり、仮性神経腫をたたくとその支配領域に痛みが放散するチネルサインがあれば、診断は確定できます。また、足指を背屈するか、つま先立ちをしてもらうと痛みが強くなります。

X線(レントゲン)検査、筋電図検査、MRI検査、超音波検査なども、必要に応じて行われます。

整形外科、神経内科の医師による治療では、まずハイヒールの使用や中腰での作業を禁止して局所の安静を図り、消炎鎮痛剤などの薬剤内服、足の横アーチを整える足底板の靴底への挿入、筋肉の伸びを制限することで痛みの緩和を図るキネシオテーピング 、靴の変更、温熱療法、運動療法、痛みを和らげるブロック注射などを用いた保存的療法を行います。

発症から治療までの期間が短ければ短いほど、保存療法で治る割合が高くなっています。鍼灸(しんきゅう)治療が有効な場合もあります。

3カ月ほど様子をみて保存療法で症状が回復しない場合や、日常生活に支障を来す場合は、手術が必要になることもあります。手術には、神経剥離(はくり)、神経腫摘出、深横中足靱帯の切離などがあります。しかし、神経腫を切除しても痛みが楽にならないこともあるので、仮性神経腫状態にしないことが肝心です。

そのためには、足指と足底筋を鍛えて足のアーチを維持する必要があり、足じゃんけん、ビー玉拾いエクササイズ、歩行運動などが勧められます。足じゃんけんは、指全体を曲げてグー、親指だけ立ててチョキ、全部広げてパーをするもので、風呂の中などでするのも一案です。

また、足に負担をかけないためにも適切な体重を維持するとともに、自分の足に合った靴を選ぶことも大切です。お勧めの靴は、つま先に1~1・5cmくらいの余裕があり、靴紐(ひも)かマジックベルトが付いていて、靴底は硬めで、ある程度の重さのあるタイプ。

2022/08/26

🇩🇿四十肩

40歳ごろに、肩の関節が痛んで腕の動きが悪くなる疾患

四十肩とは、肩の関節が痛くなるとともに、肩の動きが悪くなるのを特徴とし、40歳ごろに起こる疾患。正式には肩関節周囲炎と呼ばれます。

肩関節周囲炎は40歳から50歳以後にかけてよく起こり、50歳ごろに起こると五十肩と通称されています。四十肩と五十肩の大きな違いはなく、年齢によって分けられているだけで、症状は変わりません。最初に五十肩という通称ができ、発症の低年齢化が進んできたために、四十肩という通称も流布するようになりました。

原因疾患として、肩の関節を取り巻く袋状の腱(けん)や関節の変性、断裂、癒着、炎症、石灰化が挙げられます。また、関節液を蓄えている滑液包の炎症、石灰化も挙げられます。これらの変化は、中年すぎに起こる一種の老化現象です。

急性期には、何もしなくても痛む自発痛がありますが、そのうち、動かす時に痛む運動痛だけになります。最初は、肩関節付近に鈍痛が起こり、腕の可動範囲の制限が起こります。次第に痛みは鋭いものになり、急に腕を動かす場合などに激痛が走るようになります。痛みのために、手を前方に上げたり、側方に上げたり、上腕を回旋したりすることが制限されます。

重症化すると、髪を洗う、歯を磨く、炊事をする、洗濯物を干す、電車のつり革につかまる、洋服を着る、寝返りを打つなどが不自由となり、日常生活にも支障を来す場合もあります。

痛みは片方の肩だけの場合と、一方の肩が発症してしばらく経つともう片方の肩にも発症してしまう場合とがあります。また、痛みのピーク時には肩や首筋の痛みに加えて、腕全体にだるさやしびれがある場合もあります。

発症してから治癒するまでは、半年から1年半くらいを要します。初期の症状が始まってから、数カ月を要して痛みのピークを迎え、ピークが数週間続いた後、次第に和らいでいきます。腕の可動範囲を発症前の状態までに戻せるかどうかは、痛みが緩和した後のリハビリ次第です。

四十肩の検査と診断と治療

発症後、日の浅い急性期には、安静にして局所を固定し、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の局所注射をします。また、ヒアルロン酸の注射も有効です。

