隣り合った足の指が互いに癒合している先天異常
合趾(ごうし)症とは、隣り合った足趾、つまり足の指が互いに癒合している先天異常。第2趾(人差し指)と第3趾(中指)間などにみられます。
胎児においては、まず大きな足の塊ができて、その一部が自然死(アポトーシス)し、裂け目が生じることによって、独立した足指が形成されます。その発生段階で、分化(分離)が不十分な場合に合趾が生じます。
合趾間で共有する組織の種類により、皮膚性合趾、繊維性合趾、骨性合趾に分類されます。皮膚性合趾では、皮膚のみの共有で、隣り合った足指はそれぞれ独立した骨、靭帯(じんたい)を有しています。線維性合趾では、皮膚と腱(けん)や靭帯などの軟部組織が癒合しており、良好な機能回復を得るにはそれらの分離が必要です。
骨性合趾では、骨や関節までが共有されています。このタイプの合趾症では、隣り合った足指それぞれの成分の大きさが小さいことが多く、2つの足指の分離を行うといずれかの足指が小さくなりやすい傾向があります。このため、大きさの矯正のために複数回の手術が必要とされることもあります。
癒合範囲については、隣り合った足指全体にわたって癒合している場合と、隣り合った足指の一部が癒合し先端は分離している場合とがあります。左右の足に、足指の癒合が同時に発生する場合、片方の足だけに、足指の癒合が発生する場合とさまざまで、左右差がある場合もあります。
足指の数が6本以上となる多趾に合併した多合趾の場合もありますし、隣り合った手の指が癒合する合指症を合併することもあります。
出生1000人から3000人に対し1人の頻度で、合趾症はみられます。多くは偶発的、単発的に生じていますが、アペール症候群(尖頭〔せんとう〕合指症候群)、ポーランド症候群などの先天奇形症候群の症状の一部としてみられることもあります。
生後すぐ、合趾症は産科で気付かれることが多いため、足指以外の体の異常が合併していないかどうか、小児科でも診てもらうことが勧められます。また、整形外科などでも診てもらい、美容的、機能的な観点から手術を行うべきかどうか相談することが勧められます。
合趾症の検査と診断と治療
整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による診断では、視診で容易に判断できますが、骨の状態をみるためにX線(レントゲン)検査を行います。
整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による治療では、手術により、隣り合った足指の癒合部の分離を行い、指間の水かき部分を皮弁(ひべん)と呼ぶ弁状に起こした皮膚で形成します。。
足指が離れると皮膚が欠損するため、足のくるぶし付近などの皮膚を採取して、足指の側面に植皮します。皮膚の欠損部が比較的小さく、自然上皮化させたほうが良好な結果を得られる場合には、植皮は行いません。
単純な皮膚性合趾では、1~2歳で分離手術を行います。骨性合趾、3指以上の合趾などでは、技術的に難しい場合があり、2段階に分けた手術や骨切り術、骨移植術を必要とすることもあります。
手術後は安静を保つために、足と足指をギプス固定します。皮膚性合趾で足指間に植皮を行った場合には、原則としてギプス固定は1週間で解除し、リハビリを開始します。
繊維性合趾で腱移行を行った場合や、骨性合趾で関節形成を行った場合には、2~3週間のギプス固定を行います。また、皮膚の欠損の範囲が大きく、手術後に足指のひきつれ(拘縮)が起こる可能性が高い場合には、ギプス固定などを6カ月程度継続します。
皮膚性合趾では、それぞれの足指の動きは良好に獲得できます。骨性合趾では、変形や動きの制限が残る場合があります。
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