2022/08/14

🇬🇾変形性足関節症

足首の関節の軟骨が擦り減ったり、骨の変形が生じたりする疾患

変形性足(そく)関節症とは、長年の使用による老化や、過度の負担、外傷などによって、足関節の軟骨が擦り減ったり、骨の変形が生じたりする疾患。

変形性関節症が足関節、すなわち足首の関節に起こったものですが、股(こ)関節や膝(しつ)関節に起こる変形性関節症に比べると、まれな疾患です。

関節の軟骨は、関節の骨の表面を覆っている厚さ2~7ミリ程度の層で、正常では透明感のある白色に輝いていて、表面は非常に滑らかですべすべしています。水を含んだスポンジのように、関節の水分を吸ったり出したりすることで、体重の負担を分散するクッションとして、その衝撃を軽くしています。また、関節軟骨同士の接触面は、摩擦による抵抗が非常に少なくなっています。関節軟骨の内容は、プロテオグリカン、コラーゲン、水からなっています。

しかし、中高年になると筋力が低下し、その筋力でカバーできない負担が継続的に掛かる仕事や、瞬間的に大きな負担がかかるスポーツなどで、関節軟骨が衝撃を吸収しきれなくなると傷んでしまいます。関節軟骨はその構造上、表面がいったん傷んでくると、元に戻りにくく、だんだん擦り減って悪くなる傾向があります。

変形性股関節症や変形性膝関節症の場合は老化で起きる割合が高いのですが、変形性足関節症の場合は老化によるものは1〜2割。大半は、過去の骨折や捻挫(ねんざ)などの外傷が原因となって、長い年月を経て徐々に足首の関節の軟骨に変形が生じ、障害が起こるものです。

足関節の骨折や捻挫の後の靱帯(じんたい)損傷、関節の不安定、関節面の不整、関節の中の骨片(こっぺん)、骨棘(こっきょく)と呼ばれる骨の突出、化膿(かのう)性関節炎、骨壊死(えし)などが原因となって起こることもあります。骨折や捻挫などの治療を中途半端にして放置しないことが、重要です。

症状としては、歩き始め、階段の昇降、長時間の歩行や立ち仕事の後に、足首の痛みが起こります。徐々に足首のはれや変形が起こり、動きが制限され、正座や坂道での歩行が不自由になります。

ひどくなると、足首の関節の軟骨が消失して、骨と骨が直接こすれ合うようになり、痛みや機能障害が増大していきます。片側の足首の関節だけに発症することもありますが、両側性のこともあります。

足首の関節の痛みやはれ、正座ができないなどの症状が長引くようであれば、変形性足関節症の可能性もありますので、整形外科の受診が勧められます。

変形性足関節症の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、歩行状態、足関節の変形、はれや痛みの部位、動きなどの診察と、X線(レントゲン)検査を行います。X線検査では、軟骨が擦り減って足関節の間が狭くなっていたり、骨棘ができていたり、足関節の軟骨が完全になくなっていたりするのが確認されます。

整形外科の医師による治療では、まずは痛みに対して安静、足首への荷重を変えて痛みを軽減する足底装具、足関節サポーター、湿布、塗り薬、痛み止めの内服薬、温熱療法、理学療法などを用いた保存的治療を行います。炎症と痛みを和らげるために、局所麻酔剤とステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の関節内注射を行うこともあります。

進行を抑えるため、体重の増加を防ぐことや、足首に負担がかかる無理な運動を控えることも大切です。

足関節に重度の変形があり、歩行困難など日常生活に支障がある場合には、手術による治療が必要となります。手術では、原因や症状、年齢、性別、活動性などを考慮して、適切な術式を選択します。

足関節の中に擦り減った軟骨の骨片がある場合は、関節鏡という内視鏡を使って摘出します。捻挫を繰り返したことが原因の靱帯損傷によって、足関節がひどく不安定な場合は、足関節外側靱帯の再建術を行います。

また、主に若年の人に対しては、足関節の機能を温存する骨切り術や関節牽引(けんいん)形成術を行います。主に中年以降の人に対しては、長期にわたって痛みを確実に取り除く足関節固定術や人工足関節置換術を行います。

骨切り術では、斜めに足関節の骨を切り、広げた透き間に骨盤からの骨を移植します。足関節の安定性が得られ、痛みは軽減し、足首の動きが残ります。

関節牽引形成術では、創外固定器と呼ばれる器具を足に装着して牽引し、足関節の透き間を作ります。手術後は、器具を装着したまま、足首を動かす練習をすることで、足関節が再生する可能性があります。痛みも軽減することが多く、足首の動きも残ります。

足関節固定術では、痛んだ足関節の軟骨を削り、足関節が動かなくなるように固定します。痛みは軽快しますが、足首の動きがなくなります。

人工足関節置換術では、痛んだ足関節の軟骨を削り、人工の関節を挿入します。痛みが軽快し、足首の動きも残ります。しかし、骨の質が十分で、靭帯のバランスがよいなど、この手術ができる人はかなり限られています。

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