急性期をすぎると、運動療法が進められます。上体を前屈させて、悪い肩のほうの手でアイロンを持ち、前後左右に振るコッドマン体操が基本になります。棒やタオルを両腕に持って、健康なほうの腕で四十肩のほうの腕をリードしながら、頭の上、首の後ろ、背中などに持っていったり、壁に指をはわせて、次第に腕を上げていく体操なども効果があります。

これらの運動療法の前に、ホットパックなどの温熱療法を行うと、筋肉の緊張がとれるので、後の運動療法の効果がよりいっそう有効になります。

四十肩は治るまでに長い期間が必要ですが、焦らず、のんびりと対処することが大切です。ことに初期のうちは、治療をしても、ある時期までは疾患は上り坂で悪くなるため心配しがちですが、いらいらせず、根気よく運動を続けます。運動を怠ると、腕の可動範囲が狭まったままとなる可能性があります。

急性期をすぎたら、針治療、指圧などを試みてみると効果がある場合もあります。四十肩は、腰痛、外傷性頸部(けいぶ)症候群などとともに、健康保険で針治療が受けられる疾患の一つとなっています。

なお、五十肩の運動療法では体への負担を考えて、あまり無理をしないのですが、四十肩の運動療法では、より短期間で痛みを防ぐための運動を進めることになります。

🇩🇴膝蓋骨骨折

膝の皿に相当する膝蓋骨に直接、もしくは間接的に外力が働いて生じる骨折

膝蓋骨(しつがいこつ)骨折とは、膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋骨に直接、もしくは間接的に外力が働いて生じる骨折。

膝蓋骨は下肢の中央、大腿(だいたい)骨の下端にあり、大腿四頭筋腱(けん)と膝蓋腱(膝蓋靭帯〔じんたい〕)により上下から支えられています。膝の屈伸運動、歩行に重要な働きを担っているため、骨折すると膝を自動的には伸ばせなくなります。

転倒や交通事故などで膝の前面を直接ぶつけることで、膝蓋骨骨折は生じます。また、スポーツなどで膝を伸ばした状態で、大腿四頭筋が急激に強く緊張すると、膝蓋骨は中央で上下の2つに割れて横(おう)骨折となります。例えば、バスケットでシュートしようと膝を伸ばした際に、横骨折を起こすことがあります。

膝蓋骨骨折を生じると、骨折した部位の痛みとはれが起こります。

完全に骨のつながりが絶たれる完全骨折の場合は、強い痛みが起こり、膝関節の曲げ伸ばしができなくなるため、立ち上がったり歩いたりできなくなります。骨の位置がずれる転位がない場合は、比較的鈍い痛み、もしくは小さな痛みとなることが多く、骨折を見逃すこともあります。

膝蓋骨骨折の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、受傷した時の状況や症状、およびX線(レントゲン)検査で比較的容易に確定できます。

整形外科の医師による治療では、骨の位置がずれる転位もなく、骨が折れた部分が広がる離開もない場合、手術は不要で、保存的にギプスによる外固定を3〜5週間行います。その後、ギプス固定を続けていたために曲げにくい状態になっている膝を曲げるリハビリテーション、やせた状態になっている大腿四頭筋や下腿の筋肉の筋力を回復するリハビリテーションを行います。

膝の前面を直接ぶつけたために皮膚が破れて開放性骨折となった場合は、緊急手術で感染に対する処置を行います。

骨片が上下の2つに離開した横骨折では、手術的にキルシュナー鋼線とワイヤーで固定します。手術後はギプス固定は不要で、早期に膝のリハビリテーションを開始します。

治療成績は、単純な骨折では比較的良好です。しかし、開放性骨折や骨片がバラバラに砕けた粉砕骨折(星状骨折)、大腿骨下端や脛骨(けいこつ)中枢端の骨折に合併した場合は、膝関節可動域の減少を残すことがあります。

🇩🇴膝蓋骨脱臼

膝の皿に相当する膝蓋骨が、膝蓋大腿関節から外れる障害

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)とは、膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋骨が、膝蓋骨と大腿(だいたい)骨からなる膝蓋大腿関節から外れる障害。

膝蓋骨の脱臼方向により、側方脱臼(外側脱臼と内側脱臼)、垂直脱臼、水平脱臼、回転脱臼に分類され、膝蓋骨周囲の形態や構造の関係から、側方脱臼のうちの外側脱臼が多くみられます。また、障害の程度により、完全脱臼と不完全脱臼(亜脱臼)に分類されます。

