2022/07/09

☢ワイル病

ワイル病は、黄疸(おうだん)出血性レプトスピラが犬や鼠(ねずみ)に感染し、その尿に汚染された水や土から経皮的、経口的に人間へと感染する病気です。レプトスピラとは、螺旋(らせん)状の特殊な細菌の一群であるスピロヘータの一種です。

ドイツの医師ワイルにより、1886年に初めて報告され、日本の稲田龍吉、井戸泰両博士により、1915年に世界で初めて病原体が発見されました。

日本では「秋疫(しゅうとう)」、「七日病(なのかびょう)」と呼ばれる地方病として、農作業や土木従事者の間で発症していましたが、現在は沖縄県で散発性に発生するのみです。

ワイル病を含め、レプトスピラによる感染症を総称して「レプトスピラ病」と呼びますが、国外では現在でも、全世界的にレプトスピラ病が流行しています。ブラジル、ニカラグアなどの中南米や、フィリピン、タイなどの東南アジアといった、熱帯、亜熱帯の国々での大流行が挙げられます。

ワイル病の症状 には黄疸のほか、出血傾向、タンパク尿、高熱、吐き気、嘔吐(おうと)、筋肉痛、結膜充血があり、進行すると腎不全、心不全が起こる場合もあります。レプトスピラ病の経過は極めて速く、ワイル病では治療開始時期が遅れるとしばしば重症化します。

治療法としては、 抗生剤を早期に投与するのが有効。感染早期ではペニシリン系、テトラサイクリン系など多くの抗生剤の効果が認められ、ストレプトマイシンが最も有効です。合併症では、その治療をします。

東南アジアなど、レプトスピラ病の流行地域へ旅行した場合には、不用意に水の中に入らないことが、予防する上で重要です。特に洪水の後は、感染の危険性が高まります。また、1999年夏に沖縄八重山地域において、観光ガイドやカヤックインストラクターなど、河川でのレジャー産業に従事する人たちの集団感染が報告されていますので、水辺のレジャーにも注意が必要です。

感染の機会があり、ふくらはぎの筋肉痛や、眼球結膜の充血を伴う発熱が現れた場合には、早急に感染症内科のある医療機関を受診します。

0 件のコメント:

コメントを投稿

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...