日本でヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種対象となった世代では子宮頸(けい)がんが減少しているとの研究結果を、昭和大などの研究チームが国際科学誌「キャンサー・サイエンス」オンライン版に発表しました。
日本では、前がん病変についてのワクチンの予防効果に関する報告はあったものの、子宮頸がんへの効果を明らかにしたのは初めてだとしています。
同大学の小貫麻美子講師(産婦人科)、松本光司教授(同)らは、全国がん登録データと日本産科婦人科学会の腫瘍登録データから子宮頸がんを年齢層別に解析。2011年以降は、20歳代の登録だけが減少に転じていました。
子宮頸がん検診の効果や性行動の変化など別の要因が影響したとも考えられるため、最近約10年間、全国24の医療機関で新規に診断された40歳未満の子宮頸がんの中で、ワクチンで予防可能なHPV16型、18型の割合を調べたところ、20歳代だけで2017年以降、割合が減少していることが判明。ワクチンの一定の効果が認められると結論付けました。この2つの型は子宮頸がんの約7割を占めるとされます。
2020年以降、国による接種プログラムがあるスウェーデン、イギリス、デンマークなどから同様の報告が続いています。
国内では年間1万人以上が子宮頸がんと診断され、約2900人が死亡するとされます。HPVワクチンは2009年12月に日本で販売開始。2013年4月に予防接種法に基づく定期接種になったものの、副反応報告が相次いだことで2013年6月に接種の積極的勧奨を中止。有効性や安全性が確認されたとして2022年4月、勧奨を再開しました。
2023年11月14日(火)
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