トリコモナス症とは、トリコモナス原虫という単細胞生物の繁殖によって、腟や尿道に起こる性感染症です。トリコモナス膣(ちつ)炎、膣トリコモナス感染症とも呼ばれます。
もともとの感染経路には不明な面もありますが、男女間の性行為で感染することは確かなので、性感染症の中に含まれています。しかし、性交経験のない女性でもみられることがあり、便器、入浴、タオルなどを介しての感染もまれにあるようです。
トリコモナス原虫は一般に、男女両方の生殖器や尿管に感染しますが、症状が出るのは主に女性です。男性では、症状がほとんどない尿道感染症がよくみられ、まれに精巣上体や前立腺(ぜんりつせん)が感染します。
女性は通常、黄緑色の泡立った分泌物が腟から出ることで発症します。分泌物の量は少ないこともあります。外陰部が過敏になって痛み、性交痛も起こります。重症の場合、外陰部や周辺の皮膚が炎症を起こし、陰唇が腫(は)れます。排尿痛や頻尿など、膀胱(ぼうこう)感染症で起こるのと同じような症状だけが起こることもあれば、他の症状と併せて起こることもあります。
トリコモナス症の男性は、症状はなくてもセックスパートナーに感染を起こします。また、尿道から分泌物が出て、排尿痛、頻尿などの症状を伴う非淋菌(りんきん)性尿道炎にかかっている男性もたくさんいます。
医師による診断では、女性では膣分泌物の顕微鏡検査や培養法でトリコモナスを確認します。男性では尿または尿道分泌物、前立腺液、精液中のトリコマナスの有無を確認しますが、発見するのは女性より困難です。
医師による治療では、女性はメトロニダゾールの内服、またはメトロニダゾールの膣剤、またはその併用です。男性ではメトロニダゾールの内服を7日から10日間。男性、女性とも薬が良く効きますが、セックスパートナーも同時に治療しなければ、再感染する恐れがあります。
メトロニダゾールは、アルコールと一緒に服用すると、悪酔いや吐き気、肌の紅潮を引き起こします。内服治療中は、アルコールは飲めません。
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