2023/05/30

🟧パーキンソン病の原因となる異常たんぱく質を血液から検出する方法を開発 順天堂大など

 順天堂大学と理化学研究所などの研究チームは、パーキンソン病などの神経疾患の原因になる異常たんぱく質を血液から検出する技術を開発しました。症状が進行する前の早期の診断に役立つ可能性があります。企業と連携して検査の自動化などの技術開発を進め、実用化を目指します。

 手足の震えなどの症状が出るパーキンソン病や、似た症状の多系統委縮症、認知症の一種であるレビー小体型認知症では、「αシヌクレイン」というたんぱく質が異常な構造に変化し、脳に蓄積します。患者の血中にも異常なたんぱく質の「種」が微量に存在します。

 順大の服部信孝教授らは、この種を血中から検出する技術を開発しました。微量なたんぱく質を濃縮する技術と、異常たんぱく質を増やす技術を組み合わせました。異常たんぱく質の検出で、パーキンソン病の患者と健康な人を約9割の高い精度で判別できました。これまでは、血液検査という簡便な方法での異常たんぱく質の検出は困難でした。

 培養細胞や動物などの実験で、パーキンソン病と多系統委縮症、レビー小体型認知症では、異常たんぱく質の微細な構造や細胞の中に蓄積した時の塊の構造、脳の中での広がり方などが異なることも明らかにしました。初期の症状が似ているこれらの病気を異常たんぱく質の構造などで区別できるといいます。

 研究チームは、血中の微量な異常たんぱく質の検出によって、パーキンソン病などの早期診断も可能になると見込んでいます。今後、睡眠中の行動異常などパーキンソン病の前兆とされる症状がある人を対象に、異常たんぱく質の検出から発症するまでの期間などの研究を進めます。

 今回開発した手法では、異常たんぱく質を検出可能な量に増やすまでに5日程度を要します。分析装置メーカーや製薬企業と連携し、検査の期間短縮や自動化といった技術開発にも取り組む方針です。

 服部教授は、「今は症状をもとに診断しているが、血液で見分けられれば、将来的には症状が出る前から治療を始められる。それぞれ強みを持つ企業と共同研究し、開業医でも利用できるような検査にしたい」と話しています。

 研究成果は29日付けのイギリスの科学誌「ネイチャー・メディシン」に掲載されました。 パーキンソン病の国内の患者数は推定20万人程度で、難病の中でも特に患者数が多くなっています。高齢化などを背景に世界では2040年には1400万人に達するとの予測もあります。

 2023年5月30日(火)

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