東京都内の今年の梅毒患者報告数が、過去最多だった昨年を上回る勢いで増えています。感染は性風俗関係以外の幅広い層にも広がっている上、感染した母親から胎内で感染する「先天梅毒」も過去最多に上ります。都や医師会は、早期の検査や治療を呼び掛けています。
梅毒は主に性的接触でうつる感染症。全身の発疹などの症状が出る例が多く、脳などに合併症が出る恐れもあります。母子感染する先天梅毒では、流産や死産の可能性が高まるほか、生まれた子供に骨や神経の異常、難聴が見付かるケースもあります。
都によると、都内の患者数は11月6~12日に報告された時点で累計3209人で、昨年同期の3151人を超えています。年代別では女性は20歳代、男性は20~50歳代が中心。患者のうち先天梅毒の子供は過去最多の8人に達しています。
感染者数は、2016~2020年が横ばい傾向だったものの、2021年から増加に転じ、感染者
は2451人に上りました。2022年の感染者3677人のうち、性風俗業従事者は2割にとどまっています。
14日に開かれた都医師会の定例会見で、川上一恵理事は「風俗産業の病気だと思われているかもしれないが、性風俗関係ではない仕事の方や主婦、学生など、検査が行われない中で広がっている」と危機感をあらわにしました。
川上理事は先天梅毒についても触れ、「生まれながらにこの病気で苦しむ赤ちゃんがいないように、不安な性交渉をした場合には検査をしてほしい」と呼び掛けました。
都は、12月15日までエイズなどの性感染症の予防月間として、各区の保健所などで実施している検査回数を増やしています。検査日時の詳細や申し込み方法は、「都HIV検査情報WEB」で検索できます。
2023年11月19日(日)
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