海外での臓器移植を国の許可なくあっせんしたとして、臓器移植法違反(無許可あっせん)の罪に問われたNPO法人「難病患者支援の会」(東京)法人「難病患者支援の会」(東京都目黒区)理事長、菊池仁達被告(63)の判決が28日、東京地裁でありました。馬場嘉郎裁判長は同被告に懲役8月(求刑懲役1年、罰金100万円)、法人に求刑通り罰金100万円をそれぞれ言い渡しました。
臓器移植法は脳死を含む死体からの移植について、国の許可なくあっせんすることを禁じる一方、海外での移植を制限していません。菊池被告は無罪を主張し、同被告の活動が同法が規制するあっせん行為に該当するかどうかが主な争点でした。
判決は、国外手術のあっせんには▽移植を受ける機会の公平性が損なわれる▽医療上の安全が脅かされる▽移植後の継続的な医療に支障を来す―といった恐れがあると指摘。こうした事態が生じかねない以上、行為の一部でも国内で行われれば同法が適用されるとの解釈を示し、日本での許可は必要ないとの弁護側の主張を退けました。
その上で、日本国内で希望者を募ってベラルーシの医療機関に紹介するなどし、実際に手術を受けさせた菊池被告の行為は、同法上のあっせんに当たると判断。同法違反罪が成立すると認めました。
判決は、国内での臓器あっせんの実現に長期間を要する現状にも着目しました。菊池被告が数カ月以内に手術を受けることを可能にしたことで、「移植手術を受ける機会の公平性が大きく損なわれたことは明らかだ」と強調。違法性を認識する可能性も十分にあったなどとして、「実刑は免れない」と結論付けました。
判決によると、菊池被告は2021〜2022年、NPO法人のホームページで臓器移植の希望者を募り、患者2人に海外での移植を提案。ベラルーシでの腎臓や肝臓の移植費用などとして、計約5150万円を受け取りました。
警視庁が2023年2月、菊池被告を臓器移植法違反容疑で逮捕しました。海外での臓器移植について、無許可のあっせん容疑を適用して立件したのは初めてでした。
菊池被告は、判決の言い渡しを聞いた後、法廷で「控訴します」と話していました。
2023年11月29日(水)
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