通常、膝蓋大腿関節を構成する膝蓋骨と大腿骨の関節面はうまくかみ合うようにできていますが、膝蓋骨が本来あるべき部位からずれ、骨同士の関節面が正しい位置関係を失う脱臼が起こると、骨の骨折、軟骨の変形、靱帯(じんたい)などの軟部組織の損傷を伴うケースがあります。

交通事故などによる膝前面の打撲時に、過度の外力が直接膝蓋骨に働いて膝蓋骨の脱臼が起こるほか、スポーツ外傷としてもしばしば膝蓋骨の脱臼がみられ、サッカー、バスケットボール、バレーボール、ラグビー、体操、スキー、ランニングなどで好発します。

サッカーやバスケットボール、ラグビーで方向転換をしようとしたり、膝の外側に対戦相手の体が当たったりした場合に、膝蓋骨が外側へ外れることがあります。バスケットボールのシュートや、バレーボールのアタック、体操の跳び箱、スーキーのジャンプの着地時に、膝蓋骨が外れることもあります。スキーの滑降で転んだ際に、膝蓋骨に強い衝撃を受けて外れることもあります。長距離ランニングや、スキーの長距離滑走などで膝を酷使した時に、膝蓋骨が外れることもあります。

膝蓋骨や大腿骨の形に異常がみられたり、太ももの筋肉である大腿四頭筋の作用する方向と膝蓋靭帯の方向が異なっているなど、生まれ付きの素因を持っている場合は、膝蓋骨を脱臼しやすくなります。ほかに、全身の関節弛緩(しかん)性、X脚、扁平足(へんぺいそく)、膝蓋骨高位、小さい膝蓋骨なども、膝蓋骨脱臼の誘引となります。

とりわけ、思春期の女性では、女性ホルモンの関係で軟部組織が弛緩する傾向にあるために、関節が緩くなり、膝蓋骨を脱臼しやすくなります。また、思春期に膝蓋骨脱臼を起こした女性は、その後も繰り返し脱臼を来す反復性脱臼を起こすことが多い傾向にあります。

膝蓋骨の脱臼を起こすと、膝の周囲、特に外側を中心に痛みを感じ、膝の皿の違和感、はれ、こわばりが現れます。軽症の場合は、自然に脱臼が整復されることも少なくありません。

強い外力によって脱臼を起こした場合は、歩行障害、膝の可動制限が現れます。

脱臼を繰り返す反復性脱臼を起こすようになると、痛みやはれなどは少なくなり、膝が大きく動くよう不安定感を覚えます。この反復性脱臼から、習慣性脱臼や、膝蓋軟骨軟化症、変形性膝関節症に移行することもあります。

膝蓋骨脱臼の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、問診、視診、触診で、膝蓋骨周囲の痛み、膝蓋骨を指で押した時の圧痛、膝蓋骨の動きの違和感、膝蓋骨の位置のずれなどがみられるかどうか確認します。

より詳細な確認が必要な場合は、X線(レントゲン)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、あるいは関節鏡検査などを行い、撮影画像などから障害の程度、骨折や骨の変形の有無を確認して確定します。

完全脱臼では、膝蓋骨が大腿関節面の外側などにずれている撮影画像が見られ、亜脱臼では、ずれが完全でなく大腿骨外側などに引っ掛かったり変位している撮影画像が見られます。

強い外力によって脱臼を起こし、骨軟骨骨折があった場合は、骨片の存在が認められます。また、関節内血腫(けっしゅ)の存在、膝蓋大腿関節面の適合性不良も、撮影画像から確認できます。

整形外科の医師による治療では、徒手整復や関節内血腫の除去を行った後、ギプスやサポーターで膝を固定する装具療法、消炎鎮痛剤の塗布・投与やヒアルロン酸の注射などで炎症や痛みを抑える薬物療法、筋力トレーニングやストレッチによって膝の筋肉の緊張をほぐし強化も図る運動療法などを、症状に応じて組み合わせて行います。

装具による固定は、約3週間は行います。スポーツ復帰は、膝の痛み、はれ、可動制限が消失し、筋力も回復してからで、通常は2カ月以上かかります。早期のスポーツ復帰は、慢性的な関節の緩みを引き起こし、再発を招きやすいので、避けるべきす。

