土踏まずの内側から内くるぶしの後ろ側にかけて痛む疾患
後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)とは、土踏まずの内側から内くるぶしの後ろ側にかけて痛む疾患。
足関節の周囲には、一般的によく知られているアキレス腱のほかに、前脛骨筋、後脛骨筋、腓骨(ひこつ)筋などの腱があります。足関節の内側、内くるぶしの後方から下方を通っているのが後脛骨筋で、荷重時に足や体を安定させたり、着地時の衝撃を和らげる働きがあります。
ランニング、ジャンプ、ウォーキングなどのスポーツや、長時間の立ち仕事で、後脛骨筋に負担がかかり、腱が引き伸ばされたり、断裂することで炎症を起こすと後脛骨筋腱炎を発症し、痛みやはれが生じます。
ランニングや立ち仕事などによる酷使、過体重、硬い路面の歩行や走行、磨耗したり劣化したシューズ、足に適合していないシューズの使用、扁平足(へんぺいそく)や外反拇趾(がいはんぼし)、足首の柔軟性の低さといった、さまざまな要素が関与して発症します。ランニングやジャンプなどの運動時の痛みが多く、進行すれば歩行やストレッチでも痛むようになります。
痛みが続いたり、強くなったりして日常生活に支障を来す場合は、整形外科を受診します。
医師による検査では、触診とMRI(磁気共鳴画像)により、後脛骨筋腱の損傷とその程度を確認します。腱の触診は通常、痛みを誘発します。つま先で立つことは通常、痛みを伴い、腱が断裂している場合は不可能であるかもしれません。
医師による治療では、痛み、はれが強ければ、運動を制限または休止し、アイシングや温熱療法を行います。また、足の形に合わせて作成した足底板(アーチサポート)やテーピングを使用し、足にかかる負荷を軽減します。足関節周囲筋のストレッチやマッサージ、弱化している筋肉の筋力強化も行います。
しっかりと治療、コンディショニングを行わずにスポーツなどを続けた場合、足関節の動きが制限され、腰や股(また)、膝(ひざ)関節の障害を引き起こす原因となる可能性があります。
完全断裂には手術を必要とし、スポーツ障害による急性断裂には手術が特に重要です。
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