世界の交通事故死者数は2010~2021年に年間5%ずつ減少した半面、いまだに1分間に 2人以上、1日当たり3200人以上が亡くなり、5~29歳の子供や若者の死因の1位を占める健康上の危機であるとの最新報告を世界保健機関(WHO)が発表しました。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は、「路上での死亡は防ぐことができる。交通システムの中心に車ではなく人を位置付け、歩行者や自転車利用者その他の交通弱者の安全を確保するよう各国に呼び掛ける」とコメントしました。
発表によると、2010~2021年に国連加盟国のうち108カ国で交通事故死が減少。10カ国では50%超、35カ国が30~50%減らすことに成功しました。
ただ、死亡事故の9割は低・中所得国で発生し、世界の自動車のわずか1%の保有台数しかない低所得国のほうが、高所得国より死亡リスクが3倍高くなりました。
自動車に乗った人の死亡は全体の30%でわずかに減少した一方、歩行者が23%、オートバイなどの二輪車・三輪車が21%、自転車が6%などいわゆる交通弱者が53%を占め、死亡リスクの上昇に直面していると指摘しました。
WHOが交通事故死を防ぐ最良の方法として推奨する「スピード違反の防止」「飲酒運転の防止」「ヘルメット着用」「シートベルト装着」「チャイルドシートの使用」を徹底すると同時に、自動ブレーキなど自動車の安全装備の法制化、自転車専用レーンの整備などを求めました。
2020年にSDGs達成のために国連が示した「行動の10年」計画では、2030までに世界の交通事故死を半減させるとの目標を掲げています。国連によると、 自動車が発明されて以来、世界の道路で 5000万人以上が亡くなっており、これは第一次世界大戦や世界最悪の伝染病の死者数を上回る数といいます。
2024年2月13日(火)
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