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2022/07/27

🇸🇾アスベスト症

アスベスト症とは

「アスベスト(Asbestos)」とは「石綿(いしわた、せきめん)」のことで、蛇紋(じゃもん)石などの繊維性鉱物を綿状にほぐしたものです。アスベストを製造している会社、炭鉱、建材メーカーなどで働いている労働者や家族が肺に間質性繊維化を起こし、呼吸困難となるのが、「アスベスト症(Asbestosis)」です。

近年では、アスベストを扱う工場の周辺住民がただ近くに住んでいるだけで、健康被害を受けるリスクがあるということまで、認識されるようになりました。

アスベスト症の症状は、息切れ、咳(せき)、長引くしわがれ声、肺から咳をして出る血痰(けったん)、胸または腹の痛み、胸水または腹水、血液中の酸素欠乏により皮膚が青くなるチアノーゼ、際立った体重減少などです。

医師の側では、胸部X線検査、CT検査で肺の間質性繊維化と胸膜の斑点がみられ、呼吸機能検査で著明な機能低下が認められと、アスベスト症と診断を下します。専門の医師でも、一度吸い込んだアスベストを除去することはできません。アスベスト症の治療は、対症療法になります。 

広く使用されてきたアスベスト

天然で産出する繊維状の鉱物の一群を原材料としたアスベスト(石綿)の繊維一本は、だいたい人間の毛髪の5000分の1の細さで、数千本をより合わせて糸状にも、布状にも加工できる素材です。

アスベストを性質によって分けると、6種類あります。巻き毛状の繊維を持つ蛇紋石系のクリソタイル(白石綿、温石綿)と、棒状の繊維を持つ角閃石系のアモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトです。これら6種のうち、日本や世界で工業的に使用されてきたのは、主としてクリソタイル、アモサイト、クロシドライト。

逆上れば、1800年代の終わりに、アスベストは北アメリカで営利上採掘され、使用され始めました。第二次世界大戦中に、需要が大幅に増加し、以来、多くの産業において使用され続けてきました。

高抗張力、不燃の特長を有し、耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、親和性などにも非常に優れ、しかも安価であるため、「奇跡の鉱物」「夢の素材」と珍重されました。一つの物質で、これほどの特長を有しているものは他に見当たらず、アスベストを代替する場合には、それぞれの特長を持った複数の繊維や材料を組み合わせて使用することになります。

戦後の日本では、1948年にアスベストの輸入が再開し、1974年には35万トン強と輸入量が最高になっています。1970年~1990年にかけては、年間30万トン前後の輸入がありました。1991年以降は、アスベストの輸入量は減少していきます。

この間、建築資材、電気製品、自動車、船舶、家庭用品などで、3000とも5000を超えるともされる種類の製品に、アスベストが使用されていました。例えば、建設業では、断熱材、保温材、耐火材、防音材として建築資材に用い、同様にセメントとプラスチックを強くするために、アスベストを壁や天井に吹き付けて用いました。自動車産業では、ブレーキライニングやブレーキパッド、クラッチフェーシング、 クラッチライニングで、アスベストを使用しました。

一方、アスベストの使用については、1972年のILO(国際労働機関)による発がん性の指摘など、早急な対策の必要性が、世界的にで論じられてきました。86年には、吹き付け作業や発がん性の高いクロシドライト(青石綿)の使用などを禁止した「石綿条約」がILOで採択されましたが、日本は条約を批准せずに「管理して使えば安全」という立場をとり、規制はしませんでした。

80年代には、ヨーロッパ諸国が相次いで、クロシドライトの使用禁止の措置をとりました。アメリカでは、89年に環境保護局(EPA)がアスベストの新用途すべてへの使用を禁止しました。

当時の日本も90年頃から、まず吹き付けによるアスベスト使用を法的に中止しました。アモサイト(茶石綿)とクロシドライトについては、有害性が高いことから、1995年に使用禁止にしました。

一方で、よく使われているクリソタイル(白石綿)は量も多いし、それほど危険性はないと判断し、アスベストを含んだ建材やアスベスト板などを作っている会社には零細業者が多いということで、使用禁止を猶予し、2006年にずれ込みました。

