世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は1日、2022年に新規がん患者が約2000万人、死者が約970万人に上ったとの推計を発表しました。
人口の増加や高齢化を背景にがん患者は急速に増加し、2050年には新規患者が3500万人超に達すると予測。先進国と途上国間だけでなく、同一国内でも治療の格差が広がりかねないと警鐘を鳴らしました。
国際がん研究機関は、185カ国からのがん36種に基づくデータを集めて分析。2022年の新規患者のうち肺がんが約248万人と最も多く、乳がんが約231万人で2番目、さらに大腸がん、前立腺がんと続きました。
国際がん研究機関はまた、およそ5人に1人が一生のうちにがんにかかり、男性9人の1人、女性12人の1人がそれぞれがんで死亡するとしました。
ただ、がんに伴うリスクは患者の住む場所によって異なります。例えば、先進国では女性12人の1人が乳がんにかかるものの、死亡するのは71人に1人にとどまります。
生活水準の指標「人間開発指数」が相対的に低い国々では、人口が若い傾向があることや、太りすぎなどのリスクが低いことから、乳がんと診断される女性は27人に1人なものの、死亡するのは48人に1人。
国際がん研究機関の担当幹部は、こうした国々の女性は、診断される可能性が低く、診断の遅れのほか、質の高い治療が十分に受けられないため、乳がんで死亡するリスクがより高いと指摘しました。
また、ライフスタイルの変化によりさまざまな種類のがんが増加。新規患者のうち大腸がんが3番目、死者では2番目に多くなっています。
最も多いのは肺がんの新規患者で、死因の第1位となっており、毎年新たに250万人が診断され、180万人が死亡しています。
国際がん研究機関によると、2050年までに人口の増加と老化に伴い、世界の新規患者は77%増の3500万人に達する見通し。 しかし、その影響は不均等で、貧困国では新規患者は142%増加し、死亡率は2倍になるだろうとしています。
日本の新規患者は約100万人で、死者は約42万人。部位は男性で前立腺と肺、女性で乳房と大腸がそれぞれ多くなりました。
2024年2月2日(金)
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