梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」の子供の数は昨年1年間で37人と、現在の方法で統計を取り始めてから最も多くなったことが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。
国立感染症研究所によりますと、2013年1年間に報告された性感染症の梅毒の患者のうち、妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」と診断された子供の数は速報値で37人と、1999年に今の方法で統計を取り始めてから最も多かった2019年1年間での23人を上回り、これまでで最も多くなっています。
過去5年間は20人前後で推移しており、大幅な増加となっています。
梅毒は主に性的な接触で広がる細菌性の感染症で、治療せずに放置すると深刻な症状を引き起こすことがあるほか、感染した妊婦から胎児に母子感染すると「先天梅毒」といって、死産につながったり、皮膚の異常や難聴といった症状が出たり、発達に遅れが出たりする恐れがあります。
先天梅毒の急増を受けて、日本産科婦人科学会は昨年12月、先天梅毒への注意の呼び掛けを発表しました。
呼び掛けでは、梅毒に感染する妊婦が急増しているとした上で、「自分、パートナーそして生まれてくる赤ちゃんを梅毒の感染から守るために、妊娠前に梅毒に感染していないことが重要です」として、コンドームを使わないなど、リスクのある性行為があった場合は男女ともに検査を受けるよう強く求めています。
性感染症に詳しい日本大学医学部の川名敬主任教授は、「梅毒の感染が拡大する中、感染に気付いていない女性もいると考えられ、感染に気付かず妊娠すると先天梅毒がさらに増えることが危惧される。男女ともに検査を積極的に受けてほしいし、妊娠の前に梅毒の治療をしておくことが大切だ」と述べました。
2024年2月3日(土)
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