2023/05/13

🟧アステラス製薬、更年期障害治療薬でアメリカFDA承認を取得 非ホルモン治療薬で新たな選択肢に期待

 アステラス製薬は13日、アメリカで開発中の更年期障害治療薬「フェゾリネタント」について、アメリカ食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表しました。同社の試算でピーク時に年間5000億円の売り上げを見込むフェゾリネタントは、承認時期が当初予定より遅れた経緯がありました。

 更年期障害は顔のほてりやのぼせ、発汗、不眠などの症状を引き起こすとされます。かつては治療薬としてホルモン製剤が使われていたものの副作用が多く、使用されなくなった経緯があります。フェゾリネタントは非ホルモン治療薬で、更年期障害の治療に向けた新たな選択肢となる可能性があります。

 発表資料によると、アステラス製薬は閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状に対する治療薬として開発を進めてきました。顔のほてりやのぼせなどを特徴とする血管運動神経症状は、閉経に伴う症状として女性の治療ニーズが最も高く、フェゾリネタントはこうした症状の頻度や重症度を軽減するといいます。

 今回の承認取得は血管運動神経症状を有する女性3000人以上を対象に米欧などで行った試験結果に基づいており、同社はヨーロッパやオーストラリアでも承認を申請中です。将来は日本でも実用化を目指します。

 同社が4月に発表した2024年3月期の業績予想には、フェゾリネタントによる売上貢献期待として、400〜500億円を織り込んでいます。

 FDAは2月、フェゾリネタントの審査終了時期を当初予定より3カ月後となる5月下旬に延期すると発表。

 岡村直樹社長は4月に、承認の遅れが「すごくネガティブなインパクト」になるとした上で、売れ行き次第としながらも「もっと投資してその遅れを取り戻すことができるぐらいの計画を作る」と述べていました。

 現在、アステラス製薬の業績を支える主力薬は前立腺がん薬「イクスタンジ」で、2023年3月期の売上高は約6600億円と、連結売上高の4割強を占めます。ただ、イクスタンジは2027年ごろから特許切れを迎えます。医薬品は特許が切れるとすぐに後発薬が登場し、収益が激減します。

 アステラス製薬はイクスタンジの独占期間満了による売り上げ減少を補う収益の柱の筆頭として、フェゾリネタントを位置付けます。さらに同社が1日に約59億ドルで買収すると発表したアメリカのバイオ医薬品企業の持つ眼科領域での新薬候補も、収益の柱の一つに育てる考えです。

 2023年5月13日(土)

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