製薬大手の住友ファーマなどは26日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経細胞をパーキンソン病の患者の脳へ移植する臨床試験(治験)を、アメリカで開始したと発表しました。対象患者が推定で日本国内の3~5倍いるアメリカでの実用化を目指します。
パーキンソン病は、運動にかかわる神経伝達物質「ドーパミン」を分泌する脳の神経細胞が減り、手の震えや歩行困難などの症状が現れる病気。50歳以上で多く発症し、同社などによると国内に約20万~30万人、アメリカでは約100万人の患者がいると推定されています。
京都大iPS細胞研究所や同社などは2018年、健康な人のiPS細胞からドーパミンを出す細胞を作って移植する臨床試験に着手。2021年までに予定していた7人の患者への移植を完了し、現在、安全性と有効性の確認を行っています。
アメリカでの臨床試験はカリフォルニア大サンディエゴ校で実施。住友ファーマが日本で製造した細胞を空輸し、京大で行われている臨床試験とほぼ同じ方法で7人に移植する計画で、2年間経過を観察します。
アメリカでは、iPS細胞と似た性質を持つES細胞(胚性幹細胞)を使ったパーキンソン病の臨床試験が先行しています。
今回は、大学病院などが中心となって行う比較的小規模な臨床試験。より人数を増やした試験もアメリカで今年度中に開始する方針で、同社は2032年度末までの実用化を目指すといいます。
2023年12月28日(木)
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