難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の依頼を受け、医師2人が殺害したとされる事件で、嘱託殺人罪などに問われた医師大久保愉一被告(45)の裁判員裁判の公判が1日、京都地方裁判所(川上宏裁判長)でありました。検察側は「希望や生命を絶ち切る重大な結果をもたらした」として懲役23年を求刑。弁護側は改めて無罪を主張して結審しました。判決は3月5日に言い渡される予定。
検察側は論告で、犯行が発覚しないよう入念に計画したと指摘。完全犯罪をもくろんだとし、「医療知識を悪用した特異な事件だ」と非難しました。
弁護側は、患者の女性には回復の見込みがなく、耐え続けること自体が不当だと主張。被告による薬物投与は、女性が自ら選択した「穏やかな死」を実現する行為だったと主張しました。
起訴状によると、大久保被告は2019年11月、元医師山本直樹被告(46)と共謀し、京都市に住むALS患者の女性(当時51)の依頼を受け薬物を投与し、急性薬物中毒で死亡させたほか、2011年3月には山本被告らと共謀し、東京都内のアパートで同被告の父靖さん(当時77)を殺害したとされます。
山本被告は嘱託殺人罪について懲役2年6月、父親に対する殺人罪で懲役13年を一審京都地裁でそれぞれ言い渡され、控訴しています。
女性の父親は閉廷後に記者会見し、「なぜそんなことができたのか。憎しみが増すばかりだ」と話しました。
2024年2月3日(土)
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