国立感染症研究所は、村山庁舎(東京都武蔵村山市)のBSL4(バイオセーフティーレベル4)施設で、エボラ出血熱など致死率の高い病気の原因ウイルスを動物に感染させる実験を今後進めます。8日、地元住民らに担当者が方針を説明しました。治療薬の効果を確かめることが目的で、国内で感染事例が発生した場合に備え、治療体制の整備を急ぎます。
対象として扱う病原体は、致死率が高いため感染症法で最も危険度が高い「1類」に指定されているエボラ出血熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱の各ウイルス。エボラ出血熱については、海外で使用されている治療薬があるものの、国内ではまだ承認されていません。
同庁舎のBSL4施設で11月以降、病原体を培養細胞やマウス、サルに感染させ、治療薬の効果を確認したり、既存の抗ウイルス薬を転用できないか評価したりする実験を行います。消毒液の効果や、検査方法の改良も進めます。
1類感染症は、感染が疑われる患者が出た場合、指定の医療機関に入院させ、同庁舎などで検体に含まれる病原体を調べることになっています。感染症研究所は2019年、南米出血熱を含む計5種類の病原体を海外の研究機関から初めて輸入し、検査方法の確認を進めてきました。
感染症研究所の海老原秀喜・ウイルス第一部長は、「人の往来が再び活発になり、感染症が国内に入ってくるリスクが高まっている。患者の命を守るための仕組みを作っていきたい」と話しています。
2023年11月13日(月)
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