国立感染症研究所は、研究者の職員1人がチフス菌に感染し、腸チフスを発症したと発表しました。
国立感染症研究所によりますと、この職員は業務でチフス菌を扱っていたということで、現在、保健所が感染経路の調査を行っています。
この職員は8月11日に医療機関を受診して入院し、15日に腸チフスと診断されたということで、現在、発熱や腹痛などを訴えているということです。
職員が使ったと考えられる実験室やトイレなどはすでに消毒したということで、現時点でほかに体調不良を訴えている人はいないということです。
国立感染症研究所のホームページによりますと、腸チフスはチフス菌が原因の感染症で、ふん便で汚染された食べ物や水を介して人から人に感染します。
感染すると7日から14日の潜伏期間をへて発熱や頭痛、食欲不振、全身のけん怠感といった症状が出るほか、重症になると意識障害や難聴が起きることもあります。
腸チフスの患者は世界では年間2690万人に上ると推定され、特に南アジアや東南アジアでの患者が多く、中南米、アフリカでも見られ、衛生水準の高くない国で流行しているということです。
国内では近年、腸チフスの感染例は数十例で推移し、その多くが流行している地域への旅行者によるものだということです。
一方、海外渡航歴のない患者も毎年、確認されており、過去には飲食店での集団感染が起きたこともあります。
感染症法上は「コレラ」や「細菌性赤痢」と同じ「3類」となっていて、患者、無症状病原体保有者(保菌者)、および死亡者(死亡疑い者を含む)を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所を通じて都道府県知事への届出が義務付けられています。
2023年8月18日(金)
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