2022/08/05

🇦🇺どもり

頭の中で思い描いた言葉を円滑に発することができない疾患

どもりとは、頭の中で思い描いた言葉を発する際に舌や口唇などがうまく動かず、言葉を円滑に発することができない疾患。吃音(きつおん)、吃音症とも呼ばれます。

話し言葉の流暢(りゅうちょう)性とリズムの障害であり、コミュニケーション障害の一種に相当します。

このどもりには、大きく分けて連声型どもり(連発型どもり、連続型どもり)、伸発型どもり、難発型どもり(無声型どもり、無音型どもり)の3つがあります。

連声型どもりは、ありがとうが「あ、あ、あ、ありがとう」のように、最初のある言葉を連続して発するもの。

伸発型どもりは、ありがとうが「あーーーーりがとう」のように、語頭のある音を引き伸ばして発するもの。

難発型どもりは、ありがとうが「あ…………(無音)」のように、最初のある言葉から続く言葉を発することができないもの 。

原因は特定されていませんが、素因的なものがあるともいわれ、それに加えて発達的な要因、環境的な要因、つまりコミュニケーションの環境や親の養育態度、さらに自律神経の失調などが複合的に関係しているのではないかと見なされています。

どもりは一般的に、言葉の数が急に増え、話し言葉が活発になる2歳から5歳位の幼児期に始まります。特別な原因はないのに言葉がつかえ始める場合がほとんどで、これらを発達性どもり(吃音症)といい、どもりの9割以上が相当します。

一方、成人になって言語を習得した後に、疾患によって失語症など言語に障害を生じ、その症状として言葉がつかえることがあります。また、心理的に大きなショックを受けた場合に、言葉がつかえることがあります。これらを獲得性どもり(吃音症)といいます。

発達性どもりは、子供の5パーセント弱にみられます。とりわけ男子に多く、女子1人に対して男子は3~7人位の割合です。その原因は不明ですが、男子のほうが言葉の発達がやや遅めで、ストレスの影響を受けやすいからではないかなどといわれています。

どもりには、1~4段階のレベルがあります。第1段階レベルのどもりは、本人がどもりだとあまり自覚していない時期。第2段階レベルのどもりは、本人が連声型のどもりを気にし始める時期で、次第に語頭の音を引き伸ばす伸発型のどもりが現れるようになります。

第3段階レベルのどもえいは、自分がどもりだと強く自覚するようになる時期で、伸発型のどもりの時間が長くなり、最初の言葉から続く言葉を発することができない難発型のどもりになります。この時には、口元のけいれん、身振り、身悶(もだ)えなどの随伴運動が起こります。

第4段階レベルのどもりは、気にせずにはいられず、どもりそうな言葉や場面をできるだけ避けたり、話すこと自体や人付き合いを避けたりします。さらに、自分がどもりだと自覚した後でどもりを放っておくと、対人恐怖症や緊張症などの二次障害を引き起こす可能性があります。

主に、幼児期には連声型のどもりが多くみられ、成長するにつれ難発型のどもりが現れるようになります。難発型のどもりが現れるのは、連発型のどもりを隠そうとするゆえに無意識的に獲得した条件反射であると見なされます。

幼児期にどもりを発症しても、小学校入学前後で平均50パーセント位の子供が自然に、あるいは軽い治療や指導でよくなります。大人になると、有病率は1パーセント弱になります。

どもりの症状が激しく、自分のどもりに関して深刻に思い悩んでいるのは思春期から30歳代にかけての比較的若い世代が多く、40歳代、50歳代と年を重ねるにつれて、どもりの症状が目立たなくなって、どもりの率も軽減してくるという傾向もあります。

これは生理的な自然治癒力によるものと考えるより、仕事や家庭を持つことによって、どうしても話さざるを得ない機会が増えてくることによって、話す量も増えてゆく結果、話すこと自体がリハビリの効果を生み、自然と慣れてくるためだと見なされます。そのため、ある程度年配でも、どもりの症状が変わらないという人も見受けられます。

子供にどもりの心配がある際は、言語聴覚士のいる医療機関を受診することが勧められます。基本的には、言語聴覚士が言語障害などを治療しますが、診断はどもりの治療を手掛けている言語聴覚士がいる耳鼻咽喉(いんこう)科などの医師が行います。

また、神経内科などでも医師にどもりの知識があり、どもりの治療を行う言語聴覚士がいれば、診断可能な場合もあります。精神科や心療内科などでも、通院・在宅精神療法や投薬治療を受けず、初診料と再診料のみの診療報酬請求しか行わないならば、どもり(吃音症)のみの診断名で基本的には受診可能です。

どもりの治療

言語聴覚士による治療では、精神の緊張を取り除き、話すトレーニングを忍耐強く行います。一般的に完璧などもり(吃音症)に対する医学的な治療法はないといわれていますが、トレーニングで改善することは可能とされています。

その中で最も多く取り入れられているのが、発音トレーニング。息を大きく吸って、何度でもいいので、1語1語を少し長めに伸ばすような勢いで発音してゆきます。下腹部に力を入れ、普段の会話を意識しながら、すべての発音が難しければ最初の一言だけでかまわないので、慣れるように無理せず少しずつ発音してゆくことが肝心です。

そして、慣れてきたら少しずつ長めの単語を話すようにしてゆきます。この時点でも無理はせず、その様子を録音して定期的に改善されているかチェックします。

すぐに効果が出るのは難しいものの、忍耐強く少しずつ1日数分でもやることによって、改善されていくケースも多くみられます。

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