アメリカ疾病対策センター(CDC)は7日、アメリカの先天梅毒の新生児が過去10年で11倍に急増していると警鐘を鳴らしました。同国では性感染症が全般的に増加しています。
CDCによれば、2022年の先天梅毒の新生児は3761人に上り、2012年の11倍となりました。10例中9例は、母親が妊娠中に適切な時期に検査・治療を受けていれば感染を防げたはずだとCDCは指摘しています。
母親が梅毒に感染して治療を受けていない場合、胎盤を通じて胎児にも感染するリスクがあります。流産や死産を招くか、新生児に関しては視力・聴力の低下、骨格異常などの長期的な合併症を引き起こす恐れがあります。
CDCのデブラ・ホウリ最高医学責任者は、「アメリカで先天梅毒の危機が悲惨なペースで広がっている」と指摘。「アメリカでは性感染症が拡大し続けている」「生殖可能年齢の女性とその性的パートナーを含め、全年齢層で梅毒が増加している」と述べました。
特に感染者が多いのは、人種的マイノリティーの人々で、検査や治療を受ける割合は白人を下回っています。
CDCは、2021年では黒人、アメリカ先住民、ヒスパニックの新生児が先天梅毒になるリスクは、母親が白人のケースに比べると最大8倍も高かったと指摘し、最も脆弱(ぜいじゃく)なグループに合わせた戦略を求めました。
CDCで社会的感染症予防の最高責任者を務めるローラ・バックマン氏は、人種的マイノリティーの人々の障壁には「継続的な健康保険がないために医療や妊産婦ケアを受けられず、交通手段も限られている問題や、物質使用障害や不安定な居住状態、貧困、人種差別などが含まれる」と説明しています。
国立感染症研究所によると、日本での先天梅毒の報告は年20人前後。
2023年11月9日(木)
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