反復性脱臼と強い痛みの症状が保存療法で改善しない場合は、手術を行います。手術は、内側の関節包を縫縮し外側の関節包を切開する外側解離術、内側広筋前進術・内側縫縮術、脛骨(けいこつ)粗面内側移行術、内側膝蓋大腿靱帯再建術などを関節鏡下で行います。

手術を行った場合は、手術の方法にもよりますが、スポーツ復帰は3~6カ月はかかります。

予防としては、太ももの筋肉である大腿四頭筋を始めとした膝周囲の筋力トレーニングが有効で、治療にも有効です。特に、内側広筋という太ももの内側の筋肉の強化が有効で、内側広筋は膝蓋骨が外側に引っ張られないように抑え、内側へ引き戻す役目を持つためです。

X脚、扁平足など、膝蓋骨脱臼を誘発する要因を持っている場合は、その矯正が有効です。

🇭🇹膝蓋靭帯炎

膝の皿に相当する膝蓋骨の下にある膝蓋靭帯に、使いすぎで痛みが生じる障害

膝蓋靭帯(しつがいじんたい)炎とは、膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋骨の下にある膝蓋靭帯に痛みが生じる障害。膝蓋腱(けん)炎、ジャンパー膝とも呼ばれます。

使いすぎ(オーバーユース)に起因する膝のスポーツ障害で、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、バドミントン、陸上競技の高跳びや幅跳びなどでジャンプ動作や着地動作、方向転換動作を頻繁に行ったり、サッカーでキック動作やダッシュなどの走る動作、方向転換動作を繰り返し行ったりすることで生じます。

膝関節の屈伸動作を頻繁に、かつ長時間にわたって行うと、太ももの筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の収縮筋力が膝蓋骨と膝蓋靭帯(膝蓋腱)の接合部に繰り返しかかることで、靱帯の微小断裂や変性が起き、膝蓋骨のすぐ下に痛みが生じます。痛みは、膝蓋骨と大腿四頭筋靱帯の接合部にもしばし生じ、膝蓋靭帯と脛骨(けいこつ)結節の接合部にもまれに生じることもあります。

好発年齢は12〜20歳で、多くは骨の末端部分のいわゆる成長軟骨である骨端線が閉鎖する15歳以降に生じ、特に男性に多く生じます。成長期に好発するのは、骨の成長に筋肉の成長が追い付かず、大腿四頭筋が相対的筋短縮の状態になり、筋肉の柔軟性が低下しているためです。

膝蓋靭帯炎が進行すると、膝蓋靭帯の部分断裂や壊死(えし)を生じることがあり、まれに膝蓋靱帯の完全断裂が生じることもあります。

膝蓋靭帯炎の症状は、4期に分類されます。1期では、スポーツ開始直後に膝蓋骨のすぐ下かすぐ上に痛みが生じます。多くは、スポーツをするのに支障はありません。

そのままスポーツを続けると2期となり、運動開始時と運動終了後に痛みが生じ、運動中は一時的に痛みが軽快、消失します。さらに進行して3期になると、痛みのためにスポーツの継続が困難となります。

4期では、膝蓋靱帯の断裂が生じます。痛みは、特にジャンプ動作やダッシュ動作で強く、ジャンプ動作では着地時の症状が強くなる傾向があります。

時に、膝蓋骨の下に、はれや熱感を伴います。通常は片側の膝に膝蓋靭帯炎が起きますが、両側の膝に起きることもあります。

膝蓋靭帯炎は急性外傷ではないために、大半の発症者は1期、2期に医療機関を受診していません。治療を受けないと慢性化の原因にもなりますので、整形外科を受診することが勧められます。

膝蓋靭帯炎の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、膝蓋骨の直下、もしくは直上に圧痛があり、時にはれや熱感を伴う症状から判断します。

X線(レントゲン)検査を行うと、膝蓋骨の下に石灰化による白い影が見られ、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、靱帯の断裂部分や肥厚が見られますが、初期の段階で異常が認められることは少なく、正確な診断を難しくしています。

整形外科の医師による治療では、症状を悪化させないよう、スポーツなどは極力休止して安静を保った上で、テーピングやサポーターで膝を固定する装具療法、消炎鎮痛剤の塗布・投与やヒアルロン酸の注射などで炎症や痛みを抑える薬物療法、温熱などの理学療法、大腿四頭筋のストレッチによって膝の筋肉の緊張をほぐし柔軟性を上げる運動療法などを、症状に応じて組み合わせて行います。

