2022/08/13

🌀気象病

気象の変化が原因で症状が出現したり、悪化したりする一連の疾患

気象病とは、気象の変化や一定の気象条件下で、症状が出現したり、悪化したりする一連の疾患。

体調不良、気分の落ち込み、頭痛、めまい、関節痛、古傷の痛みなどの症状が代表的で、患者数は増加傾向にあり、1000万人以上が悩んでいるとの推計もあります。

主な原因は、気温や湿度ではなく、気圧の変化です。飛行機に乗ったり、エレベーターで移動したりすると、耳がおかしく感じることがあります。耳の鼓膜の奥には、気圧の変化を感じる内耳という器官があり、脳は内耳から伝わった情報を基に、周囲の環境に体を順応させようとします。

しかし、内耳のセンサーが敏感に反応しすぎると、わずかな気圧の変化でも脳に過剰な情報が伝わってしまいます。この結果、自律神経が乱れて、体にさまざまな変調が起きます。

自律神経のうち交感神経が活発になると痛みを感じ、副交感神経が活発になるとだるくなったり眠くなったりします。心臓発作やぜんそくなどの持病が悪化する恐れもあり、軽く考えるのは禁物です。

気圧の変化が急なほど、気象病の症状が強く出現します。中には気圧が上昇する時に症状を訴える人もいますが、多くの人が症状を訴えるのは気圧が低下する時です。

特に気象病の症状が出やすい季節は、雨をもたらす低気圧が定期的に通過する春や秋、梅雨時、そして台風が日本付近に接近する晩夏から秋にかけて。冬に低気圧が日本の南岸を通過すると、太平洋側に雪が降ることがありますが、この時に症状を訴える人もいます。

気象病の治療と予防

耳鼻科、神経内科、あるいは気象病外来/天気痛外来の医師による治療では、気象病の予兆であるめまいが出るタイミングで、抗めまい薬を服用することが効果的です。抗めまい薬には、内耳のリンパ液の循環をよくする働きがあり、内耳の状態を整えて、内耳のセンサーが敏感に反応するのを抑えます。

抗めまい薬と同様の「ジフェニドール」などの成分が入った乗り物酔い止め薬を服用するのも効果があります。乗り物酔い止め薬は、薬局などで市販されています。

漢方薬を使う場合もあります。五苓散(ごれいさん)には、気圧の低下で体内に貯留する水分の循環をよくする作用があり、抗めまい薬と似た効果があります。抑肝散(よくかんさん) には、神経の高ぶりを抑えたりする作用があります。

気象病の改善に効くとされるツボも、手や足にあります。

ただ、抗めまい薬などで気象病の元になる持病までは治らず、それぞれの持病に対応した治療が必要なことはいうまでもありません。

普段から内耳のリンパ液の循環をよくしておけば、自律神経が整い、気象病の予防や改善につながります。その点で、マッサージも有効で、両耳を軽くつまんで、上下横に5秒ずつ引っ張ったり、耳を横に引っ張りながら後ろに回したりします。

また、家庭用の気圧計などを使って、毎日の天気、気圧、体調の変化を記録し、気象病の症状がいつ出るのかを予測すれば、あらかじめ薬で対処できます。地域ごとに気象病に注意すべきタイミングをスマートフォンなどで知らせてくれるアプリもあります。

自律神経を整えるためには、十分な睡眠、適度な運動も不可欠で、規則正しい生活を心掛けます。

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