神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で昨年9月以降、糖尿病の入院患者が適切な治療を受けられずに死亡するなどの問題が相次いだことを巡り、神戸市は20日、運営する医療法人徳洲会(大阪市)に対し、医療法に基づく改善命令を出しました。同法による改善命令の発出は、兵庫県内で初めてとなります。
同病院では昨年6月、カテーテル治療後に複数の患者の死亡が発覚し、同市が8月に行政指導を行いました。しかし、さらに別の患者3人が死亡した事例で医療安全上の不備が度重なり「組織のガバナンスが機能しておらず非常に危険」と見なし、行政処分に踏み切りました。
市保健所によると、糖尿病患者は70歳代男性で昨年8月、新型コロナウイルスに感染し同病院から別の大学病院に転院。その後、神戸徳洲会病院に再入院しましたが、糖尿病の治療に用いられるインスリンの投与などが適切に行われず、同9月に死亡しました。主治医は外科医の新保雅也院長で、電子カルテに記載された持病を見落としました。
遺族には死因を肺炎と説明したものの、市の立ち入り調査後に不十分な血糖値のコントロールが死因の可能性があると説明し直しました。院内の医療安全対策委員会で医療事故かどうか調査したものの、結論を出しませんでした。
今年1月には市内の福祉施設から心肺停止状態で搬送された90歳代男性に血圧を上昇させる薬剤を投与していた際、追加が必要な状況で薬剤の準備ができず投与が間に合わない間に男性は死亡。また昨年10月に80歳代の男性患者が亡くなった経緯で院内から検証を求める意見が出たものの調査しなかったほか、複数の患者の電子カルテで記載漏れが確認されたといいます。
市保健所は、「必要な調査を適切に実施しておらず、組織体制を含めた抜本的な見直しが必要」と指摘。病院側に3月上旬までに改善計画書の提出を求め、従わなければ一部業務停止などの罰則の対象となります。
同病院の担当者は、「指導を受けている中で死亡事案が続いたことは重く受け止めている。改善命令には真摯に、適切に対応していく」とコメントしました。同病院は3月末まで、救急車による患者の受け入れを停止するといいます。
2024年2月20日(火)
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