飲酒ガイドラインについて議論する厚生労働省の有識者検討会は22日、国内初のガイドラインの案をまとめました。参考となる飲酒量の数値として、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム以上、女性20グラム以上」と示しました。
一方、近年は少量の飲酒でも高血圧やがんなどのリスクが上がるとの研究結果が出ていることもあり、ガイドラインは「飲酒量をできるだけ少なくすることが重要」と指摘しました。
厚労省は今後、パブリックコメント(意見公募)をするなどして、今年度中に最終決定します。
飲酒ガイドラインは、飲酒の健康影響や飲み方の注意点などを示すもの。国のアルコール対策の第2期基本計画(2021~2025年)に作成の方針が盛り込まれました。これを受け、2022年から有識者検討会が議論してきました。
ガイドライン案では、飲酒の影響が年代や性別、体質によって異なることを示しました。過度の飲酒でアルコール依存症や生活習慣病、がんなどを発症しやすくなることも記載しました。
また、お酒に含まれる純アルコール量に着目。世界保健機関(WHO)などが、純アルコール量が少ないほどがんなどのリスクが少なくなると報告しているとし、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などでは、少量の飲酒でも発症リスクを上げる可能性があると指摘しました。
大腸がんでは、1日当たりの純アルコール量約20グラム以上の飲酒を続けると発症のリスクが上がるという研究結果も紹介しています。
純アルコール量は、飲んだ酒の量とアルコール度数などを掛け合わせて計算でき、例えばアルコール度数5%のビールでは、中瓶1本やロング缶に当たる500ミリリットル飲むと、純アルコール量は20グラムに当たります。7%の酎ハイは350ミリリットル、12%のワインは小さいグラス2杯分の200ミリリットル、15%の日本酒は1合弱、25%の焼酎は100ミリリットル、43%のウィスキーはダブルに当たる60ミリリットルです。
これらを踏まえ、厚労省は「自分の普段の飲酒量を把握し、あらかじめ飲む量を決めることが重要」としました。
厚労省は今後、国民向けのリーフレットを作成し、普及を図ります。
2023年11月23日(木)
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