目の視野が欠けたり視力が低下したりする重い目の病気の患者に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜の細胞を移植する、初めての臨床試験(治験)の計画を国に届け出たと、開発を行っている製薬会社が発表しました。国の機関の調査を受けた後、実用化に向けた治験を進めるとしています。
治験の届け出を行ったのは、大阪市に本社を置く製薬会社の「住友ファーマ」と、東京都のバイオベンチャー「ヘリオス」です。
両社は、視界がゆがんだり視力が低下したりする「加齢黄斑変性」などから症状が進んだ「網膜色素上皮裂孔」という重い目の病気の患者に、他人のiPS細胞から作った網膜の細胞が含まれた液体を移植し、機能の回復を目指す新たな治療法の開発を進めています。
両社は、この治療法の治験の計画書を医薬品の審査を行う国の機関、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に届け出たと25日、発表しました。
iPS細胞から作った網膜の細胞の移植は、理化学研究所などのチームが2014年に世界で初めて「加齢黄斑変性」の患者を対象に臨床研究として行っています。
住友ファーマは「iPS細胞を用いた治療を一日も早くお届けするために、早期の有効性・安全性の確認を進めます」とコメントしていて、実用化の時期は、現時点では再来年度中を目標としていますが、治験の状況を踏まえて検討するとしています。
2023年5月27日(土)
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