アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」が今月、保険適用となったことを受け、東京都内にある認知症の専門外来がある病院では、25日から患者への投与が始まりました。
日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同開発した「レカネマブ」は、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドベータ」を取り除き、進行を遅らせるための国内で初めての治療薬で、12月20日から保険適用となっています。
これを受けて、この薬の専門外来を設置した東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)では、25日午前から投与が始まり、都内在住でアルツハイマー病の50歳代の女性の患者が1時間余りかけて薬の点滴を受けました。
この薬の対象となるのは、アルツハイマー病で認知症を発症する前の「軽度認知障害」や早期の認知症と診断された人で、副作用が起きていないかなどを定期的に確認する必要があることから、投与できるのは専門的な検査などが受けられる医療機関に限られています。
薬は2週間に1回投与され、1年半をめどに続けられるということです。
50歳代の女性は25日、主治医の井原涼子・脳神経内科医長の診察を受けて、体調を確認。午前9時半過ぎから1時間余りかけて点滴で投与を受け、投与後もアレルギー反応などに備えて、念のため院内で待機しました。
女性は、「やっと薬を使わせてもらってほっとした。今まで通りの生活ができるように自分も気を付けたい」と話しました。
今後も2週間ごとに通院して点滴を受けるほか、定期的にMRI(磁気共鳴画像)検査も受け、脳内に微小出血などの副作用が起きていないかチェックします。
東京都健康長寿医療センターの岩田淳副院長は、「これまでの薬は症状を緩和させるためのものだったが、新薬でようやくアルツハイマー病と闘えるスタートラインに立てた」と話していました。
このほか、大阪公立大学病院(大阪市)でも、21日に50歳代の男性に「レカネマブ」を投与したことがわかりました。同病院の武田景敏・脳神経内科講師によると、若年性認知症外来の受診者だといいます。
アルツハイマー病は、認知症全体の6~7割を占めるとされます。記憶障害などの症状が現れる10~20年前から脳内にアミロイドベータが徐々に蓄積して神経細胞が傷付き、脳が委縮すると考えられています。世界保健機関(WHO)の推計では、世界の認知症患者数は約5500万人。
2023年12月25日(月)
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