沖縄県庁(那覇市泉崎)の地下駐車場で6月に有害な有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を含む泡消火剤が放出され、庁舎外にも流出した問題で、玉城デニー知事は27日未明、開会中の県議会本会議で流出の経緯を説明し、事案発生から3カ月以上公表していなかったことについて「県民に多大な不安を与えたこと、報告が遅れたことについておわび申し上げる」と陳謝しました。
県管財課によると、6月18日早朝、県庁地下2階駐車場で消火設備のスプリンクラーが老朽化で誤作動し、PFASの一種のPFOS(ピーフォス)などを含む泡消火剤約900リットルが放出されました。一部は回収したものの、残りは地下2階の貯水槽に流れ込みました。
担当課は、貯水槽内の水は庁舎外に排出されないと判断し、設備の点検業者と処分先や回収方法を検討していました。しかし、9月12日に貯水槽内を確認したところ、水位が低下しており、泡消火剤を含む水が庁舎外に流出したことが判明しました。台風などの大雨の流入で自動排水機能が作動したことが原因とみられます。
9月19日に貯水槽内の水を採取してPFASの濃度を分析したところ、国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を大幅に上回る1リットル当たり2万4000ナノグラムの高濃度で検出されました。庁舎外の排水溝の水からも、1リットル当たり6600ナノグラムの高濃度で検出されました。一方、近くを流れる久茂地(くもじ)川の水は1リットル当たり34ナノグラムで、暫定目標値は下回りました。
県によると、消火設備の容器内は2010年にPFOSなどを含まない泡消火剤に交換していたものの、配管内にPFOSを含む泡消火剤が残留していました。宮城力総務部長は27日午後に記者会見し、「6月の段階で公表すべきだったと反省している」と話しました。
県議会で知事の説明を聞いた自民県議は、「アメリカ軍基地で(PFASの流出が)起きた時に、いの一番に抗議し、原因究明を求めてきたのが知事のスタンスだ。足元の県庁で起きたことについて隠蔽(いんぺい)に近いやり方をするのは言語道断だ」と批判しました。
県議会は26日午前に9月定例会が開会しましたが、県政野党の自民がPFAS流出について玉城知事からの説明を求め、調整に時間がかかりました。その間に、県政与党会派の一部県議と退勤した県職員が県議会内の会派室で酒の提供を伴う会合を開いていたことが発覚。事実関係の確認のため空転し、玉城知事の説明は27日未明にずれ込みました。
2023年9月27日(水)
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