EU加盟国(25カ国)では2005年1月から、日本においても2006年9月から、クリソタイルを含めたアスベストの新たな使用については、全面禁止となりました。ただし、日本では一部の製品について、石綿無使用品の安全性が確認できるまで当分の間使用できますが、2008年を期限にすべてのアスベストの使用が禁止されます。アメリカでは、2003年8月現在で石綿紙、新規製品等への使用は禁止されていますが、建材、摩擦材等への使用は認められています。

なお、世界におけるアスベストの生産量は、2000年以降増加しています。主産地のカナダでは減少しているものの、ロシア、中国、カザフスタンで増加している影響です。世界の現在の使用量のデータはありませんが、2004年の年間のアスベスト産出量は223万トンと発表されています。日本のアスベストの輸入量は減少し続け、財務省の統計によると年間輸入量は2004年に約8000トン、2005年に110トンとなり、2006年は輸入がありませんでした。

住まいの中にあるアスベストへの対応

かつての建設業では、大別して「建材」と「吹き付け」の二種類の方法で、建物にアスベスト(石綿)を使用しました。断熱材、保温材、耐火材、防音材などの建材として用い、壁や天井を強くするために吹き付けて用いました。

現在、学校などで問題となっているのは、セメントにアスベストなどを混ぜて、鉄骨や壁面に吹き付けた「吹き付けアスベスト」です。アスベストの繊維は非常に細かいので飛散しやすく、人間が吸入してしまう恐れがあるため、健康への害が懸念されています。

アスベストのほか、吹き付けによく使われる材料として、ロックウールという岩綿(がんめん)があります。アスベストと同様の特性を持ちますが、繊維がより大きいため、人間の体内に入っても肺がんや中皮腫(ちゅうひしゅ)の原因にはならないと見なされています。このロックウールとアスベストの二つは見た目ではほとんど差がなく、外見で判別することは、専門家でも不可能です。

しかし、アスベストを使用した吹き付けは、1990年頃からほとんど使われず、95年までは5パーセント以内の割合でアスベストが含まれていたものもあるといえど、完全に使われなくなった96年以降の吹き付けであれば、安全であると考えられます。

一方、一般家庭やオフィスなどで問題となるのは、床や壁、天井、キッチンのタイルの裏側、屋根瓦などに、アスベスト入りの建材が2004年まで使われていたことです。

 ここで大切なのは、「アスベストを含んだ建材があること自体は、大きな問題ではない」、と認識することです。過剰反応して「気持ちが悪いから取ってしまおう」などと、考えないことです。

建材を破損させて断面をむき出しにしたり、建物を壊したりしない限りは、アスベストは飛び散りません。従って、住居にアスベスト入り建材が使われていても、健康への害はほとんどないと考えられています。

アスベスト入り建材の使用場所を知るには、家を立てた際の図面を見ることがまず第一です。見てもわからない時や図面がない場合は、施工した工務店に問い合わせましょう。自宅でアスベストが使われている場所を知っておけば、壁に穴を開けたり、むやみに傷を付けたりすることを避けられます。

どうしても気になるなら、その部分だけを取り除くのではなく、壁紙などを張ったり、厚めに塗料を塗るのがいいと思われます。

アスベスト症により引き起こされる病気

現在、飛散したアスベスト(石綿)をどの程度吸い込むと発病するかという明確なデータは、ありません。しかし、体への影響は、吸った濃度と量(期間)が深く関係します。

例えば、高濃度ではなくても、吹き付けのある倉庫で何十年も働いていたり、石綿工場周辺に長く住んでいたりした場合は、時間の長さが問題となり、あくまでも実験下の数字でいえば、危険度が高いことになります。

アスベスト症により引き起こされる病気として、長い期間アスベストに曝露(ばくろ)されると、特殊な肺がんを発症することが知られています。アスベストは劣化しにくいため、長期間にわたって空気中や水中に存在し、人間の体内に入るとほとんど分解されず、肺などに蓄積して、がん化するのです。

大量のアスベストを日常的に吸った際に起こる「石綿肺」、より少ない曝露でも起きる「石綿肺がん」、肺を取り囲む胸膜などに悪性の腫瘍(しゅよう)ができる「悪性中皮腫」が、主な病気です。息切れ、胸痛、咳などの初期症状があり、吸い込んでから約15~50年の潜伏期間をへて、発症します。また、アスベスト症の罹患者で喫煙した場合には、肺がんによって死亡するリスクが50倍以上になると云われています。

