政府はオンライン診療を受けられる場所を広げる方針で、デジタル機器に不慣れな高齢者が受診しやすいように通所介護施設や学校も対象に加えます。現在は自宅や診療所以外で受けられる場所は、へき地の公民館などに限定していました。高齢者らがデイサービスと同時に受診できるようになります。
18日の規制改革推進会議の作業部会で、地域を「へき地など」に限定する条件を廃止すると決定しました。都市部を含めてオンライン診療へのアクセスを高め、医療提供を効率化します。
家族や施設職員らにパソコンなどの操作を手助けしてもらって受診することを想定します。介護施設と医療機関の両方に通う患者にとって、通院を減らせる利点があります。
現在は離島や山間部などのへき地に限り、医師が常駐しない施設でもオンライン受診を可能にしていて、居住系の介護施設、公民館などにとどまっていました。
今後は、日帰りで通う介護事業所や学校も新たに加えます。厚生労働省が「患者が長時間にわたり滞在する」との要件に、デイサービスを提供する施設が当てはまると認めます。
必要性や医療機関へのアクセスの難しさなどを都道府県が地域ごとに確認し、患者が急変した際に医療対応できる環境であることも求めます。
12月内にまとめる規制改革推進会議の中間答申に方針を盛り込み、3年内にも厚労省が自治体に通知します。
介護施設に頻繁に通う高齢者の中には、要介護のレベルが高く定期的に受診を必要とする人も多く、体調や症状の悪化を早期に発見できる効果も期待できます。
全国各地で鉄道や路線バスの廃止・縮小が続き、高齢者の通院にかかる負担が重くなっているとともに、医師の都市部偏在の影響で、離島や山間部以外でも医療アクセスが低下する懸念があります。
高齢者は増加傾向にあり、総務省の調査によると2022年9月時点で総人口に占める65歳以上の割合は約29%に上ります。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると2070年には39%程度に上昇する見込みで、高齢者医療を支える環境づくりが課題となっています。
2023年12月20日(水)
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