症状が軽い場合には、ストレッチ、アイシング、サポーター装着の併用でスポーツ活動の継続は可能ですが、2期以上に進行している場合には、ジャンプ動作の制限やスポーツの休止を行います。

症状が強く難治性の場合には、膝蓋靱帯の変性部分の切除や、断裂部分の縫合などを行う手術を実施します。

🇭🇹膝蓋大腿関節症

膝蓋骨と大腿骨からなる膝蓋大腿関節に炎症が起こり、膝の痛みを引き起こす疾患

膝蓋大腿(しつがいだいたい)関節症とは、膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋骨と、膝から上の骨である大腿骨からなる膝蓋大腿関節で、骨や軟骨が変形して炎症を起こし、膝の痛みを引き起こす疾患。

さまざまな要因により関節の変形がみられる変形性膝関節症が、膝蓋大腿関節に発症したものといえます。変形性膝関節症と同じく、加齢によって骨がもろくなったり、長年にわたって膝を使い続けて骨に負担が蓄積することによって、骨が痛んで変形したり擦り減ったりして、膝蓋大腿関節症を発症します。

そのほか、膝蓋骨の脱臼(だっきゅう)によって、膝蓋大腿関節症を発症することもあります。通常、膝蓋骨と大腿骨はうまくかみ合うようにできていますが、膝蓋骨が本来あるべき部位から外側へずれる脱臼が起こると、ずれによる摩擦で、関節の骨の表面を覆っている厚さ2~7ミリ程度の層である軟骨が擦り減ります。膝蓋骨の脱臼を放置しておくと、どんどん軟骨が痛み、ひどくなると骨にまで影響が出ることもあります。

膝蓋骨の脱臼は、長距離ランニングなどで膝を酷使した時や、ジャンプ系のスポーツでのジャンプの着地時に太腿の筋肉である大腿四頭筋が強く収縮した時に起こるほか、外部から膝の皿に強い衝撃を受けた時、周辺の靭帯(じんたい)が緩んでいる時など、さまざまな原因で起こります。

生まれ付き膝蓋骨や大腿骨の形の異常がみられる人も、脱臼しやすくなります。思春期の女性も、女性ホルモンの関係で関節が緩くなりやすいために、脱臼しやすくなります。

膝蓋大腿関節症を発症した初期は、階段の上り下り、正座や椅子(いす)からの立ち上がりなどで膝を動かした時に、膝の周囲に痛みを感じ、膝を動かすのをやめて安静にしていると次第に痛みが消えます。

症状が進むにつれて、痛みが大きくなり、膝を動かすのをやめて休んでもなかなか痛みが消えなくなってきます。ひどいと、安静時にも痛むことがあります。関節内に水、すなわち増量した関節液がたまってくるようになることもあります。

また、膝蓋骨の脱臼を伴っている場合は、膝の周囲、特に外側を中心に痛みを感じ、膝の皿の違和感、はれ、こわばり、大きく動くよう不安定感を覚えます。

通常は片側の膝に膝蓋大腿関節症が起きますが、両側の膝に起きることもあります。

膝蓋大腿関節症の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、問診、視診、触診で、膝蓋骨周囲の痛み、膝蓋骨を指で押した時の圧痛、膝蓋骨の動きの違和感、膝蓋骨の位置のずれなどがみられるかどうか確認します。

より詳細な確認が必要な場合は、X線(レントゲン)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などを行い、撮影画像から骨の変形などの異常を確認して確定します。

整形外科の医師による治療では、症状を悪化させないよう、スポーツなどは極力行わず安静を保った上で、サポーターなどで膝を固定する装具療法、消炎鎮痛剤の塗布・投与やヒアルロン酸の注射などで炎症や痛みを抑える薬物療法、筋力トレーニングやストレッチによって膝の筋肉の緊張をほぐし強化も図る運動療法などを、症状に応じて組み合わせて行います。

症状が強く、日常生活での動作に支障が出る場合には、X線撮影画像による骨の変形の程度と照合した上、手術的治療を行います。

変形が強い場合、人工膝関節置換術が主な治療法となります。変形が軽度の場合は、内側の関節包を縫縮し外側の関節包を切開する外側解離術や、脛骨(けいこつ)粗面を浮上させる脛骨粗面前進術、膝蓋骨の脱臼の補正手術などを行い、体重が膝関節全体に均等にかかるようにします。