2006年2月には、アスベスト(石綿)による健康被害者らに国が医療費などを払う「石綿被害者救済法」が、国会で成立しました。日本政府へ望まれる今後の課題は、省庁間の総合的な対策を基本に、家の改築・解体時の飛散防止、過去に吸入した人への健康対策、専門家の育成などの早急な対策を講じることだと考えられます。

2022/07/26

🇧🇬アペール症候群

頭の形と顔貌が特徴的で、手足の指の癒合がある先天性疾患

アペール症候群とは、複数の特定の奇形を持っている先天性の異常疾患。エイパート症候群とも、尖頭(せんとう)合指症候群とも呼ばれます。

アペール症候群の主な症状は、頭蓋(とうがい)骨縫合早期癒合症、合指症、合趾(ごうし)症で、頭の形と顔貌(がんぼう)が特徴的で、手足の指に癒合などの奇形があります。症状が似ているため、クルーゾン病と同一視する場合もあります。

乳児の頭蓋骨は何枚かの骨に分かれており、そのつなぎを頭蓋骨縫合と呼びますが、乳児期には脳が急速に拡大しますので、頭蓋骨もこの縫合部分が広がることで脳の成長に合わせて拡大します。成人になるにつれて縫合部分が癒合し、強固な頭蓋骨が作られるわけです。

頭蓋骨縫合早期癒合症は狭頭症とも呼ばれ、染色体や遺伝子の異常が原因となって、頭蓋骨縫合が通常よりも早い時期に癒合してしまう疾患。その結果、頭蓋骨や顔面骨に形成不全がみられて、頭、顔、あごに変形が生じます。頭蓋骨の変形は、早期癒合が起こった縫合線と関係があり、長頭、三角頭、短頭、斜頭などと呼ばれる変形が生じます。

眼球突出、両目の離間、気道狭窄(きょうさく)、歯列のかみ合わせ異常、高口蓋や口蓋裂など、さまざまな症状もみられます。また、頭蓋骨の変形によって脳が圧迫されるなどの障害が発生し、水頭症の合併、頭蓋内圧の上昇を認めることも少なくありません。

合指症は、隣り合った手の指がくっついている疾患。アペール症候群における合指症の場合、人差し指から小指までの4本の合指、または親指から小指まで5本全部の合指の2つのパターンに大きく分かれるようです。手の指の間が皮膚によって互いにくっついている場合と、骨によって互いにくっついている場合とがあります。

合趾症は、隣り合った足の指がくっついている疾患。5本全部の指がくっついていることが多いようです。合指症と同じく、足の指の間が皮膚によって互いにくっついている場合と、骨によって互いにくっついている場合とがあります。そのままでも歩行に問題はありません。

水頭症のほか、聴力の障害、精神発達障害を伴うこともありますが、ほとんどは知能の発達に異常はありません。発生頻度は1万6000人に1人とされ、典型的な症状を持つ発症者は常染色体性優性遺伝をすることがわかっています。

乳児の頭蓋骨は、子宮内での圧迫、産道を通る際の圧迫、また寝癖などの外力で容易に変形します。こうした外力による変形は自然に改善することが多いので心配ないものの、アペール症候群における頭蓋骨縫合早期癒合症との鑑別が大切です。

アペール症候群の検査と診断と治療

乳幼児の頭の形がおかしい、手足の指が癒着していると心配な場合は、形成外科や小児脳神経外科の専門医を受診します。

アペール症候群の症状には、軽度なものから重度なものまであり、形成外科や脳神経外科の領域のほか、呼吸、循環、感覚器、心理精神、内分泌、遺伝など多くの領域に渡る全身管理を要します。乳幼児の成長、発達を加味して適切な時期に、適切な方法で治療を行うことが望ましいと考えられ、関連各科が密接な連携をとって 集学的治療が行われます。

頭蓋骨縫合早期癒合症の治療は、放置すると頭の変形が残ってしまうばかりでなく、脳組織の正常な発達が抑制される可能性があるため、外科手術になります。

手術法としては従来から、変形している頭蓋骨を切り出して、骨の変形を矯正することで正常に近い形に組み直す頭蓋形成術が行われています。乳幼児の骨の固定には、できるだけ異物として残らない吸収糸や吸収性のプレートが用いられます。

