塩野義製薬は19日、同社の新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」が、重症化リスクの高い患者に対しても有効であることを確認したと発表しました。ゾコーバは軽症や中等症の患者に対し経口投与する治療薬で、重症化の抑制効果は示されていませんでした。別の薬で十分な効果が得られなかった患者に投与すると、67%の患者でウイルス量が基準値以下まで下がったといいます。
重症化リスクのある患者に対しては、アメリカのギリアド・サイエンシズの「ベクルリー」やアメリカのファイザーの「パキロビッド」が優先的に使われてきました。今後、ゾコーバの使用対象となる患者層が広がる可能性があります。
大阪府内の病院に入院し、ベクルリーを3日以上投与してもウイルス量が十分に下がらなかった患者21人を対象に臨床研究を実施しました。患者の平均年齢は78歳で、多くががんや腎不全などを患うなどの重症化リスクを抱えていました。
ゾコーバを1日1回5日間投与したところ、患者14人のウイルス量が基準値以下に下がりました。
6日目までにすべての患者の症状が改善し、重症化したり死亡したりした患者はいなかったといいます。
別の臨床試験(治験)で、息切れ、集中力や思考力の低下といったコロナ後遺症を1年にわたり抑える効果があることも確認したと発表しました。発症120時間以内にゾコーバを1日1回5日間投与すると、プラセボ(偽薬)を投与した患者群に比べ、後遺症が出る人の割合を25〜26%下げる効果があったといいます。これまで、投与後6カ月後について後遺症を抑える効果があると発表していました。
2023年9月19日(火)
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