胃の機能が高進して、胃酸の分泌が多くなっている状態
胃酸過多症とは、胃の機能が高進して、胃液の成分である塩酸の酸度が普通よりも高くなっている状態。過酸症とも呼ばれます。
胃液の分泌は自律神経の支配を受け、主として食事の前後に増加します。年間を通じて春と秋に多く、夏と冬は比較的分泌が低下しています。食事の内容によっても増加します。
症状としては、みぞおちから胸にかけて焼けるような不快感がある胸焼け、げっぷ、胃の酸っぱい液体が口まで逆流してくる呑酸(どんさん)がみられます。これらは、酸度の高い胃酸液が食後に大量に分泌されることが一般的なため、食後1~2時間で起こります。
また、食べ物が胃に入っていない空腹時に胃液が大量分泌し、とりわけ夜間に分泌量が増える傾向がある胃酸過多症では、空腹時の胃の痛み、胃もたれ、食欲減退などの症状が現れます。
原因となるのは胃酸分泌能の高進ですが、その仕組みについてはまだよくわかっていません。胃粘膜の胃酸を分泌する細胞が多いことや、胃酸分泌を促す中枢神経からの刺激に対する感受性の高進、胃液分泌の促進と抑制を調節する迷走神経、交感神経の異常、ガストリン、セクレチンなどのホルモンの異常などが考えられています。酒、たばこ、刺激性食品の摂取過多が、原因となることもあります。
胃酸過多症を伴いやすい疾患としては、急性胃炎、若年型慢性胃炎、胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍、ゾリンジャー・エリンソン症候群、副甲状腺(せん)機能高進症などが挙げられます。
胃酸過多症の検査と診断と治療
胃酸過多の診断には、鼻から胃にチューブを挿入して、採取した胃液から胃液の酸度と胃酸分泌能を調べることが確実ですが、この検査はあまり用いられていません。
治療としては、主として胃液の分泌を抑え、胃酸の酸度を中和させるために、重曹、水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合薬などの制酸剤や、胃粘膜からの胃酸分泌を強力に抑えるH2受容体拮抗(きっこう)薬、プロトンポンプ阻害薬などの胃酸分泌抑制剤が使用されます。
胃酸過多症において日常で注意することは、香辛料、コーヒー、炭酸飲料、漬物、アルコール、たばこなどの胃酸の分泌を促進するものと、精神的疲労によるストレスを避けることです。
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