運動不足になると、糖尿病や高血圧、肥満など生活習慣病になるリスクが上がります。その結果、長期的には心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気になりやすく、死亡リスクも上昇します。最近では、運動不足は心筋梗塞や脳卒中だけでなく、がんや認知症リスクも高めるといわれています。
日本では運動不足による死亡者数は喫煙、高血圧に次ぎ3位で、年間約5万人が運動不足で亡くなっていると推定されています。
では、どの程度の運動を何時間、週に何回やれば、生活習慣病やがんにならずにすみ、健康寿命を延ばせるのかといえば、1日数回10分ほど、早歩き程度の運動を続けても健康に効果があります。週末だけでも1日8000歩以上歩くと一定の健康増進効果が期待でき、死亡リスクが下がります。
ただし、ほとんどの研究で、その効果が出るのに10年ぐらいかかります。三日坊主ではなく、数年以上続けないと、病気のリスクを下げたり寿命を延ばしたりすることはできないでしょう。
少し前の調査では、日常的に健康維持や増進のために意識的に運動をしている人の割合は、男性も女性も5割ほどいます。しかし、1回30分以上「少し息が弾む」程度の運動(中等度の運動)を週2回以上かつ1年以上続けている運動習慣のある人に限ると、男女ともに3~4人に1人です。
現在推奨されている運動は、中等度の強度で毎週2回以上、計150分以上行うことです。このような運動をしている人は、長期的に心筋梗塞のリスクが2割減少し、死亡リスクも2割ほど低下します。より運動強度の高い有酸素運動を週に75分行っても同程度の効果があります。
運動時間を増やすと追加効果が期待でき、さらに生活習慣病や死亡のリスクが下がります。ただ、やりすぎは禁物で、過度に長い時間運動したり、より高負荷の運動を続けたりすると、運動による追加的健康効果がなくなるばかりか、逆に死亡リスクを上げます。
健康寿命を延ばす運動は、テニスでもジョギングでも、ゴルフや水泳でもよく、要は、少し汗ばむ程度の運動負荷を身体にかけ、脈拍が100~120/分になる有酸素運動であれば効果が期待できます。これを週に2~3時間するのがよいといわれています。
目標とする運動時間や負荷は、年齢により異なります。30歳代や40歳代の人は脈拍が130/分ほどになる運動を週3時間程度するのがよく、60歳代の人は脈拍が110/分ほどになる運動を週2時間ほどすれば十分でしょう。
このような運動で健康は増進されます。一方、脳の健康や認知症の予防には、もう少し工夫が必要です。運動する時に、左右の足を非対称に動かしたり、手足を別々に動かしたりするほか、簡単な計算や仲間と楽しくしり取りをすると、同時に脳も使うため、効果があるとされています。
2023年11月9日(木)
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