2023/05/03

🟧日本のコロナ関連の論文数、G7最低の世界14位 ワクチンや治療薬開発の遅れに影響か

 新型コロナウイルスの研究で、日本の研究者が2020年~今年4月に発表した論文の数は世界14位と、先進7カ国(G7)の中で最も少なかったことが、科学技術振興機構の辻真博フェローの調査で明らかになりました。アメリカやイギリスなどに比べて研究活動が低調だったことが、ワクチンや治療薬の開発の遅れにつながったとみられます。

 辻フェローが、国際的な科学論文の検索・分析が可能な学術出版大手エルゼビアのデータベースでコロナ関連の論文数を調べたところ、2020年~今年4月に世界で発表された約45万本中、日本から発表されたのは1万476本で、国・地域別のシェア(占有率)は2・28%と世界14位にとどまりました。

 国別で最も多かったのがアメリカの10万8393本(占有率23・64%)で、イギリスの4万3288本(同9・44%)、中国の4万1833本(同9・12%)が続きました。イタリア、ドイツ、フランスのほか、コロナの感染者数や死者数がより少なかったカナダも、日本の論文数を上回っていました。

 シェアの年別推移を分析すると、日本はコロナ禍初期の出遅れが顕著で、2020年は16位でした。その後、徐々に順位を上げ、2021年は15位、2022年は13位、今年1~4月は10位となったものの3%にとどまっています。

 一方、コロナ以外の医学分野の論文数を調べてみると、2020~2023年の日本の順位は、「がん」3位、「脳神経」5位、「免疫」6位と軒並み上位で、世界トップレベルを維持していました。

 日本のコロナ研究の低調ぶりについて、辻フェローは「日本はコロナ禍前、米欧のように感染症の脅威に直接さらされてこなかったため、感染症の研究者が少なく、研究環境も十分整備されていなかった」と話しています。

 5月8日には、新型コロナの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられます。しかし、辻フェローは「新興感染症による将来のパンデミックに備え、5類引き下げ後も感染症の研究は継続する必要がある」と訴えています。

 2023年5月3日(水)

0 件のコメント:

コメントを投稿

🟧アメリカ、鳥インフルエンザで初の死者 基礎疾患抱えた高齢者

 アメリカ南部ルイジアナ州の保健当局は6日、鳥インフルエンザに関連する人間の死亡例をアメリカで初めて報告しました。死亡した患者は65歳以上の高齢者で基礎疾患があり、一般の人々へのリスクは依然「低い」としています。  この患者は少なくとも昨年12月中旬から同州で入院しており、高病...