看護師による入院患者への暴行事件が起きた東京都八王子市の精神科病院「滝山病院」について、第三者委員会が調査報告書を公表し、虐待が早期に発覚せず、改善されなかった原因として、事前通知をした上で行う行政の検査の不備を指摘しました。
東京都八王子市の精神科病院「滝山病院」では今年2月、入院患者への暴行事件が発覚し、これまでに看護師ら5人が略式起訴されており、東京都は今年4月、病院に改善命令を出しました。
これを受け、弁護士でつくる第三者委員会(委員長・伊井和彦弁護士)が職員や患者、それに患者の家族などを対象に調査を行い、18日結果を公表しました。
それによりますと、略式起訴された5人のほかに看護師2人が、患者の首を絞めたり、頭をたたいたりするなどの暴行を行っていたことが認められたということです。
また、医師の指示のない違法な身体拘束が日常的に行われていたほか、入浴前の患者を裸に近い状態で廊下を歩かせるなどの不適切な行為が確認されたということです。
虐待が起きた背景として、病院を運営する医療法人のガバナンス(組織統治)や役員のコンプライアンス意識の欠如、非常勤職員率が高い不十分な看護体制などを挙げています。
第三者委員会は、医療法人では倫理研修などが開かれず、利益を優先する体質があったと指摘。多数を占める非常勤職員に勤務シフトを依存していたことが、指揮命令の不徹底や統制のゆるみにつながり、違法行為の助長を招いた可能性があるとしました。
このほか、虐待が早期に発覚せず、改善されなかった原因として、事前通知をした上で行う行政の検査の不備を指摘しています。
病院の検査などを行った東京都は、「事件が発覚してから虐待の疑いがある場合は、抜き打ち検査の実施などに取り組んでいて、今回の報告書の指摘も踏まえ、指導を強化していく」としています。
第三者委員会が調査報告書を公表したことを受け、滝山病院はホームページで「この結果を真摯(しんし)に受け止め、改善に努めてまいります」とするコメントを出しました。
2023年12月18日(月)
0 件のコメント:
コメントを投稿