東京大学と東京都医学総合研究所の研究チームは、引きこもり症状の持続や身体不調の増加が思春期児童の希死念慮(死にたいと思う気持ち)を抱くリスクになることを見いだしました。研究成果を生かせば、児童の異変を周囲の人間が意識することで自殺予防につながる可能性があります。
児童2780人を対象に数年間、追跡調査しました。引きこもり症状、身体不調、不安抑うつ症状など8項目の有無や強弱について、10歳、12歳、16歳の時点で調べました。その上で、16歳時点で希死念慮を抱いているかも調べ、データを解析しました。
引きこもり症状が持続している場合と身体不調が増加している場合、希死念慮のリスクが高まることがわかりました。引きこもり症状の持続はそれがない場合と比べて希死念慮を持つ割合が約2・4倍、身体不調の増加はそれがない場合と比べて約3倍高くなりました。
身体不調とは、身体的な病気がないにもかかわらず、痛み、疲労感、吐き気、めまいなど身体の不調が生じること。引きこもり症状も身体不調も心理的なストレスがかかわっていることが多く、それが希死念慮を招くとみられます。
研究に携わった東大医学部付属病院精神神経科の安藤俊太郎准教授は、「軽視されがちな児童の身体不調が実は大きなリスクとなることがわかった」と話しています。不安抑うつ症状などと比べれば周囲が見付けやすいため、自殺予防の支援につながる可能性があります。
2024年2月13日(火)
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