近年では、この頭蓋形成術に延長器を用いた骨延長術も行われています。具体的には、頭蓋骨に刻みだけ入れて延長器を装着し、術後に徐々に刻みを入れた部分を延長させ、変形を治癒させるという方法。

骨延長術のメリットとして、出血が少なく手術時間の短縮が図れる、骨を外さないため血行が保たれるので委縮や変形が少ない、骨欠損が比較的早期に穴埋めされる、皮膚も同時に延長可能である、術後に望むところまで拡大可能であるなど挙げられます。一方、デメリットとして、頭蓋形成術より治療期間が長く1カ月程度は入院しなければならない、延長器を抜去する手術が必要となるなどが挙げられます。

さらに、内視鏡下で骨切りを行い、ヘルメットで頭の形を矯正するなどの手術方法も開発されています。 水頭症予防の手術が必要になる場合もあります。

単純な頭蓋骨縫合早期癒合であれば、適切な時期に適切な手術が行われれば、一度の手術で治療は完結することが期待できることがあります。アペール症候群性の頭蓋骨縫合早期癒合症では、複数回の手術が必要になることもまれではありません。頭蓋骨の形態は年齢により変化しますので、長期に渡る経過観察が必要です。

頭蓋骨の手術だけでなく、顔面骨を骨切りして気道を拡大し、眼球突出や不正咬合(こうごう)を適切な位置へ移動させる手術も行われます。

手足の指の癒着は、皮膚だけでなく骨まで癒着している場合、機能を損ねないように慎重に分離手術が行われます。歯列矯正を行う時には、アペール症候群の場合は健康保険が適用されます。

2022/07/21

🇨🇦メタノール中毒

メタノールを飲んだり、吸い込んで引き起こされる食中毒

メタノール中毒とは、酒(エタノール)と間違えるなどしてメタノールを誤って飲んだり、管理の悪い工場や事故などで高濃度のメタノールの蒸気を吸い込んで、引き起こされる食中毒。

メタノールはアルコールの一種で、別名としてメチルアルコール 、木精、カルビノールメチールとも呼ばれます。

このメタノールは、アルコールランプなどの燃料、自動車のフロントガラス用などの洗浄剤、溶剤として、またフェノール樹脂、接着剤、酢酸、ホルマリンなど各種の化学薬品、医薬品の原料として広く用いられています。そのために、誤飲する機会も多く、工場などで急性、慢性に吸入することも多くあります。

エタノールと同様に、メタノールも体に入ると酔いをもたらします。ただし、エタノールが体内で比較的害の少ないアセトアルデヒドから無害の酢酸に分解されるのに対して、メタノールは有害なホルムアルデヒドから有害な蟻酸(ぎさん)に分解されます。

この蟻酸がたまることにより、視神経を傷付けて、視力障害さらには失明を引き起こします。それ以外に、急性下痢、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、出血性胃炎、急性膵(すい)炎、頭痛、めまいなど、さまざまな症状を引き起こします。

急性中毒の場合、メタノールを故意に、あるいは間違って飲んだり、吸い込んだりしてから半日〜1日程度は、エタノールを飲んだ時と同じような酔いが起こるだけで、ほかには特に症状は出ません。ただし、吸い込んだ場合には、目や鼻の刺激を覚えることがあります。

翌日から吐き気、嘔吐、頭痛、めまいのほか、目がかすんだり、物が二重に見えたりし始めます。また、血液が酸性になる代謝性アシドーシスも生じます。1週間以内に、視神経委縮と視野狭窄(きょうさく)のため著しい視力障害が起こり、しばしば症状が進んで失明します。

多量に摂取した場合は、けいれん、循環障害、呼吸まひを起こし、死ぬこともあります。慢性中毒の場合は、視力障害が起こります。

メタノール中毒の検査と診断と治療

メタノール中毒に気付いたら、まずできるだけ吐かせ、次に酒(エタノール)をたくさん飲ませて、症状がなくても必ず救急病院に搬送します。

医師による急性中毒の診断では、発症者の話をよく聞いて、飲んだり吸い込んだりしたものがメタノールであることを知ることが大切です。それが困難な場合は、尿中にメタノールを検出することが役立ちます。さらに、目などの症状と代謝性アシドーシスが診断の手掛かりになります。視力障害がみられる時は、視神経の委縮と視野の狭窄の有無を調べます。慢性中毒の場合は、目の所見と尿中のメタノールの量を調べます。