予防としては、太腿の筋肉である大腿四頭筋を始めとした膝周囲の筋力トレーニングが有効で、治療にも有効です。特に、内側広筋という太腿の内側の筋肉の強化が有効で、内側広筋は膝蓋骨が外側に引っ張られないように抑え、内側へ引き戻す役目を持つためです。

X脚、O脚(内反膝)、がに股、扁平(へんぺい)足、足首が内側に傾く回内足、不自然な歩き方など、膝蓋大腿関節症を誘発する要因を持っている場合は、その矯正が有効です。

また、ランニングをしている人では、走り方の癖の改善を心掛けることが予防につながります。つま先が内側を向いた内足の状態で着地する、女性にみられがちな走り方は、膝にねじりの作用を加えて膝蓋骨に負担をかけるほか、いろいろな膝障害を招く要因になるためです。

🇭🇹膝蓋軟骨軟化症

膝の皿に相当する膝蓋骨の裏側の軟骨に変形が生じ、膝の痛みを引き起こす疾患

膝蓋(しつがい)軟骨軟化症とは、膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋骨の裏側にある軟骨に変形が生じ、膝の痛みを引き起こす疾患。長距離ランナーやジャンプ系のスポーツ選手が膝を酷使することで発症しやすく、スポーツ障害の一つとしても知られています。

膝の関節は、体重を支えたり、運動時の衝撃に耐えるなど、強い負荷がかかりやすい部位です。そのため、膝蓋骨の軟骨は、ほかの部位の軟骨と比べて磨耗しやすい存在です。

膝蓋骨の裏側の軟骨は、太ももの骨である大腿(だいたい)骨とこすれ合うことで、その摩擦によって摩耗していきます。摩耗し、すり減った軟骨は炎症を起こし、一部に軟化、膨隆(ぼうりゅう)、亀裂(きれつ)などの変形を生じることになります。それが、膝蓋軟骨軟化症の原因です。

初めのうちは、膝蓋骨の違和感を覚えたり、膝蓋骨が引っ掛かる感じを覚える程度で、痛みが起きることはあまりありません。徐々に進行すると、スポーツをした時や、階段を上り下りした時、正座から立ち上がる時に、膝蓋骨周囲の痛みを覚えるようになります。

軟骨のすり減りが進むと、立っているだけでも痛みが生じるようになります。

通常は片側の膝に膝蓋軟骨軟化症が起きますが、両側の膝に起きることもあります。

膝蓋軟骨軟化症の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、問診、触診などで、運動時の膝蓋骨周辺の痛み、膝蓋骨を指で押した時の圧痛、膝蓋骨の動きの違和感などがみられるかどうか確認します。

より詳細な確認が必要な場合は、X線(レントゲン)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、関節内視鏡検査などを行います。

整形外科の医師による治療では、手術を行わない保存的療法を基本にして、症状の改善を図ります。症状を悪化させないよう、スポーツなどは極力行わず安静を保った上で、サポーターなどで膝を固定する装具療法、消炎鎮痛剤で炎症や痛みを抑える薬物療法、筋力トレーニングやストレッチによって膝の筋肉の緊張をほぐし強化も図る運動療法などを、症状に応じて組み合わせて行います。

症状が強く、日常生活での動作に支障が出る場合には、外側の関節包を切開する外側解離術や、脛骨(けいこつ)粗面を浮上させる脛骨粗面前進術、膝蓋骨の亜脱臼(だっきゅう)の補正手術などを行います。

予防には、膝周囲の筋肉を強化する筋力トレーニングや、柔軟性を高めるストレッチングが効果的で、X脚や扁平(へんぺい)足、不自然な歩き方など膝蓋軟骨軟化症を誘発する要因を持っている場合は、その矯正が有効です。

🟪インフルエンザの患者数が注意報の基準を超える 新型コロナと同時に流行ピークの恐れも

 インフルエンザの感染状況について、厚生労働省は20日、全国約5000の定点医療機関から9〜15日の1週間に報告された感染者数が1医療機関当たり19・06人だったと発表しました。前週(9・03人)と比べ2・11倍に急増し、「注意報」の基準の10人を超まし た。  都道府県別では...