神奈川県は新型コロナウイルス感染症の後遺症を巡り、患者と医療機関の実態調査を初めて行い、結果をまとめました。診療態勢が変更になる4月以降も後遺症への対応は必要なため、回答を政策立案に役立てる考えです。
患者への調査は昨年10月、県のLINE公式アカウントを通じて実施し、1万8260人が回答。感染歴があるとした9604人のうち、4割の4328人に後遺症の症状があり、2601人は「医療機関を受診していない」と答えました。症状の経過をみていた人や、対応している医療機関がわからない人が多くいました。
後遺症の症状(複数回答)は、倦怠(けんたい)感(1691人)、持続するせき(1484人)、嗅覚障害(860人)、味覚障害(806人)、息切れ(652人)、頭痛(531人)など。後遺症が出た人の半数近くに当たる2155人は「現在も悩んでいる」とし、そのうち843人が学校や仕事を一定期間休んだり、辞めたりしたと答えました。
ワクチン接種回数に関する質問では、感染の有無による差がありました。感染したことがある人は「3回」が最も多く3008人。次いで「4回」が2451人、「2回」が1418人などでした。一方、「感染したことがない」と回答した8656人は「4回」が最多の1980人で、「6回」の1750人、「5回」の1633人、「7回」の1577人と続き、総じて回数が多い傾向が認められました。
医療機関の調査は昨年10~11月、2500カ所に協力を求め、737カ所が回答。後遺症を診療する上で必要な支援について、「診療方法の確立」「診療報酬の増額など」「社会の理解が進む」といった声が寄せられました。
調査では、県が後遺症を診療していると把握できておらず、ホームページにも掲載していない医療機関の存在が判明。情報収集能力の課題も浮かび上がりました。
県や独自に保健所を設置する6市、医療関係団体などでつくる県感染症対策協議会は、4月以降の新型コロナウイルス対応方針を決めました。専用の病床確保や外来対応医療機関の公表、入院患者数の集計、電話相談窓口などは3月末で廃止します。一方、1週間ごとにまとめている定点把握による感染者数の報告や変異型検査と、後遺症外来の公表と後遺症の相談事業は続けます。
ワクチン接種は継続するものの、有料化します。医療費補助は廃止か縮小を見込んでおり、今後詳細を詰めます。感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同じ5類になったことに伴う態勢変更ですが、協議会では出席者から「何となくの流れで普通の病気と同様に扱われるのは危険」との懸念の声も出ました。
2024年2月8日(木)
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