急性中毒の治療では、エタノールを経口または点滴で多量に与えることが最も有効な治療になります。メタノールもエタノールもアルコール脱水素酵素などの同じ酵素で分解されるので、エタノールがたくさんあるとメタノールの分解が阻害されて遅くなり、有毒な蟻酸などができにくくなるためです。また、必要に応じて胃洗浄を行ったり、下剤を投与して、メタノールを排出させるようにします。

重症の場合には、人工透析を行って血液中のメタノールを取り除く場合もあります。そのほか、代謝性アシドーシスに対して炭酸水素ナトリウム(メイロン)を投与するなどの対症療法も行います。

2022/07/18

☪やけど(熱傷)

熱湯など高熱の物質に接した際に生じる皮膚の損傷

やけどとは、熱湯、炎、蒸気、湯たんぽなど、高熱の物質に接した時に生じる皮膚の損傷。熱傷とも呼びます。

数ある外傷のうち、最も危険な結果を招くことがあり、厳重な予防が必要です。最も多いのは家庭内で起こるやけどですが、重症例は火事や工場災害で多くみられます。

症状としては、やけどの重症度を、その広さと深さにより判定します。ことに、皮膚が焼けた深さは、第1〜3度で表されます。

第1度(表皮熱傷)は、いわゆる日焼けの状態で、放っておいても治ります。

第2度(真皮熱傷)では、水疱(すいほう)ができ、深いものでは潰瘍(かいよう)を形成し、手術が必要となります。

第3度のやけどでは、熱傷の深さが皮下組織に達して、皮膚は全く死んでいますので、自然に治ることはありません。

そのほか、やけどは部位により治療が難しかったり、気管に火や煙を吸い込んで起こる気道熱傷のように、死亡率が非常に高くなるものもあります。年齢も救命に大きく関係し、年齢が低いほど重症です。

やけどの検査と診断と治療

やけどでは、受傷したらすぐ水で冷やすことが治療の第一歩です。大きなやけどでは、衣服を脱がす前に水をかけ、冷やしてから救急隊に連絡し、専門医に連れていってもらうことです。

重症のやけどでは、全身治療による救命がまず問題となります。

局所的な治療としては、軟こうを塗布するのが主となりますが、成分が不明の軟こうなどは感染を助長することがあるので避けます。軽いやけどのように見える場合でも、感染を起こすと深くなり瘢痕(はんこん)を残すので、形成外科医の治療を受けます。

一般に、やけどで死んだ皮膚を切り取って、自分自身の健康な皮膚を植える植皮の手術は、瘢痕の状態に応じて行います。

2022/07/10

🤏裂手症

手の中央部分の指が欠損して、指間にV字状の切れ込みが生じ、手指が2つに裂けたような外観を示す疾患

裂手(れっしゅ)症とは、手の先天異常で、手の中指(第3指)が欠損して、指間(指の股〔また〕)にV字状の切れ込みが生じ、手指が2つに裂けたような外観を示す疾患。

中指の欠損に、人差し指(第2指)や薬指(第4指)の発育不全を伴うこともあります。重症になると、人差し指、中指、薬指の3指が欠損したり、隣り合う2つの手指がくっ付く合指症や、手指の数が6本以上となる多指症を合併します。両手の手指に生じたり、足指の欠損が生じる裂足症を合併することもあります。

出生2万人に対し1人の頻度で裂手症は生じ、男児に多くみられます。優性遺伝が認められる場合もあります。

形成障害(発育停止)に分類されるものの、しばしば合指症を合併することから、分化障害(分離不全)に近い状態と考えられています。

単独でみられるほか、EEC症候群(裂手裂足・外胚葉異形成・口唇口蓋裂症候群)などの先天奇形症候群の症状の一部としてみられることもあります。

中指などが欠損しても、機能的にはよく保たれていることが多く、ほかの手指を開いたり、ほかの手指で物をつかんだりすることは可能です。

生後すぐ、裂手症は産科で気付かれることが多いため、手指以外に内臓疾患の合併がないか、小児科でも診てもらうことが勧められます。また、整形外科などでも診てもらい、美容的、機能的な観点から手術を行うべきかどうか相談することが勧められます。

