2022/08/24

🇧🇪徐脈頻脈症候群

頻脈と徐脈が交互にみられ、動悸やめまいなどの症状が出る疾患

徐脈頻脈症候群とは、脈が速くなったり、脈が遅くなったりを繰り返し、それに応じて動悸(どうき)やめまいなどの症状が出る疾患。洞不全(どうふぜん)症候群の一つのタイプです。

右心房の上部にあって、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節と右心房の機能低下に加え、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍などの脈が速くなる頻脈性不整脈が出現し、右心房が自発的に興奮して、その刺激が洞結節に進入することで、洞結節の自発的興奮を一時的に強く抑えてしまうため、頻脈が自然停止した直後に、洞結節が高度の洞停止を生じ、脈が遅くなる徐脈を起こします。

出現する頻脈性不整脈の90%以上は、心房細動が占めます。洞不全症候群では、心房自体の機能低下もあるため、心房性頻脈が発生しやすくなります。そのほかの頻脈性不整脈としては、心房粗動、発作性上室性頻拍があります。いずれにしろ、頻脈性不整脈が自然停止した後に、洞停止が続いてしまいます。

典型的には、まず先行する動悸が生じ、それが止まったと思ったら、続いてめまい、意識障害、眼前暗黒感、顔面蒼白(そうはく)、けいれんなどの脳の虚血症状を自覚します。洞停止が長引けば、心停止または徐脈に伴って脳への血液の供給が急激に減少したり停止して、失神、呼吸困難、呼吸停止が起こります。

夜間睡眠中に脳虚血症状が現れる場合は無症状で経過することもありますが、日中に現れる脳虚血症状により転倒した場合には時に、重大な頭部外傷をもたらす危険もあり、心停止から拍動が回復しない場合は突然死することもあります。

徐脈頻脈症候群の原因として最も多いのは、加齢による洞結節または周辺の右心房筋の線維化による伝導障害です。そのほかに、心筋梗塞(こうそく)や冠状動脈硬化などの虚血性心疾患、高血圧症、先天性心疾患、心筋症、心筋炎などが原因になりますが、慢性腎機能障害による電解質異常や甲状腺(こうじょうせん)疾患によって起こることもあります。

また、洞結節の刺激の発生数を低下させる迷走神経の緊張高進、高カリウム血症のほか、高血圧治療薬や虚血性心疾患治療薬、抗不整脈薬、精神疾患治療薬などの薬剤投与によって引き起こされる場合もあります。

脳虚血症状などが長引く場合、繰り返すような場合には、循環器専門医の診察を受けてください。

徐脈頻脈症候群の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、24時間ホルター心電図による検査を行います。心房細動などの頻脈性不整脈が先行し、それが停止した時に洞停止が記録でき、その時に脳の虚血症状があれば診断が確定されます。

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、頻脈の発生を予防する薬剤の投与により、洞停止時間が以前にも増して延長する可能性があります。一方、徐脈の治療のための脈拍を速くする薬剤の投与により、頻脈時の脈拍数が以前より増加する可能性があります。

このジレンマのため、薬剤による治療はうまくいかないことが多いので、症状が強ければ徐脈治療のために恒久型ペースメーカーを植え込んだ後で、頻脈治療を行います。

恒久型ペースメーカーは、徐脈が現れた時のみ電気刺激を出して心臓を刺激することにより心拍数を正常にし、高度な徐脈、心停止による失神などを予防します。手術で、ライターほどの大きさの恒久型ペースメーカーを鎖骨の下に植え込み、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。

一般的な徐脈頻脈症候群の予防には、高血圧や心筋虚血も原因になり得るので、日ごろから血圧、コレステロール、血糖値の管理をしっかり行い、喫煙や過度の飲酒を控えることが大切です。規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることも大切です。

また、加齢による洞結節や右心房筋の機能低下も原因の一つとして考えられているため、定期的な健康診断を受診し、疾患の早期発見、治療を行うことが大切です。

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