裂手症の検査と診断と治療

整形外科、ないし形成外科、手の外科の医師による診断では、視診で容易に判断できますが、指骨の状態をみるためにX線(レントゲン)検査を行います。

整形外科、ないし形成外科、手の外科の医師による治療では、外見上の改善と手指の運動機能向上を目的に、手術を行うことが第1選択となります。

手術では一般的に、離れた手指を引き寄せ、指間の高さをそろえつつ、V字状の切れ込みを閉鎖ないし狭くします。手指の付け根の骨である中手骨(ちゅうしゅこつ)を切除し、移動することもあります。

親指(母指)と人差し指(示指)などの間に合指がある場合は、同時に、隣り合う2つの手指を分離し、指間を作る手術を行います。

裂手症では、機能を持つ手指の数を5本にすることはできません。V字状の切れ込みの形態を整え、少ない手指の数で形態的にバランスの取れた、役に立つ手にすることが手術の目標となり、手指の運動パターンが完成する前の2、3歳までに手術を行うのがよいと見なされています。

👣裂足症

足の中央部分の足指が欠損して、指間にV字状の切れ込みが生じ、足指が2つに裂けたような外観を示す疾患

裂足(れっそく)症とは、足の先天異常で、足の中指(第3指)が欠損して、指間(指の股〔また〕)にV字状の切れ込みが生じ、足指が2つに裂けたような外観を示す疾患。

中指の欠損に、人差し指(第2指)や薬指(第4指)の発育不全を伴うこともあります。重症になると、人差し指、中指、薬指の3指が欠損したり、隣り合う2つの足指がくっ付く合趾(し)症(合指症)や、足指の数が6本以上となる多趾症(多指症)を合併します。

両足の足指に生じたり、手の手指の欠損が生じる裂手症を合併することもあります。

出生2万人に対し1人の頻度で裂足症は生じ、男児に多くみられます。優性遺伝が認められる場合もあります。

形成障害(発育停止)に分類されるものの、しばしば合趾症を合併することから、分化障害(分離不全)に近い状態と考えられています。

単独でみられるほか、EEC症候群(裂手裂足・外胚葉異形成・口唇口蓋裂症候群)などの先天奇形症候群の症状の一部としてみられることもあります。

軽症では、普通の靴が履きにくい、あるいは履けないなどの支障がみられます。重症では、歩行困難などの機能障害がみられます。

生後すぐ、裂足症は産科で気付かれることが多いため、足指以外に内臓疾患の合併がないか、小児科でも診てもらうことが勧められます。また、整形外科などでも診てもらい、美容的、機能的な観点から手術を行うべきかどうか相談することが勧められます。

裂足症の検査と診断と治療

整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による診断では、視診で容易に判断できますが、趾骨の状態をみるためにX線(レントゲン)検査を行います。

整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による治療では、外見上の改善と足指の運動機能向上を目的に、手術を行うことが第1選択となります。

手術では一般的に、離れた足指を引き寄せ、指間の高さをそろえつつ、V字状の切れ込みを閉鎖ないし狭くします。普通の靴が履けずに困る場合は、足指の付け根の骨である中足骨(ちゅうそくこつ)を切除し、移動することもあります。

親指(第1指)と人差し指などの間に合趾がある場合は、同時に、隣り合う2つの足指を分離し、指間を作る手術を行います。

裂足症では、機能を持つ足指の数を5本にすることはできません。V字状の切れ込みの形態を整え、少ない足指の数で形態的にバランスの取れた、役に立つ足にすることが手術の目標となります。

🟧1人暮らしの高齢者6万8000人死亡 自宅で年間、警察庁推計

 警察庁は、自宅で亡くなる1人暮らしの高齢者が今年は推計でおよそ6万8000人に上る可能性があることを明らかにしました。  1人暮らしの高齢者が増加する中、政府は、みとられることなく病気などで死亡する「孤独死」や「孤立死」も増えることが懸念されるとしています。  13日の衆議院...